JP2011133275A - 可逆熱変色性記録材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繰り返し使用しても可逆熱変色層の熱変色機能を損なうことなく、しかも、冷熱液状体の付着、乾燥状態を簡易に確認することのできる実用性に優れた可逆熱変色性記録材を提供する。
【解決手段】 支持体2上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層3、冷熱液状媒体への耐性を有する保護層4を設けてなり、前記マイクロカプセル顔料の完全発色温度tは0℃以下であり、外表面には低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、冷熱液状媒体を吸液した状態と吸液しない状態で透明性を異にする多孔質層6を設けた可逆熱変色性記録材1。
【選択図】 図2

Description

本発明は可逆熱変色性記録材に関する。更に詳細には、加熱体又は冷熱液状体の適用により像を形成した状態、或いは、消去した状態のいずれかを保持できる可逆熱変色性記録材に関する。
従来、熱又は冷熱の適用により像を形成できる可逆熱変色性記録材としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体である化合物からなる感温変色性色彩記憶性組成物を含む、加熱により消色し、冷却により発色する熱変色層を設けた試し刷り用ワードプロセッサ用紙が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記試し刷り用ワードプロセッサ用紙は、発色状態と消色状態のいずれかを常温域において選択的に保持できるため、熱又は冷熱を適用することにより所望の像を形成できるして保持することができるものの、発色温度が10℃程度のため冬場の環境温度によっては全面が発色して像を維持できなくなる場合がある。
そこで、発色温度を0℃以下に低下させて冬場の環境温度でも全面が発色しない構成とすることが考えられるが、繰り返し使用する際に発色温度以下に冷却する手段として冷蔵庫や冷凍庫を用いると冷却に時間を要するため利便性を損ない易い。そこで、発色温度まで速やかに冷却する方法として冷却した液状体に浸漬する方法が考えられるが、冷熱液状体が熱変色層に付着すると所期の熱変色機能を阻害することがある。
実開平6−36862号公報
本発明は、冷熱液状体の適用により速やかに像を消去する感熱記録材の実用性を高めようとするものであって、即ち、繰り返し使用しても熱変色機能を損なうことのない耐久性を有すると共に、冷熱液状体の付着、乾燥状態を視認できる可逆熱変色性記録材を提供しようとするものである。
本発明は、加熱体又は冷熱液状体の適用により、相異なる色彩に互変的に変位させることができ、変位した何れかの色彩が択一的に記憶保持される記録材であって、前記記録材は、支持体上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層、冷熱液状媒体への耐性を有する保護層を順次設けてなり、前記マイクロカプセル顔料は、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、第1色相にあって温度が上昇する過程では、温度tに達すると、第1色相は変色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記温度tより低い温度tに達すると、第2色相は変色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に第1色相となり、前記温度tと温度tの間の温度域で第1色相或いは第2色相が保持されるヒステリシス特性を示し、温度tは0℃以下の温度であり、外表面に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、冷熱液状媒体を吸液した状態と吸液しない状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる可逆熱変色性記録材を要件とする。
更には、前記支持体上の可逆熱変色層を設けていない箇所に多孔質層を設けてなること、前記温度tが50℃以上の温度であること、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること、前記冷熱液状体の凝固点(G℃)と、温度tは下記式(1)を満たすこと、
G<t−20 (1)
前記冷熱液状体が一価アルコールを70質量%以上含有する液状体であること等を要件とする。
本発明は、可逆熱変色層上に冷熱液状体への耐性を有する保護層を設けることにより、繰り返し使用しても可逆熱変色層の熱変色機能を損なうことなく、しかも、冷熱液状体の付着、乾燥状態を簡易に確認することのできる実用性に優れた可逆熱変色性記録材を提供できる。
本発明に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 本発明可逆熱変色性記録材の一実施例の縦断面説明図である。 本発明可逆熱変色性記録材の他の実施例の縦断面説明図である。
以下に本発明に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を図1のグラフによって説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は前記tとt間の温度域であり、発色状態と消色状態の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとt間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
前記感温変色性色彩記憶性組成物は、完全発色温度tを0℃以下の冬場の環境温度等により発色しない温度にする。
なお、前記完全発色温度tとしては、好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−40〜−10℃である。
更に、完全消色温度tは、夏場の環境温度等により発色しない温度、即ち50℃以上、好ましくは60〜100℃、より好ましくは60〜90℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃、好ましくは50乃至100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
ここで、tとtの差、或いは、tとtの差(Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度である。
以下に感温変色性色彩記憶性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3´,6´−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体としては、下記一般式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2011133275
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至8の整数を示す。)
前記化合物としては、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステルを例示できる。
また、前記(ハ)成分として下記一般式(2)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2011133275
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(2)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(2)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(3)で示される化合物が用いられる。
Figure 2011133275
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数8〜18のアルキル基、更に好ましくは炭素数8〜13のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2011133275
(式中、Rは炭素数11以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2011133275
(式中、Rは炭素数1乃至12のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステルを例示できる。
本発明における(イ)、(ロ)、(ハ)成分の構成成分割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
又、各成分は各々二種以上の混合であってもよく、機能に支障のない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤等を添加することができる。
前記三成分からなる混合物はマイクロカプセルに内包してマイクロカプセル顔料として使用される。それは、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるためであり、種々の使用条件において感温変色性色彩記憶性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径1.5〜20μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは、2〜10μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセル顔料の最大外径の平均値が、20μmを越える系では、インキ、塗料への使用に対して、分散安定性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が1.5μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(質量比)の範囲が有効であり、内包物の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
本発明においては、前記マイクロカプセル顔料をビヒクル中に分散して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により、紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に可逆熱変色層を形成する。
前記可逆熱変色層の厚みは、3〜100μmであることが好ましく、3μm未満では色濃度が低すぎて変色前後のコントラストに乏しくなる。また100μmを越えると印字装置からの熱又は冷熱が可逆熱変色層に均一に伝熱し難くなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
なお、前記感温変色性色彩記憶性組成物、或いは、それを用いた液状組成物には、一般の染料や顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
また、必要に応じて前記支持体と可逆熱変色層の間に密着性を向上させるアンカーコート層や意匠性を付与させる非熱変色性インキによる非変色層を適宜設けることもできる。
前記支持体の形状、大きさは特に限定されるものではないが、平面形状のものが好ましく、カード形態の小さなものから、ディスプレイに用いる大きなものであってもよく、例えば、掲示板、案内板、POP等に用いることもできる。
また、前記支持体には、裏面に粘着層を設けて各種対象物に貼着可能な構成であってもよい。
更に、前記支持体は磁性材による記録体、非接触で情報記録、書き換え、読み取りが可能なICチップ等の記録体を該支持体の表面、裏面、内面に設けた情報記録カードや情報記録タグであってもよい。
前記可逆熱変色層上には、冷熱液状媒体への耐性を有する保護層を設ける。
前記保護層は、冷熱液状体の付着による可逆熱変色層の変色機能の低下を防止すると共に、サーマルヘッド等の加熱体が接触することによる可逆熱変色層の損傷を防止するために設けられる。
前記保護層としては公知の透明性を有する樹脂が用いられるが、耐溶剤性、耐擦過性に優れた架橋性樹脂が好適に用いられる。
前記架橋性樹脂は、樹脂分子中に反応性の官能基を有し、架橋剤と反応、或いは自己重合や自己縮合等の架橋反応により三次元構造を形成可能な樹脂であり、緻密な構造の保護樹脂層を形成できる。
前記架橋性樹脂として具体的には、重合開始剤とアクリル酸エステル系樹脂からなる紫外線硬化型樹脂、イソシアネート系硬化剤とポリオール系樹脂、アミン系硬化剤とエポキシ系樹脂からなる熱硬化型樹脂を挙げることができる。
前記保護層は可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みであることが好ましく、0.2倍未満では加熱体、及び冷熱液状体への耐性を十分に満足させ難く、また、3倍を越えると伝熱性に乏しくなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
更に、冷熱液状体に対して保護層が良好な耐性を満たす基準として、以下の耐性試験方法による耐性指数を用いることができる。
前記耐性試験方法は、白色ポリエステル樹脂基材上に可逆熱変色層、保護層を順次設けた可逆熱変色性記録材を作製し、2cm×4cmの長方形に断裁した後、耐性試験前の可逆熱変色性記録材の明度値(Ma)を色差計(東京電色株式会社製、TC−3600)にて測定する。
次に、前記可逆熱変色性記録材を摩擦試験機(スガ試験機株式会社製、FR−2型)上部の摩擦子に貼着し、500gの荷重(摩擦子を含む)で対象となる冷熱液状体を含浸させた綿布(金巾3号)上で100回の往復摩擦を行う。
この際、綿布には0.02〜0.03g/cmの冷熱液状体を含浸させて試験を行う。また、前記往復摩擦は、摩擦子を冷熱液状体含浸布上で30往復/分の速度にて10cm間の距離を水平往復運動させる。
試験後の可逆熱変色性記録材の明度値(Mb)を試験前と同様の方法で測定し、下記式(2)から耐性指数(M)を算出する。
M=(Ma/Mb)×100 (2)
Ma:耐性試験前の可逆熱変色性記録材の明度値
Mb:耐性試験後の可逆熱変色性記録材の明度値
前記Mb、Maで表される明度値とは無彩色の配列において、完全な黒を0、完全な白を10として、その間を明るさの間隔の差が等間隔になるように分割したマンセル色票系の明度値を示し、明度値が小さい程、黒色に近く、明度値が大きい程、白色に近くなる。
この試験により、例えば、保護層に損傷が生じた場合、可逆熱変色層が物理的に脱落して基材の白色ポリエステル基材が視認されるため明度値(Mb)は高くなり、相対的に耐性指数(M)は低くなる。
また、可逆熱変色層中の可逆熱変色性組成物が冷熱液状体の影響で退色した場合や、保護層自体が冷熱液状体に侵されて白化した場合も同様に明度値Mbは高くなり、相対的に耐性指数(M)は低くなる。
これとは逆に、試験による表面損傷、膨潤等が軽微であり試験前後の明度差が少なければ、対象冷熱液状体への耐性が優れていることとなり、耐性指数(M)は100に近い値となる。
前記耐性指数(M)は80〜100、好ましくは90〜100の値であれば、実用的な耐性を備える。
また、前記保護層には、光安定剤や透明性金属光沢顔料を含有させることによって、可逆熱変色層の耐光性を向上させることもできる。
前記透明性金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナ等を芯物質とし、その表面に酸化チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を被覆した顔料が挙げられる。
更に、前記保護層には必要に応じて各種添加剤を加えて、光沢性、表面滑性、帯電防止性等を付与することもできる。
前記保護層は二層以上の多層構成として相反する性能を付与することができる。
例えば、保護層の最上層は耐擦過性に優れる紫外線硬化型樹脂が望ましいが、耐光性向上の為に光安定剤を該層に添加すると紫外線による硬化が阻害されるため、下層に光安定剤を含む保護層を設ける構成が挙げられる。
また、保護層を二層以上の多層構成とする場合において、保護層の一つとして透明性樹脂フィルムを用いることもできる。
前記透明性樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂からなるフィルムが挙げられるが、樹脂強度の点からポリエステル系樹脂からなるフィルムが好適に用いられる。
前記透明性樹脂フィルムを用いる場合は、可逆熱変色層に形成された像の視認性を妨げず、且つ、液状冷熱体による浸透、膨潤、白化を防ぎ高耐久性を付与できる。
前記可逆熱変色性記録材の外表面には、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、冷熱液状媒体を吸液した状態と吸液しない状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる。
前記多孔質層を設けることにより、冷熱液状媒体を適用した後、付着した冷熱液状媒体が記録材表面に残存しているか否か目視により簡易に確認することができ、残存した状態で使用する不具合、即ち、近接する物品に冷熱液状媒体が付着して該物品の品質を損なったり、加熱体である機器の精度や耐久性を低下させるといった不具合を防止することができる。
前記多孔質層を設ける箇所は特に限定されるものではないが、保護層上、支持体の裏面が挙げられる。
なお、可逆熱変色層を設けていない箇所に多孔質層を設けると、前記可逆熱変色層の発消色による像の形成と消去、像の視認性を妨げることがないため、好適である。
可逆熱変色層を設けていない箇所としては、支持体表面の保護層を設けていない箇所や、保護層上の可逆熱変色層を設けていない箇所が挙げられる。
前記多孔質層について説明する。
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記可逆熱変色性記録材に像を形成するための加熱体としては、サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプ、電熱ヒーター、レーザー光、スチーム等が挙げられ、特にコンピューターを介して精密な記録を行うことのできるサーマルヘッドが好適である。
前記加熱体により形成された像を消去するための冷熱液状体は凝固点、蒸気圧、表面張力の各物性を考慮のうえ、使用環境に適した媒体を選択して使用する。
前記冷熱液状体の凝固点は、前記感温変色性色彩記憶性顔料の完全発色温度tで液状である必要があり、冷熱液状体の凝固点(G)と温度tは下記式(1)を満たすことがより好ましく、像を短時間で消去できる。
G<t−20 (1)
また、前記冷熱液状体は像を消去した後に常温下で速やかに揮発することが好ましく、蒸気圧が水より高い液状体が好適に用いられる。
更に、可逆熱変色性記録材に対する冷熱液状体の浸透性が高いと、保護層と可逆熱変色層に損傷を与え易くなるため、冷熱液状体の表面張力は20mN/m(20℃)以上であることが好ましい。
以下の表に代表的な冷熱液状体とその凝固点、蒸気圧、表面張力を示す。
Figure 2011133275
表に記載された液状体の凝固点、蒸気圧、表面張力から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類が冷却性と乾燥性を共に満足させ本発明の冷熱液状体として好ましい。
また、前記冷熱液状体は一種、又は二種以上を適宜混合して使用することもでき、その際には前記した一価アルコール類を主成分として70質量%以上含有する液状体が好適にある。
更には、エチルアルコールを主成分として含有量が70〜89質量%の範囲で且つ労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則)該当54種の有機溶剤含有量が5%未満である混合成分の液状体が実用性を満たす。
有機則では54種の有機溶剤類について規定され、これらの有機溶剤類を使用する際には法令による作業環境の整備が義務付けられており、取り扱いに様々な制約がある。これに対し、エチルアルコールは前記54種の有機溶剤に分類されず、また、分類されている溶剤種においても含有量が5%以下であれば有機則の規定を受けない。
また、エチルアルコールを90質量%以上含有する冷熱液状体を用いることもできるが、含有量が90%以上になると酒税法が適用されるため、前記混合成分の液状体が好適である。
前記混合成分の液状体として具体的には、エチルアルコール86質量%、メチルアルコール4質量%、n−プロピルアルコール10質量%からなる液状体を例示できる。
なお、前記一価アルコールを70質量%以上含有する液状体においては、低温下の流動性を妨げない範囲で水を添加することもできる。
以下の表にエチルアルコールと水の混合比率、及び低温下における液状体粘度を示す。
表中の比率は質量%、粘度はmPa・sを示す。
Figure 2011133275
表から設定液温状態において概ね20mPa・s以下の粘度となる混合比率が液状体として好適に用いられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
各実施例中における感温変色性色彩記憶性組成物と、それを内包したマイクロカプセル顔料の粒子径、温度変化によるヒステリシス特性について以下に説明する。
尚、以下の配合例中の部は、質量部を示す。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料aの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール4部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン6部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料aを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが57℃、ヒステリシス幅(△H)が67℃であり、温度変化により黒色から無色に変化するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料bの調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール3部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料bを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが58℃、ヒステリシス幅(△H)が60℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変化するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料cの調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール3部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料cを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが60℃、ヒステリシス幅(△H)が64℃であり、温度変化により橙色から無色に変化するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料dの調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール3部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料dを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−15℃、完全消色温度tが62℃、ヒステリシス幅(△H)が60℃であり、温度変化により青緑色から無色に変化するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料eの調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料eを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが60℃、ヒステリシス幅(△H)が62℃であり、温度変化により青色から無色に変化するものであった。
実施例1
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製(図1参照)
支持体2として白色ポリエステル樹脂製フィルム(54mm×86mm、厚み188μm)表面の中央部に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層3(厚み20μm)を設け、更にその上層にアミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層4(厚み20μm)を積層した。
次いで、支持体上の可逆熱変色層及び保護層を設けていない箇所に、青色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層5を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層6を形成して可逆熱変色性記録材1(カード)を得た。
前記可逆熱変色性記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを用いて顧客情報と来店ポイントを印字し、ポイントカードとして実用に供した。
前記ポイントカードは黒色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記ポイントカードは、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が黒色に着色して速やかに印字情報が消去され、多孔質層はエチルアルコールにより透明化して着色層による青色が視認される。多孔質層はエチルアルコールが付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
実施例2
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製(図2参照)
支持体2として白色ポリエステル樹脂製フィルム(54mm×86mm、厚み188μm)表面の中央部に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層3(厚み20μm)を設け、更にその上層にアミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層4(厚み20μm)を積層した。
次いで、保護層上の可逆熱変色層を設けていない箇所に、赤色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層5を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層6を形成して可逆熱変色性記録材1(カード)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して会議室の入退場情報を印字し、会議室管理用カードとして実用に供した。
前記会議室管理用カードは黒色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記会議室管理用カードは、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が黒色に着色して速やかに印字情報が消去され、多孔質層はエチルアルコールにより透明化して着色層による赤色が視認される。多孔質層はエチルアルコールが付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に赤色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
実施例3
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料b25部を、ウレタン樹脂エマルジョン65部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散してピンク色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として裏面に粘着剤が塗工された白色ポリエステル樹脂製フィルム(45mm×45mm、厚み25μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層した。
次いで、支持体上の可逆熱変色層及び保護層を設けていない箇所に、緑色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成して可逆熱変色性記録材(ラベル)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材(ラベル)を、ICチップを封入した白色ポリエステル樹脂からなるICカード(厚み750μm)表面に貼着し、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して診療科と担当医の情報を印字し、診察券として実用に供した。
前記診察券はピンク色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記診察券は、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面がピンク色に着色して速やかに印字情報が消去され、多孔質層はエチルアルコールにより透明化して着色層による緑色が視認される。多孔質層はエチルアルコールが付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に緑色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記診察券の冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.7(Ma=5.46、Mb=5.53)であり、耐久性に優れていた。
実施例4
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料b10部、及び前記マイクロカプセル顔料c30部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して赤色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(85mm×200mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層した。
次いで、保護層上の可逆熱変色層を設けていない箇所に、青色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して工場ライン内の流通情報を印字し、情報表示シートとして実用に供した。
前記情報表示シートは赤色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記情報表示シートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が着色して速やかに印字情報が消去され、多孔質層は冷熱液状媒体により透明化して着色層による青色が視認される。多孔質層は冷熱液状媒体が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料b、cの完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示シートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.3(Ma=5.75、Mb=5.79)であり、耐久性に優れていた。
実施例5
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料d30部、及び非熱変色性黄色顔料5部を、ウレタン樹脂エマルジョン60部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して緑色から黄色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として裏面に粘着剤が塗工された透明ポリエステル樹脂製フィルム(45mm×45mm、厚み16μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み18μm)を設け、その上層に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる紫外線吸収保護層A(厚み8μm)を設けた。
次いで、前記紫外線吸収保護層A上に、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤を介して透明ポリエステル樹脂製フィルムからなる保護層B(厚み20μm)、更にその上層にアミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層C(厚み10μm)を順次積層した。
次いで、支持体上の可逆熱変色層及び保護層を設けていない箇所に、青色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成して可逆熱変色性記録材(ラベル)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材(ラベル)を、ICチップを封入した白色ポリエステル樹脂からなるICカード(厚み750μm)表面に貼着し、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して入場者のアトラクション利用状況を印字し、遊園地のパスポート用ICカードとして実用に供した。
前記カードは緑色の背景に黄色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記パスポートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が緑色になって速やかに印字情報が消去され、多孔質層は冷熱液状媒体により透明化して着色層による青色が視認される。多孔質層は冷熱液状媒体が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記ICカードの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.5(Ma=3.68、Mb=3.70)であり、耐久性に優れていた。
実施例6
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料e20部を、アクリル樹脂エマルジョン70部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して青色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(210mm×297mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み18μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み10μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み10μm)を順次積層した。
次いで、支持体の裏面に、赤色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売される商品名と価格を印字し、POPシートとして実用に供した。
前記POPシートは青色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記情報表示シートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が青色に着色して速やかに印字情報が消去され、多孔質層は冷熱液状媒体により透明化して着色層による赤色が視認される。多孔質層は冷熱液状媒体が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に赤色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示シートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.0(Ma=3.84、Mb=3.92)であり、耐久性に優れていた。
実施例7
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料e30部、非熱変色性蛍光ピンク顔料5部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して紫色からピンク色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(85mm×200mm、厚み125μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み10μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み10μm)を順次積層した。
次いで、保護層上の可逆熱変色層を設けていない箇所に、赤色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材を、ICチップを備えた白色ポリエステルシート(厚み125μm)と貼り合わせた後、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して工場ライン内の流通情報を印字し、情報表示ICシートとして実用に供した。
前記情報表示ICシートは紫色の背景にピンク色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(40℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記情報表示ICシートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層が紫色になって速やかに印字情報が消去され、多孔質層は冷熱液状媒体により透明化して着色層による赤色が視認される。多孔質層は冷熱液状媒体が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に赤色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示ICシートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.9(Ma=3.50、Mb=3.54)であり、耐久性に優れていた。
実施例8
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(96mm×36.5mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂、及び透明性銀色金属光沢顔料からなる紫外線吸収金属光沢保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層した。
次いで、保護層上の一部に赤色のスクリーン印刷用インキを用いて着色層を設け、更に、前記着色層上に湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売する商品名と価格を印字し、棚札として実用に供した。
前記棚札は銀色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持できた。
また、多孔質層は白色を呈しており、乾燥状態であることが確認できた。
前記棚札は、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状媒体中に浸漬すると可逆熱変色層が変色して銀色になり、速やかに印字情報が消去され、多孔質層は冷熱液状媒体により透明化して着色層による赤色が視認される。多孔質層は冷熱液状媒体が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に赤色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状媒体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示ICシートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は97.5(Ma=4.25、Mb=4.36)であり、耐久性に優れていた。
完全発色温度
発色開始
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 可逆熱変色性記録材
2 支持体
3 可逆熱変色層
4 保護層
5 着色層
6 多孔質層

Claims (6)

  1. 加熱体又は冷熱液状体の適用により、相異なる色彩に互変的に変位させることができ、変位した何れかの色彩が択一的に記憶保持される記録材であって、前記記録材は、支持体上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層、冷熱液状媒体への耐性を有する保護層を順次設けてなり、前記マイクロカプセル顔料は、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、第1色相にあって温度が上昇する過程では、温度tに達すると、第1色相は変色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記温度tより低い温度tに達すると、第2色相は変色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に第1色相となり、前記温度tと温度tの間の温度域で第1色相或いは第2色相が保持されるヒステリシス特性を示し、温度tは0℃以下の温度であり、外表面に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、冷熱液状媒体を吸液した状態と吸液しない状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる可逆熱変色性記録材。
  2. 前記支持体上の可逆熱変色層を設けていない箇所に多孔質層を設けてなる請求項1記載の可逆熱変色性記録材。
  3. 前記温度tが50℃以上の温度である請求項1又は2記載の可逆熱変色性記録材。
  4. 色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材。
  5. 前記冷熱液状体の凝固点(G℃)と、温度tは下記式(1)を満たす請求項1乃至4のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材。
    G<t−20 (1)
  6. 前記冷熱液状体が一価アルコールを70質量%以上含有する液状体である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材。
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