JP5254726B2 - 熱変色性筆記具 - Google Patents
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Description
更には、前記熱変色性インキが加熱によって消色するものであり、着色状態の色調が他のインキの色調と異なること、前記各インキの粘度差が5mPa・s以内であることを要件とする。
特に、前記チゼル形状のペン先にあっては、筆記面への当接位置を変えることにより細書き用、太書き用としての使用や、各インキ色の単独筆記が可能であり、更に一定線幅のマーク(複数色を同時に形成された筆跡)を形成できる多用途性を有しているため、多様な熱変色性の筆跡を形成できる利便性に優れた筆記具を構成できる。
前記接続部は、筆記先端部と一体に形成される他、別体で形成したもの(所謂中継部材)を接続して適用することもできる。
また、前記インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を縦方向(長手方向)に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
尚、前記ペン先はインキ収容部やインキ吸蔵体の一端に接続されるのみでなく、両端に適用して両頭式筆記具の形態で用いることもできる。
前記可逆熱変色性組成物のうち、加熱により消色する組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を例示できる。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態が、特定温度域で記憶保持できる可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる最高温度T3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する最高温度T1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記T1とT4間の温度域であり、着色状態と消色状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるT2とT3の間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
具体的には、完全発色温度T1を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−30〜10℃、好ましくは−30〜0℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度T4を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜100℃、好ましくは55〜95℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜80℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、従来公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
尚、前記フェノール性水酸基を有する化合物として、少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上、好ましくは分子量が250乃至500のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、一般式(C6H2R1R2OH)2S(式中、R1は炭素数1乃至8のアルキル基を示し、R2は水素又は炭素数1乃至8のアルキル基を示す。)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物を用いると、消色状態から発色状態に移行する際の変色感度をより鋭敏にすることができる。具体的には、図2に示すように完全消色状態を示す温度(T4)から発色を開始する温度(T2)を経て完全発色温度を示す温度(T1)に達する際の変色挙動において、発色を開始する温度(T2)が高温側にシフトして徐々に発色する挙動を示さず、図1のように発色を開始する温度(T2)と完全発色温度を示す温度(T1)の温度差が小さく、消色状態から発色状態に鋭敏に移行する挙動を示し易くなる。
前記少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェノール)メチル〕−4−メチルフェノール、
4,4′−〔1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン〕ビスフェノール、
4,4′,4″−エチリデントリス〔2−メチルフェノール〕、
4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス[2,3,6−トリフェニルフェノール]、
2,2−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、
2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、
4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
2,4−ビス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェノール)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、
4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、
4,4′−[(3,4−ジ−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、
5,5′−(1−メチルエチリデン)ビス[1−フェニル−2−オール]、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、
4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、
4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、
5,5′−(1,1−シクロヘキシリデン)ビス−[1−ビフェニル−2−オール]等が挙げられる。
前記一般式(C6H2R1R2OH)2Sで示されるフェノール性水酸基を有する化合物としては、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ペンチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘプチル−4−ヒドキシフェニル)スルフィド、ビス(5−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
筆記により形成される可逆熱変色性筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をゴム等の摩擦体による擦過等による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲を満たしていることが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、毛細間隙からの流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を起こし、逆に、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、可逆熱変色性組成物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
5質量%未満では発色濃度が不十分であり、40質量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性能が阻害される。
更に、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料、二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料、光変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が用いられる。
尚、ヒステリシス幅の大きい可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料については比重が概ね1を越えるため、適用する水溶性有機溶剤は1.1を超えるものが好適である。
前記水溶性多糖類としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等が挙げられ、水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられ、なかでも水溶性セルロース誘導体がより有効に機能する。
尚、前記高分子凝集剤は二種以上を併用することもでき、インキ組成物全量に対し、0.05〜20重量%配合することができる。
前記側鎖にカルボキシル基を有する櫛型高分子分散剤としては、側鎖に複数のカルボキシル基を有する櫛型高分子化合物であれば特に限定されるものではないが、側鎖に複数のカルボキシル基を有するアクリル高分子化合物が好適であり、前記化合物として日本ルーブリゾール社製の商品名:ソルスパース43000を例示できる。
これは、マイクロカプセル顔料のゆるい凝集体を側鎖にカルボキシル基を有する櫛型高分子分散剤によって分散させる分散性をより向上させるものである。
前記有機窒素硫黄化合物としては、チアゾール系化合物、イソチアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイソチアゾール系化合物から選ばれる化合物が用いられる。
前記有機窒素硫黄化合物として具体的には、2−(4−チアゾイル)−ベンズイミダゾール(TBZ)、2−(チオシアネートメチルチオ)−1,3−ベンゾチアゾール(TCMTB)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンから選ばれる一種又は二種以上の化合物が用いられ、好ましくは2−(4−チアゾイル)−ベンズイミダゾール(TBZ)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンから選ばれる一種又は二種以上の化合物が用いられる。
前記有機窒素硫黄化合物としては、(株)パーマケム・アジア製、商品名:トップサイド88、同133、同170、同220、同288、同300、同400、同500、同600、同700Z、同800、同950、北興産業(株)製、商品名:ホクスターHP、同E50A、ホクサイドP200、同6500、同7400、同MC、同369、同R−150を例示できる。
尚、前記側鎖にカルボキシル基を有する櫛型高分子分散剤と、有機窒素硫黄化合物の質量比率は1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:5であり、前記範囲を満たすことにより、マイクロカプセル顔料のゆるい凝集体の分散性、及び、振動によるマイクロカプセル顔料の沈降抑制を十分に発現させることができる。
前記水溶性樹脂の添加量としては、インキ中に0.3〜3.0質量%、好ましくは0.5〜1.5質量%の範囲で添加される。
更に、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
前記範囲とすることで、インキの消費に伴ってペン先やインキ吸蔵体内で収容インキが均等に移動するため、常に安定した筆跡を形成することができる。
前記範囲に表面張力を調製することにより、筆記したときのカスレが生じ難く、インキが凍結する0℃未満の温度域で放置したり、高温域、例えば50℃の環境下で放置してもインキ流出性が損なわれることなく、保存環境や使用環境による筆跡濃度や筆記幅にバラツキを生じ難くなる。
特に熱変色性インキにおいては、表面張力が25mN/m未満では、インキの流出性が不安定になり易く、筆跡濃度が不均一になる。また、表面張力が45mN/mを超えると、線割れを生じ易く、しかも、前述した保存環境や使用環境によってインキ流出量が低下して筆跡濃度が低下したり、筆記幅にバラツキを生じ易くなる。
前記加熱手段としては、広い面積を一括消去するのに適したコピー機等の感熱機、電球等の照明具、ヘアドライヤー等が用いられ、更には、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具等の適用が挙げられる。また、簡便な方法で変色可能な手段であることから、擦過部材(摩擦体)が好適に用いられる。
前記擦過部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
なお、消しゴムを使用して筆跡を擦過することもできるが、擦過時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような擦過部材が用いられる。
前記擦過部材の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂、SEBS樹脂等が好適に用いられる。また、前記擦過部材としては、JIS K6253Aにおけるショア硬度Aが55度以上のものがより好適である。
前記擦過部材は筆記具と別体の任意形状の部材であってもよいが、筆記具に固着させることにより、携帯性に優れたものとなる。
前記擦過部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒先端部(筆記先端部を設けていない部分)等が挙げられる。
更に、キャップの一部、或いは軸筒の一部に任意形象の小突部を設けて擦過部材とすることもできる。
また、各インキの粘度は20℃でBL型回転粘度計〔東京計器(株)製〕を用いて30rpmで測定した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aの調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン3.0部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを単離した。
前記マイクロカプセル顔料Aの平均粒子径は2.5μm、完全消色温度は60℃、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により橙色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料A(予め−20℃以下に冷却して橙色に発色させたもの)20.0部、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000〕0.2部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイドR−150、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン25.0部、消泡剤0.02部、水52.78部を混合して可逆熱変色性水性インキ組成物Aを得た。
尚、前記インキ組成物Aの粘度は16.1mPa・sであった。
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン2.0部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを単離した。
前記マイクロカプセル顔料Bの平均粒子径は2.5μm、完全消色温度は55℃であり、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B(予め−20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)20.0部、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000〕0.2部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイドR−150、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン25.0部、消泡剤0.02部、水52.78部を混合して可逆熱変色性水性インキ組成物Bを得た。
尚、前記インキ組成物Bの粘度は18.2mPa・sであった。
(イ)成分として4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン3.0部、(ロ)成分として、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン10.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを単離した。
前記マイクロカプセル顔料Cの平均粒子径は2.5μm、完全消色温度は59℃、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により黄色から無色に変色する。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C(予め−20℃以下に冷却して黄色に発色させたもの)25.0部、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000〕0.2部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイドR−150、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン25.0部、消泡剤0.02部、水47.78部を混合して可逆熱変色性水性インキCを得た。
尚、前記インキ組成物Cの粘度は16.5mPa・sであった。
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを単離した。
前記マイクロカプセル顔料Dの平均粒子径は2.3μm、完全消色温度は58℃であり、完全発色温度は−20℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色する。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料D(予め−20℃以下に冷却してピンク色に発色させたもの)20.0部、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000〕0.2部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイド369〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン25.0部、消泡剤0.02部、水52.78部を混合して可逆熱変色性水性インキDを得た。
尚、前記インキ組成物Dの粘度は20.3mPa・sであった。
前記可逆熱変色性インキD中に青色蛍光顔料(シンロイヒ社製)0.5部を添加して混合することで可逆熱変色性水性インキEを得た。尚、前記インキ組成物Eの粘度は18.0mPa・sであった。
前記インキEは、筆記時には紫色の筆跡が得られ、58℃以上に加温すると青色に変化するものであり、更に−20℃以下に冷却すると元の紫色に戻る。
前記可逆熱変色性インキB中に黄色蛍光顔料(シンロイヒ社製)1.0部を添加して混合することで可逆熱変色性水性インキFを得た。尚、前記インキ組成物Fの粘度は17.1mPa・sであった。
前記インキFは、筆記時には緑色の筆跡が得られ、55℃以上に加温すると黄色に変化するものであり、更に−20℃以下に冷却すると元の緑色に戻る。
熱変色性筆記具の作製(図2参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した円筒状インキ吸蔵体2内に、先に調製した熱変色性インキA(21)及びB(22)を針注入によって縦方向に均等に含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン先3(チゼル型)と接続状態(ペン先接続部分がインキ吸蔵体の円周の略中心に位置する)に組み立てた後、キャップ5を装着することで熱変色性筆記具1(マーキングペン)を得た。尚、前記軸筒後端部にはSEBS樹脂製の摩擦体6が装着されている。また、前記二種類のインキの粘度差は2.1mPa・sである。
前記筆跡は、室温(25℃)で多色又は単色を呈しており、軸筒後端の摩擦体6を用いて摩擦すると、該筆跡は消色して無色となった。この状態は室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の色調に復色した。前記変色挙動は繰り返し再現されるものであった。
熱変色性筆記具の作製(図3及び図4参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した円筒状インキ吸蔵体2内に、先に調製した三種類の熱変色性インキB(21)、C(22)及びD(23)を針注入によって縦方向に均等に含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン先3(砲弾型)と接続状態(ペン先接続部分がインキ吸蔵体の円周の略中心に位置する)に組み立てた後、キャップ5を装着することで熱変色性筆記具1(マーキングペン)を得た。尚、前記軸筒後端部にはSEBS樹脂製の摩擦体6が装着されている。また、前記三種類のインキの粘度差はそれぞれ1.7mPa・s、2.1mPa・s、3.8mPa・sである。
前記筆跡は、室温(25℃)で多色状態を呈しており、軸筒後端の摩擦体6を用いて摩擦すると、該筆跡は消色して無色となった。この状態は室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の色調に復色した。前記変色挙動は繰り返し再現されるものであった。
熱変色性筆記具の作製(図2参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した円筒状インキ吸蔵体2内に、先に調製した熱変色性インキE(21)及びF(22)を針注入によって縦方向に均等に含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン先3(チゼル型)と接続状態(ペン先接続部分がインキ吸蔵体の円周の略中心に位置する)に組み立てた後、キャップ5を装着することで熱変色性筆記具1(マーキングペン)を得た。尚、前記軸筒後端部にはSEBS樹脂製の摩擦体6が装着されている。また、前記二種類のインキの粘度差は0.9mPa・sである。
前記筆跡は、室温(25℃)で前記色調を呈しており、軸筒後端の摩擦体6を用いて摩擦すると、該筆跡(前記太線)は青色と黄色の多色筆跡(境界部分がグラデーションとなる)に変化した。また、細線はそれぞれ青色と黄色の単色筆跡に変化した。この状態は室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の色調に復色した。前記変色挙動は繰り返し再現されるものであった。
熱変色性筆記具の作製(図5参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した円筒状インキ吸蔵体2を2本用いて、各インキ吸蔵体2内に、先に調製した熱変色性インキC(21)とD(22)をそれぞれ針注入によって縦方向に含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容した。更に、下方(接続部)が二股に形成されたポリエステル繊維の樹脂加工ペン先3(チゼル型)を軸筒先端部に装着させ、各インキ吸蔵体2と接続状態に組み立てた後、キャップ5を装着することで熱変色性筆記具1(マーキングペン)を得た。尚、前記軸筒後端部にはシリコーン樹脂製の摩擦体6が装着されている。また、前記二種類のインキの粘度差は3.8mPa・sである。
前記筆跡は、室温(25℃)で多色又は単色を呈しており、軸筒後端の摩擦体6を用いて摩擦すると、該筆跡は消色して無色となった。この状態は室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の色調に復色した。前記変色挙動は繰り返し再現されるものであった。
熱変色性筆記具の作製(図6参照)
ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4と一体に形成されたインキタンク2に、先に調製した熱変色性インキB(21)とC(22)をそれぞれ直接収容した後、下方(接続部)が二股に形成されたポリエステル繊維の樹脂加工ペン先3(チゼル型)を軸筒先端部に装着させ、キャップ5を装着することで熱変色性筆記具1(マーキングペン)を得た。尚、前記軸筒後端部にはシリコーン樹脂製の摩擦体6が装着されている。また、前記二種類のインキの粘度差は1.7mPa・sである。
前記筆跡は、室温(25℃)で多色又は単色を呈しており、軸筒後端の摩擦体6を用いて摩擦すると、該筆跡は消色して無色となった。この状態は室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の色調に復色した。前記変色挙動は繰り返し再現されるものであった。
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 熱変色性筆記具(マーキングペン)
2 インキ収容部(インキ吸蔵体又はインキタンク)
21 インキ1
22 インキ2
23 インキ3
3 ペン先
4 軸筒
5 キャップ
6 擦過部材
Claims (3)
- 軸筒内に収容される一本のインキ吸蔵体の一端又は両端に繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップのいずれかを接続した筆記具であって、前記インキ吸蔵体の縦方向に色の異なる顔料系インキが複数充填されており、前記顔料系インキが水溶性高分子凝集剤により顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキであり、前記インキのうち少なくとも一種が熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた熱変色性インキであることを特徴とする熱変色性筆記具。
- 前記熱変色性インキが加熱によって消色するものであり、着色状態の色調が他のインキの色調と異なることを特徴とする請求項1に記載の熱変色性筆記具。
- 前記各インキの粘度差が5mPa・s以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱変色性筆記具。
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