JP3913826B2 - 感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感温変色性近赤外吸収組成物に関する。さらに詳細には、温度変化により大きなヒステリシス特性を示して発色と消色、或いは有色(1)と有色(2)の可逆的変色を呈することにより、可逆的に近赤外領域の波長を吸収し、しかも前記近赤外吸収機能を特定温度域で記憶保持することができ、同領域に読み取り波長域を有する光学読み取り装置等の高精度な判読を可能とする感温変色性近赤外吸収組成物を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、(イ)電子供与性近赤外吸収性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の三成分を必須成分とする熱可逆性近赤外吸収組成物が開示されている(特公平7−65034号公報)。
前記した従来の熱可逆性近赤外吸収組成物は、温度変化により可逆的に色変化を呈すると共に、前記(イ)電子供与性近赤外吸収性有機化合物による近赤外領域の波長の吸収と非吸収を可逆的に生起するものである。
しかしながら、前記組成物は変色温度を境として、その前後で変色し、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえないため、一方の状態はその状態が発現するのに要する熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する元状態に戻る、所謂、温度−色濃度曲線に関して小さいヒステリシス幅を示して変色する可逆性タイプである。それに伴って、近赤外領域の波長の吸収と非吸収を可逆的に生起することができるものの、前記した波長の吸収と非吸収をコントロールするためには、発熱媒体或いは冷熱媒体の恒久的な適用を余儀なくされ、実用には不向きであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来の熱可逆性近赤外吸収組成物の不具合を解消するものであって、即ち、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と、逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色する、所謂、大きなヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、変色に要した熱又は冷熱の適用を取り去った後にあっても、低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で前記低温側トリガー以下又は高温側トリガー以上で変色させた色彩を互変的に記憶保持できると共に、近赤外領域の吸収と非吸収も互変的に記憶保持することが可能な組成物を提供して、多様な光学的装置への応用展開を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(イ)電子供与性近赤外吸収性有機化合物として下記(1)乃至(7)から選ばれる化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体として、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコール、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトンから選ばれる化合物の、三成分を必須成分とする均質相溶体からなる組成物において、前記組成物は温度−色濃度曲線に関して5℃〜80℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上の各温度域で呈する色調及び吸収波長を前記低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で互変的に記憶保持させる機能を備えた感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物を要件とする。更には、前記組成物をマイクロカプセルに内包してなること、前記(ロ)電子受容性化合物はフェノール性水酸基を有する化合物及びそれらの金属塩、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3−トリアゾール及びその誘導体、炭素数2〜5のハロヒドリン及びその誘導体から選ばれる化合物であることを要件とする。
【0005】
前記(イ)電子供与性近赤外吸収性有機化合物としては、
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
下記一般式(1)で表される化合物
【化1】
(式中、R1は水素又は炭素数1〜4のアルキル、R2は炭素数1〜8のアルキル、R3は水素、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキル、nは0〜4の整数を示す。)
【0013】
前記一般式(1)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
6−(4’−ジメチルアミノ)アニリノフルオラン、
6−(4’−ジエチルアミノ)アニリノフルオラン、
6−(4’−ジ−n−ブチルアミノ)アニリノフルオラン、
2,4−ジメチル−6−〔(4’−ジエチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン 2−クロロ−3−メチル−6−〔(4’−ジエチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0014】
一般式(2)で表される化合物
【化2】
(式中、R1は水素、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキルを示し、R2は水素又は炭素数1〜4のアルキルを示し、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキルを示し、R4は水素、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキルを示し、nは0〜4の整数を示す。)
【0015】
前記一般式(2)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
6−(4’−アニリノフェニルアミノ)フルオラン、
2,4−ジメチル−6−(4’−アニリノフェニルアミノ)フルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−(4’−アニリノフェニルアミノ)フルオラン
【0016】
一般式(3)で表される化合物
【化3】
(式中、R1は水素、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキル示し、R2は水素又は炭素数1〜4のアルキルを示し、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキルを示し、R4は水素、又は炭素数1〜4のアルキルを示し、R5は水素、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキルを示し、nは0〜4の整数を示す。)
【0017】
前記一般式(3)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
6−〔4’−(4''−アニリノフェニルアミノ)フェニルアミノ〕フルオラン 1,3−ジメチル−6−〔4’−(4''−アニリノフェニルアミノ)フェニルアミノ〕フルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−〔4’−(4''−アニリノフェニルアミノ)フェニルアミノ〕フルオラン
【0018】
一般式(4)で表される化合物
【化4】
〔式中、R1はアルキル又はシクロアルキルを示し、R1とR2、及びR10とR11とはそれぞれ結合し、隣接する窒素原子を含む複素環を形成してもよい。a、b、c、dは炭素原子を示し、そのうち1若しくは2個は窒素原子でもよい。R4、R5、R8、R9は水素、アルキル、アルコキシを示し、R6、R7は水素又はアルキルを示し、R13は水素、ハロゲン、アルキル又はアルキルアミノを示す。又、R13が複数の場合は各R13はそれぞれが異なっていてもよい。mは1〜4の整数を示す。〕
【0019】
前記一般式(4)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
ビス−3,3−〔1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕フタリド、
ビス−3,3−〔1−(4−ジエチルアミノフェニル)−1−(4−エトキシフェニル)エチレン−2−イル〕フタリド、
ビス−3,3−〔1−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕フタリド、
ビス−3,3−〔1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
ビス−3,3−〔1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−4−アザフタリド、
ビス−3,3−〔1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−7−アザフタリド、
ビス−3,3−〔1−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−4,7−ジアザフタリド、
【0020】
一般式(5)で表される化合物
【化5】
(式中、環Aは下記の式で表される置換基を示し、
【化6】
R1は水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲンを示し、nは1〜3の整数を示す。
環Bは芳香環を示し、R2、R3はアルキルを示し、R4、R5はアルキル又は置換基を有してもよいフェニル基を示し、R6は水素、アルキル、アルコキシを示す。)
【0021】
前記一般式(5)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−メチルフェニル)エチレン−2−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−フェニルエチレン−2−イル〕−3−(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−n−ブチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−1−フェニルエチレン−2−イル〕−3−(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−フェニルエチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−フェニルエチレン−2−イル〕−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−n−オクチル−2−フェニルインドール−3−イル)−1−フェニルエチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−メチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(2−エトキシ−4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−メチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(2−n−ブトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−フェニルエチレン−2−イル〕−3−(4−N−エチル−N−(4−エトキシフェニル)−アミノフェニル〕フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(2−メチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(3−メチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−クロロフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−メチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)ベンゾ(f)フタリド、
3−〔1−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−1−(4−メチルフェニル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0022】
一般式(6)で表される化合物
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜6のアルキル又はベンジル基を示し、R5は水素又は炭素数1〜6のアルキルを示し、R6、R7はそれぞれ水素、炭素数1〜6のアルキル又は炭素数1〜6のアルコキシを示す。A、Bは炭素又は窒素原子を示すが、少なくとも一方は窒素原子である。)
【0023】
前記一般式(6)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−N−メチル−N−n−プロピルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−N−メチル−N−n−プロピルアミノフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−N−メチル−N−n−プロピルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−N−エチル−N−イソアミルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−N−エチル−N−イソアミルアミノフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−N−エチル−N−イソアミルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
【0024】
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5−アザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−5−アザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5−アザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−5−アザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
【0025】
4,4−ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
【0026】
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−イソプロポキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−イソプロポキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−イソプロポキシフェニル)−5,8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
【0027】
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−2−メチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−2−エチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−2−n−ブチル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−2−n−ヘキシル−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
【0028】
4,4−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジベンジルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジベンジルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4,4−ビス(4−ジベンジルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−8−アザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン、
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−5,8−ジアザ−3,4−ジヒドロフタラジン−1−オン
【0029】
一般式(7)で表される化合物
【化8】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に低級アルキル基を示し、R3は水素或いは低級アルキル基を示し、R4、R5は一緒になって−CH2−CH2−、或いは−CH2−CH2−CH2−を示し、R6はアルキル基を示す。)
【0030】
前記一般式(7)で示される化合物の具体例を以下に例示する。
1−〔α−メトキシ−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)シクロヘキセン、
1−〔α−メトキシ−(4−N,N−ジメチルアミノ)ベンジル〕−3−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)シクロペンテン、
1−〔α−メトキシ−(2−メチル−N,N−ジメチルアミノ)ベンジル〕−3−(2−メチル−4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)シクロペンテン、
1−〔α−メトキシ−(2−メチル−4−N,N−ジメチルアミノ)ベンジル〕−3−(2−メチル−4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)シクロヘキセン
【0030】
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0031】
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、4−(4−(1−メチルエトキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ブチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ペンチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘキシルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘプチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−オクチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
1−フェニル−1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン
【0032】
芳香族カルボン酸、炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸としては、マレイン酸、フール酸、安息香酸、トルイル酸、p−ターシャリーブチル安息香酸、クロル安息香酸、ブロム安息香酸、エトキシ安息香酸、没食子酸、ナフトエ酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等が挙げられる。
【0033】
カルボン酸金属塩としては、モノカルボン酸からポリカルボン酸の金属塩がある。これらの化合物を以下に例示する。
酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、クロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、モノクロル酢酸、モノブロム酢酸、モノフロル酢酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、リンゴ酸、酒石酸、キッコウ酸、マレイン酸、フマール酸、ナフテン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−ターシャリーブチル安息香酸、桂皮酸、クロル安息香酸、ブロム安息香酸、エトキシ安息香酸、マンデル酸、プロトカテキュー酸、バニリン酸、レゾルシン酸、ジオキシ安息香酸、ジオキシクロル安息香酸、没食子酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸、フタル酸、フタル酸モノエチルエステル、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸モノメチルエステル、トリメリット酸、ピロメリット酸のナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属塩。
【0034】
酸性リン酸エステル化合物としては、エステル基としてアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアリキル基、アリール基及びそれらの誘導体が挙げられる。前記酸性リン酸エステル化合物にはモノエステル、ジエステルがあり、又、それらの混合物でもよい。
以下に酸性リン酸エステル化合物を示すが、モノエステルとジエステルの混合物をアシッドホスフェートを呼ぶ。
メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、n−プロピルアシッドホスフェート、n−ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、n−オクチルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、n−ウンデシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ミリスチルアシッドホスフェート、セチルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、ドコシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、2−クロロエチルアシッドホスフェート、2・3−ジブロモ−2・3−ジクロロプロピルアシッドホスフェート、ジクロロプロピルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、O−トリルアシッドホスフェート、2・3−キシリルアシッドホスフェート、P−クメニルアシッドホスフェート、1−ナフチルアシッドホスフェート、2−ナフチルアシッドホスフェート、1−アントリルアシッドホスフェート、ベンジルアシッドホスフェート、フェネチルアシッドホスフェート、スチリルアシッドホスフェート、シンナミルアシッドホスフェート、トリチルアシッドホスフェート、フェニルメチルホスフェート、フェニルエチルホスフェート、フェニルn−プロピルホスフェート、フェニルn−ブチルホスフェート、フェニルn−オクチルホスフェート、フェニルラウリルホスフェート、フェニルシクロヘキシルホスフェート、フェニル(2・3−キシリル)ホスフェート、シクロヘキシルステアリルホスフェート、シクロヘキシルセチルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジn−プロピルホスフェート、ジn−ブチルホスフェート、ジn−ヘキシルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジn−デシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジセチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジベヘニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジシクロヘキシルホスフェート、ジo−トリルホスフェート、ビス(ジフェニルメチル)ホスフェート、ビス(トリフェニルメチル)ホスフェート、ジ(2・3−キシリル)ホスフェート、ジベンジルホスフェート、ジ(1−ナフチル)ホスフェート
【0035】
前記酸性リン酸エステルの金属塩としては、前記した化合物のナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属塩が挙げられる。
【0036】
1、2、3−トリアゾール及びその誘導体しては、1,2,3トリアゾール、4(5)−ヒドロキシ−1,2,3トリアゾール、5(6)−メチル−1,2,3ベンゾトリアゾール、5−クロロ−1,2,3ベンゾトリアゾール、7−ニトロ−1,2,3ベンゾトリアゾール、4−ベンゾイルアミノ−1,2,3ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシ−1,2,3ベンゾトリアゾール、ナフト−1,2,3トリアゾール、5,5−ビス(1,2,3ベンゾトリアゾール)、1,2,3ベンゾトリアゾール−4−スルフォオクチルアミド等が挙げられる。
【0037】
炭素数2〜5のハロヒドリン及び下記一般式(8)、(9)で示されるハロヒドリンの誘導体を以下に例示する。
【化9】
【化10】
〔ここで、( )内はハロヒドリン残基であり、Xは−NR−又は−NRCONR−を示し、nは0又は1を示し、Rは水素又は低級アルキル基を示し、Yは
【化11】
を示し、Zは
【化12】
、−R’又は−NR’2を示し、R’は低級アルキル基を示す。〕
【0038】
2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,2−トリブロモエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1−トリブロモ−2−メチル−2−プロパノール、4,4,4−トリブロモブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、2,2−ビス(ブロモメチル)−3−ブロモ−1−プロパノール、2,2−ビス(クロロメチル)−3−クロロ−1−プロパノール、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(クロロメチル)−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(フルオロメチル)−1,3−プロパンジオール、N−フェニル−N’−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリクロロエチル)チオ尿素、N−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリクロロエチル)−チオベンズアミド、N−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリブロモエチル)−チオアセトアミド、3−(N−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリクロロエチル)アミノピリジン、4−(2’−ヒドロキシ−3’,3’,3’−トリクロロプロピル)ピリジン、2−(1’−ヒドロキシ−2’,2’,2’−トリクロロエチル)フラン、N−3−ピリジル−N’−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリクロロエチル)尿素。
【0039】
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類が挙げられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが用いられ、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0040】
エステル類としては、先に本出願人が提案した、特公平4−17154号公報に開示した、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等、更には特開平7−33997号公報に開示されている、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物、例えば、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
【0041】
ケトン類としては、特開平7−179777号公報に開示されている総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類、例えば、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等、更には、特開平8−39936号公報に開示されている総炭素数が12乃至24のフェニルアルキルケトン類等のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4’−n−ドデカノアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4’−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4’−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4’−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4’−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4’−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4’−n−ヘキシルアセトフェノン、4’−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタノフェノン、4’−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4’−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0042】
前記した(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を均質相溶体とすることにより本発明の感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物を得ることができる。
又、前記(イ)、(ロ)、(ハ)三成分の構成成分割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
【0043】
以下に感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を図1のグラフについて説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全呈色状態を保持できる最高温度T3(以下、最高保持温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T2(以下、最低保持温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全呈色状態に達する最高温度T1(以下、完全呈色温度と称す)における濃度を示す点である。温度TAにおいては呈色状態E点と消色状態F点の2相が共存する状態にある。この温度TAを含む、呈色状態と消色状態が共存できる温度域が変色の保持可能な温度域であり、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。本発明者らの実験では実用上の変色前後の各状態の保持できるΔH値は5℃乃至80℃の範囲である。
又、前記において、呈色状態と消色状態の二相が実質的に保持され、実用に供される温度、即ち、TAを含むT3とT2の間の温度幅は2℃以上80℃未満の範囲が有効である。
【0044】
前記した(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を必須成分とする均質相溶体は、公知の微小カプセル化技術により微小カプセルに内包され、カプセル膜壁で保護されることが好ましく、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できる。
利用できる微小カプセル化技術としては、界面重合法、in Situ 重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。尚、微小カプセルの表面は、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0045】
前記感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物或いはそれを内包したマイクロカプセル顔料は、膜形成材料であるバインダーを含む媒体中に分散されて、インキ、塗料などの色材として適用することができる。
【0046】
又、感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物の光劣化を防止するために光安定剤を0.3〜24重量%、好ましくは0.8〜16重量%の割合で含有することができる。
前記光安定剤としては、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する紫外線吸収剤、酸化防止剤や、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等の一重項酸素消光剤、オキシドジスムスターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等のスーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等の酸化反応を抑制する化合物を挙げることができる。
【0047】
前記した感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物或いはそれを内包したマイクロカプセル顔料を適用したインキは、筆記具用インキに適用したり、支持体上に従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により可逆熱変色層を形成することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
表1に実施例1〜12の組成を示す。
尚、表中の( )内の数字は重量%を示す。
【表1】
表2に前記実施例1〜12の組成物の発色時の極大吸収波長(nm)と色調、温度−色濃度曲線における各温度(℃)、消色時の極大吸収波長(nm)と色調、発色時の吸光度のうち、80%以上の吸光度を有する波長領域(nm)を示す。
【表2】
尚、実施例中の組成物は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分をそれぞれの組成割合(重量%)で混合し、均質な相溶体とすることにより得られる。
【0049】
実施例13
実施例4の(イ)、(ロ)、(ハ)成分とエポキシ樹脂を加温溶解した溶液を水性保護コロイド媒体中にホモミキサーを用いて乳化分散し、アミン系の硬化剤を用いて界面重合法により80℃で12時間攪拌してマイクロカプセル化を行い、粒子径10μmの感温変色性色彩記憶性近赤外吸収性マイクロカプセル顔料を得た。
【0050】
前記の如くして得た感温変色性色彩記憶性近赤外吸収性マイクロカプセル顔料は、実施例4と同様の発色時の極大吸収波長と色調、温度−色濃度曲線における各温度、消色時の極大吸収波長と色調、発色時の吸光度のうち80%以上の吸光度を有する波長領域を示した。
【0051】
応用例1
厚さ0.3mmの白色合成紙上に実施例13のマイクロカプセル顔料を含むインキを180メッシュスクリーン版にて印刷し、40℃オーブン中で乾燥させた。
得られた熱変色性積層体は約18℃以下では黒色を呈し、34℃以上では白色を示した。又、18℃以下に冷却した状態の積層体は34℃未満の温度域で黒色を呈し、34℃以上に加温した積層体は18℃を越える温度域で白色を呈するため、18℃から34℃の温度域では黒色と白色の両状態を呈することができる。
【0052】
次に、830nmに発信波長を有する光学的読取装置を用いて、受光部側の反応を調べた。
前記積層体を34℃以上に加温した状態における吸収波長と、18℃以下に冷却した状態における吸収波長は異なり、25℃の室温下では異なる色調と異なる吸収波長を示す両状態の積層体が得られた。
よって、34℃以上に加温する手段及び18℃以下に冷却する手段を内蔵した装置を用いることにより、18〜34℃の温度範囲において、可視状態の像と不可視状態を検出する形状認識装置と、両状態における吸収波長を測定する光学的読取装置を併用して高度な偽造防止手段を提供できる。
【0053】
応用例2
厚さ0.1mmの白色フィルム上に、着色剤としてイエロー、シアン、マゼンタ色を混合した黒色インキにより円形像Aを印刷した。
尚、前記イエロー、シアン、マゼンタ色を混合した黒色インキは、それぞれの着色剤に特有の吸収波長領域を有するものの、その吸収波長領域は凡そ750nm以下である。
前記円形像Aの右側に、着色剤としてカーボンブラックを用いた黒色インキにより円形像Bを印刷した。
尚、前記カーボンブラックは850nm以下及び以上の波長領域においてもほぼ同等の吸収波長を有する。
前記円形像Bの右側に、(イ)成分として2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン1部、(ロ)成分として2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン5部、(ハ)成分としてステアリン酸n−ヘプチル50部を混合して均質な相溶体とした後、実施例13と同様の方法によりマイクロカプセル化した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を用いたインキにより円形像Cを印刷した。
尚、前記可逆熱変色性イクロカプセル顔料の吸収波長は450nmと590nmにピークを有し、80%以上の吸光度を有する波長領域は400〜630nmである。
前記円形像Cの右側に、実施例13のマイクロカプセル顔料を含むインキを用いた円形像Dを印刷した。
【0054】
前記印刷物は、円形像A及びBは温度変化により色変化を呈さないが、18℃以下に冷却した印刷物は、34℃以下の温度で円形像C及びDも黒色を呈する。
前記全ての像が黒色を呈した状態の印刷物に、850nmに発信波長を有する光学的読取装置を用いて、受光部側の反応を調べた。尚、前記光学的読取装置は850nmの吸収波長が多い場合と、850nmの吸収波長が無い或いは極めて少ない場合によって、異なる音を発する音声発生手段を設けてなる。
前記円形像A、B、C、Dに前記光学的読取装置の読み取り部分を近づけると、円形像AとDは同等の音を発する。又、円形像BとCも同等の音を発するが、円形像AとDに読み取り部分を近づけた時とは音が異なる。
言い換えれば、円形像AとBでは異なる音を発し、又、円形像CとDでは異なる音を発する。
【0055】
前記印刷物を34℃以上に加温すると、18℃以上の温度域で前記円形像C及びDは無色を示す。
この状態において前記光学的読取装置の読み取り部分を近づけると、色変化を呈さない円形像A及びBにおいては前記と同様に異なる音を発するが、無色を示す円形像CとDでは同様の音を発する。
【0056】
従って、円形像A及びBは色変化を示すことがなく、しかも、光学的読取装置が読み取る情報は、一定の吸収波長に依存するため変化性に乏しい。よって、偽造防止には適用し難く、又、玩具分野等に適用しても面白みに欠ける。
一方、円形像CとDは特定温度により色変化を呈し、しかもその色調を記憶保持できるため、玩具分野等への適用性を有するが、特に本発明の円形像Cは、円形像Dでは成し得ない色変化前後の赤外乃至近赤外線光学的読取装置による異なった吸収波長の識別を可能とし、前記した色変化と組み合わせることによって精度の高い偽造防止や、より複雑且つ趣向性の高い玩具等に適用できる。
【0057】
応用例3
厚さ0.2mmの白色合成紙上に、極大吸収波長が700nmであり、80%以上の吸光度を有する波長領域が600〜800nmの顔料を含む非熱変色性インキにて2種類の車の像を併設して印刷した。
【0058】
一方の車の像上に、実施例13のマイクロカプセル顔料を含むインキ用いて飛行機の像を印刷した。
得られた熱変色性積層体は約18℃以下に冷却すると、車と飛行機の像が視覚され、34℃以上では2種類の車の像が視覚された。又、18℃以下に冷却した状態の積層体は34℃未満の温度域で車と飛行機の像を視覚でき、34℃以上に加温した積層体は18℃を越える温度域で2種類の車の像が視覚できるため、18℃から34℃の温度域では異なる像を視覚することができる。
【0059】
次に、830nmに発信波長を有する光学的読取装置を用いて、受光部側の反応を調べた。尚、前記光学的読取装置は、830nmの吸収波長の多少により異なる音を発する音声発生手段を設けてなる。
前記積層体を18℃以下に冷却した後、25℃の室温下で使用すると、車の像と飛行機の像が視覚され、前記光学的読取装置の読み取り部分を車の像と飛行機の像に近づけると異なる音を発する。よって、前記像が異なる種類の乗物であることがわかる。又、前記飛行機の像を手で温めると消色して不可視状態となり、下層の車の像が視覚される。
この状態で前記光学的読取装置の読み取り部分を2種類の車の像に近づけると同一の音を発するため、前記像が同じ種類の乗物であることがわかる。
従って、前記の如き熱変色性積層体と光学的読取装置を組み合わせることにより、各種玩具及び知育玩具に適用できる。
【0060】
応用例4
実施例6の(イ)、(ロ)、(ハ)成分とエポキシ樹脂を加温溶解した溶液を水性保護コロイド媒体中にホモミキサーを用いて乳化分散し、アミン系の硬化剤を用いて界面重合法により80℃で12時間攪拌してマイクロカプセル化を行い、粒子径3μmの感温変色性色彩記憶性近赤外吸収性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料を着色剤として用いて、剪断減粘性筆記具用水性インキを調製した。
【0061】
前記剪断減粘性筆記具用水性インキを、筆記先端部にボールを抱持するチップを嵌合したインキ収容管内に充填し、さらに前記インキの後端にインキ逆流防止体組成物を充填してボールペンを得た。
【0062】
尚、前記チップと称される筆記先端部の構造は、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップを適用したが、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用することもできる。
又、前記ボールは、超硬合金製0.5mmのボールを用いたが、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の0.3〜1.2mm径程度のものを適用することもできる。
【0063】
又、前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結することもできる。
前記インキ収容管は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、インキ収容管として軸筒を用いて、前記軸筒内に直接インキを収容することもできる。
【0064】
更に、前記筆記具の形態としては、ボールペンに限らず、筆記先端部にプラスチックペン体或いは繊維ペン体を用いたマーキングペン、筆ペン、万年筆等の形態であってもよく、又、調製するインキも剪断減粘性筆記具用水性インキに限らず、低粘度水性インキ、高粘度乃至中粘度油性インキ、剪断減粘性油性インキ等を調製して用いることもできる。
【0065】
前記の如くして得たボールペンを用いて、紙面上に描いた図柄は、34℃以上に加温すると消色して、10℃以上の温度域で前記図柄は無色となり視覚されない。
又、10℃以下に冷却すると黒色の図柄が発現して、34℃以下の温度域でこの状態を保持する。
前記無色を示す図柄の部分と、黒色の図柄の部分に応用例1〜3で用いた光学的読取装置の読み取り部分を近づけると、それぞれ異なる音を発する。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、(イ)電子供与性近赤外吸収性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の三成分を均質相溶体とすることにより、温度−色濃度曲線において温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と、逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色するため、熱又は冷熱の適用を取り去った後にあっても、色彩を互変的に記憶保持できると共に、近赤外領域の吸収度も互変的に記憶保持することができるため、ゲーム等の玩具分野、絵本等の知育分野、クレジットカード、プリペイドカード、金券、商品券、公的証書、株券、紙幣、入場券、ライセンス用認識ラベルなどにおける変造、偽造等を防止するための手段等、多用な展開を図ることができる感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【符号の説明】
T1 完全消色温度
T2 消色開始温度
T3 着色開始温度
T4 完全着色温度
TH 消色過程における色濃度の中点の温度
TG 発色過程における色濃度の中点の温度
ΔH ヒステリシス幅(TH−TG)
Claims (3)
- (イ)電子供与性近赤外吸収性有機化合物として下記(1)乃至(7)から選ばれる化合物、
環Bは芳香環を示し、R 2 、R 3 はアルキルを示し、R 4 、R 5 はアルキル又は置換基を有してもよいフェニル基を示し、R 6 は水素、アルキル、アルコキシを示す。)
(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体として、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコール、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトンから選ばれる化合物の、三成分を必須成分とする均質相溶体からなる組成物において、前記組成物は温度−色濃度曲線に関して5℃〜80℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上の各温度域で呈する色調及び吸収波長を前記低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で互変的に記憶保持させる機能を備えた感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物。 - マイクロカプセルに内包してなる請求項1の感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物。
- 前記(ロ)電子受容性化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物及びそれらの金属塩、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3−トリアゾール及びその誘導体、炭素数2〜5のハロヒドリン及びその誘導体から選ばれる化合物である請求項1又は2の感温変色性色彩記憶性近赤外吸収組成物。
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