JP3694795B2 - 熱変色性プロセス印刷物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明可逆熱変色性プロセス印刷物に関する。更に詳細には、着色時には高発色濃度の鮮明な色調を呈し、消色時には残色を視覚させない可逆熱変色性プロセス印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体を必須成分とする熱変色性着色剤を用いた熱変色性プロセス印刷物に関して幾つかの提案が開示されている(実開昭53−140506号公報、特開昭55−63293号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プロセス印刷物として発色濃度が不十分であり、明るさにも欠けており、更には消色時の色残りもあり、実用性を満足させていなかった。
前記した不具合の主原因は、黄色の発色濃度、鮮明性、明るさが不十分であり、更には消色時の色残りによるものである。
本発明者らは、前記した黄色の熱変色性顔料の不具合を解消するため、鋭意研究を行ない、電子供与性呈色性有機化合物としてピリジン系、キナゾリン系、及びビスキナゾリン系化合物から選ばれる化合物の適用が有効なことを見出し、更に前記黄色と熱変色性能がバランスよく組み合わされるマゼンタ、シアン、墨色の各色に関して検討を加え、高発色濃度且つ明るさに富む色調を呈し、消色時には、色残りがない可逆熱変色性プロセス印刷物を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である化合物の3成分を必須成分とする相溶体を内包した、黄、マゼンタ、シアン、墨の各微小カプセル顔料をそれぞれ印刷インキビヒクル中に分散した熱変色性印刷インキを色分解した版によって重ね印刷してなり、前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物が、黄色ではピリジン系、キナゾリン系及びビスキナゾリン系化合物から選ばれる化合物であり、マゼンタ色ではベンゾフルオラン系及びインドリルフタリド系化合物から選ばれる化合物であり、シアン色ではインドリルフェニルフタリド系及びインドリルフェニルアザフタリド系化合物から選ばれる化合物であり、墨色ではフルオラン系化合物から選ばれる化合物であることを特徴とする可逆熱変色性プロセス印刷物を要件とする。
更には、前記黄、マゼンタ、シアン、墨色の各微小カプセル顔料のうち、少なくとも一色は他色と異なる変色温度を示す微小カプセル顔料からなること、更には、(ロ)成分がフェノール性水酸基を有する化合物、及びそれらの金属塩から選ばれる化合物であり、(ハ)成分がアルコール類、エステル類、ケトン類、及びエーテル類から選ばれる化合物であること、更には、前記黄色の微小カプセル顔料の(イ)成分が、ピリジン系化合物から選ばれる化合物であること、更には、色濃度−温度曲線に関し、8℃乃至30℃のヒステリシス幅、或いは、0.5℃乃至2.0℃のヒステリシス幅を示して変色する可逆熱変色性プロセスを要件とする。
【0005】
以下に前記各成分について具体的に説明する。
前記黄色の(イ)成分であるピリジン系化合物として、
4−(4’−メチルベンジルアミノフェニル)−ピリジン、
2,6−ジフェニル−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ジフェニル−4−(4’−フェニル、メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−プロピルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ペンチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘプチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−プロピルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ペンチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘプチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−N−フェニル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−N−フェニル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−N−フェニル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−N−フェニル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−N−フェニル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−N−クロロエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−N−クロロエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−N−クロロエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−N−クロロエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−N−クロロエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−N−エトキシエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−N−エトキシエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−N−エトキシエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−N−エトキシエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−N−エトキシエチル、N−メチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−ジブチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジブチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−ジブチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−ジブチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−ジブチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−メチルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−プロピルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ペンチルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘキシルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ヘプチルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−オクチルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(2’−ノニルオキシフェニル)−4−(4’−N−イソブチル−N−エチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ビス(4’−メトキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,6−ジメチル−3,5−ビスカルボエトキシ−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2−(2’−オクトキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−6−フェニル−ピリジン
2,6−ジエトキシ−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−フェニル−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メチルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
2,4,6−トリス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(2−クロロ−4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(3−ニトロフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシカルボニルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(2−チエニル)−ピリジン
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(2−フリル)−ピリジン
4−(2−クロロ−4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(2−チエニル)−ピリジン
4−〔4−(1−ピペリジニル)フェニル〕−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−モルホリノフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(9−ジュロリジニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メチルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−モルホリノフェニル)−ピリジン
4−(4−フルオロフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−オクトキシフェニル、メチルアミノ)−2,6−ジフェニルピリジン
4−(4−クロロフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ニトロフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−〔4−(2−シアノエチル)、メチルアミノフェニル〕−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(2,5−ジメトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ジエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ビフェニルイル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ピロリジニルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−イソインドリニルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(2−メチル−4−ピロリジニルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−フェニル−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メチルフェニル)−2,6−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ピペリジニルフェニル)−ピリジン
4−〔2,4−ビス(ジメチルアミノ)フェニル〕−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(2−エトキシカルボニル−4−ジエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ベンジル、エチルアミノフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
4−〔4−(2−シアノエチル)、ベンジルアミノフェニル〕−2,6−ジフェニルピリジン
4−(4−ジベンジルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(4−クロロフェニル)−ピリジン
4−(2−メチル−4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
4−(2−エチル−4−ジメチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
4−〔4−(2−シアノエチル)、メチルアミノフェニル〕−2,6−ジフェニルピリジン
4−(4−メチル、フェニルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
4−(4−クロロエチル、メチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
4−(4−エトキシエチル、メチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルピリジン
等が好適に用いられる。
【0006】
前記黄色の(イ)成分のキナゾリン系化合物として、
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(4’−フェニルメチルアミノフェニル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(4’−ピペリジノフェニル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−(4’’−クロロフェニルオキシ)−キナゾリン
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−(4’’−メトキシフェニルオキシ)−キナゾリン
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−(フェニルメチルアミノ)−キナゾリン
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−モルホリノ−キナゾリン
2−(1’−エチル−2’,2’,4’−トリメチル−テトラヒドロキノリン−6’−イル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(1’−エチル−2’,2’,4’−トリメチル−テトラヒドロキノリン−6’−イル)−4−メトキシ−キナゾリン
2−(1’,2’,2’,4’−テトラメチルヒドロキノリン−6’−イル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(1’−エチル−2’−メチルヒドロキノリン−6’−イル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(1’,3’−ジメチルインドリン−5’−イル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(3’,4’−ジメチルベンゾモルホリン−7’−イル)−4−フェノキシ−キナゾリン
2−(4’−ジエチルアミノフェニル)−4−(2’’−フェノキシエチルオキシ)−キナゾリン
2−(4’−ジエチルアミノフェニル)−4−(2’’−フェニルエチルアミノエチルオキシ)−キナゾリン
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−(2’’−モルホリノエチルオキシ)−キナゾリン
2−(4’−ジベンジルアミノフェニル)−4−(2’’−フェノキシエチルオキシ)−キナゾリン
2−(4’−ジエチルアミノフェニル)−4−(2’’−フェノキシエチルチオ)−キナゾリン
2−(4’−ジエチルアミノフェニル)−4−〔2’’−(1−ナフトキシ)エチルオキシ〕−キナゾリン
2−(3’,4’−ジメチルベンゾモルホリン−7’−イル)−(2’’−フェノキシエチルオキシ)−キナゾリン
等が好適に用いられる。
【0007】
前記黄色の(イ)成分のビスキナゾリン系化合物として、
4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−〔プロピレンジオキシ(1,3)〕−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−〔ブチレンジオキシ(1,3)〕−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−〔ブチレンジオキシ(1,4)〕−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−(オキシジエチレン)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−エチレン−ビス〔2−(4−ピペリジノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−エチレン−ビス〔2−(4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)キナゾリン〕
4,4’−シクロヘキシレン−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等が好適に用いられる。
【0008】
マゼンタ色の(イ)成分であるベンゾフルオラン系化合物としては、
6−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−ジエチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−ジ−n−プロピルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−ジ−n−ブチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−ジ−n−ヘキシルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−N−イソブチル−N−エチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−N−イソアミル−N−エチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン
6−ジメチルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−ジエチルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−ジ−n−プロピルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−ジ−n−ブチルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−ジ−n−ヘキシルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−N−イソブチル−N−エチルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−N−イソアミル−N−エチルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
6−N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ−3,4−ベンゾフルオラン
等が挙げられる。
【0009】
マゼンタ色の(イ)成分であるインドリルフタリド系化合物としては、
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−イソブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−プロピル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−イソブチル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−ペンチル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−ヘキシル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3,3−ビス(1−n−オクチル−2−エチルインドール−3−イル)フタリド
3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール)フタリド
3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール)フタリド
等が挙げられる。
【0010】
シアン色の(イ)成分であるインドリルフェニルフタリド系化合物としては、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
1−メチル−2,3,4−トリスヒドロキノリン−6−イル−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
1−メチル−2,3,4−トリスヒドロキノリン−6−イル−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
等が挙げられる。
【0011】
シアン色のインドリルフェニルアザフタリド系化合物としては、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−N−n−ブチル−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド
等が挙げられる。
【0012】
墨色の(イ)成分であるフルオラン系化合物としては、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジメチルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−プロピルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−4’−メチルフェニルアミノ−フルオラン
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−ジエチルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−N−エチル−N−イソブチルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−N−エチル−N−4’−メチルフェニルアミノ−フルオラン
2−2’−クロロアニリノ−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−4’−メチルフェニルアミノ−フルオラン
2−2’,4’−ジメチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−4’−メチルフェニルアミノ−フルオラン
2−4’−メチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−フルオラン
2−4’−n−ブチルアニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノ−フルオラン
2−4’−n−ブチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノ−フルオラン
2−4’−n−ブチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
2−4’−n−ブチルアニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ−フルオラン
2−3’−トリフルオロメチルアニリノ−6−ジエチルアミノ−フルオラン
2−3’−トリフルオロメチルアニリノ−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン
2−3’−トリフルオロメチルアニリノ−6−N−エチル−N−イソブチルアミノ−フルオラン
2−3’−トリフルオロメチルアニリノ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン
等が挙げられる。
【0013】
前記成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0014】
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
1−フェニル−1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、それらの金属塩や、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0015】
前記(ハ)成分のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類について説明する。前記各化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル系外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために、炭素数10以上の化合物が有効である。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0016】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が例示できる。
【0017】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が例示できる。
【0018】
前記エステル類のうち、本出願人が先に提案した特公平1−2398号公報に開示されている如き、ΔT値(融点−曇点)が3℃以下のエステル類を用いることにより、色濃度−温度曲線に関して、小さなヒステリシス特性(ヒステリシス幅、0.5〜2.0℃)を示し、高感度に応答する熱変色特性を発現させることができる。
【0019】
ΔTの幅が3℃以下のエステル類としては、芳香族及び脂肪族カルボン酸のアルキルエステル、アリールエステル、アリールアルキルエステル、脂環アルキルエステル、分枝アルキルエステル、及びそれらの置換誘導体が挙げられるが、それらを以下に例示する。
パルミチン酸n−ブチル、ステアリン酸n−ブチル、ベヘン酸n−ブチル、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルエキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ミリスチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸n−ブチル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸セチル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、ステアリン酸ラウリル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル、酪酸セチル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、ステアリン酸n−ヘキシル、アラキン酸n−ブチル等が挙げられる。
【0020】
更には、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から高温側へ変化させる場合とで異なり、両曲線を合体するとループ状を示す)を示して変色する、温度変化に依存して色彩記憶性熱変色性を与えるためには、先に本出願人が提案した、特公平4−17154号公報に開示した、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0021】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシルが挙げられる。
【0022】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が例示できる。
【0023】
前記ヒステリシス特性を与えるエステル化合物、脂肪族ケトン類に対して、ヒステリシス特性を大きく変動しない範囲で他のエステル類、アルコール類、カルボン酸類、ケトン類、アミド類等を加えることができる(この場合、その添加量は本発明のエステル100に対して20以下(重量部)が所期の色彩記憶性効果を有効に発現させる上で好ましい)。
【0024】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が例示できる。
【0025】
前記した(イ)、(ロ)、(ハ)の必須三成分の組成物の均質相溶体は、公知の微小カプセル化技術により微小カプセルに内包される。微小粒子化(0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm)により、非微粒子状態に比べてΔH値の大きい特性を付与できるし、カプセル膜壁で保護されていることにより、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できる。
利用できる微小カプセル化技術としては、界面重合法、in Situ 重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。尚、微小カプセルの表面は、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記した熱変色性微小カプセル顔料は、従来より公知の印刷インキビヒクル、例えば、蒸発乾燥型(樹脂/溶剤)、ゲル化乾燥型(エマルジョン)、冷却固化型(ワックス型)、酸化重合型、熱硬化型、紫外線硬化型等の各バインダーを含むビヒクルが適用される。この際、バインダー中における該カプセル顔料は、0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、含有させることができる。
0.5重量%未満の配合量では鮮明な熱変色効果を視覚させ難いし、40重量%、を越えると過剰であり、消色状態にあって残色が残る。
凹版、凸版、平版、孔版等の従来公知の各種印刷手段により所望の可逆熱変色性プロセス印刷物を得る。
尚、前記印刷物の表面には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる一種又は二種以上の薬剤をバインダー樹脂中に適宜量分散させた光安定剤層を設けたり、更にはトップコート層としてバインダー中に蛍光増白性の染料、顔料を分散させた層を形成し、消色時の白色度を高めることができる。
【0026】
【作用】
本発明の黄色の微小カプセル顔料を構成する(イ)ピリジン系、キナゾリン系、及びビスキナゾリン系化合物から選ばれる電子供与性呈色性有機化合物は、(ロ)前記電子供与性呈色性有機化合物に対して電子受容性である化合物との電子の授受反応により色濃度の発色成分として、(ハ)成分は前記電子の授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる変色温度調節剤として効果的に作用し、発色時には強い蛍光性のある非常に明るい、高発色濃度の、鮮明な色相を与え、消色時には無色となり、残色がない熱変色特性を与える。特に、ピリジン系化合物はプロセス印刷に適した、赤色を全く含まない高発色濃度の鮮明な蛍光性を有した色調を与え、しかも消色時には無色となり、残色がない優れた熱変色特性を与える。前記した特性は従来のアルコキシフルオラン系、ビス(ジアルキルアミノフェニル)ケトン系、ジケトピリジン系、スチリルキノン系等の黄色系化合物を(イ)成分として適用した系では奏しえない。
又、マゼンタ色を構成する(イ)成分であるベンゾフルオラン系及びインドリルフタリド系化合物、シアン色を構成する(イ)成分であるインドリルフェニルフタリド系及びインドリルフェニルアザフタリド系化合物、墨色を構成する(イ)成分であるフルオラン系化合物は、いずれも各色(ロ)、(ハ)成分と効果的に作用し、高発色濃度の鮮明な色相を与え、消色時には無色となり、残色がない熱変色特性を与える。
前記各色の組み合わせによるバランスもよく、可逆熱変色性プロセス印刷物として有効に機能する。
前記四色のうち、少なくとも一色の変色温度を他色と異なる組み合わせに構成した系では、温度変化に応じた特異な様相を視覚させる。
(ハ)成分として特定のエステル化合物或いは、特定の脂肪族カルボン酸を適用することにより色濃度−温度曲線に関して、大きなヒステリシス特性を示して変色し、色彩記憶性熱変色特性を発現させるプロセス印刷物を与える。更に(ハ)成分として特定のエステル化合物を適用することにより、色濃度、温度曲線に関して、小さなヒステリシス特性を示して変色し、わずかの温度変化で印刷像が現出したり消えたりするプロセス印刷物を与える。
【0027】
【実施例】
実施例1
熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(a)の調製
2’6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 10部、ステアリン酸ネオペンチル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液 100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(a)が得られた。
【0028】
熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(b)
6−ジ−n−ブチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 6部、ステアリン酸ネオペンチル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(b)が得られた。
【0029】
変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(c)の調製
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 8部、ステアリン酸ネオペンチル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(c)が得られた。
【0030】
熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(d)の調製
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン 3部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 8部、ステアリン酸ネオペンチル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(d)が得られた。
【0031】
上記熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料a、b、c及びdを、各々、熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料20部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂40部、シリコーン系消泡剤1部、シクロヘキサノン40部を均一に攪拌し、熱変色性色彩記憶性スクリーンインキA、B、C及びDが得られた。
風景写真を4色刷りに写真分解した、網点総数50線/インチの網点ドットより成る200メッシュのスクリーン版で、厚さ100μm白色のポリ塩化ビニルシートに熱変色性色彩記憶性スクリーインキA、B、C及びDを印刷し、風景写真の天然色印刷物を得た。前記印刷物を、15℃以下にすると、風景の天然色写真が鮮明に現れ、常温域(18〜28℃)で天然色写真が維持された。次に32℃以上に加温すると、天然色写真が消え、白色に変化し、この白色状態は常温域で維持され、何回でも前記変化を繰り返し再現する事が出来た。
【0032】
実施例2
熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(e)の調製
2’6−ビス(2’−ブチルオキシフェニル)−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン 2部、4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシ−ジフェニルスルフォン 5部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン5部、ミリスチルアルコール 25部、ステアリン酸ブチル 25部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2〜3μmの熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(e)が得られた。
【0033】
熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(f)
6−ジ−N−イソブチル−N−エチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 6部、ミリスチルアルコール 25部、ステアリン酸ブチル 25部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2〜3μmの熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(f)が得られた。
【0034】
熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(g)の調製
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エチルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド 1.5部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン 8部、ミリスチルアルコール 25部、ステアリン酸ブチル 25部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2〜3μmの熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(g)が得られた。
【0035】
熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(h)の調製
2−2’−クロロアニリノ−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン 3部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 8部、ミリスチルアルコール 25部、ステアリン酸ブチル25部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2〜3μmの熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(h)が得られた。
【0036】
上記熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料e、f、g及びhを、各々、熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料50部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン15部、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂溶液(固形分約50%) 35部、消泡剤1部、を均一に攪拌し、熱変色性色彩記憶性グラビアインキE、F、G及びHが得られた。
人物のポートレート写真を4色刷りに写真分解した、分解線数50線/インチの網点グラビア版で、厚さ50μm白色の合成紙に熱変色性色彩記憶性グラビアインキE、F、G及びHをグラビア印刷し、人物のポートレート写真の天然色印刷物を得た。前記印刷物を、15℃以下にすると、人物のポートレート天然色写真が鮮明に現れ、15℃以上に加温すると、天然色写真が消え、白色に変化し、何回でも前記変化を繰り返し再現する事が出来た。
【0037】
実施例3
熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(i)の調製
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン 2部、2、2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)10部、カプリン酸ステアリル50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2μmの熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(i)が得られた。
【0038】
熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(j)の調製
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 6部、カプリン酸ステアリル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2μmの熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(j)が得られた。
【0039】
熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(k)の調製
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 8部、カプリン酸ステアリル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2μmの熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(k)が得られた。
【0040】
熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(l)の調製
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノ−フルオラン 3部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン 8部、カプリン酸ステアリル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径2μmの熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(l)が得られた。
【0041】
上記熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料i、j、k及びlを、各々、熱変色性色彩記憶性微小カプセル 15部、アルキド樹脂系ゲルワニス 50部、を均一に攪拌し、熱変色性色彩記憶性オフセットインキI、J、K及びLが得られた。花束の絵を4色刷りに写真分解した、分解線数50線/インチのオフセット版で、厚さ40μm白色のアート紙に熱変色性色彩記憶性オフセットインキI、J、K及びLをオフセット印刷し、花束の絵の天然色印刷物を得た。前記印刷物を、30℃以下では、花束の天然色の絵が鮮明に現れているが、30℃以上に加温すると、天然色の絵が消え、白色に変化した。再度前記印刷物を30℃以下に冷却すると、花束の天然色の絵が現れ、何回でも前記変化を繰り返し再現する事が出来た。
【0042】
実施例4
熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(m)の調製
2’6−ビス(2’−エチルオキシフェニル)−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 10部、ステアリン酸n−ブチル 50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液 100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性黄色微小カプセル顔料(m)が得られた。
【0043】
熱変色性色彩記憶性マゼンタ色微小カプセル顔料(n)
6−ジ−n−ブチルアミノ−1,2−ベンゾフルオラン 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 6部、ステアリン酸イソブチル50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性微小カプセルマジェンタ(n)が得られた。
【0044】
熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(o)の調製
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド 2部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 8部、ステアリン酸2−メチルペンチル50部を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性シアン色微小カプセル顔料(o)が得られた。
【0045】
熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(p)の調製
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノ−フルオラン 3部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン 8部、ステアリン酸2−エチルヘキシル50部 を120℃で加温溶解した均質相溶体中に、エポン828〔油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ樹脂〕10部を120℃で加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した硬化剤U〔エポキシ樹脂のアミン付加物、油化シェルエポキシ(株)製〕5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に徐々に添加し、液温を80℃に保って、約5時間攪拌を続け、遠心分離により、平均粒子径5〜6μmの熱変色性色彩記憶性墨色微小カプセル顔料(p)が得られた。
【0046】
上記熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料m、n、o及びpを、各々、熱変色性色彩記憶性微小カプセル顔料20部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂40部、シリコーン系消泡剤1部、シクロヘキサノン40部を均一に攪拌し、熱変色性色彩記憶性スクリーンインキM、N、O及びPが得られた。
風景写真を4色刷りに写真分解した、網点総数50線/インチの網点ドットより成る200メッシュのスクリーン版で、厚さ100μm白色のポリ塩化ビニルシートに熱変色性色彩記憶性スクリーインキM、N、O及びPを印刷し、風景写真の天然色印刷物を得た。前記印刷物は、20℃以上では天然色写真が消え、白色を呈しているが、除々に冷却していき、20℃以下になると黄色の部分が現れ、15℃以下になるとマゼンタ色の部分が現れ、10℃以下になるとシアン色の部分が現れ、5℃以下になると墨色の部分が現れ、天然色写真が完成した。次に0℃から徐々に加温していくと、5℃以上で墨色の部分が消え、10℃以上でシアン色が消え、15℃以上でマゼンタ色か消え、20℃以上で黄色が消え、白色になった。前記変化が何回でも繰り返し再現することができ、段階的に写真を完成させたり、消したりすることができた。
【0047】
【発明の効果】
本発明可逆熱変色性プロセス印刷物は、発色時に蛍光性を有し、明るく且つ高濃度の色調を呈し、消色時には無色に残色もなく変色する黄色の熱変色性インキによる熱変色層と、発色時に高濃度の鮮明な色調を示し、消色時に残色のない、マゼンタ色、シアン色、墨色の熱変色性インキによる印刷層が重ね刷りされ、前記各色の熱変色特性がバランスよく組み合わされており、熱変色による色彩効果を効果的に視覚させる可逆熱変色性プロセス印刷物を提供できる。

Claims (6)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である化合物の3成分を必須成分とする相溶体を内包した、黄、マゼンタ、シアン、墨の各微小カプセル顔料をそれぞれ印刷インキビヒクル中に分散した熱変色性印刷インキを色分解した版によって重ね印刷してなり、前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物が、黄色ではピリジン系、キナゾリン系及びビスキナゾリン系化合物から選ばれる化合物であり、マゼンタ色ではベンゾフルオラン系及びインドリルフタリド系化合物から選ばれる化合物であり、シアン色ではインドリルフェニルフタリド系及びインドリルフェニルアザフタリド系化合物から選ばれる化合物であり、墨色ではフルオラン系化合物から選ばれる化合物であることを特徴とする可逆熱変色性プロセス印刷物。
  2. 前記黄、マゼンタ、シアン、墨色の各微小カプセル顔料のうち、少なくとも一色は他色と異なる変色温度を示す微小カプセル顔料からなる請求項1記載の可逆熱変色性プロセス印刷物。
  3. (ロ)成分がフェノール性水酸基を有する化合物、及びそれらの金属塩から選ばれる化合物であり、(ハ)成分がアルコール類、エステル類、ケトン類、及びエーテル類から選ばれる化合物である請求項1記載の可逆熱変色性プロセス印刷物。
  4. 前記黄色の微小カプセル顔料の(イ)成分が、ピリジン系化合物から選ばれる化合物である請求項1記載の可逆熱変色性プロセス印刷物。
  5. 色濃度−温度曲線に関し、8℃乃至30℃のヒステリシス幅を示して変色する請求項1記載の逆熱変色性プロセス印刷物。
  6. 色濃度−温度曲線に関し、0.5℃乃至2.0℃のヒステリシス幅を示して変色する請求項1記載の可逆熱変色性プロセス印刷物。
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