JP2006005983A - コルゲートチューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ワイヤーハーネスを損傷させることなく収容でき、しかもワイヤーハーネスの収容作業を良好に行うことが可能なコルゲートチューブを提供する。
【解決手段】 弾性材料からなり、可撓性を有するチューブ本体の筒周に全長にわたりスリットが形成され、該スリットを閉口状態にしてワイヤーハーネスを収容するコルゲートチューブであって、前記スリットの両側が、周方向に所定幅にわたり、収容するワイヤーハーネスを構成する電線の外皮よりも硬度が小さい軟質材料に滑剤を配合してなる軟質材料組成物で形成されていることを特徴とするコルゲートチューブ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部にワイヤーハーネスを収容した状態で車両パネル等に配索されるコルゲートチューブに関する。
例えば図2に示すように、従来のこの種のコルゲートチューブ3としては、弾性材料からなり、小径部1と大径部2とが軸線方向に交互に連続して形成された可撓性を有するジャバラ状のチューブ本体に、その筒周の全長にわたりスリット4を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなコルゲートチューブ3では、図2に示すように、一端のスリット4を押し拡げて開口を形成し、この開口部にワイヤーハーネス5を差し入れ、その後はコルゲートチューブ3をワイヤーハーネス5の外周面を摺動させるようにして図中矢印方向に移動させることにより、ワイヤーハーネス5が徐々に収容されていく。そして、スリット4の他端までワイヤーハーネス5が収容された後は、チューブ本体の弾性によりスリット4が閉口状態を維持し、コルゲートチューブ3からワイヤーハーネス5が飛び出すこともなく収容状態が維持される。
しかし、コルゲートチューブ3は、収容したワイヤーハーネス5を保護するために弾性材料としてある程度硬質の合成樹脂、例えばポリプロピレンを用いているため、図3に軸線と直交する断面図にて示すように、上記の収容作業に際してワイヤーハーネス5を構成する電線の外皮がスリット4の開口端縁と接触して傷付くことがある。
そこで、図4(右図はスリット4が形成された側から見た正面図、左図はその左側面図)に示すように、スリット4の両側に、周方向に所定幅にわたり、シュアA硬度35〜50程度のゴム材料(エチレンプロピレンゴム:EPDM)からなる軟質部10を形成したコルゲートチューブ3が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このコルゲートチューブ3では、ゴム材料のスリット部4の摩擦抵抗が大きいため、上記の収容作業においてワイヤーハーネス5との摺動が円滑に進まず、作業性に劣るという問題がある。
実開昭62−16888号公報 特開2000−287331号公報
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、ワイヤーハーネスを損傷させることなく収容でき、しかもワイヤーハーネスの収容作業を良好に行うことが可能なコルゲートチューブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、
(1)弾性材料からなり、可撓性を有するチューブ本体の筒周に全長にわたりスリットが 形成され、該スリットを閉口状態にしてワイヤーハーネスを収容するコルゲートチュー ブであって、前記スリットの両側が、周方向に所定幅にわたり、収容するワイヤーハー ネスを構成する電線の外皮よりも硬度が小さい軟質材料に滑剤を配合してなる軟質材料 組成物で形成されていることを特徴とするコルゲートチューブ
(2)弾性材料からなり、可撓性を有するチューブ本体の筒周に全長にわたりスリットが 形成され、該スリットを閉口状態にしてワイヤーハーネスを収容するコルゲートチュー ブであって、前記スリットの両側が、周方向に所定幅にわたり、収容するワイヤーハー ネスを構成する電線の外皮よりも硬度が小さい軟質材料で形成されており、かつ前記軟 質材料の表面に滑剤からなる被膜を形成したことを特徴とするコルゲートチューブ
を提供する。
本発明のコルゲートチューブは、ワイヤーハーネスを傷付けることなく収容でき、しかもワイヤーハーネスの収容作業を良好に行うことが可能になる。
以下、本発明のコルゲートチューブに関して図面を参照して説明する。
図1は本発明のコルゲートチューブを示す図であり、右図はスリットが形成された側から見た正面図、左図は左側面図である。図示されるように、本発明のコルゲートチューブ30は、構造的には図4に示したコルゲートチューブ3と同様であり、ポリプロピレン等の弾性材料製で、小径部1と大径部2とが軸線方向に交互に連続して形成されたジャバラ状のチューブ本体からなり、その筒周に全長にわたりスリット4が形成され、更にスリット4の両端に軟質部10を有する。そして、本発明のコルゲートチューブ30では、第1の実施形態として、軟質部10を軟質材料に滑剤を配合した軟質材料組成物で形成する。あるいは、第2の実施形態として、軟質部10を軟質材料のみで形成し、その表面に滑剤からなる被膜を形成する。
軟質材料としては、収容するワイヤーハーネスを構成する電線の外皮よりも硬度が小さい材料、好ましくはJIS K7125で規定される硬度でHDA80〜HDD45、好ましくはHDD30〜HDD40の材料で、かつ軟質部10以外の部分を形成する弾性材料と一体に成形できる材料であれば特に制限されない。具体的には、従来と同様のEPDM等のゴム材料を例示できるが、これに限定されない。また、軟質部10以外は、従来と同様で構わず、JIS K7215 HDD50〜90、好ましくはHDD60〜70の材料で形成する。
滑剤としては、オレイン酸アミドやエルカ酸アミド等のアミド系滑剤、あるいはステアリン酸亜鉛等の金属石けんを用いることができる。
尚、第1の実施形態において、軟質材料組成物における滑剤の配合量は、アミド系滑剤では0.05〜2.0質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%であり、金属石けんでは0.05〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0質量%である。何れの滑剤も、配合量が前記の下限値を下回ると、摩擦抵抗の低減効果が少なすぎてワイヤーハーネス収容時における作業性を向上させることができない。一方、配合量が前記の上限値を上回ると、軟質部10が成形性に劣るようになるとともに、過剰の滑剤がワイヤーハーネス5を構成する電線に付着したり、作業者の手に付着する等の不具合が発生するようになる。
第1の実施形態のコルゲートチューブ30を製造するには、所謂二色成形法で軟質部10とその他の部分とを同時に成形する。即ち、上記の軟質材料と滑剤とを十分に混練した軟質材料組成物を第1のノズルから、軟質部10以外の部分を形成する材料(例えばポリプロピレン)を第2のノズルから同時に押出して成形する。そして、得られた成形品を、軟質部10の中心に沿って軸線方向の全長にわたり切断してスリット4を形成する。スリット4の形成に際して、端縁にR加工を施してもよい。
また、第2の実施形態のコルゲートチューブ30を製造するには、同様に二色成形法にて軟質材料のみからなる軟質部10を有するチューブ本体を成形してスリット4を形成し、更に軟質部10の全面に、滑剤を適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し、乾燥すればよい。塗布方法には制限が無く、刷毛塗りやスプレー塗布等の公知の塗工手段を用いることができる。但し、溶剤によっては、軟質部10に浸透して軟質材料を膨潤させることがあるため、溶剤は軟質材料に応じて膨潤の少ないものを選択する。被膜の膜厚には制限がないが、耐久性を考慮すると1〜5μmが適当である。
本発明のコルゲートチューブ30にワイヤーハーネスを収容するには、従来のスリットを有するコルゲートチューブと同様の作業を行う。即ち、図2に示すように、コルゲートチューブ30の一端のスリット4を押し広げ、開口部にワイヤ−ハーネス5を差し入れ、その後コルゲートチューブ30をワイヤーハーネス5の外周面を摺動させながら図中矢印方向に移動させる。その際、本発明のコルゲートチューブ30では、スリット4の両側が軟質部10であるため、ワイヤーハーネス5を構成する電線の外皮を損傷することがなく、しかも軟質部10の滑剤がワイヤーハーネス5の外周面との摺動を円滑にする。
以下に実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1)
EPDMにオレイン酸アミドを0.5質量%の割合となるように配合し、十分に混練して軟質材料組成物を調製した。そして、この軟質材料組成物を第1のノズルから、ポリプロピレンを第2のノズルから同時に押出成形し、図1に示すような小径部1が15mm、大径部2が19mm、全長500mmのジャバラ状で、筒周に幅10mmの帯状の軟質部10が全長にわたり形成されたチューブ本体を得た。次いで、軟質部の幅方向中心線に沿って切断してスリット4を形成し、コルゲートチューブAを作製した。
(比較例1)
比較のために、オレイン酸アミドを配合しないこと以外は上記と同様にしてコルゲートチューブBを作製した。
(実施例2)
上記コルゲートチューブBの軟質部の全面に、ステアリン酸亜鉛からなる被膜を形成してコルゲートチューブCを作製した。
(作業性の評価)
作製したコルゲートチューブA〜Cを用い、それぞれにワイヤーハーネスを収容し、そのときの作業性を評価した。即ち、図2に示すように、コロゲートチューブの一端のスリットを押し広げ、開口部にワイヤ−ハーネス(直径2.0mmの電線を19本編組、外径10mm)を差し入れ、その後コルゲートチューブをワイヤーハーネスの外周面を摺動させながら図中矢印方向に移動させた。その際、コルゲートチューブA及びコルゲートチューブCは、特に大きな力を要することなくワイヤーハーネス上を摺動できたが、コルゲートチューブBではワイヤーハーネス上を摺動し難く、強い押し込み力を要した。
また、ワイヤーハーネスを収容したコルゲートチューブA〜Cを、スリットとは反対側の筒周を切り裂いてワイヤーハーネスを取り出し、その表面を目視により観察したが、何れのコルゲートチューブでも収容したワイヤーハーネスを構成する電線の外皮に損傷は見られなかった。
本発明のコルゲートチューブを示す図であり、右図はスリットが形成された側から見た正面図、左図は左側面図である。 従来のコルゲートチューブの一例を示す側面図、並びにその装着状態を説明するための図である。 図2に示したコルゲートチューブ内にワイヤーハーネスを挿入する際の不具合を説明するための断面図である。 従来のコルゲートチューブの他の例を示す図であり、右図はスリットが形成された側から見た正面図、左図は左側面図である。
符号の説明
3 (従来の)コルゲートチューブ
4 スリット
5 ワイヤーハーネス
10 軟質部
30 (本発明に係る)コルゲートチューブ

Claims (6)

  1. 弾性材料からなり、可撓性を有するチューブ本体の筒周に全長にわたりスリットが形成され、該スリットを閉口状態にしてワイヤーハーネスを収容するコルゲートチューブであって、
    前記スリットの両側が、周方向に所定幅にわたり、収容するワイヤーハーネスを構成する電線の外皮よりも硬度が小さい軟質材料に滑剤を配合してなる軟質材料組成物で形成されていることを特徴とするコルゲートチューブ。
  2. 軟質材料がゴム材料、エチレンプロピレンゴムまたはスチレン系エラレスマーを配合したポリオレフィン樹脂組成物であり、滑剤がアミド系滑剤または金属石けんであることを特徴とする請求項1記載のコルゲートチューブ。
  3. 軟質材料組成物におけるアミド系滑剤の配合量が0.05〜2.0質量%であり、金属石けんの配合量が0.05〜3.0質量%であることを特徴とする請求項2記載のコルゲートチューブ。
  4. 弾性材料からなり、可撓性を有するチューブ本体の筒周に全長にわたりスリットが形成され、該スリットを閉口状態にしてワイヤーハーネスを収容するコルゲートチューブであって、
    前記スリットの両側が、周方向に所定幅にわたり、収容するワイヤーハーネスを構成する電線の外皮よりも硬度が小さい軟質材料で形成されており、かつ前記軟質材料の表面に滑剤からなる被膜を形成したことを特徴とするコルゲートチューブ。
  5. 軟質材料がゴム材料、エチレンプロピレンゴムまたはスチレン系エラレスマーを配合したポリオレフィン樹脂組成物であり、滑剤がアミド系滑剤または金属石けんであることを特徴とする請求項4記載のコルゲートチューブ。
  6. スリットの端縁がR加工されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のコルゲートチューブ。
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