JP2015194206A - ケーブルガイド - Google Patents

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奨 澤田
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Abstract

【課題】作業性が良好で、かつ高速で屈曲移動した場合でもケーブルの飛び出しを防止することができるケーブルガイドを提供する。
【解決手段】ケーブルガイド1について、底部10と、側壁20と、天井部30とで構成されるケーブル収容部40を、熱可塑性樹脂によって押出成形により一体でかつ長さ方向に連続して形成し、天井部30から各側壁20に亘って切り込み50を長さ方向に間隔をあけて複数形成すると共に、底部10は、長さ方向に延びる分離部13によって幅方向に間隔をあけて、第1底辺部11及び第2底辺部12に2分し、第1底辺部11及び/又は第2底辺部12の分離部13側の端部には、それぞれケーブル収容部40の内側に向かって傾斜する傾斜部又は屈曲する屈曲部14,15を設ける。そして、このケーブルガイド1を、屈曲移動時に天井部30が外側になるように設置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ケーブルを収容するケーブルガイドに関する。より詳しくは、ケーブルが接続されている装置の動作に追従して移動し、収容しているケーブルを案内するケーブルガイドに関する。
ロボットアームや工作機械などの産業機械では、装置の動作に追従してケーブル(配線)も移動するが、このような装置では、複数のケーブルをまとめたり、ケーブルの絡まりやねじれ、他の部材との接触による損傷・断線を防止するために、ケーブル収容ガイド(以下、単にケーブルガイドという。)が使用されている。従来のケーブルガイドは、複数の部品を連結させた構造となっており、組み立ての手間、摺動部のこすれによる発塵及び騒音発生などが問題となっている。
そこで、近年、樹脂により一体成形することで、部品の連結を極力なくしたケーブルガイドが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。従来のケーブルガイドには、例えば、特許文献1に記載されているようなチューブ状のもの、特許文献2に記載されているような組み立て式のもの、特許文献3〜5に記載されているような上面が開口したものなどがある。
しかしながら、特許文献1に記載のケーブル・配管類保護案内部材は、ケーブルの飛び出しを防止する効果は高いが、端部からしかケーブルの出し入れができないため、作業性に劣る。同様に、特許文献2に記載のチューブ型ケーブル類保護案内装置も、ケーブルの飛び出しを防止する効果は高いが、長さ方向全域に亘って嵌合部を嵌め合わせていく作業が必要となるため、作業性に劣る。
これに対して、特許文献3,4に記載のケーブルガイドは、上面に長さ方向に延びる開口部を形成しているため、例えばケーブルを押し込むだけでケーブルを内部に収容することができ、作業性に優れている。また、特許文献3,4に記載のケーブルガイドは、側壁を屈曲させることで、ケーブル保持性を向上させて、移動時のケーブル飛び出しを防止している。
特開2013−70552号公報 特開2008−267436号公報 特開2011−160511号公報 特開2013−245784号公報
ダイボンダなどの半導体製造装置やチップマウンターなどの半導体実装装置では、動作部の更なる高速化が求められているが、特許文献3,4に記載のケーブルガイドは、高速で屈曲移動すると、収容されているケーブルの一部が開口部から外周方向に飛び出してしまうことがある。これに対して、特許文献1,2に記載のケーブルガイドは、高速移動してもケーブルの飛び出しは防止できるが、前述したように作業性に劣るという問題がある。
そこで、本発明は、作業性が良好で、かつ高速で屈曲移動した場合でもケーブルの飛び出しを防止することができるケーブルガイドを提供することを主目的とする。
本発明に係るケーブルガイドは、内部にケーブルが収容され、前記ケーブルが接続されている装置の動作に追従して直線移動及び屈曲移動を行うケーブルガイドであって、熱可塑性樹脂からなり、底部と、側壁と、天井部とで構成され、押出成形により一体でかつ長さ方向に連続して形成されたケーブル収容部を有し、前記天井部から各側壁に亘る切り込みが長さ方向に間隔をあけて複数形成されると共に、前記底部は、長さ方向に延びる分離部によって幅方向に間隔をあけて、第1底辺部及び第2底辺部に2分されており、前記第1底辺部及び/又は第2底辺部の前記分離部側の端部には、それぞれ前記ケーブル収容部の内側に向かって傾斜する傾斜部又は屈曲する屈曲部が設けられ、前記屈曲移動時に前記天井部が外側になるように設置されるものである。
なお、本発明においては、底辺部に対する端部の角度が概ね90°である場合を屈曲といい、90°未満の場合を傾斜という。
本発明のケーブルガイドは、前記ケーブル収容部の内側から外側に向かう力を加えることにより、前記第1底辺部及び第2底辺部のいずれか一方又は両方を変形させたとき、前記第1底辺部及び第2底辺部の各端部が相互に接触する構成とすることができる。
また、前記第1底辺部及び第2底辺部に前記屈曲部が設けられている場合は、前記側壁間の距離をa、前記分離部の幅をb、前記屈曲部の高さをcとしたとき、下記数式1を満たす構成とすることもできる。
Figure 2015194206
一方、本発明のケーブルガイドは、前記第1底辺部及び第2底辺部の外面の前記切り込みと整合する位置に、幅方向に略V字状の溝を形成してもよい。
また、ケーブル収容部には、前記天井部から内側に向かって突出するケーブル分離用内壁が設けられていてもよい。
更に、前記天井部の外面及び/又は前記第1底辺部及び第2底辺部の外面には、熱可塑性樹脂からなるリブ部が、前記側壁から延設されていてもよい。
本発明によれば、内側に配置される底部にケーブル出し入れ用の分離部を設けると共に、底部を構成する第1底辺部及び第2底辺部の分離部側の端部に傾斜部又は屈曲部を設けているため、作業性を低下させずに、ケーブルの飛び出し防止性能を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図である。 図1に示すA−A線による断面図である。 図2に示すケーブルガイド1の底部10の拡大断面図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図である。 本発明の第1の実施形態の第2変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施形態の第3変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図である 図6に示すB−B線による断面図である。 本発明の第1の実施形態の第4変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図である 図8に示すC−C線による断面図である。 本発明の第1の実施形態の第5変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である 本発明の第2の実施形態のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である。 A〜Cは屈曲部当接の評価方法を模式的に示す図であり、Aは斜視図、Bは正面図、Cは側面図である。 飛び出し防止効果の評価方法を示す模式図である。 比較例1のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である。 比較例2のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明者は、前述した課題を解決するために、鋭意実験検討を行った結果、以下に示す知見を得た。特許文献3に記載のケーブルガイドにおいて、高速移動時にケーブルの飛び出しが発生する理由は、ケーブルガイドが屈曲動作を開始するときには、ガイドとケーブルとの接触面に発生する摩擦力によってケーブルがガイドに引っ張られるように動き、また、屈曲動作を停止するときには、押されるように動くためと考えられる。
このように、ケーブルガイドが、屈曲動作を開始又は停止する瞬間は、ケーブルはガイドとの接触面においてスリップせずにガイドの動きに引きずられやすく、ケーブルがガイドの動きに順応した一体的動作をしないため、ケーブルがガイドの開口部から外にはみ出して飛び出しが発生する。
これに対して、低速移動時は、屈曲動作によりケーブルとガイドとの間に摩擦力が生じても、その摩擦力は、スリップによってすぐに解消されるため、前述したケーブルの動きは起きない。しかしながら、高速移動時は、ガイドの動きにケーブルが順応できず、スリップしきれずに一体的に動かない現象が顕著になる。
なお、このケーブルの動きは、屈曲移動時に外周及び内周の両方向に起きうるものであるが、外周方向には特に発生しやすい。例えば特許文献3に記載のケーブルガイドの場合、屈曲内周側に配置される底部は開口しておらず、ケーブルが飛び出す隙間が存在していないため、内周方向への飛び出しはないが、外周方向への飛び出しは発生する。逆に、屈曲内周側に開口が設けられ、外周側は開口していないケーブルガイドでは、外周方向への飛び出しはないが、内周側への飛び出しが発生する。
そこで、ケーブル収容時の作業性の観点から、ケーブル収容口に嵌合構造がなく、かつ押し込みにより容易にケーブルを収容することができ、ケーブルの飛び出しを防止することができる構造について検討を行い、本発明に至った。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係るケーブルガイドについて説明する。図1は本実施形態のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図であり、図2は図1に示すA−A線による断面図であり、図3は底部10の拡大断面図である。
[全体構成]
図1及び図2に示すように、本実施形態のケーブルガイド1は、熱可塑性樹脂からなり、一方向に延びる底部10、側壁20及び天井部30が、押出成形により、一体でかつ長さ方向に連続して形成されている。また、ケーブルガイド1には、天井部30から各側壁20に亘る切り込み50が長さ方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態のケーブルガイド1においては、底部10、側壁20及び天井部30により囲まれる空間がケーブル収容部40となり、ケーブルは、ケーブル収容部40内に一段又は多段で収容される。
[底部10]
底部10は、長さ方向に延びる分離部13によって幅方向に間隔をあけて、第1底辺部11及び第2底辺部12に2分されており、この分離部13からケーブル収容部40にケーブルが押し込まれる。また、第1底辺部11及び第2底辺部12の分離部13側の端部には、それぞれケーブル収容部40の内側に向かって屈曲する屈曲部14,15が設けられている。
本実施形態のケーブルガイド1のように天井部3に隙間が設けられていない場合、屈曲移動時に内側に位置する底部10においてケーブルの飛び出しが発生する可能性がある。そこで、本実施形態のケーブルガイド1では、第1底辺部11及び第2底辺部12の分離部13側の端部に屈曲部14,15を設け、これによりケーブルの飛び出しを防止している。なお、屈曲部14,15の形状は、第1底辺部11及び第2底辺部12の幅と同一の幅のものに限定されず、第1底辺部11及び第2底辺部12よりも幅が狭くても、広くてもよく、更には屈曲部の先端になるほどその幅が狭くなったり、また広くなったりしてもよい。
この屈曲部14,15は、ケーブル収容部40の内側から外側に向かう力を加え、第1底辺部11及び第2底辺部12のいずれか一方又は両方を変形させたとき、相互に接触する位置及び大きさに形成されていることが好ましい。このように、分離部13の幅(底部10の隙間)と屈曲部14,15の長さを適切に設定することにより、内部に収容されているケーブルによりケーブル収容部40の内側から外側に向けて底部10が押された場合でも、屈曲部14,15同士が接触して、分離部13が開くことを抑制することができる。これにより、ケーブルの飛び出しを更に防止することができる。
例えば、図3に示すように、ケーブル収容部40の内側において、側壁20と第1底辺部11との交点から、屈曲部15の先端までの距離をX、屈曲部14の底辺側の端までの距離をYとしたとき、XがYよりも大きければ、第1底辺部11又は第2底辺部12が外側に向かって開いたとしても、屈曲部14の先端が屈曲部15に接触する。具体的には、各側壁20間の距離をa、分離部13の幅をb、各屈曲部14,15の高さをcとしたとき、前述したX及びYは、それぞれ下記数式2及び数式3で表される。
Figure 2015194206
Figure 2015194206
以上から、本実施形態のケーブルガイド1は、下記数式4を満たす構造であることが好ましく、これにより、ケーブルの飛び出し防止効果を更に高めることが可能となる。
Figure 2015194206
[側壁20、天井部30]
各側壁20には、天井部30から連続する切り込み50が長さ方向に間隔をあけて複数形成されている。この切り込み50の間隔は、収容するケーブルの太さや数、用途によって適宜設定することができるが、ケーブルの収容性及び保護性能の観点から、ケーブルガイドの高さhの35%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上である。また、屈曲性の観点からは、切り込み50の間隔は、高さhの75%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。側壁20及び天井部30に、このような切り込み50を設けることにより、曲げ半径が小さい場合でも、側壁20及び天井部30に過度のストレスを与えずに、高速で屈曲移動をすることが可能となる。
また、側壁20には、切り込み50の底部10側端部に、平面視で略円形状又は略楕円形状の貫通孔21が形成されていることが好ましい。このような貫通孔21を設けることにより、長期間繰り返し屈曲動作を行っても、ひび割れなどの損傷が発生せず、耐久性を向上させることができる。なお、切り込み50の底部10側端部の位置や貫通孔21の位置は、可能な限り底部10(第1底辺部11、第2底辺部12)に近づけることが好ましく、これによりケーブルガイドの屈曲半径を小さくすることができる。
[寸法]
本実施形態のケーブルガイド1の断面寸法は、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜選択することができるが、用途上、幅wは20〜80mm、高さhは15〜50mm程度であることが好ましい。
また、ケーブルガイド1の各部の厚さは、外側寸法、即ち、幅wと高さhの平均の概ね3〜15%であることが好ましく、最大で5mm程度とすることが好ましい。底部10、側壁20及び天井部30の厚さが薄すぎると、稼働中にケーブルガイド1の変形が大きくなり、収容しているケーブルを保持できない場合がある。また、底部10、側壁20及び天井部30の厚さが厚すぎると、屈曲半径が増加したり、ケーブルを押し込みにくくなったりする。ただし、全ての厚さを等しくする必要はなく、ケーブルの保持への影響が少ない天井部30は、底部10及び側壁20よりも薄くてもよい。
[製造方法]
次に、前述したケーブルガイド1の製造方法について説明する。本実施形態のケーブルガイド1を製造する際は、例えば、押出成形により熱可塑性樹脂からなる長尺成形体を形成する成形工程と、長尺成形体に対して、切開、切削及び切断などの加工を施す加工工程とを行う。
ここで、ケーブルガイド用長尺成形体に用いる熱可塑性樹脂としては、耐屈曲性に優れていることから、熱可塑性エラストマーが好適である。具体的には、熱可塑性ポリエステル系エラストマー(Thermoplastic-Polyester-Elastomer:TPEE)、熱可塑性ポリアミド系エラストマー(Thermoplastic-Polyamide-Elastomer:TPAE)、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(Thermoplastic-Polyurethane-Elastomer:TPU)、熱可塑性ポリスチレン系エラストマー(Thermoplastic-Polystyrene-Elastomer:TPS)、熱可塑性ポリ塩化ビニル系エラストマー(Thermoplastic-Poly(vinyl chloride)-Elastomer:TPVC)、熱可塑性オレフィン系エラストマー(Thermoplastic-Polyolefin-Elastomer:TPO)、熱可塑性ポリメタクリル酸メチルエラストマー(Thermoplastic-Poly(methylmethacrylate)-Elastomer:TPMMA)、などの各種熱可塑性エラストマーを用いることができる。これらの熱可塑性エラストマーの中でも、熱溶融加工性の観点から、熱可塑性ポリエステル系エラストマー(TPEE)が好適である。
また、本実施形態のケーブルガイド1に用いる熱可塑性エラストマーは、成形性の観点から、170〜250℃のいずれかの温度のMFR(melt flow rate)が0.5〜5g/分の範囲にあることが好ましい。MFRが、この範囲よりも低いものは流動性が低すぎて、また、この範囲よりも高いものは流動性が高すぎて、成形しにくくなることがある。更に、曲げ変形応力の低減及び曲げ強さの観点から、熱可塑性エラストマー樹脂は、曲げ弾性率が20〜300MPaのものを使用することが好ましい。曲げ弾性率がこの範囲の樹脂を使用することで、最小曲げ半径が小さく、かつ、ケーブルが押し込みやすく、弛みや横ぶれなどの変形が起こりにくいケーブルガイドを実現することができる。
また、本実施形態のケーブルガイド1は、底部10、側壁20及び天井部30の全体を前述した熱可塑性エラストマーで形成してもよいが、少なくとも側壁20における底部10側の屈曲する部分を熱可塑性エラストマー樹脂で形成し、その他の部分は熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂で形成することもできる。熱可塑性エラストマーとその他の熱可塑性樹脂を併用する場合は、これらの接着性の観点から、共押出成形を行い、溶融状態で一体成形する必要がある。
そこで、成形性の観点から、熱可塑性エラストマーと併用される熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマー樹脂よりも軟化点又は融点が高いものを使用することが望ましい。具体的には、熱可塑性樹脂には、ポリオレフィン(PO)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリウレタン(PU)系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリエステル(PES)系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂及びポリイミド(PI)系樹脂の他、各種エンジニアリングプラスチックなどの汎用熱可塑性樹脂を使用することができる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート(PC)樹脂、及びポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)樹脂を使用することが好ましい。一方、熱可塑性エラストマー樹脂との接着性の観点からは、化学的な極性基を有するABS樹脂などが好適である。また、材料コストの観点からは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)が好適である。更に、透明性に優れるポリカーボネート(PC)樹脂を使用すると、ケーブル収容部40内を目視で確認することが可能となる。
熱可塑性エラストマーとその他の熱可塑性樹脂を併用する場合は、MFR(melt flow rate)が大きく相違しない樹脂を選択して使用することが望ましく、MFRが同等の樹脂を組み合わせて使用することがより望ましい。これにより、溶融時の流動性を均一にすることができるため、複数の樹脂を用いて共押出成形しても、目的とする形状の成形体(ケーブルガイド1)を、安定してかつ精度よく成形することが可能となる。
また、熱可塑性エラストマーとその他の熱可塑性樹脂を併用する場合は、その一方又は両方を、顔料などで着色された樹脂(カラーマスターバッチ)などを適量配合することにより着色することもできる。このように、ケーブルガイド1の一部を異なる色の樹脂で成形すると、ケーブルの種類毎にケーブルガイド1の色を変えることで、収容されているケーブルの識別が可能となる。また、使用時には、ケーブルが稼働状態にあることを、作業者に知らせるなどの注意喚起効果も期待できる。
更に、本実施形態のケーブルガイド1に用いる熱可塑性エラストマーには、ケーブルガイドとケーブルとの摩擦係数を小さくする目的で、黒鉛粉末やシリコーンオイルなどを適宜配合することができる。
成形工程で用いる装置は、特に限定されるものではないが、例えば、押出機、ダイスヘッド及び目的の長尺体用に設計されたノズルを備えた押出装置の後に、水冷式サイジング装置と、水切り用ブロワーと、引き取り機とを配置した構成とすることができる。
このような構成の装置で長尺成形体を製造する場合は、先ず、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂を、所定温度に調節した押出機で溶融してダイスヘッドに導入し、底部10、側壁20及び天井部30を一体で吐出成形する。その際、押出成形の条件は、特に限定されるものではないが、熱可塑性エラストマー単独で成形する場合は、例えば、押出温度を210〜230℃、ダイス温度を230℃程度に設定し、溶融成形することができる。
次に、ダイスヘッドから押し出された樹脂を、冷却水槽に配置された水冷式サイジング装置に導入し、冷却しつつ目的の形状に成形した後、樹脂の固化点以下の温度に十分に冷却できる長さを備えた冷却水槽中を通過させて、概ね室温程度になるまで冷却し、形状を固定化する。その後、冷却水槽を通過した長尺成形体に、水切り用ブロワーで発生させた風を吹き付け、付着している水滴を飛散させる。この長尺成形体は、例えばベルト式引き取り機にて一定速度で引き取られ、必要に応じてカット装置を用いて、任意の長さに切断される。
一方、加工工程では、切開刃や切削刃を用いて、成形工程で製造した長尺成形体を加工する。具体的には、カッター刃などの平板状の平刃により、押し切り又は引き切りすることにより、天井部30及び両側壁20に切り込み50を形成する。また、側壁20に貫通孔21を形成する場合は、所定の外径のドリルを用いて、長尺成形体の両側壁20を切削し、略円形状又は略楕円形状の貫通孔21を形成した後、カッター刃などの平板状の平刃により天井部30から側壁20の貫通孔21まで切開し、切り込み50を形成する。
更に、加工工程では、切り込み50を形成した長尺成形体を、所定の長さに切断加工し、ケーブルガイド1を得る。このように、押出成形により製造する方法は、長尺のケーブルガイドを連続して成形することができるため、従来品に比べて、製造コストを低減することができる。
[使用形態]
このケーブルガイド1は、屈曲移動時に天井部30が外側に、分離部13を備える底部10が内側になるように設置される。そして、ケーブル収容部40に収容されたケーブルが接続されている装置の動作に追従して、その長手方向に直線移動又は屈曲移動し、内部に収容されているケーブルを案内する。
以上詳述したように、本実施形態のケーブルガイドは、外側に配置される天井部ではなく、内側に配置される底部に、ケーブル出し入れ口となる分離部を形成しているため、作業性を低下させることなく、高速で屈曲移動した場合にケーブルが外側に飛び出すことを防止できる。また、本実施形態のケーブルガイドは、底部を構成する第1底辺部及び第2底辺部の分離部側の端部にケーブルの飛び出しを防止するための屈曲部を設けているため、内側方向へのケーブルの飛び出しも抑制することができる。その結果、本実施形態のケーブルガイドは、作業性が良好であり、かつ、高速で直線及び屈曲移動と停止を繰り返し行っても、ケーブルが飛び出しにくい。
(第1変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るケーブルガイドについて説明する。図4は本変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図である。なお、図4においては、図1〜3に示すケーブルガイド1の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本変形例のケーブルガイド2は、第1底辺部11及び第2底辺部12の外面に、切り込み50と整合する位置に、幅方向に延びる略V字状の溝16が形成されている。このように、底部10に溝16を設けることにより、ケーブルガイド1の屈曲半径をより小さくすることができる。なお、溝16は、底部10を貫通し、側壁20まで到達していてもよい。また、略V字状溝の先端部形状は、側面視で鋭角な形状の場合に限定されず、鈍角形状、平坦部を有する形状又は丸みを帯びた形状となっていてもよい。
ここで、貫通孔21と溝16の先端(側壁20側端部)との距離は、耐久性及び屈曲性向上の観点から、0.5〜3mmとすることが好ましく、より好ましくは1〜2mmである。この範囲にすることにより、稼働耐久性を低下させることなく、曲げに対するしなやかさ及び高速移動時の変形追従性を高めることができる。
溝16の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、底部10に断面先端角45°のV字状の刃先を装着した多数の切削刃からなる回転する丸刃を用いて、これを幅方向に移動させ、長尺成形体の片方の側壁20から底部10を亘り、他方の側壁20まで切削加工することにより形成することができる。その際、成形体の長さ方向において、両側壁20の貫通孔21の加工位置及び切り込み50の加工位置と、略断面V字状の溝16の加工位置は、同じにする。
本変形例のケーブルガイドでは、底部に幅方向に延びる略V字状の溝を形成し、長さ方向において溝と切り込みの位置を整合させているため、屈曲半径を更に小さくすることができる。なお、本変形例のケーブルガイドにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
(第2変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係るケーブルガイドについて説明する。図5は本変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図であり、図1に示すA−A線による断面図に相当する。なお、図5においては、図1〜3に示すケーブルガイド1の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本変形例のケーブルガイド3は、天井部30から内側に向かって突出するケーブル分離用内壁31が設けられており、これによりケーブル収容部が第1収容部40aと第2収容部40aとに分割されている。ケーブル分離用内壁31は、底部10、側壁20及び天井部30と同種の熱可塑性樹脂により形成することができる。このように、ケーブル収容部にケーブル分離用内壁31を設けることにより、複数種のケーブルを収容した場合に、互いに接触しないように分けて配線することが可能となる。
なお、図5には、幅方向中央部にケーブル分離用内壁31を1つ設けた構成例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ケーブル分離用内壁31は幅方向の任意の位置に設けることができ、また、2個以上設けることもできる。このように、ケーブル分離用内壁31の位置、数及び長さなどは、特に限定されるものではなく、ケーブルの種類、数及び太さに応じて、適宜設定することができる。
本変形例のケーブルガイド3は、例えば専用のダイスヘッド及びノズルを用いて、押出成形することにより製造することができる。
本変形例のケーブルガイドでは、天井部から内側にケーブル分離用内壁を設け、ケーブル収容部を分割しているため、複数のケーブルを分離して収容することが可能となる。なお、本変形例のケーブルガイドにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。また、本変形例のケーブルガイドにも、前述した第1変形例のように底部に幅方向に延びる略V字状の溝を形成することができ、その場合、第1変形例と同様の効果が得られる。
(第3変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第3変形例に係るケーブルガイドについて説明する。図6は本変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図であり、図7は図6に示すB−B線による断面図である。なお、図6及び図7においては、図1〜4に示すケーブルガイド1,2の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6及び図7に示すように、本変形例のケーブルガイド4は、天井部30の外面に、熱可塑性樹脂からなるリブ部60が、各側壁20から延長するように設けられている。リブ部60は、底部10、側壁20及び天井部30と同種の熱可塑性樹脂により形成することができる。また、リブ部60にも、各側壁20及び天井部30から連続する切り込み50が形成されている。このようなリブ部60を設けることにより、屈曲していない部分が下方に垂れ下がることを抑制できる。
なお、リブ部60の厚さ及び長さは、特に限定されるものではないが、垂れ下がり抑制及び取り扱い性の観点から、厚さは側壁20と同等とし、長さは2〜8mmとすることが好ましい。
本変形例のケーブルガイド4は、例えば専用のダイスヘッド及びノズルを用いて押出成形することにより製造することができる。
本変形例のケーブルガイドは、天井部の外面にリブ部が側壁から延設されているため、直線保持性が向上し、たわみやねじりの発生を抑制することができる。なお、本変形例のケーブルガイドにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。また、本変形例のケーブルガイドにも、前述した第1変形例のように底部に幅方向に延びる略V字状の溝を形成してもよく、また、第2変形例のようにケーブル収容部にケーブル分離用内壁を設けてもよい。これらの場合も、第1変形例及び第2変形例と同様の効果が得られる。
(第4変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第4変形例に係るケーブルガイドについて説明する。図8は本変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す側面図であり、図9は図8に示すC−C線による断面図である。なお、図8及び図9においては、図1〜4に示すケーブルガイド1,2の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8及び図9に示すように、本変形例のケーブルガイド5は、底部10(第1底辺部11,第2底辺部12)の外面に、熱可塑性樹脂からなるリブ部61が、各側壁20から延長するように設けられている。リブ部61は、底部10、側壁20及び天井部30と同種の熱可塑性樹脂により形成することができる。また、リブ部61にも、各側壁20及に到達する略V字状の溝16が形成されている。このようなリブ部61を設けることにより、ケーブルガイド5が屈曲動作時に所定半径以上に屈曲することを、前述したケーブルガイドよりも更に確実に防止することができる。
なお、リブ部61の厚さ及び長さは、特に限定されるものではないが、曲げ半径規定の効果を十分に発揮しかつ、生産性・加工性の観点から、厚さは側壁と同等とし、長さは4〜10mmとすることが好ましい。
本変形例のケーブルガイド5は、例えば専用のダイスヘッド及びノズルを用いて押出成形することにより製造することができる。
本変形例のケーブルガイドは、底辺部の外面にリブ部が側壁から延設されているため、最少曲がり半径が所定値以上になることを、更に確実に防止することができ、屈曲動作時におけるケーブルにかかる負荷を最小限に制御することができる。また、直線保持性が向上するため、たわみやねじりの発生を抑制することもできる。
なお、本変形例のケーブルガイドにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。また、本変形例のケーブルガイドにも、前述した第2変形例のようにケーブル収容部にケーブル分離用内壁を設けてもよい。更に、第3変形例のように天井部の外面にリブ部が側壁から延設されていてもよい。これらの場合も、第1変形例、第2変形例及び第3変形例と同様の効果が得られる。
(第5変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第5変形例に係るケーブルガイドについて説明する。図10は本変形例のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図であり、図1に示すA−A線による断面図に相当する。なお、図10においては、図1〜3に示すケーブルガイド1の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
前述した第1の実施形態及びその第1〜4の変形例のケーブルガイドでは、第1底辺部11及び第2底辺部12の両方に屈曲部が設けられているが、第1底辺部11及び第2底辺部12のいずれか一方にのみ屈曲部が設けられていてもよい。例えば、図10に示すケーブルガイド6では、第1底辺部11の端部に屈曲部14が設けられ、第2底辺部12には屈曲部は設けられていない。
本変形例のケーブルガイド6も、底部に分離部13と屈曲部14を設けているため、作業性が良好であり、かつ、高速で直線及び屈曲移動と停止を繰り返し行っても、ケーブルが飛び出しにくい。ただし、より確実にケーブルの飛び出しを防止するには、第1底辺部及び第2底辺部の両方に屈曲部が設けられている構成とすることが好ましい。
なお、本変形例のケーブルガイドにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。また、本変形例のケーブルガイドにも、前述した第1変形例のように底部に幅方向に延びる略V字状の溝を形成してもよく、また、第2変形例のようにケーブル収容部にケーブル分離用内壁を設けてもよい。更に、第3変形例及び第4変形例のように天井部の外面や底部の外面にリブ部を設けることもできる。これらの場合も、第1〜4変形例と同様の効果が得られる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るケーブルガイドについて説明する。図11は本実施形態のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図であり、図1に示すA−A線による断面図に相当する。なお、図11においては、図1〜3に示すケーブルガイド1の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態のケーブルガイド7は、第1底辺部11及び第2底辺部12の分離部13側の端部に、それぞれケーブル収容部40の内側に向かって傾斜する傾斜部16,17が設けられている。このように屈曲部の代わりに傾斜部16,17を設けた場合でも、ケーブル収容部40内でケーブルが上下左右に動いた時に、内周側への飛び出しを防止することができる。
ここで、傾斜部16,17の傾斜角度は、10°以上、90°未満であることが好ましく、30°以上、90°未満であることが更に好ましい。傾斜角度が10°未満の場合は、内周側へのケーブル飛び出しを防止することが困難となる。なお、ケーブル飛び出しを防止効果の観点からは、傾斜部16,17よりも、傾斜角度が概ね90°である屈曲部が形成されている構成の方が好ましい。
本実施形態のケーブルガイドは、内側に配置される底部に、ケーブル出し入れ口となる分離部を形成しているため、作業性を低下させることなく、高速で屈曲移動した場合にケーブルが外側に飛び出すことを防止できる。また、本実施形態のケーブルガイドは、底部を構成する第1底辺部及び第2底辺部の分離部側の端部にケーブルの飛び出しを防止するための傾斜部を設けているため、内側方向へのケーブルの飛び出しも抑制することができる。その結果、本実施形態のケーブルガイドは、作業性が良好であり、かつ、高速で直線及び屈曲移動と停止を繰り返し行っても、ケーブルが飛び出しにくい。
なお、本実施形態のケーブルガイドにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。また、本実施形態のケーブルガイドにも、前述した第1の実施形態の各変形例の構成を適用することができ、その場合も同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、以下に示す方法及び条件で、ケーブルガイドを製造し、飛び出し防止効果について評価した。また、併せて、各ケーブルガイドについて、屈曲部同士が当接するか否かを確認した。
<屈曲部当接の確認方法>
実施例及び比較例の各ケーブルガイドについて、底辺部を外側に変形させたときにその屈曲部が他方の屈曲部に当接するか否かについて確認した。図12A〜Cは屈曲部当接の評価方法を模式的に示す図であり、図12Aは斜視図、図12Bは正面図、図12Cは側面図である。
先ず、評価用サンプルとして、ケーブルガイドの天井部及び側壁に設けられた任意の切込みから、その前又は次の切込みまでの1ピッチ分を切り出す。そして、図12A〜Cに示すように、この評価用サンプル80を、専用治具(上部治具70、下部治具71)を取り付けた引張試験機に取り付ける。具体的には、分離部が下になるように上部治具70に天井部を取り付け、下部治具71を第1底辺部又は第2底辺部の屈曲部の下端部に当てる。
そして、下部治具71を、0.5mm/秒の速度で、下方向に15mmまで移動させていき、片方の底辺部を外側に変形させたときの屈曲部同士の当接の有無を、目視により確認した。引き続き、治具71を2本使用し、前述した1本での試験と同様の条件で、2つの底辺部を両方同時に変形させる試験を行った。その結果、いずれの試験でも当接が認められたものを○、両方の底辺部を変形させた試験のみ当接が認められたものを△、いずれの試験でも当接が認められなかったものを×と判定した。なお、屈曲部や傾斜部が設けられていないものについては、底辺部又は天井部に治具を当てて試験を行った。
<飛び出し防止効果の評価方法>
図13は飛び出し防止効果の評価方法を示す模式図である。飛び出し防止効果は、実施例及び比較例の各ケーブルガイドについて、長さ1.3mの評価用サンプルを用意し、その中にケーブル収容部の幅に応じた数のケーブル(長さ1.4m、直径10mm、重さ200g/m)を挿入して行った。
図13に示すように、先ず、このケーブル及びケーブルガイド(評価用サンプル81)の両端を、ユアサ工機製 屈曲試験機S1545の固定部及び可動部に取り付けた。このとき、屈曲半径が、実施例及び比較例の各ケーブルガイドの構造に応じた適当な長さとなるように可動部の高さを調節した。ケーブルは、ケーブル収容部内において、屈曲内周側にピンと張って沿わせた状態よりも2cm長くし、余裕を持たせて、ケーブル収容部内で若干たるむように固定した。
屈曲試験機の運転条件は、可動部が停止状態から0.5mのストローク長を0.75秒で往復移動して元の位置に戻るように設定した。これにより、最大速度は2.1m/秒、最大加速度は2Gとなる。そして、1往復分稼働させて、ケーブルが飛び出すか否かを確認した。これを、1サンプルあたり10回行い、その飛び出し回数を比較した。
<実施例1>
実施例1として、図1及び図2に示す構造のケーブルガイドを作製した。具体的には、先ず、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂(MFR:1.5/220℃、曲げ弾性率:94.1MPa)を使用し、高さhが21mm、幅wが31mm、厚さが2mm、分離部13の幅bが0.2mm、屈曲部14,15の高さcが3mmの長尺成形体を作製した。
次に、長尺成形体の各側壁20を直径3mmのドリルで切削し、円形状の貫通孔21を形成した。その際、貫通孔21の下端から底部10までの距離を1mmとした。また、カッター刃による押し切り加工によって、天井部30から側壁20の貫通孔21に到達する切り込み50を形成した。この側壁20に貫通孔21を形成する加工と、天井部30及び側壁20に切り込み50を形成する加工は、長尺成形体の長さ方向において同一の位置に対して行い、以降この操作を10mm間隔で繰り返し行い、実施例1のケーブルガイドを得た。
この実施例1のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例1のケーブルガイドに、ケーブル2本を挿入し、屈曲半径を60mmとし、飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例2>
実施例1と同じ原料及び方法で、高さhが15mm、幅wが20mm、厚さが2mm、分離部13の幅bが0.2mm、屈曲部14,15の高さcが3mmの長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例1よりも小型の実施例2のケーブルガイドを得た。
この実施例2のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例2のケーブルガイドに、ケーブル1本を挿入し、屈曲半径を60mmとし、飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例3>
分離部13の幅bを1mm、屈曲部14,15の高さcを5mmとした以外は、前述した実施例2と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例2よりも分離部13の幅bを広くし、屈曲部14,15の高さを高くした実施例3のケーブルガイドを得た。
この実施例3のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例3のケーブルガイドを、実施例2と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例4>
実施例1と同じ原料及び方法で、高さhが50mm、幅wが80mm、厚さが3mm、分離部13の幅bが0.2mm、屈曲部14,15の高さcが5mmの長尺成形体を作製した。次に、長尺成形体の各側壁20を直径5mmのドリルで切削し、円形状の貫通孔21を形成した。その際、貫通孔21の下端から底部10までの距離を1mmとした。
また、カッター刃による押し切り加工によって、天井部30から側壁20の貫通孔21に到達する切り込み50を形成した。この側壁20に貫通孔21を形成する加工と、天井部30及び側壁20に切り込み50を形成する加工は、長尺成形体の長さ方向において同一の位置に対して行い、以後この操作を20mm間隔で繰り返し行い、実施例1よりも大型で、屈曲部14,15の高さが高い実施例4のケーブルガイドを得た。
この実施例4のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例4のケーブルガイドに、ケーブル5本を挿入し、屈曲半径を80mmとし、飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例5>
分離部13の幅bを1mm、屈曲部14,15の高さcを9mmとした以外は、前述した実施例4と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例4と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例4よりも分離部13の幅bを広くし、屈曲部14,15の高さを高くした実施例5のケーブルガイドを得た。
この実施例5のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例5のケーブルガイドを、実施例4と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例6>
実施例6として、図4に示す構造のケーブルガイドを作製した。先ず、実施例1と同様の方法及び条件で作製した長尺成形体に対して、貫通孔21の下端から底部10までの距離を5mmとした以外は、前述した実施例1と同様の方法及び条件で、貫通孔21及び切り込み50を形成した。
その後、断面先端角45°のV字状の刃先を装着した多数の切削刃からなる回転する丸刃を幅方向に移動させて、長尺成形体の一方の側壁側から他方の側壁側まで底部を切削加工し、実施例6のケーブルガイドを得た。このV字溝16の切削加工位置は、切り込み50及び円形状の貫通孔21の加工位置と、長尺成形体の長さ方向において同一とした。また、V字溝16の加工の深さは3mmとし、V字溝16の加工先端から貫通孔21までの距離は2mmとした。
この実施例6のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例6のケーブルガイドは、底部10にV字状溝16を設けているため、屈曲半径をより小さくする効果が得られ、実施例1のケーブルガイドでは60mmとしていた屈曲半径を40mmにして、それ以外は実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果の評価試験を行った。その結果、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例7>
実施例7として、図5に示す構造のケーブルガイドを作製した。具体的には、天井部30から内側に向かって突出するケーブル分離用内壁31を設けた以外は、前述した実施例1と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。その際、ケーブル分離用内壁31の高さは12mmとした。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例7のケーブルガイドを得た。
この実施例7のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例7のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例8>
実施例8として、図6及び図7に示す構造のケーブルガイドを作製した。具体的には、天井部30の外面にリブ部60を側壁20から延設した以外は、前述した実施例1と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。その際、リブ部60の高さは4mmとした。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例8のケーブルガイドを得た。
この実施例8のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例8のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例9>
実施例9として、図8及び図9に示す構造のケーブルガイドを作製した。具体的には、底辺部11,12の外面にリブ部61を側壁20から延設した以外は、前述した実施例1と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。その際、リブ部61の高さは6mmとした。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例9のケーブルガイドを得た。
この実施例9のケーブルガイドについて、前述した方法で屈曲部の当接を確認したところ、屈曲部同士の当接が認められた。また、実施例9のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回全てで飛び出しは見られなかった。
<実施例10>
分離部13の幅bを1mmとした以外は、前述した実施例3と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行って、実施例3に対して、屈曲部14,15の高さは変えずに、分離部13の幅bのみを広くした実施例10のケーブルガイドを得た。
この実施例10のケーブルガイドは、治具71を1本使用した試験では屈曲部同士の当接は認められなかったが、治具71を2本使用して第1底辺部及び第2底辺部の両方同時に引っ張る試験を行ったところ当接が認められた。また、実施例10のケーブルガイドを、実施例2と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中1回、ケーブルの飛び出しが確認された。
<実施例11>
屈曲部14,15の高さcを3mmとした以外は、前述した実施例4と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例4と同様の方法及び条件で加工を行って、実施例4に対して、分離部13の幅bは変えずに、屈曲部14,15の高さのみ低くした実施例11のケーブルガイドを得た。
この実施例11のケーブルガイドは、治具71を1本使用した試験では屈曲部同士の当接は認められなかったが、治具71を2本使用して第1底辺部及び第2底辺部の両方を同時に引っ張る試験を行ったところ当接が認められた。また、実施例11のケーブルガイドを、実施例4と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中3回、ケーブルの飛び出しが確認された。
<実施例12>
ケーブルガイドの幅wを100mmとした以外は、前述した実施例5と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例5と同様の方法及び条件で加工を行って、実施例5に対して、分離部13の幅b及び屈曲部14,15の高さcは変えずに、幅wのみを広くした実施例12のケーブルガイドを得た。
この実施例12のケーブルガイドは、治具71を1本使用した試験では屈曲部同士の当接は認められなかったが、治具71を2本使用して第1底辺部及び第2底辺部の両方を同時に引っ張る試験を行ったところ当接が認められた。また、実施例12のケーブルガイドを、実施例5と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中2回、ケーブルの飛び出しが確認された。
<実施例13>
実施例13として、図10に示す構造のケーブルガイドを作製した。具体的には、第1底辺部11にのみ屈曲部14を形成し、第2底辺部12には屈曲部を形成しない構成とした以外は、前述した実施例1と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。
この実施例13のケーブルガイドは、屈曲部が設けられていない第2底辺部12での試験では端部同士の当接は認められなかったが、屈曲部が設けられている第1底辺部11での試験は当接が認められたため、一部当接有(△)と判定した。また、実施例13のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中3回、ケーブルの飛び出しが確認された。
<実施例14>
実施例14として、図11に示す構造のケーブルガイドを作製した。具体的には、屈曲部の代わりに、第1底辺部11及び第2底辺部12に傾斜部16,17を形成した以外は、前述した実施例1と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。その際、傾斜部16,17の長さは5mm、傾斜部16,17の高さは3mmとした。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、実施例14のケーブルガイドを得た。
この実施例14のケーブルガイドについて、前述した方法で傾斜部の当接を確認したところ、治具71を1本使用した試験では屈曲部同士の当接は認められなかったが、治具71を2本使用して第1底辺部及び第2底辺部の両方を同時に引っ張る試験を行ったところ当接が認められた。また、実施例14のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中2回ケーブルの飛び出しが確認された。
<比較例1>
図14は比較例1のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である。図14に示すように、比較例1のケーブルガイド100は、前述した実施例1〜14とは異なり、天井部に分離部が設けられており、屈曲部は設けられていない。具体的には、実施例1と同様の樹脂を使用し、高さh21mm、幅w31mm、厚さt2mm、天井部の分離部の幅b10mmの長尺成形体を作製し、この長尺成形体に対して実施例1と同様の方法及び条件で加工を行って、比較例1のケーブルガイドを得た。
この比較例1のケーブルガイドを、天井部が下になるように配置し、前述した方法で天井部の分離部側端部の当接を確認したところ、いずれの試験法でも当接は認められなかった。また、比較例1のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中10回ケーブルの飛び出しが確認された。
<比較例2>
図15は比較例2のケーブルガイドの構成を模式的に示す断面図である。比較例2として、底部に屈曲部も傾斜部も形成せず、分離部の幅bは0.2mmとし、それ以外は前述した実施例1と同様の方法及び条件で、長尺成形体を作製した。この長尺成形体に対して、実施例1と同様の方法及び条件で加工を行い、図15に示す構成の比較例2のケーブルガイド101を得た。
この比較例2のケーブルガイドについて、前述した方法で端部同士の当接を確認したところ、治具71を1本使用した試験でも、治具71を2本使用した試験でも、端部の当接は認められなかった。また、比較例2のケーブルガイドを、実施例1と同様の方法及び条件で飛び出し防止効果を評価したところ、10回中9回ケーブルの飛び出しが確認された。
以上の結果を、下記表1及び表2にまとめて示す。
Figure 2015194206
Figure 2015194206
上記表1及び表2に示すように、実施例1〜14のケーブルガイドは、比較例1,2のケーブルガイドに比べて、ケーブルの飛び出しが発生しにくかった。特に、屈曲部同士が接触する実施例1〜9のケーブルガイドは、ケーブルの飛び出し抑制効果が高く、1回の飛び出しも発生しなかった。以上の結果から、本発明によれば、作業性が良好で、かつ高速で屈曲移動した場合でもケーブルの飛び出しを防止することができるケーブルガイドを実現できることが確認された。
1〜7、100、101 ケーブルガイド
10 底部
11 第1底辺部
12 第2底辺部
13 分離部
14、15 屈曲部
16、17 傾斜部
20 側壁
21 貫通孔
30 天井部
31 ケーブル分離用内壁
40、40a、40b ケーブル収容部
50 切り込み
60、61 リブ部
70 上部治具
71 下部治具
80、81 評価用サンプル
例えば、図3に示すように、ケーブル収容部40の内側において、側壁20と第1底辺部11との交点から、屈曲部14の先端までの距離をX、屈曲部15の底辺側の端までの距離をYとしたとき、XがYよりも大きければ、第1底辺部11又は第2底辺部12が外側に向かって開いたとしても、屈曲部14の先端が屈曲部15に接触する。具体的には、各側壁20間の距離をa、分離部13の幅をb、各屈曲部14,15の高さをcとしたとき、前述したX及びYは、それぞれ下記数式2及び数式3で表される。

Claims (7)

  1. 内部にケーブルが収容され、前記ケーブルが接続されている装置の動作に追従して直線移動及び屈曲移動を行うケーブルガイドであって、
    熱可塑性樹脂からなり、底部と、側壁と、天井部とで構成され、押出成形により一体でかつ長さ方向に連続して形成されたケーブル収容部を有し、
    前記天井部から各側壁に亘る切り込みが長さ方向に間隔をあけて複数形成されると共に、
    前記底部は、長さ方向に延びる分離部によって幅方向に間隔をあけて、第1底辺部及び第2底辺部に2分されており、
    前記第1底辺部及び/又は第2底辺部の前記分離部側の端部には、それぞれ前記ケーブル収容部の内側に向かって傾斜する傾斜部又は屈曲する屈曲部が設けられ、
    前記屈曲移動時に前記天井部が外側になるように設置されるケーブルガイド。
  2. 前記ケーブル収容部の内側から外側に向かう力を加えることにより、前記第1底辺部及び第2底辺部のいずれか一方又は両方を変形させたとき、前記第1底辺部及び第2底辺部の各端部が相互に接触する請求項1に記載のケーブルガイド。
  3. 前記第1底辺部及び第2底辺部に前記屈曲部が設けられており、前記側壁間の距離をa、前記分離部の幅をb、前記屈曲部の高さをcとしたとき、下記数式Aを満たす請求項1又は2に記載のケーブルガイド。
    Figure 2015194206
  4. 前記第1底辺部及び第2底辺部の外面には、前記切り込みと整合する位置に、幅方向に略V字状の溝が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブルガイド。
  5. ケーブル収容部には、前記天井部から内側に向かって突出するケーブル分離用内壁が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブルガイド。
  6. 前記天井部の外面には、熱可塑性樹脂からなるリブ部が、前記側壁から延設されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブルガイド。
  7. 前記第1底辺部及び第2底辺部の外面には、熱可塑性樹脂からなるリブ部が、前記側壁から延設されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のケーブルガイド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110048361A (zh) * 2019-05-05 2019-07-23 天地科技股份有限公司上海分公司 高适应性采煤机拖缆装置
WO2021117458A1 (ja) * 2019-12-10 2021-06-17 株式会社オートネットワーク技術研究所 外装体、ワイヤーハーネス、ワイヤーハーネス配索装置、外装体の製造方法、およびワイヤーハーネスの製造方法

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