JP2006003793A - フレキシブル型ベルト状電子写真感光体およびこれを用いる湿式現像用画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体上に、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤およびバインダ樹脂を含有した単層型の感光層を形成してなるフレキシブル型のベルト状電子写真感光体において、前記正孔輸送剤は、分子量が900以上のポリマー構造を有しない化合物であることを特徴とするフレキシブル型ベルト状電子写真感光体である。
【選択図】なし
Description
本発明の感光体に使用される電荷輸送剤には正孔輸送剤と電子輸送剤とがある。
(正孔輸送剤)
本発明における正孔輸送剤は、分子量が900以上でありかつポリマー構造を有さない。これにより、この正孔輸送剤を含有するフレキシブル型のベルト状感光体は、繰り返し使用しても感光体表面にクラックが発生しにくく、長期にわたり高画質の画像を得ることができる。この理由は、分子量の大きな正孔輸送剤はバインダ樹脂に含有されてもバインダ樹脂の強度特性を損なわないためである。
さらに感光体を液体現像剤中に浸漬して画像形成を行う湿式現像方式であっても、前記正孔輸送剤が炭化水素系溶媒に対して高い耐溶剤性を有するために、正孔輸送剤の溶出量が少なく、感光体表面の正孔輸送剤の溶出による感度変化および外観変化を抑制することができる。正孔輸送剤の分子量は、2500以下であるのが電荷を輸送するという正孔輸送剤の性能上好ましい。
これに対して、前記分子量が900未満であると、前記感光体の機械的強度が低下し、さらに前記感光体の炭化水素系溶媒に対する耐溶剤性が低下する。また、正孔輸送剤がポリマー構造であると、十分な正孔輸送能を有さなくなるため、好ましくない。
なお、ここでいうポリマー構造を有さないとは、正孔輸送剤が重合体でないことをいう。また、正孔輸送剤の分子量は、構造式をもとに算出することができ、あるいは、質量分析計で得られたマススペクトルにより測定することができる。
また、前記スチリルアミン構造は、具体的には下記一般式(4)または(5)で表される構造を有しているのがよい。
本発明における電子輸送剤は、感光層中に正孔輸送剤と共に含有させる。電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体(例えば、後述する構造式ETM−1〜3で示されるナフトキノン誘導体)、キノンアゾ誘導体(例えば、後述する構造式ETM−4で示されるキノンアゾ誘導体)、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体(2,4,8−トリニトロチオキサントン等)、フルオレノン誘導体(3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体等)、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸誘導体、無水マレイン酸誘導体、ジブロモ無水マレイン酸誘導体などの電子受容性を有する化合物が挙げられる。また、上記化合物中には少なくとも1つの基:−NO2、2つ以上の基:−CO−、−COO−を含有するのが炭化水素系溶剤に対する耐溶剤性を向上させる上でよい。なお、これらの電子輸送剤は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。
電荷発生剤としては、例えば無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、α−チタニルフタロシアニン、Y−チタニルフタロシアニン、V−ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独または2種以上をブレンドして使用することができる。
本発明におけるバインダ樹脂は、無機性度を有機性度で割った値(I/O値)が0.38以上、より好ましくは0.38〜1.7の範囲内の値とするのが感光体の炭化水素系溶媒に対する耐溶剤性の面でよい。
ここで、無機性度を有機性度で割った値(以下、I/O値)とは、各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、例えばKUMAMOTO PHARMACEUTICAL BULLETIN、第1号、第1〜16項(1954年);化学の領域、第11巻、第10号、719〜725頁(1957年);フレグランスジャーナル、第34号、第97〜111頁(1979年);フレグランスジャーナル、第50号、第79〜82頁(1981年);などの文献に詳細に説明されている。
これらの文献によると、I/O値は、炭素1個の有機性度を20とし、これに対する各種極性基の無機性度(I)および有機性度(O)の値を下記表1のように定め、ついで、化合物中の無機性度(I)の総和と有機性度(O)の総和との比から算出できる。
上記一般式Resin−1は、有機性度20の炭素原子を14.6個、有機性度−10のIso分岐を0.8個それぞれ有しており、これらの総和は20×14.6−10×0.8=284である。
[無極性度(I)]
一般式Resin−1は、無極性度15のベンゼン環を2個、無極性度80の基:O−COOを1個、無極性度20の基:−O−を0.2個それぞれ有しており、これらの総和は15×2+80+20×0.2=114である。
[I/O値]
上記有機性度と無機性度より、一般式Resin−1のI/O値は114/284=0.4014となる。
本発明における感光層は単層型である。この単層型感光層は、上記した電荷輸送剤、電荷発生剤およびバインダ樹脂を同一層に含有した単一の感光層で構成されるものである。この単層型感光層は、層構成が簡単で生産性に優れており、層を形成する際の被膜欠陥を抑制でき、相間の界面が少なく光学的特性を向上できるという利点がある。
支持体としては、導電性を有する各種の可撓性材料が使用可能であり、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属が蒸着もしくはラミネートされたプラスチック材料、ニッケルやステンレスなどの金属薄膜、ポリイミド、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂にカーボンブラックなどの導電性フィラーを含有させたものなどが挙げられる。
なお、この可撓性支持体の厚さは、0.2〜100mmであるのが充分な機械的強度を得るうえで好ましい。また、この可撓性支持体と感光層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。さらに、感光層の表面には保護層が形成されていてもよい。
本発明の感光体は、エンドレスのベルト状の形態であるのが好ましい。このエンドレスのベルト状の形態は特に限定されるものではなく、例えば上記可撓性材料をシート状に形成し、このシートの端部同士を超音波融着などの方法で接合してエンドレス状とした継ぎ目(シーム)を有するタイプ、ニッケルなどを所定の径および膜厚に形成した継ぎ目のない(シームレス)タイプ、前記可撓性材料を溶融後、押出し機でチューブ状に押出し、所定の長さで輪切りにして形成するシームレスタイプなどが挙げられる。
また、本発明の感光体は、上記エンドレスのベルト状の形態で使用されるほか、ドラムやロールなどに直接巻き付けたり、被覆して用いてもよい。
前記したResin−1、2、3を使用した。
[比較例1〜3]
(単層型感光体の作製)
バインダ樹脂、電荷発生剤および電子輸送剤を表2に示す組み合わせで用いた。すなわち、表2に示す電荷発生剤(CGM−1〜4)を下記に示す所定量で用い、これに表2に示す正孔輸送剤(HTM−1〜9)を40重量部、電子輸送剤(ETM−1〜4)を50重量部、バインダ樹脂として粘度平均分子量50,000の共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−1)を100重量部、レベリング剤としてジメチルシリコンオイル(信越化学工業社製の商品名「KF−96−50CS」)を0.1重量部および溶媒としてテトラヒドロフランを750重量部の割合で加え、超音波分散機にて混合分散して単層型感光層用塗布液を調製した。ついで、この塗布液を、アルミ蒸着したポリエチレンフィルム上に塗布した後、130℃で30分間熱風乾燥することにより膜厚22μmの単層型電子写真用感光体を作製した。
CGM−1(X型無金属フタロシアニン):4重量部
CGM−2(Y型チタニルフタロシアニン):2重量部
CGM−3(V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン):4重量部
CGM−4(クロロガリウムフタロシアニンII型):4重量部
なお、チタニルフタロシアニン(CGM−2)を使用する場合には、該チタニルフタロシアニン2重量部に分散補助剤としてピグメントオレンジ(Pigment Orange)16を2重量部の割合で添加した。
上記電子写真感光体を所定の大きさ(長さ10mm、幅50mm)に切り抜いた。ついで、この感光体の両端を引っ張り試験機を用いて引っ張り、感光体表面にクラックが発生しはじめた張力値について目視観察で評価した。
上記電子写真感光体を所定の大きさ(長さ360mm、幅560mm)に切り抜いた。ついで、この感光体を市販のベルト状感光体を搭載した負帯電型のカラープリンタに搭載し、40,000サイクルの連続駆動を行った後、感光体の感度変化および感光体表面の外観変化について評価した。評価方法を以下に示す。
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、外径60mmのアルミ製のドラムに前記感光体を巻付け、ついでこの感光体表面を700Vに帯電させた後、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.0μJ/cm2)を露光(照射時間:50msec)した。そして、露光開始から330msec経過した時点での表面電位(残留電位)を測定し、これを感度とした。感度は初期の電位(700V)と露光後の残留電位との差が大きいほど、感光体が高感度であることを示している。この感度は駆動前と駆動後にそれぞれ測定し、これらの差(駆動後の感度−駆動前の感度)を感度変化とした。
連続駆動後の感光体表面の外観変化を以下の基準で目視にて評価した。
◎:外観変化は見られない。
○:目立った外観変化は見られない。
△:外観変化(クラック・折れ曲がり)が見られる。
×:外観変化(クラック・折れ曲がり)が顕著に見られる。
上記連続駆動後の感光体を所定の大きさ(長さ130mm、幅180mm)に切り抜いた。次に、炭化水素系溶媒(エクソン化学社製の商品名「アイソパーL」)を500mLのメスシリンダーに入れ、ついで、この炭化水素系溶媒中に前記感光体を2,000時間浸漬した後、上記した繰り返し試験と同様にして、この感光体の感度変化および感光体ドラム表面の外観変化を評価した。
また、浸漬後の炭化水素系溶媒の吸光度を測定して、炭化水素系溶媒中の正孔輸送剤の溶出量を評価した。評価方法を以下に示す。
正孔輸送剤を所定濃度にて炭化水素系溶媒に溶解させ、UV測定により、前記正孔輸送剤のピーク波長での濃度−吸光度検量線を作成した。ついで、感光体を浸漬した炭化水素系溶媒のUV測定を行い、前記検量線を用いて正孔輸送剤のピーク波長での吸光度から溶出量を算出した。溶出量は、値が小さいほど感光体の耐溶剤性が高いことを示している。
2 帯電器
3 露光光源
4 湿式現像器
4a 現像ローラ
4b 現像液
5 転写器
6 転写材
7 クリーニングブレード
8 除電光源
10 円筒状ローラ
Claims (6)
- 支持体上に、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤およびバインダ樹脂を含有した単層型の感光層を形成してなるフレキシブル型のベルト状電子写真感光体において、前記正孔輸送剤は、分子量が900以上のポリマー構造を有しない化合物であることを特徴とするフレキシブル型ベルト状電子写真感光体。
- 湿式現像方式に使用される請求項1記載のフレキシブル型ベルト状電子写真感光体。
- 前記正孔輸送剤は、分子内に少なくとも1つの下記一般式(1)または(2)で表されるスチリルアミン構造を含有する請求項1または2記載のフレキシブル型ベルト状電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤は、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンから選ばれる少なくとも1種を含有している請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブル型ベルト状電子写真感光体。
- 前記バインダ樹脂は、無機性度を有機性度で割った値(I/O値)が0.38以上である請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブル型ベルト状電子写真感光体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブル型ベルト状電子写真感光体の周りに少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段が配設され、炭化水素系溶媒にトナーを分散させた液体現像剤を用いて画像形成を行うことを特徴とする湿式現像用画像形成装置。
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