JP2005512086A - 時間相関のある多光子計数計測のシステムおよび方法 - Google Patents

時間相関のある多光子計数計測のシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、発光の特性を示すための方法および計測システムである。本方法は、励起光のパルスによって発光物質を照射するステップ、励起光のパルスと相関関係のあるトリガ信号を提供するステップ、光電子増倍管(PMT)のような光検出器によって、励起光のパルスの結果生じる発光物質から発せられた複数の光子を検出するステップ、検出された光子に対して光子到着時間を定めて解析モジュールに入力するのに適した、各励起に対する、ゼロ、1つ、または複数の光子到着時間含む出力を供し、解析モジュールにおいてその出力を受け取るステップ、ならびに、解析モジュールにおいてベイズ推定に基づく統計的解析を実行することにより発光物質の特徴的特性を決定するステップを有する。

Description

本発明は、発光寿命を計測する方法およびシステムに関する。より具体的には、時間相関のある多光子計数(TCMPC)(Time Correlated Multi-Photon Counting)計測における計測時間を顕著に減少させる方法および装置に関する。
発 明 の 背 景
物質の発光放射の計測は、化学、生物学、工学、材料科学、といった学問分野、ならびに、化学プラントにおける汚染モニタリングおよび製造制御、から、DNAの解読にわたる応用領域といった広範な範囲において微細な分析技術として著しく重要になりつつある。これら領域の多くにおいて、対象とする物質の放射する弱いが特徴的な放射をバックグラウンド光と区別することは困難である。当該物質の光放射の寿命の計測を用いて所望の信号をバックグラウンドと識別することが時には可能である。これに関連し、我々は、光の励起パルスに応答して放射される光の強度が初期値の1/e(〜1/2.7)にまで減少するのにかかる時間を物質の発光寿命と定義する。この特徴的時間は、内包される過程によって、1ナノ秒未満から数分までの範囲にわたることができる。このような過程は、蛍光、発光(luminescence)、または、燐光と表現され得るが、所望の光放射の寿命が別のソースの光の寿命と異なれば、その検出性能は向上可能である。
蛍光計測の一例はDNA解読である。ここでは、分子断片が蛍光色素によって「ラベル化('labelled')」され、色素染料でラベル化された断片の蛍光放射を用いて所与のアミノ酸のシーケンスでどのアミノ酸基から開始または終了しているかを特定することに用いられる。他の用途には、標的分子に対するポテンシャル・ドラッグ(potential drug)のスクリーニングがある。一般に、蛍光強度の変化を用いて化学的テスト(chemical test)に反応した「ヒット('hits')」の特定、または、ポテンシャル・ドラッグと標的分子との相互作用の「検定('assay')」の特定を行う。この場合、ドラッグもしくは標的のいずれか、または、両者がラベル化されてよい。解読およびスクリーニングの両方において、蛍光分子の特徴的な寿命は検出を向上する上で使用できる。
蛍光物質とは、高い電子状態に励起可能であって、その基底状態への緩和に際して光子を放出可能な物質である。励起から光子の放出までにかかる時間、放射された光子の強度、および、光子のエネルギ(振動数)は全て、計測可能な特性であり、物質の特徴付けに用いられる。一般に励起状態は、物質に短い光パルスを受けさせることで達成される。光子の放出はポアソン過程(Poisson process)であり、放射された光子の強度は連続的に減少し、一般に、指数関数的な減衰に従う。蛍光物質を特徴づけるのに有用な方法には、励起から光子が検出器に到着するまでにかかった時間の計測がある。λ(t)は、あらゆる時刻、時刻tにおけるポアソン到着率(Poisson arrival rate)を示しており、それは次式で与えられる。
Figure 2005512086
ここで、Aは単一の蛍光物質の強度を示しており、1秒あたりの光子数で計測され、時刻0(励起の時刻)においては初期強度とも称され、αは蛍光の減衰定数を表しており、ネーパー毎秒(nepers/second)で計測され、また、1/αは蛍光寿命を表しており、これは時には蛍光物質を特徴づけることに用いられる。サンプルが1よりも多くの蛍光物質を有するならば、光子の到着率は一般に複数の指数の式(multiexponential expression)で表される。
物質の蛍光寿命を決定するために広く用いられている技術は、時間相関のある単一光子計数(TCSPC)(Time Correlated Single Photon Counting)である。TCSPCにおいて、サンプルは一般に、短い光パルスを受けさせられる。これはサンプル内の物質を励起する。物質が、もし蛍光物質であれば、励起の後、短い時間をおいて光子を放出する。放出された光子は検出され、また、励起光パルスと最初の放出された蛍光光子の到着との間に経過した時間が計測システムにより記録される。本技術では、最大励起毎に1つの光子を計数することのみ可能である。到着時間の分布に関する描写を求めるには、低確率で光子放出を与える低強度の励起光パルスを用いているので、実際は励起毎に1未満の光子が計数される。よって、TCSPCを用いて特定の物質の蛍光寿命特性の信頼できる計測をするには、つまり、蛍光減衰曲線を求めるには、サンプル内の物質を励起し、最初に放出された光子を検出する過程を数多く繰り返す必要がある。計測は、数千もの励起−光子検出サイクルのうちの数十程度を含むことが可能である。TCSPC法は絶えず改良されており、例えば、米国特許第5,990,484号は高強度励起光パルスを使用可能な放出光子総数を計数する方法および装置を開示しており、また、米国特許第4,686,371号は励起光パルスの長さおよび強度における変動を補償する方法を開示している。
上述のように、TCSPCは、上記の方法を用いたとしても時間のかかる計測である。当業界においては、この方法は、後から放出された光子にも特徴的寿命を決定するのに有用な情報がふくまれているのに、最初に放出された光子のみを検出し、蛍光寿命の決定に用いている点で無駄の多い方法であることが知られている。TCSPCを拡張して後続の光子も検出して記録する数多くの手法が提案されている。最近開発されたTCSPC技術では、様々な多重化技術が含まれており、これらは原理的には、複数の検出器が1つまたは複数の分析手段に接続されている。これは例えば、スクーリングら(Scuhling et al.)による多重化単一光子計数(Multiplexed single-photon counting)、Rev. Sci. Instrum. 67(6)、2238−2246、1996年6月、に記されている。代替的に、複数の要素の検出器が提案されている。それは例えば、ブラウンら(Browne et al.)による、複チャンネル計数システムのための100ナノ秒反同時回路(A 100ns anti-coincidence circuit for multi-channel counting system)、Meas. Sci. Technol. 6(6)、1487−1491、1996年6月、に記されている。この提案されている多重化時間相関性単一光子計数(M−TCSPC)(Multiplexed Time Correlated Single-Photon Counting)技術は、TCSPC技術に比べて著しく改善されているが、1回の励起パルスに続いて検出可能な光子の数は、使用される検出器(または検出要素)の数で制限され、よって物質の蛍光寿命を決定するにはまだなお、数多くの励起サイクルが必要とされる。加えて、複数要素を有する検出器はコスト高である。なぜなら、システムは多重化構成において数多くの個別の検出器を供するからである。
上記のように、周知の装置および計測技術は数多くの不利点および制限を有し、その中でも最も重要なことには、長い計測時間が挙げられる。よって、当該技術分野においては計測時間が短縮されるような計測システムおよび方法を提供する必要がある。
発 明 の 概 要
本発明の目的は、適用用途の大部分において、計測時間を著しく減少させるシステムおよび方法を提供することである。本発明に係るシステムは請求項10に規定され、また、方法および対応するソフトウェア・モジュールについては請求項1ないし請求項9に規定される。
本発明による有利点の1つは、利用可能なデータをより上手に使用できるようにするベイジアン・アルゴリズム(Bayesian algorithm)を用いることにより、限定的なデータセットを使用可能とすることである。
また、別の本発明の有利点は、寿命分析において、PMTの不感時間、または、非デルタ照明(non-delta illumination)、等、といった他の器具に関するパラメータを考慮することが可能な点である。
先行技術とは対照的に、さらに別の本発明の有利点は、計測の結果として、蛍光寿命、および/または、強度の、事後確率分布を与えることができる点である。先行技術では寿命および/または強度の計測として単一の値のみを与える。
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明する。
発 明 の 詳 細 な 説 明
本発明による創意に富んだ計測システムを、図1および図2の概略図を参照して説明する。図1は、本発明による単一チャンネルTCMPCシステムを示す。蛍光物質は、サンプル110に含まれる。サンプルに励起光のパルスを繰り返し照射する励起光源120が配される。光源は、パルスレーザが望ましい。光源駆動および制御ユニット130は、レーザ用電源を有し、光子計時ユニット150に対してトリガ信号140を生成するように構成されている。励起光の反復率は、次の励起パルスまでにサンプルの蛍光が完全に減衰する程度に十分に低い。例えば約200kHzのパルス頻度が一般に適当である。励起光パルスの持続時間は、信頼性のある寿命計測を行うため、蛍光剤(fluorophore)の蛍光寿命よりも著しく短くあるべきである。一般的な蛍光剤は、1−100ナノ秒の範囲の蛍光寿命を有し、適当な光パルスの長さは0.5ナノ秒のオーダーである。パルスの頻度は、一般に、調査中のサンプルに対して調整されるパラメータの例である(光パルスの長さはレーザに固有の特性であって一般に容易には変更不可能である。)。加えて、光源120ならびに光源駆動および制御ユニット130は、パルス数および励起光の強度といった他のパラメータを調整する設備を有して、例えばサンプル内の蛍光剤の量、結果に必要な精度、等を償うことが望ましい。上記特性、ならびに、それ故に駆動および制御ユニットを有する光源、例えばパルスレーザは当業界において周知であり、例えばIBHのNanoLED−07ピコ秒レーザ源(NanoLED-07 picosecond laser source from IBH)のように市販されている。
サンプル110を含んだサンプル・チャンバに隣接して光検出器160が配されている。これには、放出された蛍光光子を検出する目的がある。サンプルと検出器との間には別の光学的構成要素が配される。例えば、サンプルから集められた蛍光の量を最大化して検出器に光の焦点を合わせることに用いられる数枚のレンズがある。さらには、ダイクロイック・ミラーおよびフィルタが用いられて波長の範囲を選択し、励起光が検出器に到達することを防ぎ、蛍光剤の蛍光スペクトルに対応する波長範囲を有する光のみを検出器に到達させる。光学的構成要素は蛍光を幾つかの鋼線に分離して別々の検出器に向けることにも用いられる。この分離は別の方法によっても実現可能である。それは例えばビーム分割キューブの使用や、複枝の光ファイバ(multi-branch fibre optics)の使用によって実現可能である。これらは当業界では周知であり、市販されている。(例えば、オリエル・インスツルメント(Oriel Instrument)、米国、コネチカット州、ストラットフォード、ロングビーチブールバード150(150 Long Beach Boulevard, Stratford, CT, USA)、または、メレス・グリオット(Melles Griot)、英国、ケンブリッジシャー、エリー、セントトーマスプレース(St Thomas Place, Ely, Cambridgeshire, England)である。)光検出器は、光子を計数する光電子増倍管(PMT)を有することが望ましいが、アバランシェ・フォトダイオードといった他の検出器を用いることもできる。光検出器からの信号は一般には、前置増幅器170において増幅される。増幅の後で信号は、信号から望ましくないノイズを取り除いてPMTで光子から生成された電気パルスだけを残す弁別器(discriminator)ユニットに通されてもよい。そして弁別器ユニットは光子計時ユニット150に接続される。光子計時ユニットは、例えば非常に高速なアナログ/デジタル変換器(A/D変換器)、および、データポイント記録用メモリを有する。上述の通り、TCSPCに基づく技術では最初に放出された光子のみだが、光検出器160および光子計時ユニット150によって、励起毎に、励起光パルスにより生じる、1つよりも多くの光子を記録することが可能である。このことが、光検出器160、および、光子計時ユニット150にある要請を加える。つまり、PMTにより検出された光子は、現行の技術では、およそ4−6ナノ秒の持続時間(a duration of c.a. 4-6 ns)を有する出力パルスを生じさせる。PMTパルスの時間的な位置を特定するには、下記の方法に従い、少なくともパルス毎に4−8個のデータポイントが必要である。このようなパルスを複数個検出するには、A/D変換器は少なくともおよそ毎秒2ギガサンプル(2GS/s)のサンプリング周波数、および、およそ100ナノ秒ほどの収集期間(acquisition period)に対応したデータポイントを記録する性能を備える必要がある。このような高度な性能を有するA/D変換器は、ごく最近になって市販されるようになった。適当なA/D変換器の例としては、アクイリス・ヨーロッパ(Acquiris Europe)、スイス、ジュネーブ、プラン−レ−エーテ1228、シェミン・ドゥル18(18 chemin des Aulx, 1228 Plan-les-Ouates, Geneva, Switzerland)、のAcquiris DP210(2GS/s)がある。集められたデータポイントは到着時間決定モジュール155で解析される。このモジュール155は好ましくは光子計時ユニット150の内部、または、代替的に外部コンピュータ180内部に存在するソフトウェアプログラムモジュールとして実現され、蛍光光子の到着時間を決定する。到着時間決定のための適切なアルゴリズム例は以下において示される。到着時間決定モジュールから光子の到着時間に関するデータセットを受け取り、そして解析するように、解析モジュール185は構成される。これは、好ましくはコンピュータ180に導入され実行されるソフトウェアプログラムパッケージである。コンピュータは、PC、もしくは、ワークステーションといった汎用コンピュータ、または、専用機である。コンピュータ180は好ましくは、計測の制御、機器のモニタリング等にも用いられ、よって、計測システムの他のユニットと接続される通信手段(図示せず)を備えている。そして、計測制御190のためのソフトウェアプログラムモジュールもまた、コンピュータにインストールされて実行される。当業者には知られていることだが、ソフトウェア・モジュール155、185、および、190のインストールおよび実行は、様々な方法により、様々なコンピュータの構成において可能である。例えば、計測制御ユニット190は研究室状態(laboratory condition)に適したPCにおいて実行可能であり、到着時間決定モジュール155は、光子計時ユニット、および、特定の解析に必要な計算速度を備えて設計された専用機の内部の解析モジュール185内に組み込むことが可能である。解析モジュール185で用いられる、創意に富んだ方法いついては、以下で詳細に説明する。
PMTのような光検出器は一般に、4−5ナノ秒間持続する信号を与える。その間、PMTはいかなる新しい光子も検出することはできない。このことは時に、PMT不感時間と称される。そのPMT不感時間の間に、つまり、5ナノ秒も間隔を置かないで光子が到達すれば、計測システムはそれを記録することができない。以下でさらに説明するように、PMT不感時間を考慮に入れて解析手法を構成することは可能であるが、システムは特定の期間、光子を記録することができないという事実により、必要な計測時間は長くなる。
本発明のある実施形態においては、計測システムは、複数の光検出器(PMT)、および、それらに接続された増幅器を有し、複チャンネルTCMPCを供する。図2においては、二重チャンネルシステムを例示しており、第1PMT200、および、第2PMT205を有し、それらはそれぞれ前置増幅器210および215と接続されている。前記増幅器は、独立したチャンネルを備えた共通の光子計時ユニット150に接続される。代替的に、複数の光子計時ユニットを用いることができる。PMTの1つが光子を検出した後で回復中であっても、その他は後続の光子を検出することが可能である。このようにして、システムの実効的な不感時間は減少される。2つよりも多くのPMT−増幅器のチャンネルを用いてさらに実効的PMT不感時間を減少させることができる。
本発明に係る、創意に富んだ方法および計測システムを用いる試験手順について、図3を参照して説明する。本試験手順は変形可能であり、これより説明する手順は数多くの可能な実施形態の1つであるとみなすべきである。本計測の目的は一般に、蛍光の初期強度、蛍光寿命(1/α)、または、サンプル110に含まれる1つもしくは複数の蛍光剤の強度もしくは寿命に関する事後確率分布を決定することである。
本試験手順は以下を含んでいる。
300:最初のステップ300において、ユーザは、計測制御モジュール190および解析モジュール185に、計測を制御する数多くのパラメータを入力して主にサンプルについての事前の知識によって適切な解析アルゴリズムを選択する。また、パラメータはPMT不感時間といった機器の性能を示している。以下に説明する創意に富んだ方法にとって重要であるパラメータは、以下のものを含んでいる。
N − 励起(レーザーパルス)の数
α − 蛍光寿命の逆数(既知であれば)、および/または、寿命の事前分布、P(α
− 蛍光の初期強度(既知であれば)、および/または、強度の事前分布、P(A
δ − PMT不感時間
τ − 励起後、検出器が遮断(blocked)される時間
υ − 各励起後、記録される期間
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8 − 解析アルゴリズム
パラメータの多くは計測のそれぞれに対して変更されず、初期値(default value)はデータベースに記憶されることが望ましい。
305:サンプル110をパルス状態のレーザ120で照射することで計測が開始される。
310:次なるステップ310においては、放出される光子がPMTチューブ160により収集され、信号が前置増幅器170によって増幅され、場合によっては弁別されて望ましくないノイズが除去される。
315:ステップ315においては、以下に説明する方法の1つを用いることにより、光子計時ユニット150および到着時間決定モジュール155によって放出された光子の到着時間が決定される。到着時間決定モジュール155は各励起nに対してデータセットDを解析モジュール185に出力する。これには、光子到着時間が含まれる。
320:ステップ320においては、予め定めた励起数Nに達せば、手順はステップ325に進み、そうでなければステップ300−320が繰り返される。
325:ステップ325においては、データセットDを、アルゴリズムA1−A8の1つ(または、複数)を用いて解析する。これらアルゴリズムはベイズ推定に基づいている。
330:最後のステップ330においては、結果がユーザに示される。選択されたアルゴリズムおよびユーザの嗜好によって、出力は、蛍光寿命もしくは初期強度の分布、結合分布(joint distribution)、蛍光剤寿命測度(measure)、等である。
代替的に、予め定めた精度に達すれば計測手順を停止することができる。この場合、ベイズ推定(ステップ325)を用いた解析はアルゴリズムの主ループ内で実行される。例えば、蛍光寿命の計測が所定の精度を有するならば、ループは中断される。当然のことだが、加えて、手順は使用されるパルスの数に制限があり、これにより、仮に特定の精度に満たなくとも計測が完了される。
到着時間決定モジュール155において実行される光子到着時間の決定の方法を、図4a−bを参照して説明する。図4aは、一般にトレースとして知られている、光子計時ユニット150からの出力の例である。最上の曲線における冒頭のブロードなピークは、励起光源110がサンプルを照射した際の、光源駆動および制御ユニット130から光子計時ユニット150へ送られるトリガ信号140である。注目すべきは、このトリガ信号自体は実際のレーザーパルス(ほんの0.5ナノ秒しか持続しない。)よりもずっと長い(この場合およそ50ナノ秒間持続する。)ことである。光計時ユニット150は信号の増加部分のみを用いてタイム・ベースを開始させるトリガを決定する。光子計時ユニットは、トリガ信号の残りの部分を無視する。注目すべきは、トリガ信号の長さは、レーザーパルスの長さとは一致していない点である。もしレーザーパルスが光子計時ユニットの分解能よりも長ければ、時間τの間光検出器が遮断することができる。PMTが放出された蛍光光子を検出し、PMTからパルスを生じさせ、前置増幅器において増幅され(図3における実線)、弁別されてノイズを除去し(図3における破線)、そして、A/D変換器で二値化(digitised)されて、ピーク210として示される。注目すべきは、弁別器が信号内において遅延を導入する点であり、これは、実線および破線で示されたパルスの位置のずれに説明を与えている。この時間の遅延は定数であり、問題とはならず、後で計時ユニットによって差し引くことができる。トリガ信号と第1のピーク210との間に経過した時間が、第1の蛍光光子の到着時間である。第2のピーク220は後続の蛍光光子に対応する。
蛍光光子の到着時間の決定の方法を、以下、図4a−bを参照して説明する。トレースはデータポイントのリストであり、各ポイントは、所与の時刻におけるPMTからの出力電圧である。複数の光検出器を備えた実施形態においては、対応する複数のパラレルなトレースが生じる。最初のステップ505においては、時刻ゼロはトリガパルスの開始のときと定義される(例えば、トリガパルスがその最大振幅の50%に達した時刻とする。)。第2のステップ510は、閾値よりも大きいトレースの部分を選択することによって弁別する(これは、弁別器内のソフトウェアまたはハードウェアにより実施可能である。)。続くステップ515においては、電圧の極大を、直前および直後の両ポイントよりも大きなポイントとして定義する。ステップ520において、その極大と対応する時刻が記録される。これを、光子の到着時間と定義する。この方法は、光子計時ユニット150または外部コンピュータ180のいずれかにおいて実行されるソフトウェアプログラムとして実現されることが好ましい。その結果は、各励起パルスnに対して計測された到着時間のデータセットDとなる。当業者にとっては当然のことだが、データポイントのトレースから到着時間を求めるのに別の方法を用いることもできる。例えば、予め設定された閾値よりも大きな最初のポイント、または、ピーク内において最大の傾き(最大の導関数)を有するポイントを用いて到着時間を定義することができる。選択した方法は一般に、到着時間の定義において要求される精度と到着時間の決定に必要とされる計算時間との間にトレードオフの関係を有する。
図4bは、図2の計測システムで生じる、2つのトレース、および、レーザーパルスからのトリガ信号を示している。複チャンネルおよび単一チャンネルのTCMPCの両方においてさらに、各チャンネルに1つずつ、弁別器、または、その他のノイズリダクション手段を有することができる。
注目すべきは、これら全ての方法において時折アーチファクトが生じることである。アルゴリズムは、選別のクライテリアを満足する単一のパルスにおける2つの(または、より多くの)ポイントを確認するかもしれない。そのアーチファクトなポイントを除去するため、サブルーチンが幾つかの選別されたポイントがPMT不感時間よりも短い時間間隔にあるかどうかをチェックし、その群中における最初のポイントのみを選択する。
ベイズ推定
実施形態、アルゴリズムA1−A8により例示される本発明の方法は、ベイズ推定(Bayesian inference)の原理に基づいている。ベイズ推定は、様々な値をとる変数の確率に関する事前の知見に配慮しているデータを踏まえ、変数(またはベクトル変数)の(事後)確率分布を決定する方法を提供する。例えば、θを我々が知ろうとするものであると仮定する。通常、θは多くの数のベクトルでありうる。例えば、多くの蛍光剤の強度に関するベクトルであるかもしれない。Dは既知であるものと仮定する。Dは例えば、幾つかの光子の到着時間であってもよい。今、強度のベクトルを定めている、θの特定の値に対し、Dのある値はより尤もであり、その他はそれほど尤もではないことを知っている。我々はθからデータが生じる方法を知っているので、我々は厳密にどの程度尤もらしいかを述べることができる。換言すれば、我々はθおよびDの特定の値に対し、P(D|θ)、θが与えられたもとでのDの確率を評価することができる。また、我々は、Dを受け入れる前であってもθのある値が他に比べてより尤もらしいことを知っている。光子計数の例では、極端に大きな(例えば>1e15毎秒)またはあまりに小さな強度値に対して可能なように、負の強度を除外することができる。このことはすべて、P(θ)と記して、θの事前分布として正確に示すことができる。
我々が本当に欲しているのは、特定のD値が与えられたもとでのθの値である。これはベイズの定理より与えられる。
Figure 2005512086
この定理は特定のDの値が与えられた場合に、θの各値がどのくらい尤もであるかを我々に語っている。式2においては、P(θ)は事前確率(Prior)、P(D|θ)は尤度(Likelihood)、P(θ|D)は事後確率(Posterior)、そして、∫P(θ)P(D|θ)dθは(そのモデルに対する)証拠(Evidence)と称する。ベイズ推定により導かれる事後確率分布は様々な方法で使用されてよい。それは、事後確率分布全体を見る−ある場合においては可能であり(2よりも大きくない次元)、また、他の場合では不可能である。MAP(最大事後確率)−(可能であるならば)事後確率密度が最も大きいθの値を求める。平均事後確率値、θに関する値のみのレポート−θに関する平均事後確率値、∫θP(θ|D)dθのレポートを行う。無作為標本(random samples)−分布P(θ|D)から無作為標本を抽出する、である。無作為標本の方法は、時には、事後確率を用いる好適な方法である。無作為標本は独立であっても、非独立であってもよい。
ベイズの原理は、例えば蛍光寿命の決定に必要な計測時間を大幅に短縮するため、本発明に係る創意に富んだ方法において用いられている。計測時間の減少は、TCMPCでの利用に適化されたベイズ推定を用いることにより、先行技術の方法に比べて蛍光剤を特定するために必要な光子がほんの僅かでよいという事実に由来する。本方法は、励起パルスのそれぞれで複数の光子を検出する創意に富んだシステムが与える利点をフルに利用している。計測の前提条件、例えば、サンプル内にある異なる蛍光剤の数、次第では、先述のアルゴリズムA1−A8に対応する、本方法の別の実施形態が適切である。アルゴリズムは、コンピュータ180に組み込まれて実行されるソフトウェアプログラムとして(別の形態で具体化することも可能だが)分析モジュール185に含まれることが好ましい。図3を参照して概略した計測手順においては、これらのアルゴリズムに基づいたプログラムは初期化ステップ300および解析ステップ325において呼ばれる(address)。各アルゴリズムには、理論的背景の概要を付し、アルゴリズムは擬似コードとして添付のフローチャートを参照して示される。
アルゴリズムA1、未知蛍光剤寿命、単一蛍光剤、不感時間無し
単一の蛍光剤の減衰率は式1に示される。ベイズ推定を用いるため、我々は未知量について事前分布を有する必要がある。我々は、Aおよびαの両者についてガンマ分布を用いる。これらは共によく表現しており、比較的シンプルな数学に帰着される。ガンマ分布は2つのパラメータを有する、形状パラメータ、m、および、スケールパラメータ、r、である。これらは共に正でなければならない。その確率密度は次式で表される。
Figure 2005512086
rを変化させることにより分布全体のスケールが変わり、mを変化させることにより分布の形状が変化する。mが小さければ非常にブロードな分布が可能であり、mが大きい場合には非常に狭い分布となる。そのため、我々は適当なパラメータを選択してセットすることができる。
Figure 2005512086
および、
Figure 2005512086
事前確率と同様、我々は観測されたデータの尤度を計算できなければならない。励起nの間、光子は、時刻tn,1、tn,2、...、tn,Knに到着し、他の時刻にはないと仮定する。すると、我々は励起nよりデータDに関する次式で表される尤度を得る。
Figure 2005512086
なぜならば、ポアソン過程においては全ての事象はそれぞれ独立に生じるからである。一定の率λのポアソン過程においては、t1からt2までの期間に光子が生じない確率は、e−λ(t2−t1)である。率が一定で無い場合、この確率は、
Figure 2005512086
である。よって、次式を得る。
Figure 2005512086
N個の励起(励起間は独立)からのデータを全て統合することにより次式を得る。
Figure 2005512086
次に、ベイズの定理を適用して事後確率を求めることにより次式を得る。
Figure 2005512086
これは結合事後分布を与える。故に、次式
Figure 2005512086
は、α(蛍光剤の寿命の逆数)に関する周辺分布を与え、他方、次式
Figure 2005512086
は、初期強度Aの条件付き分布を与える。
上記理論的背景、および、図3に示すフローチャートの参照を伴って、以下にソフトウェア実行に適切なアルゴリズムを示す。本アルゴリズムはA1と示される。先に議論したように、蛍光剤の、寿命1/α、および、初期強度Aは未知であるが、通常、ユーザはこれらの値に関してあり得る範囲について何らかのあいまいな知見を有しており、これを用いてベイズ推定に必要な事前確率分布を作成することができる。
アルゴリズムA1
500:図3のフローチャートのステップ300に含まれる、最初の初期化ステップ500において、ユーザは、αおよびAを記述する関数、値、または、分布を入力する。可能であれば、プログラムは結果をプロットしてもよく、よって、ユーザは成果を認識する。
505:ステップ305−320に対応する、計測ステップ505において、到着時間のデータセットがDに収集される。
510:ベイス推定の解析、ステップ510(325に対応)は、サブステップ(510:1−5)を有する。
510:1 A、α(または、logA、logα)のグリッドを設定する。
510:2 値Aおよびαの各組み合わせに対し、
Figure 2005512086
(式8)を計算する。
510:3 以下の工程により結合確率分布P(A,α|D)を正規化する。
P(A,α|D)の各グリッドポイントの値とその点に適当な直積測度との積をとる。
全ての軸で総和をとる。
原分布を総和の結果で割る。
510:4 各周辺に対する以下の工程により、P(A,α|D)を周辺化してP(α|D)およびP(A|D)(式9、10)を得る。
P(A,α|D)の各グリッドポイントの値とその点に適当な直積測度との積をとる。
周辺を必要とする軸を除く全ての軸で総和をとる。
結果として生じる分布の各グリッドポイントの値をその点に適当な周辺測度で割る。
520:出力ステップ520(330に対応)においては、結果として生じる分布はユーザに対して例えばグラフとして示される。他の測度をその分布から計算可能であり、例えば、第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均(the marginal means with the 5th and 95th centiles)、であり、時には、蛍光剤の寿命の引用測度である(an often quoted measure of the lifetime of a fluorophore)。
実際には、通常、上記計算ステップは、Pとしてではなく、logPまたは−logPの形で行われる必要がある。これはアンダーフローおよびオーバーフローを避けるためである。当業者には当然のことだが、計算ステップにおいては、自明な計算量の節約は数多く行われてよい。それは例えば、総和をとる際に変化の無い部分の再計算を回避することである。
正規化ステップ510:3は、以下の工程により実施されることが好ましい。
Aの値のグリッドは、X=(x,x,...,x)であり、αの値のグリッドは、y=(y,y,...,y)である。xおよびyのそれぞれについて測度を関連づける。m(x)=(xh+1+x)/2−(x+xh−1)/2、および、m(y)=(yj+1+y)/2−(y+yj−1)/2、ならびに、m(x,y)=m(x)m(y)とする。正規化結合分布は次式で与えられる。
Figure 2005512086
ここで、記号は全て、グリッドポイントに記憶されている値を示し、代入記号:=は、古い値に代えて記憶される新しい値を示している(これらは比例定数までのみ正しい。(which were only correct up to a constant of proportionality))。
周辺化ステップ510:4は、好ましくは以下を計算することで実施される。
Figure 2005512086
出力ステップ520における、第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均に関する随意的な計算は、累積密度関数を計算することによって実施されることが好ましい。
Figure 2005512086
であって、P(A≦x)≦0.05である最大のhを求め、また、
Figure 2005512086
であって、P(A≧x)≦0.05である最小のhを求める。
光子誘起性の初期および最終不感時間、ならびに、未知の寿命を有する単一の蛍光剤(Single fluorophore, with photon-induced, initial, and final deadtimes and unknown lifetime)
ベイズ推定に備わった主な有利点の1つは、例えば、設備の性能および解析におけるアーチファクトを記述しているパラメータの導入の可能性である。従来技術のようにアーチファクトを反映した発見的要素によって結果を補償するよりも、これらのパラメータを考慮に入れる方が、結果は真の分布を示すようになる。
上記の表記を採用し、検出器は光子が到着するごとにその後δの期間、励起後の期間τの間、そして、常に励起後はυよりも長く、検出器が不感であると仮定する。再度、我々は観測されたデータの尤度を計算しなければならない。励起nの間、光子は、時刻tn,1、tn,2、...、tn,Knに到着し、他の時刻にはないと仮定する。先述のように、我々は励起nよりデータDに関する次式で表される尤度を得る。
Figure 2005512086
なぜならば、ポアソン過程においては全ての事象はそれぞれ独立に生じるからである。この式と、これと対応したもう1つの式との違いは、「他に光子は無い("no other photons")」なる語句の意味である。先のセクションにおいては他の光子は絶対に無いことを意味していたが、今回は、検出器が機能している時間において他の光子が無いことを意味している。
先述のように、この確率は、
Figure 2005512086
であり、ここで、Tは検出器が機能している時間のセットを示している。よって、
Figure 2005512086
を得る。ここで、最後の行(the last line)は、不感時間と続く期間υとでオーバーラップが無いものと仮定した場合に、従う。よって、次式を得る。
Figure 2005512086
N個の励起(励起間は独立)からのデータを全て統合することにより次式を得る。
Figure 2005512086
次に、ベイズの定理を適用して事後確率を求めることにより次式を得る。
Figure 2005512086
故に、
Figure 2005512086
である。他方、
Figure 2005512086
である。故に、この場合も所与のαに対するAの条件付き事後分布はガンマ分布である。
僅かな修正を加えることで、アルゴリズムA1も使用することができる。
つまり、ステップ510:2において、P(A,α|D)は、様々な不感時間を考慮して、式8の代わりに式11より求められる。
520:計算する。
Figure 2005512086
アルゴリズムA2、複数の蛍光剤、未知蛍光剤寿命、不感時間有り
我々はこれより、A,α、(iはi=1,...,I)なるパラメータを用いて幾つかの蛍光剤があるようなまだ残されている複雑な状態を導入して解析を繰り返す。不感時間は、いずれの蛍光剤より光子が来たか、とは独立である。
そこで、次式を得る。
Figure 2005512086
ここで、太字AはAsベクトルを示し、αはαsベクトルを示す。先述のように、我々は次式を得る。
Figure 2005512086
ここで、最後の行は、不感時間と続く期間υとでオーバーラップが無いものと仮定した場合に、従う。よって、次式を得る。
Figure 2005512086
N個の励起(励起間は独立)からのデータを全て統合することにより次式を得る。
Figure 2005512086
次に、ベイズの定理を適用して事後確率を求めることにより次式を得る。
Figure 2005512086
我々は今、アルゴリズムA2を用いている。このアルゴリズムは、A1に類似するように見受けられるものの、P(A,α|D)を求めるステップ520において、式8の代わりに、様々な不感時間、ならびに、複数の未知の蛍光剤寿命および強度を考慮する式14を用いてP(A,α|D)を求めている点で相違する。
510:2 多次元グリッド上の各ポイントに対して計算する。
Figure 2005512086
式14の様子から見て、また、さらに重要なことだが、今回はグリッドが多次元であるという事実から解ることだが、このアルゴリズムA1の代替物は時に計算量が多く、時間のかかるものである。
アルゴリズムA3、寿命が既知である複数の蛍光剤
本発明の創意に富んだ方法に関する第3の実施形態は、サンプルに含まれる蛍光剤の寿命が既知であるような計測例について触れている。これは、例えば複合的な有機分子に既知の蛍光剤で「タグ付け("tagged")」したような場合に該当する。望まれる測度は、例えば、初期強度Aに反映される、蛍光剤の量、または、初期強度Aの比率に反映される、異なる蛍光剤の量の比率、であってよい。
上記の式14は、寿命が既知の場合、以下のように簡単化される。
Figure 2005512086
しかし、これでは、第2の因数に含まれる項数ゆえに、簡単で高速な実施をするには不十分である。加えて、光子の発せられた蛍光剤を推定することにより、計算が簡単化され、よってベイズ推定の解析に必要な時間は顕著に短縮される。意外にも、ここで、我々は余分な変数を数多く導入することにより進展を見る。−実際には、捕捉した光子ごとにI個の新しい変数を導入する。捕捉した光子φn,kのそれぞれに対し、我々はI個の変数sn,k,iを導入する。これは、φn,kが蛍光剤iによって放出されたものであれば1、そうでなければ0と定義される。変数sは、光子がどの蛍光剤由来のものであるかを伝えている。Sをこれら新しい変数全てのデカルト積とする。
上式を以下のように複雑化させる。
Figure 2005512086
次に、
Figure 2005512086
よって、
Figure 2005512086
単に、上記議論より完全に積分を取り除くことにより、次式を得る。
Figure 2005512086
これは、アルゴリズムA3の開始点である。
これより、太字Aと太字Sの結合分布より無作為標本を抽出することを計画する。これを実行するため、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いる。特に、所与の無作為標本に対し、jが偶数であれば、太字Sj+1を太字Sと等しくし、P(太字A|太字Sj+1)から太字Aj+1を抽出し、また、jが奇数であれば、太字Aj+1を太字Aと等しくし、P(太字S|太字Aj+1)から太字Sj+1を抽出する。
P(太字S|太字Aj+1)から太字Sj+1を抽出することは容易である。なぜなら、この条件付き分布太字Sは、K個の成分太字sn,kについて分離可能であり、これらはそれぞれシンプルな離散分布である。
Figure 2005512086
そして、太字sn,kはそれぞれ独立的に取り扱うことができる。
P(太字A|太字Sj+1)から太字Aj+1を抽出するには、I個のガンマ分布からのサンプリングが必要である。これをどのようにして行うかはアペンディックスに例示する。論議されている分布は次式のように表される。
Figure 2005512086
無作為標本(太字A,太字S),(太字A,太字S),...の列(sequence)を得れば、太字Sの値を捨てて太字Aのサンプル列に変換する。
上記理論的背景、および、図3に示すフローチャートの参照を伴って、以下にソフトウェア実行に適切なアルゴリズムを示す。本アルゴリズムはA3と示される。
アルゴリズムA3
600: 図3のフローチャートのステップに含まれる、最初の初期化ステップ600において、ユーザは、αおよびAを記述する関数、値、または、分布を入力する。
600:1 a)先の試験からの情報に基づくのであれば、
600:1.1 i)かつ、先の試験の事後確率がガンマの形式(式3)であれば、
先の試験の事後確率からmおよびrをコピーする。
600:1.2 ii)例えば、f(A)といった別の分布の形式を有するなら、
f(A)をプロットし、ガンマ関数がf(A)を模倣するようになるまでmAi,rAiを調整する。
または、
情報のロス、
Figure 2005512086
を考察し、何らかの最小化ルーチンを用いて、mおよびrを調整して最小のIm,rにする。
600:2 b)もし情報が、蛍光剤に対する曖昧な知見であれば、それぞれの蛍光剤に対し、その分布が「心象像("mental image")」にフィットするように、mAi、rAiを選択する。
600:2.1 各Aに対し、以下を行う。(for each Ai do)
600:2.1.1 a)mAi>0を選ぶ。(これは、値が大きくなればなるほど、事前確率が低下する(narrower)。)
600:2.1.2 b)事前確率の平均μを選ぶ。(例えば10は10ナノ秒あたり1光子を意味する。)
600:2.1.3 c)mAi/μをrAiに代入する。
600:2.1.4 d)スクリーンに事前確率を(線形または対数スケールで)プロットする。
600:2.1.5 e)プロットが、望まれる心象像にフィットしているか?この問いに対し、はい、であれば、新たな次のA(iに進め(goto i))に進め、いいえ、であれば、必要に応じて(a)から(e)を繰り返せ。
605: ステップ305−320に対応する、計測ステップ605においては、到着時間に関するデータセットは、Dに収集される。
610: ベイズ推定の解析、ステップ610(325に対応)は、サブステップ(610:1−4)を有する。
610:1 初期化。
610:1.1 必要なサンプルの数を設定する。
610:1.2 各Aに対し、開始する値を設定する。オプションは、
i)Aの事前確率からの無作為標本の選択。
ii)Aの事前確率からの平均の選択。
iii)Aの事前確率からのモードの選択。
iv)ユーザ入力データ。
610:2 太字Sのアップデート(太字sn,kは各光子の源を表す。)
610:2.1 各n(1,2,...,N)に対し、以下を行う。(For each n(1,2,...,N))
610:2.1.1 各k(1,2,...,K)に対し、以下を行う。(For each k(1,2,...,Kn))
610:2.1.1.1 太字sn,kのアップデート
離散分布(式17)から無作為標本を選択する。
Figure 2005512086
610:2.1.2 次のkに進む。(Next k)
610:2.2 次のnに進む。(Next n)
610:3 太字Aのアップデート
610:3.1 各i(1,2,...,I)に対し、以下を行う。(For each i(1,2,...,I))
610:3.1.1 Aのアップデート
610:3.1.1.1 次式の計算を行う。
Figure 2005512086
610:3.1.1.2 次式の計算を行う。
Figure 2005512086
610:3.1.1.3 パラメータm,rを有するガンマ分布からの無作為標本を新しいAの値に設定する。(アペンディックス参照。)
610:3.1 次のiに進む。(Next i)
610:4 太字Aの値を太字Aのサンプルのリストに加える。
610:5 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、620に進め、いいえ、であれば、610:2−5を繰り返せ。
620: 出力ステップ620(330に対応)においては、結果として生じるサンプルのリストがユーザに対して示される。任意で(先のアルゴリズムでの周辺分布に対応する)ヒストグラムを示すこともできる。ヒストグラムより、例えば第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均(the marginal means with the 5th and 95th centiles)といった、他の測度を計算することが可能である。
代替的に、ソースの変数太字Sで開始することも等しく可能である。アルゴリズムは僅かに変更される。重要な変更点を以下に示す。
610:1 初期化
Figure 2005512086
と定義される値s’n,kのそれぞれに対し、セット{1,2,...,I}からランダムに値を選択する。
610:2 太字Aのアップデート
610:3 太字Sのアップデート
注記するが、ステップ610:3においては、パラメータm,rを備えたガンマ分布から無作為標本(random sample)を抽出する手順は様々な方法で実行可能である。適当な方法についてアペンディックスに記す。
図5は、サブステップ610:1においてユーザが入力した3つの事前分布を示す。図6においては、ステップ620の示す典型的な出力である。図6は3つの異なる蛍光剤に対するヒストグラムを示す。xの印が付された線が真の値を示す。
当業者には当然のことだが、上記のアルゴリズムは数多くの異なる方法でソフトウェアのコードに変換することができ、また、効率的な計算、および、例えば、ループ内で変化のある部分のみをループ内で計算する、といった効率的なコードを実現するように注意を払うべきである。このような簡単化、および、その他の簡単化は熟練したプログラマには明白であり、本発明の部分とは考えない。
アルゴリズムA4、A5、および、A6:複数の蛍光剤、既知の寿命および光子の時間のビンニング(binning of the photon times)
本発明に係る創意に富んだ方法の別の実施形態においては、先のアルゴリズム(A3)を修正し、計測システムが時間に関して有限の分解能を有するという事実を考慮している。機器の分解能は一般に、光子計時ユニット150のサンプリング・レートにより決定され、この値は毎秒2ギガサンプルのオーダーであり、これにより0.5ナノ秒の分解能が与えられる。有限分解能の影響により、時間分解能未満の間隔で到着した光子を時間に関して分離することはできない。これらは一緒に「ビン詰め("binned")」される。到着時間に関するセットの代わりに、データは実際、ビン位置(bin position)に関する固定化されたセットからなり、各励起ごとに各ビンにおいて到着した光子の数が含まれる。この、光子の到着時間の、時間に関するビンニング(binning)は、ベイズ推定解析において好都合に利用することができる。実際、アルゴリズムA4は、データがビン詰めされていない場合であっても、A3よりもある意味、有用である。なぜなら、推定アルゴリズムを使用する前にデータをビン詰めするのが容易だからである。
アルゴリズムA3の手順を考慮すれば、特に太字Aj+1をP(太字A|太字Sj+1)からリサンプリングするステップにおいては、注記すべきは、これを行う必要がある動的な情報(dynamic information)は、光子到着時間というよりはむしろ、
Figure 2005512086
なる量のセットのみであることである。このことは、リサンプリングの方程式よりわかる(この方程式はガンマ分布のパラメータを定義している。)。
Figure 2005512086
しかし、この量のセットは、事後サンプルによって、単に、どの程度の多さの、各蛍光剤に由来する光子が信じられるかを示している。
同様、P(太字S|太字Aj+1)から太字Sj+1を再サンプリング(resampling)する場合、(離散分布を定める)リサンプリングの式から分かるように、我々の必要とする動的な情報は太字Aj+1の値のみである。
Figure 2005512086
よって、光子がどの蛍光剤に由来するものであると現在信じられているかを憶えていようと忘れようと構わず、単に、それぞれの時間ビン(time bin)にどれくらい存在するか、そしてどれくらいの数が(トータルで)各蛍光剤に割り当てられているか、を憶えていれば十分である。
そして、変数太字Sを追跡して再サンプリングする代わりに、各蛍光剤に由来すると信じられている各時間ビン内の光子数のみを憶えて再サンプリングすればよい。
そして、形式的には、蛍光剤iに由来する、時間ビンk内の光子数を、全ての励起を一緒にして、bk,iと定める。cn,kを励起nに関する時間ビンk内の光子総数とし、太字Cがデータを構成する。dをビンkの中間時間、wをその幅とし、同一ビン内の他のtにおいて、
Figure 2005512086
は、
Figure 2005512086
と無視しうる程度にしか違わないと仮定する(もしそうでなければ、代わりに下記のアルゴリズムA7を使用する。)。
よって、太字Sj+1に関するリサンプリングの式からわかるように、太字Aj+1の下での太字bの条件付き分布は、次式で与えられる多重的トスの確率(multi-way toss probabilities)により与えられる。
埋め込み
Figure 2005512086
トスの総数は、
Figure 2005512086
である。奇数jに対しては、上記で定義される多重的トスの確率で多項分布からサンプルを引き出し、一方、偶数jに対しては、次式により太字Aj+1を再サンプリングする。
Figure 2005512086
多項分布から効率的にサンプルを引き出す方法は、アペンディックスに記す。これには、漸近的に、最大のトス確率(largest toss probability)と積算されたビン内の光子の総数の平方根程度にかかる。実行時間はもはや、アルゴリズムA3のように捕捉した光子の数に比例せず、この数の平方根に比例する。
上記論法、および、導出より、アルゴリズムA3を修正することができる。これを図3のフローチャートを参照して以下に記す。
アルゴリズムA4
700: 図3のフローチャートのステップ300に含まれる、最初の初期化ステップ700において、αおよびAを記述する、関数、値、または、分布をユーザが入力する。
700:1 a)情報が先述の試験によるものであれば、
700:1.1 i)かつ、先述の試験の事後確率がガンマの形式(式3)であれば、
先述の試験の事後確率からmおよびrをコピーする。
700:1.2 ii)他の分布、例えば、f(A)を有するならば、
f(A)をプロットし、ガンマ関数がf(A)を模倣するまでmAi,rAiを調整するか、
または、
情報のロス、
Figure 2005512086
を考察し、何らかの最小化ルーチンを用いて、mおよびrを調整して最小のIm,rにする。
700:2 b)もし情報が、蛍光剤に対する曖昧な知見であれば、それぞれの蛍光剤に対し、その分布が「心象像」にフィットするように、mAi、rAiを選択する。
700:2.1 i)各Aに対し、以下を行う。
700:2.1.1 a)mAi>0を選ぶ。(これは、値が大きくなればなるほど、事前確率が低下する。)
700:2.1.2 b)事前確率の平均μを選ぶ。(例えば1080−10ナノ秒あたり1光子。)
700:2.1.3 c)mAi/μをrAiに代入する。
700:2.1.4 d)スクリーンに事前確率を(線形または対数スケールで)プロットする。
700:2.1.5 e)プロットが、望まれる心象像にフィットしているか?この問いに対し、はい、であれば、新たな次のA(iに進め)に進め、いいえ、であれば、必要に応じて(a)から(e)を繰り返せ。
705: ステップ305−320に対応する、計測ステップ705においては、到着時間に関するデータセットは、Dに収集される。
710: ベイズ推定の解析、ステップ710(325に対応)は、サブステップ(610:1−4)を有する。
710:1 初期化。
710:1.1 (ハードウェアの仕様より)ビンの大きさと位置を設定する。
710:1.2 各時間ビン中の光子を計数する。
Figure 2005512086
710:1.3 必要なサンプルの数を設定する。
710:1.4 各Aに対し、開始する値を設定する。オプションは、
i)Aの事前確率からの無作為標本の選択。
ii)Aの事前確率からの平均の選択。
iii)Aの事前確率からのモードの選択。
iv)ユーザ入力データ。
710:2 太字Bのアップデート
710:2.1 各k(1,2,...,K)に対し、以下を行う。
710:2.1.1 bのアップデート
710:2.1.1.1 トス数トータル、
Figure 2005512086
および、トスの確率(toss probability)、
Figure 2005512086
(アペンディックス参照。)を有する多項分布からの無作為標本をbとする。
710:2.2 次のkに進む。
710:3 太字Aのアップデート
710:3.1 各i(1,2,...,I)に対し、以下を行う。
710:3.1.1 Aのアップデート
710:3.1.1.1 次式の計算を行う。
Figure 2005512086
710:3.1.1.2 次式の計算を行う。
Figure 2005512086
710:3.1.1.3 パラメータm,rを有するガンマ分布からの無作為標本を新しいAの値に設定する。(アペンディックス参照。)
710:3.2 次のiに進む。
710:4 太字Aのサンプルのリストに太字Aの値を加える。
710:5 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、720に進め、いいえ、であれば、710:1−5を繰り返せ。
720:出力ステップ720(330に対応)においては、結果として生じるサンプルのリストがユーザに対して示される。任意で(先のアルゴリズムでの周辺分布に対応する)ヒストグラムを示すこともできる。ヒストグラムより、例えば第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均(the marginal means with the 5th and 95th centiles)、ならびに/または、総強度のフラクション(fractions of total density)といった、他の測度を計算することが可能である。
先述のアルゴリズムと同様、太字Aと太字Bをアップデートする順番を、アルゴリズムの僅かな変更で逆にすることが可能である。
アルゴリズムA4の実行時間の大部分は、多項分布から無作為標本を抽出すること(サブステップ710:2)に費やされる。これらサンプルをそれらの平均に置き換えることでより高速なアルゴリズムがもたらされる。ある状況下では使用できる程度であると考えられるものの、得られる結果の精度には著しい劣化が予想される。アルゴリズムをこのように変更したものはA5と称することにする。さらなる簡単化は、ガンマ・サンプル(サブステップ710:3)をその平均に置き換えることであり、これにより非常に高速化されたものの正確性に欠けるアルゴリズムとなっている。これをA6と称することにする。
アルゴリズムA7、寿命が既知である蛍光剤、光子時間のビンおよびサブビンへのビンニング(binning of the photon times in bins and subbins)
本発明の創意に富んだ方法の別の実施形態は、本方法の能力と有用性を示す。先のアルゴリズムにおいて導入されたビンを非常に大きなものと、つまり、特定の計測に対して明らかに必要な分解能よりも機器の分解能が低いと仮定する。下記のアルゴリズムは、サブビンを導入して各ビンを数多くのサブビンに分割することにより、さもなくば機器の分解能のために分かりにくくなる情報を抽出することを可能にしている。サブビンは必ずしも同等のサイズを有する必要はなく、例えば、対数的に間隔を置いてもよく、また、必ずしも同数のサブビンを各ビンが含まなくともよい。
ここで、変数太字Bと類似の数多くの変数をさらに導入する。これは、各光子がどの蛍光剤に由来するものであるかのみならず、収容されることが分かっているビンの中のどのサブビンに収容されるかをも示している。
P(太字A|太字Bj+1)からの太字Aj+1の再サンプリングはA4と同じように行われる。だが、ここでは、各ビンに対してP(太字B|太字Aj+1)からの太字Bj+1の再サンプリングが、オプションの数が蛍光剤の数とサブビンの数の積であってトスの総数がそのビン中の光子総数であって多重トス確率(multi-way toss probability)がサブビン中心時間(subbin centre time)と関連した蛍光剤減衰時間とによって決定される、多項分布にわたって行われる。当然だが、最終的には、単に変数太字Bの情報を捨てることにより、サブビンの情報を捨てる。
細部においては、先のように本来の時間ビン(original time bin)の中心が時間dにあると仮定し、ここでビンkは時間dk,lに中心があって幅がwk,lであるサブビンLに分割されるとする。同様、bk,i,lは、現在、蛍光剤iに由来し、ビンkのサブビンlにあると推定される光子数とする。太字bを再サンプリングしなければならない多項分布は、現在、総トスが、
Figure 2005512086
であり、起こり得るトスの結果はILある。だが、トスの確率の計算は、先例よりも僅かに困難である。式20よりP(太字A,太字S|D)に関して変形すると、ビンkにおけるトスの結果(i,l)の確率は、
埋め込み
Figure 2005512086
で、一方、太字Aj+1を再サンプリングする場合は、次式、
Figure 2005512086
より作業する。それは通常、ガンマ分布である。
上記論法および導出より、アルゴリズムA4はそれに従って修正される。それを以下に図3のフローチャートを参照して説明する。修正は、ベイズ推定の解析に関するサブステップ、サブステップ810;1−5のみになされている。これは、アルゴリズムA4のステップ710に対応している。よって、以下で、それらサブステップを説明する。
アルゴリズム A7:
810:1 ベイズ推定解析、ステップ810(710に対応)は以下のサブステップを有する。
810:1 初期化
810:1.1 (ハードウェアの仕様より)ビンの大きさおよび位置d(k=1,2,...,K)を設定する。
810:1.2 (dのビンの内部で)各kに対してサブビンの大きさおよび位置dk,l(l=1,2,...,L)を設定する。
810:1.3 各時間ビンにおける光子数を計数する。
Figure 2005512086
810:1.4 必要なサンプル数を設定する。
810:1.5 各Aに対する開始値を選択する。オプションは、
i)Aに関する事前確率からの無作為標本の選択。
ii)Aに関する事前確率からの平均の選択。
iii)Aに関する事前確率からのモードの選択。
iv)ユーザ入力データ。
810:2 太字Bのアップデート
810:2.1 各k(1,2,...,K)に対し、以下を行う。
810:2.1.1 太字bのアップデート
総トス数
Figure 2005512086
、結果の数IL、および、
トス確率
埋め込み
Figure 2005512086
、(アペンディックス参照)を有する多項分布からの無作為標本を太字bとする。
810:2.2 次のkに進む。
810:3 太字Aのアップデート
810:3.1 各i(1,2,...,I)に対し、以下を行う。
810:3.1.1 Aのアップデート
810:3.1.1.1 mを計算する。
Figure 2005512086
810:3.1.1.2 次式を計算する。
Figure 2005512086
810:3.1.1.3 パラメータm,rを有するガンマ分布からの無作為標本を新しいAの値に設定する。(アペンディックス参照。)
810:3.2 次のiに進む。
810:4 太字Aの値を太字Aのサンプルのリストに加える。
810:5 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、820に進め、いいえ、であれば、810:1−5を繰り返せ。
先のアルゴリズムのように、アルゴリズムを僅かに修正することで太字Aおよび太字Bのアップデートの順序を逆転することが可能である。
アルゴリズムA8、複数の蛍光剤、未知の寿命、ビンおよびサブビンへの光子時間のビンニング(binning of the photon times in bins and subbins)
以下の本発明の実施形態において例示される、未知の寿命を有する複数の蛍光剤の場合においても光子到着時間をビンおよびサブビンにビン詰め(binning)する原理を用いることができる。これは、アルゴリズムA7の一般化ととらえることができる。先のように、寿命が未知である場合、これらについてガンマ事前確率(Gamma priors)を仮定する。
Figure 2005512086
である、よりシンプルなケースとなるような簡単化は自明であろう。
アルゴリズムA2の説明において明確に記されているように、ビン詰め(binning)前における事後確率は次式で与えられる。
Figure 2005512086
ビン詰めされたデータおよび付加的変数により、先のアルゴリズムの表記法を用い、全てのkについて、
Figure 2005512086
(および、さもなくば、
Figure 2005512086
)であるという制約の下で、次式を得る。
埋め込み
Figure 2005512086
条件付き分布を記述することは容易である。
Figure 2005512086
(これは、ガンマ分布の積である。)
P(太字A|α,太字B,D)は、トス確率、
埋め込み
Figure 2005512086
および、総トス数
Figure 2005512086
を有する多項式の積であり、最終的には、次式を得る。
Figure 2005512086
当然のことながら、ここで、ガンマ関数は非定数として計算する必要がある。
これら3つの条件付き分布が与えられているので、原理的には以下のように再サンプリングすることができる。奇数jに対しては、上記多重トス確率を有する多項分布から太字Bj+1のためのサンプルを抽出し、一方、偶数jに対しては、先ず周辺条件付き分布P(αj+1|太字Bj+1,D)からαをサンプリングし、そして、条件付き分布P(太字Aj+1|αj+1,太字Bj+1,D)から太字Aj+1をサンプリングすることで、(太字Aj+1,αj+1)(αはベクトル)を再サンプリングする。
この手順で、今までに完全に規定されていない部分は、P(αj+1|太字Bj+1,D)からの再サンプリングのステップのみである。これについては以下で展開される。
上記の論法および導出により、それに従ってアルゴリズムA7を修正可能である。これを図3のフローチャートを参照して以下に説明する。重要な修正は、アルゴリズムA4のサブステップ810:1−4に対応する、ベイズ推定解析のサブステップ、サブステップ910:1−4のみで行われている。よって、これらサブステップのみを以下で説明する。
アルゴリズムA8
910: ベイズ推定解析、ステップ910(810に対応)は以下のサブステップを有する。
910:1 初期化
910:1.1 (ハードウェアの仕様により)ビンの大きさおよび位置d(k=1,2,...,K)を設定する。
910:1.2 (dのビンの内部で)各kに対してサブビンの大きさおよび位置dk,l(l=1,2,...,L)を設定する。
910:1.3 各時間ビンにおける光子数を計数する。
Figure 2005512086
910:1.4 必要なサンプル数を設定する。
910:1.5 アルゴリズムA4においてrAi、mAiを設定した方法と同じ方法の1つで、rAi、mAi、および、rαi、mαiの両方を設定する。
910:2 各jに対し、以下を行う。
910:2.1 もし、jが奇数であれば、太字Bをアップデートする。
910:2.1.1 各k(k=1,2,...,K)に対し、以下を行う。
910:2.1.1.1 太字bのアップデート
総トス数
Figure 2005512086
、結果の数IL、および、
トス確率
埋め込み
Figure 2005512086
、(アペンディックス参照)を有する多項分布からの無作為標本を太字bとする。
910:2.1.2 次のkに進む。
910:2.2 もし、jが偶数であれば、
910:2.2.1 以下により、(太字Aj+1,αj+1)を再サンプリングする。
910:2.2.1.1 P(αj+1|太字Bj+1,D)(式28)からαをサンプリングする(どのようにしてなされるかは、以下の説明を参照。)。
910:2.2.1.2 P(太字Aj+1|αj+1,太字Bj+1,D)(式26)から太字Aj+1をサンプリングする。
910:2.2.2 太字Aのサンプルのリストに太字Aを加える。
910:3 次のjに進む。
910:4 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、920に進め、いいえ、であれば、910:2−4を繰り返せ。
P(αj+1|太字Bj+1,D)からのαのサンプリング(ステップ935)は自明ではない。以下に容易にプログラム・コードに変換可能な適切な方法の概要を示す。
条件付き分布からのαの再サンプリングは以下のようにして実施可能である。マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を導入する。これの提案分布は、条件付き分布ではなく、先のサンプルに依存し、また、常には新しいサンプルを受容しない。
太字Bj+1およびD、ならびに、αのi番目の成分、つまり、αj,i、(ここでは、サンプルおよび成分がどれであるかを両方示すために2つの添え字を有する。)の先の値をも有すると仮定する。注意すべきは、P(α|太字B,D)の条件付き分布はiに関して分離可能であって、よって、各成分を別々に取り扱うことが可能である。現在の条件付き分布、P(α|太字B,D)を次式のようにf(α)とする。
Figure 2005512086
よって、αにおける総体的な変動(overall move in αi)は、この分布に関して細やかな均衡を保つ必要がある。もしそうであれば、先述の、変動についての代わりのシーケンス(alternating sequence of move)は、3つの変動のサブシーケンスの全て(every subsequence of three moves)に関して細やかな均衡を保持し、よって、MCMC手法に対する必要条件を満たすことは容易に示される。
この分布に関して細やかな均衡を保持する、変動に関する2つのポテンシャル型を有するならば、これら2つの型の1つをランダムに(ある固定的確率で)選択し、それを適用することで進む、複合的な変動となることも容易に示される。これより、変動に関する2つの型を示す。これを我々はある固定された確率(例えば0.5と0.5)で、再サンプルαに対し、変動が必要な時はいつでも使用する。
変動の両方の型には、提案分布g(α’|αj,i)からの提案値α’のサンプリングが含まれており、これはαの先の値、つまり、αj,iとは独立である。続いて、α’を受け入れるか(この場合、αj+1,iをα’と設定する。)、受け入れないか(この場合、αj+1,iをαj,iと設定する。)を確率的に決定する。両方の型において、受け入れる確率は次式の通りである。
Figure 2005512086
そして、残り全てが、1つについてそれぞれ両方の変動の型に関して、2つの提案分布を定義する。
提案分布 1 − 「粗いグリッド("The coarse grid")」
αj,iを与え、また、(一度だけ)パラメータγおよびHを定める。ここでγは正実数(20が好ましい。)であり、また、Hは正整数である(ここでも20が好ましい。)。
次に、Xを、セット
Figure 2005512086
とし、g(α’|αj,i)は、f(x)に比例した、Xに関する一意的な(離散的)確率分布とする。
提案分布 2 − 「細かなフィル・イン("The fine fill-in")」
同じパラメータγおよびHを用い、X2を閉区間
Figure 2005512086
とし、g(α’|αj,i)は、(1/x)に比例した、Xに関する一意的な(連続的)確率分布とする。
各計測において実行されるアルゴリズムでベイズ推定を実施することが本質である、本発明に係る方法と組み合わせて1つの励起の後で複数の光子を検出し記録する能力を有する計測システムは、先行技術と比較して計測速度において著しい改善が見られる。各計測においてソース(つまり、各光子の由来となる蛍光剤)を推定する、創意に富んだ方法では、計測時間がさらに短縮される(アルゴリズムA3)。表1においては、TCSPC法およびTCMPC法を用いて(異なる寿命を有する)4つの異なる色素を計測した時間の比較が記載されている。両機器においては同一の溶液を用いている。これらの数は暗示的に過ぎないが、TCMPC法に対して高速な時間が示される。
Figure 2005512086
本発明に係る上述の方法においては、生物分子に結合した蛍光剤の蛍光の減衰は、単一の指数関数的減衰(mono-exponential decay)またはある場合においては2つの指数関数的減衰(bi-exponential decay)でモデル化されている。しかしながら、限られた数の個々の減衰時間ではなく、減衰時間の分布を求めるような状況がある。複雑な異質の生物システム(complex heterogeneous biological systems)においては、複数の指数的減衰関数(multi-exponential decays functions)が単一の指数関数的な減衰を仮定するよりも、蛍光減衰データに関してより良いフィットを実現するように見て取れる。しかし、複数の別個の成分を仮定することは、本質的に任意であり、しばしば誤りを含んでいる。例えば、単一のトリプトファン蛋白質(a single tryptophan protein)に対し、減衰時間の分布は立体配座の分布を反映し、あるいは、多くのトリプトファンの残基を有する蛋白質かもしれず、個々の減衰時間を考慮することは実際的ではない。さらには、蛍光剤と環境との相互作用により、連続的な寿命の分布を示すような複雑な蛍光減衰のプロファイルが生じることもありうる。本発明による方法はこのような場合をも考慮している。
強度減衰λ(t)は寿命の分布ρ(τ)に置き換えて解析されてもよい。ここで、τ=1/αであり、αは減衰定数である。全体的な減衰則は次式となる。
Figure 2005512086
生体系の蛍光減衰は、ある場合には、いわゆる引き延ばされた指数型で記述されることが有利である。なぜなら、引き延ばされた指数型は蛍光寿命の連続的分布を反映するからである。引き延ばされた指数型は、次式によって導入される。
Figure 2005512086
ここで、hは異質性(heterogeneity)と呼ばれ、減衰時間の分布に関連する。基材と生成物との混合の場合、それぞれが蛍光減衰に寄与し、2つの引き延ばされた指数型の総和は次式のように使用してよい。
Figure 2005512086
引き延ばされた指数型のモデルは、アルゴリズムA1−A8で例示した本発明によるベイズ推定を用いた解析と、有利に組み合わされてもよい。例えば、アルゴリズムA1は、様々な不感時間を考慮し、引き延ばされた指数型のモデルを用いるように、以下のように修正してよい。
式32に記されるように、時間tにおけるポアソンの光子の到着率はλ(t)と表される。アルゴリズムA1の式(式11−13)は従って、データDの観測の尤度についての以下の表現を用いて修正される。
Figure 2005512086
ここで、検出器は、それぞれの光子が到着した後の期間δ、励起の後の期間τ、および、励起の後υよりも長い間、不感である。Kは、第n番目のレーザーパルスによって到着する光子数であり、tn,kは、レーザーパルスnからの第k番目の光子の到着である。さらに、事前確率分布の式は従って、異質性のパラメータhの値に関する事前の知見を有するように修正される。また、光子到着時間のビン詰め(binning)を用いているアルゴリズム(A4−A8)を含む、他のアルゴリズムも同様に引き延ばされた指数型を有するように修正されてもよい。
アルゴリズムA1−A8により例示された、創意に富んだ方法は、パルスレーザ120からの各励起光パルスの後での複数の光子の到着時間を検出し出力する能力を有する光検出器160と光子計時ユニット150を有する計測システムと組み合わせて説明している。これが、実施する上でのベストモードと考えられる。しかしながら、当業者にとっては当然のことだが、本発明に係る方法の一部分を、TCSPCおよび多重化TCSPC(Multiplexed-TCSPC)といった従来技術による装置とうまく組み合わせて、各励起パルスごとに、1つ(TCSPC)または限定的な光子数(Multiplexed−TCSPC)を提供することも可能である。
この創意に富んだ方法および計測システムを、本明細書では蛍光剤を用いて例示している。このようなシステムおよび方法に関する技術分野における技能を有する者にとっては当然のことだが、他の発光物質、例えば、燐光材料を特徴づけることにも同等に利用可能である。
説明した方法およびシステムでうまく分析することができる発光物質の例には、(通常は、短い寿命、一般に、<1ナノ秒−100ナノ秒のオーダーを有する、)蛍光物質、例えば、フルオレセイン、CyDye、および、臭化エチジウム、ならびに、(通常は、長い寿命(一般には数ミリ秒)を有する、)燐光物質、例えば、ルテニウム・キレート、テルビウム・キレートが含まれる。
説明した発明より明らかだが、本発明は様々に変更可能である。このような変更は本発明の範囲から逸脱していると考えるべきでない。また、当業者には明らかなように、これら修正は全て、クレームの範囲に含まれる。
アペンディックス
ガンマ分布および多項分布から、それぞれ無作為標本を抽出する方法について以下に記す。この解説は、熟練したプログラマであれば容易にアルゴリズムA3−A8から呼び出される(call)のに適したサブルーチンに変換可能な、ガイドラインの形式で記載する。
ガンマ分布からの無作為標本
ガンマ分布は、先述のとおり、次式で表される。
Figure 2005512086
これより無作為標本を抽出する方法は数多く存在する。現在のところ発明者が最もよく知る方法は、mが1未満であるか、1に等しいか、1よりも大きいか、によって異なる手続きがとられる。それらのどれが用いられるかによらず、先ず最初にr=1と仮定し、後で、結果生じたサンプルをrで割る。
容易なケース:m=1
この場合分布は指数分布に還元される。よって、累積分布関数は次式となる。
Figure 2005512086
また、区間[0,1]における一様な分布の乱数uを選択し、無作為標本として出力する式u=1−e−yをyについて解いてよい。
困難なケース:m<1およびm>1
これらのケースでは両方とも、棄却サンプリングの形式を用いる。
確率分布f(x)からのサンプルを欲し、確率分布g(x)からのサンプリングは既に可能であると仮定する。さらに、全てのxに対し、Kf(x)≦g(x)を満たすような定数Kが存在すると仮定する。そして、続くアルゴリズムが確率Kでf(x)からサンプルを生じ、残りの確率でサンプルを生じない。
g(x)から無作為標本yを抽出する。
確率Kf(x)/g(x)でyを結果として得られるサンプルとし、残りの確率で結果得られるサンプルがないとする。
よって、このアルゴリズムをサンプルを得るまで適用し続ければ、結局、N回の繰り返しの後、1−(1−K)の確率でサンプルを得る。この確率は、Nが無限大に近づくときに1に近づくので、最終的には確率1でサンプルを得る。
残るは、関連する各ケースに対するg(x)の明示、g(x)からのサンプル抽出の方法、および、Kf(x)/g(x)の計算の方法の説明、である。
m>1
g(x)は次式で与えられる。
Figure 2005512086
累積密度関数は次式で与えられる。
Figure 2005512086
ここで、正符号は、y>bの場合であり、そうでない場合は負の符号を採用する。よって、区間[0,1]からランダムにuを抽出し、yに関して、
Figure 2005512086
を解き、そして、yをg(x)からの無作為標本とすることにより、g(x)からランダムに抽出することが可能となる。
次に、
Figure 2005512086
とし、よって、
Figure 2005512086
であり、従って、次式の場合に極小化される。
Figure 2005512086
上式は最後の項がゼロとなる場合である。つまり、
Figure 2005512086
b>0なので、上式の第2項の判別式は負である。従って、ゼロになることは無く、常に正である。つまり、h(x)の極値はx=bにおいて極小となるのみであり、その点にて、
Figure 2005512086
であり、サンプルの受容の確率は、
Figure 2005512086
である。最後に注記するが、区間[0,1]から一様に分布する乱数νを抽出し、ν<p(x)であれば無作為標本を受容することで、受容の決定を行う。ν<p(x)であるか否かの試験は、多くの場合、νが、p(x)よりも常に小さく、計算が簡単である、別のxの関数で先ず試験して、もし、νがその関数よりも小さければサンプルを受容することにより、高速化が可能である。
m<1
この場合、
Figure 2005512086
ここで、t=1−mである。
累積密度関数は、
Figure 2005512086
よって、区間[0,1]から一様に分布する乱数uを抽出し、yに関してP(x<y)を解くことにより、g(x)から無作為標本を抽出することができる。
先のセクションにおける導出と同様に、次式のように設定することができる。
Figure 2005512086
上記の連続な区分の両方の極小値はその区分の左端である。つまり、
Figure 2005512086
である。よって、両方の場合において、
Figure 2005512086
である。
よって、受容の確率p(x)は、y≦tのとき、e−y、y>tのとき、(y/t)m−1、である。
最後に注記するが、受容の区間[0,1]から一様に分布する乱数uを抽出し、ν<p(x)であれば無作為標本を受容することにより、受容の決定を行っている。ν<p(x)であるか否かの試験は、先ず次式を計算し、
Figure 2005512086
そしてν<e−wかどうかを試験する。この試験は、多くの例において、先ず、ν>1/(1+w)(この場合、サンプルを棄却し、再度トライする。)か、ν<1−w(この場合、サンプルを受容して終了する。)かを試験し、次に進んだ場合にのみν<e−wかどうかを試験することで、高速化可能である。
多項分布からの無作為標本
最後に、多項分布からのサンプリングに効果的な方法を記す。
多項分布は二項分布に類似するが、2よりも多くの結果が起こり得るトスに対するものである。パラメータは、トスの総数、N、および、トスに関して生じうる異なる結果に対する確率のベクトル、太字pである。分布は次式で与えられる。
Figure 2005512086
単一の多項無作為標本の生成物を、二項無作為標本のシーケンスに変換する(Converting production of a single multinomial random sample into a sequence of binomial ones)。
この分布からサンプリングする上で著者の知る最良の方法は、その問題を二項無作為標本に変換することである。先ず、nおよび
Figure 2005512086
を決定し、二項の抽出、Nおよびp1のためのパラメータとして用いる。k番目では、nおよび
Figure 2005512086
を決定し、二項の抽出、
Figure 2005512086
およびpのためのパラメータとして用いる。これでは、どのように効率よく二項無作為標本を生成するのか、という疑問が残る。
二項無作為標本の作成
通常(本文に含まれる)2つの要素のパラメータベクトル太字pは単一の要素p=p(これは、後者の要素の総和は1となるので、一意的に太字pを決定する。)として表される点を除いては、二項分布は、I=2である、多項分布の特別な場合である。
二項分布からサンプリングする方法で発明者らの知る最良の方法は、先ず、次式、
Figure 2005512086
の値を降順に(実際に全てを計算するのではなく、概念的に)整理し、区間[0,1]で一様分布する乱数xを抽出し、そして、xから連続してqの値を最大のものから始めて続けて減算する。出力される値nは、qのインデックスであり、これはゼロを下回ってxに残された量である。
これを実行することにより、qが最適なオーダーから少し異なる状態で用いられても、ほぼ同様に機能する点で有利である。よって、我々は安全に、
Figure 2005512086
を仮定してこのqを先ず計算することができる。後続のものはそれぞれ順番に連続する前または後のものから計算することができる。
本発明に係る単一チャンネルTCMPCシステムの概略図である。 本発明の好適な実施形態による複チャンネルTCMPCシステムの概略図である。 本発明に係る計測および分析方法のフローチャートである。 光子計時ユニットからのトレースの例を示すグラフである。 複チャンネルTCMPCシステムから、光子計時ユニットからのトレースの例を示すグラフである。 ユーザによって入力された3つの事前確率分布の例を示すグラフである。 アルゴリズムA3−A8からの出力例を示すグラフである。
符号の説明
110 サンプル
120 励起光源
130 光源駆動および制御ユニット
140 トリガ信号
150 光子計時ユニット
155 到着時間決定モジュール
160 光検出器
170 前置増幅器
180 コンピュータ
185 解析モジュール
190 計測制御モジュール

Claims (13)

  1. 発光物質の1つまたは複数の特性を決定するための方法であって、
    a)励起光のパルスで前記発光物質を照射するステップ、
    b)前記励起光のパルスと相関関係のあるトリガ信号を供するステップ、
    c)光電子増倍管(PMT)といった光検出器で、前記励起光のパルスにより生じる発光物質から放射される複数の光子を検出し、前記光検出器が前記の光子検出事象に関する出力信号を供するステップ、
    d)検出された光子のそれぞれに対し、光子到着時間を定め、解析モジュールに入力するのに適した、各励起に対するゼロ、1つ、または、複数の光子到着時間を有する出力を供するステップ、
    e)予め定められた回数の励起が実行されるまで、ステップa)からd)を繰り返すステップ、
    f)解析モジュールにおいて前記出力を受け取るステップ、
    g)前記解析モジュールにおいて、ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行することにより前記発光物質の特徴的特性を決定するステップ、を有する方法。
  2. 前記発光物質の特性が、発光寿命、初期発光強度、および、初期発光強度に関する比率、といった、1つまたは複数の発光物質の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記の、ベイズ推定に基づいた確率論的解析を実行するステップが、検出された光子のそれぞれの由来となった発光物質を決定するステップを有することを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
  4. 前記の、ベイズ推定に基づいた統計的解析を実行するステップが、
    i)発光寿命αおよび初期強度Aの値に関するグリッドを設定するステップ、および、
    ii)αおよびAの各値に対して、結合分布を計算するステップであり、単一の発光物質の発光寿命および初期強度を決定するため、前記結合分布が次式の形、
    Figure 2005512086
    を有するステップ、を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記の、ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行するステップが、ベイズ推定における実験的アーチファクトを含めるステップを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記実験的アーチファクトが、PMTの不感時間を示す第1期間(δ)、および/または、励起の後の検出器の遮断を示す第2期間(τ)、および/または、各励起の後の記録の期間を示す第3期間(υ)を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  7. ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行するステップが、PMT不感時間を示す第1期間(δ)、励起後の検出器の遮断を示す第2期間(τ)、各励起後の記録の期間を示す(υ)を考慮するステップを有し、
    前記ステップがさらに、
    I)発光物質寿命αおよび初期強度Aの値に関するグリッドを設定するステップ、および、
    II)αおよびAの各値に対し、次式の形式を有する結合分布を計算するステップ、
    Figure 2005512086
    を含んでいる、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 前記の計測された特性の前記統計的不確実性が予め定められた値を下回るまで、または、ステップa)からg)までを予め定められた繰り返し回数だけ実行されるまで、ステップa)からg)までを繰り返すことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  9. 前記の、ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行するステップが、各時間ビンのどの部分に、各光子の真の到着時間が含まれるかを推定するステップをも含んでいることを特徴とする、請求項1または3に記載の方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の方法を実行するためのソフトウェアプログラムモジュール。
  11. 発光物質の特徴的発光特性を計測するための計測システムであって、
    光源駆動および制御ユニット、および、繰り返し発光物質を励起光のパルスで照射するための励起光源であり、前記の光源駆動および制御ユニットが励起光の各パルスと相関関係を有するトリガ信号を供する、前記光源駆動および制御ユニット、および、前記励起光源、
    励起光のパルスにより生じる発光物質から放射される複数の光子を検出するための、例えば光電子増倍管(PMT)といった、少なくとも1つの光検出器で、前記光検出器が光子を検出した事象に関する出力信号を供する、少なくとも1つの光検出器、
    前記の増幅された出力信号および前記トリガ信号を受け取るように接続された光子時間を決定するための手段で、放出された光子のそれぞれに対して光子到着時間を決定し、複数の光子到着時間に関する出力を供するための、光子時間決定のための手段、ならびに、
    前記の光子時間決定手段から出力された前記の複数の光子到着時間を受け取るように構成され、前記複数の光子到着時間から前記発光物質についての特徴的特性を決定することができる、前記複数の光子到着時間を解析するための手段、を有し、
    前記光子時間決定手段が、複数の検出された光子、同一の励起光により生じる複数の光子に関係する複数の到着時間測度を決定して記憶し、また、
    前記の、複数の光子到着時間を解析するための手段が、ベイズ推定に基づく、発光物質の特徴的な発光特性を決定するためのアルゴリズムを用いていることを特徴とする、計測システム。
  12. 前記複数の光子到着時間を決定するための手段が、請求項9の定めるプログラムソフトウェアモジュールを有することを特徴とする、請求項11に記載の計測システム。
  13. 前記光子時間決定手段が、1ギガヘルツを上回るサンプリング周波数で、前置増幅器からの前記信号を記録するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の計測システム。

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