JP2005512086A - 時間相関のある多光子計数計測のシステムおよび方法 - Google Patents
時間相関のある多光子計数計測のシステムおよび方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
物質の発光放射の計測は、化学、生物学、工学、材料科学、といった学問分野、ならびに、化学プラントにおける汚染モニタリングおよび製造制御、から、DNAの解読にわたる応用領域といった広範な範囲において微細な分析技術として著しく重要になりつつある。これら領域の多くにおいて、対象とする物質の放射する弱いが特徴的な放射をバックグラウンド光と区別することは困難である。当該物質の光放射の寿命の計測を用いて所望の信号をバックグラウンドと識別することが時には可能である。これに関連し、我々は、光の励起パルスに応答して放射される光の強度が初期値の1/e(〜1/2.7)にまで減少するのにかかる時間を物質の発光寿命と定義する。この特徴的時間は、内包される過程によって、1ナノ秒未満から数分までの範囲にわたることができる。このような過程は、蛍光、発光(luminescence)、または、燐光と表現され得るが、所望の光放射の寿命が別のソースの光の寿命と異なれば、その検出性能は向上可能である。
本発明の目的は、適用用途の大部分において、計測時間を著しく減少させるシステムおよび方法を提供することである。本発明に係るシステムは請求項10に規定され、また、方法および対応するソフトウェア・モジュールについては請求項1ないし請求項9に規定される。
本発明による創意に富んだ計測システムを、図1および図2の概略図を参照して説明する。図1は、本発明による単一チャンネルTCMPCシステムを示す。蛍光物質は、サンプル110に含まれる。サンプルに励起光のパルスを繰り返し照射する励起光源120が配される。光源は、パルスレーザが望ましい。光源駆動および制御ユニット130は、レーザ用電源を有し、光子計時ユニット150に対してトリガ信号140を生成するように構成されている。励起光の反復率は、次の励起パルスまでにサンプルの蛍光が完全に減衰する程度に十分に低い。例えば約200kHzのパルス頻度が一般に適当である。励起光パルスの持続時間は、信頼性のある寿命計測を行うため、蛍光剤(fluorophore)の蛍光寿命よりも著しく短くあるべきである。一般的な蛍光剤は、1−100ナノ秒の範囲の蛍光寿命を有し、適当な光パルスの長さは0.5ナノ秒のオーダーである。パルスの頻度は、一般に、調査中のサンプルに対して調整されるパラメータの例である(光パルスの長さはレーザに固有の特性であって一般に容易には変更不可能である。)。加えて、光源120ならびに光源駆動および制御ユニット130は、パルス数および励起光の強度といった他のパラメータを調整する設備を有して、例えばサンプル内の蛍光剤の量、結果に必要な精度、等を償うことが望ましい。上記特性、ならびに、それ故に駆動および制御ユニットを有する光源、例えばパルスレーザは当業界において周知であり、例えばIBHのNanoLED−07ピコ秒レーザ源(NanoLED-07 picosecond laser source from IBH)のように市販されている。
300:最初のステップ300において、ユーザは、計測制御モジュール190および解析モジュール185に、計測を制御する数多くのパラメータを入力して主にサンプルについての事前の知識によって適切な解析アルゴリズムを選択する。また、パラメータはPMT不感時間といった機器の性能を示している。以下に説明する創意に富んだ方法にとって重要であるパラメータは、以下のものを含んでいる。
N − 励起(レーザーパルス)の数
αi − 蛍光寿命の逆数(既知であれば)、および/または、寿命の事前分布、P(αi)
Ai − 蛍光の初期強度(既知であれば)、および/または、強度の事前分布、P(Ai)
δ − PMT不感時間
τ − 励起後、検出器が遮断(blocked)される時間
υ − 各励起後、記録される期間
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8 − 解析アルゴリズム
パラメータの多くは計測のそれぞれに対して変更されず、初期値(default value)はデータベースに記憶されることが望ましい。
305:サンプル110をパルス状態のレーザ120で照射することで計測が開始される。
310:次なるステップ310においては、放出される光子がPMTチューブ160により収集され、信号が前置増幅器170によって増幅され、場合によっては弁別されて望ましくないノイズが除去される。
315:ステップ315においては、以下に説明する方法の1つを用いることにより、光子計時ユニット150および到着時間決定モジュール155によって放出された光子の到着時間が決定される。到着時間決定モジュール155は各励起nに対してデータセットDnを解析モジュール185に出力する。これには、光子到着時間が含まれる。
320:ステップ320においては、予め定めた励起数Nに達せば、手順はステップ325に進み、そうでなければステップ300−320が繰り返される。
325:ステップ325においては、データセットDnを、アルゴリズムA1−A8の1つ(または、複数)を用いて解析する。これらアルゴリズムはベイズ推定に基づいている。
330:最後のステップ330においては、結果がユーザに示される。選択されたアルゴリズムおよびユーザの嗜好によって、出力は、蛍光寿命もしくは初期強度の分布、結合分布(joint distribution)、蛍光剤寿命測度(measure)、等である。
代替的に、予め定めた精度に達すれば計測手順を停止することができる。この場合、ベイズ推定(ステップ325)を用いた解析はアルゴリズムの主ループ内で実行される。例えば、蛍光寿命の計測が所定の精度を有するならば、ループは中断される。当然のことだが、加えて、手順は使用されるパルスの数に制限があり、これにより、仮に特定の精度に満たなくとも計測が完了される。
実施形態、アルゴリズムA1−A8により例示される本発明の方法は、ベイズ推定(Bayesian inference)の原理に基づいている。ベイズ推定は、様々な値をとる変数の確率に関する事前の知見に配慮しているデータを踏まえ、変数(またはベクトル変数)の(事後)確率分布を決定する方法を提供する。例えば、θを我々が知ろうとするものであると仮定する。通常、θは多くの数のベクトルでありうる。例えば、多くの蛍光剤の強度に関するベクトルであるかもしれない。Dは既知であるものと仮定する。Dは例えば、幾つかの光子の到着時間であってもよい。今、強度のベクトルを定めている、θの特定の値に対し、Dのある値はより尤もであり、その他はそれほど尤もではないことを知っている。我々はθからデータが生じる方法を知っているので、我々は厳密にどの程度尤もらしいかを述べることができる。換言すれば、我々はθおよびDの特定の値に対し、P(D|θ)、θが与えられたもとでのDの確率を評価することができる。また、我々は、Dを受け入れる前であってもθのある値が他に比べてより尤もらしいことを知っている。光子計数の例では、極端に大きな(例えば>1e15毎秒)またはあまりに小さな強度値に対して可能なように、負の強度を除外することができる。このことはすべて、P(θ)と記して、θの事前分布として正確に示すことができる。
単一の蛍光剤の減衰率は式1に示される。ベイズ推定を用いるため、我々は未知量について事前分布を有する必要がある。我々は、Aおよびαの両者についてガンマ分布を用いる。これらは共によく表現しており、比較的シンプルな数学に帰着される。ガンマ分布は2つのパラメータを有する、形状パラメータ、m、および、スケールパラメータ、r、である。これらは共に正でなければならない。その確率密度は次式で表される。
500:図3のフローチャートのステップ300に含まれる、最初の初期化ステップ500において、ユーザは、αおよびAを記述する関数、値、または、分布を入力する。可能であれば、プログラムは結果をプロットしてもよく、よって、ユーザは成果を認識する。
505:ステップ305−320に対応する、計測ステップ505において、到着時間のデータセットがDnに収集される。
510:ベイス推定の解析、ステップ510(325に対応)は、サブステップ(510:1−5)を有する。
510:1 A、α(または、logA、logα)のグリッドを設定する。
510:2 値Aおよびαの各組み合わせに対し、
510:3 以下の工程により結合確率分布P(A,α|D)を正規化する。
P(A,α|D)の各グリッドポイントの値とその点に適当な直積測度との積をとる。
全ての軸で総和をとる。
原分布を総和の結果で割る。
510:4 各周辺に対する以下の工程により、P(A,α|D)を周辺化してP(α|D)およびP(A|D)(式9、10)を得る。
P(A,α|D)の各グリッドポイントの値とその点に適当な直積測度との積をとる。
周辺を必要とする軸を除く全ての軸で総和をとる。
結果として生じる分布の各グリッドポイントの値をその点に適当な周辺測度で割る。
520:出力ステップ520(330に対応)においては、結果として生じる分布はユーザに対して例えばグラフとして示される。他の測度をその分布から計算可能であり、例えば、第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均(the marginal means with the 5th and 95th centiles)、であり、時には、蛍光剤の寿命の引用測度である(an often quoted measure of the lifetime of a fluorophore)。
Aの値のグリッドは、Xh=(x1,x2,...,xH)であり、αの値のグリッドは、yj=(y1,y2,...,yJ)である。xhおよびyjのそれぞれについて測度を関連づける。m(xh)=(xh+1+xh)/2−(xh+xh−1)/2、および、m(yj)=(yj+1+yj)/2−(yj+yj−1)/2、ならびに、m(xh,yj)=m(xh)m(yj)とする。正規化結合分布は次式で与えられる。
ベイズ推定に備わった主な有利点の1つは、例えば、設備の性能および解析におけるアーチファクトを記述しているパラメータの導入の可能性である。従来技術のようにアーチファクトを反映した発見的要素によって結果を補償するよりも、これらのパラメータを考慮に入れる方が、結果は真の分布を示すようになる。
つまり、ステップ510:2において、P(A,α|D)は、様々な不感時間を考慮して、式8の代わりに式11より求められる。
520:計算する。
我々はこれより、Ai,αi、(iはi=1,...,I)なるパラメータを用いて幾つかの蛍光剤があるようなまだ残されている複雑な状態を導入して解析を繰り返す。不感時間は、いずれの蛍光剤より光子が来たか、とは独立である。
そこで、次式を得る。
510:2 多次元グリッド上の各ポイントに対して計算する。
本発明の創意に富んだ方法に関する第3の実施形態は、サンプルに含まれる蛍光剤の寿命が既知であるような計測例について触れている。これは、例えば複合的な有機分子に既知の蛍光剤で「タグ付け("tagged")」したような場合に該当する。望まれる測度は、例えば、初期強度Aiに反映される、蛍光剤の量、または、初期強度Aiの比率に反映される、異なる蛍光剤の量の比率、であってよい。
アルゴリズムA3
600: 図3のフローチャートのステップに含まれる、最初の初期化ステップ600において、ユーザは、αおよびAを記述する関数、値、または、分布を入力する。
600:1 a)先の試験からの情報に基づくのであれば、
600:1.1 i)かつ、先の試験の事後確率がガンマの形式(式3)であれば、
先の試験の事後確率からmおよびrをコピーする。
600:1.2 ii)例えば、f(Ai)といった別の分布の形式を有するなら、
f(Ai)をプロットし、ガンマ関数がf(Ai)を模倣するようになるまでmAi,rAiを調整する。
または、
情報のロス、
600:2 b)もし情報が、蛍光剤に対する曖昧な知見であれば、それぞれの蛍光剤に対し、その分布が「心象像("mental image")」にフィットするように、mAi、rAiを選択する。
600:2.1 各Aiに対し、以下を行う。(for each Ai do)
600:2.1.1 a)mAi>0を選ぶ。(これは、値が大きくなればなるほど、事前確率が低下する(narrower)。)
600:2.1.2 b)事前確率の平均μを選ぶ。(例えば108は10ナノ秒あたり1光子を意味する。)
600:2.1.3 c)mAi/μをrAiに代入する。
600:2.1.4 d)スクリーンに事前確率を(線形または対数スケールで)プロットする。
600:2.1.5 e)プロットが、望まれる心象像にフィットしているか?この問いに対し、はい、であれば、新たな次のAi(iに進め(goto i))に進め、いいえ、であれば、必要に応じて(a)から(e)を繰り返せ。
605: ステップ305−320に対応する、計測ステップ605においては、到着時間に関するデータセットは、Dnに収集される。
610: ベイズ推定の解析、ステップ610(325に対応)は、サブステップ(610:1−4)を有する。
610:1 初期化。
610:1.1 必要なサンプルの数を設定する。
610:1.2 各Aiに対し、開始する値を設定する。オプションは、
i)Aiの事前確率からの無作為標本の選択。
ii)Aiの事前確率からの平均の選択。
iii)Aiの事前確率からのモードの選択。
iv)ユーザ入力データ。
610:2 太字Sのアップデート(太字sn,kは各光子の源を表す。)
610:2.1 各n(1,2,...,N)に対し、以下を行う。(For each n(1,2,...,N))
610:2.1.1 各k(1,2,...,Kn)に対し、以下を行う。(For each k(1,2,...,Kn))
610:2.1.1.1 太字sn,kのアップデート
離散分布(式17)から無作為標本を選択する。
610:2.2 次のnに進む。(Next n)
610:3 太字Aのアップデート
610:3.1 各i(1,2,...,I)に対し、以下を行う。(For each i(1,2,...,I))
610:3.1.1 Aiのアップデート
610:3.1.1.1 次式の計算を行う。
610:3.1 次のiに進む。(Next i)
610:4 太字Aの値を太字Aのサンプルのリストに加える。
610:5 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、620に進め、いいえ、であれば、610:2−5を繰り返せ。
620: 出力ステップ620(330に対応)においては、結果として生じるサンプルのリストがユーザに対して示される。任意で(先のアルゴリズムでの周辺分布に対応する)ヒストグラムを示すこともできる。ヒストグラムより、例えば第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均(the marginal means with the 5th and 95th centiles)といった、他の測度を計算することが可能である。
610:1 初期化
610:2 太字Aのアップデート
610:3 太字Sのアップデート
注記するが、ステップ610:3においては、パラメータm,riを備えたガンマ分布から無作為標本(random sample)を抽出する手順は様々な方法で実行可能である。適当な方法についてアペンディックスに記す。
本発明に係る創意に富んだ方法の別の実施形態においては、先のアルゴリズム(A3)を修正し、計測システムが時間に関して有限の分解能を有するという事実を考慮している。機器の分解能は一般に、光子計時ユニット150のサンプリング・レートにより決定され、この値は毎秒2ギガサンプルのオーダーであり、これにより0.5ナノ秒の分解能が与えられる。有限分解能の影響により、時間分解能未満の間隔で到着した光子を時間に関して分離することはできない。これらは一緒に「ビン詰め("binned")」される。到着時間に関するセットの代わりに、データは実際、ビン位置(bin position)に関する固定化されたセットからなり、各励起ごとに各ビンにおいて到着した光子の数が含まれる。この、光子の到着時間の、時間に関するビンニング(binning)は、ベイズ推定解析において好都合に利用することができる。実際、アルゴリズムA4は、データがビン詰めされていない場合であっても、A3よりもある意味、有用である。なぜなら、推定アルゴリズムを使用する前にデータをビン詰めするのが容易だからである。
埋め込み
アルゴリズムA4
700: 図3のフローチャートのステップ300に含まれる、最初の初期化ステップ700において、αおよびAを記述する、関数、値、または、分布をユーザが入力する。
700:1 a)情報が先述の試験によるものであれば、
700:1.1 i)かつ、先述の試験の事後確率がガンマの形式(式3)であれば、
先述の試験の事後確率からmおよびrをコピーする。
700:1.2 ii)他の分布、例えば、f(Ai)を有するならば、
f(Ai)をプロットし、ガンマ関数がf(Ai)を模倣するまでmAi,rAiを調整するか、
または、
情報のロス、
700:2 b)もし情報が、蛍光剤に対する曖昧な知見であれば、それぞれの蛍光剤に対し、その分布が「心象像」にフィットするように、mAi、rAiを選択する。
700:2.1 i)各Aiに対し、以下を行う。
700:2.1.1 a)mAi>0を選ぶ。(これは、値が大きくなればなるほど、事前確率が低下する。)
700:2.1.2 b)事前確率の平均μを選ぶ。(例えば1080−10ナノ秒あたり1光子。)
700:2.1.3 c)mAi/μをrAiに代入する。
700:2.1.4 d)スクリーンに事前確率を(線形または対数スケールで)プロットする。
700:2.1.5 e)プロットが、望まれる心象像にフィットしているか?この問いに対し、はい、であれば、新たな次のAi(iに進め)に進め、いいえ、であれば、必要に応じて(a)から(e)を繰り返せ。
705: ステップ305−320に対応する、計測ステップ705においては、到着時間に関するデータセットは、Dnに収集される。
710: ベイズ推定の解析、ステップ710(325に対応)は、サブステップ(610:1−4)を有する。
710:1 初期化。
710:1.1 (ハードウェアの仕様より)ビンの大きさと位置を設定する。
710:1.2 各時間ビン中の光子を計数する。
710:1.4 各Aiに対し、開始する値を設定する。オプションは、
i)Aiの事前確率からの無作為標本の選択。
ii)Aiの事前確率からの平均の選択。
iii)Aiの事前確率からのモードの選択。
iv)ユーザ入力データ。
710:2 太字Bのアップデート
710:2.1 各k(1,2,...,K)に対し、以下を行う。
710:2.1.1 bkのアップデート
710:2.1.1.1 トス数トータル、
710:2.2 次のkに進む。
710:3 太字Aのアップデート
710:3.1 各i(1,2,...,I)に対し、以下を行う。
710:3.1.1 Aiのアップデート
710:3.1.1.1 次式の計算を行う。
710:3.2 次のiに進む。
710:4 太字Aのサンプルのリストに太字Aの値を加える。
710:5 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、720に進め、いいえ、であれば、710:1−5を繰り返せ。
720:出力ステップ720(330に対応)においては、結果として生じるサンプルのリストがユーザに対して示される。任意で(先のアルゴリズムでの周辺分布に対応する)ヒストグラムを示すこともできる。ヒストグラムより、例えば第5および第95パーセンタイル値を備えた周辺平均(the marginal means with the 5th and 95th centiles)、ならびに/または、総強度のフラクション(fractions of total density)といった、他の測度を計算することが可能である。
本発明の創意に富んだ方法の別の実施形態は、本方法の能力と有用性を示す。先のアルゴリズムにおいて導入されたビンを非常に大きなものと、つまり、特定の計測に対して明らかに必要な分解能よりも機器の分解能が低いと仮定する。下記のアルゴリズムは、サブビンを導入して各ビンを数多くのサブビンに分割することにより、さもなくば機器の分解能のために分かりにくくなる情報を抽出することを可能にしている。サブビンは必ずしも同等のサイズを有する必要はなく、例えば、対数的に間隔を置いてもよく、また、必ずしも同数のサブビンを各ビンが含まなくともよい。
埋め込み
アルゴリズム A7:
810:1 ベイズ推定解析、ステップ810(710に対応)は以下のサブステップを有する。
810:1 初期化
810:1.1 (ハードウェアの仕様より)ビンの大きさおよび位置dk(k=1,2,...,K)を設定する。
810:1.2 (dkのビンの内部で)各kに対してサブビンの大きさおよび位置dk,l(l=1,2,...,Lk)を設定する。
810:1.3 各時間ビンにおける光子数を計数する。
810:1.5 各Aiに対する開始値を選択する。オプションは、
i)Aiに関する事前確率からの無作為標本の選択。
ii)Aiに関する事前確率からの平均の選択。
iii)Aiに関する事前確率からのモードの選択。
iv)ユーザ入力データ。
810:2 太字Bのアップデート
810:2.1 各k(1,2,...,K)に対し、以下を行う。
810:2.1.1 太字bkのアップデート
総トス数
トス確率
埋め込み
810:2.2 次のkに進む。
810:3 太字Aのアップデート
810:3.1 各i(1,2,...,I)に対し、以下を行う。
810:3.1.1 Aiのアップデート
810:3.1.1.1 mを計算する。
810:3.2 次のiに進む。
810:4 太字Aの値を太字Aのサンプルのリストに加える。
810:5 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、820に進め、いいえ、であれば、810:1−5を繰り返せ。
先のアルゴリズムのように、アルゴリズムを僅かに修正することで太字Aおよび太字Bのアップデートの順序を逆転することが可能である。
以下の本発明の実施形態において例示される、未知の寿命を有する複数の蛍光剤の場合においても光子到着時間をビンおよびサブビンにビン詰め(binning)する原理を用いることができる。これは、アルゴリズムA7の一般化ととらえることができる。先のように、寿命が未知である場合、これらについてガンマ事前確率(Gamma priors)を仮定する。
埋め込み
P(太字A|α,太字B,D)は、トス確率、
埋め込み
アルゴリズムA8
910: ベイズ推定解析、ステップ910(810に対応)は以下のサブステップを有する。
910:1 初期化
910:1.1 (ハードウェアの仕様により)ビンの大きさおよび位置dk(k=1,2,...,K)を設定する。
910:1.2 (dkのビンの内部で)各kに対してサブビンの大きさおよび位置dk,l(l=1,2,...,Lk)を設定する。
910:1.3 各時間ビンにおける光子数を計数する。
910:1.5 アルゴリズムA4においてrAi、mAiを設定した方法と同じ方法の1つで、rAi、mAi、および、rαi、mαiの両方を設定する。
910:2 各jに対し、以下を行う。
910:2.1 もし、jが奇数であれば、太字Bをアップデートする。
910:2.1.1 各k(k=1,2,...,K)に対し、以下を行う。
910:2.1.1.1 太字bkのアップデート
総トス数
トス確率
埋め込み
910:2.1.2 次のkに進む。
910:2.2 もし、jが偶数であれば、
910:2.2.1 以下により、(太字Aj+1,αj+1)を再サンプリングする。
910:2.2.1.1 P(αj+1|太字Bj+1,D)(式28)からαをサンプリングする(どのようにしてなされるかは、以下の説明を参照。)。
910:2.2.1.2 P(太字Aj+1|αj+1,太字Bj+1,D)(式26)から太字Aj+1をサンプリングする。
910:2.2.2 太字Aのサンプルのリストに太字Aを加える。
910:3 次のjに進む。
910:4 サンプルは十分であるか?この問いに対し、はい、であれば、920に進め、いいえ、であれば、910:2−4を繰り返せ。
P(αj+1|太字Bj+1,D)からのαのサンプリング(ステップ935)は自明ではない。以下に容易にプログラム・コードに変換可能な適切な方法の概要を示す。
αj,iを与え、また、(一度だけ)パラメータγおよびHを定める。ここでγは正実数(20が好ましい。)であり、また、Hは正整数である(ここでも20が好ましい。)。
次に、X1を、セット
同じパラメータγおよびHを用い、X2を閉区間
ガンマ分布および多項分布から、それぞれ無作為標本を抽出する方法について以下に記す。この解説は、熟練したプログラマであれば容易にアルゴリズムA3−A8から呼び出される(call)のに適したサブルーチンに変換可能な、ガイドラインの形式で記載する。
ガンマ分布は、先述のとおり、次式で表される。
この場合分布は指数分布に還元される。よって、累積分布関数は次式となる。
これらのケースでは両方とも、棄却サンプリングの形式を用いる。
確率分布f(x)からのサンプルを欲し、確率分布g(x)からのサンプリングは既に可能であると仮定する。さらに、全てのxに対し、Kf(x)≦g(x)を満たすような定数Kが存在すると仮定する。そして、続くアルゴリズムが確率Kでf(x)からサンプルを生じ、残りの確率でサンプルを生じない。
g(x)から無作為標本yを抽出する。
確率Kf(x)/g(x)でyを結果として得られるサンプルとし、残りの確率で結果得られるサンプルがないとする。
残るは、関連する各ケースに対するg(x)の明示、g(x)からのサンプル抽出の方法、および、Kf(x)/g(x)の計算の方法の説明、である。
m>1
g(x)は次式で与えられる。
次に、
m<1
この場合、
累積密度関数は、
先のセクションにおける導出と同様に、次式のように設定することができる。
よって、受容の確率pa(x)は、y≦tのとき、e−y、y>tのとき、(y/t)m−1、である。
最後に、多項分布からのサンプリングに効果的な方法を記す。
多項分布は二項分布に類似するが、2よりも多くの結果が起こり得るトスに対するものである。パラメータは、トスの総数、N、および、トスに関して生じうる異なる結果に対する確率のベクトル、太字pである。分布は次式で与えられる。
この分布からサンプリングする上で著者の知る最良の方法は、その問題を二項無作為標本に変換することである。先ず、n1および
通常(本文に含まれる)2つの要素のパラメータベクトル太字pは単一の要素p=p1(これは、後者の要素の総和は1となるので、一意的に太字pを決定する。)として表される点を除いては、二項分布は、I=2である、多項分布の特別な場合である。
二項分布からサンプリングする方法で発明者らの知る最良の方法は、先ず、次式、
120 励起光源
130 光源駆動および制御ユニット
140 トリガ信号
150 光子計時ユニット
155 到着時間決定モジュール
160 光検出器
170 前置増幅器
180 コンピュータ
185 解析モジュール
190 計測制御モジュール
Claims (13)
- 発光物質の1つまたは複数の特性を決定するための方法であって、
a)励起光のパルスで前記発光物質を照射するステップ、
b)前記励起光のパルスと相関関係のあるトリガ信号を供するステップ、
c)光電子増倍管(PMT)といった光検出器で、前記励起光のパルスにより生じる発光物質から放射される複数の光子を検出し、前記光検出器が前記の光子検出事象に関する出力信号を供するステップ、
d)検出された光子のそれぞれに対し、光子到着時間を定め、解析モジュールに入力するのに適した、各励起に対するゼロ、1つ、または、複数の光子到着時間を有する出力を供するステップ、
e)予め定められた回数の励起が実行されるまで、ステップa)からd)を繰り返すステップ、
f)解析モジュールにおいて前記出力を受け取るステップ、
g)前記解析モジュールにおいて、ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行することにより前記発光物質の特徴的特性を決定するステップ、を有する方法。 - 前記発光物質の特性が、発光寿命、初期発光強度、および、初期発光強度に関する比率、といった、1つまたは複数の発光物質の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記の、ベイズ推定に基づいた確率論的解析を実行するステップが、検出された光子のそれぞれの由来となった発光物質を決定するステップを有することを特徴とする請求項1
に記載の方法。 - 前記の、ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行するステップが、ベイズ推定における実験的アーチファクトを含めるステップを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記実験的アーチファクトが、PMTの不感時間を示す第1期間(δ)、および/または、励起の後の検出器の遮断を示す第2期間(τ)、および/または、各励起の後の記録の期間を示す第3期間(υ)を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 前記の計測された特性の前記統計的不確実性が予め定められた値を下回るまで、または、ステップa)からg)までを予め定められた繰り返し回数だけ実行されるまで、ステップa)からg)までを繰り返すことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 前記の、ベイズ推定に基づく確率論的解析を実行するステップが、各時間ビンのどの部分に、各光子の真の到着時間が含まれるかを推定するステップをも含んでいることを特徴とする、請求項1または3に記載の方法。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の方法を実行するためのソフトウェアプログラムモジュール。
- 発光物質の特徴的発光特性を計測するための計測システムであって、
光源駆動および制御ユニット、および、繰り返し発光物質を励起光のパルスで照射するための励起光源であり、前記の光源駆動および制御ユニットが励起光の各パルスと相関関係を有するトリガ信号を供する、前記光源駆動および制御ユニット、および、前記励起光源、
励起光のパルスにより生じる発光物質から放射される複数の光子を検出するための、例えば光電子増倍管(PMT)といった、少なくとも1つの光検出器で、前記光検出器が光子を検出した事象に関する出力信号を供する、少なくとも1つの光検出器、
前記の増幅された出力信号および前記トリガ信号を受け取るように接続された光子時間を決定するための手段で、放出された光子のそれぞれに対して光子到着時間を決定し、複数の光子到着時間に関する出力を供するための、光子時間決定のための手段、ならびに、
前記の光子時間決定手段から出力された前記の複数の光子到着時間を受け取るように構成され、前記複数の光子到着時間から前記発光物質についての特徴的特性を決定することができる、前記複数の光子到着時間を解析するための手段、を有し、
前記光子時間決定手段が、複数の検出された光子、同一の励起光により生じる複数の光子に関係する複数の到着時間測度を決定して記憶し、また、
前記の、複数の光子到着時間を解析するための手段が、ベイズ推定に基づく、発光物質の特徴的な発光特性を決定するためのアルゴリズムを用いていることを特徴とする、計測システム。 - 前記複数の光子到着時間を決定するための手段が、請求項9の定めるプログラムソフトウェアモジュールを有することを特徴とする、請求項11に記載の計測システム。
- 前記光子時間決定手段が、1ギガヘルツを上回るサンプリング周波数で、前置増幅器からの前記信号を記録するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の計測システム。
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