JP2005507259A - 新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体ならびに該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含有する洗浄剤および浄化剤 - Google Patents

新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体ならびに該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含有する洗浄剤および浄化剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体に関する。これらの変異体は、Bacillus lentus由来のアルカリ性プロテアーゼで数えたときに、アミノ酸の61位、199位および/または211位に変異を有し、所望により分子の安定化に寄与する少なくとも1つの改変、好ましくは3位および/または4位における点突然変異である改変を有する。特に好ましいのは、B.lentusアルカリ性プロテアーゼの変異体S3T/V4I/G61A/V199IおよびS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dである。また本発明は、種々の技術的プロセスにおける該酵素の可能性ある使用、特に、該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含有する洗浄剤および浄化剤に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体に関する。バシラス・レンタス(Bacillus lentus)のアルカリ性プロテアーゼの番号付与によれば、これらは、アミノ酸の61位、199位および/または211位に変異を有し、所望により分子の安定化に寄与する少なくとも1つの改変、好ましくは3位および/または4位に点突然変異を有する。また本発明は、種々の技術的プロセスにおける該酵素の可能性ある使用、特に、該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含有する洗浄剤および浄化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
スブチリシン型のプロテアーゼ(スブチラーゼ、スブチロペプチダーゼ、EC3.4.21.62)は、触媒活性なアミノ酸であるゆえに、セリンプロテアーゼに属すると分類されている。これらプロテアーゼは、微生物[特に、バシラス(Bacillus)種]によって天然に産生され、かつ分泌される。これらプロテアーゼは、非特異的なエンドペプチダーゼとして作用する。即ち、これらプロテアーゼは、ペプチドまたはタンパク質の内部に位置する任意の酸アミド結合を加水分解する。これらプロテアーゼのpH最適条件は、通常は明らかにアルカリ性の範囲内である。このファミリーの概説は、例えば、R.BottおよびC.Betzel編の「Subtilisin enzymes」(ニューヨーク、1996)の第75-95頁のR.Siezenによる「Subtilases:Subtilisin-like Proteases」という論文中に供されている。スブチリシンは、多様な可能性ある技術的用途に対して、化粧品の成分として、特に、洗浄剤または浄化剤の活性成分として適している。
【0003】
例えば、アミラーゼ、リパーゼまたはセルラーゼのような酵素とは異なり、プロテアーゼは、洗浄剤および浄化剤中の活性成分として使用されている。これらは、浄化すべき材料(例えば、織物または皿など)の上のタンパク質性の汚れを分解する能力を有する。その比較的高い溶解性のゆえに、加水分解産物は、洗浄液と共に洗い流されるか、または、洗浄剤もしくは浄化剤の他の成分によって攻撃、溶解、乳化もしくは懸濁される。従って、この酵素と洗浄剤および浄化剤の他の成分との間に相乗作用が生じうる。好ましい酵素特性(例えば、安定性または最適pH)のゆえに、スブチリシンは、洗浄剤および浄化剤のプロテアーゼのなかでも突出している。最も重要なスブチリシンおよびその技術開発のための最も重要な戦略を以下に言及する。
【0004】
洗浄剤プロテアーゼを開発するための基本的戦略は、初めに、微生物により天然に産生される酵素を単離し、これらを、可能性ある用途に対するその本源的適切性について試験することである。次いで、これらの分子を最適化することができる。即ち、例えば、バシラス種164-A1から得られるChemgen Corp.(Gaithersburg、MD、米国)およびVista Chemical Company(Austin、TX、米国)からのプロテアーゼ164-A1は、国際特許出願公開WO93/07276A1によれば、洗浄剤および浄化剤において使用するのに適している。他の例は、バシラス種PD138、NCIMB40338由来のアルカリ性プロテアーゼ(Novozymesから;WO93/18140A1)、バシラス種FERM BP-3376由来のプロテイナーゼK-16(Kao Corp.、東京、日本から;US5344770)、ならびに、好冷生物Flavobacterium balustinumのプロテアーゼ(Procter & Gamble、Cincinnati、OH、米国;WO96/25489A1)である。
【0005】
バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)およびバシラス・スブチリス(B.subtilis)に由来するスブチリシンBPN'が、それぞれ、Vasanthaら(1984)[J.Bacteriol.、Vol.159、p.811-819]およびJ.A.Wellsら(1983)[Nucleic Acids Research、Vol.11、p.7911-7925]による研究において開示されている。スブチリシンBPN'は、特に、位置の番号付与の点で、スブチリシン類の参照酵素となる。即ち、例えば、全スブチリシン類に言及する欧州特許出願公開EP130756A1の点突然変異も、BPN'の番号付与を用いて示されている。これらは、単に、本発明の酵素における211位に対応する217位を含んでいるにすぎない;特定の置換は、このために具体的に強調されていない;これらの全てが、M、W、CまたはKによる置換を除き、言及されている;AまたはSによる置換が好ましいはずである。
【0006】
カナダ特許出願公開CA2049097A1は、特に、洗浄剤および浄化剤における安定性の点で、この分子の複数の突然変異体を研究している。これらは、置換Y217KおよびY217Lを含む変異体ならびに二重突然変異体S63D/Y217K、即ち、B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位ならびにそれぞれ61位および211位に対応する置換を含む変異体を包含する。しかし、これらの位置に本願のプロテアーゼのいずれかに対応するアミノ酸は導入されていない。
【0007】
該酵素のループ領域における点突然変異によって得られ、基質への結合が低下しており、それと同時に加水分解速度が増大している変異体が、例えば、国際特許出願公開WO95/07991A2およびWO95/30010A1において紹介されている。WO95/07991A2は、分子の第6番目のループに関係しており、別の突然変異に加えて、217位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応する)のアミノ酸が、例えばDに突然変異されている二重突然変異体を開示している。本来的にBPN'は205位(199位に対応)にIを有しているので、せいぜいこれら2つの位置だけが、これまでに記載されていたとみなすことができるが、これは常にスブチリシンのループ領域中の他の突然変異と組合せられており、酵素特性の特異的な変化を伴っている。例えば、国際特許出願公開WO95/29979A1は、この種のBPN'変異体を含有する洗浄剤を開示している。WO95/30010A1は、他の5つのループ領域におけるさらなる突然変異を開示しており、これには63位(61位に対応)における突然変異が含まれるが、この位置におけるDまたはEへのものだけである。対照的に、本特許出願において検討されるアミノ酸位置の2つ(即ち、3位および4位)は、ループ領域中には位置していない。他方において、上記の文献中に示されている多くの置換は、スブチリシンBPN'の安定化(特に、安定化突然変異)に関係していない。
【0008】
E.L.Smithら(1968)[J.Biol.Chem.、Vol.243、p.2184-2191]およびJacobsら(1985)[Nucl.Acids Res.、Vol.13、p.8913-8926]による刊行物は、プロテアーゼ スブチリシン カールスバーグ(Carlsberg)を紹介している。これは、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)によって天然に産生され、それぞれ、商標名MaxataseのもとでGenencor International Inc.(Rochester、ニューヨーク、米国)から、および商標名AlcalaseのもとでNovozymes A/S(Bagsvaerd、デンマーク)から入手することができる。点突然変異によって得られ、基質への結合が低下しており、それと同時に加水分解速度が増大しているその変異体が、例えば、国際特許出願公開WO96/28566A2に開示されている。これらは、該分子のループ領域において単一または複数の置換が行われている変異体である。本願のものに対応する位置に置換を有する変異体であって、洗浄または浄化実験において試験された変異体は、多くの他の置換の中で、G62(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの61位に対応)の置換(N、D、Q、E、PまたはSによる;しかしAにはよらない)、V204(199位に対応)の置換(種々の他のアミノ酸による;しかしIにはよらない)、ならびに、L216(211位に対応)の置換(14個の他のアミノ酸による;Dによるものも包含する)を有する複数の突然変異体である。従って、本願に関係し、この文献によって以前に記載されている唯一の変異体は、3T(Tが天然にはスブチリシンCarlsberg中の3位を占めているため)および211Dである。
【0009】
プロテアーゼPB92は、好アルカリ性細菌Bacillus nov.spec.92によって天然に産生され、商標名MaxacalのもとでGist-Brocades(Delft、オランダ)から入手することができる。その元の配列は、欧州特許出願公開EP283075A2に記載されている。点突然変異によって得られ、洗浄剤および浄化剤において使用するのに適する該酵素の変異体が、例えば、特許出願公開WO94/02618A1およびEP328229A1に開示されている。この第1の出願は、211位の置換(種々のアミノ酸による;しかしDにはよらない)だけを記載している。第2の文献は、2つの残基61および211が存在する特定の領域が、基質結合に関与していることを開示している。しかし、61は、突然変異誘発のために特に重要な位置の中に挙げられておらず、Yによる置換が211のために提案されている(これは、対応する配合物の洗浄性能を増大させることができるが、少なくとも1つのさらなる置換と組合せたときだけである)。
【0010】
スブチリシン147および309が、それぞれ商標名EsperaseおよびSavinaseのもとでNovozymesから市販されている。これらは、英国特許出願公開GB1243784Aに開示されたバシラス菌株に起源的に由来する。洗浄剤および浄化剤における使用に関連して、点突然変異誘発によって開発された該酵素の変異体が、例えば、国際特許出願公開WO94/02618A1(上記を参照)、WO89/06279A1、WO95/30011A2およびWO99/27082A1に開示されている。
【0011】
国際特許出願公開WO89/06279A1は、高い酸化安定性、タンパク質分解速度の増大、および洗浄性能の増強の達成を目的とする。この文献は、特定位置における置換が、スブチリシン147または309分子(その番号付与は、Bacillus lentus DSM 5483 アルカリ性プロテアーゼの番号付与に対応する)の物理的または化学的特性を変えるはずであることを開示する(これらの位置の中で、特に199位が挙げられているが、特別の置換は記載されていない)。国際特許出願公開WO95/30011A2は、スブチリシン309の変異体であって、分子のループ領域に点突然変異を有し、こうして基質への吸着の低下と加水分解速度の増大を示す変異体を紹介している。61位、199位および211位も、このような領域中に存在する。特に、置換L211Dが、その中の211位のために提案されている。N、D、Q、E、PまたはSによるGの置換が、61位のために提案されており、多くの置換(しかしIではない)が、199位のために提案されている。国際特許出願公開WO99/27082A1は、例示の目的で、スブチリシン309の変異体であって、その洗浄性能が、少なくとも1つのアミノ酸の挿入によって活性ループを大きくすることにより高められた変異体を開発している。即ち、これらは、本願におけるような置換ではない。
【0012】
スブチリシンDYは、Nedkovら(1985)[Biol.Chem Hoppe-Seyler、Vol.366、p.421-430]により初めて記載された。例えば、国際特許出願公開WO96/28557A2によれば、これを、洗浄剤および浄化剤において使用するために活性ループにおける特異的な点突然変異によって最適化することができ、吸着の低下および加水分解速度の増大を有する変異体が得られる。これらには、62位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの61位に対応)の置換(N、D、Q、E、PまたはSによるGの置換)、204位(199位に対応)の置換(204Iは含まない)、ならびに、216位(211位に対応)の置換(多数の置換、Dをも含む)を含む変異体が包含される。スブチリシンDYは、天然には3位にTを有しているので、せいぜい変異体3T/211Dだけが、該文献によりこれまでに記載されているにすぎない。
【0013】
Thermoactinomyces vulgarisにより天然に産生される酵素サーミターゼは、Melounら[FEBS Lett.、1983、p.195-200]により初めて記載された。例えば、国際特許出願公開WO96/28558A2は、ループ領域における置換のゆえに、吸着の低下および加水分解速度の増大を有する変異体を開示している。これに、211位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応)の置換(14個のアミノ酸による;Dをも含む)、ならびに、70位(61位に対応)の置換(N、D、Q、E、PまたはSによるGの置換)が記載されている。天然にはIがサーミターゼの209位(199位に対応)に存在しているので、これは、本願に必須であるプロテアーゼの変異体199Iおよび211Dをせいぜい示唆しているにすぎない。特にこれは、例えば3位のトレオニンおよび/または4位のイソロイシンによる安定化を全く示唆していない(これらの位置は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼに従う)。対応して相同な10位および11位において、サーミターゼはアミノ酸SおよびRを有する(WO91/00345A1における整列を比較)。さらに、サーミターゼは、その配列全体が他のスブチリシンの配列からかなり逸脱している分子である。即ち、成熟タンパク質サーミターゼとB.lentus DSM 5483 アルカリ性プロテアーゼの間の相同性(後記を参照)は45%同一である(62%の類似アミノ酸)。
【0014】
また、プロテイナーゼKも、B.lentusアルカリ性プロテアーゼに対して相当に低い相同性を有するプロテアーゼである。この相同性は、成熟タンパク質レベルで33%同一であるにすぎない(46%の類似アミノ酸)。プロテイナーゼKは、微生物Tritirachium album Limberから本来的に得られ、K.-D.JanyおよびB.Mayer(1985)[Biol.Chem.Hoppe-Seyler、Vol.366、p.485-492]により記載された。国際特許出願公開WO88/07581A1は、特に洗浄剤および浄化剤において使用するための、非常に類似したプロテアーゼTW3およびTW7を開示している。国際特許出願WO96/28556A2は、プロテイナーゼKにおける多くの置換を記載している。これらには、220位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応)の置換(14個の他のアミノ酸による;Dをも含む)、ならびに、68位(61位に対応)の置換(N、D、Q、E、PまたはSによるGの置換)が包含される。プロテイナーゼKは、天然には208位(199位に対応)にIおよび4位(3位に対応)にTを有するので、これは、本願に必須であるプロテアーゼの変異体3T、199Iおよび211Dをせいぜい示唆しているにすぎない。
【0015】
最後に、天然にアミノ酸アラニンおよびイソロイシンをそれぞれ61位および199位に有するBacillus subtilis バシロペプチダーゼFを挙げておくべきである。しかしそれ以外には、これは、本発明のプロテアーゼ変異体に対して低い類似性を有しているにすぎない(アミノ酸レベルにおいて、30%同一の相同性または38%の類似アミノ酸が見られるにすぎない)。この酵素は、Siezenらによる上記の研究に挙げられているが、これまでに洗浄剤および浄化剤において使用するために記載または特許請求されたことはない。
【0016】
例えば、特許出願公開EP199404A2、EP251446A1、WO91/06637A1およびWO95/10591A1は、それぞれ「プロテアーゼA」、「プロテアーゼB」、「プロテアーゼC」および「プロテアーゼD]とProcter & Gamble Comp.[Cincinnati、OH、米国]により呼ばれ、特に洗浄剤および浄化剤における技術的使用に適するさらなるプロテアーゼを記載している。欧州特許出願公開EP199404のプロテアーゼは、種々のBPN'変異体であり、これらは、欧州特許出願公開EP130756A1に基づいているが(上記を参照)、本願に関連する位置に変異を有していない。EP251446A1は、多くのBPN'変異体を開示しており、217位の変異体(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応)をも包含する。これにはあらゆる可能な置換が挙げられているが、どの特性が変異217Dに付随するかは開示されていない。国際特許出願公開WO91/06637A1によれば、「プロテアーゼC」は、123位および/または274位におけるBPN'の点突然変異によって区別される。「プロテアーゼD」は、主にBacillus lentusプロテアーゼの変異体を含んでなり、これは、WO95/10591A1によれば、76位(BPN'番号付与によれば、B.lentusアルカリ性プロテアーゼの74位に対応する)およびさらに他の位置に突然変異を保持する。この後者は217位(211位に対応)を含むこともできるが、Dによる置換はこれまで記載されていない。実質的に同じことが、例えば、洗浄剤および浄化剤ならびに化粧品における使用に対して米国特許US6017871Aにも当てはまり、また例えば、漂白剤における使用に対して米国特許US5677272AおよびUS6066611Aにも当てはまる。ここで、置換217Dも原則的に挙げられているが、76位の置換と組合せてであり、好ましくはない。
【0017】
他の既知のプロテアーゼは、Novozymesから商標名 Durazym、Relase、Everlase、Nafizym、NatalaseおよびKannaseのもとで、Genencorから商標名 Maxapem、Purafect、Purafect OxPおよびProperaseのもとで、Advanced Biochemicals Ltd.(Thane、インド)から商標名 Protosolのもとで、ならびに、Wuxi Snyder Bioproducts Ltd.(中国)から商標名 Wuxiのもとで得られる酵素である。
【0018】
スブチリシン類の洗浄性能を増強するための1つの戦略は、個々のアミノ酸の既知の機能のゆえに既知の分子中に点突然変異をランダムまたは特異的に導入し、得られた変異体の洗浄性能寄与を試験することがである。この戦略は、例えば、米国特許US5700676および欧州特許出願公開EP130756A1により実行されている(上記を参照)。これらに記載され、本発明に関連する唯一の位置は、217位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応)の置換(19個のアミノ酸のいずれかによる)であり、これは単独でまたは本願に関連しない他の置換に追加して行われている。同じことが米国特許US5801038にも当てはまる。米国特許US5441882は、特定の単一置換によって酵素特性を改変する方法を記載している。これら置換には、単独でまたは本願に関連しない他の置換に追加して行われる217位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応)の置換も含まれる。米国特許US4760025は、対応する変異体を開示しているが、これは、それぞれの場合に、1個のみの置換を含んでいる。これに含まれるのは、ここでも217位のみであり、その具体的な置換の開示はない。
【0019】
スブチリシン類の洗浄性能を増強するために、多くの出願が、活性ループ中に追加のアミノ酸を挿入する戦略を実行している。即ち、例えば、既に挙げた国際特許出願公開WO99/27082A1とは別に、複数の出願が公開番号WO00/37599A1、WO00/37621A1〜WO00/37627A1およびWO00/71683A1〜WO00/71691A1で公開されている。この戦略は、原則的に、下位群I-S1(真のスブチリシン)またはI-S2(高アルカリ性スブチリシン)のいずれかに属する全てのスブチリシン類に、相応して適用できるはずである。
【0020】
性能を増強する別の戦略は、分子の表面電荷および/または等電点を改変し、これにより基質との相互作用を変化させることである。この種の変異は、例えば、US5665587およびEP405901A1およびWO91/00334A1によって導入されている。多くの位置が挙げられており、それぞれの場合に3位、4位および217位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの3位、4位および211位に対応)をも包含するが、対応する変異体を実際的に開示していない。また、国際特許出願公開WO91/00345A1も同じ目的でこれらの位置に言及しているが、対応する変異体を同様に実際的に示していない。国際特許出願公開WO92/11348A1は、分子電荷のpH依存性変異を低下させるための点突然変異を開示している。これは、本願を特徴付ける置換S3TおよびL211Dにせいぜい関連しているにすぎず、関連の置換は直接的には開示されていない。国際特許出願公開WO00/24924A2は、この原理に由来し、洗浄剤および浄化剤において使用するのに恐らくは適するであろう変異体を同定するための方法に関するが、これに開示されている全ての変異体は、103位に少なくとも1つの置換を有しており、好ましいのは、本願に関連する置換を含まない多くの変異体である。国際特許出願公開WO96/34935A2によれば、洗浄剤および浄化剤における性能を増強する目的で、分子の疎水性を増大させることができ、これが酵素の安定性に影響を与えることができる。
【0021】
国際特許出願公開WO99/20727A2は、国際特許出願公開WO00/24924A2の方法によって得られるようなスブチリシン変異体を開示している。これらの全ては、103位の少なくとも1つの置換を、複数の他の可能な置換と共に含んでなるが、これらのどれも、B.lentusプロテアーゼの61位に対応する位置に置換を有していない。好ましいのは、少なくとも6個の置換[205位および217位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの199位および211位に対応)をも含む]を有する多くの変異体である。50以上のこれら変異体の2つだけが、実際に本願に関連する置換199Iを有している。国際特許出願公開WO99/20723A2およびWO99/20726A2は、アミラーゼまたは漂白剤をさらに含有する洗浄剤および浄化剤のための同じ突然変異体を開示している。
【0022】
酵素開発における最近の方向は、統計学的方法により、関連する既知タンパク質に由来するエレメントを互いに組合せて、これまで達成されていなかった特性を有する新規な酵素を得ることである。この種の方法は、進化を指す一般的用語のもとでもリストされており、例えば、以下の方法を包含する:StEP法[Zhaoら、(1998)、Nat.Biotechnol.、Vol.16、p.258-261]、ランダムプライミング組換え[Shaoら、(1998)、Nucleic Acids Res.、Vol.26、p.681-683]、DNAシャッフリング[Semmer,W.P.C.、(1994)、Nature、Vol.370、p.389-391]、またはRACHITT[Coco,W.M.ら、(2001)、Nat.Biotechnol.、Vol.19、p.354-359]。
【0023】
別の特に相補性の戦略は、関連のプロテアーゼの安定性を増大させ、こうしてその効果を増大させることである。例えば、米国特許US5230891は、化粧品において使用するプロテアーゼのための、ポリマーへの結合による安定化を記載している(この安定化は、皮膚適合性の増大を伴う)。他方において、特に洗浄剤および浄化剤のためには、点突然変異による安定化がより普通である。即ち、米国特許US6087315およびUS6110884によれば、特定のチロシン残基を他の残基で置換することによってプロテアーゼを安定化することができる。国際特許出願公開WO89/09819A1およびWO89/09830A1は、217位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼの211位に対応)にKまたはLによる置換、および217Kに加えて63位(61位に対応)に置換S63Dを有する、比較的熱安定性であるBPN'変異体を記載している。
【0024】
記載されている点突然変異誘発による安定化の他の可能な例は、次の通りである:
・特定のアミノ酸残基の、プロリンによる置換(WO92/19729A1およびそれぞれEP583339B1およびUS5858757による、およびEP516200A1による);
・分子表面への、より高極性またはより高電荷の基の導入(EP525610A1、EP995801A1およびUS5453372による)、特に、B.lentusプロテアーゼのV4に対応する位置における導入(対照的に、本願における置換V4Iは、より低極性のアミノ酸を導入する);
・金属イオンの結合の増強、特に、カルシウム結合部位の突然変異誘発による増強(例えば、WO88/08028A1およびWO88/08033A1の教示による);
・改変または突然変異誘発による自己分解の遮断(例えば、US5543302による)。
【0025】
欧州特許出願公開EP398539A1は、2またはそれ以上の安定化戦略の組合せを開示している。即ち、(1)カルシウム結合部位のアミノ酸を、より陰性のアミノ酸で置換する;(2)天然のAsn−Gly配列を、欠失または突然変異させる;(3)Met残基を他の残基で置換する;ならびに(4)触媒中心に近接する特定のアミノ酸をさらに置換する;ことによって、スブチリシンを安定化させ、洗浄または浄化性能に対するその寄与を改善することができる。これら最初の3つの可能性のどれも、本願発明の変異体には当てはまらない。第4の可能性は、61位および211位に関連する。しかしここで、これらの位置に天然に存在するアミノ酸(スブチリシンBPN'のS63およびY217)をそれぞれGおよびLで置換することが示唆される。対照的に、特にこれらの位置は、本願の分子においてはGまたはL以外のアミノ酸によって占められている。
【0026】
点突然変異誘発によってスブチリシン(特に、Bacillus lentus由来のスブチリシン)を安定化させるさらなる可能性が、米国特許US5340735、US5500364、US5985639およびUS6136553に報告されている。突然変異される位置は、3次元構造の分析によって決定される。しかし、61位および211位における変異体は、これら文献のどれにも記載されていない。
【0027】
例えば、文献EP755999A1およびWO98/30669A1は、プロテアーゼ(特に、性能増強したプロテアーゼ)を、洗浄剤および浄化剤においてα-アミラーゼおよび他の洗浄剤酵素と共に使用して、洗浄性能または浄化性能を増強しうることを開示している。例えば、国際特許出願公開WO97/07770A1は、洗浄剤プロテアーゼとして既に確立されているこれらの一部(後記を参照)が、化粧品目的に対しても適することを開示している。例えば、欧州特許出願公開EP380362A1は、プロテアーゼの別の可能性ある用途を紹介している。これは有機化学合成に関係するものであり、この出願によれば、このためには、単独でまたは他の突然変異に加えて、B.lentusアルカリ性プロテアーゼの番号付与に従って61位の点突然変異誘発(Dへの突然変異による)および/または211位の点突然変異誘発(KまたはLへの突然変異による)によって安定化されたスブチリシンが適するはずである。即ち、これに関しても、本発明に関連する置換は、これまで記載されていない。
【0028】
B.lentusアルカリ性プロテアーゼは、Bacillus種の高アルカリ性プロテアーゼである。国際特許出願公開WO91/02792A1によれば、これら菌株の1つが番号DSM 5483のもとで寄託されており、また、野生型酵素の配列および生化学特性がこれに開示されている。国際特許出願公開WO92/21760A1およびWO95/23221A1は、この酵素の変異体であって、点突然変異によって得られ、洗浄剤および浄化剤における使用に適する変異体を開示している。
【0029】
野生型酵素は、好アルカリ性バシラス菌株をスクリーニングすることによって初めて得られた産生体から導かれ、洗浄剤の作用および酸化に対して相当に高い安定性を示す。WO91/02792A1およびそれぞれEP493398B1およびUS5352604は、宿主Bacillus licheniformis ATCC 53926におけるその異種発現を記載している。このUS特許の請求項は、208位、210位、212位、213位および268位が、B.lentusアルカリ性プロテアーゼにとって特徴的であると言及している(これらの位置は、成熟タンパク質の番号付与における97位、99位、101位、102位および157位に対応し、これらの位置において、この酵素は成熟 Savinaseとは異なる)。この酵素の3次元構造が、刊行物[Goddetteら、(1992)、J.Mol.Biol.、Vol.228、p.580-595:「The crystal structure of the Bacillus lentus alkaline protease, Subtilisin BL, at 1.4 Å resolution」]に記載されている。
【0030】
また、WO92/21760A1またはUS5340735は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼ野生型酵素(B.lentus DSM 5483により産生される)のアミノ酸配列を配列番号52として、ヌクレオチド配列を配列番号106として開示している。さらに、この出願は、該プロテアーゼから誘導された51の異なる変異体であって、野生型とは単一位置においてまたはそれぞれ2もしくはそれ以上の位置において異なり、これによって安定化されている変異体を開示している。この変異体は、置換S3T、V4IおよびV199Iをも含んでいる。この出願によれば、最も好ましいのは、置換S3T/V4I/A188P/V193M/V199Iを含む変異体M131であり、これは、American Type Culture Collection[10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110-2209、米国](http://www.atcc.org)に受託番号 ATCC 68614のもとで寄託されている。この変異体は、本願のための出発酵素となり(実施例1を参照)、また、そのDNA配列およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および2として配列表に示されている。即ち、これら変異体の全ては、Bacillus lentus DSM 5483 アルカリ性プロテアーゼから誘導されたものである。例えば、WO文献から導かれた米国特許US5500364およびUS5985639は、異なる位置における点突然変異によって安定性が増強された変異体を開示している。
【0031】
国際特許出願公開WO95/23221A1は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体であって、洗浄剤および浄化剤において使用するための性能が特異的な点突然変異誘発によって増強され、上記した分子のさらに発展したものとみなすべき変異体を開示している。これらの一部は、同様に3つの置換S3T、V4IおよびV199Iを有している。さらに、これらの全ては、B.lentus DSM 5483由来の野生型酵素と比較して、2つまたは3つのさらなる点突然変異を有している。これらの一部は、211位に追加の突然変異、即ち211Dを保持している(変異体F49、F54およびF55)。従って、この出願ならびに対応する米国特許US5691295、US5801039およびUS5855625は、置換211Dおよび211Eを含む変異体を特許請求している。米国特許US6197589は、対応する戦略、即ち、基質結合ポケットに近接する電荷状態を特異的に改変するための戦略を示している。
【0032】
長期間にわたって行われてきたこれら研究の全てが裏付けているように、工業的に使用しうるプロテアーゼであって、その一部は、これまで既知のプロテアーゼとは、ほんのいくつかの位置においてのみ劇的に異なっているプロテアーゼが極めて必要とされている。即ち、これらは、極めて劇的な性能の相違から極めて微妙な性能の相違までの広いスペクトルにわたる。このことは、特にこれらを洗浄剤および浄化剤において使用する際に明らかである。これらの開発中に、該酵素の挙動、例えば洗浄剤または浄化剤配合物に関連した挙動は、恐らくは算定できる酵素特性から容易に推論することはできない。他の要因、例えば高温、酸化剤に対する安定性、界面活性剤による変性、折り畳み効果または他の成分との所望の相乗作用が、ここである役割を演じ、これを実験的にのみ決定することができる場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明の目的は、工業的使用において改善された性能を示すスブチリシンを見い出すことであった。特に、本発明は、洗浄剤および/または浄化剤の洗浄または浄化性能を改善するスブチリシンを見い出すことを意図した。目的の一部は、プロテアーゼをその加水分解活性の点で改善するだけでなく、適当な配合物におけるその安定性を維持することであった。
【0034】
さらなる目的の一部は、この種のプロテアーゼをコードしている核酸を提供すること、ならびに、この種のプロテアーゼを得るために使用しうるベクター、宿主細胞および製造方法を提供することであった。さらに、本発明は、対応する製剤、特に洗浄剤および浄化剤、対応する洗浄および浄化方法ならびに対応するこの種のプロテアーゼの可能な使用を提供することを意図した。最後に、本発明は、見い出したプロテアーゼの可能な工業的使用を規定することを意図した。
【課題を解決するための手段】
【0035】
驚くべきことに、61位のアミノ酸グリシンを異なるアミノ酸で、特に脂肪族アミノ酸で、極めて具体的にはアラニンで置換すると、洗浄性能寄与の増大が得られることを見い出した。この効果は、恐らくは酵素作用により、199位におけるイソロイシンによる置換などの他の置換および/または211位におけるアスパラギン酸などの他の規定されたアミノ酸残基の寄与によって利益を受ける。この増大効果は、恐らくは安定化作用により、それぞれ3位および4位におけるアミノ酸トレオニンおよびイソロイシンによって増強される。
【0036】
即ち、本発明によれば、本目的は、スブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼであって、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、出発酵素と比較して、61位にアミノ酸 アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンのいずれかによる置換、好ましくはアミノ酸 アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンのいずれかによる置換、特に好ましくはアラニンによる置換を有することを特徴とするプロテアーゼによって達成される。
【0037】
順に好ましいのは、以下の解決である:即ち、61位の置換に加えて、イソロイシンが199位に存在しているもの;上記したアミノ酸のいずれかが61位に存在し、イソロイシンが199位に存在し、アスパラギン酸が211位に存在し、そして安定化のために、トレオニンが3位に存在し、そして/または、イソロイシンが4位に存在するものである。特に好ましい解決は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼから誘導されたプロテアーゼ、特に、2つの変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199IまたはB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dのいずれかである。本発明のこの対象は、該プロテアーゼの発展体および誘導体をも包含する。
【0038】
本目的の一部は、本発明により、本発明のプロテアーゼをコードしている核酸ならびにベクター、宿主細胞および製造方法を提供することによって達成される(これらの全ては、それぞれ本発明の独立した対象であり、この種のプロテアーゼを得るために使用することができる)。また提供されるのは、対応する製剤、特に洗浄剤および浄化剤、対応する洗浄および浄化方法ならびに対応するこの種のプロテアーゼの可能な使用である。最後に、見い出したプロテアーゼの可能な工業的使用が規定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
「タンパク質」とは、本願によれば、天然のアミノ酸からなり、実質的に直線構造を有し、かつ、通常は3次元構造をとってその機能を発揮するポリマーを意味する。本願においては、19個のタンパク質を構成する天然Lアミノ酸を、国際的に使用されている1文字コードおよび3文字コードにより言及する。
【0040】
これらの名称と数の任意の組合せによって、特定のタンパク質がそれぞれの位置に保持しているアミノ酸残基が示される。即ち、例えばS3は、当該タンパク質のN末端で番号付与を開始して、3位のセリン残基を示す。この命名法に従って、例えば、アミノ酸トレオニンをもたらすこの部位での点突然変異は、S3Tと略される。複数の点突然変異を有する変異体を示すためには、これらの置換を、先行するスラッシュによって互いに分離する。即ち、変異体S3T/V4Iは、この変異体の3位に以前に存在していたセリンがトレオニンで置換されており、4位に以前に存在していたバリンがイソロイシンで置換されていることを特徴とする。
【0041】
他に言及がなければ、本発明において示される位置は、いずれの場合にも、該当タンパク質の成熟型、即ちシグナルペプチドを含まない形態を指す(以下を参照)。
【0042】
本願による「酵素」とは、特定の生化学的機能を発揮するタンパク質を意味する。「タンパク質分解酵素」またはタンパク質分解機能を有する酵素とは、例えば、タンパク質の酸アミド結合(特に、タンパク質の内側に位置する結合)を加水分解し、従って、エンドペプチダーゼとも呼ばれる酵素を一般に意味する。スブチリシンプロテアーゼとは、グラム陽性細菌によって天然に産生され、通常は分泌されるエンドペプチダーゼ、または、例えば、分子生物学的方法により後者から誘導され、部分領域(例えば、構造形成領域または機能担持領域)により天然のスブチリシンプロテアーゼと相同化しうるエンドペプチダーゼである。これらは、例えば、「Subtilisin enzymes」[R.BottおよびC.Bentzel編、ニューヨーク、1996]中の論文「Subtilases: Subtilisin-like Proteases」[R.Siezen、p.75-95]に記載されている。
【0043】
多くのタンパク質が、「プレタンパク質」として、即ち、「シグナルペプチド」と一緒に形成される。即ち、これは、このタンパク質のN末端部分を意味し、その機能は、通常、産生されたタンパク質の産生細胞から周辺質への輸送もしくは周囲媒体への輸送、および/またはその正しい折り畳みを確実にすることである。引き続いて、シグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼによって天然条件下に残りのタンパク質から除去され、その結果、このタンパク質は、最初に存在したN末端アミノ酸を含まずにその実際の触媒活性を発揮する。国際特許出願公開WO91/02792A1の図1によれば、Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンのプレタンパク質は380個のアミノ酸を含むが、その成熟タンパク質は269個のアミノ酸しか含まない。その番号付与は、成熟タンパク質の最初のアミノ酸から、即ち、この場合には、プレタンパク質配列の112番のアラニンから始まる。本願の配列番号1によれば、B.licheniformis ATCC 68614 スブチリシンのシグナルペプチドは、111個のアミノ酸であり、成熟ペプチドは269アミノ酸長である。この区分がなければ、完全なタンパク質は、配列番号2から明らかなように、380アミノ酸長である。配列表によれば、同じことが、特に好ましい態様にも当てはまる。
【0044】
酵素活性のゆえに、工業的適用のためには、プレタンパク質よりも「成熟ペプチド」(即ち、その調製後にプロセシングを受けた酵素)が好ましい。
「プロタンパク質」とは、タンパク質の不活性前駆体である。シグナル配列を含む前者の前駆体は、「プレプロタンパク質」と呼ばれる。
【0045】
「核酸」とは、本願によれば、天然にはヌクレオチドから構成され、情報の担持体として働き、タンパク質または酵素の直線アミノ酸配列をコードする分子を意味する。これらは、一本鎖として、この一本鎖に相補的な一本鎖として、または二本鎖として存在することができる。分子生物学の研究のためには、天然の比較的耐久性の高い情報担持体として核酸DNAが好ましい。対照的に、RNAが、天然環境において、例えば発現細胞において本発明を実行するために産生されるので、本発明にとって重要なRNA分子も同様に本発明の態様である。
【0046】
本願によれば、あるタンパク質に対応する核酸の情報単位は、「遺伝子」とも呼ばれる。DNAの場合、両方の相補鎖の配列は、それぞれの場合に、3つ全ての可能性あるリーディングフレームが考慮されなければならない。異なるコドンのトリプレットが同じアミノ酸をコードしうるので、特定のアミノ酸配列を、複数の異なるヌクレオチド配列(恐らくはわずかな同一性しか有さない)から誘導しうるということも考慮されなければならない(遺伝子コードの縮重)。さらに、種々の生物は、これらコドンの用法が異なる。これらの理由のために、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列の両方が、保護の範囲内に含まれなければならない。また、示されたヌクレオチド配列は、それぞれの場合に、例として特定のアミノ酸配列をコードするにすぎないと考えるべきである。
【0047】
当業者なら、現在広く知られている方法、例えば、化学的合成またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、分子生物学的および/またはタンパク質化学の標準的方法と組合せることにより、既知のDNA配列および/またはアミノ酸配列に基づいて完全な遺伝子を調製することができる。この種の方法は、例えば、「Lexikon der Biochemie(生化学の辞典)」[Spektrum Akademischer Verlag、ベルリン、1999、Vol.1、p.267-271、およびVol.2、p.227-229]から知られている。これは、特に、菌株コレクションに寄託された菌株を利用しうるときに可能になる。既知の配列に基づいて合成したPCRプライマーを使用して、どのような問題もなく該菌株から当該遺伝子を、合成、クローニング、および所望によりさらに処理することができる。このさらなる処理には、例えば、部位指向性またはランダム突然変異誘発が含まれる。
【0048】
例えば、自体既知の分子生物学的方法によって生成させうるヌクレオチド配列の変化は、「突然変異」と呼ばれる。変化の種類に依存して、例えば、「欠失突然変異」、「挿入突然変異」もしくは「置換突然変異」、または、種々の遺伝子もしくは遺伝子の一部が、互いに「融合」された突然変異(「シャッフリング」)が知られている(これらは遺伝子突然変異である)。対応する生物は、「突然変異体」と呼ばれる。突然変異した核酸由来のタンパク質は、「変異体」と呼ばれる。即ち、例えば、欠失、挿入、置換突然変異または融合は、欠失突然変異した遺伝子、挿入突然変異した遺伝子、置換突然変異した遺伝子または融合遺伝子を与え、そしてタンパク質レベルでは、対応する欠失変異体、挿入変異体もしくは置換変異体または融合タンパク質を与える。
【0049】
「ベクター」とは、本発明によれば、核酸からなるエレメントであって、特徴的な核酸領域として目的の遺伝子を含むエレメントを意味する。これらは、数世代または細胞分裂にわたって種またはセルラインにおいて残りのゲノムとは独立して複製する安定な遺伝子エレメントとして、目的の遺伝子を確立することができる。ベクターとは、特に細菌において使用する場合には、特別のプラスミド、即ち環状の遺伝子エレメントである。遺伝子操作では、一方において、貯蔵のために使用され、ある程度までは遺伝子操作の研究のために使用されるベクターである「クローニングベクター」と、他方において、宿主細胞において目的の遺伝子を確立する機能、即ち、該当タンパク質の発現を可能にする機能を発揮するベクターとの間を区別する。これらのベクターは、「発現ベクター」と呼ばれる。
【0050】
「相同化(ホモロジゼーション)」、即ち、整列(アラインメント)により行われる既知の酵素との比較によって、例えば、アミノ酸またはヌクレオチド配列から研究された酵素の酵素活性を推定することが可能になる。この活性は、実際の反応には関与しないタンパク質の他の領域によって、質的または量的に改変することができる。これは、例えば、酵素の安定性、活性、反応条件、または基質特異性に関係することができる。
【0051】
従って、「タンパク質分解酵素」または「プロテアーゼ」という用語は、触媒活性部位の数個のアミノ酸残基の機能に加えて、実際の触媒活性領域上の残りのタンパク質全体または残りのタンパク質の1またはそれ以上の部分の作用から生じるあらゆる機能を意味する。本発明によれば、このような改変機能または部分活性も、それらがタンパク質分解反応を支援する限り、単独でタンパク質分解活性とみなされる。このような補助的機能または部分活性には、例えば、基質、中間体または最終産物の結合、加水分解活性に対する調節的影響の活性化または阻害または媒介が含まれる。別の可能性ある例は、活性部位から遠く離れて位置する構造エレメントの形成である。しかし、本発明のタンパク質分解タンパク質であるための第2の前提条件は、実際に活性な残基単独での化学的挙動またはさらに改変部分の作用が、ペプチド結合の加水分解を生じることである。例えば、本発明のタンパク質の1またはそれ以上の部分が、他のプロテアーゼの活性を質的または量的に改変することもさらに可能である。この他の要因の影響は、同様にタンパク質分解活性とみなされる。また、タンパク質分解活性な酵素とは、その活性が所定の時点で、例えばインヒビターによってブロックされる酵素である。対応するタンパク質分解反応に対する主適合性は重要である。
【0052】
「フラグメント」とは、天然のタンパク質または完全に翻訳された遺伝子に対応するタンパク質よりも小さく、例えば合成によっても得ることができる任意のタンパク質またはペプチドを意味する。そのアミノ酸配列のゆえに、これらは、対応する完全なタンパク質に関連付けることができる。これらは、例えば、同一の構造をとってもよいし、タンパク質分解活性または部分活性(例えば、基質の複合化など)を発揮することができる。出発タンパク質のフラグメントおよび欠失変異体は、原則的に極めて類似している。フラグメントは、相対的にかなり小さいピース(小片)であるが、欠失突然変異体は、短い領域を欠いているだけであり、そのため個々の部分的な機能を欠いているだけである。
【0053】
「キメラ」または「ハイブリッド」タンパク質とは、本願によれば、同じ生物または異なる生物からの異なるポリペプチド鎖に天然に由来するエレメントから構成されるタンパク質を意味する。この操作は、「シャッフリング」または「融合突然変異誘発」とも呼ばれる。このような融合の目的は、例えば、本発明の融合されたタンパク質部分と協力して酵素機能を生じるか、または改変することであってよい。本発明によれば、このようなキメラタンパク質が、単一のポリペプチド鎖からなっているか、または複数のサブユニット(この間に異なる機能が分配されていてもよい)からなっているかは重要ではない。後者の態様を行うために、例えば、翻訳後または単に精製工程後のいずれかに、特異的なタンパク質分解切断によって、単一のキメラポリペプチド鎖を、複数のポリペプチド鎖に切断することができる。
【0054】
「挿入突然変異」によって得られたタンパク質とは、出発配列にタンパク質フラグメントまたは核酸フラグメントを挿入することによって、自体既知の方法により得られたタンパク質変異体を意味する。これらは、原則的にその類似性のゆえに、キメラタンパク質と分類されるべきである。これらは、単に、タンパク質全体のサイズに対する未変更タンパク質部分のサイズの点で、後者とは異なる。このような挿入突然変異されたタンパク質における外来タンパク質の割合は、キメラタンパク質における割合よりも低い。
【0055】
「反転突然変異誘発」、即ち部分的配列転換は、欠失および挿入の両方の特別な形態とみなすことができる。同じことが、元のアミノ酸配列から逸脱する種々の分子部分の再編成に当てはまる。このような再編成は、元のタンパク質の欠失変異体、挿入変異体およびシャッフリング変異体とみなすことができる。
【0056】
「誘導体」とは、本願によれば、純粋なアミノ酸鎖が、化学的に改変されているタンパク質を意味する。これらの誘導体化は、例えば、宿主生物によるタンパク質生合成と関連して生物学的に行うことができる。ここで、分子生物学的方法を使用することができる。しかし、この誘導体化は、化学的に、例えば、アミノ酸側鎖の化学的転換によって、あるいはタンパク質への別の化合物の共有結合によって行うこともできる。このような化合物は、例えば、本発明のタンパク質に二官能性化合物を介して結合される他のタンパク質であってもよい。この種の改変は、例えば、基質特異性もしくは基質に対する結合強度に影響を与えるか、または酵素活性の一過性のブロックを引き起こすことができる(結合される物質がインヒビターである場合)。これは、例えば、貯蔵期間にとって有用であることができる。同様に、誘導体化とは、巨大分子支持体に対する共有結合を意味する。
【0057】
本発明によれば、全ての酵素、タンパク質、フラグメント、および誘導体は、それらがそうであると明白に言及される必要がなければ、「一般的用語タンパク質」に含まれる。
【0058】
「酵素の性能」とは、それぞれの場合に考慮される技術領域におけるその効力を意味する。このような性能は、実際の酵素活性に基づくが、さらに、特定のプロセスに関連するさらなる要因に依存する。これらには、例えば、安定性、基質結合、該基質を支持する物質との相互作用、または他の成分との相互作用(特に、相乗作用)が含まれる。
【0059】
「製剤の洗浄性能または浄化性能」とは、本願によれば、汚れた物品(例えば、織物または硬表面を有する物体)において調べた、製剤によって発揮される効果を意味する。このような製剤の個々の成分、例えば、個々の酵素は、製剤全体の「洗浄性能または浄化性能に対する寄与」の点で評価される。その理由は、酵素の酵素特性から、製剤の洗浄性能に対する該酵素の寄与を推定することが、容易にはできないためである。ここで、ある役割を果たす他の要因の例は、安定性、基質結合、浄化されるべき物質への結合、および製剤の他の成分との相互作用(特に、汚れ除去における相乗作用)である。
【0060】
言及した目的に関連して、本願は、洗浄剤および浄化剤において使用するために、特に国際特許出願公開WO91/02792A1、WO92/21760A1およびWO95/23221A1に開示されている分子と比較して、さらに具体的には変異体M131 S3T/V4I/A188P/V193M/V199IおよびF49 S3T/V4I/A188P/V193M/V199I/L211Dと比較して、Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンをさらに改善する戦略を実行した。従って、対応する技術的教示を、他の特に密接に関連するプロテアーゼに、さらに具体的にはスブチリシン型のプロテアーゼにも適用することができる。
【0061】
本発明に特に重要なのは、Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンの番号付与(WO92/21760A1)に従う成熟タンパク質の3位、4位、61位、199位、および211位である。これらは、表1に従って、最も重要なスブチリシンの位置と相同化することができる。この相同化は、全ての他のスブチリシンに移し替えることができる。即ち、例えば「Subtilisin enzymes」[R.BottおよびC.Betzel編、ニューヨーク、1996]中の論文「Subtilases: Subtilisin-like Proteases」[R.Siezen、p.75-95]は、スブチリシンBPN'の既知配列との関係で、20を越えるスブチリシンの整列(アラインメント)を示している。
【0062】
【表1】
Figure 2005507259
【0063】
また、本願の図1は、本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体S3T/V4I/G61A/V199IおよびS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dのアミノ酸配列と、初めに記載した最も重要なスブチリシン[即ち、スブチリシン309(Savinase)、スブチリシンPB92、スブチリシン・カールスバーグおよびスブチリシンBPN']との整列を示す。
【0064】
本発明の教示の移し替え可能性は、これらスブチリシン類の間の高い構造相同性ならびに実質的に同じ反応機構に基づいている。即ち、該点突然変異は、それぞれ当該分子において同等にふるまうことが予想される。特に、本願の教示のゆえに、洗浄剤および浄化剤における使用に関連して先行技術において既に開発されたスブチリシン類を、該点突然変異の採用によって、洗浄および浄化性能への寄与の点でさらに改善しうることが予想される。
【0065】
先行技術(上記を参照)において、アミノ酸N、D、Q、E、PおよびSによる置換(特に、本発明とは関連しない他の点突然変異と組合せた置換)が、B.lentusアルカリ性プロテアーゼの番号付与に従う61位に対して記載されている。ヒドロキシル基を含む中性アミノ酸トレオニンによる置換、塩基性アミノ酸ヒスチジン、リシン、アルギニンによる置換、芳香族アミノ酸フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンによる置換、イオウ含有アミノ酸システイン、メチオニンによる置換、ならびに、脂肪族アミノ酸アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンによる置換は、これまで記載されていなかった。特に、酵素の性能(即ち具体的には、対応する製剤の洗浄または浄化性能へのその寄与)を、それにより改善することを目的としては記載されていなかった。これが本願により達成される。
【0066】
本発明によれば、61位における性能増強性の置換は、好ましくは脂肪族アミノ酸、即ちアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシンによる置換、特に好ましくはアラニンによる置換である(これは、実施例において研究された変異体、B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199IおよびB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dを特徴付ける)。驚くべきことに、61位のアミノ酸グリシンを、異なるアミノ酸で、特に脂肪族アミノ酸で、さらに具体的にはアラニンで置換すると、洗浄性能寄与の増大が得られることがわかった。
【0067】
本発明の変異体であるB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dに最も高い相同性を有するとみなすことができるBacillus lentusスブチリシンの変異体は、国際特許出願公開WO95/23221A1に開示されたB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体F49である(これは、特徴的置換S3T/V4I/A188P/V193M/V199I/L211Dを有する)。従って、S3T/V4I/G61A/V199Iに次に最も類似している変異体は、M131とWO95/23221A1において言及され、WO92/21760A1に開示されているB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体S3T/V4I/A188P/V193M/V199Iである。
【0068】
即ち、2つの置換A188PおよびV193Mの代わりに、本発明は、それぞれの場合に61位に変異を含む。例えば、国際特許出願公開WO95/30011A2に示されているように、B.lentusスブチリシンのアミノ酸193は、ループ6の開始点のところに位置しており、一方、アミノ酸188は、どのループにも割り当てられず、中間に位置する密集(コンパクト)タンパク質領域に割り当てられる。この点で、両方の突然変異は、分子の構造的に異なる領域に位置している。驚くべきことに、この2つの位置188および193の野生型アミノ酸への変更および61位(即ち、ループ1)における追加の突然変異により、洗浄および浄化性能の点で、これまで既知の酵素(特に、これまで既知のB.lentusアルカリ性プロテアーゼの変異体)よりも優れた酵素が得られることが本発明において見い出された。特に、実施例3、5および7に示した結果は、このことを示す。
【0069】
例えば、出願CA2049097A1、EP380362A1およびWO95/30010A1(上記を参照)は、61位における変異を示唆するが、それは酸性アミノ酸への変異のみである。スブチリシン類に対する点突然変異誘発に関する一連の出願[WO96/28556A2および特にWO95/30011A2を含む(上記を参照)]は、61位(多くのスブチリシン類において天然にはグリシン)に対して、この種の置換[これは、分子にとって局所的に極めて劇的な変化を意味し、恐らくは第1ループ(N、D、Q、E、PおよびS)によって発揮される基質相互作用にも影響を与えるであろう]をさらに記載している。他方において、欧州特許EP398539B1は、突然変異誘発アミノ酸グリシンのみが当該スブチリシン中のこの部位に初めて導入されることになる突然変異誘発を示唆するが、これはBacillus lentusスブチリシン中のそこに天然に存在するものである。この先行技術に鑑みて、特にこの位置における変更、特に脂肪族側鎖を有するアミノ酸への変更、さらに具体的にはアラニンへの変更が、該酵素により行われる反応に対して有利な効果を有することは驚くべきことである。
【0070】
特に洗浄剤および浄化剤における使用の観点から、これが、性能改善、特に種々の汚れに対する洗浄および浄化性能へのこの種の酵素の寄与の改善につながることは驚くべきことである。このことは、本願の例示態様2〜7に示されている。
【0071】
これらの観察によれば、さらに好ましいのは、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、61位における上記置換に加えて、199位にアミノ酸イソロイシンを有する変異体である。Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンの酵素特性に対するこの置換の影響は、例えば、国際特許出願公開WO92/21760A1に記載されている。
【0072】
さらに好ましいのは、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、199位にイソロイシン、211位にアスパラギン酸、ならびに、61位にアミノ酸 アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンのいずれか、好ましくはアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシン、特に好ましくはアラニンを有することを特徴とするスブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼである。これは、天然分子および突然変異誘発によって得られる分子(該位置に該アミノ酸を含む)の両方に関係する。
【0073】
対応する製剤の洗浄または浄化性能の増大に対する211位のアミノ酸残基アスパラギン酸の寄与は、例えば、国際特許出願公開WO95/23221A1の実施例10において明らかにされている。
【0074】
本発明のアルカリ性プロテアーゼは、それらが少なくとも1つの安定化を有することによって特徴付けられているのが好ましい。その理由は、これにより貯蔵中および/またはその使用中の安定性が増大するので、上記のアミノ酸およびそれぞれアミノ酸置換の有利な作用が長くなり、こうして増強されるためである。
【0075】
本発明のプロテアーゼの安定性を、例えば、ポリマーへの結合によって増大させることができる。この種の方法は、例えば、米国特許US5230891に記載されている。この方法は、適当な製剤においてタンパク質を使用する前に、タンパク質を化学的結合行程により該ポリマーに結合することを必要とする。
【0076】
タンパク質を得た後のさらなる作業工程を必要としないので、分子それ自体の点突然変異誘発によって可能な安定化が好ましい。これに適するいくつかの点突然変異が、先行技術から自体既知である。即ち、米国特許US6087315およびUS6110884によれば、特定のチロシン残基を他の残基で置換することによって、プロテアーゼを安定化することができる。本発明のBacillus lentus由来のタンパク質に適用すると、これは、配列番号2に従って、89、161、165、208および257位のチロシン残基の置換を意味する(そこに示されている他の2つの位置は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼにおいては、チロシンによって既に占拠されている)。
【0077】
他の可能性は、例えば次の通りである:
・欧州特許EP583339B1によれば、特定のアミノ酸残基をプロリンで置換する;これは、B.lentus由来の酵素について、置換S55P、A96P、A166P、A188Pおよび/またはS253Pを意味するであろう;
・欧州特許出願公開EP995801A1によれば、分子の表面に、より高極性またはより高電荷の基を導入する;
・例えば国際特許出願公開WO88/08028A1およびWO88/08033A1の教示によれば、金属イオンの結合、特にカルシウム結合部位を改変する。これら文献の第1によれば、カルシウム結合に関与している1またはそれ以上のアミノ酸残基を、負電荷のアミノ酸で置換しなければならない。D.W.Goddetteら(1992)[J.Mol.Biol.、Vol.228、p.580-595]の刊行物によれば、Bacillus lentusスブチリシンは、以下の2つのカルシウム結合部位を有している:Ca1[高い結合親和性を有する、これは位置2Q(s)、D40(s、2×)、L73*、N75(m)、I77(s)、V79(m)を含む]ならびにCa3[低い結合親和性を有する、これは位置A168、A163、Y165、水273、317を含む](それぞれBacillus lentusスブチリシンの番号付与に従う);
・国際特許出願公開WO88/08033A1の教示によれば、カルシウム結合による安定化のために、2つの残基アルギニン/グリシンの配列の少なくとも1つにおいて、同時に点突然変異が導入されなければならない;これは、例えばBacillus lentusスブチリシンにおいては、60/61、115/116および212/213位のNG配列に関係する;
・米国特許US5453372によれば、表面における特定の突然変異によって、界面活性剤などの変性剤の作用からタンパク質を保護することができる;そこに示されている位置は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼ中の134、155、158、164、188および/または189位に対応する。
さらなる同等の可能性が、米国特許US5340735、US5500364、US5985639およびUS6136553に示されている。
【0078】
本発明のアルカリ性プロテアーゼのためのこの種の好ましい安定化は、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従って3位のアミノ酸トレオニンによる安定化である。その理由は、例えば国際特許出願公開WO92/21760A1の表3により、この置換が、野生型酵素と比較して、高温および界面活性剤の作用の両方の点で分子を安定化することが明らかにされているためである。この分子のN末端(3位および4位を含む)は、プロセシングの後に、表面に、より正確には活性部位を含む裂け目の末端に位置する。このルーズ末端は、分子の残りに、特に非共有相互作用によって結合し、こうして球状構造の維持に寄与する。該ルーズ末端の柔軟性を制限するあらゆる突然変異が、全分子の安定性に寄与すると考えることができる(この理論に拘束はされない)。
【0079】
また、本発明のアルカリ性プロテアーゼのためのこの種の好ましい安定化は、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従って4位のアミノ酸イソロイシンによる安定化である。この置換の安定化作用も同様に、国際特許出願公開WO92/21760A1の表3に明らかにされている。
【0080】
特に好ましくは、3位のトレオニンによる置換および4位のイソロイシンによる置換の両方によって、分子を安定化し、その性能プロフィールを改変する。
【0081】
本発明の対応するスブチリシンは、本願の実施例において、この安定化を有さない先行技術から既知の酵素Savinaseと比較して、対応する洗浄剤または浄化剤配合物において性能の増大を示した。当該変異体の安定性が、十分に長い期間にわたり洗浄液において該酵素の活性を維持するのに寄与し、こうして改善された性能を支援するのに寄与すると考えることができる(この理論に拘束はされない)。
【0082】
さらに、これら置換のそれぞれは、異なる方法で、分子の性能を、特に洗浄剤および浄化剤において、例えば基質または対応する製剤の別の成分との相互作用によって改善することができる。
【0083】
特に好ましいのは、本発明のアルカリ性プロテアーゼが、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、61位にアラニン、および199位にイソロイシンを有することを特徴としている態様である。
この種の変異体の、対応する製剤の洗浄または浄化性能に対する寄与は、本願の実施例3、5および7に記載されている。
【0084】
さらに特に好ましいのは、本発明のアルカリ性プロテアーゼが、Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、61位にアラニン、199位にイソロイシン、および211位にアスパラギン酸を有することを特徴としている態様である。
この種の変異体の、対応する製剤の洗浄または浄化性能に対する寄与は、本願の実施例2、4および6に記載されている。
この種の変異体は、好ましくはバシラスのスブチリシンから、特にBacillus lentusスブチリシンから誘導される。
【0085】
バシラスのプロテアーゼは、最初から、種々の可能な技術的用途に対して好ましい特性を有している。これらには、高温、酸化剤または変性剤に対するある種の安定性が含まれる。さらに、多くの経験が、微生物プロテアーゼを用いて、その生物工学的製造に関連して、例えば、適当なクローニングベクターの構築、宿主細胞および発酵条件の選択またはリスク(例えばアレルゲン性など)の評価に関連して得られている。
【0086】
特に、Bacillus lentusスブチリシンおよびその天然産生プロテアーゼから誘導されたスブチリシンが、例えば洗浄剤および浄化剤において使用するために、先行技術において確立されている。これらには、最初に挙げたプロテアーゼ、スブチリシン147、スブチリシン309およびB.lentusアルカリ性プロテアーゼが含まれる。これらプロテアーゼの調製および使用に対して得られた知識の量は、これら酵素のさらなる創意に富む開発(例えば、他の化学物質、例えば洗浄剤または浄化剤の成分などとの適合性を含む)の助けになる。
【0087】
このために使用しうる適当な出発菌株は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH [Mascheroder Weg 1b、38124 Braunschweig、独国](http://www.dsmz.de)に受託番号 DSM 5483のもとで寄託され、例えば、国際特許出願公開WO91/02792A1、WO92/21760A1およびWO95/23221A1に記載されているB.lentus株である。これからまたは関連の菌株から、分子生物学的標準法(例えば、自体既知のPCR法および点突然変異誘発法など)の適用によって、上記のような変異体を調製することができる。
【0088】
実施例に記載される特に好ましい変異体は、実施例1に示す方法により、American Type Culture Collection [10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110-2209、米国](http://www.atcc.org)に参照番号 ATCC 68614のもとで寄託されているB.lentusのB.lentusアルカリ性プロテアーゼから誘導された。この酵素のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、本願の配列表にそれぞれ配列番号1および2として開示されている。
【0089】
この配列を、例えば、プライマーを構築するために、該プロテアーゼをコードしている核酸を、グラム陽性細菌(好ましくは、例えばBacillus lentusなどのグラム陽性細菌)のDNA調製物から調製するため、それを改変するため(適切であれば自体既知の方法に従って)、それを突然変異させるため(例えば本願の教示の適用によって)、およびそれを発現させるために使用することができる。遺伝暗号の縮重のゆえに、該変異体を同じようにコードし、本発明のこの対象の範囲内にある同等に好ましい代替物を表す、さらに多くの他の核酸が考えられる。
【0090】
これには、特に、配列番号3として配列表に示されるヌクレオチド配列に従い、特に配列番号4として示したアミノ酸配列に従うB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iが含まれる。これは、その改善された洗浄性能寄与が、本願の対応する応用実施例によって示されたためである。
【0091】
また、上記によれば、Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンまたはATCC 68614から誘導されたスブチリシン、特に、それぞれ配列番号5で示したヌクレオチド配列および配列番号6で示したアミノ酸配列に従うB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dであることを特徴とするアルカリ性プロテアーゼも好ましい。
このプロテアーゼは、本願の応用実施例に記載した実験において、比較分子と比較して性能の最大の改善を示した。これは、上記のようにして得ることができる。
【0092】
好ましい態様は、上記のプロテアーゼのいずれかから、特に、フラグメント化もしくは欠失突然変異誘発によって、挿入突然変異誘発によって、置換突然変異誘発によって、または少なくとも1つの部分と少なくとも1つの他のタンパク質との融合によって誘導されるタンパク質である。
この種の方法は、先行技術において確立されている。適当な分子生物学的方法は、例えば、SambrookおよびManiatisの教科書「Molecular cloning: a laboratory manual」[Cold Spring Harbour Laboratory Press、ニューヨーク、1989]においても詳しく議論されている。
【0093】
ここでの例には、追加の特性が置換突然変異誘発またはさらなる点突然変異によって付与され、該追加の特性により、例えばWO00/36069A1に開示されているような表面電荷の変化により、または、例えばWO99/27082A1に開示されているような触媒作用または基質結合に関与しているループにおける改変により、特定の可能な用途に指向させた変異体が含まれる。また、該変異体の比較的大きい部分領域を、突然変異誘発にかけることもできる。即ち、例えば、プロテアーゼの特異的な部分機能(例えば、分子の特定領域によって発揮される基質結合および他の化合物との相互作用)を選択すること、または他方において、それらを除外することが、フラグメント生成または欠失突然変異誘発の目的であってよい。
【0094】
挿入、置換または融合は、追加の機能を有する本発明のプロテアーゼを与えることができる。これに関連して考えられるのは、例えば特定のドメインへの結合、例えばセルロース結合ドメインへの結合である(例えば、国際特許出願公開WO99/57154A1〜WO99/57157A1に記載)。ここに記載されているアミノ酸リンカーを、プロテアーゼの組込み融合タンパク質、リンカー領域および結合ドメインを形成させることによって構築することができる。また、このような結合ドメインを、同一または異なるプロテアーゼから導いて、例えば、本発明のタンパク質のプロテアーゼ基質への結合を増強することもできる。これは局所的プロテアーゼ濃度を増大させ、この増大は、個々の適用において、例えば原料の処理において有利になるであろう。
【0095】
別の態様によれば、本発明のタンパク質はさらに誘導化されていることを特徴とする。
これは、特に、その特定の適用目的のために最適化するのに有用である。これには、例えば、独国特許出願公開DE4013142A1に記載されている化学修飾が含まれる。また、これらを、例えば、低分子量または高分子量の化学物質の結合によって修飾することもできる(タンパク質生合成に関連して種々の生物により天然に行われているように;例えば、N末端近くの脂肪酸基の結合または真核宿主細胞による合成中のグリコシル化など)。即ち、追加で誘導化されたタンパク質分解酵素またはフラグメントは、本発明の態様である。
【0096】
洗浄剤または浄化剤における本発明のタンパク質の使用に関連して、例えば、他の洗浄物質または酵素への結合が特に有用である。例えば、国際特許出願公開WO00/18865A1およびWO00/57155A1は、セルロース結合ドメインのための比較しうる結合アプローチを記載している。同様に、巨大分子化合物(例えば、ポリエチレングリコールなど)への結合を、さらなる特性(例えば、安定性または皮膚適合性)の点で分子を修飾するために行うこともできる。例えば、米国特許US5230891は、当該プロテアーゼを化粧品における使用にさらに適するものにするためのこの種の改変を記載している。
【0097】
本発明のタンパク質の誘導体は、最も広い意味で、これら酵素の調製物を意味することもある。その取得、後処理または調製に依存して、タンパク質は、種々の他の物質、例えば産生微生物の培養物からの他の物質を伴っていることもある。プロテアーゼ産生微生物の培養上清は、既にタンパク質分解活性を示すので、粗抽出物であっても、例えば他のタンパク質生成活性を不活性化するために適切に使用しうることを示す。
【0098】
また、タンパク質を、特定の他の物質と特別に混合して、例えばその貯蔵安定性を増大させることができる。従って、本発明の実際のタンパク質のあらゆる調製物も、本発明に従う。これは、特定の調製物において該酵素活性を実際に生じるか否かとは無関係である。その理由は、貯蔵中はあるとしても低い活性のみを有しており、使用時にのみそのタンパク質分解機能を生じることが所望であることもあるためである。これは、例えば、タンパク質の折り畳み状態に依存することもあり、あるいは、本発明のタンパク質への調製物の1またはそれ以上の付随物質の可逆的結合に起因することもある。プロテアーゼとプロテアーゼインヒビターとの結合調製物は、特に、先行技術から既知である(WO00/01826A2)。またここで含まれるのは、インヒビターが、リンカー(特にアミノ酸リンカー)を介して特定のプロテアーゼに結合している融合タンパク質である(WO00/01831A2)。
【0099】
このような本発明のタンパク質の開発、誘導化および調製は、該タンパク質がタンパク質分解活性であり続ける場合(これが本発明のこれらの可能な用途のための必須条件であるため)には、特に望ましい。好ましくは、あらゆる種類の突然変異誘発および/または誘導化によって得られたプロテアーゼは、それぞれ出発分子および未誘導の分子と比較して、それぞれの場合にその意図した技術分野の用途に関連して、増大したタンパク質分解活性および極めて特別に改善された性能を有する(特に、洗浄剤または浄化剤において使用するための洗浄および/または浄化性能の改善を含む)。
【0100】
これは、例えば、本発明の点突然変異をさらなる点突然変異(例えば活性部位における触媒反応に関係する点突然変異)と組合せることによって可能である。即ち、例えば国際特許出願公開WO95/30011A2の教示に従って、Bacillus lentusスブチリシン由来の本発明のプロテアーゼをループ領域において突然変異させるか、または追加のアミノ酸を導入することができるであろう。このような研究は、番号WO00/37599A1、WO00/37621A1〜WO00/37627A1およびWO00/71683A1〜WO00/71691A1のもとで公開された国際特許出願に記載されている。
【0101】
反応媒体中で他の活性化合物と相互作用し、こうして全体の反応を損なう(例えば折り畳み効果による)、酵素領域の欠失は、このような所望の開発でありうる。同様に、他の活性酵素(例えば他のプロテアーゼ)への融合が、加水分解速度の増大を達成するために考えられる。
【0102】
例えば、ヒンヒビターの結合による貯蔵中のタンパク質分解活性の可逆的ブロックは、自己タンパク質分解を停止させることができ、こうして希釈時の反応媒体中において、より高いタンパク質分解速度を得ることができる。例えば、特別の結合ドメインへの結合は、精製過程において、液体中のものと比較して基質に近いプロテアーゼの濃度を増大させることができ、こうして製剤の性能への該酵素の寄与を増大させることができる。
【0103】
別の態様において、該タンパク質または誘導体は、さらに安定化されていること、または1を越える上記の安定化を有していることを特徴とする。
これらの中で本発明に特に関連しているのは、実施可能性の理由から、点突然変異誘発に基づく方法である。また、既に上記した可能性の全てを、本発明の変異体と組合せて適用することもできる、これは、WO89/09819A1によれば、複数の安定化突然変異は、加算効果を有すると考えることができるためである。即ち、例えば、2つのアミノ酸3Tおよび4Iの一方または両方によって既に安定化されている本発明の変異体を、ポリマーへの結合によって、または上記した異なる方法で、加算的に安定化することができる。
【0104】
本発明の第2の対象は核酸である。これらには、それぞれ対応する好ましさを伴って、本発明の第1の対象のタンパク質または誘導体をコードしている核酸が含まれる。
核酸は、タンパク質の実質的に全ての通常の分子生物学的研究および開発ならびにその製造のための出発点である。これらには、特に、遺伝子の配列決定および対応するアミノ酸配列の誘導、あらゆる種類の突然変異誘発およびタンパク質の発現が含まれる。このような方法は、例えば、Fritsch、SambrookおよびManiatisによるマニュアル「Molecular cloning: a laboratory manual」[Cold Spring Harbour Laboratory Press、ニューヨーク、1989]に記載されている。
【0105】
DNAレベルにおいて、本発明にとって重要な酵素を、「タンパク質工学」という用語のもとで一般的に挙げられている任意の方法によって、種々の用途のために最適化することができる。これにより、特に、タンパク質レベルで生じる以下の特性を達成することが可能になる:誘導されたタンパク質の酸化に対する耐性の改善、変性剤またはプロテアーゼ、高温、酸性または強アルカリ性条件に対する安定性の改善、カルシウムまたは他の補助因子に対する感受性の改変、免疫原性またはアレルゲン作用の軽減。
【0106】
本発明の突然変異遺伝子の例には、個々の特異的な塩基置換またはランダム点突然変異、個々の塩基または部分配列の欠失、他の遺伝子または遺伝子フラグメントへの融合あるいは反転のためのものが含まれる。この種の突然変異または改変は、特定の用途のためにそれぞれの核酸から誘導される酵素を特徴付けることができる。このような突然変異誘発は、標的特異的にまたはランダム法によって行うことができる[例えば、活性を標的としたクローン化遺伝子における、後の認識および/または選択法(スクリーニングおよび選択)を用いて]。
【0107】
特に、タンパク質フラグメントをコードしている核酸のために、センスおよびアンチセンスの両配向における3つ全てのリーディングフレームを考慮に入れなければならない。これは、このようなオリゴヌクレオチドを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、関連の核酸の合成のための出発点として使用することができるためである。このようなオリゴヌクレオチドは、特に、5つのアミノ酸位置3、4、61、199および/または211位に対応する領域のいずれかを含んでいるときに、明らかに本発明の保護の範囲内に含まれる。このことは、正確にこれらの位置に可変配列を有するものであって、これにより、多数のプライマーの集団内に、該位置のための配列番号3および/または配列番号5のいずれかに対応する部分配列をコードしている少なくとも1つが存在しているであろうものにも当てはまる。同じことが、例えば発現を調節するために使用しうるアンチセンスオリゴヌクレオチドに当てはまる。
【0108】
本発明のプロテアーゼの開発を、特に、P.N.Bryan (2000)による刊行物「Protein engineering」[Biochim.Biophys.Acta.、Vol.1543、p.203-222]に供されているアイデアに向けることができる。
【0109】
本発明のこの対象の代表例は、好ましくは、スブチリシン プロテアーゼをコードしている核酸であって、そのヌクレオチド配列が配列番号3および配列番号5で示したヌクレオチド配列のいずれかに対応している核酸である。この対応は、アミノ酸配列の配列番号4および配列番号6に従って、具体的には、199位のイソロイシン、211位のアスパラギン酸、3位のトレオニンおよび/または4位のイソロイシン、さらに具体的には61位のアラニンをコードしている領域あるいはこれらの領域を含む領域に関連する。
【0110】
上記および実施例に示したように、これらの位置は、本発明のアルカリ性プロテアーゼの特に好ましい代表例を特徴付ける。この教示は、1またはそれ以上の該位置におけるそれぞれ他の分子の突然変異によって、好都合に他のスブチリシンに移される。このような突然変異を、核酸レベルで自体既知の方法(上記を参照)に従って行うのが好都合である。
【0111】
これは、好ましくは、Bacillus lentusプロテアーゼの配列から、特に、Bacillus lentus DSM 5483 プロテアーゼの配列から誘導しうる核酸に当てはまる。極めて特に好ましい場合において、この核酸は、本発明の変異体 B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199IおよびB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dのいずれかをコードし、そして/または、配列番号3および配列番号5で示したヌクレオチド配列のいずれかに対応する。この対応は、該変異体を特徴付ける領域、特に好ましくは、完全な配列を指す。
【0112】
また、保護の範囲には、例えば、タンパク質分解活性な挿入または融合突然変異体をコードしている核酸が含まれる。即ち、この活性を担う領域は、誘導したタンパク質のポリマーへの結合を可能にするためまたはそのアレルゲン性を低下させるために、例えばセルロース結合ドメインに融合されていてよく、または、触媒的に不活性な領域において点突然変異を担持していてもよい。
【0113】
本発明の別の対象はベクターからなる。これらには、上記した核酸領域のいずれか、特に、上記したタンパク質または誘導体のいずれかをコードしている核酸領域を含むベクターが含まれる。
【0114】
本発明に関連する核酸を取り扱うために、核酸をベクターに連結するのが好都合である。このようなベクターは、先行技術において詳しく記載されており、クローニング用および発現用に多種多様のものが市販されている。これらベクターには、例えば、細菌プラスミド由来のベクター、ウイルスもしくはバクテリオファージ由来のベクター、または大部分が合成のベクターが含まれる。これらベクターは、該当遺伝子または対応するタンパク質の発現のための、分子生物学的研究および生化学的研究のための適当な出発点である。
【0115】
好ましくは、本発明のベクターは、上記した核酸領域のいずれか、特に、上記したタンパク質または誘導体のいずれかをコードしている核酸領域を含むクローニングベクターである。
【0116】
クローニングベクターは、目的遺伝子の貯蔵、生物学的増幅または選択に加えて、該遺伝子の分子生物学的な特性化に適している。同時に、これらは、特許請求された核酸の輸送可能および貯蔵可能な形態であり、細胞とは関係しない分子生物学的方法(例えば、PCRまたはインビトロ突然変異誘発法など)の出発点でもある。
【0117】
同様に好ましくは、本発明のベクターは、上記した核酸領域のいずれか、特に、上記したタンパク質または誘導体のいずれかをコードし、その生合成を可能にする核酸領域を含む発現ベクターである。
【0118】
この種の発現ベクターは、生物学的産生系において対応する核酸を実行し、これにより対応するタンパク質を産生させるための基礎である。本発明のこの対象の好ましい態様は、発現に必要な全ての遺伝子エレメント、例えば該遺伝子の上流に元来位置するその天然プロモーターまたは別の生物由来のプロモーターを担持する発現ベクターである。該エレメントを、例えば、「発現カセット」の形態で配置することができる。特に好ましいのは、これらを選択した発現系、特に宿主細胞(後記を参照)に合致させることである。
【0119】
本発明の別の対象は、本発明のタンパク質または誘導体を開発、修飾または製造するために、あらゆる形態で利用することができる細胞からなる。これらには、特に、上記したベクターのいずれかまたはその特徴領域(プラスミド上または染色体中のいずれかに位置する)を含有する細胞が含まれる。
これらは、例えば、対応する遺伝子の増幅だけでなく、その突然変異誘発または転写および翻訳、最終的に生物工学的製造をも可能にする。
【0120】
好ましいのは、上記したタンパク質または誘導体のいずれかを、特に、上記した核酸領域のいずれかを用いて、さらに具体的には、上記した発現ベクターを用いて、発現するかまたは発現するように誘導することができる宿主細胞である。
該タンパク質を産生する宿主細胞は、その生物工学的製造を可能にする。この目的のために、これら細胞は、当該の遺伝子を、好都合にはベクターによって受取らなければならない。即ち、これら細胞は形質転換されなければならない。このようなベクターまたはその特徴領域は、独立した遺伝子エレメントとして染色体外で宿主細胞中に存在していてよいか、または染色体中に組込まれていてもよい。
【0121】
適当な宿主細胞は、原則的には全ての生物、即ち、原核生物、真核生物、またはCyanophyta(藍色植物門)である。例えば、発現ベクターによる形質転換およびその安定な確立に関して、遺伝的に容易に操作できる宿主細胞(例えば、単細胞の菌類または細菌)が好ましい。さらに、好ましい宿主細胞は、良好な微生物学的操作性および生物工学的操作性によって区別される。これは、例えば、容易な培養性、高い増殖速度、発酵培地に対する低い要件、ならびに、外来タンパク質の産生および分泌の良好な速度に関係する。このようにして、本発明の任意のタンパク質を、多様な宿主生物から得ることができる。先行技術に従って利用可能な多くの異なる系から、個々の場合に最適な発現系を実験的に決定することが必要になることが多い。
【0122】
好ましい態様は、宿主細胞の活性を、適当な遺伝子エレメントによって調節しうる細胞、例えば、化学物質の制御された添加により、培養条件の変更により、または特定の細胞密度の関数として制御しうる細胞である。この制御可能な発現は、目的タンパク質の極めて経済的な製造を可能にする。発現ベクターおよび宿主細胞は、例えば、発現に必要な遺伝子エレメント(リボソーム結合部位、プロモーター、ターミネーター)またはコドンの利用の点で、互いに合致しているのが好都合である。この後者は、例えば、遺伝子中の当該宿主によって翻訳されることが少ないコドンを、特定の宿主により普通に使用されるコドンで置換することによって最適化することができる(これらは、それぞれの場合に同じ意味を有する)。
【0123】
好ましい態様において、宿主細胞は、細菌、特に、産生したタンパク質を周囲培地に分泌する細菌であることを特徴とする。
細菌は、短い世代時間および培養条件に対する低い要求によって自体区別される。このことは、コスト効果の高い方法の確立を可能にする。さらに、細菌発酵技術における豊富な経験が利用可能である。個々の場合に実験的に決定すべき多種多様の理由から、例えば栄養供給源、産物の生成速度、所要時間などから、グラム陰性またはグラム陽性細菌が特定の製造に適しているであろう。
【0124】
グラム陰性細菌[例えば、大腸菌(E.coli)]は、多くのタンパク質を細胞周辺腔に分泌する。これは特別の適用に対して有利であろう。対照的に、グラム陽性細菌(例えば、バシラス菌)は、分泌されたタンパク質を直ちに細胞を取囲む栄養培地中に放出し、これから本発明の発現されたタンパク質を、別の好ましい態様に従って直接的に精製することができる。国際特許出願公開WO01/81597は、グラム陰性細菌によって発現されたタンパク質の輸出をも達成する方法を開示している。
【0125】
好ましいのは、グラム陽性細菌であること、具体的にはバシラス(Bacillus)属、さらに具体的にはバシラス・レンタス(Bacillus lentus)種、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)種、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)種、バシラス・スブチリス(Bacillus subtilis)種またはバシラス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)種に属することを特徴とする細菌である。
【0126】
本発明の1つの態様は、本発明のタンパク質を(同種)発現させるために、Bacillus lentus、特に、B.lentus DSM 5483それ自体を使用する。しかし、他方において、異種発現が好ましく、このためにはBacillus属の細菌が好ましい。その理由は、これら細菌が、製造の点で、グラム陽性細菌の中で最もよく特徴付けられているためである。ここで含まれるのは、特に、Bacillus licheniformis種、Bacillus amyloliquefaciens種、Bacillus subtilis種またはBacillus alcalophilus種の他の菌株である。これは、Bacillus lentusに関連するこれらの種が、同様のコドンを利用しており、同等のスブチリシンそれ自体を産生するため、即ち、適切に順応させられた合成装置を本来的に有しているためである。
【0127】
別の利点は、この方法により、本発明のタンパク質と宿主菌株によって内生的に産生されたスブチリシンとの混合物が得られる可能性があることである。国際特許出願公開WO91/02792(欧州特許EP493398B1)は、例えば、Bacillus licheniformis ATCC 53926における、この種のB.lentusアルカリ性プロテアーゼの同時発現を記載している(多くの可能な発現ベクターも、これに開示されている)。これらの系を、新たに発見された本発明の変異体に適用することもできる。
【0128】
さらに好ましいのは、真核細胞、特に、産生したタンパク質を翻訳後修飾する真核細胞であることを特徴とする宿主細胞である。
適当な真核生物の例は、菌類(actinomycetesなど)または酵母(SaccharomycesまたはKluyveromycesなど)である。この種の系が、特にタンパク質合成に関連して行う修飾には、低分子量化合物(例えば、膜アンカーまたはオリゴ糖など)の結合が含まれる。この種のオリゴ糖修飾は、例えば、アレルゲン性の軽減のために望ましいこともある。
【0129】
本発明のタンパク質分解酵素または誘導体を製造する方法は本発明の別の対象である。
即ち、上記した核酸を用いて、および/または上記したベクターを用いて、および/または上記した宿主細胞のいずれかを用いて、上記したタンパク質分解酵素または誘導体を製造する方法が特許請求されている。
【0130】
即ち、例えば上記したDNA配列およびアミノ酸配列(例えば、配列表から導くこともできる)に基づき、自体既知の分子生物学的方法に従って、完全な遺伝子およびタンパク質までの対応するオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドを合成することができる。また、既知のスブチリシン産生微生物から出発して、本明細書中に記載した条件に従って、さらなる天然スブチリシン産生体を単離し、そのスブチリシン配列を決定し、それらを発展させることもできる。また、この種の細菌種を、適当な製造方法のために培養することもできる。同様に、新規な発現ベクターを、国際特許出願公開WO91/02792に開示されているベクターのモデルに従って開発することもできる。また、細胞を含まない発現系(タンパク質生合成を、対応する核酸配列に基づいてインビトロで行う)も、本発明の態様であることができる。また、既に上記したあらゆるエレメントを組合せて、本発明のタンパク質を製造するための新規な方法を得ることもできる。これに関連して、本発明の各タンパク質のための方法の各行程の多数の可能な組合せが考えられるので、最適の方法は、それぞれ特定の個々の場合について実験的に決定しなければならない。
【0131】
本発明の別の対象は、上記した本発明のタンパク質分解酵素を含有する製剤からなる。これらは、特に洗浄剤または浄化剤であり、より具体的には、製剤1gあたり2μg〜20mgの量で含有する。
【0132】
本発明の酵素の実質的に全ての可能な技術的使用は、適当な媒体中での機能的酵素の使用に依存する。即ち、例えば、可能な微生物学的使用は、通常は高純度の調製物の形態にある酵素を、必要な反応相手または補助因子と組合せた製剤を要求する。同様に、原料の処理のための製剤または化粧品調製物は、特別の配合物によって特徴付けられる。本発明によれば、これら全ての配合物は、本発明の酵素を含有する製剤であると理解されるべきである。
【0133】
本発明のこの対象に含まれる好ましい態様は、洗浄剤または浄化剤である。これは、本願の例示態様が示しているように、驚くべきことに、61位(B.lentusアルカリ性プロテアーゼに従う番号付与)に、アミノ酸 アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンのいずれかによる置換、特にアミノ酸 アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンのいずれかによる置換、より具体的にはアラニンによる置換を有するスブチリシン変異体が、突然変異されていない分子と比較して、織物および硬表面の両方の種々の汚れに対して明らかな性能の増大を与えることがわかったためである。この効果は、異なる温度および異なる濃度の両方において再現的に現れる。
【0134】
即ち、好ましいのは、上記の変異体を含有する製剤である。ここで含まれるのは、特に、B.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体S3T/V4I/G61A/V199IおよびS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dを含有する製剤ならびにこの後者に由来する分子を含有する製剤である。
【0135】
本発明のこの対象には、任意の考えうる種類の浄化剤(濃厚物および未希釈形態で適用される製剤の両方)が含まれ、産業規模で、洗浄機において、または手による洗濯もしくは浄化のために使用されるものが含まれる。これらには、例えば、織物、カーペット、または天然繊維のための洗浄剤が含まれる(本発明においては、これらのために洗浄剤という用語を用いる)。また、これらには、例えば、食器洗浄器用の食器洗浄剤、または硬表面(例えば、金属、ガラス、磁器、セラミック、タイル、石、被覆された表面、プラスチック、木材もしくは皮革)用の手による食器洗浄剤もしくはクリーナーが含まれる(本発明においては、これらのために浄化剤という用語を用いる)。任意の種類の浄化剤が、本発明のタンパク質がそれに添加されている限り、本発明の態様である。
【0136】
本発明の態様は、先行技術において確立され、そして/または適当である本発明の製剤の任意の提供形態を包含する。これらには、例えば、固体、粉体、液体、ゲル様製剤またはペースト様製剤(適切であれば、複数の相からなるか、圧縮されているか、または圧縮されていない)が含まれる。さらなる例には、押出物、顆粒、タブレットまたはパウチ、大きい容器に充填されたものおよび小分けされたものが含まれる。
【0137】
本発明の製剤は、本発明の酵素を、製剤1gあたり2μg〜20mg、順に好ましくは、5μg〜17.5mg、20μg〜15mg、50μg〜10mg、100μg〜7.5mg、200μg〜5mgおよび500μg〜1mgの量で含有する。これは、適用あたり40μg〜4g、順に好ましくは、50μg〜3g、100μg〜2g、200μg〜1g、特に好ましくは、400μg〜400mgの量になる。
【0138】
この種の製剤中のプロテアーゼ活性は、文献[Tenside、Vol.7 (1970)、p.125-132]に記載された方法に従って測定することができ、従って、プロテアーゼ単位(PE=Protease-Einheiten)で示される。本製剤のプロテアーゼ活性は、調製物1gあたり1,500,000プロテアーゼ単位までであってよい。
【0139】
本発明に重要な酵素とは別に、本発明の製剤は、適切であれば、さらなる成分、例えば界面活性剤(例えば、非イオン性、陰イオン性および/または両性界面活性剤)、および/または漂白剤、および/またはビルダー、ならびに、適切であれば、さらなる通常の成分を含有する。
【0140】
使用される非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルコキシル化され、有利にはエトキシル化されており、特に、好ましくは8〜18個の炭素原子、および、平均して、1モルのアルコールあたり1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する第一アルコールである。ここで、このアルコール基は、オキソアルコール基において普通に存在するように、直鎖もしくは好ましくは2位でメチル分岐していてもよく、また、直鎖基およびメチル分岐基を混合して含んでいてもよい。しかし、特に好ましいのは、12〜18個の炭素原子を有する天然起源のアルコール(例えば、ココナツ、パーム、獣脂、またはオレイルアルコール)の直鎖基および平均してアルコール1モルあたり2〜8個のEOを含む、アルコールエトキシレートである。好ましいエトキシル化アルコールには、例えば、3個のEOまたは4個のEOを有するC12 - 14アルコール、7個のEOを有するC - 11アルコール、3個のEO、5個のEO、7個のEO、または8個のEOを有するC13 - 15アルコール、3個のEO、5個のEO、または7個のEOを有するC12 - 18アルコール、およびこれらの混合物(例えば、3個のEOを有するC12 - 14アルコールと、5個のEOを有するC12 - 18アルコールとの混合物)が含まれる。与えられるエトキシル化の程度は、統計的な平均であり、これは、特定の産物について整数または分数であってよい。好ましいアルコールエトキシレートは狭い同族体分布を有する(狭範囲エトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12個より多いEOを有する脂肪アルコールを使用することもできる。その例は、14個のEO、25個のEO、30個のEO、または40個のEOを有する獣脂脂肪アルコールである。
【0141】
唯一の非イオン性界面活性剤として、または他の非イオン性界面活性剤との組合せのいずれかで使用され、好適に使用される非イオン性界面活性剤のさらなる群は、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはエトキシル化およびプロポキシル化され、好ましくはアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を有する脂肪酸アルキルエステル、特に脂肪酸メチルエステルである。
【0142】
有利に使用することができる非イオン性界面活性剤のさらなる群は、アルキルポリグリコシド(APG)である。使用しうるアルキルポリグリコシドは、一般式:RO(G)を満たし、ここでRは、直鎖または分岐鎖の、特に2位でメチル分岐した、飽和または不飽和の、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する脂肪族基であり、そしてGは、5または6個の炭素原子を有するグリコース単位、好ましくはグルコースを意味する記号である。グリコシル化の程度であるzは、ここでは、1.0〜4.0、好ましくは1.0〜2.0、特に1.1〜1.4である。直鎖アルキルポリグルコシド、即ち、ポリグリコシル基がグルコース基であり、アルキル基がn-アルキル基であるアルキルポリグリコシドを用いるのが好ましい。
【0143】
アミンオキシド型の非イオン性界面活性剤、例えば、N-ヤシ油アルキル-N,N-ジメチルアミンオキシドおよびN-獣脂アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシド、および脂肪酸アルカノールアミドの界面活性剤も適当である。これらの非イオン性界面活性剤の割合は、好ましくはエトキシル化脂肪アルコールより少なく、特にその半分以下である。
【0144】
さらなる適当な界面活性剤は、以下の式(II):
【化1】
Figure 2005507259
[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり、Rは、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキル基(1〜4個の炭素原子を有する)であり、そして[Z]は、3〜10個の炭素原子および3〜10個のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐鎖のポリヒドロキシアルキル基である]
で示されるポリヒドロキシ脂肪酸アミドである。
このポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、アンモニア、アルキルアミンまたはアルカノールアミンを用いた還元糖の還元的アミノ化、およびその後の、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸塩化物を用いたアシル化によって通常得られる既知の物質である。
【0145】
また、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群は、以下の式(III):
【化2】
Figure 2005507259
[式中、Rは、7〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキルまたはアルケニル基であり、Rは、直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基またはアリール基(2〜8個の炭素原子を有する)であり、Rは、直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基またはアリール基、またはオキシ-アルキル基(1〜8個の炭素原子を有する)であり、ここでC - アルキルまたはフェニル基が好ましく、そして[Z]は、直鎖ポリヒドロキシアルキル基(そのアルキル鎖は、少なくとも2つのヒドロキシル基によって置換されている)であるか、またはアルコキシル化、好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化されたこの基の誘導体である]
で示される化合物を包含する。
【0146】
[Z]は、好ましくは、還元糖(例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロース)の還元的アミノ化によって得られる。N-アルコキシ置換化合物またはN-アリールオキシ置換化合物は、触媒としてアルコキシドの存在下で、例えば脂肪酸メチルエステルとの反応によって、所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに転化することができる。
【0147】
使用される陰イオン性界面活性剤は、例えば、スルホネート型およびスルフェート型のものである。スルホネート型の適当な界面活性剤は、好ましくは、C - 13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート(即ち、アルケンおよびヒドロキシアルカンスルホネートの混合物)、およびジスルホネート(これは、例えば、末端または内部の二重結合を有するC12 - 18モノオレフィンから、ガス状三酸化イオウを用いたスルホン化、およびその後の、スルホン化産物のアルカリ性もしくは酸性の加水分解によって得られる)である。また適するのは、C12 - 18アルカンから、例えば、スルホクロロ化またはスルホキシド化とその後の加水分解または中和によって得られるアルカンスルホネートである。同様に適するのは、α-スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、水素化されたココナツ、パーム核または獣脂脂肪酸のα-スルホン化メチルエステルである。
【0148】
さらなる適当な陰イオン性界面活性剤は、スルフェート化脂肪酸グリセロールエステルである。脂肪酸グリセロールエステルとは、1〜3モルの脂肪酸を用いたモノグリセロールのエステル化による調製中に、または0.3〜2モルのグリセロールを用いたトリグリセリドのエステル交換中に得られるモノエステル、ジエステルおよびトリエステル、ならびにこれらの混合物を意味する。ここで、好ましいスルフェート化脂肪酸グリセロールエステルは、6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸)のスルフェート化生成物である。
【0149】
好ましいアルキル(アルケニル)スルフェートは、C12-C18脂肪アルコール(例えば、ココナツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールまたはステアリルアルコール)の、またはC10-C20オキソアルコールの硫酸モノエステル、およびこれら鎖長の第二アルコールのモノエステルの、アルカリ金属(特に、ナトリウム)塩である。さらに好ましいのは、この鎖長のアルキル(アルケニル)スルフェートであって、脂肪化学原料に基づく等価な化合物と類似の分解挙動を有する合成の石油化学に基づく直鎖アルキル基を含むスルフェートである。洗浄性能の観点から、C12-C16アルキルスルフェート、およびC12-C15アルキルスルフェート、およびC14-C15アルキルスルフェートが好ましい。2,3-アルキルスルフェートも適当な陰イオン性界面活性剤である。
【0150】
また、1〜6モルのエチレンオキシド(EO)でエトキシル化された直鎖または分岐鎖のC - 21アルコールの硫酸モノエステル、例えば、平均して3.5モルのEOを有する2-メチル分岐したC - 11アルコールまたは1〜4個のEOを有するC12 - 18脂肪アルコールも適する。これらの高い発泡挙動のゆえに、これらは、比較的少量でのみ、例えば、5重量%まで、通常は1〜5重量%の量で浄化剤に使用される。
【0151】
さらに適する陰イオン性界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸の塩であり、これはスルホスクシネートまたはスルホコハク酸エステルとも呼ばれ、スルホコハク酸とアルコール(好ましくは脂肪アルコール、特にエトキシル化脂肪アルコール)とのモノエステルおよび/またはジエステルである。好ましいスルホスクシネートは、C - 18脂肪アルコール基またはその混合物を含む。特に好ましいスルホスクシネートは、それ自体が非イオン性界面活性剤であるエトキシル化脂肪アルコール由来の脂肪アルコール基を含む(説明については上記を参照)。ここで、脂肪アルコール基が、狭い同族体分布を有するエトキシル化脂肪アルコール由来であるスルホスクシネートが特に好ましい。同様に、アルキル(アルケニル)鎖中に好ましくは8〜18個の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)コハク酸またはその塩を使用することもできる。
【0152】
さらに適する陰イオン性界面活性剤は、特に石鹸である。飽和脂肪酸石鹸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸、およびベヘン酸の塩)、特に、天然の脂肪酸(例えば、ココナツ、パーム核、または獣脂脂肪酸)由来の石鹸混合物が適当である。
【0153】
石鹸を含む陰イオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩の形態で、また、有機塩基(例えば、モノ、ジまたはトリエタノールアミン)の可溶性塩として存在することができる。陰イオン性界面活性剤は、好ましくは、そのナトリウム塩またはカリウム塩の形態、特に、ナトリウム塩の形態にある。
【0154】
界面活性剤は、最終の製剤に対して、好ましくは5〜50重量%、特に8〜30重量%の全体的量で、本発明の浄化剤または洗浄剤中に存在することができる。
【0155】
本発明の製剤は漂白剤を含むことができる。漂白剤として働き、かつ水中でHを生成する化合物の中で、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム四水和物、および過ホウ酸ナトリウム一水和物が特に重要である。使用しうる他の漂白剤は、例えば、ペルオキソピロリン酸塩、クエン酸塩過水和物およびH生成過酸塩または過酸(例えば、過硫酸塩または過硫酸)である。また有用なのは、式:HN-CO-NH・Hで示すことができる尿素ペルオキソ水和物ペルカルバミドである。特に、硬表面を浄化するために、例えば、機械による食器洗浄のために使用する場合、この製剤は、所望により、有機漂白剤の群からの漂白剤を含むことができる(これらの使用は、原則的に、織物を洗浄するための製剤においても可能である)。代表的な有機漂白剤は、過酸化ジアシル(例えば過酸化ジベンゾイルなど)である。さらなる代表的な有機漂白剤はペルオキシ酸であり、具体的な例は、アルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体(例えば、アルキルペルオキシ安息香酸)であるが、以下のものを使用することもできる:ペルオキシ-α-ナフトエ酸およびモノペルオキシフタル酸マグネシウム、脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸(フタルイミドペルオキシヘキサン酸、PAP)、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸、およびN-ノネニルアミドペルコハク酸、ならびに脂肪族およびアリール脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイル-ジ(6-アミノペルカプロン酸)。
【0156】
製剤の漂白剤含量は、有利には過ホウ酸塩一水和物または過炭酸塩を用いて、1〜40重量%、特に10〜20重量%であることができる。
【0157】
60℃以下の温度で洗浄する場合に、特に洗濯の前処理の場合に、改善された漂白作用を達成するために、本製剤は、漂白活性化剤を含んでいてもよい。使用しうる漂白活性化剤は、過加水分解条件下において、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸および/または置換もしくは未置換の過安息香酸を与える化合物である。上記の数の炭素原子のO-アシル基および/またはN-アシル基および/または置換もしくは未置換のベンゾイル基を保持する物質が適当である。以下のものが好ましい:ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル類、特に1,3,4,6-テトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド類、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイルオキシベンゼンスルホネートもしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-NOBSもしくはイソ-NOBS)、アシル化ヒドロキシカルボン酸、例えばトリエチル O-アセチルシトレート(TEOC)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、無水イサトイン酸および/または無水コハク酸、カルボキサミド、例えばN-メチルジアセトアミド、グリコリド、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、イソプロペニルアセテート、2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、およびエノールエステル(独国特許出願DE19616693およびDE19616767に開示される)、ならびにアセチル化ソルビトールおよびマンニトール、またはこれらの混合物[欧州特許出願EP0525239(SORMAN)に開示される]、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、ならびに、アセチル化され所望によりN-アルキル化されたグルカミンまたはグルコノラクトン、トリアゾールもしくはトリアゾール誘導体、および/または特にカプロラクタムおよび/またはカプロラクタム誘導体、好ましくはN-アシル化ラクタム、例えばN-ベンゾイルカプロラクタムおよびN-アセチルカプロラクタム(国際特許出願WO94/27970、WO94/28102、WO94/28103、WO95/00626、WO95/14759、およびWO95/17498に開示される)。独国特許出願DE19616769に開示される親水性置換されたアシルアセタール、ならびに、独国特許出願DE19616770および国際特許出願WO95/14075に記載されたアシルラクタムも、同様に好ましく使用される。独国特許出願DE4443177に開示される従来の漂白活性化剤の組合せを使用することもできる。ニトリル誘導体、例えば、シアノピリジン、ニトリルクワット(nitrile quat)、例えば、N-アルキルアンモニウムアセトニトリル、および/またはシアノアミド誘導体を使用することもできる。好ましい漂白活性化剤は、4-(オクタノイルオキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-ノナノイルオキシベンゼンスルホネートまたはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-NOBSまたはイソ-NOBS)、ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート(UDOBS)、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(DOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA、OBC10)、および/またはドデカノイルオキシベンゼンスルホネート(OBS12)、ならびに、N-メチルモルホリニウムアセトニトリル(MMA)である。このような漂白活性化剤は、全組成物に対して、通常は0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に1〜10重量%の範囲の量で存在することができる。
【0158】
従来の漂白活性化剤に加えて、またはそれらの代わりに、「漂白触媒」が存在することもできる。これらの物質は、漂白増強遷移金属塩または遷移金属錯体、例えば、Mn、Fe、Co、RuまたはMoサレン錯体またはカルボニル錯体である。Mn、Fe、Co、Ru、Mo、Ti、VおよびCu錯体(N含有三脚リガンドを含む)、ならびに、Co、Fe、CuおよびRuのアミン錯体も、漂白触媒として適しており、DE19709284A1に記載される化合物を使用するのが好ましい。WO99/63038に記載のアセトニトリル誘導体およびWO99/63041に記載の漂白活性化遷移金属錯体化合物が、アミラーゼとの組合せで、漂白活性化作用を現すことができる。
【0159】
本発明の製剤は、通常は1またはそれ以上のビルダー、特に、ゼオライト、ケイ酸塩、炭酸塩、有機の補助ビルダー、そして使用に反対する環境的な理由がなければ、リン酸塩をも含有する。この後者は、特に、機械食器洗浄用の浄化剤における使用に好ましいビルダーである。
【0160】
ここで挙げることができる化合物は、一般式:NaMSi2x+1・yHO[式中、Mは、ナトリウムまたは水素であり、xは、1.6〜4、好ましくは1.9〜4.0の数であり、yは、0〜20の数であり、そしてxの好ましい値は、2、3または4である]で示される結晶性の層状ケイ酸ナトリウムである。この種の結晶性フィロケイ酸塩は、例えば、欧州特許出願EP0164514に記載されている。示した式の好ましい結晶性フィロケイ酸塩は、Mがナトリウムであり、xが2または3の値をとるフィロケイ酸塩である。特に、βナトリウムおよびδナトリウムの両方の二ケイ酸塩NaSi・yHOが好ましい。この種の化合物は、例えば、SKS(Clariant)の名称で販売されている。即ち、SKS-6は、主に式:NaSi・yHOを有する二ケイ酸δナトリウムであり、SKS-7は、主に二ケイ酸βナトリウムである。二ケイ酸δナトリウムと、酸(例えば、クエン酸またはカルボン酸)との反応によって、カネマイトNaHSi・yHOが得られる[それぞれ、SKS-9およびSKS-10の名称で販売されている(Clariant)]。このようなフィロケイ酸塩の化学的改変体を使用するのが有利であることもある。即ち、例えば、フィロケイ酸塩のアルカリ度に、適切に影響を与えることができる。リン酸塩または炭酸塩を用いてドープ処理されたフィロケイ酸塩は、変化した結晶形態を有し(二ケイ酸δナトリウムと比較して)、さらに迅速に溶解し、増大したカルシウム結合能力を示す(二ケイ酸δナトリウムと比較して)。即ち、一般実験式:xNaO・ySiOO・zPで示されるフィロケイ酸塩(ここで、x対yの比は、0.35〜0.6の数であり、x対zの比は、1.75〜1200の数であり、そしてy対zの比は、4〜2800の数である)が、独国特許出願DE19601063に記載されている。フィロケイ酸塩の溶解性を、特に微細に顆粒化されたフィロケイ酸塩を用いることによって増大させることもできる。結晶性フィロケイ酸塩と他の成分とのコンパウンドを使用することもできる。ここで挙げることができるコンパウンドは、特に、セルロース誘導体とのコンパウンド(有利な崩壊作用を有し、特に洗浄剤タブレットにおいて使用される)、ならびに、ポリカルボキシレート(例えばクエン酸)またはポリマー性ポリカルボキシレート(例えばアクリル酸コポリマー)とのコンパウンドである。
【0161】
1:2〜1:3.3、好ましくは1:2〜1:2.8、特に1:2〜1:2.6のNaO:SiOのモジュラスを有する無定形ケイ酸ナトリウム(これは、遅延した溶解および二次洗浄特性を有する)を用いることもできる。従来の無定形ケイ酸ナトリウムと比較したときの溶解の遅延は、種々の手段によって、例えば、表面処理、コンパウンド化、圧密/圧縮によって、または過剰乾燥によって、誘導することができる。本発明の範囲内で、「無定形」という用語は、「X線無定形」をも意味する。このことは、X線回折実験において、ケイ酸塩は、結晶性物質に典型的な鋭いX線屈折を生じないが、代わりに、せいぜいこれら散乱X線の1またはそれ以上の最大値(数度単位の回折角度の幅を有する)を与えることを意味する。しかし、特に良好なビルダー特性は、電子回折実験において、ケイ酸塩粒子が、十分に規定されないかまたは鋭い回折最大値を与える場合に、得られるであろう。これは、この生成物が、10〜数百nm(せいぜい50nmまで、特にせいぜい20nmまでの値が好ましい)のサイズを有する微結晶性領域を有する効果であると解釈されるべきである。圧縮/圧密された無定形ケイ酸塩、コンパウンド化された無定形ケイ酸塩、および過剰乾燥されたX線無定形ケイ酸塩が特に好ましい。
【0162】
微細結晶性の結合水含有の合成ゼオライト(適切な場合に使用することができる)は、好ましくはゼオライトAおよび/またはPである。ゼオライトPとしては、ゼオライトMAP(Crosfieldからの市販製品)が特に好ましい。しかし、ゼオライトXならびにA、Xおよび/またはPの混合物も適している。市販されており、かつ本発明の範囲内で好ましく使用しうる製品は、例えば、ゼオライトXおよびゼオライトAの共結晶化物(ゼオライトXが約80重量%)であり、これは、CONDEA Augusta S.p.A.から商標名VEGOBOND AXとして販売されており、かつ式:nNaO・(1-n)KO・Al・(2-2.5)SiO・(3.5-5.5)HOで示すことができる。
【0163】
適当なゼオライトは、10μm未満の平均粒子サイズ(容積分布;測定方法:Coulterカウンター)を有しており、好ましくは18〜22重量%、特に20〜22重量%の結合水を含有する。
【0164】
ビルダー物質として広く知られているリン酸塩の使用は、このような使用が環境的な理由から回避されるべきでなければ、当然ながら可能である。多様な市販のリン酸塩の中で、洗浄剤および浄化剤の産業においては、アルカリ金属リン酸塩が最も重要であり、三リン酸五ナトリウムまたは三リン酸五カリウム(トリポリリン酸ナトリウムまたはカリウム)が特に好ましい。
【0165】
この点に関して、アルカリ金属リン酸塩は、種々のリン酸のアルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩およびカリウム塩)の総称的な用語であり、メタリン酸(HPO)およびオルトリン酸HPO、ならびに、さらに高分子量のものとの間を区別することができる。これらリン酸塩は、いくつかの利点を兼ね備える。即ち、これらは、アルカリの担体として働き、機械部分に対する石灰分の沈着および織布における石灰分の付着を妨げ、そしてさらに浄化性能に寄与する。
【0166】
リン酸二水素ナトリウムNaHPOは、二水和物(密度1.91g/cm、融点60℃)および一水和物(密度2.04g/cm)として存在する。両方の塩とも白色粉末であり、水に極めて容易に溶解し、加熱によってその結晶水を失い、200℃で弱い酸性の二リン酸(二リン酸水素二ナトリウムNa)に転化し、高温で三メタリン酸ナトリウム(Na)およびMaddrellの塩(以下を参照)に転化する。NaHPOは酸性である(これは、リン酸を水酸化ナトリウム溶液を用いてpH4.5に調整し、スラリーを噴霧したときに生成する)。リン酸二水素カリウム(第一または一塩基性のリン酸カリウム、二リン酸カリウム、KDP)KHPO、は、密度2.33g/cmの白色塩であり、253℃の融点を有し[ポリリン酸カリウム(KPO)の生成を伴って分解]、そして水中で容易に溶解する。
【0167】
リン酸水素二ナトリウム(第二リン酸ナトリウム)NaHPOは、無色結晶性の塩であり、水に極めて容易に溶解する。これは、無水型で、ならびに、2モルの水(密度2.066g/cm、95℃で水を損失)、7モルの水(密度1.68g/cm、融点48℃、5HOの損失を伴う)、および12モルの水(密度1.52g/cm、融点35℃、5HOの損失を伴う)と共に存在し、100℃で無水になり、さらに強制的な加熱によって二リン酸塩Naに転化する。リン酸水素二ナトリウムは、指示薬としてフェノールフタレインを用いて、炭酸ナトリウム溶液によってリン酸を中和することによって調製される。リン酸水素二カリウム(第二または二塩基性のリン酸カリウム)KHPOは、無定形の白色塩であり、水に容易に溶解する。
【0168】
リン酸三ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、NaPOは、無色の結晶であり、これは、12水和物型では、1.62g/cmの密度、および73〜76℃の融点(分解)を有し、10水和物型(19〜20%Pに対応する)では、100℃の融点を有し、無水型(39〜40%Pに対応する)では、2.536g/cmの密度を有する。リン酸三ナトリウムは、アルカリ性反応を伴って水に容易に溶解し、正確に1モルのリン酸二ナトリウムおよび1モルのNaOHの溶液を蒸発させることによって調製される。リン酸三カリウム(第三または三塩基性のリン酸カリウム)KPOは、白色であり、密度2.56g/cmの潮解性の顆粒粉末であり、1340℃の融点を有し、アルカリ性反応を伴って水に容易に溶解する。これは、例えば、トーマススラグを炭素および硫酸カリウムと加熱したときに生成する。価格が高いにもかかわらず、より容易な溶解性であり、従って非常に効果的であるリン酸カリウムは、浄化剤産業においては、対応するナトリウム化合物よりも好ましいことが多い。
【0169】
二リン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)Naは、無水型(密度2.534g/cm、融点988℃、また880℃も知られている)で、および10水和物(密度1.815〜1.836g/cm、融点94℃で水を損失)として存在する。両物質とも無色の結晶であり、アルカリ性反応を伴って水に溶解する。Naは、リン酸二ナトリウムを>200℃に加熱したときに生成するか、またはリン酸と炭酸ナトリウムを化学量論比で反応させ、この溶液を噴霧により脱水することによって生成する。この10水和物は、重金属塩および硬度成分を錯化し、これにより水の硬度を低下させる。二リン酸カリウム(ピロリン酸カリウム)Kは、三水和物型で存在しており、無色の密度2.33g/cmの吸湿性粉末であり、水に可溶性であり、25℃で1%濃度の溶液のpHが10.4である。
【0170】
NaHPOおよびKHPOの縮合によって、それぞれ、高分子量のリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが生成する。これらの中で、環状の代表物であるそれぞれメタリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウム、ならびに、鎖様の型であるそれぞれポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウムは、区別することができる。特に後者については、多様な名称が用いられている(即ち、メルトリン酸塩またはサーマルリン酸塩、グラハムの塩、クロールの塩、およびマドレールの塩)。全ての高級リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムは、縮合リン酸塩と総称される。
【0171】
工業的に重要な三リン酸五ナトリウムNa10(トリポリリン酸ナトリウム)は、非吸湿性の白色の水溶性塩であり、これは、無水または6HOを有する結晶であり、一般式:NaO-[P(O)(ONa)-O]-Na(ここでn=3)の塩である。100gの水中で、約17gの塩(結晶水を含まない)が室温で溶解し、60℃で約20gが溶解し、100℃で約32gが溶解する。この溶液を100℃で2時間加熱すると、約8%のオルトリン酸塩および15%の二リン酸塩が加水分解により生成する。三リン酸五ナトリウムの調製の際には、リン酸を、炭酸ナトリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液と化学量論比で反応させ、この溶液を噴霧によって脱水する。グラハムの塩および二リン酸ナトリウムと同様に、三リン酸五ナトリウムは、多くの不溶性の金属化合物(石灰石鹸などを含む)を溶解する。三リン酸五カリウムK10(トリポリリン酸カリウム)は、例えば、50重量%濃度の溶液(>23%P、25%KO)の形態で市販されている。ポリリン酸カリウムは、洗浄剤および浄化剤の産業において広範に使用されている。さらに、本発明の範囲内で同様に使用しうるトリポリリン酸ナトリウムカリウムも存在する。これらは、例えばトリメタリン酸ナトリウムをKOHで加水分解したときに、以下のように生成する:
【化3】
Figure 2005507259
【0172】
本発明によれば、これらを、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、またはこれら2つの混合物と全く同様に使用することができる。また、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、またはトリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、またはトリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物を、本発明に従って使用することもできる。
【0173】
本発明の洗浄剤および浄化剤において使用しうる有機補助ビルダーは、特に、ポリカルボキシレートまたはポリカルボン酸、ポリマー性ポリカルボキシレート、ポリアスパラギン酸、ポリアセタール、所望により酸化されたデキストリン、さらなる有機補助ビルダー(以下を参照)、およびホスホン酸塩である。これらの物質群を以下に説明する。
【0174】
使用しうる有機ビルダー物質は、例えば、ナトリウム塩の形態で使用しうるポリカルボン酸である。このポリカルボン酸という用語は、1を越える酸官能基を保持するカルボン酸を意味する。これらの例は、その使用が環境上の理由から回避されるべきでない限り、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、およびこれらの混合物である。好ましい塩は、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸、およびこれらの混合物のようなポリカルボン酸の塩である。
【0175】
酸自体を使用することもできる。酸は、そのビルダー作用に加えて、酸性化成分の特性をも有するのが普通であり、これにより、残りの成分の混合物に起因するpHが望ましくない限り、洗浄剤または浄化剤の低いpHおよび中程度のpHの確立を助ける。系に適合し、環境的に安全な酸を、ここで具体的に挙げると、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、およびこれらの任意の混合物である。しかし、無機酸、特に硫酸、または塩基、特にアンモニウム、またはアルカリ金属の水酸化物も、pH調整剤として働くことができる。本発明の製剤は、このような調整剤を、好ましくは20重量%以下、特に1.2〜17重量%の量で含有する。
【0176】
また、適当なビルダーはポリマー性ポリカルボキシレートである。これらは、例えば、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩であり、例えば、500〜70000g/モルの相対分子量を有するものである。
【0177】
本明細書の目的のために、ポリマー性ポリカルボキシレートに対して付与される分子量は、UV検出器を用いてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって常に測定された、それぞれの酸型の重量平均分子量Mwである。測定は、外部のポリアクリル酸標準(調べたポリマーに対する構造的類似性のゆえに、現実的な分子量の値を与える)に対して行った。これらの数値は、標準としてポリスチレンスルホン酸を用いて得た分子量の値とはかなり異なる。ポリスチレンスルホン酸に対して測定した分子量は、本明細書に示した分子量よりも通常はかなり高い。
【0178】
適当なポリマーは、特にポリアクリレートであり、これは、好ましくは2000〜20000g/モルの分子量を有する。優れた溶解性のゆえに、この群において好ましいのは、短鎖ポリアクリレートであり、これは、2000〜10000g/モル、特に好ましくは3000〜5000g/モルの分子量を有する。
【0179】
また適するのは、コポリマー性のポリカルボキシレート、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマーである。特に適することがわかったコポリマーは、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーであって、50〜90重量%のアクリル酸および50〜10重量%のマレイン酸を含むコポリマーである。これらの相対分子量は、遊離酸に基づいて、一般に2000〜70000g/モル、好ましくは20000〜50000g/モル、特に30000〜40000g/モルである。(コ)ポリマー性ポリカルボキシレートは、粉末としてまたは水溶液として使用することができる。(コ)ポリマー性ポリカルボキシレートは、製剤の0.5〜20重量%、特に1〜10重量%であってよい。
【0180】
水中での溶解性を改善するため、このポリマーは、モノマーとしてアリルスルホン酸、例えばアリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタアリルスルホン酸などを含有することもできる。
【0181】
2を越える異なるモノマー単位の生分解性ポリマー、例えば、モノマーとしてアクリル酸の塩およびマレイン酸の塩ならびにビニルアルコールもしくはビニルアルコール誘導体を含むポリマー、あるいは、モノマーとしてアクリル酸の塩および2-アルキルアリルスルホン酸の塩および糖誘導体を含むポリマーが特に好ましい。
【0182】
さらなる好ましいコポリマーは、好ましくは、モノマーとしてアクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩またはアクロレインおよび酢酸ビニルを有するコポリマーである。
【0183】
また、挙げることができるさらなる好ましいビルダー物質は、ポリマー性アミノジカルボン酸、その塩またはその前駆体物質である。ポリアスパラギン酸またはその塩および誘導体が特に好ましい。
【0184】
さらなる適当なビルダー物質は、ポリアセタールであり、これは、ジアルデヒドとポリカルボン酸(5〜7個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシル基を有する)との反応によって得ることができる。好ましいポリアセタールは、ジアルデヒド(例えば、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドおよびこれらの混合物)から、およびポリオールカルボン酸(例えば、グルコン酸および/またはグルコヘプトン酸)から得られる。
【0185】
さらなる適当な有機ビルダー物質は、デキストリン、例えば、デンプンの部分的加水分解によって得られる炭水化物のオリゴマーまたはポリマーである。この加水分解は、通常のプロセス、例えば、酸-触媒プロセスまたは酵素-触媒プロセスによって行うことができる。この加水分解生成物は、好ましくは、400〜500000g/モルの範囲の平均分子量を有する。この場合、0.5〜40、特に2〜30の範囲内のデキストロース当量(DE)を有するポリサッカリドが好ましい。ここでDEとは、100のDEを有するデキストロースと比較したときの、ポリサッカリドの還元作用の通常の指標である。3〜20のDEを有するマルトデキストリンおよび20〜37のDEを有する乾燥グルコースシロップ、ならびに、2000〜30000g/モルの範囲内の高い分子量を有する「黄色デキストリン」および「白色デキストリン」を使用することできる。
【0186】
このようなデキストリンの酸化された誘導体は、サッカリド環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化しうる酸化剤とデキストリンとの反応生成物である。本発明の製剤に特に好ましい有機ビルダーは、それぞれ、EP472042、WO97/25399およびEP755944の酸化されたデンプンおよびその誘導体である。
【0187】
オキシジスクシネートおよびジスクシネートの他の誘導体、好ましくはエチレンジアミンジスクシネートも、さらなる適当な補助ビルダーである。ここで、エチレンジアミンN,N'-ジスクシネート(EDDS)は、好ましくは、そのナトリウム塩またはマグネシウム塩の形態で使用される。これに関連して、グリセロールジスクシネートおよびグリセロールトリスクシネートがさらに好ましい。ゼオライト含有、炭酸塩含有および/またはケイ酸塩含有の配合物における適当な使用量は、3〜15重量%である。
【0188】
使用しうるさらなる有機補助ビルダーは、例えば、アセチル化ヒドロキシカルボン酸またはその塩であり、これらは、適切であればラクトン形態で存在していてもよく、また、少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1つのヒドロキシ基および多くとも2つの酸基を含んでいる。
【0189】
補助ビルダーの特性を有する物質の別の群は、ホスホン酸塩である。これらは、特に、ホスホン酸ヒドロキシアルカンおよびホスホン酸アミノアルカンである。ホスホン酸ヒドロキシアルカンの中で、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホネート(HEDP)は、補助ビルダーとして特に重要である。これは、好ましくはナトリウム塩として使用され、二ナトリウム塩は中性であり、四ナトリウム塩はアルカリ性である(pH9)。適当なホスホン酸アミノアルカンは、好ましくは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)、およびこれらの高級同族体である。これらは、好ましくは、中性のナトリウム塩の形態で、例えば、EDTMPの6ナトリウム塩として、またはDTPMPの7ナトリウム塩および8ナトリウム塩として使用される。ここで好ましいのは、ホスホン酸塩の群からのビルダーとして、HEDPを使用することである。さらに、ホスホン酸アミノアルカンは、顕著な重金属結合能力を有する。従って、特に製剤が漂白剤をも含有する場合には、ホスホン酸アミノアルカン、特にDTPMPまたは該ホスホン酸塩の混合物を使用するのが好ましいこともある。
【0190】
さらに、アルカリ土類金属イオンと錯体を形成しうる全ての化合物を、補助ビルダーとして使用することができる。
【0191】
本発明の製剤は、ビルダー物質を、適切であれば、90重量%までの量で含有していてよく、好ましくは75重量%までの量で含有する。本発明の洗浄剤は、特に、5〜50重量%のビルダー含量を有する。硬表面を浄化するため、特に、食器を機械浄化するための本発明の製剤において、ビルダー物質の含量は、特に5〜88重量%であり、好ましくは、このような製剤において水不溶性ビルダー物質を使用しない。特に、食器の機械浄化のための本発明の製剤の好ましい態様は、20〜40重量%の水溶性有機ビルダー、特にアルカリ金属クエン酸塩、5〜15重量%のアルカリ金属炭酸塩、および20〜40重量%のアルカリ金属二ケイ酸塩を含有する。
【0192】
洗浄剤および浄化剤の液体ないしゼラチン様の組成物において使用しうる溶媒は、例えば、一価もしくは多価アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルの群からのものである(これらが、所定の濃度範囲内で水と混和性であるとき)。好ましくは、これら溶媒は、エタノール、n-またはi-プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチル、エチルまたはプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、メトキシ、エトキシまたはブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、およびこれら溶媒の混合物から選択される。
【0193】
溶媒は、本発明の液体ないしゼラチン様の洗浄剤および浄化剤において、0.1〜20重量%、好ましくは15重量%以下、特に10重量%以下の量で使用することができる。
【0194】
粘度を調節するために、1またはそれ以上の増粘剤または増粘剤系を、本発明の組成物に添加することができる。これらの高分子量物質(膨潤剤とも呼ばれる)は、通常、液体を吸収し、その過程で膨潤し、最終的には粘稠な真のまたはコロイド性の溶液に変換する。
【0195】
適当な増粘剤は、無機またはポリマー性の有機化合物である。無機の増粘剤には、例えば、ポリケイ酸、粘土鉱物(例えば、モンモリロナイト、ゼオライト、シリカおよびベントナイト)が含まれる。有機の増粘剤は、天然ポリマー、改変された天然ポリマーおよび全合成ポリマーの群からのものである。このような天然ポリマーは、例えば、寒天、カラゲーン、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、ポリオース、グアール粉末、イナゴマメ種子粉末、デンプン、デキストリン、ゼラチンおよびカゼインである。増粘剤として使用される改変された天然物質は、主に、改変されたデンプンおよびセルロースの群からのものである。ここで挙げることができる例は、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースならびにイナゴマメ粉末エーテルである。全合成の増粘剤は、ポリマー、例えば、ポリアクリル化合物およびポリメタクリル化合物、ビニルポリマー、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミドならびにポリウレタンである。
【0196】
増粘剤は、最終の組成物に対して、5重量%まで、好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の量で存在することができる。
【0197】
本発明の洗浄剤および浄化剤は、適切であれば、さらなる通常の成分として、金属イオン封鎖剤、電解質、およびさらなる助剤、例えば、蛍光増白剤、灰化抑制剤、銀腐食抑制剤、色移行抑制剤、発泡抑制剤、研磨剤、染料および/または芳香剤、および微生物活性物質および/またはUV吸収剤を含有することができる。
【0198】
本発明の織物洗浄剤は、蛍光増白剤として、ジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体またはそのアルカリ金属塩を含んでいてもよい。適するのは、例えば、4,4'-ビス(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2'-ジスルホン酸または同様に構築された化合物(モルホリノ基の代わりに、ジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基または2-メトキシエチルアミノ基を保持する)である。さらに、置換されたジフェニルスチリル型の増白剤、例えば、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4'-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニル、または4-(4-クロロスチリル)-4'-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ金属塩が存在することもできる。上記の蛍光増白剤の混合物を使用することもできる。
【0199】
灰化抑制剤は、織物繊維から剥落した汚れを、液中に懸濁したまま維持する機能を有する。この目的に適するのは、通常は有機性の水溶性コロイド、例えばデンプン、にかわ、ゼラチン、デンプンもしくはセルロースのエーテルカルボン酸またはエーテルスルホン酸の塩、あるいは、セルロースもしくはデンプンの酸性硫酸エステルの塩である。酸性の基を含む水溶性ポリアミドもこの目的に適する。さらに、上記したもの以外のデンプン誘導体、例えば、アルデヒドデンプンを用いることもできる。好ましいのは、セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、および混合エーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、およびこれらの混合物である。これらは、例えば、製剤に基づいて、0.1〜5重量%の量にある。
【0200】
銀腐食から保護するために、銀腐食抑制剤を、本発明の食器浄化剤において使用することができる。このような抑制剤は、先行技術において既知である[例えば、ベンゾトリアゾール、塩化鉄(III)またはCoSO]。例えば、欧州特許EP0736084B1に開示されているように、酵素と一緒に使用するのに特に適する銀腐食抑制剤は、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルトまたはセリウムの塩、および/または、これらの特定した金属が、酸化状態II、III、IV、VまたはVIのいずれかで存在する錯体である。このような化合物の例は、MnSO、V、V、VO、TiOSO、KTiF、KZrF、Co(NO)、Co(NO)、およびこれらの混合物である。
【0201】
汚れ遊離活性成分または汚れ忌避剤は、通常はポリマーであり、これは、洗浄剤において使用したときに、洗濯物の繊維に対して汚れ忌避特性を付与し、そして/または他の洗浄成分が汚れを剥落する能力を助ける。また、硬表面用の浄化剤においてこれらを使用したときに、同等の効果を観察することができる。
【0202】
特に効果的であり、かつ以前から既知である汚れ遊離活性成分は、ジカルボン酸、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール単位を有するコポリエステルである。これらの例は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリオキシエチレングリコールのコポリマーまたは混合ポリマーである(それぞれ、DT1617141およびDT2200911)。独国特許出願公開DT2253063は、特に、二塩基性カルボン酸とアルキレンまたはシクロアルキレンポリグリコールのコポリマーを含有する酸性の製剤を開示している。独国特許出願DE2857292およびDE3324258ならびに欧州特許EP0253567は、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートのポリマー、ならびに、洗浄剤におけるそれらの使用を記載している。欧州特許EP066944は、特定のモル比の、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、芳香族ジカルボン酸、およびスルホン化芳香族ジカルボン酸のコポリエステルを含有する製剤に関する。欧州特許EP0185427は、メチル基またはエチル基で末端キャップしたポリエステルであって、エチレンおよび/またはプロピレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレート単位を有するポリエステル、ならびに、このような汚れ遊離ポリマーを含有する洗浄剤を開示している。欧州特許EP0241984は、オキシエチレン基およびテレフタル酸単位に加えて、置換されたエチレン単位およびグリセロール単位を含むポリエステルを開示している。欧州特許EP0241985は、オキシエチレン基およびテレフタル酸単位に加えて、1,2-プロピレン、1,2-ブチレンおよび/または3-メトキシ-1,2-プロピレン基ならびにグリセロール単位を含み、かつC〜Cアルキル基で末端キャップされたポリエステルを開示している。欧州特許出願EP0272033は、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリオキシエチレンテレフタレート単位を有するポリエステルであって、C - アルキル基またはアシル基によって少なくとも部分的に末端基キャップされたポリエステルを開示している。欧州特許EP0274907は、スルホエチルで末端基キャップされたテレフタレート含有の汚れ遊離ポリエステルを記載している。欧州特許出願EP0357280によれば、不飽和末端基のスルホン化によって、テレフタレート、アルキレングリコールおよびポリC - グリコール単位を有する汚れ遊離ポリエステルが製造されている。国際特許出願公開WO95/32232は、汚れを剥落しうる酸性の芳香族ポリエステルに関する。国際特許出願公開WO97/31085は、綿からなる材料のための非ポリマー性の汚れ忌避活性成分であって、複数の機能性単位を有するものを開示している(第1の単位は、陽イオン性であってよく、例えば、静電的な相互作用によって綿の表面に吸着することができ、そして第2の単位は、疎水性であり、水/綿の界面に残存する活性成分の原因となる)。
【0203】
本発明の洗濯洗浄剤において使用するのに適する色移行抑制剤には、特に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリマー性Nオキシド、例えば、ポリ(ビニルピリジンN-オキシド)、およびビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマーが含まれる。
【0204】
機械浄化プロセスにおいて使用するためには、製剤に発泡抑制剤を添加するのが有利であろう。適当な発泡抑制剤の例は、高い割合のC18-C24脂肪酸を有する天然または合成起源の石鹸である。適当な非界面活性剤型の発泡抑制剤の例は、有機ポリシロキサンおよびこれと微細な所望によりシラン処理されたシリカとの混合物、ならびに、パラフィン、ワックス、微結晶性ワックスおよびこれらとシラン処理されたシリカまたはビス-ステアリル-エチレンジアミドとの混合物である。異なる発泡抑制剤の混合物、例えば、シリコーン、パラフィンまたはワックスの混合物を使用するのも有利である。これらの発泡抑制剤、特に、シリコーンおよび/またはパラフィンを含有する発泡抑制剤を、好ましくは、顆粒状の水溶性または水分散性の支持物質に結合させる。ここで特に好ましいのは、パラフィンおよびビス-ステアリルエチレンジアミドの混合物である。
【0205】
硬表面のための本発明の浄化剤は、さらに、研磨作用を有する成分(特に、石英粉末、木材粉末、ポリマー粉末、チョークおよびガラスミクロビーズならびにこれらの混合物からなる群からの成分)を含有する。研磨剤は、本発明の浄化剤中に、好ましくは20重量%以下、特に、5〜15重量%で存在する。
【0206】
製品の審美的な外観を改善するため、ならびに、洗浄および浄化性能に加えて、視覚的かつ感覚的に「典型的かつ錯誤のない」製品を消費者に提供するために、染料および芳香剤を、洗浄剤および浄化剤に添加する。芳香油および/または芳香剤として、個々の臭気化合物、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成生成物を使用することができる。エステル型の臭気化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ;アルデヒドには、例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびボージュナールが含まれ;ケトンには、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ;アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ;炭化水素には、主にテルペン(例えば、リモネンおよびピネン)が含まれる。しかし、好ましいのは、一緒になって魅力的な香気を生じる異なる臭気剤の混合物を使用することである。また、このような芳香油は、植物供給源から得られるような天然の臭気剤混合物、例えば、松根油、柑橘油、ジャスミン油、パチョリ油、バラ油またはイランイラン油を含んでいてもよい。同様に適するのは、マスカテル、セージ油、カモミール油、チョウジ油、バルサム油、ミント油、シナモン葉油、ライム花油、ネズ実油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油およびラブダナム油、さらに、オレンジ花油、ネロリ油、オレンジ果皮油およびビャクダン油である。洗浄剤および浄化剤の染料含量は、配合物全体の通常は0.01重量%未満であり、芳香剤は配合物全体の2重量%までを構成していてよい。
【0207】
芳香剤は、洗浄剤および浄化剤中に直接導入することができる。しかし、浄化すべき材料への芳香剤の吸着を増強する担体に芳香剤を適用し、より遅い芳香剤の放出によって、特に処理された織物の長く持続する芳香を確実にすることも有利であろう。このような担体として確立された材料は、例えばシクロデキストリンであり、さらに、シクロデキストリン-芳香剤の複合体を、さらなる助剤で被覆することもできる。芳香剤のための別の好ましい担体は、界面活性剤の代わりにまたは界面活性剤と混合して、芳香剤を吸収することができる上記のゼオライトXである。即ち、上記のゼオライトXおよび芳香剤(これは、好ましくは、少なくとも部分的にゼオライト上に吸着されている)を含む洗浄剤および浄化剤が好ましい。
【0208】
好ましい染料(その選択は、当業者にとって何の困難もない)は、高い貯蔵安定性および製剤の他の成分および光に対する非感受性を有しており、また、織物繊維を染色することがないようにそれに顕著な親和性を有さない。
【0209】
微生物を制御するため、洗浄剤および浄化剤は、抗微生物活性成分を含有することができる。ここで、抗微生物スペクトルおよび作用機序に依存して、静菌剤と殺菌剤、静菌類剤と殺菌類剤の間などで区別が為される。これらの群の重要な物質の例は、塩化ベンズアルコニウム、スルホン酸アルキルアリール、ハロゲンフェノールおよび酢酸フェノール水銀である。抗微生物作用および抗微生物活性成分という用語は、本発明の教示の範囲内では当分野で普通の意味を有し、これは、例えば、K.H.Wallhaeusserの「Praxis der Sterilisation, Desinfektion-Konservierung: Keimidentifizierung-Betriebshygiene」[第5版、-Stuttgart;ニューヨーク:Thieme、1995]に記載されており、そこに記載された抗微生物作用を有する全ての物質を使用することができる。適当な抗微生物活性成分は、好ましくは、以下の群から選択される。即ち、アルコール、アミン、アルデヒド、抗微生物性の酸またはそれらの塩、カルボン酸エステル、酸アミド、フェノール、フェノール誘導体、ジフェニル、ジフェニルアルカン、尿素誘導体、酸素アセタール、窒素アセタール、ならびに、酸素および窒素のホルマール、ベンズアミジン、イソチオアゾリン、フタルイミド誘導体、ピリジン誘導体、抗微生物性の界面活性化合物、グアニジン、抗微生物性の両性化合物、キノリン、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、ヨード-2-プロピルブチルカルバメート、ヨウ素、ヨードフォア、ペルオキソ化合物、ハロゲン化合物、ならびに上記の任意の混合物から選択される。
【0210】
抗微生物活性成分は、以下から選択することができる。即ち、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1,3-ブタンジオール、フェノキシエタノール、1,2-プロピレングリコール、グリセロール、ウンデシレン酸、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロ酢酸、o-フェニルフェノール、N-メチルモルホリノアセトニトリル(MMA)、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2,2'-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、4,4'-ジクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(ジクロサン)、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、クロロヘキシジン、N-(4-クロロフェニル)-N-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N,N'-(1,10-デカンジイルジ-1-ピリジニル-4-イリデン)-ビス(1-オクタンアミン)ジヒドロクロリド、N,N'-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,13-テトラアザテトラデカンジイミドアミド、グルコプロタミン、抗微生物性の界面活性第四級化合物、グアニジン(ビグアニジンおよびポリグアニジンを含む)、例えば、1,6-ビス(2-エチルヘキシルビグアニドヘキサン)ジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-フェニル-N,N-メチルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,6-ジクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-β-(p-メトキシフェニル)ジグアニド-N,N']ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-α-メチル-β-フェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-p-ニトロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、ω:ω-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')-ジ-n-プロピルエーテルジヒドロクロリド、ω:ω'-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')-ジ-n-プロピルエーテルテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,4-ジクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-p-メチルフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,4,5-トリクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-α-(p-クロロフェニル)エチルジグアニド-N,N']-ヘキサンジヒドロクロリド、ω:ω-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')m-キシレンジヒドロクロリド、1,12-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')ドデカンジヒドロクロリド、1,10-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')デカンテトラヒドロクロリド、1,12-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')ドデカンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、エチレン-ビス(1-トリルビグアニド)、エチレン-ビス(p-トリルビグアニド)、エチレン-ビス(3,5-ジメチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(p-tert-アミルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(ノニルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(フェニルビグアニド)、エチレン-ビス(N-ブチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(2,5-ジエトキシフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(2,4-ジメチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(o-ジフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(混合アミルナフチルビグアニド)、N-ブチルエチレン-ビス(フェニル-ビグアニド)、トリメチレンビス(o-トリルビグアニド)、N-ブチル-トリメチル-ビス(フェニルビグアニド)、ならびに、対応する塩、例えば、酢酸塩、グルコン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、亜硫酸水素塩、フッ化物、ポリマレイン酸塩、N-ヤシ油アルキルサルコシン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、パーフルオロオクタン酸塩、ケイ酸塩、ソルビン酸塩、サリチル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノ二酢酸塩、桂皮酸塩、チオシアン酸塩、アルギン酸塩、ピロメリト酸塩、テトラカルボキシ酪酸塩、安息香酸塩、グルタル酸塩、モノフルオロリン酸塩、パーフルオロプロピオン酸塩、ならびに、これらの任意の混合物から選択することができる。また適するのは、ハロゲン化キシレンおよびクレゾール誘導体(例えば、p-クロロメタクレゾールまたはp-クロロメタキシレン)、ならびに植物起源(例えば、スパイスまたはハーブ由来)、動物起源および微生物起源の天然の抗微生物活性成分である。好ましくは、抗微生物性の界面活性第四級化合物、植物起源の天然の抗微生物活性成分および/または動物起源の天然の抗微生物活性成分、最も好ましくは、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンを含む群からの植物起源の少なくとも1つの天然の抗微生物活性成分、ならびに、精油(例えば、オイゲノール、チモールおよびゲラニオール)、および/または、酵素(例えば、ミルクタンパク質、リゾチームおよびラクトペルオキシダーゼ)を含む群からの動物起源の少なくとも1つの天然の抗微生物活性成分、および/または、少なくとも1つの抗微生物性の界面活性第四級化合物(アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウムまたはアルソニウム基を有する)、ペルオキソ化合物、ならびに塩素化合物を使用することができる。微生物起源の物質「バクテリオシン」を使用することもできる。
【0211】
抗微生物活性成分として適する第四アンモニウム化合物(QAC)は、一般式:(R)(R)(R)(R)Nを有する[ここで、R〜Rは、同一または異なって、C-C22アルキル基、C-C28アラルキル基または複素環式基であり、ここで、2つの基またはピリジンのように芳香族導入されている場合には3つの基は、窒素原子と一緒になって、複素環、例えばピリジニウムまたはイミダゾリニウム化合物を形成し、そしてXは、ハロゲンイオン、硫酸イオン、水酸化物イオンまたは同様の陰イオンである]。最適の抗微生物作用のためには、これらの基の少なくとも1つは、好ましくは8〜18個、特に12〜16個の炭素原子の鎖長を有する。
【0212】
QACは、第三アミンとアルキル化剤(例えば、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸ジメチル、臭化ドデシル、それ以外ではエチレンオキシド)との反応によって調製することができる。1つの長いアルキル基および2つのメチル基を有する第三アミンのアルキル化は特に容易に進行し、2つの長い基および1つのメチル基を有する第三アミンの四級化も、温和な条件下で塩化メチルの補助によって行うことができる。3つの長いアルキル基またはヒドロキシ置換アルキル基を有するアミンは、反応性が低く、硫酸ジメチルを用いて四級化するのが好ましい。
【0213】
適当なQACの例は、塩化ベンズアルコニウム(N-アルキル-N,N-ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、CAS番号8001-54-5)、ベンズアルコンB(m,p-ジクロロベンジルジメチル-C12-アルキルアンモニウムクロリド、CAS番号58390-78-6)、塩化ベンズオキソニウム(ベンジルドデシル-ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド)、臭化セトリモニウム(N-ヘキサデシル-N,N-トリメチルアンモニウムブロミド、CAS番号57-09-0)、塩化ベンズエトニウム(N,N-ジメチル-N-[2-[2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]ベンジルアンモニウムクロリド、CAS番号121-54-0)、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、例えば、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド(CAS番号7173-51-5-5)、臭化ジデシルジメチルアンモニウム(CAS番号2390-68-3)、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、1-セチルピリジニウムクロリド(CAS番号123-03-5)およびヨウ化チアゾリン(CAS番号15764-48-1)、ならびにこれらの混合物である。特に好ましいQACは、C-C18アルキル基を有する塩化ベンズアルコニウム、特に、C12-C14アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0214】
ハロゲン化ベンズアルコニウムおよび/またはハロゲン化置換ベンズアルコニウムは、例えば、Barquat(Lonzaより)、Marquat(Masonより)、Variquat(Witco/Sherexより)、Hyamine(Lonzaより)、およびBardac(Lonzaより)として市販されている。さらなる市販の抗微生物活性成分は、N-(3-クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド、例えばDowicideおよびDowicil(Dowより)、塩化ベンズエトニウム、例えばHyamine 1622(Rohm & Haasより)、塩化メチルベンズエトニウム、例えばHyamine 10X(Rohm & Haasより)、塩化セチルピリジニウム、例えば塩化セパコール(Merrell Labsより)である。
【0215】
抗微生物活性成分は、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.8重量%、特に好ましくは0.005〜0.3重量%、そして特に0.01〜0.2重量%の量で使用される。
【0216】
本製剤は、処理された織物に付着し、繊維の光安定性および/または他の配合物成分の光安定性を改善するUV吸収剤を含有することができる。UV吸収剤とは、紫外線放射を吸収し、吸収したエネルギーを再び長波長放射の形態(例えば、熱)で放射しうる有機物質(光保護フィルター)を意味する。
【0217】
これらの所望の特性を有する化合物は、例えば、無放射の不活性化により活性である化合物、ならびに、2位および/または4位に置換基を有するベンゾフェノンの誘導体である。さらに、置換されたベンゾトリアゾール、3位でフェニル置換されたアクリレート(2位にシアノ基を有するかまたは有さない桂皮酸誘導体)、サリチル酸塩、有機Ni錯体および天然物質(例えば、ウンベリフェロンおよび内因性ウロカニン酸)も適している。特に重要な物質は、ビフェニルおよび特にスチルベン誘導体[例えば、EP0728749Aに記載され、CibaよりTinsorb FDまたはTinosorb FRとして市販されている]である。挙げることができるUV-B吸収剤は、以下のものである:3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファーおよびこれらの誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンファー(EP0693471B1に記載);4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルおよび4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミル;桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、4-メトキシ桂皮酸プロピル、4-メトキシ桂皮酸イソアミル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン);サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸4-イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンズマロン酸ジ-2-エチルヘキシル;トリアジン誘導体、例えばEP0818450A1に記載される2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよびオクチルトリアゾン、またはジオクチルブタアミドトリアゾン[Uvasorb HEB];プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体(EP0694521B1に記載)。さらに適するのは、以下のものである:2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウムの塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸ならびにこれらの塩。
【0218】
適当な代表的UV-Aフィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えばDE19712033A1(BASF)に記載されているような1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、およびエナミン化合物である。また、UV-AおよびUV-Bフィルターは、当然ながら混合物で用いることもできる。このような可溶性物質に加えて、不溶性の光保護顔料、即ち、微細に分散させた好ましくはナノ化された金属の酸化物または塩も、この目的に適する。適当な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタンであり、さらに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物ならびにこれらの混合物である。使用しうる塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。酸化物および塩は、皮膚ケアおよび皮膚保護エマルジョンおよび美容化粧品の形態で既に使用されている。ここで、粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有すべきである。これらは、球の形状を有することができるが、楕円形状または球形態からいくらか逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。また、顔料を表面処理することもできる(即ち、親水性または疎水性にすることができる)。代表的な例は、被覆された二酸化チタン[例えば、二酸化チタンT805(Degussa)またはEusolex T2000(Merck)など]である。ここで、適当な疎水性の被覆剤は、好ましくはシリコーンであり、特に好ましくはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコーンである。ミクロ化した酸化亜鉛を用いるのが好ましい。さらに適するUV光保護フィルターは、P.Finkelによる概説[SOEFW-Journal 122 (1996)、p.543]に見い出すことができる。
【0219】
UV吸収剤は、通常は0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜1重量%の量で使用される。
【0220】
また、洗浄剤および浄化剤に有用な成分は、通常、それぞれ洗浄活性酵素および浄化活性酵素をも含有する。同時に、本発明のタンパク質に加えて、さらなる酵素によっても特徴付けられる洗浄剤または浄化剤は、本発明の好ましい態様である。これらの例には、他のプロテアーゼだけでなく、オキシドレダクターゼ(酸化還元酵素)、クチナーゼ、エステラーゼおよび/またはヘミセルラーゼ、ならびに特に好ましくは、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよび/またはβ-グルカナーゼが含まれる。
【0221】
プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼまたはセルラーゼなどの酵素が、洗浄剤および浄化剤の活性成分として数十年にわたって使用されている。当該製剤のそれぞれ洗浄性能および浄化性能に対するそれらの具体的な寄与は、プロテアーゼの場合はタンパク質性の汚れを分解する能力であり、アミラーゼの場合はデンプン含有汚れの破壊であり、そしてリパーゼの場合は脂肪切断活性である。セルラーゼは、それらの汚れ除去(即ち、一次洗浄および浄化性能)に加えて、特に、洗浄剤の二次洗浄性能に対するそれらの寄与のゆえに、そして織物上でのそれらの繊維作用のゆえに、洗浄剤において好ましく使用される。特定の加水分解生成物は、他の洗浄剤または浄化剤の成分によって、攻撃、溶解、乳化または懸濁されるか、あるいは、それらの大きい溶解性のゆえに、洗浄液により洗い流され、これによって、酵素と他の成分との間の相乗作用を生じる。
【0222】
プロテアーゼは、天然の繊維に対して、特に羊毛または絹に対して、効果を発揮しうるが、この効果は、製剤の二次洗浄性能に対するセルラーゼによる寄与と同等である。このような織布の表面構造に対するプロテアーゼの作用のゆえに、これらは、この材料に対して円滑化の影響を発揮することができ、それによってフェルト化に対抗する。
【0223】
他の酵素は、それぞれの場合のそれらの特異的な酵素性能によって、適当な製剤の浄化性能を拡大する。これらの例には、ヘミセルラーゼ、例えばβ-グルカナーゼ(WO99/06515およびWO99/06516)、オキシドレダクターゼ、例えばラッカーゼ(WO00/39306)またはペクチン溶解酵素(WO00/42145)が含まれ、特に、これらは、特別の洗浄剤において使用される。
【0224】
本発明の製剤において使用するのに適する酵素は、主に、細菌または菌類などの微生物由来の酵素である。これら酵素は、発酵プロセスによって自体既知の方法により適当な微生物から得られる。これは、例えば、独国公開明細書DE1940488およびDE2121397、米国特許US3623957、US4264738、欧州特許出願公開EP006638A2および国際特許出願公開WO91/02792に記載されている。
【0225】
特に貯蔵中に、存在する本発明のタンパク質および/または他のタンパク質を、安定剤によって、例えば、変性、崩壊または不活化(例えば、物理的影響、酸化またはタンパク質分解切断による)から保護することができる。
【0226】
安定剤の1つの群は、可逆的プロテアーゼインヒビターであり、これは、洗浄液中に製剤を希釈したときに解離する。ベンズアミジン塩酸塩およびロイペプチンが、この目的に確立されている。ホウ砂、ホウ酸、ボロン酸またはこれらの塩もしくはエステルが使用されることが多い。これらには、特に、以下のものが含まれる:芳香族基を有する誘導体(例えば、WO95/12655による)、オルト置換されたフェニルボロン酸(WO92/19707による)、メタ置換されたフェニルボロン酸(US5972873による)およびパラ置換されたフェニルボロン酸、またはこれらの塩もしくはエステル。国際特許出願公開WO98/13460および欧州特許EP583534は、洗浄剤および浄化剤プロテアーゼの可逆的阻害のためのペプチドアルデヒド、即ち、還元C末端を有するオリゴペプチド(特に、2〜50モノマーのオリゴペプチド)を開示している。ペプチド性の可逆的プロテアーゼインヒビターには、特に、オボムコイド(WO93/00418)が含まれる。例えば、国際特許出願公開WO00/01826は、プロテアーゼ含有製剤において使用するためのプロテアーゼスブチリシンの特異的な可逆的ペプチドインヒビターを開示しており、WO00/01831は、プロテアーゼとインヒビターの対応する融合タンパク質を開示している。
【0227】
さらなる酵素安定剤は、アミノアルコール(例えば、モノ、ジ、トリエタノールおよびプロパノールアミンならびにこれらの混合物)、C12までの脂肪族カルボン酸(例えば、欧州特許EP0378261B1および国際特許出願公開WO97/05227に開示)、例えばコハク酸、他のジカルボン酸またはこのような酸の塩である。独国特許出願公開DE19650537A1は、この目的のための末端基キャップした脂肪アミドアルコキシレートを開示している。国際特許出願公開WO97/18287に開示されているように、ビルダーとして使用される特定の有機酸は、含まれる酵素をさらに安定化することができる。
【0228】
低級脂肪族アルコール、特にポリオール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはソルビトールなど)は、使用されることが多い他の酵素安定剤である。また、カルシウム塩(欧州特許EP028865B2において、この目的のために開示されている酢酸カルシウムまたはギ酸カルシウムなど)、およびマグネシウム塩(例えば、欧州特許EP378262B1による)も使用される。
【0229】
ポリアミドオリゴマー(WO99/43780)またはポリマー性化合物、例えばリグニン(WO97/00932)、水溶性ビニルコポリマー(EP828762B1)、またはEP702712B1に開示されるようなセルロースエーテル、アクリルポリマーおよび/またはポリアミドは、特に物理的影響またはpH変動に対して酵素調製物を安定化する。ポリアミンN-オキシド含有ポリマー(EP587550B1およびEP581751B1)は、酵素安定剤として、および色移行抑制剤として同時に作用する。他のポリマー性安定剤は、WO97/05227において、他の成分に加えて開示された直鎖C-C18ポリオキシアルキレンである。国際特許出願公開WO97/43377およびWO98/45396におけるように、アルキルポリグリコシドは、本発明の製剤の酵素成分を安定化することができ、さらにそれらの性能を増大させることもできる。WO98/17764に開示されている架橋したN含有化合物は、汚れ遊離剤として、および酵素安定剤として二重の機能を充足する。疎水性の非イオン性ポリマーは、国際特許出願公開WO97/32958によれば、他の安定剤と一緒の混合物において、セルラーゼにおいて安定化するように作用するので、これらの成分または同様の成分は、本発明に必須の酵素に適するものとなりうる。
【0230】
特に、EP780466A1に開示されているように、還元剤および酸化防止剤は、酸化崩壊に対する酵素の安定性を増大させる。イオウ含有還元剤が、例えば、EP0080748B1およびEP0080223B1に開示されている。他の例は、亜硫酸ナトリウム(EP533239B1)および還元糖(EP656058B1)である。
【0231】
また、使用されることが多いのは、安定剤の組合せ、例えば、ポリオール、ホウ酸および/またはホウ砂の組合せ(国際特許出願公開WO9631589)、ホウ酸またはホウ酸塩、還元性の塩およびコハク酸または他のジカルボン酸の組合せ(欧州特許EP126505B1)、あるいは、ホウ酸またはホウ酸塩と、ポリオールまたはポリアミノ化合物との、および還元性の塩との組合せ(欧州特許EP080223B1に開示)である。WO98/13462によれば、ペプチド-アルデヒド安定剤の作用は、ホウ酸および/またはホウ酸誘導体およびポリオールとの組合せによって増大し、WO98/13459によれば、カルシウムイオンの追加使用によって、なおさらに増大する。
【0232】
安定化された酵素活性を含む製剤は、本発明の好ましい態様である。特に好ましいのは、複数の示した方法で安定化された酵素を含む製剤である。
【0233】
本発明の製剤は、任意の考えられる形態で供することができるので、特定の製剤に添加するのに適する任意の配合物中の本発明の酵素またはタンパク質は、本発明のそれぞれの態様である。その例には、液体配合物、固体顆粒またはカプセルが含まれる。
【0234】
カプセル化された形態は、他の成分(例えば、漂白剤など)に対して酵素もしくは他の成分を保護する方法または制御された放出を可能にする方法である。カプセルのサイズに依存して、このカプセルは、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセルに分類されるが、マイクロカプセルが酵素には特に好ましい。このようなカプセルは、例えば、国際特許出願公開WO97/24177および独国特許出願公開DE19918267A1に開示されている。可能性あるカプセル化方法は、タンパク質溶液とデンプンまたはデンプン誘導体の溶液または懸濁液との混合物から出発して、この物質中にタンパク質を封入することである。「Verfahren zur Herstellung von mikroverkapselten Enzyme (マイクロカプセル化された酵素の製造方法)」と題する国際特許出願公開WO01/38471は、このようなカプセル化方法を記載している。
【0235】
固形製剤の場合、タンパク質を、例えば、乾燥した、顆粒化した、および/またはカプセル化した形態で用いることができる。これらは、別々に、即ち別々の相として添加するか、または、同じ相中で他の成分と一緒に添加することができる(圧密するかまたはしない)。マイクロカプセル化した酵素を固体形態で処理すべきときには、先行技術において既知の方法(例えば、噴霧乾燥、遠心除去または再溶解)を用いることによって、後処理から得られる水溶液から水を除去することができる。このように得られた粒子は、通常は50〜200μmのサイズである。
【0236】
先行技術に従って行うタンパク質の回収、ならびに、濃縮された水性もしくは非水性溶液、懸濁液またはエマルジョン(乳濁液)での調製、さらにはゲル形態またはカプセル化された形態または乾燥粉末としての調製から開始して、本発明の酵素およびタンパク質を、本発明の液体製剤、ゲル様製剤またはペースト様製剤に添加することができる。本発明のこのような洗浄剤または浄化剤は、通常、自動ミキサー中に溶液または固体として導入しうる各成分を単に混合することによって製造される。
【0237】
一次洗浄性能とは別に、洗浄剤中に存在するプロテアーゼは、さらに、タンパク質分解切断によって他の酵素成分を活性化するか、または適当な作用期間の後に該酵素成分を不活性化する機能をも満たすことができる。また、同等の調節機能が本発明の酵素により可能である。本発明の別の態様は、プロテアーゼ感受性材料のカプセルを含有する製剤であって、このカプセルが、例えば、意図した時間において本発明のタンパク質によって加水分解され、その内容物が放出される製剤に関する。同等の効果を、他の多相製剤において達成することもできる。
【0238】
上記したタンパク質分解酵素のいずれかを単独でまたは他の成分に加えて含有することを特徴とする、織物原料の処理のためまたは織物ケアのための製剤、特に天然成分を含有する繊維または織物のため、さらに具体的には羊毛または絹を含有する繊維または織物のための製剤は、本発明のさらなる態様である。
【0239】
天然繊維(特に、例えば羊毛または絹など)は、特徴的な顕微鏡的な表面構造によって区別される。このような表面構造は、例えばR.Breierによる論文[Melliand Textilberichte、4.1.2000 (p.263)]において羊毛について議論されているように、長期間で望ましくない効果(例えば、フェルト化など)を生じることができる。このような効果を回避するために、天然原料を本発明の製剤で処理すると、本発明の製剤は、例えば、タンパク質構造に基づいて剥離した表面構造を滑らかにするように寄与し、これによってフェルト化を相殺する。天然成分(特に、羊毛または絹)を含有する繊維または織物のためのこの種の製剤は、特に好ましい態様である。
【0240】
1つの好ましい態様において、本発明のプロテアーゼを含有する製剤は、例えば、この製剤を洗浄プロセスに添加、洗浄後に適用または洗浄とは独立して適用することによって、ケア製剤として規則的に使用しうるように設計する。所望の効果は、織物の滑らかな表面構造を得ること、および/または織布に対する損傷を防止および/または軽減することである。
【0241】
織物または硬表面の機械浄化のための方法(この方法は、本発明のタンパク質分解酵素が、その方法の少なくとも1つの工程において活性になることを特徴とする)は、本発明の別の対象である。
【0242】
一般に、織物の機械浄化のための方法は、方法のいくつかの工程(浄化すべき物質に種々の浄化活性物質を適用する工程および作用時間後にそれを洗い落とす工程を包含する)によって、または、浄化すべき物質(浄化剤もしくは該製剤の溶液を用いて任意の他の方法で処理される)によって区別される。同じことが、硬表面という用語で分類される織物のような任意の他の材料の機械浄化のための方法に当てはまる。本発明のタンパク質を、このような方法の少なくとも1つの工程に添加することができる。即ち、この方法は本発明の態様である。
【0243】
好ましいのは、本発明の酵素を、1回の適用あたり、40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、100μg〜2g、200μg〜1g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で使用する方法である。
【0244】
本発明の酵素は、その性質として既にタンパク質溶解活性を保持しており、また、このような活性を媒体(それを含まなければ浄化能力を持たない媒体、例えば単なる緩衝液)中で示すので、織物の機械浄化のための方法の個々の部分工程は、所望により安定化化合物、塩または緩衝物質に加えて、本発明の酵素を単一の浄化活性成分として適用することからなっていてもよい。これは、本発明の特に好ましい態様である。
【0245】
織物原料の処理または織物ケアのための方法(この方法は、本発明のタンパク質分解酵素が、その方法の少なくとも1つの工程において活性になることを特徴とする)は、本発明のこの対象の好ましい態様である。このような方法は、例えば材料を織物における使用のために、例えば抗フェルト仕上げのために調製する方法、あるいは、例えば擦り切れた織物の浄化にケア成分を添加する方法であってよい。特定の織布に対するプロテアーゼの上記作用のゆえに、特定の態様は、天然成分(特に、羊毛または絹)を含む織物原料または織物を包含する。
【0246】
織物または硬表面を浄化するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。その理由は、本発明の酵素を、織物または硬表面からタンパク質性の汚れを除去するために、特に上記した方法に従って使用することができるためである。機械による方法以外の使用、例えば、織物または硬表面からのしみの手による洗濯または手による除去における使用は、好ましい態様である。
【0247】
好ましいのは、本発明の酵素を、1回の適用あたり、40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、100μg〜2g、200μg〜1g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で使用することである。
【0248】
洗浄剤または浄化剤の成分を活性化または不活性化するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明のこの対象の好ましい態様である。その理由は、洗浄剤または浄化剤のタンパク質成分を、既知のように、プロテアーゼの作用によって不活性化することができるためである。本発明は、他ではむしろ望ましくないこの効果を、特別に使用することに関する。同様に、例えば、この成分が、例えば国際特許出願公開WO00/01831に開示されているように、実際の酵素と対応するインヒビターとのハイブリッドタンパク質である場合には、タンパク質分解が別の成分を実際に活性化することもできる。この種の調節の別の例は、活性成分が、その活性を保護または制御するために、タンパク質分解性の攻撃に対して感受性である材料中に封入されているものである。このように、本発明のタンパク質を、不活性化反応、活性化反応または放出反応のために使用することができる。
【0249】
その多様性にもかかわらず、洗浄および浄化という課題以外の他の全ての技術的方法、使用および対応する製剤は、それらが本発明のタンパク質によって特徴付けられる限り、以下の本発明の1つの対象になる。この列挙は、排他的なリストと理解すべきではなく、本発明のプロテアーゼの最も重要な現在認識しうる可能な使用を挙げるものである。本発明のプロテアーゼを使用することによって、他の技術分野を開発しうることがわかったときには、該分野は本発明の保護の範囲内に含まれる。
【0250】
生化学分析または分子生物学的分析のため、特に酵素分析方法の枠内にある本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の対象である。本発明によれば、また、Roemppの「Lexikon Chemie」[バージョン2.0、Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag、1999]によれば、酵素分析とは、一方において基質の同一性または濃度を決定し、また、他方において酵素の同一性または活性を決定するために、特定の酵素もしくは基質を使用する、あらゆる生化学的分析を意味する。適用の領域は、生化学に関する研究のあらゆる領域である。本発明のこの対象の好ましい態様は、配列分析において末端基を決定するための使用である。
【0251】
天然物質または生物学的有用物質の調製、精製または合成のための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の対象である。即ち、例えば天然物質または生物学的有用物質を精製する過程において、このような物質からタンパク質混入物(この例は、低分子量化合物、いずれかの細胞構成成分、または貯蔵物質もしくはタンパク質である)を除去することが必要になることがある。これを、例えば、有用物質の生物工学的な製造後に、実験室規模および工業的規模の両方で行うことができる。
【0252】
例えば、タンパク質フラグメントを互いに連結するか、または主にはタンパク質から構成されていない化合物にアミノ酸を結合させることを意図する場合に、天然に触媒される反応を逆転させることによって、タンパク質または他の低分子量化合物を合成するために、本発明のタンパク質分解酵素を使用する。この種の可能性ある使用は、例えば、欧州特許出願公開EP380362A1に記載されている。
【0253】
天然原料(主として、非微生物学的に得られる原料、例えば農業由来の原料を意味する)からタンパク質混入物を除去することを意図する場合、この天然原料の処理のための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明のこの対象の別の態様である。
【0254】
好ましい態様は、表面の処置のための使用、特に、経済的に重要な原料である皮革の処理のための方法における使用である。即ち、なめし過程(特に、アルカリ浸漬の工程)において、タンパク質分解酵素の助けを借りて、皮革材料から水溶性タンパク質を除去する[Roempp、「Lexikon Chemie」、バージョン2.0、Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag、1999]。本発明のプロテアーゼは、特にアルカリ条件下および変性剤の存在下において、これに適する。
【0255】
織物製造において原料または中間体を取得または処理するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明のこの対象の別の態様である。その例は、綿の処理(サイジングと呼ばれるプロセスにおいて、朔果成分の除去が必要とされる)であり、別の例は羊毛の処理であり、原料絹の処理も同様である。酵素を用いる方法は、比較すべき化学的方法よりも、特にその環境適合性の点で優れている。
【0256】
好ましい態様において、本発明のタンパク質は、織物から、特に中間産物もしくは有用物質から保護層を除去するために、またはその表面を滑らかにするために使用される(その後の処理工程におけるさらなる処理の前に)。
【0257】
織物原料の処理または織物ケアのため、特に、羊毛もしくは絹または羊毛もしくは絹含有の混織物の表面の処理のための本発明のタンパク質の使用は、本発明のこの対象の別の態様である。このことは、このような織物の製造および使用中のケア(例えば、織物の浄化に関連するケア)の両方に当てはまる(上記を参照)。
【0258】
写真フィルムの処理のため、特にゼラチン含有層または同様の保護層を除去するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明のこの対象の別の態様である。その理由は、フィルム(例えば、X線フィルムなど)は、このような保護層で、特に銀塩含有ゼラチンエマルジョンからなる層で被覆されており、このフィルムは露光後に支持材料から除去される必要があるためである。このために、本発明のプロテアーゼを、特に、アルカリ性またはわずかに変性反応の条件下で使用することができる。
【0259】
食品または動物飼料を調製するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。即ち、有史以来、プロテアーゼは食品の調製に使用されている。この例は、チーズまたは他の乳製品の成熟過程のためのレンネットの使用である。本発明のタンパク質を、このような過程を完全に行うために添加または使用することができる。非栄養目的のための炭水化物富化食品または食品原料(例えば、小麦粉またはデキストリンなど)を、それらに伴うタンパク質を除去するために、適当なプロテアーゼで処理することもできる。本発明のプロテアーゼは、このような適用に、特に、アルカリ性またはわずかに変性する条件下で適用を行う場合にも適している。
【0260】
従って、このことは、動物飼料の調製に対しても当てはまる。タンパク質の完全な除去に加えて、ここで、タンパク質性の出発物質または物質混合物を家畜がより容易に消化できるようにするために、ごく短時間でプロテアーゼにより処理することが重要になることもある。
【0261】
本発明のこの対象の別の態様において、本発明のタンパク質を化粧目的に使用することができる。即ち、本発明のタンパク質分解酵素を含有する化粧製剤、本発明のタンパク質分解酵素を導入する化粧方法、および化粧目的のための本発明のタンパク質分解酵素の使用(特に対応する方法または対応する製剤の枠内での使用)が、特許請求される。
【0262】
また、プロテアーゼは、ヒト皮膚の剥落において重要な役割を果たしており[T.Egelrudら、Acta Derm.Venerol.、Vol.71 (1991)、p.471-747]、従ってプロテアーゼは、乾燥皮膚において漸増して存在するデスモソーム構造の分解を助けるために、スキンケア製品における生物活性成分として使用される(例えば、国際特許出願公開WO95/07688およびWO99/18219による)。例えば、WO97/07770は、化粧目的のためのスブチリシンプロテアーゼの使用、特に、上記したB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体の使用を記載している。本発明のプロテアーゼ、特に、その活性が、例えば突然変異誘発後に、または該プロテアーゼと相互作用する適当な物質の添加によって制御されているプロテアーゼは、皮膚浄化もしくは毛髪浄化組成物またはケア組成物中の活性成分としても適している。特に好ましいのは、上記のように例えば巨大分子支持体への結合によって安定化されている酵素(US5230891を参照)、および/または、高アレルゲン性の位置での点突然変異によって誘導されていてヒト皮膚との適合性が増大している酵素の調製物である。
【0263】
従って、化粧目的のための、特に適当な製剤(例えば、シャンプー、石鹸もしくは洗浄ローションなど)またはケア組成物(例えば、クリームの形態で提供される)における、この種のタンパク質分解酵素の使用も、本発明のこの対象に含まれる。また、剥離薬剤における使用も、本願の特許請求の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0264】
本発明のプロテアーゼの生成
全ての分子生物学的作業工程は、例えば、Fritsch、SambrookおよびManiatisによるマニュアル「Molecular cloning: a laboratory manual」[Cold Spring Harbour Laboratory Press、ニューヨーク、1989]、または国際特許出願公開WO92/21760に示される標準的な方法に従う。
【0265】
突然変異誘発ベクターの構築
プロテアーゼ変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼM131から出発して、突然変異誘発を行った。この変異体はWO92/21760に記載されており、また、この変異体を産生する本願に係る菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection、Rockville、MD、米国)に、Bacillus licheniformis ATCC 68614の名称で寄託されている。この菌株は、Bacillus lentus DSM 5483アルカリ性プロテアーゼの突然変異配列およびプレプロタンパク質に融合された、Bacillus licheniformis ATCC 53926由来のアルカリ性プロテアーゼの22個のアミノ末端アミノ酸、ならびに、プロモーター、リボソーム結合部位およびATG開始コドンを含んでなる発現カセットにおいて、Bacillus中で複製するプラスミドpCB56M131上に遺伝子を含有する。変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼM131は、天然配列と比較して、以下の突然変異を有する:S3T、V4I、A188P、V193M、V199I。
【0266】
突然変異誘発のために、発現カセット全体を、制限酵素BamHIおよびSacIによって切り出し、同様にBamHIおよびSacIで切断しておいたpUC18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech、Freiburg、独国)中にクローニングした。次いで、このようにして得たpUC18M131ベクターを用いて、以下の突然変異誘発工程を行った。図2は、pUC18M131ベクターを示す。B.lentusアルカリ性プロテアーゼM131のための発現カセットを含むDNAフラグメントを、配列番号1に示す。配列番号2は、それから導かれるアミノ酸配列を示す。配列番号1に示されるBamHI-SacIフラグメントは、図2に示されるpUC18M131ベクター中の1位〜1771位にわたって伸びる。残りのベクター領域は、出発プラスミドpUC18の領域と同一である。
【0267】
突然変異誘発
初めに、製造業者の指示に従って、Stratagene(La Jolla、CA、米国)のQuikChange法を用いて、Bacillus lentus DSM 5483 アルカリ性プロテアーゼの元の配列の188位および193位を回復させた。この系によって、突然変異したプラスミドを、それぞれの場合に突然変異を含む2つの相補的プライマーを用いて、ポリメラーゼ反応において生成させた。QuikChange法において要求されるようにDpnIによって出発プラスミドを消化した後、反応混合物を大腸菌XL-1ブルー中に導入した。これによって得られたクローン(プラスミド上に位置する所望の遺伝子を含む)は、適当なところで、突然変異により導入された制限切断部位によって容易に同定することができる(通常のキットの助けを借りて連鎖停止法によるDNA配列決定によってチェックすることが、それぞれの場合に可能である)。また、同じ方法を、後の全ての突然変異誘発工程に使用することができた。
【0268】
2つのプライマー:
5'-TCA CAG TAT GGC GCC GGG CTT GAC ATT-3'、および
5'-AAT GTC AAG CCC GGC GCC ATA CTG TGA-3'、
を用いることによって、188位のアミノ酸をコードするトリプレットCCA(プロリン)を、GCC(アラニン)に変換した。このプライマーは、この突然変異に直接隣接してNarI制限切断部位を含むが、これはアミノ酸配列を変更しない。
【0269】
2つのプライマー:
5'-GGG CTT GAC ATT GTG GCA CCC GGG GTA AAC-3'、および
5'-GTT TAC CCC GGG TGC CAC AAT GTC AAG CCC-3'、
を用いることによって、193位のアミノ酸をコードするトリプレットATG(メチオニン)を、ATT(イソロイシン)に変換した。このプライマーは、この突然変異に直接隣接してXmaCI制限切断部位を含むが、これはアミノ酸配列を変更しない。
【0270】
次いで、二重に突然変異したプラスミドを含有するクローンが、GGG(グリシン)からGCT(アラニン)への61位におけるトリプレットのその後の突然変異のためのテンプレートを提供した。この目的のために、配列:
5'-CAA GAT GGG AAT GCT CAT GGC ACG CAT-3'、および
5'-ATG CGT GCC ATG AGC ATT CCC ATC TTG-3'、
を有する2つの相補性プライマーを用いた。即ち、変異体 B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iの遺伝子が既に存在した。
【0271】
最後に、この突然変異体から出発して、第2の特に好ましい変異体を、211位のロイシンをアミノ酸アスパラギン酸に突然変異させることによって創製した。この目的のために、配列:
5'-ACG TAT GCC AGC GAC AAC GGT ACA TCG-3'、および
5'-CGA TGT ACC GTT GTC GCT GGC ATA CGT-3'、
を有する2つの相補性プライマーを用いた。次いで、得られたクローンをDNA配列決定によってチェックした。
【0272】
完全なプロテアーゼをコードしているS3T/V4I/G61A/V199I突然変異体遺伝子のDNA配列を、配列表に配列番号3として示す。配列表に配列番号4として示すアミノ酸配列は、それから導くことができる。突然変異体S3T/V4I/G61A/V199I/L211DのDNA配列およびタンパク質配列を、それぞれ配列表の配列番号5および配列番号6として示す。B.lentus DSM 5483の野生型酵素から逸脱するこれらの位置のゆえに、これらの変異体は、それぞれB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199IおよびB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dと呼ばれる。
【0273】
突然変異体の発現およびプロテアーゼの調製
突然変異した配列を含む発現カセットを、BamHI-SacIフラグメントとして、pCB56M131ベクター中に逆クローニングして配列番号1に示されるフラグメントを置換し、Bacillus subtilis DB104中に導入した。Bacillus subtilis DB104株は、遺伝子型his、nprR2、nprE18、aprA3を有する[Kawamura,F.およびDoi,R.H. (1984)、J.Bacteriol.、Vol.160、p.442-444]。このDNAを、ChangおよびCohen(1979)[Molec.Gen.Genet.、Vol.168、p.111-115]によって初めて開発されたプロトプラスト法のWO91/02792に記載の変法に従って、Bacillus中に導入した。
【0274】
これによって得られたプロテアーゼ陽性のクローンを、チェック後に、2000mlの振盪フラスコ中、500mlのMLBSP培地[10g/Lカシトーン(casitone);20g/Lトリプトン、10g/L酵母抽出物(全て、Becton Dickinson、Cockeysvilleより);5g/L NaCl;27g/Lコハク酸ナトリウム;100mg/L MgSO・7HO;75mg/L CaCl・2HO;0.5μM MnCl;0.5μM FeSO;2%(w/v)グルコース;50mM PIPES緩衝液(1Mストック溶液、pH7.2から);75mM KPO(1.5Mストック溶液、pH7.0から);pH=7.0(KOHで調節)および10μg/mlテトラサイクリン]において、37℃、200回転/分で72時間インキュベートした。遠心分離によって細胞を除去した後、得られた上清を、プロテアーゼ活性の測定[Tenside、Vol.7 (1970)、p.125-132に記載の方法に従う]の後に、以下の実験のために使用した。
【実施例2】
【0275】
Eidgenoessische Material-Pruefungs-und-Versuchsanstalt、St.Gallen、スイス(EMPA)またはWaeschereiforschungsanstalt、Krefeld、独国から入手し、標準化した方法で汚した織物を、以下の実験に使用した。以下のしみ(染色)/織物を、実施例2において使用した:A(綿上の血液/ミルク/すす)、B(綿上の血液/ミルク/インク)、C(ポリエステル綿混紡上の血液/ミルク/インク)、およびD(綿上の卵/すす)。
【0276】
この試験材料を用い、洗濯計(launderometer)を用いて、種々の洗浄剤配合物の洗浄性能を試験した。この目的のために、液体比を、それぞれの場合に1:12に設定し、洗浄を40℃の温度で30分間行った。用量は、洗浄液1Lに対して特定の洗浄剤5.88gであった。水の硬度は、ドイツ硬度で16°であった。
【0277】
用いた対照洗浄剤は、以下の組成の基本洗浄剤配合物であった(全ての値は重量パーセントである):4%直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(ナトリウム塩)、4%C12-C18脂肪アルコール硫酸塩(ナトリウム塩)、5.5%C12-C18脂肪アルコール(7EOを含む)、1%ナトリウム石鹸、11%炭酸ナトリウム、2.5%無定形二ケイ酸ナトリウム、20%過ホウ酸ナトリウム四水和物、5.5%TAED、25%ゼオライトA、4.5%ポリカルボキシレート、0.5%リン酸塩、2.5%発泡抑制剤顆粒、5%硫酸ナトリウム、残り部分:水、蛍光増白剤、塩。この配合物を、異なる一連の実験のために、それぞれの場合に、洗浄液1Lあたりタンパク質分解活性2.250PEの最終濃度が得られるように、以下のプロテアーゼと混合した:B.lentusアルカリ性プロテアーゼF49(WO95/23221;製造業者:Biozym、Kundl、オーストリア)、Savinase(Novozymes A/S、Bagsvaerd、デンマーク)、および本発明のプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211D。
【0278】
洗浄後、洗浄した織物の白さの程度を、硫酸バリウムの白さ(これを100%に正規化した)と比較して測定した。この測定を、Datacolor SF500-2分光計において、460nm(UVブロックフィルター3)、30mmダイアフラム、光沢なし、D65発光、10°、d/8°で行った。以下の表2は、反射率として、即ち硫酸バリウムと比較した反射率として得た結果を、それぞれの出発値と一緒にまとめるものである。いずれの場合にも4回測定の平均を挙げる。これらは、使用した製剤の洗浄性能に対する、存在する酵素の寄与について、直ちに結論を引き出すことを可能にする。
【0279】
【表2】
Figure 2005507259
これらのデータは、B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dが、従来のプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinaseよりも、全てのしみ(染色)に対して明らかに優れた洗浄性能を示すことを示す。
【実施例3】
【0280】
実施例2と同じ汚れA、BおよびCを有する綿織物を、実施例2と同じように調べた。その相違は、この実施例においては、本発明のプロテアーゼ B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iを、変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199Iならびに同様に既知のプロテアーゼB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinaseと比較したことであった(それ以外は同一の洗浄剤配合物を用いた)。ここでも、これらを、それぞれの場合に、洗浄液1Lあたりタンパク質分解活性2.250PEの最終濃度が得られるように濃縮し、温度を40℃とした。
【0281】
この実験系列の測定および評価は、実施例2と同様にして行った。以下の表3は、得られた結果を示すものである。
【表3】
Figure 2005507259
【0282】
2つの変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199IおよびB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199Iの比較により、61位のアミノ酸グリシンを脂肪族アミノ酸アラニンで置換すると、洗浄剤配合物における酵素の性能が、種々の汚れの点でおよび種々の織布において改善されることがわかる。即ち、それは明らかに従来のプロテアーゼB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinaseより優れている。
【実施例4】
【0283】
硬く滑らかな表面を有する容器を、標準化した方法において、(A)半熟卵および(B)卵/ミルクと接触させ、Miele G 676型の家庭用食器洗浄器の標準プログラムを用いて45℃で洗浄した。1回の食器洗浄の試行あたりに、20gの食器洗浄剤を用いた。水の硬度は、ドイツ硬度で16°であった。
【0284】
用いた食器洗浄剤は、以下の基本配合を有していた(それぞれの場合に、全ての値は重量%である):55%トリポリリン酸ナトリウム(無水物として算出)、4%無定形二ケイ酸ナトリウム(無水物として算出)、22%炭酸ナトリウム、9%過ホウ酸ナトリウム、2%TAED、2%非イオン性界面活性剤、残り部分:水、染料、香料。この基本配合物を、それぞれの場合に、1回の食器洗浄試行あたり10.000PEの活性が得られるように、種々の実験のために、同一の活性で、種々のプロテアーゼ、即ち、B.lentusアルカリ性プロテアーゼF49、Savinase、および本発明のプロテアーゼ変異体であるB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dと混合した。これは、それぞれの場合に、浄化剤濃厚物1gあたり約0.1mgのプロテアーゼタンパク質に相当した。
【0285】
洗浄後、汚れの除去を重量パーセントで測定した。この目的のために、汚した後に濯いだ容器の重量とこの容器の出発重量との間の差異を、未洗浄容器の出発重量に対する重量の相違に関連付けた。この関連は、除去率(%)とみなすことができる。得られた結果を以下の表4にまとめる。この表には、それぞれの場合に9回測定の平均を挙げている。これらは、用いた製剤の洗浄性能に対する、存在する酵素の寄与について、直ちに結論を引き出すことを可能にする。
【0286】
【表4】
Figure 2005507259
これらの結果は、機械食器洗浄剤における本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dの浄化性能が、試験した他のプロテアーゼの性能よりも優れており、少なくとも同等であることを示す(これは、用いた比較的低い活性のときでもそうである)。
【実施例5】
【0287】
硬く滑らかな表面を有する容器を、先の実施例におけるものと同じ汚れおよびさらに汚れD(ラザーニヤ)と接触させ、同じようにここでも45℃で洗浄した。相違は、この実施例においては、本発明のプロテアーゼ B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iを、変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199Iならびに同様に既知のプロテアーゼB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinaseと比較したことであった(それ以外は同一の浄化剤配合物を用いた)。ここでも、これらを、それぞれの場合に、1回の食器洗浄試行あたりタンパク質分解活性10.000PEが得られるように濃縮した。測定は、先の実施例の記載と同様にして行った。表5は、これらの結果をまとめるものである。
【0288】
【表5】
Figure 2005507259
【0289】
これらの結果は、浄化性能に対する変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iの寄与が、浄化剤においても、種々の汚れに対して、変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199Iの寄与よりも優れていることを示す。この性能の増大は、61位の変化にのみ帰することができる。試験した汚れの全てに対して、Savinaseの性能よりも良好な性能が得られた。また、汚れCおよびDに対しては、B.lentusアルカリ性プロテアーゼF49の性能よりも良好な性能が得られた。
【実施例6】
【0290】
実施例4と同様に、容器を、標準に従って同じ汚れと接触させ、それぞれの場合に、同じ浄化剤配合物を用いて45℃で同様に洗浄した。ここで唯一の相違は、それぞれの場合に、20.000PEの特定のプロテアーゼを用いたことであった。これは、それぞれの場合に、浄化剤濃厚物中の約0.2mgのプロテアーゼに相当した。実施例5と同様にして得られた測定結果を、以下の表6に挙げる。
【0291】
【表6】
Figure 2005507259
【0292】
また、より高いプロテアーゼ活性を使用したときにも、特定の製剤の全体の浄化性能に対する本発明のプロテアーゼのより高い寄与が、機械食器洗浄剤に対して確立されたプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinaseと比較して明らかであった。
【実施例7】
【0293】
先の実施例と同様にして、汚れBおよびDを有する容器を、本発明のプロテアーゼB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I、変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I、B.lentusアルカリ性プロテアーゼF49またはSavinaseを含有する浄化剤配合物を用いて、もう一度調べた。これらを、それぞれの場合に、1回の食器洗浄試行あたりタンパク質分解活性20.000PEが得られるように濃縮した。温度は45℃であった。測定は、実施例5の記載と同様にして行った。得られた結果を表7に挙げる。
【0294】
【表7】
Figure 2005507259
【0295】
これらの結果は、比較的高い濃度においても、浄化剤の浄化性能に対する変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iの寄与が、種々の汚れに対して、変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199Iの寄与よりも優れていることを示す。この性能の増大は、61位の変化にのみ帰することができる。試験した汚れの全てに対して、Savinaseに対する明らかに優れた性能が得られた。また、汚れDに対しては、B.lentusアルカリ性プロテアーゼF49の性能よりも優れた性能が得られた。
【0296】
【表8】
Figure 2005507259

【図面の簡単な説明】
【0297】
【図1−1】本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体と、最も重要な既知のスブチリシンとのアミノ酸配列の整列図である(その1)。
【図1−2】本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体と、最も重要な既知のスブチリシンとのアミノ酸配列の整列図である(その2)。
【図2】突然変異誘発ベクターpUC18M131の模式図である。

Claims (40)

  1. Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、出発酵素と比較して、61位に、アミノ酸 アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンのいずれかによる置換、好ましくはアミノ酸 アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンのいずれかによる置換、特に好ましくはアラニンによる置換を有することを特徴とするスブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼ。
  2. Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、199位にイソロイシンを有することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  3. Bacillus lentusの番号付与に従い、199位にイソロイシン、211位にアスパラギン酸、および61位にアミノ酸 アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンのいずれか、好ましくはアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシン、特に好ましくはアラニンを有することを特徴とするスブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼ。
  4. 少なくとも1つの安定化を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  5. Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、3位にトレオニンを有することを特徴とする請求項4に記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  6. Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、4位にイソロイシンを有することを特徴とする請求項4または5に記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  7. Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、61位にアラニン、および199位にイソロイシンを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  8. Bacillus lentusスブチリシンの番号付与に従い、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、61位にアラニン、199位にイソロイシン、および211位にアスパラギン酸を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  9. バシラスのスブチリシンから、特にBacillus lentusスブチリシンから誘導されたスブチリシンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  10. Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンから誘導されたスブチリシン、特に配列番号4で示したアミノ酸配列に従うB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199Iであることを特徴とする請求項9に記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  11. Bacillus lentus DSM 5483 スブチリシンから誘導されたスブチリシン、特に配列番号6で示したアミノ酸配列に従うB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/G61A/V199I/L211Dであることを特徴とする請求項9または10に記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のプロテアーゼから誘導されたタンパク質であって、特に、フラグメント化もしくは欠失突然変異誘発により、挿入突然変異誘発により、置換突然変異誘発により、または少なくとも1つの部分の少なくとも1つの他のタンパク質への融合により誘導されたタンパク質。
  13. さらに誘導体化されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のタンパク質。
  14. さらに安定化されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のタンパク質または誘導体。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質または誘導体のいずれかをコードしている核酸。
  16. スブチリシン プロテアーゼをコードしている核酸であって、そのヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号5に示したヌクレオチド配列のいずれかに対応し、特に、アミノ酸配列の配列番号4または配列番号6に従って、199位のイソロイシン、211位のアスパラギン酸、3位のトレオニンおよび/または4位のイソロイシン、特に61位のアラニンをコードしている領域において対応しているか、またはこれらの領域を含む領域において対応している核酸。
  17. 請求項15または16のいずれかに記載の核酸領域を含むベクター、特に、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質または誘導体のいずれかをコードしている核酸領域を含むベクター。
  18. 請求項15または16のいずれかに記載の核酸領域を含むクローニングベクター、特に、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質または誘導体のいずれかをコードしている核酸領域を含むクローニングベクター。
  19. 請求項15または16のいずれかに記載の核酸領域を含む発現ベクター、特に、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質または誘導体のいずれかをコードしている核酸領域を含み、その生合成を可能にする発現ベクター。
  20. 請求項17〜19のいずれかに記載のベクターを含む細胞。
  21. 具体的には請求項15または16のいずれかに記載の核酸領域を用いることによって、さらに具体的には請求項20に記載の発現ベクターを用いることによって、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質または誘導体のいずれかを発現するか、または発現するように誘導することができる宿主細胞。
  22. 細菌、特に産生したタンパク質を周囲培地に分泌する細菌であることを特徴とする請求項21に記載の宿主細胞。
  23. グラム陽性細菌であること、具体的にはBacillus属、さらに具体的にはBacillus lentus種、Bacillus licheniformis種、Bacillus amyloliquefaciens種、Bacillus subtilis種またはBacillus alcalophilus種に属することを特徴とする請求項22に記載の細菌。
  24. 真核細胞、特に、産生したタンパク質を翻訳後修飾する真核細胞であることを特徴とする請求項20または21に記載の宿主細胞。
  25. 請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素または誘導体の製造方法であって、請求項15または16のいずれかに記載の核酸を用いて、および/または請求項17〜19のいずれかに記載のベクターを用いて、および/または請求項20〜24のいずれかに記載の宿主細胞を用いて製造する方法。
  26. 請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を、特に製剤1gあたり2μg〜20mgの量で含有することを特徴とする製剤、特に洗浄剤または浄化剤。
  27. さらなる酵素、特に、他のプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼおよび/またはリパーゼをさらに含有することを特徴とする請求項26に記載の製剤。
  28. 単独でまたは他の活性成分に加えて、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を含有することを特徴とする、織物原料の処理または織物ケアのための、具体的には天然成分を含む繊維または織物のための、さらに具体的には羊毛もしくは絹を含む繊維または織物のための製剤。
  29. 織物または硬表面を機械浄化するための方法であって、方法の少なくとも1つの行程において、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素が、適用あたり、好ましくは40μg〜4g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で活性になることを特徴とする方法。
  30. 織物原料の処理または織物ケアのための方法であって、方法の少なくとも1つの行程において、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素が、特に天然成分を含む織物原料または織物のために、特に羊毛もしくは絹を含む織物原料または織物のために活性になることを特徴とする方法。
  31. 織物または硬表面を浄化するための請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用であって、適用あたり、好ましくは40μg〜4g、特に好ましくは400μg〜400mgの量での使用。
  32. 洗浄剤または浄化剤の成分を活性化または不活性化するための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  33. 低分子量化合物またはタンパク質を生化学的に分析するためまたは合成するための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  34. 天然物質または生物学的有用物質を調製、精製または合成するための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  35. 天然原料の処理のため、具体的には表面処理のため、さらに具体的には皮革処理のための方法における、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  36. 織物製造において原料または中間体を取得または処理するため、特に、織布上の保護層を除去するための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  37. 織物原料の処理または織物ケアのため、特に、羊毛もしくは絹または羊毛もしくは絹含有の混合織物の処理のための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  38. 写真フィルムの処理のため、特に、ゼラチン含有または同様の保護層を除去するための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  39. 食品または動物飼料を調製するための、請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  40. 請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を含有する化粧品、または請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素が関係する化粧方法、または化粧目的のための請求項1〜14のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用、特に、対応する方法の枠内での、または対応する製剤における使用。
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