JP2005500476A - 密閉圧縮機のアキシアル軸受装置 - Google Patents

密閉圧縮機のアキシアル軸受装置 Download PDF

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Abstract

往復動密閉圧縮機のアキシアル軸受装置であって、シェル10内に取り付けられ、シリンダ30およびラジアル軸受ハブ40を担持するシリンダブロック20と、クランクシャフト50とを備え、該クランクシャフト50は、ラジアル軸受ハブ40内に垂直方向に取り付けられ、かつ下方に電動機60のロータ61を担持し、上方に支持環状面51aおよび偏心部52を担持する。ラジアル軸受ハブ40は、クランクシャフト50の対応する延長部を支える上部管状延長部45を組み込み、上部環状延長部45の周囲に、クランクシャフト50−ロータ61アセンブリの重量と、冷媒ガスの圧縮中に生じる軸方向応力とを支えるアキシアル転がり軸受90が取り付けられる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の冷却システムで使用されるタイプの垂直方向軸を有する、往復動密閉圧縮機のアキシアル転がり軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却用の密封圧縮機は、その密閉されたシェルの内部に垂直方向クランクシャフトを支えるシリンダブロックが搭載され、垂直方向クランクシャフトに電動機のロータが取り付けられる。クランクシャフト−ロータアセンブリの重量は、概して平坦なアキシアル滑り軸受の形態のアキシアル軸受によって支持される。
【0003】
クランクシャフトは、その下端に、ポンプロータを担持し、部品が十分に作動するためのオイル供給を保証するために、圧縮機運転中、潤滑油をシェルの下部に画定された油だめから相互に相対運動する部品に導く。
【0004】
アキシアル軸受の位置は、圧縮機構成部品の配置および構成のバリエーションによって様々に変わるであろう。解決方法としては、図1に示すように、シリンダブロックの下方のクランクシャフトへのロータ取付けが検討され、あるいは図2に示すように、シリンダブロックの上方のクランクシャフトへのロータ取付けが検討される。ロータのシリンダブロックに対する取付位置に応じて、アキシアル軸受を画定する表面が変わる。
【0005】
ロータをシリンダブロックの下方に取り付ける場合には、クランクシャフトの環状フランジの下部表面を、ラジアル軸受ハブ上端に画定された環状表面で軸方向に支える。他方、ロータをシリンダブロックの上方に取り付ける場合には、ロータの下部表面を、ラジアル軸受ハブ上端に画定された環状表面で軸方向に支える。ただし、ロータをシリンダブロックの下方に取り付けるときには、クランクシャフトの環状フランジの下部表面を、ラジアル軸受ハブの上端に画定された環状表面で軸方向に支える。
【0006】
ロータをシリンダブロックの下方に取り付ける圧縮機においては、クランクシャフトに径方向に作用する第2の軸受を、クランクシャフトの偏心部上方に設ける構成も知られている。この構成においては、クランクシャフトに第2の環状フランジが組み込まれ、その下部表面が、この第2の径方向軸受の上部環状表面で軸方向に支えられる。
【0007】
上述の実施形態のいずれにおいても、位置誤差(軸方向衝撃)が存在するため、かつ主として圧縮機運転中に構成部品が変形するため、アキシアル軸受を画定する相互に対向する表面間の完全な平行度は保証されない。
【0008】
アキシアル軸受を画定する表面同士の位置誤差は、より精密な製造工程を使用することによって最小にできる。しかし、構成部品の変形は、圧縮機の運転に固有であり、構成部品の変形は冷媒ガスの圧縮期間中に生じる。それらの変形が、アキシアル軸受を画定する相互に対向する表面間の平行度の低下に転換され、その結果、油膜の形成に不利な幾何形状となり、それによってアキシアル軸受を維持する能力が低下し、摩擦による機械的損失が増大し、おそらく表面に摩耗が生じる。加えて、構成部品の変形、より具体的には連接棒とクランクシャフトとの間に生じる直角度の低下により、ガスを圧縮する力の分解が起こり、クランクシャフトの軸方向分力の原因となり、アキシアル軸受上方のクランクシャフト−ロータアセンブリの力(重量)にさらに荷重がかかる。
【0009】
これらの圧縮機のエネルギー性能の向上は、機械的摩擦損失を減らし、より効率的な軸受を使用することによって得ることができる。その概念において、アキシアル転がり軸受の使用が提案されており、転がり軸受の作動は、機械的損失を分散させる意味で理想に近いレートを示す。この概念を使用する軸受の構造的な解決方法が、White Consolidated Industries,Inc.に譲渡された、電動機のロータをシリンダブロックの上方に取り付ける密閉圧縮機に関する、ブラジル特許第PI 8503054号に記載されている。
【0010】
ブラジル特許PI 8503054号で提案されたこのタイプの構造においては、2つの環状フラットレースおよびボールケージから成るアキシアル転がり軸受が、ロータ面とラジアル軸受ハブの上端に画定された環状面との間に設けられ、転がり軸受は、その内径で、クランクシャフト本体の外表面により直接案内される。
【0011】
アキシアル転がり軸受の寿命は、そのレースの位置合わせにより大きく影響される。にもかかわらず、レース間の平行度にミリラジアンの少数単位のずれがあるだけでも、その耐用寿命を、レースが完全に平行なアキシアル転がり軸受の耐用寿命に比べて20倍以上短くするのに十分である。転がり軸受のこの耐用寿命の短縮は、軸方向荷重が転がり軸受のすべてのボールに分散されずに、1つもしくは2つのボールに集中するために起こる。
【0012】
電動機のロータがシリンダブロックの下方でクランクシャフトに取り付けられる密閉圧縮機においては、ブラジル特許第PI 8503054号において提案されたようなアキシアル転がり軸受を、クランクシャフトの環状フランジの下部表面とラジアル軸受ハブの上端に画定される環状表面との間に単に設けるだけで、シリンダ軸と径方向軸受ブロックの隣接端を成す前記軸受環状表面との間の間隔が、図3aに示すように増すであろう。本明細書で考察した従来技術の教示に基づくこの仮定的取付条件において、シリンダ軸とラジアル軸受ハブの隣接端との間の間隔が増すことは、ラジアル軸受ハブ−クランクシャフトアセンブリにより強い運動量を生じさせる傾向があり、その結果、このアセンブリに加わる曲げおよび応力が増大することになろう。
【0013】
図3aに示した実施形態の別の欠点は、アキシアル転がり軸受全体に生じるオイル漏れが多いことであり、アキシアル転がり軸受の粘性摩擦による機械的損失が増加し、クランクシャフト部分、およびアキシアル転がり軸受上方に位置する圧縮機機構の構成部品間で利用可能な潤滑油の量が減少する。アキシアル転がり軸受で利用可能な潤滑油が適正量であれば、機械的損失およびその構成部品の耐用寿命を最適化することができる。
【0014】
ラジアル軸受ハブ−クランクシャフトアセンブリの曲げの増大、およびアキシアル転がり軸受全体の漏れの増加によって、圧縮機内のノイズが増し、軸受のエネルギー効率が落ち、アキシアル転がり軸受などの幾つかの圧縮機構成部品の機械的信頼性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の全般的な目的は、アキシアル軸受を画定する相互に対向する表面間の平行度のずれを生じない、冷却用の往復動密閉圧縮機用の軸受装置を提供することにある。
【0016】
本発明の目的はまた、冷却用の往復動密閉圧縮機用の上述したタイプの軸受装置であって、シリンダブロックの下方で垂直クランクシャフトに取り付けられる電動機のロータを有し、ラジアル軸受ハブ−クランクシャフトアセンブリに対する曲げおよび応力が増大しない軸受装置を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、クランクシャフト部分およびアキシアル転がり軸受上方に位置する圧縮機機構の他の構成部品間の十分な潤滑が損なわれず、かつさらにアキシアル転がり軸受に十分な量の潤滑油供給を可能にし得る、上述のような軸受装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
当該軸受装置は、往復動密閉圧縮機に適用され、この往復動密閉圧縮機は、シェルと、シェル内に搭載され、かつシリンダおよび垂直方向に配置されたラジアル軸受ハブを担持するシリンダブロックと、垂直方向クランクシャフトとを備え、該垂直方向クランクシャフトは、ラジアル軸受ハブを介して取り付けられ、下端部および上端部を有し、下端部は、ラジアル軸受ハブの下に下方に突出し、電動機のロータを固定し、上端部は、ラジアル軸受ハブの上に上方に突出し、かつ周囲フランジおよび偏心部を組み込み、この周囲フランジの下面は、支持環状表面を画定する。
【0019】
本発明によれば、ラジアル軸受ハブは、上部管状延長部を組み込み、該上部環状延長部は、クランクシャフトの対応する延長部を径方向に支える内面と、上記内面に同心の環状端面および外面とを有し、その周囲に、アキシアル転がり軸受が取り付けられる。アキシアル転がり軸受は、前記支持環状表面と上部管状延長部の環状端表面との間に一定の最小軸方向ギャップを維持するために、ラジアル軸受ハブおよびクランクシャフトの支持環状表面に同時に着座される。
【0020】
本発明を、添付の図面を参照して以下に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、往復動密閉圧縮機を簡略に示す図である。往復動密閉圧縮機は、シェル10を備え、そのシェル10の内部にシリンダブロック20が適切に懸架され、このシリンダブロック20は、シリンダ30を画定し、垂直方向クランクシャフト50を支える、垂直方向に配置されたラジアル軸受ハブ40を組み込む。垂直方向のクランクシャフト50は、電動機60のロータ61を取付けるために、ラジアル軸受ハブ40の下方に突出する下端部を有する。電動機60のステータ62が、シリンダブロック20の下方に取り付けられる。さらに、クランクシャフト50は、上端部および偏心部52を有する。この上端部は、ラジアル軸受ハブ40の上方に突出し、周囲フランジ51を組み込む。周囲フランジ51の下面は、アキシアル軸受環状表面51aを画定する。偏心部52に、連接棒70の大きい方のアイが取り付けられ、連接棒70の小さい方のアイは、シリンダ30内で往復運動するピストン80に取り付けられる。
【0022】
この種の従来構造においては、アキシアル軸受環状表面51aは、クランクシャフト50−ロータ61のアセンブリの重量を支えるアキシアル滑り軸受を画定するように、ラジアル軸受ハブ40の上部環状面41によって支持される。
【0023】
図2も往復動密閉圧縮機を示し、その基本要素は、図1の圧縮機に関して前述したものに同じであり、同じ参照符号を付してある。ただし、図2に示す構造においては、電動機60を、シリンダブロック20の上方、したがってラジアル軸受ハブ40の上方に設けることにより、アキシアル軸受を、アキシアル軸受の2つの環状表面間の平行度の逸脱が比較的小さいシリンダ30の軸からある距離に位置付けたままにすることができる。
【0024】
図2の構造においては、アキシアル転がり軸受90が、使用され、ロータ61の各下部表面部に対するラジアル軸受ハブ40の上部環状面に着座し、ロータ61の各下表面部に当接する。
【0025】
図3aおよび図3bの構造において、往復動密閉圧縮機に適合されるアキシアル転がり軸受のための装置が示され、密閉圧縮機のクランクシャフト50が、垂直方向に配置され、かつシリンダブロック20の下に取付けられた電動機のロータおよびラジアル軸受ハブ40を担持する。
【0026】
この従来構造において、アキシアル転がり軸受90は、複数のボールを含む円形ケージ91を備え、該複数のボールは、相互に角度方向に離間され、かつ平坦な金属製ワッシャの形態の上部環状レース92および下部環状レース93により支持される。上部環状レース92および下部環状レース93は、それぞれクランクシャフト50の支持環状表面51a、およびラジアル軸受ハブ40の上部環状面41に着座される。クランクシャフト50のシリンダ軸に対する延長部が確実に正しく位置決めされるようにするため、ラジアル軸受ハブ40の上部環状面41は、アキシアル転がり軸受90の高さの増加を吸収する深さの凹みが付けられている。
【0027】
しかし、クランクシャフト50の延長部に変更を生じないにしても、アキシアル転がり軸受90をこのように単純な技術により設けることによって、シリンダ30の軸とラジアル軸受の始まりを画定するラジアル軸受ハブ40の上部環状面41との間の間隔の増加を招く。
【0028】
図4aは、図4bとともに、本発明の軸受装置の第1の実施形態を示す。
【0029】
本発明によれば、ラジアル軸受ハブ40は、クランクシャフト50の対応する延長部を支持する内面45aを有する上部管状延長部45、環状端面45b、および外面45cを組み込む。外面45cの周囲に、一定の最小径方向ギャップで、図3bに関して前述された例に比べてより適切な構造を有するアキシアル転がり軸受90が取り付けられる。
【0030】
図4bに一層明らかに示されるように、アキシアル転がり軸受90は、その上部環状レース92を有する。アキシアル転がり軸受90は、クランクシャフト50の周囲フランジ51の支持環状表面51a、およびラジアル軸受ハブ40の上部環状面41に着座する。上部環状レース92は、上部管状延長部45の環状端面45bに対して軸方向に離間して後退して保持されている。図4a〜図4dに示される実施形態では、ラジアル軸受ハブ40の上部環状面41が、軸受ハブ輪郭の内側に軸方向に離間して後退しているため、ラジアル軸受ハブ40の構成に実質的な変更を要することなく、アキシアル転がり軸受90を受けることができる。
【0031】
ラジアル軸受ハブ40の上部環状面41の軸方向に後退する間隔、アキシアル転がり軸受90の高さ、および上部管状延長部45の寸法は、クランクシャフト50のアキシアル軸受けが、最小の軸方向ギャップを有することを保証するように構成される。最小の軸方向ギャップは、製造および取付に関して、上部管状延長部45の環状端面45bとクランクシャフト50の支持環状表面51aとの間で容易に達成できる。
【0032】
クランクシャフト50の下端から偏心部52へのオイル汲上げが、偏心部内部を介して行われる構造においては、アキシアル転がり軸受90の潤滑は、偏心部52に導かれるオイル流れの一部を制御して向けることにより、一定の過大なギャップが、クランクシャフト50の支持環状表面51aとラジアル軸受ハブ40の上部管状延長部45の環状端面45bとの間に存在する場合でも、偏心部の潤滑を損なうことなく行うことができる。
【0033】
しかし、シェル10の底に蓄積された潤滑油の汲上げが、クランクシャフト50の外側に設けた螺旋溝55により行われる場合には、アキシアル転がり軸受90の構造に特に注意を払い、オイルの上向き流れでこの軸受のレベルに達するオイルが、アキシアル転がり軸受90の領域から径方向に漏れて、偏心部52の潤滑を損なうことのないようにする必要がある。
【0034】
図4aおよび図4bに示すように、オイルは、アキシアル転がり軸受90の領域の螺旋溝上端に達するまで、クランクシャフト50の外側の螺旋溝に沿って上方に押し進められる。螺旋溝の上端は、偏心部52端面に至る軸方向に傾斜したオイル通路58の下端に開いており、オイル通路58の下部が、支持環状面51a領域で軸方向に開口している。
【0035】
オイル漏れを最小にする可能な解決方法は、クランクシャフト50の支持環状表面51aと、ラジアル軸受ハブ40の上部管状延長部45の環状端面45bとの間の軸方向ギャップFAを抑制することである。しかし、この解決方法には、オイル漏れを回避するのに十分に小さなギャップを提供し、かつ同時に、相互に対して運動する対向する表面の接触を回避するために、厳しい製造および取付公差が要求される。
【0036】
図4aおよび図4bは、相互摩擦面を生成することなく、かつ圧縮機製造および取付方法を困難とするような公差に従う必要なしに、アキシアル転がり軸受90を通過時に、上昇中のオイル流れの十分な保持を提供するための本発明によって展開された第1の解決方法を示す。この第1の実施形態によれば、アキシアル転がり軸受90の上部環状レース92は、断面矩形のワッシャの形態であり、その円筒状内面92は、上部管状延長部45の円筒状外面45cに対する一定の径方向ギャップFRを維持する。これらの2つの面は、クランクシャフトの回転のために相互に相対運動するので、これら両表面間の接触およびそれによる摩耗は回避すべきである。
【0037】
本発明によれば、アキシアル転がり軸受90の上部環状レース92の円筒状内面92aと上部管状延長部45の外面45cとの間のこの摩擦接触は、前記上部環状レース92のクランクシャフト50に対して径方向に変位させないこと、たとえば、上部管状延長部45の外面45cに対して径方向外側の位置に、クランクシャフト50により担持される停止要素51bを設けることによって回避できる。
【0038】
図示の実施形態においては、停止要素51bは、径方向内側の上部環状レース92の円筒状内面92aに隣接する、クランクシャフト50のリセスの形態であり、たとえば、クランクシャフト50の支持環状表面51aに作られる。
【0039】
図4eにおいて注目されるように、リセスの内径は、上部管状延長部45の外表面45cの外径より大きい。図示はされていないが、この接触を回避する別の形態は、固定によって、たとえば、上部環状レース92とクランクシャフト50の支持環状レース51aとの間に配置される接着要素を使用することによって得ることができる。本明細書に記載される両方の取付解決方法において、クランクシャフト50の本体に対する上部環状レース92内径の同心性は、保証されるべきである。
【0040】
より多いまたはより少いオイル保持は、上部管状延長部45の外面45cに対する上部環状レース92の円筒状内面92aの重なりSBを有する軸方向延長部を有する、前記径方向ギャップFRを調節することによって得られる。そのような調節は、対向する2つの円筒状表面間を下方に流れる傾向があるオイル流れに対する、ある程度の荷重損失を規定する。したがって、径方向ギャップFRの公差が緩和されることができ、アキシアル転がり軸受90を介して発生する過剰なオイル漏れを起こすことなく、製造および取付が容易になる。
【0041】
図4cは、図4bで提案された解決方法の構造的な変形形態を示す。この変形形態によれば、アキシアル転がり軸受90の上部環状レース92は、その内側上縁に傾斜面取部92bを有する。この傾斜面取部は、軸方向ギャップFAから径方向に押し進められるオイル流れを受けるために、上部管状延長部45の環状端面45bとクランクシャフト50の支持環状面51aとの間に存する軸方向ギャップFAのレベルに位置付けられる。面取部92bは、いわば力の分解偏向手段として動作する。その動作は、受け入れられた径方向オイル流れを上向きに移動させ、オイル通路58内にその径方向の軸方向に開口した下部によってオイル通路58に入れ、偏心部頂部に上方に導く。任意の適切なプロファイルを有することができる面取部92bによって得られた上昇インパルスは、径方向ギャップFRが、上部環状レース92と上部管状延長部45との間で減少され、この構成により一般的に生じる軸方向に重なる延長部の低減を補償することが可能となる。
【0042】
本発明の1つの構造的な選択肢によれば、アキシアル転がり軸受90の上部環状レース92は、オイル通路58を介して流れる潤滑油のカラムを保持するベースBFを画定する上表面部92bを備える。
【0043】
図4dは、考えられる第3の構造を示す。その第3の構造によれば、スペーサワッシャ96が、アキシアル転がり軸受90の上部環状レース92とクランクシャフト50の支持環状面51aとの間に設けられ、スペーサワッシャ96の内面96aが、上部管状延長部45の外面45cからの径方向に離間されて維持され、上部管状延長部および上部環状レース92により、クランクシャフト50の回転時に遠心力により押し進められる径方向オイル流れが向けられる前記溝の内部に、上部環状溝100を画成する。この上部環状溝100は、軸方向ギャップFAに開口し、さらに上方でオイル通路58に開口する。上部環状溝100は、オイル通路58を通って流れる潤滑油のカラムを保持するベースBFを画定する底壁を有する。
【0044】
この構成により、上部環状溝100に蓄積したオイルが、遠心力によってスペーサワッシャ96の内面96aに対して押される。環状溝100の底を画定する上部環状レース92の径方向延長部によって阻止されるために、オイルは下方へ流れることができないので、押し上げられてオイル通路58の内部に入り、偏心部52の頂部に流れ込む。オイルの上昇を促進するため、環状溝100は、その上部領域でオイル通路58内部に完全に開き、環状溝100の径方向外面は、オイル通路58の輪郭に一般に正接する。
【0045】
環状溝100内のオイルに作用する遠心力によって、上部環状レース92と管状延長部45との間の径方向ギャップFRに向かう前記オイルの径方向の戻りが防止されるため、この径方向ギャップは、もはや厳しい公差を有することを必要とせず、構成部品の製造および取付が容易になる。
【0046】
いうまでもなく、スペーサワッシャ96を設けることは、アキシアル転がり軸受90の上部環状レース92の上部溝内にオイルの蓄積を与える例示的な一形態を表すにすぎない。
【0047】
図4a〜図5の図示によれば、本発明の装置は、さらに支持手段95を備える。支持手段95は、その下部によってラジアル軸受ハブ40の上部環状面41に着座し、その上方に、回転が固定された状態でアキシアル転がり軸受90の下部環状レース93の下面93aが保持され、前記支持手段95は、相互に90度ずれる直径方向軸に従って、ラジアル軸受ハブ40の上部環状面41に対し、かつ下部環状レース93に対して振動可能に構成される。
【0048】
本発明の1つの構造的選択肢においては、下部環状レース93の下面93aおよび支持手段95の上部接触面95aにより、かつ支持手段95の下部接触面95bおよびラジアル軸受ハブ41aの上部環状面41により画定される相互に対向する部分の間に、直径方向に対向する凸状突出部の対それぞれが、前記相互に対向する一方の部分に組み込まれ、かつ前記相互に対向する他方の部分に着座し、一対の凸状突出部の位置合わせは、他方の対の凸状突出部に対して90度ずれる。各凸状突出部は、たとえば、それぞれの部分に組み込まれた円筒状突出部の形態で組み込まれることができる。
【0049】
図示によれば、支持手段95のそれぞれの上部接触面95aおよび下部接触面95bが、凸状突出部のそれぞれの対に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】シリンダブロックの下方に配置され、従来技術のアキシアル軸受により垂直方向に支持された電動機のロータに取付けられた垂直方向クランクシャフトを有する往復動密閉圧縮機の中央垂直方向断面図である。
【図2】電動機のロータが、シリンダブロックの上方に配置かれ、従来技術のアキシアル軸受により垂直方向に支持された従来技術の構造を示す図1と同様の図である。
【図3a】垂直方向ラジアル軸受ハブを組み込み、垂直方向ラジアル軸受ハブの上端に、従来技術の教示によるクランクシャフト−電動機ロータアセンブリ用のアキシアル転がり軸受が着座している、図1に示すタイプのシリンダブロックの部分縦垂直方向面図である。
【図3b】図3aの一部の拡大詳細図である。
【図4a】本発明の装置により、アキシアル転がり軸受を受けるように構成されたラジアル軸受ハブを組み込んだ、図1に示すタイプのシリンダブロックの部分垂直方向断面図である。
【図4b】アキシアル転がり軸受装置の第1の実施形態を示す、図4aの一部の拡大図である。
【図4c】アキシアル転がり軸受装置の第2の実施形態を示す、図4aの一部の拡大図である。
【図4d】本発明のアキシアル転がり軸受装置の第3の実施形態を示す、図4b、4cと同様の図である。
【図4e】本発明アキシアル転がり軸受の停止要素の実施形態を示す、図4bの図示の角度をずらして見た図4aの一部の拡大図である。
【図5】本発明の支持手段の斜視図である。

Claims (16)

  1. 往復動密閉圧縮機のアキシアル軸受装置であって、該アキシアル軸受装置は、シェル(10)内部に取り付けられ、かつシリンダ(30)および垂直方向に配置されたラジアル軸受ハブ(40)を担持するシリンダブロック(20)と、ラジアル軸受ハブ(40)を介して取り付けられたクランクシャフト(50)とを備え、該クランクシャフト(50)が、ラジアル軸受ハブ(40)の下方に突出し、かつ電動機(60)のロータ(61)を固定する下端部と、ラジアル軸受ハブ(40)の上方に突出し、かつ周囲フランジ(51)および偏心部(52)を組み込む上端部とを有し、該周囲フランジ(51)の下面が、支持環状表面(51a)を画定し、
    ラジアル軸受ハブ(40)が、クランクシャフト(50)の対応する延長部を径方向に支える内面(45a)と、環状端面(45b)と、端面(45c)とを有する上部管状延長部(45)を組み込み、端面(45c)の周囲に、アキシアル転がり軸受(90)が取り付けられ、該アキシアル転がり軸受(90)が、前記支持環状表面(51a)と上部管状延長部(45)の環状端面(45b)との間に一定の最小の軸方向ギャップ(FA)を維持するために、ラジアル軸受ハブ(40)およびクランクシャフト(50)の支持環状表面(51a)に同時に着座することを特徴とする、往復動密閉圧縮機のアキシアル軸受装置。
  2. アキシアル転がり軸受(90)の上部環状レース(92)が、上部環状レースの円筒状内面(92a)と上部管状延長部(45)の外面(45c)との接触を回避するために、クランクシャフト(50)に対して径方向に変位させないことを特徴とする、請求項1に記載のアキシアル軸受装置。
  3. アキシアル転がり軸受(90)の上部環状レース(92)の前記径方向に変位させないことが、停止要素(51b)によって得られ、該停止要素(51b)が、上部管状延長部(45)の外面(45c)に対する径方向外側の位置のクランクシャフト(50)によって担持されることを特徴とする、請求項2に記載のアキシアル軸受装置。
  4. 停止要素(51b)が、上部環状レース(92)の円筒状内面(92a)の径方向内側にありかつ該径方向内側に隣接する、クランクシャフト(50)のリセスの形態であることを特徴とする、請求項3に記載のアキシアル軸受装置。
  5. アキシアル転がり軸受(90)が、複数のボールを含む円形ゲージ(91)を備え、該ボールは、相互に角度方向に離間され、前記アキシアル転がり軸受(90)が、円筒状内面(92a)を有する上部環状レース(92)および下部環状レース(93)に支持され、該上部環状レース(92)および下部環状レース(93)は、クランクシャフト(50)の支持環状表面(51a)およびラジアル軸受ハブ(40)の上部環状面(41)にそれぞれ着座し、上部環状レース(92)の円筒状内面(92a)が、上部管状延長部(45)の外壁(45c)とともに、重なり部(SB)を有する軸方向延長部を維持し、前記重なり部(SB)は、前記径方向ギャップ(FR)を介する軸方向オイル流れを所望の程度に制限する寸法であり、前記オイル流れの大半部分を、上方にクランクシャフト(50)内部のオイル通路(58)の内部へ向け、前記オイル通路(58)は、前記オイルを偏心部(52)の頂部に導くことを特徴とする、請求項1または2に記載のアキシアル軸受装置。
  6. アキシアル転がり軸受(90)の上部環状レース(92)が、傾斜面取部(92c)を有し、該傾斜面取部(92c)は、クランクシャフト(50)から径方向に押し運ばれる潤滑油の流れを前記傾斜面取部を介して受け、オイル流れを上向きにオイル通路(58)内部に向けるために、内側上縁に設けられ、かつ軸方向ギャップ(FA)のレベルに位置付けられることを特徴とする、請求項5に記載のアキシアル軸受装置。
  7. アキシアル転がり軸受(90)の上部環状レース(92)が、オイル通路(58)を通って流れる潤滑油のカラムを保持するベース(BF)を画定する上部表面部(92b)を備えることを特徴とする、請求項5に記載のアキシアル軸受装置。
  8. アキシアル転がり軸受(90)の上部環状レース(92)が、内部領域に軸方向ギャップ(FA)に開口した上部環状溝(100)を画定し、前記溝は、上部管状延長部(45)の外壁(45c)によって内側が限定され、かつ上方でオイル通路(58)に開口し、前記上部環状溝(100)は、オイル通路(58)を通って流れる潤滑油のカラムを保持するベース(BF)を画定する底壁を有することを特徴とする、請求項5に記載のアキシアル軸受装置。
  9. 上部環状溝(100)の径方向外面が、オイル通路(58)の輪郭に正接されることを特徴とする、請求項8に記載のアキシアル軸受装置。
  10. 環状溝(100)が、上部管状延長部(45)の外面(45c)と、スペーサワッシャ(96)の内面(96a)との間に画定され、前記スペーサワッシャ(96)が、上部環状レース(92)とクランクシャフト(50)の支持環状面(51a)との間に配置され、上部環状溝(100)の底壁が、上部環状レース(92)の上部面(92a)によって画定されることを特徴とする、請求項9に記載のアキシアル軸受装置。
  11. 環状溝(100)が、上部管状延長部(45)の外面(45c)と、転がり軸受(90)の上部環状レース(92)の上部表面(92b)と、スペーサワッシャ(96)の内面(96a)とによって限定され、上方で、クランクシャフト(50)内部のオイル通路(58)に開口していることを特徴とする、請求項10に記載のアキシアル軸受装置。
  12. アキシアル軸受装置が、さらに支持手段(95)を備え、該支持手段(95)が、下方で、ラジアル軸受ハブ(40)の上部環状面(41)に着座し、上方で回転を固定する形態で、アキシアル転がり軸受(90)の下部環状レース(93)の下面(93a)を保持し、前記支持手段(95)は、相互に90度ずれる直径方向軸に従って、ラジアル軸受ハブ(40)の上部環状面(41)に対し、かつ下部環状レース(93)に対して振動可能に構成されることを特徴とする、請求項1に記載のアキシアル軸受装置。
  13. アキシアル軸受装置が、下部環状レース(93)の下部面(93a)および支持手段(95)の上部接触表面(95a)により画定され、かつ支持手段(95)の下部接触面(95b)およびラジアル軸受ハブ(40)の上部環状面(41)により画定される相互に対向する部分の間に、直径方向に対向するそれぞれ対の凸状突出部を備え、該凸状突出部のそれぞれが、前記相互に対向する一方の部分に組み込まれ、かつ前記相互に対向する他方の部分に着座され、一対の凸状突出部の位置合わせが、他方の対の凸状突出部に対して90度ずれることを特徴とする、請求項12に記載のアキシアル軸受装置。
  14. 各凸状突出部が、各対向する部分に組み込まれた円筒状突出部であることを特徴とする、請求項13に記載のアキシアル軸受装置。
  15. 支持手段(95)の各上部接触表面(95a)および下部接触表面(95b)が、それぞれ凸状突出部の対に組み込まれることを特徴とする、請求項14に記載のアキシアル軸受装置。
  16. 上部環状レース(92)および下部環状レース(93)が、それぞれフラットワッシャの形態であることを特徴とする、請求項5に記載のアキシアル軸受装置。
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