第1の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに、固定子と回転子とを備えた電動要素と前記電動要素によって駆動される圧縮要素とが収容され、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部とを有するシャフトと、圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結手段と、前記シリンダブロックに設けられ前記主軸部を軸支する主軸受と、前記主軸受のスラスト面に配設されたスラストボールベアリングを備え、前記スラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、前記ボールの上下に上レースと下レースがそれぞれ配設され、前記上レースと前記下レースはそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、前記軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪が設けられるとともに、前記上レースは前記主軸部外径に近接させ、前記上レースの内径は前記下レースおよび前記ホルダー部の内径より小さくし、前記上レースと前記主軸部を有するシャフトとの間に上レースのラジアル方向の変位を規制する規制手段を構成したものである。
これにより、回転子やシャフト等のスラスト荷重から受けるボールと上レース及び下レースの接触応力を緩和するために上下レースに軌道輪を設けた際にも、主軸の回転と同期して回転する上レースが静止している下レースより左記に主軸に接触するので、下レースが主軸を傷つけることが無く、上レースのラジアル方向の変位を規制することができるの
で、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれを抑制し、ボールの円滑な回転を維持するので、低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
第2の発明は、前記主軸部外径には主軸部と同心に形成されたガイド部を設け、前記主軸受は主軸部に対向する内面を有する軸受け延出部を有し、前記下レースと前記ホルダー部は前記軸受け延出部の外周に配置されたもので、圧縮負荷のかかる作用点から曲げ応力のかかる支点までの距離を短くすることができ、主軸受または主軸部に過度な曲げ応力が発生しないため、さらに効率の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
第3の発明は、前記規制手段は、前記主軸部外径または主軸部外径と同心に形成されたガイド部と上レース内径とのクリアランスを主軸部外径と軸受け部内面とのクリアランスより小さくすることで構成したことで、ピストンの往復運動による圧縮動作により、シャフトの主軸が軸受け内のクリアランス内でラジアル方向に変位しても、上レースの軌道輪のずれをさらに抑制できるため、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれを抑制し、ボールの円滑な回転を維持するので、さらに低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
第4の発明は、前記規制手段は、前記主軸部外径または前記ガイド部と上レース内径のクリアランスを軸受け延長部外周とホルダー部のクリアランス以下として構成したことで、上レースが運転時や輸送中の振動などでラジアル方向に変位しても、ホルダー部に保持されたボールが上レースの軌道輪に追随するため、上レースの軌道輪からボールが外れることが無いため、さらに信頼性を向上させることができる。
第5の発明は、前記規制手段は、前記主軸部外径または前記ガイド部と上レース内径のクリアランスを前記下レースと軸受け延長部外周とのクリアランスより小さくなるように構成したもので、運転時や輸送中の振動などで上レースが径方向に移動しても、下レースはボールを介して上レースの軌道輪の変位に追随するため、上レースの軌道輪からボールが外れることが無いため、さらに低騒音で信頼性を向上させることができる。
第6の発明は、前記規制手段は、前記主軸部または前記ガイド部と上レース内径のクリアランスを前記上レースの軌道面に形成された軌道輪の幅の1/2以下としたことで、運転時の振動により上レースが径方向に移動しても、軌道輪の範囲内で規制されるので、ボールが軌道輪を外れることが無いため、より低騒音で信頼性を向上させることができる。
第7の発明は、前記規制手段は、前記主軸部または前記ガイド部と上レースの内径を圧入固定することで構成したことで、前記主軸部または前記ガイド部と上レースの内径とのクリアランスがなくなると共に、上レースが完全に固定されるので、運転時の振動により上レースが径方向に移動することがなく、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれを抑制し、ボールの円滑な回転を維持するので、さらに低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
第8の発明は、前記規制手段は、前記主軸部または前記ガイド部と上レースの内径との間に樹脂などの弾性部材を介在したことによる構成したもので、前記主軸部または前記ガイド部と上レースの内径とのクリアランスがなくなると共に、弾性部材の弾性により取り付け時の主軸部への変形を低減し、上レースが完全に固定されるので、運転時の振動により上レースが径方向に移動することがなく、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれを抑制し、ボールの円滑な回転を維持するので、さらに低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
第9の発明は、前記規制手段は、前記主軸部を有するシャフトフランジ面と上レースの
偏心側の面に互いに形成された少なくとも1箇所以上の凹凸で構成したもので、上レースが主軸部に干渉することがないので、取り付け時の主軸部への変形をなくし、他の部材を追加することなく上レースの径方向の移動を規制できるので、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれを抑制し、ボールの円滑な回転を維持するので、作業性を良くすると共に低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
第10の発明は、前記規制手段は前記上レースの偏心側の面をシャフトのフランジ面の面積より大きい平面としたことで、上レースの偏心側の平面とシャフトのフランジ面との間の摩擦力が大きくなり、上レースの軌道輪とボールの間に発生するすべりが生じにくいとともに、上レースのラジアル方向の変位を防止できるため、さらに低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供できる。
第11の発明は、
前記回転子に永久磁石を内蔵し、インバータ装置により電源周波数より高い周波数を含む2種類以上の周波数で駆動される構成としたもので、高速運転時には、上レースにかかる遠心力が大きくなり、上レース135がラジアル方向に変位しやすいが、上レースと回転軸である主軸を有するシャフトの間で上レースのラジアル方向の変位を規制していることから、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれが抑制できる。
また低速運転時には、圧縮機の振動が大きくなり、運転時の振動などで上レース135がラジアル方向に変位しやすいが、上レースと回転軸である主軸を有するシャフトの間で上レースのラジアル方向の変位を規制していることから、ボールの転動中心と主軸の回転中心のずれが抑制できる。
第12の発明は、上記のいずれかの発明により構成された密閉型圧縮機を搭載した冷凍装置で、主要部品である密閉型圧縮機の騒音を低減することができ、高効率とすることができるので、低騒音で効率の高い冷凍装置を提供することができる。
以下、本発明による圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なおこの実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図、図3は同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図である。
図1から図3において密閉容器101内には潤滑油102が貯留され冷媒(図示せず)が封入されており、固定子103と回転子104からなる電動要素105と、電動要素105によって駆動される圧縮要素106が収容される。
電動要素105と圧縮要素106はともに密閉容器101に収容されスプリング150で支持されている。
密閉容器101に固定したターミナル160は電気(図示せず)を供給するものでリード線161を通して電動要素105に電気を供給する。
ターミナル160にはインバータ装置201が結線され、インバータ装置201には商用電源202が供給されている。
シャフト110は、回転子104を固定した主軸部111と、主軸部111の上部に配
設され主軸部111に対し偏心して形成された偏心軸部112とを有する。
シャフト110は上レース135に対向する位置に主軸部111の軸心と略直角に形成されたフランジ面145を形成し、上レース135の反軌道輪側の平面と接している。
主軸部111には上レース135に対向する位置に主軸部111の外径と同心に形成されたガイド部115が設けられている。
ガイド部115の外径は主軸部111と同心を保つために、主軸部111の外径の5%以内としている。
シリンダブロック114は、略円筒形の圧縮室116を有し、主軸部111を軸支する主軸受120が固定されている。ピストン126は、シリンダブロック114の圧縮室116に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部112との間を連結手段128によって連結されている。
シリンダブロック114の主軸受120の上端には主軸受120の軸心と略直角に環状に形成されたスラスト面130と、スラスト面130よりさらに上方に延長され、主軸部111に対向する内面を有する軸受け延出部144とを備えている。
そしてスラスト面130に、シャフト110を鉛直方向に支持するため、軸受け延出部144の外側のスラスト面130から上側に向かって、下レース136、複数のボール134と、ボール134を保持するホルダー部133と、上レース135の順に配置している。
これら下レース136、複数のボール134とボール134を保持するホルダー部133、上レース135により、スラストボールベアリング132が構成されており、上レース135と下レース136はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪137が設けられている。
上レース135は、主軸部111の外径に近接させるため、上レース135の内径φD1は、ホルダー部133の内径φD2および下レース136の内径φD3より小さく形成し、軸受け延出部144の上端170を覆うように配置され、軸受け延出部の上端170との間に軸方向の隙間146を設けている。
上レース135と主軸部111と同心に形成されたガイド部115の外径とのクリアランスC1は上レースの軌道輪137の溝幅Hの1/2以下とし、0〜500ミクロンの間になるように形成されている。
下レース136、複数のボール134とボール134を保持するホルダー部133は全て軸受け延出部144の外周に半径方向隙間を確保して配置されている。
ホルダー部133の内径と軸受け延出部144の外周とのクリアランスC2は上レース135と主軸部111と同心に形成されたガイド部115の外径とのクリアランスC1より大きく形成されている。
下レース136の内径と軸受け延出部144の外周とのクリアランスC3は上レース135と主軸部111と同心に形成されたガイド部115の外径とのクリアランスC1より大きく形成されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素105の回転子104はシャフト110を回転させ、偏心軸部112の回転運動が連結手段128を介してピストン126に伝えられることでピストン126は圧縮室116内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室116内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへ吐き出される。
シャフト110と回転子104の重量はスラストボールベアリング132で支えられるとともに、シャフト110の回転時はボール134が上レース135と下レース136の間で転がるために回転が滑らかになる。
また、上レース135と軸受け延出部144の上端170との間に軸方向の隙間146を設けていることで、上レース135と軸受け延出部の上端170は接触することが無いので、ボール134が上レース135と下レース136の間で円滑に転がる。
このスラストボールベアリング132を用いることによって、スラストすべり軸受けに比べて摩擦係数が小さくなることから、シャフト110を回転するトルクを低減できるので、スラスト軸受けでの摺動損失を小さくすることができる。従って、入力が低減し高効率化を実現する。
ここで、R600a冷媒に比べ密度が高く、オゾン破壊係数がゼロのR134aに代表される温暖化係数の低いHFC冷媒等を使用する際には、圧縮工程において圧縮荷重は増大し、ピストン126が圧縮荷重を受けると連結手段128によって連結されたシャフト110の偏心軸部112にも圧縮荷重を受ける。その際、シャフト110の主軸部111とシリンダブロック114の主軸受120とのクリアランスの寸法でシャフト110は自由度があるので、偏心軸部112が反圧縮方向に傾き得る。偏心軸部112が反圧縮方向に傾いた際、ボール134と上レース135及び下レース136にスラスト荷重が作用するが、上レース135と下レース136はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪137が設けられているので、ボール134と上レース135および下レース136との接触面積は、平板からなるスラストボールベアリングに比べ拡大できるので、回転子104やシャフト110等のスラスト荷重から受けるボール134と上レース135および下レース136との接触応力を緩和するので、ボール134、上レース135及び下レース136に過度な繰り返し応力がかかる繰り返し応力がかかるのを防止する。
この際、運転時の振動などにより上レース135にラジアル方向の力が作用し、上レース135がラジアル方向に変位した場合には、平板からなるスラストボールベアリングであれば軌道面でボールの軌道が変位するのみで、主軸部の回転中心とボールの転動中心がずれることはない。
しかしながら、軌道面に環状からなる溝で形成された軌道輪を設けたスラストボールベアリングにおいては、上レース135のラジアル方向の変位に伴い、軌道輪の中心がずれるとボールの転動中心が追随するため、主軸部111の回転中心とボール134の転動中心がずれることで軌道輪とボールの接触が不安定になる。
その結果、騒音の増加や効率に影響するが、本発明においては、回転中心である主軸部111を有するシャフト110と上レース135の間に上レース135のラジアル方向の変位を規制する規制手段を構成したことで、上レース135の軌道輪の中心と主軸部111の回転中心のずれを抑制できるので、ボール134の円滑な回転を維持するので低騒音で効率を高くすることができる。
上レース135の内径φD1をホルダー部133の内径φD2および下レース136の内径φD3より小さくすることで、主軸部111の回転と同期回転する上レース135が先に主軸部111に接触するため、静止している下レース136が主軸に接することはないので主軸部111を傷つけることはないが、本発明においては、下レース136とホルダー部133は主軸部111と直接接しないことからも、上レース135のラジアル方向の変位を規制することで下レース136やホルダー部133のラジアル方向の変位に影響することなく、上レース135の軌道輪137の中心すなわちボール134の転動中心と主軸部111の回転中心のずれを抑制できる。
また、圧縮負荷のかかる作用点から曲げ応力のかかる支点までの距離を短くするために主軸受120は主軸部111に対向する内面を有する軸受け延出部144を有し、下レース136とホルダー部133は軸受け延出部144の外周に配置されているので、主軸受120またはシャフト110に過度な曲げ応力が発生させずに、回転子104やシャフト110等のスラスト荷重から受けるボール134と上レース135および下レース136との接触応力を緩和することができるのでさらに効率を高くすることができる。
また、主軸部111の外径と同心に形成されたガイド部115と上レース135のクリアランスC1を主軸部111の外径と軸受け延出部144の内面とのクリアランスC4より小さくすることで、主軸部111が圧縮負荷によって傾くことで、主軸部111の回転中心がラジアル方向に変位した場合においても、上レース135のラジアル方向の変位を規制することができるので、主軸部111の回転中心とボール134の転動中心のずれを抑制できるので、さらに低騒音で効率の高い密閉型圧縮機を提供できる。
また、主軸部111の外径と同心に形成されたガイド部115と上レース135のクリアランスC1がホルダー部133と軸受け延出部144の外周とのクリアランスC2より小さいので、運転中の振動などにより上レース135がクリアランスC1内でラジアル方向に変位しても、ホルダー部133が他の部品と接触することなく、ボール134が上レース135の軌道輪137の変位に追随できるので、上レース135の軌道輪137の中心とボール134の転動中心がずれないので、上レース135の軌道輪137とボール134の接触状態が不安定になることがなく、低騒音で効率を向上させることができる。
また、主軸部111の外径と同心に形成されたガイド部115と上レース135のクリアランスC1が下レース136と軸受け延出部144の外周とのクリアランスC3より小さいので、運転中の振動などにより上レース135がクリアランスC1内でラジアル方向に変位しても、下レース136が他の部品と接触することなく、ボール134が上レース135の軌道輪137の変位に追随できるので、上レース135の軌道輪137の中心とボール134の転動中心がずれないので、上レース135の軌道輪137とボール134の接触状態が不安定になることがなく、低騒音で効率を向上させることができる。
さらには、上レース135の偏心側の面をシャフト110のフランジ面145より大きい平面とすることで、上レース135とシャフト110のフランジ面145との間の摩擦が大きくなり、運転時の振動などで上レース135にラジアル方向の力がかかっても、回転子104やシャフト110などの自重におけるスラスト荷重に加えて、上レース135とシャフト110のフランジ面145との間の上レース135のラジアル方向への変位と逆方向に摩擦力が働くため、上レース135のラジアル方向への変位を防止することができる。したがって、上レース135の軌道輪137の中心すなわちボール134の回転中心と主軸部111の回転中心のずれをさらに抑制できるので、低騒音で効率を向上させることができる。
ここで、インバータ制御による高速運転時には、上レース135にかかる遠心力が大きくなり、上レース135がラジアル方向に変位しやすく、低速運転時には、圧縮機の振動が大きくなり、運転時の振動などで上レース135がラジアル方向に変位しやすいが、本発明において上レース135とシャフト110の間でラジアル方向の変位を規制していることから、上レース135のラジアル方向の変位を防止するので、ボール134の転動中心と主軸部111の回転中心のずれを抑制できる。その結果、低騒音で効率を向上させることができる。
また、本発明において、上レース135のラジアル方向の変位の規制手段と上レースと各部品のクリアランスおよび摩擦力で構成しているが、上レース135をシャフト110に接着剤などで完全固定した場合においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、上記密閉型圧縮機101を搭載することで、冷凍装置の主要部品で騒音減の一つである密閉型圧縮機の騒音を低減させ、効率を向上させることができるので冷凍装置の騒音を低減できるとともに効率を向上させることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図、図5は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図である。
図4から図5において密閉容器301内には潤滑油302が貯留され冷媒(図示せず)が封入されており、固定子303と回転子304からなる電動要素305と、電動要素305によって駆動される圧縮要素306が収容される。
電動要素305と圧縮要素306はともに密閉容器301に収容されスプリング350で支持されている。
密閉容器301に固定したターミナル360は電気(図示せず)を供給するものでリード線361を通して電動要素305に電気を供給する。
ターミナル360にはインバータ装置301が結線され、インバータ装置301には商用電源302が供給されている。
シャフト310は、回転子304を固定した主軸部311と、主軸部311の上部に配設され主軸部311に対し偏心して形成された偏心軸部312とを有する。
シャフト310は上レース335に対向する位置に主軸部311の軸心と略直角に形成されたフランジ面345を形成し、上レース335の反軌道輪側の平面と接している。
主軸部311には上レース335に対向する位置に主軸部311の外径と同心に形成されたガイド部315が設けられている。
ガイド部315の外径は主軸部311と同心を保つために、主軸部311の外径の5%以内としている。
シリンダブロック314は、略円筒形の圧縮室316を有し、主軸部311を軸支する主軸受320が固定されている。ピストン326は、シリンダブロック314の圧縮室316に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部312との間を連結手段328によって連結されている。
シリンダブロック314の主軸受320の上端には主軸受320の軸心と略直角に形成されたスラスト面330を備えている。
そしてスラスト面330に、シャフト310を鉛直方向に支持するため、スラスト面330から上側に向かって、ウェーブワッシャ338、下レース336、複数のボール334と、ボール334を保持するホルダー部333と、上レース335の順に配置している。
これら下レース336、複数のボール334とボール334を保持するホルダー部333、上レース335により、スラストボールベアリング332が構成されており、上レース335と下レース336はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪337が設けられている。
上レース335は、主軸部311の外径と同心に形成されたガイド部315に圧入固定される。
下レース336、複数のボール334とボール334を保持するホルダー部333は全て主軸部311の外径に対して半径方向隙間を確保して配置されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素305の回転子304はシャフト310を回転させ、偏心軸部312の回転運動が連結手段328を介してピストン326に伝えられることでピストン326は圧縮室316内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室316内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへ吐き出される。
シャフト310と回転子304の重量はスラストボールベアリング332で支えられるとともに、シャフト310の回転時はボール334が上レース335と下レース336の間で転がるために回転が滑らかになる。
このスラストボールベアリング332を用いることによって、スラストすべり軸受けに比べて摩擦係数が小さくなることから、シャフト310を回転するトルクを低減できるので、スラスト軸受けでの摺動損失を小さくすることができる。従って、入力が低減し高効率化を実現する。
ここで、R600a冷媒に比べ密度が高く、オゾン破壊係数がゼロのR134aに代表される温暖化係数の低いHFC冷媒等を使用する際には、圧縮工程において圧縮荷重は増大し、ピストン326が圧縮荷重を受けると連結手段328によって連結されたシャフト310の偏心軸部312にも圧縮荷重を受ける。その際、シャフト310の主軸部311とシリンダブロック314の主軸受320とのクリアランスの寸法でシャフト310は自由度があるので、偏心軸部312が反圧縮方向に傾き得る。偏心軸部312が反圧縮方向に傾いた際、ボール334と上レース335及び下レース336およびウェーブワッシャ338にスラスト荷重が作用するが、上レース335と下レース336はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪337が設けられているので、ボール334と上レース335および下レース336との接触面積は、平板からなるスラストボールベアリングに比べ拡大できるので、回転子34やシャフト310等のスラスト荷重から受けるボール334と上レース335および下レース336との接触応力を緩和するので、ボール334、上レース335及び下レース336に過度な繰り返し応力がかかるのを防止する。
また、ウェーブワッシャ338を下レース336の下側に設置していることでウェーブワッシャ338のばね性によりスラスト荷重を低減できる。
この際、運転時の振動などにより上レース335にラジアル方向の力が作用し、上レース335がラジアル方向に変位した場合には、平板からなるスラストボールベアリングであれば軌道面でボールの軌道が変位するのみで、主軸部の回転中心とボールの転動中心がずれることはない。
しかしながら、軌道面に環状からなる溝で形成された軌道輪を設けたスラストボールベアリングにおいては、上レース335のラジアル方向の変位に伴い、軌道輪の中心がずれるとボールの転動中心が追随するため、主軸部311の回転中心とボール334の転動中心がずれることで軌道輪とボールの接触が不安定になる。
その結果、騒音の増加や効率に影響するが、本発明においては、回転中心である主軸部311を有するシャフト310と上レース335をラジアル方向の変位を規制するために圧入固定したことで、主軸部311が圧縮負荷によって傾くことで、主軸部311の回転中心がラジアル方向に変位した場合においても、上レース335の軌道輪の回転中心は主軸311に追随して変位するので、主軸部311の回転中心とボール334の転動中心のずれを抑制できるので、上レース335の回転中心と主軸部311の回転中心のずれを抑制できるので、ボール334の円滑な回転を維持するので低騒音で効率を高くすることができる。
ここで、インバータ制御による高速運転時には、上レース335にかかる遠心力が大きくなり、上レース335がラジアル方向に変位しやすいが、本発明において上レース335をシャフト310のガイド部315に圧入固定していることでラジアル方向の変位を規制していることから、上レース335のラジアル方向に変位しないので、ボール334の転動中心と主軸部311の回転中心のずれを抑制できる。
一方、低速運転時には、圧縮機の振動が大きくなり、上レース335がラジアル方向に変位しやすいが、本発明において上レース335をシャフト310のガイド部315に圧入固定していることでラジアル方向の変位を規制していることから、上レース335のラジアル方向に変位しないので、ボール334の転動中心と主軸部311の回転中心のずれを抑制できる。
その結果、低騒音で効率を向上させることができる。
また、本発明において、上レース335のラジアル方向の変位の規制手段として上レース335を主軸部411に圧入固定することで構成しているが、上レース335をシャフト310に接着剤などで完全固定した場合においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、上記密閉型圧縮機301を搭載することで、冷凍装置の主要部品で騒音減の一つである密閉型圧縮機の騒音を低減させ、効率を向上させることができるので冷凍装置の騒音を低減できるとともに効率を向上させることができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図、図7は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図、図8は同実施の形態における弾性部材の斜視図である。
図6から図8において密閉容器401内には潤滑油402が貯留され冷媒(図示せず)が封入されており、固定子403と回転子404からなる電動要素405と、電動要素405によって駆動される圧縮要素406が収容される。
電動要素405と圧縮要素406はともに密閉容器401に収容されスプリング450で支持されている。
密閉容器401に固定したターミナル460は電気(図示せず)を供給するものでリード線461を通して電動要素405に電気を供給する。
ターミナル460にはインバータ装置401が結線され、インバータ装置401には商用電源402が供給されている。
シャフト410は、回転子404を固定した主軸部411と、主軸部411の上部に配設され主軸部411に対し偏心して形成された偏心軸部412とを有する。
シャフト410は上レース435に対向する位置に主軸部411の軸心と略直角に形成されたフランジ面445を形成し、上レース435の反軌道輪側の平面と接している。
主軸部411には上レース435に対向する位置に主軸部411の外径と同心状に樹脂などから形成される弾性部材415が圧入などにより固定されている。
シリンダブロック414は、略円筒形の圧縮室416を有し、主軸部411を軸支する主軸受420が固定されている。ピストン426は、シリンダブロック414の圧縮室416に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部412との間を連結手段428によって連結されている。
シリンダブロック414の主軸受420の上端には主軸受420の軸心と略直角に形成されたスラスト面430を備えている。
そしてスラスト面430に、シャフト410を鉛直方向に支持するため、スラスト面430から上側に向かって、ウェーブワッシャ438、下レース436、複数のボール434と、ボール434を保持するホルダー部433と、上レース435の順に配置している。
これら下レース436、複数のボール434とボール434を保持するホルダー部433、上レース435により、スラストボールベアリング432が構成されており、上レース435と下レース436はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪437が設けられている。
上レース435は、主軸部411の外径に固定された樹脂などから形成される弾性部材415と接するように配置される。
下レース436、複数のボール434とボール434を保持するホルダー部433は全て主軸部411の外径に対して半径方向隙間を確保して配置されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素405の回転子404はシャフト410を回転させ、偏心軸部412の回転運動が連結手段428を介してピストン426に伝えられることでピストン426は圧縮室
416内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室416内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへ吐き出される。
シャフト410と回転子404の重量はスラストボールベアリング432で支えられるとともに、シャフト410の回転時はボール434が上レース435と下レース436の間で転がるために回転が滑らかになる。
このスラストボールベアリング432を用いることによって、スラストすべり軸受けに比べて摩擦係数が小さくなることから、シャフト410を回転するトルクを低減できるので、スラスト軸受けでの摺動損失を小さくすることができる。従って、入力が低減し高効率化を実現する。
ここで、R600a冷媒に比べ密度が高く、オゾン破壊係数がゼロのR134aに代表される温暖化係数の低いHFC冷媒等を使用する際には、圧縮工程において圧縮荷重は増大し、ピストン426が圧縮荷重を受けると連結手段428によって連結されたシャフト410の偏心軸部412にも圧縮荷重を受ける。その際、シャフト410の主軸部411とシリンダブロック414の主軸受120とのクリアランスの寸法でシャフト410は自由度があるので、偏心軸部412が反圧縮方向に傾き得る。偏心軸部412が反圧縮方向に傾いた際、ボール434と上レース435及び下レース436およびウェーブワッシャ438にスラスト荷重が作用するが、上レース435と下レース436はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪437が設けられているので、ボール434と上レース435および下レース436との接触面積は、平板からなるスラストボールベアリングに比べ拡大できるので、回転子404やシャフト410等のスラスト荷重から受けるボール434と上レース435および下レース436との接触応力を緩和するので、ボール434、上レース435及び下レース436に過度な繰り返し応力がかかるのを防止する。
また、ウェーブワッシャ438を下レース436の下側に設置していることでウェーブワッシャ438のばね性によりスラスト荷重を低減できる。
この際、運転時の振動などにより上レース435にラジアル方向の力が作用し、上レース435がラジアル方向に変位した場合には、平板からなるスラストボールベアリングであれば軌道面でボールの軌道が変位するのみで、主軸部の回転中心とボールの転動中心がずれることはない。
しかしながら、軌道面に環状からなる溝で形成された軌道輪を設けたスラストボールベアリングにおいては、上レース435のラジアル方向の変位に伴い、軌道輪の中心がずれるとボールの転動中心が追随するため、主軸部411の回転中心とボール434の転動中心がずれることで軌道輪とボールの接触が不安定になり、その結果、騒音の増加や効率に影響する。
しかしながら、本発明においては、回転中心である主軸部411を有するシャフト410と上レース435の間に樹脂などから形成される弾性部材415により上レース435のラジアル方向の変位を規制する規制手段を構成した。
通常、上レース435のラジアル方向の変位を規制するために圧入などにより上レース435を固定する場合、圧入による主軸部411への損傷を防ぐためにシャフト410主軸部411の外径とは別に挿入部を形成する必要があるが、上レース435と主軸部411との間に樹脂などから形成される弾性部材415を配置したことで、主軸部411とは別の挿入部を形成する必要がなく、弾性部材415の弾性力により主軸部411に不要な
力がかかることがないので主軸部411を変形させない。
さらに、上レース435を弾性部材415に圧入固定する際にもテフロン(登録商標)などの自己潤滑特性を持つ樹脂を使用した弾性部材415を使用することで上レース435が弾性部材415を傷つけることがない。
そのため、主軸部411の回転中心とボール434の転動中心のずれを抑制できるので、ボール434の円滑な回転を維持するので低騒音で効率を高くすることができる。
ここで、インバータ制御による高速運転時には、上レース435にかかる遠心力が大きくなり、上レース435がラジアル方向に変位しやすいが、本発明において上レース435とシャフト410の間で樹脂などにより形成された弾性部材415によりラジアル方向の変位を規制していることから、上レース435のラジアル方向の変位を防止するので、ボール434の転動中心と主軸部411の回転中心のずれを抑制できる。その結果、低騒音で効率を向上させることができる。
一方、低速運転時には、圧縮機の振動が大きくなり、上レース435がラジアル方向に変位しやすいが、本発明において上レース435とシャフト410の間で樹脂などにより形成された弾性部材415によりラジアル方向の変位を規制していることから、上レース435のラジアル方向の変位を防止するので、ボール434の転動中心と主軸部411の回転中心のずれを抑制できる。
その結果、低騒音で効率を向上させることができる。
また、本発明において、上レース435のラジアル方向の変位の規制手段として上レース435と主軸部411の間に弾性部材415を配置することで構成しているが、上レース435をシャフト410に接着剤などで完全固定した場合においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、上記密閉型圧縮機401を搭載することで、冷凍装置の主要部品で騒音減の一つである密閉型圧縮機の騒音を低減させ、効率を向上させることができるので冷凍装置の騒音を低減できるとともに効率を向上させることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における密閉型圧縮機の縦断面図、図10は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図、図11は同実施の形態における環状突起の詳細図、図12は同実施の形態における環状溝の詳細図である。
図9から図12において密閉容器501内には潤滑油502が貯留され冷媒(図示せず)が封入されており、固定子503と回転子504からなる電動要素505と、電動要素505によって駆動される圧縮要素506が収容される。
電動要素505と圧縮要素506はともに密閉容器501に収容されスプリング550で支持されている。
密閉容器501に固定したターミナル560は電気(図示せず)を供給するものでリード線561を通して電動要素505に電気を供給する。
ターミナル560にはインバータ装置501が結線され、インバータ装置501には商用電源502が供給されている。
シャフト510は、回転子504を固定した主軸部511と、主軸部511の上部に配設され主軸部511に対し偏心して形成された偏心軸部512とを有する。
シャフト510は上レース535に対向する位置に主軸部511の軸心と略直角に形成されたフランジ面545を形成し、上レース535の反軌道輪側の平面と接している。
シャフト510のフランジ面545には主軸部511と同心に形成された環状突起515を形成している。
シリンダブロック514は、略円筒形の圧縮室516を有し、主軸部511を軸支する主軸受520が固定されている。ピストン526は、シリンダブロック514の圧縮室516に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部512との間を連結手段528によって連結されている。
シリンダブロック514の主軸受520の上端には主軸受520の軸心と略直角に形成されたスラスト面530を備えている。
そしてスラスト面530に、シャフト510を鉛直方向に支持するため、スラスト面530から上側に向かって、下レース536、複数のボール534と、ボール534を保持するホルダー部533と、上レース535の順に配置している。
これら下レース536、複数のボール534とボール534を保持するホルダー部533、上レース535により、スラストボールベアリング532が構成されており、上レース535と下レース536はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪537が設けられている。
上レース535は、軌道輪537が設けられている軌道面と反対側のシャフト510のフランジ面545と接する面に軌道輪537と同心に形成された環状溝525を形成している。
上レース535に形成された環状溝525とシャフト510のフランジ面545に形成した環状突起515はそれぞれ互いに対抗するように配置され、嵌合している。
下レース536、複数のボール534とボール534を保持するホルダー部533は全て主軸部511の外径に対して半径方向隙間を確保して配置されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素505の回転子504はシャフト510を回転させ、偏心軸部512の回転運動が連結手段528を介してピストン526に伝えられることでピストン526は圧縮室516内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室516内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへ吐き出される。
シャフト510と回転子504の重量はスラストボールベアリング532で支えられるとともに、シャフト510の回転時はボール534が上レース535と下レース536の間で転がるために回転が滑らかになる。
このスラストボールベアリング532を用いることによって、スラストすべり軸受けに比べて摩擦係数が小さくなることから、シャフト510を回転するトルクを低減できるので、スラスト軸受けでの摺動損失を小さくすることができる。従って、入力が低減し高効
率化を実現する。
ここで、R600a冷媒に比べ密度が高く、オゾン破壊係数がゼロのR134aに代表される温暖化係数の低いHFC冷媒等を使用する際には、圧縮工程において圧縮荷重は増大し、ピストン526が圧縮荷重を受けると連結手段528によって連結されたシャフト510の偏心軸部512にも圧縮荷重を受ける。その際、シャフト510の主軸部511とシリンダブロック514の主軸受520とのクリアランスの寸法でシャフト510は自由度があるので、偏心軸部512が反圧縮方向に傾き得る。偏心軸部512が反圧縮方向に傾いた際、ボール534と上レース535及び下レース536にスラスト荷重が作用するが、上レース535と下レース536はそれぞれ互いに対向する軌道面を有し、軌道面は環状からなる溝で形成された軌道輪537が設けられているので、ボール534と上レース535および下レース536との接触面積は、平板からなるスラストボールベアリングに比べ拡大できるので、回転子504やシャフト510等のスラスト荷重から受けるボール534と上レース535および下レース536との接触応力を緩和するので、ボール534、上レース535及び下レース536に過度な繰り返し応力がかかるのを防止する。
この際、運転時の振動などにより上レース535にラジアル方向の力が作用し、上レース535がラジアル方向に変位した場合には、平板からなるスラストボールベアリングであれば軌道面でボールの軌道が変位するのみで、主軸部の回転中心とボールの転動中心がずれることはない。
しかしながら、軌道面に環状からなる溝で形成された軌道輪を設けたスラストボールベアリングにおいては、上レース535のラジアル方向の変位に伴い、軌道輪の中心がずれるとボールの転動中心が追随するため、主軸部511の回転中心とボール534の転動中心がずれることで軌道輪とボールの接触が不安定になり、その結果、騒音の増加や効率に影響する。
しかしながら、本発明においては、回転中心である主軸部511を有するシャフト510のフランジ面545と上レース535の反軌道輪側の面にそれぞれ互いに対向する位置に環状突起515と環状溝525を設けている。
シャフト511のフランジ面545に設けられた環状突起515は組立時に上レース535の反軌道輪側に形成された環状溝525に勘合される。
そのため、上レース535と主軸部511とのクリアランスに関わらず、他の部材を廃止する必要もなく、上レース535のラジアル方向の変位を規制できるので主軸部511の回転中心とボール534の転動中心のずれを抑制でき、ボール534の円滑な回転を維持するので、作業性がよく、低騒音で効率を高くすることができる。
ここで、インバータ制御による高速運転時には、上レース535にかかる遠心力が大きくなり、上レース535がラジアル方向に変位しやすいが、本発明においてシャフト510のフランジ面545と上レース535の反軌道輪側の面にそれぞれ互いに対向する位置に環状突起515と環状溝525を設け、嵌合配置されていることから、上レース535のラジアル方向の変位を防止するので、ボール534の転動中心と主軸部511の回転中心のずれを抑制できる。その結果、低騒音で効率を向上させることができる。
一方、低速運転時には、圧縮機の振動が大きくなり、上レース535がラジアル方向に変位しやすいが、本発明においてシャフト510のフランジ面545と上レース535の反軌道輪側の面にそれぞれ互いに対向する位置に環状突起515と環状溝525を設け、
嵌合配置されていることから、上レース535のラジアル方向の変位を防止するので、ボール534の転動中心と主軸部511の回転中心のずれを抑制できる。
その結果、低騒音で効率を向上させることができる。
また、本発明において、上レース535のラジアル方向の変位の規制手段として、シャフト510のフランジ面545と上レース535の反軌道輪側の面にそれぞれ互いに対向する位置に環状突起515と環状溝525を設け、嵌合配置することで構成されているが、上レース535をシャフト510に接着剤などで完全固定した場合においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、上記密閉型圧縮機501を搭載することで、冷凍装置の主要部品で騒音減の一つである密閉型圧縮機の騒音を低減させ、効率を向上させることができるので冷凍装置の騒音を低減できるとともに効率を向上させることができる。