JP2015038326A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Hironari Akashi
浩業 明石
照正 井出
Terumasa Ide
照正 井出
坪井 康祐
Kosuke Tsuboi
康祐 坪井
究 渡部
Kiwamu Watabe
究 渡部
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【課題】スラストボールベアリングへの潤滑油の安定した供給と、ボールのスムーズな転がりを両立して、低騒音で高効率の密閉型圧縮機を提供する。【解決手段】ホルダー部133に保持された複数のボール134と上レース135および下レース136とからなるスラストボールベアリング132を備え、上レース135と下レース136の少なくとも一方のボール134側に環状の溝で形成された軌道輪160を有し、軌道輪160に潤滑油102を供給する第2の給油経路152を備えているので、軌道輪160に潤滑油102が溜まってボール134と上下レース135、136への潤滑油102の安定した供給ができ、さらに、ボール134は軌道輪160に案内されてスムーズに転がり、低騒音で高効率にすることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、冷凍冷蔵庫等の冷凍サイクルに用いられる密閉形圧縮機に関するものである。
近年、冷凍冷蔵庫等の冷凍装置に使用される密閉型圧縮機については、消費電力の低減のための高効率化や、低騒音化、並びに高信頼性化が望まれている。
従来、この種の密閉型圧縮機は、スラストボールベアリングを採用して、効率を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
図11は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図12は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図、図13は特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの分解斜視図である。
図11、図12、図13において、密閉容器2の底部には潤滑油4を貯溜しており、圧縮機本体6はサスペンションスプリング8によって密閉容器2に対して弾性的に支持されている。
圧縮機本体6は、電動要素10と、電動要素10の上方に配設される圧縮要素12から構成されている。電動要素10は、固定子14および回転子16とから構成されている。圧縮要素12のシャフト18は、主軸部20と偏心軸部22を備えており、主軸部20はブロック24の主軸受26に回転自在に軸支されるとともに、回転子16が固定されている。そして、圧縮荷重が作用する偏心軸部22に対して、偏心軸部22の下側のみに配置された主軸部20と主軸受26で支持する片持ち軸受の構成となっている。
また、シャフト18は主軸部20表面に設けた螺旋状の溝などからなる給油機構28を備え、給油機構28の上端に連通し、偏心軸部22の上方へ延設された給油経路29を備えている。
ピストン30は、ブロック24に形成された略円筒形の内面を有するシリンダ34に往復自在に挿入される。また、連結部36は、両端に設けた穴部(図示せず)がそれぞれピストン30に取り付けられたピストンピン38と偏心軸部22に嵌挿されることで、偏心軸部22とピストン30とを連結している。
シリンダ34およびピストン30は、シリンダ34の開口端面に取り付けられるバルブプレート46とともに圧縮室48を形成する。さらに、バルブプレート46を覆って蓋をするようにシリンダヘッド50が固定されている。
吸入マフラ52は、PBTなどの樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド50に取り付けられている。
次に、スラストボールベアリング76について説明する。
主軸受26は、軸心と直角な平面部である下レース着座面60と、下レース着座面60
よりさらに上方に延長され、主軸部20に対向する内面を有する軸受延出部62とを有している。そして、軸受延出部62の外径側に、上レース64、ホルダー部68に保持されたボール66、下レース70からなるスラストボールベアリング76が配置されている。下レース70は支持部材72により支持されている。
上レース64および下レース70は環状で金属製の平板であり、上下の面が平行である。また、ホルダー部68は環状の形状をなし、周方向に設けた複数の穴部にボール66を転動自在に収納している。
下レース着座面60の上に、支持部材72、下レース70、ボール66、上レース64の順に互いに接した状態で積み重なり、上レース64の上面にシャフト18のフランジ部74が着座し、軸受延出部62の上端とシャフト18のフランジ部74との間に所定の軸方向隙間78を設けている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素10に通電されると、固定子14に発生する回転磁界により、回転子16は主軸部20とともに回転する。主軸部20の回転により、偏心軸部22が偏心運動し、偏心軸部22の偏心運動が連結部36を介してピストン30に伝えられ、ピストン30はシリンダ34内で往復動する。
密閉容器2外の冷凍サイクル(図示せず)より戻った冷媒は、吸入マフラ52を経由して圧縮室48内へ導入され、圧縮室48内でピストン30により圧縮され、圧縮された冷媒は密閉容器2から冷凍サイクルへ送り出される。
また、シャフト18下端は潤滑油4に浸漬しており、シャフト18が回転することにより、潤滑油4は給油機構28により主軸部20の潤滑を行い、その後、軸方向隙間78からスラストボールベアリング76への供給と、給油経路29を通り圧縮要素12各部への供給とに分配され、摺動部の潤滑を行う。
特許第4268519号公報
しかしながら、上記従来の上レース64および下レース70が平板である構成では、潤滑油4がスラストボールベアリング76へ供給される際、潤滑油4が上レース64あるいは下レース70の外周側に流出しやすく、運転条件によっては、ボール66の表面に直接供給される潤滑油4の量が不足する可能性があり、騒音の増加や効率の低下の可能性があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ボールとレースへの潤滑油の安定した供給と、ボールのスムーズな転がりを両立して、低騒音で高効率の密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、シャフトに設けられ主軸部の軸心と略直角に設けられた上レース着座面と、主軸受に設けられ前記主軸受の軸心と略直角に設けられた下レース着座面と、前記上レース着座面と前記下レース着座面の間に
設けられたスラストボールベアリングを備え、前記スラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、前記ボールの上下にそれぞれ配設された上レースおよび下レースとを備え、前記上レースと前記下レースの少なくとも一方の前記ボール側に環状の溝で形成された軌道輪を有し、前記第1の給油経路に連通し前記スラストボールベアリングの前記軌道輪に前記潤滑油を供給する第2の給油経路を備えている。
これによって、スラストボールベアリングに潤滑油が確実に供給されるとともに、下レースの軌道輪に溜まり、下レースの起動輪とボールの接触部は安定して潤滑油で満たされる。また、潤滑油が溜まった下レースの軌道輪をボールが転がることで、潤滑油はボールの表面に安定して供給されるため、上レースとボールの接触部にも潤滑油が安定的に供給される。
従って、ボールとレースへの潤滑油の安定した供給と、軌道輪によるボールのスムーズな転がりを両立して、スラスト摺動面における摺動損失を低減し、低騒音で高効率を実現することができる。
本発明は、スラスト摺動面における摺動損失を低減し、低騒音で高効率の圧縮機を提供することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図 本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図 同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図 従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの分解斜視図
第1の発明は、密閉容器内に、固定子と回転子を備える電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素と、前記圧縮要素を潤滑する潤滑油とを備え、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部とを有するシャフトと、圧縮室を備えたブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結部と、前記ブロックに設けられ前記主軸部を軸支する主軸受と、前記主軸部の下部から上部にまで前記潤滑油を搬送する第1の給油経路と、前記シャフトに設けられ前記主軸部の軸心と略直角に設けられた上レース着座面と、前記主軸受に設けられ前記主軸受の軸心と略直角に設けられた下レース着座面と、前記上レース着座面と前記下レース着座面の間に設けられたスラストボールベアリングとを備え、前記スラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、前記ボールの上下にそれぞれ配設された上レースおよび下レースとを備え、前記上レースと前記下レースの少なくとも一方の前記ボール側に環状の溝で形成された軌道輪を有し、前記第1の給油経路に連通し前記スラストボールベアリングの前記軌道輪に前記潤滑油を供給する第2の給油経路を備えたものである。
これにより、潤滑油が遠心力によって飛散しやすい主軸受とシャフトとのスラスト面であっても、スラストボールベアリング付近に供給される潤滑油が下レースの軌道輪に溜まり、保持性が向上するため、円滑な摺動を行うことが可能となる。
また、潤滑油を主軸側から軌道輪に供給する第2の給油経路を備えることで、潤滑油はボールの表面に確実に供給されるため、ボールと上レースおよび下レースとの接触部に潤滑油が安定的に供給される。また、ボールはレースの軌道輪に案内されて軌道輪に沿って安定して転がりやすくなる。
従って、ボールとレースへの潤滑油の安定した供給と、ボールのスムーズな転がりを両立して、低騒音で高効率の圧縮機を提供することができる。
第2の発明は、第1の発明において、商用電源周波数未満の回転数を含む複数の運転周波数で運転するものであり、潤滑油の供給が不足しやすい低速回転時であっても、潤滑油が下レースの軌道輪に溜まり、保持性が向上するため、円滑な摺動を行うことが可能となる。
また、遠心力により潤滑油が上レースから飛散しやすい高速回転時においても、遠心力に沿った方向である主軸側から軌道輪に直接潤滑油を供給することで、潤滑油の安定した供給と、ボールのスムーズな転がりを両立する効果が得られるという格別の効果を奏する。
上記のように、一定回転数で運転を行う圧縮機と比較して、複数の回転数で運転を行うためにより給油状態が異なり、安定した給油が難しい圧縮機であっても、軌道輪に潤滑油を供給する本発明の構成では、潤滑油の保持性が向上し、かつ主軸側からの確実に軌道溝へ潤滑油の供給を行うことが可能となるので、より幅広い運転周波数で運転することが可能な圧縮機を提供することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、電動要素と圧縮要素とで構成された電動圧縮要素を支持用コイルバネによって弾性的に支持し、前記支持用コイルバネの密閉容器側には前記支持用コイルバネに挿入されるシェルスナブバーと、前記支持用コイルバネの前記電動圧縮要素側には前記電動圧縮要素に固定され前記支持用コイルバネに挿入されるスナブバーとを備え、シャフト下部と前記密閉容器内面との距離が、前記スナブバー下端と前記シェルスナブバーの上端の距離より大きく形成したものである。
これにより、輸送時等で密閉型圧縮機全体に大きな外力が作用した場合に、シャフト下部と密閉容器内面が接触する前にスナブバー下端とシェルスナブバーの上端が接触するので、潤滑油の吸い込み部を有するシャフト下部を保護することができる。そのため、シャフト下部の破損によるシャフトからの給油が阻害されることを防止できる。また、そのように輸送時等の大きな外力によりスナブバー下端とシェルスナブバーの上端が接触する瞬間には、シャフトや回転子の質量による慣性力がボールと上レース及び下レースの接触部に衝撃的に掛かる。その場合、従来のような平面のレースではボールとレースの接触部の面積が小さいために衝撃荷重が一部分に掛かってレースに打痕ができることでボールのスムーズな回転が妨げられ摺動時に騒音が増加する可能性があった。
しかし、本発明では環状の溝で形成された軌道輪とボールが接触しているので、ボールとレースの接触部の面積が大きく、衝撃荷重が広い接触面積で分散されるためレースに打痕が付きにくく、低騒音で効率の高い圧縮機を提供することができる。
従って、輸送時等の大きな外力に対してもシャフト下部の破損やレースの打痕を防ぐことができ、低騒音で高効率の圧縮機を提供することができる。
第4の発明は、第1から第3のいずれか1つの発明において、潤滑油の粘度がVG3〜VG8という低粘度の潤滑油を用いた場合でも、ボールベアリングの摺動部の油膜切れの発生を抑制することができる。
具体的には、潤滑油が遠心力によって飛散しやすい主軸受とシャフトとのスラスト面であっても、潤滑油が直接軌道輪に供給され、かつ下レースの軌道輪に溜まることで保持性が向上するため、円滑な摺動を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図、図3は、同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図である。
図1、図2、図3において、密閉容器101内には潤滑油102が貯溜され、固定子103と回転子104からなる電動要素105と、電動要素105によって駆動される圧縮要素106が収容される。シャフト110は、回転子104を固定した主軸部111と、主軸部111の上部に配設され主軸部111に対し偏心して形成された偏心軸部112を有している。
ブロック114は、略円筒形の圧縮室116を有し、主軸部111を軸支する主軸受120が固定されている。ピストン126は、ブロック114の圧縮室116に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部112との間を連結部128によって連結されている。
ブロック114の主軸受120は、主軸受120の軸心と略直角に環状に形成された下レース着座面130と、下レース着座面130よりさらに上方に延長され、主軸部111に対向する内面を有する軸受延出部144とを備えている。シャフト110を鉛直方向に支持するため、軸受延出部144の外側の下レース着座面130から上側に向かって、下レース136、複数のボール134とボール134を保持するホルダー部133、上レース135の順に配置している。
このように、主軸部111がシャフト110を鉛直方向に支持するスラスト面にスラストボールベアリング132を備えている。
上レース135は、シャフト110に設けられ主軸部111の軸心と略直角に設けられた上レース着座面131に着座している。
これらの下レース136、複数のボール134、ホルダー部133、上レース135により、スラストボールベアリング132が構成されている。このスラストボールベアリング132は上レース着座面131と下レース着座面130の間に設けられている。
さらに、下レース136、ホルダー部133は、軸受延出部144の外側にそれぞれ半径方向隙間182、183を確保して配置されている。
一方、上レース135は軸受延出部144の上端170のさらに上側に配設されている
上レース延出部135aを備えており、下レース着座面130からボール134の最上部までの距離(高さ)の方が、下レース着座面130から軸受延出部144の上端170までの距離(高さ)より長いため、その寸法差により、軸受延出部144の上端170と上レース135との間に所定の軸方向隙間146が形成されている。
上レース135のボール134側は平面で形成され、下レース136のボール134側には環状の溝で形成された軌道輪160が形成されている。ホルダー部133内に配置されたボール134のピッチ円直径D1と、下レース136の軌道輪160の溝の底部の直径D2はほぼ同じ寸法で形成されている。そのため、全てのボール134は軌道輪160の溝内に設置されており、軌道輪160の曲面に安定して接触している。
シャフト110は、主軸部111の下部から上部にまで潤滑油102を搬送する第1の給油経路150と、主軸部111の外周部に軸方向に延設され、一端が第1の給油経路150の上端に連通し、他端が上レース延出部135aの直下でかつ軸受延出部144の上端170に連通する平面状に形成された溝154を有している。
また、ホルダー部133と下レース136の間は軸方向隙間190が確保され、ホルダー部133と上レース135の間は軸方向隙間191が確保されている。
本発明の実施の形態においては、溝154、軸方向隙間146、190、191、半径方向隙間183で、第2の給油経路152が構成されている。この第2の給油経路152は、第1の給油経路150に連通し、スラストボールベアリング132の軌道輪160に潤滑油102を供給する。このような潤滑油の流れは、図2の矢印で示している。
また、本実施の形態において、密閉型圧縮機100に使用される冷媒は、オゾン破壊係数がゼロのR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒等であり、それぞれ相溶性の高い潤滑油102と組み合わせてある。
以上のように構成された密閉型圧縮機100について、以下その動作を説明する。
電動要素105の回転子104はシャフト110を回転させ、偏心軸部112の回転運動が連結部128を介してピストン126に伝えられることでピストン126は圧縮室116内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室116内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへと吐き出される。
シャフト110と回転子104の重量はスラストボールベアリング132で支えられるとともに、シャフト110の回転時はボール134が上レース135と下レース136の間で転がるために回転が滑らかになる。
このスラストボールベアリング132を用いることによって、シャフト110を回転させるトルクは、ボールを用いないスラストすべり軸受に比べて小さくなるため、スラスト

軸受での損失を小さくすることができる。従って、入力が低減して、高効率とすることができる。
密閉容器101内に貯溜された潤滑油102は、シャフト110の回転により生じる遠心力により、シャフト110に設けられた第1の給油経路150によって、主軸部111の下部から上部にまで汲み上げられる。
第1の給油経路150によって主軸部111の上部に搬送された潤滑油102は、第2
の給油経路152を介してスラストボールベアリング132へ供給される第1の流れと、第1の給油経路150の上端から偏心軸部112の上方へ供給される第2の流れに分配される。
この第1の流れは、軸受延出部144の上端と上レース135との間に所定の軸方向隙間146が形成されているために、図の矢印で示すようにこの軸方向隙間146を介して半径方向に流れてスラストボールベアリング132に向かう流れとなる。
この際、軸受延出部144の上端より上方部には上レース延出部135aが形成されているので、上レース135よりも上方に潤滑油が飛散することなく、上レース延出部135aの直下に形成された第2の給油経路152である軸方向隙間146を介して確実にボール134へと供給される。
軸方向隙間146から流出した潤滑油102の一部は直接ボール134表面に供給され、また、潤滑油102の一部はボール134とホルダー部133の隙間や、ホルダー部133と軸受延出部144との半径方向隙間183を介して下レース136の上面にも供給される。下レース136の上面に供給された潤滑油102の一部は、溝で形成された軌道輪160内に溜まる。
軌道輪160内に潤滑油102が溜まっているので、下レース136の軌道輪160とボール134の接触部は安定して潤滑油102で満たされる。また、潤滑油102が溜まった下レース136の軌道輪160をボール134が転がることで、潤滑油102はボール134の表面に安定して供給されるため、上レース135とボール134の接触部にも潤滑油102が安定的に供給される。
また、ボール134は下レース136の軌道輪160に案内されて軌道輪160に沿って転がるため、ボール134の回転は安定する。
従って、ボール134と上レース135および下レース136への潤滑油102の安定した供給と、ボール134のスムーズな転がりを両立して、低騒音で高効率にすることができる。
また、上レースと下レースの両方に軌道輪が形成されている場合と比較すると、上レース135には軌道輪がなく、下レース136のみに軌道輪がある本実施の形態の構成では、上レースの軌道輪の軸心と下レースの軌道輪の軸心を合わせるための加工精度や組立て精度が必要ではなく、製造が容易になる。
本発明ではシャフト110から軌道輪160に直接給油ができるため、潤滑油102の供給が不足しやすい20r/s以下の低速回転時において、改善効果が大きい。
また、70r/s以上の高速回転時においては、スラストボールベアリング132の外側からの跳ね掛け給油では潤滑油102が遠心力により飛散して軌道輪160に供給されにくいが、本発明ではスラストボールベアリング132の内側すなわち主軸に形成された第1の給油経路150側から第2の給油経路によって軌道輪160に確実に給油するので給油が安定し、改善効果が大きい。
本実施の形態においては、運転回転数範囲を17r/sから80r/sに設定しており、この運転回転数範囲で良好な効率や騒音特性が得られる。
また、ボール134と上レース135あるいは下レース136の接触部の油膜が切れや
すいVG3からVG8のような低粘度の潤滑油102においても、潤滑油が遠心力によって飛散しやすい主軸受とシャフトとのスラスト面であっても、潤滑油が直接軌道輪に供給され、かつ下レースの軌道輪に溜まることで接触部の油膜切れを抑制し、円滑な摺動を行うことが可能となる。
本発明により得られる効果は顕著であり、改善効果が大きい。
尚、本実施の形態においては、スラストボールベアリング132の軌道輪160への潤滑油102の供給は、溝154、軸方向隙間146、190、191、半径方向隙間183で構成される第2の給油経路152からを主として説明したが、シャフト110からの供給方法であれば、他の形態であっても第2の給油経路を形成することができ、下レース136の軌道輪160へ潤滑油102を供給できれば、同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図、図5は、同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図、図6は、同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図である。
図4、図5、図6において、密閉容器201内には潤滑油202が貯溜され、固定子203と回転子204からなる電動要素205と、電動要素205によって駆動される圧縮要素206が収容される。シャフト210は、回転子204を固定した主軸部211と、主軸部211の上部に配設され主軸部211に対し偏心して形成された偏心軸部212を有している。
ブロック214は、略円筒形の圧縮室216を有し、主軸部211を軸支する主軸受220が固定されている。ピストン226は、ブロック214の圧縮室216に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部212との間を連結部228によって連結されている。
ブロック214の主軸受220は、主軸受220の軸心と略直角に環状に形成された下レース着座面230と、下レース着座面230よりさらに上方に延長され、主軸部211に対向する内面を有する軸受延出部244とを備えている。シャフト210を鉛直方向に支持するため、軸受延出部244の外側の下レース着座面230から上側に向かって、下レース236、複数のボール234とボール234を保持するホルダー部233、上レース235の順に配置している。
上レース235は、シャフト210に設けられ主軸部211の軸心と略直角に設けられた上レース着座面231に着座している。
これらの下レース236、複数のボール234、ホルダー部233、上レース235により、スラストボールベアリング232が構成されている。このスラストボールベアリング232は上レース着座面231と下レース着座面230の間に設けられている。
さらに、下レース236、ホルダー部233は、軸受延出部144の外側にそれぞれ半径方向隙間282、283を確保して配置されている。
一方、上レース235は軸受延出部244の上端270のさらに上側に配設されている上レース延出部235aを備えており、下レース着座面230からボール234の最上部までの距離(高さ)の方が、下レース着座面230から軸受延出部244の上端270までの距離(高さ)より長いため、その寸法差により、軸受延出部244の上端270と上レース235との間に所定の軸方向隙間246が形成されている。
上レース235のボール234側には環状の溝で形成された軌道輪260が設けられ、下レース236のボール234側にも環状の溝で形成された軌道輪261が設けられている。ホルダー部233内に配置されたボール234のピッチ円直径D4と、上レース235の軌道輪260の溝の底部の直径D5と、下レース236の軌道輪261の溝の底部の直径D6は、ほぼ同じに形成されている。そのため、全てのボール234は軌道輪260、261の溝内に設置されており、軌道輪260、261の曲面に安定して接触している。
シャフト210は、主軸部211の下部から上部にまで潤滑油202を搬送する第1の給油経路250と、主軸部211の外周部に軸方向に延設され、一端が第1の給油経路250の上端に連通し、他端が上レース延出部235aの直下でかつ軸受延出部244の上端270に連通する平面状に形成された溝254を有している。
また、ホルダー部233と下レース236の間は軸方向隙間290が確保され、ホルダー部233と上レース235の間は軸方向隙間291が確保されている。
電動要素205と圧縮要素206とで構成された電動圧縮要素272は支持用コイルバネ273によって弾性的に支持されている。支持用コイルバネ273の密閉容器201側にはシェルスナブバー274が支持用コイルバネ273に挿入されている。シェルスナブバー274は密閉容器201に固定されている。
支持用コイルバネ273の電動圧縮要素272側には、スナブバー275が支持用コイルバネ273に挿入されている。スナブバー275は、電動圧縮要素272に固定されている。
シャフト210下部と密閉容器201内面との距離Aは、スナブバー275下端とシェルスナブバー274の上端の距離Bより大きく形成されている。
また、本実施の形態において、密閉型圧縮機200に使用される冷媒は、オゾン破壊係数がゼロのR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒等であり、それぞれ相溶性の高い潤滑油202と組み合わせている。
以上のように構成された密閉型圧縮機200について、以下その動作を説明する。
電動要素205の回転子204はシャフト210を回転させ、偏心軸部212の回転運動が連結部228を介してピストン226に伝えられることでピストン226は圧縮室216内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室216内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへと吐き出される。
シャフト210と回転子204の重量はスラストボールベアリング232で支えられるとともに、シャフト210の回転時はボール234が上レース235と下レース236の間で転がるために回転が滑らかになる。
このスラストボールベアリング232を用いることによって、シャフト210を回転させるトルクは、ボールを用いないスラストすべり軸受に比べて小さくなるため、スラスト軸受での損失を小さくすることができる。従って、入力が低減して、高効率とすることができる。
密閉容器201内に貯溜された潤滑油202は、シャフト210の回転により生じる遠心力により、シャフト210に設けられた第1の給油経路250によって、主軸部211
の下部から上部にまで汲み上げられる。
第1の給油経路250によって主軸部211の上部に搬送された潤滑油202は、第2の給油経路252である溝254を介してスラストボールベアリング232へ供給される第1の流れと、第1の給油経路250の上端から偏心軸部212の上方へ供給される第2の流れに分配される。
この第1の流れは、軸受延出部244の上端と上レース235との間に所定の軸方向隙間246が形成されているために、この軸方向隙間246を介して半径方向に流れてスラストボールベアリング232に向かう流れとなる。
この際、軸受延出部244の上端より上方部には上レース延出部235aが形成されているので、上レース235よりも上方に潤滑油が飛散することなく、上レース延出部235aの直下に形成された第2の給油経路252である軸方向隙間246を介して確実にボール234へと供給される。
軸方向隙間246から流出した潤滑油202の一部は直接ボール234表面に供給され、また、潤滑油202の一部はボール234とホルダー部233の隙間や、ホルダー部233と軸受延出部244との半径方向隙間283を介して下レース236の上面にも供給される。下レース236の上面に供給された潤滑油202の一部は、溝で形成された軌道輪260内に溜まる。
軌道輪260内に潤滑油202が溜まっているので、下レース236の軌道輪261とボール234の接触部は安定して潤滑油202で満たされる。また、潤滑油202が溜まった下レース236の軌道輪261をボール234が転がることで、潤滑油202はボール234の表面に安定して供給されるため、上レース235の軌道輪260とボール234の接触部にも潤滑油202が安定的に供給される。
また、ボール234は、上レース235の軌道輪260と下レース236の軌道輪261に案内されて軌道輪260、261に沿って転がるため、ボール234の回転は安定する。
従って、ボール234と上レース235および下レース236への潤滑油202の安定した供給と、ボール234のスムーズな転がりを両立して、低騒音で高効率にすることができる。
また、輸送時等で密閉型圧縮機200全体に大きな外力が作用した場合に、シャフト210下部と密閉容器201内面が接触する前にスナブバー275下端とシェルスナブバー274の上端が接触するので、潤滑油202の吸い込み部を有するシャフト210下部を保護することができる。そのため、シャフト210下部の破損によるシャフト210からの給油が阻害されることを防止できる。
さらに、そのように輸送時等の大きな外力によりスナブバー275下端とシェルスナブバー274の上端が接触する瞬間には、シャフト210や回転子204の質量による慣性力が、ボール234と上レース235及び下レース236の接触部に衝撃的に掛かる。その場合、従来のような平面のレースではボールとレースの接触部の面積が小さいために衝撃荷重が一部分に掛かってレースに打痕ができる可能性があった。
しかし、本発明では環状の溝で形成された軌道輪260、261とボール234が接触しているので、ボール234と上レース235及び下レース236の接触部の面積が大き
く、衝撃荷重が広い接触面積で分散されるため上レース235及び下レース236に打痕が付きにくい。
従って、輸送時等の大きな外力に対してもシャフト210下部の破損や上レース235及び下レース236の打痕を防ぐことができる。
本発明ではシャフト210から軌道輪260、261に直接給油ができるため、潤滑油202の供給が不足しやすい20r/s以下の低速回転時であっても、確実に軌道輪に給油を行うことができ、低回転であっても摺動損失が少なく省エネルギーの圧縮機を提供することが可能となる。本発明によると運転回転数範囲を17r/sとした場合でも良好な潤滑状態が実現できることを確認した。
また、70r/s以上の高速回転時においては、スラストボールベアリング232の外側からの跳ね掛け給油では潤滑油202が遠心力により飛散して軌道輪260、261に供給されにくく、さらに供給された場合でも遠心力によって飛散しやすいが、本発明ではスラストボールベアリング232の内側から軌道輪260に給油するので給油が安定し、潤滑油202の保持性も高いため、省エネルギーの改善効果が大きい。本発明によると80r/sであっても、良好な潤滑状態が実現できることを確認した。 本実施の形態においては、運転回転数範囲を17r/sから80r/sに設定しており、この運転回転数範囲で良好な効率や騒音特性が得られる。
また、ボール234と上レース235あるいは下レース236の接触部の油膜が切れやすいVG3からVG8のような低粘度の潤滑油202において、本発明により得られる効果は顕著であり、改善効果が大きい。
尚、本実施の形態においては、スラストボールベアリング232の軌道輪260、261への潤滑油202の供給は、溝254、軸方向隙間246、290、291、半径方向隙間283で構成される第2の給油経路252からを主として説明したが、シャフト210からの他の供給方法でも軌道輪260、261へ潤滑油202を供給できれば、同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図、図8、図9は、同実施の形態におけるスラストボールベアリングの要部拡大図、図10は、同実施の形態におけるスラストボールベアリングの分解斜視図である。
図7、図8、図9、図10において、密閉容器301内には潤滑油302が貯溜され、固定子303と回転子304からなる電動要素305と、電動要素305によって駆動される圧縮要素306が収容される。シャフト310は、回転子304を固定した主軸部311と、主軸部311の上部に配設され主軸部311に対し偏心して形成された偏心軸部312を有している。
ブロック314は、略円筒形の圧縮室316を有し、主軸部311を軸支する主軸受320が固定されている。ピストン326は、ブロック314の圧縮室316に往復摺動自在に挿入され、偏心軸部312との間を連結部328によって連結されている。
ブロック314の主軸受320は、主軸受320の軸心と略直角に環状に形成された下レース着座面330を備えている。シャフト310を鉛直方向に支持するため、下レース着座面330から上側に向かって、下レース336、複数のボール334とボール334を保持するホルダー部333、上レース335の順に配置している。
上レース335は、シャフト310に設けられ主軸部311の軸心と略直角に設けられた上レース着座面331に着座している。
これらの下レース336、複数のボール334、ホルダー部333、上レース335により、スラストボールベアリング332が構成されている。このスラストボールベアリング332は上レース着座面331と下レース着座面330の間に設けられている。
さらに、下レース336、ホルダー部333は、シャフト310の主軸部311の外側にそれぞれ半径方向隙間382、383を確保して配置されている。
上レース335のボール334側には環状の溝で形成された軌道輪360が設けられ、下レース336のボール334側にも環状の溝で形成された軌道輪361が設けられている。ホルダー部333内に配置されたボール334のピッチ円直径D7と、上レース335の軌道輪360の溝の底部の直径D8と、下レース236の軌道輪261の溝の底部の直径D9は、ほぼ同じに形成されている。そのため、全てのボール334は軌道輪360、361の溝内に設置されており、軌道輪360、361の曲面に安定して接触している。
シャフト310は、主軸部311の下部から上部にまで潤滑油302を搬送する第1の給油経路350を有している。また、第1の給油経路350から下レース着座面330に微小な面積の給油連通部380が連通している。
また、ホルダー部333と下レース336の間は軸方向隙間390が確保され、ホルダー部333と上レース335の間は軸方向隙間391が確保されている。
本発明の実施の形態においては、給油連通部380、半径方向隙間382、383、軸方向隙間390、391で、第2の給油経路352が構成されている。この第2の給油経路352は、第1の給油経路350に連通し、スラストボールベアリング332の軌道輪360、361に潤滑油302を供給する。また、半径方向隙間383の距離Gは、軸方向隙間390の距離Hより大きく構成されている。
下レース着座面330は周りから窪んだ部分に形成され、下レース着座面330の周りの段差の上端385は下レース336の上面よりもわずかに高い位置に形成されている。
電動要素305と圧縮要素306とで構成された電動圧縮要素372は支持用コイルバネ373によって弾性的に支持されている。支持用コイルバネ373の密閉容器301側にはシェルスナブバー374が支持用コイルバネ373に挿入されている。シェルスナブバー374は密閉容器301に固定されている。
支持用コイルバネ373の電動圧縮要素372側には、スナブバー375が支持用コイルバネ373に挿入されている。スナブバー375は、電動圧縮要素372に固定されている。
シャフト310下部と密閉容器301内面との距離Eは、スナブバー375下端とシェルスナブバー374の上端の距離Fより大きく形成されている。
また、本実施の形態において、密閉型圧縮機300に使用される冷媒は、オゾン破壊係数がゼロのR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒等であり、それぞれ相溶性の高い潤滑油302と組み合わせてある。
以上のように構成された密閉型圧縮機300について、以下その動作を説明する。
電動要素305の回転子304はシャフト310を回転させ、偏心軸部312の回転運動が連結部328を介してピストン326に伝えられることでピストン326は圧縮室316内を往復運動する。それにより、冷媒は冷却システム(図示せず)から圧縮室316内へ吸入、圧縮された後、再び冷却システムへと吐き出される。
シャフト310と回転子304の重量はスラストボールベアリング332で支えられるとともに、シャフト310の回転時はボール334が上レース335と下レース336の間で転がるために回転が滑らかになる。
このスラストボールベアリング332を用いることによって、シャフト310を回転させるトルクは、ボールを用いないスラストすべり軸受に比べて小さくなるため、スラスト軸受での損失を小さくすることができる。従って、入力が低減して、高効率とすることができる。
密閉容器301内に貯溜された潤滑油302は、シャフト310の回転により生じる遠心力により、シャフト310に設けられた第1の給油経路350によって、主軸部311の下部から上部にまで汲み上げられる。
第1の給油経路350によって主軸部311の上部に搬送された潤滑油302は、下レース着座面330に連通する第2の給油経路352としての給油連通部380を介してスラストボールベアリング332へ供給される第1の流れと、第1の給油経路350の上端から偏心軸部312の上方へ供給される第2の流れに分配される。
この第1の流れは、半径方向隙間382、383や軸方向隙間390、391を介して下レース336、ボール334、上レース335に向かう流れとなり、それぞれに供給される。このとき、半径方向隙間383の距離Gは、軸方向隙間390の距離Hより大きく構成されているため、流れの抵抗の少ない半径方向隙間383に潤滑油302が流れやすくなる。この作用によって、本来重力によって供給されにくい上レース335側にも潤滑油302が供給されやすくなる。
また、下レース336に供給された潤滑油302の一部は、溝で形成された軌道輪361内に溜まる。軌道輪361内に潤滑油302が溜まっているので、下レース336の軌道輪361とボール334の接触部は安定して潤滑油302で満たされる。また、潤滑油302が溜まった下レース336の軌道輪361をボール334が転がることで、潤滑油302はボール334の表面に安定して供給されるため、上レース335の軌道輪360とボール334の接触部にも潤滑油302が安定的に供給される。
また、下レース着座面330の周りの段差の上端385は、下レース336の上面よりもわずかに高い位置に形成されているため、潤滑油302が下レース336の上面まで溜まり易く、軌道輪361への給油が安定する。
また、ボール334は、上レース335の軌道輪360と下レース336の軌道輪361に案内されて軌道輪360、361に沿って転がるため、ボール334の回転は安定する。
従って、ボール334と上レース335および下レース336への潤滑油302の安定した供給と、ボール334のスムーズな転がりを両立して、低騒音で高効率にすることが
できる。
また、輸送時等で密閉型圧縮機300全体に大きな外力が作用した場合に、シャフト310下部と密閉容器301内面が接触する前にスナブバー375下端とシェルスナブバー374の上端が接触するので、潤滑油302の吸い込み部を有するシャフト310下部を保護することができる。そのため、シャフト310下部の破損によるシャフト310からの給油が阻害されることを防止できる。
さらに、そのように輸送時等の大きな外力によりスナブバー375下端とシェルスナブバー374の上端が接触する瞬間には、シャフト310や回転子304の質量による慣性力が、ボール334と上レース335及び下レース336の接触部に衝撃的に掛かる。その場合、従来のような平面のレースではボールとレースの接触部の面積が小さいために衝撃荷重が一部分に掛かってレースに打痕ができる可能性があった。
このように打痕ができた場合には、ボールのスムーズな回転が妨げられ摺動時に騒音が増加する可能性があったが、本発明では環状の溝で形成された軌道輪とボールが接触しているので、ボールとレースの接触部の面積が大きく、衝撃荷重が広い接触面積で分散されるためレースに打痕が付きにくく、低騒音で効率の高い圧縮機を提供することができる。
しかし、本発明では環状の溝で形成された軌道輪360、361とボール334が接触しているので、ボール334と上レース335及び下レース336の接触部の面積が大きく、衝撃荷重が広い接触面積で分散されるため上レース335及び下レース336に打痕が付きにくい。
従って、輸送時等の大きな外力に対してもシャフト310下部の破損や上レース335及び下レース336の打痕を防ぐことができる。
本発明ではシャフト310から軌道輪360に直接給油ができるため、潤滑油302の供給が不足しやすい20r/s以下の低速回転時において、改善効果が大きい。
また、70r/s以上の高速回転時においては、スラストボールベアリング332の外側からの跳ね掛け給油では潤滑油302が遠心力により飛散して軌道輪360、361に供給されにくいが、本発明ではスラストボールベアリング332の内側から軌道輪360、361に給油するので給油が安定し、改善効果が大きい。
本実施の形態においては、運転回転数範囲を17r/sから80r/sに設定しており、この運転回転数範囲で良好な効率や騒音特性が得られる。
また、ボール334と上レース335あるいは下レース336の接触部の油膜が切れやすいVG3からVG8のような低粘度の潤滑油302において、本発明により得られる効果は顕著であり、改善効果が大きい。
尚、本実施の形態においては、スラストボールベアリング332への潤滑油302の供給は、給油連通部380からを主として説明したが、シャフト310からの他の供給方法でも下レース336の軌道輪360へ潤滑油302を供給できれば、同様の効果が得られる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、スラストボールベアリングの騒音低下や効率向上が可能となるので、冷蔵庫以外に自販機や空調機器の用途にも適用できる。
100、200、300 密閉型圧縮機
101、201、301 密閉容器
102、202、302 潤滑油
103、203、303 固定子
104、204、304 回転子
105、205、305 電動要素
106、206、306 圧縮要素
110、210、310 シャフト
111、211、311 主軸部
112、212、312 偏心軸部
114、214、314 ブロック
116、216、316 圧縮室
120、220、320 主軸受
126、226、326 ピストン
128、228、328 連結部
130、230、330 下レース着座面
131、231、331 上レース着座面
132、232、332 スラストボールベアリング
133、233、333 ホルダー部
134、234、334 ボール
135、235、335 上レース
136、236、336 下レース
150、250、350 第1の給油経路
152、252、352 第2の給油経路
160、260、261、360、361 軌道輪
272、372 電動圧縮要素
273、373 支持用コイルバネ
274、374 シェルスナブバー
275、375 スナブバー

Claims (4)

  1. 密閉容器内に、固定子と回転子を備える電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素と、前記圧縮要素を潤滑する潤滑油とを備え、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部とを有するシャフトと、圧縮室を備えたブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結部と、前記ブロックに設けられ前記主軸部を軸支する主軸受と、前記主軸部の下部から上部にまで前記潤滑油を搬送する第1の給油経路と、前記シャフトに設けられ前記主軸部の軸心と略直角に設けられた上レース着座面と、前記主軸受に設けられ前記主軸受の軸心と略直角に設けられた下レース着座面と、前記上レース着座面と前記下レース着座面の間に設けられたスラストボールベアリングとを備え、前記スラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、前記ボールの上下にそれぞれ配設された上レースおよび下レースとを備え、前記上レースと前記下レースの少なくとも一方の前記ボール側に環状の溝で形成された軌道輪を有し、前記第1の給油経路に連通し前記スラストボールベアリングの前記軌道輪に前記潤滑油を供給する第2の給油経路を備えた密閉型圧縮機。
  2. 商用電源周波数未満の回転数を含む複数の運転周波数で運転する請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 電動要素と圧縮要素とで構成された電動圧縮要素を支持用コイルバネによって弾性的に支持し、前記支持用コイルバネの密閉容器側には前記支持用コイルバネに挿入されるシェルスナブバーと、前記支持用コイルバネの前記電動圧縮要素側には前記電動圧縮要素に固定され前記支持用コイルバネに挿入されるスナブバーとを備え、シャフト下部と前記密閉容器内面との距離が、前記スナブバー下端と前記シェルスナブバーの上端の距離より大きく形成した請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 潤滑油の粘度がVG3〜VG8である請求項1から3のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
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