JP2005348919A - ガイドワイヤー - Google Patents
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Abstract
【課題】挿入性とトルク伝達性に優れ、永久歪みを生じにくく、トラップされにくいガイドワイヤーを提供する。
【解決手段】先端及び基端を有し、芯線及び先端側に取り付けられたコイル部分を有するガイドワイヤーであって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1〜3倍であり、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成することを特徴とするガイドワイヤー。
【選択図】図1
【解決手段】先端及び基端を有し、芯線及び先端側に取り付けられたコイル部分を有するガイドワイヤーであって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1〜3倍であり、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成することを特徴とするガイドワイヤー。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガイドワイヤーに関する。さらに詳しくは、本発明は、挿入性とトルク伝達性に優れ、永久歪みを生じにくく、トラップされにくいガイドワイヤーに関する。
経皮的冠動脈形成術(PTCA)、ステント植え込み術などの治療や、心臓血管造影などの検査においては、カテーテルが血管内の所定位置まで挿入される。カテーテルは柔軟な材質で形成されており、カテーテルを挿入する血管は複雑な形状に屈曲しているので、カテーテルのみでは、血管内の所定位置まで押し込むことは困難である。そのために、血管内にガイドワイヤーを挿入し、そのガイドワイヤーに沿ってカテーテルを血管内の所定位置まで押し進めることが行われている。
ガイドワイヤーには、押し込み抵抗が少なく、血管などを傷つけることなく、ガイドワイヤーを容易に前進させることができる挿入性、手元側の回転力が先端まで伝わりやすく、血管の分岐選択で、狙いの血管に前進させることができるトルク伝達性、使用時に血管の湾曲箇所の通過による変形で永久ひずみを起さず、先の屈曲分岐を選択しやすい低永久ひずみ性、先端側の摩擦係数が小さく、表面が平滑で、ステントストラットなどに引っかかりにくい非トラップ性などの特性が要求される。
従来より、ステンレス鋼線のガイドワイヤーが多く用いられてきた。ガイドワイヤーは、屈曲した血管の中を、内壁を傷つけないように押し進めなければならない。このために、先端部の外径が基端部の外径より小さい芯線を用い、芯線の先端部がコイルばねにより覆われたガイドワイヤーが使用されている。先端部において、芯線の外径の小さい部分をコイルばねで覆うことにより、先端部の可撓性が増して、屈曲した血管内での進行が容易となり、基端部の芯線の外径の大きい部分は、剛性が高く、挿入性が向上する。
図4は、従来のガイドワイヤーの一例の側面図である。この例のガイドワイヤーは、SUS304からなる外径0.3556mm(0.014インチ)の芯線1が、先端部7において外径が小さくなり、SUS316のコイルばね8により覆われている。このガイドワイヤーは、挿入性は良好であるが、強い血管の湾曲箇所では、トルクが伝わりにくく、また、塑性変形を生じて以後の操作が困難になり、鋭角のステントストラットに食い込みやすい。
図5は、従来のガイドワイヤーの他の例の側面図である。この例のガイドワイヤーは、SUS304からなる外径0.3556mm(0.014インチ)の芯線9に、接合部10においてNiTi超弾性合金からなる外径が小さくなる先端部11が接合され、該先端部がSUS316のコイルばね8により覆われている。このガイドワイヤーは、トルク伝達性と低永久歪み性は比較的良好であるが、ガイドワイヤーの硬さが接合部において急変するために使いづらく、鋭角のステントストラットに食い込みやすい。
図6は、従来のガイドワイヤーの他の例の側面図である。この例のガイドワイヤーは、NiTi超弾性合金からなる外径0.3556mm(0.014インチ)の芯線12が、先端部13において外径が小さくなり、SUS316のコイルばね8により覆われている。このガイドワイヤーは、トルク伝達性と低永久歪み性は比較的良好であるが、基端部が弱く、硬いデバイスに挿入するときに腰砕けが生じ、また、鋭角のステントストラットに食い込みやすい。
ガイドワイヤーには、押し込み抵抗が少なく、血管などを傷つけることなく、ガイドワイヤーを容易に前進させることができる挿入性、手元側の回転力が先端まで伝わりやすく、血管の分岐選択で、狙いの血管に前進させることができるトルク伝達性、使用時に血管の湾曲箇所の通過による変形で永久ひずみを起さず、先の屈曲分岐を選択しやすい低永久ひずみ性、先端側の摩擦係数が小さく、表面が平滑で、ステントストラットなどに引っかかりにくい非トラップ性などの特性が要求される。
従来より、ステンレス鋼線のガイドワイヤーが多く用いられてきた。ガイドワイヤーは、屈曲した血管の中を、内壁を傷つけないように押し進めなければならない。このために、先端部の外径が基端部の外径より小さい芯線を用い、芯線の先端部がコイルばねにより覆われたガイドワイヤーが使用されている。先端部において、芯線の外径の小さい部分をコイルばねで覆うことにより、先端部の可撓性が増して、屈曲した血管内での進行が容易となり、基端部の芯線の外径の大きい部分は、剛性が高く、挿入性が向上する。
図4は、従来のガイドワイヤーの一例の側面図である。この例のガイドワイヤーは、SUS304からなる外径0.3556mm(0.014インチ)の芯線1が、先端部7において外径が小さくなり、SUS316のコイルばね8により覆われている。このガイドワイヤーは、挿入性は良好であるが、強い血管の湾曲箇所では、トルクが伝わりにくく、また、塑性変形を生じて以後の操作が困難になり、鋭角のステントストラットに食い込みやすい。
図5は、従来のガイドワイヤーの他の例の側面図である。この例のガイドワイヤーは、SUS304からなる外径0.3556mm(0.014インチ)の芯線9に、接合部10においてNiTi超弾性合金からなる外径が小さくなる先端部11が接合され、該先端部がSUS316のコイルばね8により覆われている。このガイドワイヤーは、トルク伝達性と低永久歪み性は比較的良好であるが、ガイドワイヤーの硬さが接合部において急変するために使いづらく、鋭角のステントストラットに食い込みやすい。
図6は、従来のガイドワイヤーの他の例の側面図である。この例のガイドワイヤーは、NiTi超弾性合金からなる外径0.3556mm(0.014インチ)の芯線12が、先端部13において外径が小さくなり、SUS316のコイルばね8により覆われている。このガイドワイヤーは、トルク伝達性と低永久歪み性は比較的良好であるが、基端部が弱く、硬いデバイスに挿入するときに腰砕けが生じ、また、鋭角のステントストラットに食い込みやすい。
本発明は、挿入性とトルク伝達性に優れ、永久歪みを生じにくく、トラップされにくいガイドワイヤーを提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、芯線の先端部の外径を細くしてコイルを取り付け、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーを充填し、コイル部分の表面を平滑面とすることにより、湾曲の強い血管の通過性がよく、永久変形しにくく、押し込みやすく、トラップされにくいガイドワイヤーが得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)先端及び基端を有し、芯線及び先端側に取り付けられたコイル部分を有するガイドワイヤーであって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1〜3倍であり、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成することを特徴とするガイドワイヤー、
(2)先端から1〜50cmの芯線が、外径100μm以下の部分を有する(1)記載のガイドワイヤー、
(3)先端から1〜30cmの芯線が、外径50μm以下の部分を有する(2)記載のガイドワイヤー、
(4)先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径が30μm以下である(1)記載のガイドワイヤー、
(5)先端から0〜50cmの表面が、親水性ポリマーで被覆されてなる(1)記載のガイドワイヤー、
(6)エラストマーが官能基を有し、親水性ポリマーとの間に化学的な結合を有する(5)記載のガイドワイヤー。
(7)コイル材料表面に、接着剤層を有する(1)記載のガイドワイヤー、
(8)先端から1〜50cmの芯線が、縦弾性係数220kN/mm2以上、伸び1.0%以上の弾性歪み特性を有する超高弾性合金からなり、かつ、先端に向かって細径化されてなる(1)記載のガイドワイヤー、
(9)超高弾性合金が、Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金であって、その原子分率が、CrとMoの合計が20〜40原子%、Niが20〜50原子%、Coが25〜45原子%である(8)記載のガイドワイヤー、及び、
(10)外径の最大寸法が、0.3048mm以下である(1)記載のガイドワイヤー、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(1)先端及び基端を有し、芯線及び先端側に取り付けられたコイル部分を有するガイドワイヤーであって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1〜3倍であり、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成することを特徴とするガイドワイヤー、
(2)先端から1〜50cmの芯線が、外径100μm以下の部分を有する(1)記載のガイドワイヤー、
(3)先端から1〜30cmの芯線が、外径50μm以下の部分を有する(2)記載のガイドワイヤー、
(4)先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径が30μm以下である(1)記載のガイドワイヤー、
(5)先端から0〜50cmの表面が、親水性ポリマーで被覆されてなる(1)記載のガイドワイヤー、
(6)エラストマーが官能基を有し、親水性ポリマーとの間に化学的な結合を有する(5)記載のガイドワイヤー。
(7)コイル材料表面に、接着剤層を有する(1)記載のガイドワイヤー、
(8)先端から1〜50cmの芯線が、縦弾性係数220kN/mm2以上、伸び1.0%以上の弾性歪み特性を有する超高弾性合金からなり、かつ、先端に向かって細径化されてなる(1)記載のガイドワイヤー、
(9)超高弾性合金が、Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金であって、その原子分率が、CrとMoの合計が20〜40原子%、Niが20〜50原子%、Coが25〜45原子%である(8)記載のガイドワイヤー、及び、
(10)外径の最大寸法が、0.3048mm以下である(1)記載のガイドワイヤー、
を提供するものである。
本発明のガイドワイヤーは、挿入性とトルク伝達性に優れ、永久歪みを生じにくく、トラップされにくいので、完全狭窄例やステント併用例で用いられるインターベンションに好適に適用することができる。
本発明のガイドワイヤーは、先端部及び基端部を有し、芯線及び先端側に取り付けられたコイル部分を有するガイドワイヤーであって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1〜3倍であり、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成する。
図1は、本発明のガイドワイヤーの一態様の芯線の側面図、先端側にコイルを取り付けた状態を示す側面図及びエラストマーを充填して完成した状態を示す側面図である。本態様のガイドワイヤーの芯線1は、先端2と基端3を有し、先端側にコイル4が取り付けられている。コイルのピッチpは、コイル材料の直径dの1.1〜3倍、より好ましくは1.2〜2倍である。コイルのピッチとは、コイルの中心線を含む断面で、コイルの中心線に平行に測定した互いに隣り合うコイル材料の中心距離である。また、コイル材料とは、コイルを形成する金属線である。したがって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1倍であるとき、隣り合うコイル材料間には0.1dの間隙が形成され、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの2倍であるとき、隣り合うコイル材料間にはdの間隙が形成される。コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1倍未満であると、コイル材料間へのエラストマーの充填量が少なくなり、ガイドワイヤーの低永久歪み性が不十分となるおそれがある。コイルのピッチpがコイル材料の直径dの3倍を超えると、コイルにより付与される弾性が不足して、ガイドワイヤーの挿入性が不良となるおそれがある。
図1は、本発明のガイドワイヤーの一態様の芯線の側面図、先端側にコイルを取り付けた状態を示す側面図及びエラストマーを充填して完成した状態を示す側面図である。本態様のガイドワイヤーの芯線1は、先端2と基端3を有し、先端側にコイル4が取り付けられている。コイルのピッチpは、コイル材料の直径dの1.1〜3倍、より好ましくは1.2〜2倍である。コイルのピッチとは、コイルの中心線を含む断面で、コイルの中心線に平行に測定した互いに隣り合うコイル材料の中心距離である。また、コイル材料とは、コイルを形成する金属線である。したがって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1倍であるとき、隣り合うコイル材料間には0.1dの間隙が形成され、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの2倍であるとき、隣り合うコイル材料間にはdの間隙が形成される。コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1倍未満であると、コイル材料間へのエラストマーの充填量が少なくなり、ガイドワイヤーの低永久歪み性が不十分となるおそれがある。コイルのピッチpがコイル材料の直径dの3倍を超えると、コイルにより付与される弾性が不足して、ガイドワイヤーの挿入性が不良となるおそれがある。
本発明のガイドワイヤーは、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成する。芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーを充填し、コイル部分の表面を平滑面とすることにより、ガイドワイヤーの先端部が適度な弾性を有し、かつ、滑らかになるので、ガイドワイヤーの挿入性が向上する。また、ガイドワイヤーの先端部が適度な弾性を有し、芯線とコイル材料の位置関係がエラストマーによって固定されるので、永久歪みが残りにくくなる。さらに、ガイドワイヤーの先端がステントストラットなどに引っかかりにくくなり、非トラップ性が向上する。
本発明に用いるエラストマーは、室温でゴム弾性を示す高分子物質であり、室温で外力を加えると2倍以上に伸び、外力を取り除くと瞬間的に元の形に戻ることが好ましい。このようなエラストマーとしては、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリエーテルエラストマー、ポリエステルエラストマー、フッ素系エラストマー、スチレン−イソプレンブロック共重合体、天然ゴム、合成ゴムなどを挙げることができる。
本発明において、コイル部分の表面が平滑面を構成するとは、コイル部分の外径の最小値がコイル部分の外径の最大値の90%以上であることを意味する。コイル部分の外径の最小値は、コイル部分の外径の最大値の95%以上であることがより好ましい。本発明のガイドワイヤーは、先端から基端までの外径がすべて同一であることがさらに好ましい。先端から基端までの外径をすべて同一とすることにより、挿入性と非トラップ性が向上する。本発明においては、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーを充填し、充填されたエラストマーの外径を基端部の芯線の外径と等しくすることにより、先端から基端までの外径がすべて同一であるガイドワイヤーを作製することができる。
本発明に用いるエラストマーは、室温でゴム弾性を示す高分子物質であり、室温で外力を加えると2倍以上に伸び、外力を取り除くと瞬間的に元の形に戻ることが好ましい。このようなエラストマーとしては、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリエーテルエラストマー、ポリエステルエラストマー、フッ素系エラストマー、スチレン−イソプレンブロック共重合体、天然ゴム、合成ゴムなどを挙げることができる。
本発明において、コイル部分の表面が平滑面を構成するとは、コイル部分の外径の最小値がコイル部分の外径の最大値の90%以上であることを意味する。コイル部分の外径の最小値は、コイル部分の外径の最大値の95%以上であることがより好ましい。本発明のガイドワイヤーは、先端から基端までの外径がすべて同一であることがさらに好ましい。先端から基端までの外径をすべて同一とすることにより、挿入性と非トラップ性が向上する。本発明においては、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーを充填し、充填されたエラストマーの外径を基端部の芯線の外径と等しくすることにより、先端から基端までの外径がすべて同一であるガイドワイヤーを作製することができる。
本発明のガイドワイヤーは、先端から1〜50cmの芯線が、外径100μm以下の部分を有することが好ましく、先端から1〜30cmの芯線が、外径50μm以下の部分を有することがより好ましい。ガイドワイヤーの先端部の芯線を細くすることにより、ガイドワイヤーの先端部の剛性を低下して柔軟性を付与し、挿入性と非トラップ性を向上することができる。
本発明のガイドワイヤーは、先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径を30μm以下とすることができる。先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径が30μm以下である芯線とすることにより、ガイドワイヤーの先端部の剛性を低下して柔軟性を付与し、挿入性と非トラップ性を向上することができる。撚線の形態に特に制限はなく、例えば、S撚り、Z撚り、普通S撚り、普通Z撚り、ラングS撚り、ラングZ撚りなどを挙げることができる。組物の形態に特に制限はなく、例えば、平打組物、丸打組物などを挙げることができる。
本発明のガイドワイヤーは、先端から0〜50cmの表面、より好ましくは先端から0〜30cmの表面が、親水性ポリマーにより被覆されてなることが好ましい。ガイドワイヤーの先端部を親水性ポリマーで被覆することにより、ガイドワイヤーの先端部に潤滑性が付与され、挿入性と非トラップ性が向上する。親水性ポリマーで被覆する方法に特に制限はなく、例えば、3官能性成分を含むポリエチレングリコールとジイソシアネート化合物との反応、ポリエチレングリコールと3官能性成分を含むポリイソシアネート化合物との反応、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合反応などにより、架橋構造を有する親水性ポリマーの被覆を形成することができる。
本発明のガイドワイヤーは、親水性ポリマーで被覆された先端部を除く部分が、摩擦抵抗の低いポリマーで被覆されてなることが好ましい。親水性ポリマーで被覆された先端部を除く部分を摩擦抵抗の低いポリマーで被覆することにより、ガイドワイヤーの挿入性とトルク伝達性を向上することができる。摩擦抵抗の低いポリマーとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンなどを挙げることができる。図1に示す態様のガイドワイヤーは、先端部が親水性ポリマー5で被覆され、親水性ポリマーで被覆された先端部を除く部分が摩擦抵抗の低いポリマー6で被覆されている。
本発明のガイドワイヤーは、先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径を30μm以下とすることができる。先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径が30μm以下である芯線とすることにより、ガイドワイヤーの先端部の剛性を低下して柔軟性を付与し、挿入性と非トラップ性を向上することができる。撚線の形態に特に制限はなく、例えば、S撚り、Z撚り、普通S撚り、普通Z撚り、ラングS撚り、ラングZ撚りなどを挙げることができる。組物の形態に特に制限はなく、例えば、平打組物、丸打組物などを挙げることができる。
本発明のガイドワイヤーは、先端から0〜50cmの表面、より好ましくは先端から0〜30cmの表面が、親水性ポリマーにより被覆されてなることが好ましい。ガイドワイヤーの先端部を親水性ポリマーで被覆することにより、ガイドワイヤーの先端部に潤滑性が付与され、挿入性と非トラップ性が向上する。親水性ポリマーで被覆する方法に特に制限はなく、例えば、3官能性成分を含むポリエチレングリコールとジイソシアネート化合物との反応、ポリエチレングリコールと3官能性成分を含むポリイソシアネート化合物との反応、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合反応などにより、架橋構造を有する親水性ポリマーの被覆を形成することができる。
本発明のガイドワイヤーは、親水性ポリマーで被覆された先端部を除く部分が、摩擦抵抗の低いポリマーで被覆されてなることが好ましい。親水性ポリマーで被覆された先端部を除く部分を摩擦抵抗の低いポリマーで被覆することにより、ガイドワイヤーの挿入性とトルク伝達性を向上することができる。摩擦抵抗の低いポリマーとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンなどを挙げることができる。図1に示す態様のガイドワイヤーは、先端部が親水性ポリマー5で被覆され、親水性ポリマーで被覆された先端部を除く部分が摩擦抵抗の低いポリマー6で被覆されている。
本発明のガイドワイヤーにおいては、コイル材料表面に接着剤層を有することが好ましい。コイル材料表面に接着剤層を設け、コイル材料とエラストマーの接着強度を高めることにより、ガイドワイヤーが血管の湾曲箇所を通過しても、コイル材料と充填されたエラストマーの剥離が生ずることがなく、良好な挿入性とトルク伝達性を維持し、永久歪みの発生を防ぐことができる。接着剤層を形成する接着剤の種類は、間隙に充填するエラストマーの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、エラストマーとしてシリコーンを用いる場合は、シランの縮合物を溶剤に溶解してコイル材料に塗布して乾燥することにより、コイル材料の表面に均一な接着剤層を形成し、シリコーンに対して強い接着性を有する表面とすることができる。
本発明のガイドワイヤーにおいては、官能基を有するエラストマーを芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙に充填し、表面を被覆する親水性ポリマーとの間に化学的結合を形成することができる。官能基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。エラストマーと親水性ポリマーとの間に化学的な結合を形成することにより、親水性ポリマーの接着強度を高め、親水性ポリマーの被覆の剥落を防止することができる。
本発明のガイドワイヤーにおいては、官能基を有するエラストマーを芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙に充填し、表面を被覆する親水性ポリマーとの間に化学的結合を形成することができる。官能基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。エラストマーと親水性ポリマーとの間に化学的な結合を形成することにより、親水性ポリマーの接着強度を高め、親水性ポリマーの被覆の剥落を防止することができる。
本発明のガイドワイヤーは、先端から1〜50cmの芯線、より好ましくは先端から2〜30cmの芯線を、縦弾性係数220kN/mm2以上、より好ましくは縦弾性係数240kN/mm2以上、伸び1.0%以上、より好ましくは伸び1.3%以上の超高弾性合金で形成し、かつ先端に向かって細径化した形状とすることができる。先端部の芯線を、先端に向かって細径化する超高弾性合金で形成することにより、トルク伝達性を向上し、永久歪みの発生を抑制することができる。
本発明において、先端部の芯線として用いる超高弾性合金は、Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金であって、その原子分率が、CrとMoの合計が20〜40原子%、Niが20〜50原子%、Coが25〜45原子%であることが好ましい。Cr、Ni、Mo及びCo以外の原子は、Mnが0.1〜5原子%、Tiが0.1〜5原子%、Alが0.1〜5原子%、Feが0.1〜5原子%、Nbが0.1〜3原子%、Ca、Ce、Y、ミッシュメタルなどが0.01〜1原子%であることが好ましい。Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金は、その高い弾性率から芯線を細くすることができ、永久歪みが残りにくいので好適に用いることができる。CrとMoの合計を20〜40原子%とすることにより、良好な耐食性と冷間加工性を得ることができる。Niを20〜50原子%とすることにより、高い機械的強度を得ることができる。Coを25〜45原子%とすることにより、良好な冷間加工性を得ることができる。
本発明において、先端部の芯線として用いる超高弾性合金は、Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金であって、その原子分率が、CrとMoの合計が20〜40原子%、Niが20〜50原子%、Coが25〜45原子%であることが好ましい。Cr、Ni、Mo及びCo以外の原子は、Mnが0.1〜5原子%、Tiが0.1〜5原子%、Alが0.1〜5原子%、Feが0.1〜5原子%、Nbが0.1〜3原子%、Ca、Ce、Y、ミッシュメタルなどが0.01〜1原子%であることが好ましい。Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金は、その高い弾性率から芯線を細くすることができ、永久歪みが残りにくいので好適に用いることができる。CrとMoの合計を20〜40原子%とすることにより、良好な耐食性と冷間加工性を得ることができる。Niを20〜50原子%とすることにより、高い機械的強度を得ることができる。Coを25〜45原子%とすることにより、良好な冷間加工性を得ることができる。
本発明において、超高弾性合金は、細長いロッドを加工度60%以上に冷間加工することが好ましく、加工度90%以上に冷間加工することがより好ましい。加工度が60%未満であると、析出硬化処理による強度及び硬度の向上が不十分となるおそれがある。冷間加工した超高弾性合金は、次いで、真空中又は非酸化性雰囲気中において、400〜600℃で析出硬化処理することが好ましい。析出硬化処理により、超高弾性合金の硬度をHv800程度に高めるとともに、均等に耐疲労性と高弾性を付与することができる。
本発明のガイドワイヤーは、外径の最大寸法が0.3048mm(0.012インチ)以下とすることができる。脳血管などの細い血管に施術する場合は、PTCAの場合よりも細いカテーテルが使用され、ガイドワイヤーも細いものが要求される。ガイドワイヤーの外径の最大寸法を0.3048mm以下とすることにより、1Fのカテーテルにも対応することができる。本発明のガイドワイヤーは、外径が0.3048mm以下としても、良好な挿入性とトルク伝達性を維持する。
本発明のガイドワイヤーは、外径の最大寸法が0.3048mm(0.012インチ)以下とすることができる。脳血管などの細い血管に施術する場合は、PTCAの場合よりも細いカテーテルが使用され、ガイドワイヤーも細いものが要求される。ガイドワイヤーの外径の最大寸法を0.3048mm以下とすることにより、1Fのカテーテルにも対応することができる。本発明のガイドワイヤーは、外径が0.3048mm以下としても、良好な挿入性とトルク伝達性を維持する。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、ガイドワイヤーの評価は下記の方法により行った。
(1)挿入性
図2に示す形状の長さ900mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、ガイドワイヤーを200mm/minの速度で挿入し、負荷値すなわち押し込み抵抗値をロードセルで読み取った。
(2)トルク伝達性
図3に示す人の冠状動脈を模倣したポリテトラフルオロエチレン製のモデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、モデル内にガイドワイヤーを挿入し、湾曲を与えた状態でガイドワイヤーの手元側を、モーターにより時計回り方向に720°回転させたときの先端側の回転の状態を観察した。
(3)永久歪み
半径10mmのロッドに先端部を1回巻き付け、25℃で24時間放置したのち解放し、先端の曲がり角度を測定した。
(4)非トラップ性
図2に示す形状の長さ900mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、ガイドワイヤーを挿入して手動により約10rpmの速度で回転させ、トラップの状態を評価した。
なお、実施例及び比較例において、ガイドワイヤーの評価は下記の方法により行った。
(1)挿入性
図2に示す形状の長さ900mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、ガイドワイヤーを200mm/minの速度で挿入し、負荷値すなわち押し込み抵抗値をロードセルで読み取った。
(2)トルク伝達性
図3に示す人の冠状動脈を模倣したポリテトラフルオロエチレン製のモデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、モデル内にガイドワイヤーを挿入し、湾曲を与えた状態でガイドワイヤーの手元側を、モーターにより時計回り方向に720°回転させたときの先端側の回転の状態を観察した。
(3)永久歪み
半径10mmのロッドに先端部を1回巻き付け、25℃で24時間放置したのち解放し、先端の曲がり角度を測定した。
(4)非トラップ性
図2に示す形状の長さ900mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、ガイドワイヤーを挿入して手動により約10rpmの速度で回転させ、トラップの状態を評価した。
実施例1
図1に示す全長1,400mm、外径344μmのガイドワイヤーを作製した。芯線の材質はSUS316であり、先端から20mmまで外径340μm、20〜250mmが外径90μm、250〜300mmが外径150μm、300mmから基端まで外径340μmとした。先端部のうち、先端から20〜40mmの部分に材料の直径60μm、ピッチ90μm、外径340μmのPt−Ir(原子分率93/7)合金のコイルばねを、先端から40〜300mmの部分に材料の直径60μm、ピッチ90μm、外径340μmのSUS316のコイルばねを装着した。
先端から20〜300mmの部分で、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にRTVシリコーンゴム[信越化学(株)、X−31−2059]を充填して硬化させ、外径340μmの円柱状に仕上げた。先端から0〜300mmの部分を、3官能性成分を含有するポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応により、厚さ2μmの架橋親水性ポリマーで被覆し、先端から300mmの位置より基端までを、厚さ2μmのポリテトラフルオロエチレンで被覆した。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.27Nと良好であった。トルク伝達性試験においても、先端側の回転は良好であった。また、永久歪み試験において、先端の曲がり角度は2°で良好であり、非トラップ性試験においても、トラップがなく良好であった。
実施例2
先端から20〜250mmの外径90μmの単線の代わりに、SUS316の素線12本S撚り、外径30μmの撚線を用いた以外は、実施例1と同様にしてガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.27Nと良好であった。トルク伝達性試験においても、先端側の回転は良好であった。永久歪み試験において、先端の曲がり角度は2°と良好であり、非トラップ性試験においても、トラップがなく良好であった。
実施例3
直径10mmの超高弾性合金の細長いロッドを常温にて加工度96.6%に加工して外径340μmとし、真空中で500℃に加熱して析出硬化処理を行い、縦弾性係数250kN/mm2、弾性伸び1.5%の芯線を得た。芯線として、SUS316の芯線の代わりにこの超高弾性合金の芯線を用い、先端から20mmまで外径340μm、20〜250mmが外径40μm、250〜300mmが外径100μm、300mmから基端まで外径340μmとした以外は、実施例1と同様にしてガイドワイヤーを作製し、評価を行った。なお、用いた超高弾性合金の原子分率は、Cr20.53原子%、Mo8.84原子%、Ni31.24原子%、Co36.42原子%、Mn0.43原子%、Ti0.62原子%、Al0.14原子%、Fe0.70原子%、Nb1.07原子%、ミッシュメタル0.01原子%である。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.25Nと良好であった。トルク伝達性試験においても、先端側の回転は良好であった。永久歪み試験において、先端の曲がり角度は1°と良好であり、非トラップ性試験においても、トラップがなく良好であった。
図1に示す全長1,400mm、外径344μmのガイドワイヤーを作製した。芯線の材質はSUS316であり、先端から20mmまで外径340μm、20〜250mmが外径90μm、250〜300mmが外径150μm、300mmから基端まで外径340μmとした。先端部のうち、先端から20〜40mmの部分に材料の直径60μm、ピッチ90μm、外径340μmのPt−Ir(原子分率93/7)合金のコイルばねを、先端から40〜300mmの部分に材料の直径60μm、ピッチ90μm、外径340μmのSUS316のコイルばねを装着した。
先端から20〜300mmの部分で、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にRTVシリコーンゴム[信越化学(株)、X−31−2059]を充填して硬化させ、外径340μmの円柱状に仕上げた。先端から0〜300mmの部分を、3官能性成分を含有するポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応により、厚さ2μmの架橋親水性ポリマーで被覆し、先端から300mmの位置より基端までを、厚さ2μmのポリテトラフルオロエチレンで被覆した。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.27Nと良好であった。トルク伝達性試験においても、先端側の回転は良好であった。また、永久歪み試験において、先端の曲がり角度は2°で良好であり、非トラップ性試験においても、トラップがなく良好であった。
実施例2
先端から20〜250mmの外径90μmの単線の代わりに、SUS316の素線12本S撚り、外径30μmの撚線を用いた以外は、実施例1と同様にしてガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.27Nと良好であった。トルク伝達性試験においても、先端側の回転は良好であった。永久歪み試験において、先端の曲がり角度は2°と良好であり、非トラップ性試験においても、トラップがなく良好であった。
実施例3
直径10mmの超高弾性合金の細長いロッドを常温にて加工度96.6%に加工して外径340μmとし、真空中で500℃に加熱して析出硬化処理を行い、縦弾性係数250kN/mm2、弾性伸び1.5%の芯線を得た。芯線として、SUS316の芯線の代わりにこの超高弾性合金の芯線を用い、先端から20mmまで外径340μm、20〜250mmが外径40μm、250〜300mmが外径100μm、300mmから基端まで外径340μmとした以外は、実施例1と同様にしてガイドワイヤーを作製し、評価を行った。なお、用いた超高弾性合金の原子分率は、Cr20.53原子%、Mo8.84原子%、Ni31.24原子%、Co36.42原子%、Mn0.43原子%、Ti0.62原子%、Al0.14原子%、Fe0.70原子%、Nb1.07原子%、ミッシュメタル0.01原子%である。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.25Nと良好であった。トルク伝達性試験においても、先端側の回転は良好であった。永久歪み試験において、先端の曲がり角度は1°と良好であり、非トラップ性試験においても、トラップがなく良好であった。
比較例1
図4に示す全長1,400mm、外径356μmのガイドワイヤーを作製した。芯線の材質はSUS304であり、先端から20mmまでを外径356μm、20〜250mmを外径90μm、250〜300mmを外径150μm、300mmから基端までを外径356μmとした。先端部のうち、先端から20〜300mmの部分に材料の直径60μm、ピッチ60μm、外径356μmのSUS316のコイルばねを装着し、コイルばねの部分を3官能性成分を含有するポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応により、厚さ2μmの架橋親水性ポリマーで被覆し、先端から300mmの位置より基端までを、厚さ2μmのポリテトラフルオロエチレンで被覆した。得られたガイドワイヤーについて、実施例1と同様にして評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.29Nと良好であったが、トルク伝達性試験においては、先端側の回転は不良であった。永久歪み試験においても、先端の曲がり角度は10°と不良であった。非トラップ性試験においても、すぐにトラップされてしまい不良であった。
比較例2
先端から20〜300mmの芯線の材質をTi−Ni系超弾性合金[日本タングステン(株)、メモワール]とし、先端から300mmの位置でSUS304の芯線と接合した以外は、比較例1と同様にして、ガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.51Nと不良であった。トルク伝達性試験において、先端側の回転はやや良好であった。永久歪み試験においても、先端の曲がり角度は1°と良好であったが、非トラップ性試験においては、挿入まもなくトラップされてしまい不良であった。
比較例3
芯線の材質として、SUS304の代わりに、Ti−Ni系超弾性合金[日本タングステン(株)、メモワール]を用いた以外は、比較例1と同様にして、ガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.54Nと不良であった。トルク伝達性試験において、先端側の回転は良好であり、永久歪み試験においても、先端の曲がり角度は1°と良好であったが、非トラップ性試験においては、挿入途中でトラップされてしまい不良であった。
実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を、第1表に示す。
図4に示す全長1,400mm、外径356μmのガイドワイヤーを作製した。芯線の材質はSUS304であり、先端から20mmまでを外径356μm、20〜250mmを外径90μm、250〜300mmを外径150μm、300mmから基端までを外径356μmとした。先端部のうち、先端から20〜300mmの部分に材料の直径60μm、ピッチ60μm、外径356μmのSUS316のコイルばねを装着し、コイルばねの部分を3官能性成分を含有するポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応により、厚さ2μmの架橋親水性ポリマーで被覆し、先端から300mmの位置より基端までを、厚さ2μmのポリテトラフルオロエチレンで被覆した。得られたガイドワイヤーについて、実施例1と同様にして評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.29Nと良好であったが、トルク伝達性試験においては、先端側の回転は不良であった。永久歪み試験においても、先端の曲がり角度は10°と不良であった。非トラップ性試験においても、すぐにトラップされてしまい不良であった。
比較例2
先端から20〜300mmの芯線の材質をTi−Ni系超弾性合金[日本タングステン(株)、メモワール]とし、先端から300mmの位置でSUS304の芯線と接合した以外は、比較例1と同様にして、ガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.51Nと不良であった。トルク伝達性試験において、先端側の回転はやや良好であった。永久歪み試験においても、先端の曲がり角度は1°と良好であったが、非トラップ性試験においては、挿入まもなくトラップされてしまい不良であった。
比較例3
芯線の材質として、SUS304の代わりに、Ti−Ni系超弾性合金[日本タングステン(株)、メモワール]を用いた以外は、比較例1と同様にして、ガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.54Nと不良であった。トルク伝達性試験において、先端側の回転は良好であり、永久歪み試験においても、先端の曲がり角度は1°と良好であったが、非トラップ性試験においては、挿入途中でトラップされてしまい不良であった。
実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を、第1表に示す。
第1表に見られるように、SUS316の芯線を用い、先端から20〜250mmの外径を90μm、250〜300mmの外径を150μmとした実施例1のガイドワイヤーは、挿入性、トルク伝達性、永久歪み及び非トラップ性のすべてが良好である。先端から20〜250mmの部分に外径30μmのSUS316の撚線を用いた実施例2のガイドワイヤーも、同様に良好な性能を有している。超高弾性合金の芯線を用い、先端から20〜250mmの外径を40μm、250〜300mmの外径を100μmとした実施例3のガイドワイヤーは、挿入性試験における押し込み抵抗値と永久歪み試験における曲がり角度がさらに小さい。
これに対して、コイルのピッチとコイル材料の直径が等しく、エラストマーを充填していない比較例1のガイドワイヤーは、挿入性は良好であるが、トルク伝達性、永久歪み、非トラップ性がいずれも不良である。先端から20〜300mmの芯線の材質をTi−Ni系超弾性合金とした以外は、比較例1と同様にして作製した比較例2のガイドワイヤーは、挿入性と非トラップ性が不良である。芯線の材質をすべてTi−Ni系超弾性合金とした以外は、比較例1と同様にして作製した比較例3のガイドワイヤーも、挿入性と非トラップ性が不良である。
これに対して、コイルのピッチとコイル材料の直径が等しく、エラストマーを充填していない比較例1のガイドワイヤーは、挿入性は良好であるが、トルク伝達性、永久歪み、非トラップ性がいずれも不良である。先端から20〜300mmの芯線の材質をTi−Ni系超弾性合金とした以外は、比較例1と同様にして作製した比較例2のガイドワイヤーは、挿入性と非トラップ性が不良である。芯線の材質をすべてTi−Ni系超弾性合金とした以外は、比較例1と同様にして作製した比較例3のガイドワイヤーも、挿入性と非トラップ性が不良である。
本発明のガイドワイヤーは、挿入性とトルク伝達性に優れ、永久歪みを生じにくく、トラップされにくいので、完全狭窄例やステント併用例で用いられるインターベンションに好適に適用することができる。
1 芯線
2 先端
3 基端
4 コイル
5 親水性ポリマー
6 摩擦抵抗の低いポリマー
7 先端部
8 コイルばね
9 芯線
10 接合部
11 先端部
12 芯線
13 先端部
2 先端
3 基端
4 コイル
5 親水性ポリマー
6 摩擦抵抗の低いポリマー
7 先端部
8 コイルばね
9 芯線
10 接合部
11 先端部
12 芯線
13 先端部
Claims (10)
- 先端及び基端を有し、芯線及び先端側に取り付けられたコイル部分を有するガイドワイヤーであって、コイルのピッチpがコイル材料の直径dの1.1〜3倍であり、芯線とコイル材料の間の間隙及びコイル材料間の間隙にエラストマーが充填され、コイル部分の表面が平滑面を構成することを特徴とするガイドワイヤー。
- 先端から1〜50cmの芯線が、外径100μm以下の部分を有する請求項1記載のガイドワイヤー。
- 先端から1〜30cmの芯線が、外径50μm以下の部分を有する請求項2記載のガイドワイヤー。
- 先端から1〜30cmの芯線が、複数の素線の撚線又は組物である部分を有し、その外径が30μm以下である請求項1記載のガイドワイヤー。
- 先端から0〜50cmの表面が、親水性ポリマーで被覆されてなる請求項1記載のガイドワイヤー。
- エラストマーが官能基を有し、親水性ポリマーとの間に化学的な結合を有する請求項5記載のガイドワイヤー。
- コイル材料表面に、接着剤層を有する請求項1記載のガイドワイヤー。
- 先端から1〜50cmの芯線が、縦弾性係数220kN/mm2以上、伸び1.0%以上の弾性歪み特性を有する超高弾性合金からなり、かつ、先端に向かって細径化されてなる請求項1記載のガイドワイヤー。
- 超高弾性合金が、Cr−Ni−Mo−Co系の超高弾性合金であって、その原子分率が、CrとMoの合計が20〜40原子%、Niが20〜50原子%、Coが25〜45原子%である請求項8記載のガイドワイヤー。
- 外径の最大寸法が、0.3048mm以下である請求項1記載のガイドワイヤー。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070518 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090728 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090928 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100312 |