JP3774592B2 - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の必要部位の治療又は検査において用いられるカテーテルを案内するための医療用ガイドワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
カテーテル用ガイドワイヤは、外科的手術が困難な部位の治療や検査或いは低侵襲での治療を行う際にカテーテルを導入するための案内役として用いられている。一般的なガイドワイヤの操作方法は、医師等が予め先端部に若干の曲げ癖を与え(リシェイプ)てからカテーテル内に収容し、且つカテーテルの先端部から数mm〜数cm突き出した状態でガイドワイヤの基端側から医師が僅かなねじり力を加え分岐部を選択的に通過させて血管内等の目的部位に挿入していく。したがって、ガイドワイヤには基端部のねじり操作に対応して確実にその力を伝達(トルク伝達性)することが必要とされ、また、血管等の蛇行する管腔部或いは狭窄部を通過し(通過性)、分岐個所を所望の方向に選択的に進入していける(選択性、押し込み性)ことが必要とされる。
【0003】
現在、医療用ガイドワイヤとしてはステンレス鋼、或いはピアノ線のいずれかの金属製の線状体を内芯とし該線状体先端部にコイルを巻きつけたものと超弾性の形状記憶合金を内芯とし合成樹脂を被覆して用いたものに大別されている。
【0004】
しかしながら、ステンレス鋼ガイドワイヤのように腰が強く押し込みがきき、且つ塑性変形し易い材料を内芯に用いると、蛇行する管腔部や狭窄部において血管壁を傷つけてしまったり、蛇行する血管を伸張してしまう事が懸念される。また、抜去時に塑性変形したガイドワイヤが血管壁を傷つけることも問題となっている。それに加えてステンレス鋼ガイドワイヤは蛇行する血管内におけるねじり力の伝達性が極めて悪く、分岐部での選択性、操作性が悪いことが以前から問題視されている。一方、超弾性合金製ガイドワイヤは蛇行する血管内におけるねじり力の伝達性は高いもののリシェイプができないことや、湾曲状態での耐曲げ力が弱いといった問題を抱えている。したがって、上記問題点を解決し、容易に、且つ安全に術者が手技を行うことができる高弾性でありながら適度な腰強度を持つリシェイプ可能なガイドワイヤが要求されていた。
【0005】
比較的新しい内芯素材として、特開平06-063151号公報はCo-Ni-Cr-Fe系合金からなる内芯を合成樹脂で被覆した医療用ガイドワイヤを提案している。しかしながら、記載してあるいずれの合金も弾性係数が20000kg/mm2以上とかなり高く、ステンレス鋼よりも剛直で塑性変形しにくい材料であり、蛇行している血管内に挿入していく際には血管壁を傷つけたり、蛇行している血管を伸張してしまう可能性が考えられる。また、特開平06-233811号公報は、低モジュラスのチタン合金からなる移植片が提案されているが、高価なNb、Zrを必須の元素としていること、外径0.5mm以下に線引きされるガイドワイヤの内芯としてテンションをかけながら真直出しを行う上で、或いは先端側をテーパー加工していく上での強度が不足しており、連続してのテーパー加工処理や真直出し、樹脂の被覆処理を行うには適さない材料であるといえる。また、熱間加工による芯材の成形においては、結晶粒の粗大化が発生し強度がでにくい、成形中に表面酸化がおこり平滑な表面が得られにくく真円度を出しづらいといった問題があり、ガイドワイヤの芯材として要求される機械的物性、形状を得るには更に数回にわたる加工を行う必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の目的は、適度な腰強度を持ちつつも、血管壁を傷つけない柔軟性を備えたガイドワイヤを提供することにある。また、湾曲した血管においても手元部のねじり力に対して先端部が確実に応答するトルク伝達性の優れたガイドワイヤを提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するために本発明の医療用ガイドワイヤは以下の構成を備えている。
【0008】
すなわち、引張強度が110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下、かつ縦弾性率が5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下である、β相を含有するチタン合金によって形成され、断面が15マイクロメートル以下の真円度を有し、リシェイプ可能な先端部を有する芯材を備えている。
【0009】
上記合金はモーリの方程式により算出される Mo 当量の値が 3.65 以上であることが好ましい。
【0010】
上記合金は0.2%耐力が50 kgf/mm 2 以上150 kgf/mm 2 以下であることが好ましい。
【0011】
上記合金は曲げ弾性率が 6,000kgf/mm 2 以上 18,000kgf/mm 2 以下であることが好ましい。上記合金は、準安定βチタン合金であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の医療用ガイドワイヤの実施形態を示した断面図、図2は本発明の医療用ガイドワイヤの別の実施形態を示した断面図である。
【0014】
図1に示す医療用ガイドワイヤ1は、芯材10とそのほぼ全表面を被った被覆部20とからなる。
【0015】
医療用ガイドワイヤ1は、150cmの長さであるが、種類によって10cm〜400cmの様々な長さが適用可能である。外径は0.89mm(0.035インチ)であるが、種類によって0.2〜2.0mmに設定可能である。外径は先端部から基端部までほぼ同じであるが、先端部を細くしても良い。
【0016】
芯材10は、チタン合金により形成されており、好適には後述するβ相を含有するチタン合金である。芯材10は先端部分を除いてほぼ均一径からなり、先端部分はテーパ状に細くなっている。被覆部20は、プラスチックの被覆層から形成されている。プラスチックの被覆層としてはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂若しくは各々のエラストマー等をコーティングして芯材10に密着している。該被覆層は上記プラスチック材料からなるチューブであってもよい。さらに、被覆部20の表面には潤滑性コートを施すのが好ましい。この場合、潤滑性コートとしては親水性表面にすることによって含水性を高めて血管などとの摩擦抵抗を減らし摺動性を高めることができる。また、シリコンコーティングを施して平滑で血液粘着性の低い表面を備えることで摺動性を高めることができる。その他摺動性を高めるのであれば様々な処理が可能である。
【0017】
芯材10に使用されているチタン合金は好適にはβ相を含有しており、引張り強度が超弾性Ni-Ti合金より大きく、縦弾性率に関してはNi-Ti合金の約2倍程度、ステンレス鋼の約半分であり、ねばり強く適度な柔軟性、復元性を備えたトルク伝達性にすぐれた材料である。
【0018】
芯材10に使用されている好適なβ相を含有するチタン合金は、引張強度が110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下であり、更に150kgf/mm2以上180kgf/mm2以下であることが好ましい。引張強度が110kgf/mm2未満であると冷間加工で線引きしたりテンションをかけながら真直出しを行うための強度として不足なので芯材を所望の外径にしにくく、また真直性に劣る芯材になりやすい。200kgf/mm2を越えると、引張強度の上昇に伴い縦弾性率の値が高くなり、しなやかさが失われるおそれがある。
【0019】
芯材10の前記チタン合金は、前述した引張強度を備えると共に縦弾性率が5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下であり、更に、6,000kgf/mm2以上10,000kgf/mm2以下であることが好ましい。縦弾性率が5,000kgf/mm2未満であると、ガイドワイヤとして腰が弱いのでNiTi合金のように手元での押し込みが先端に伝わりにくく、12,000kgf/mm2を越えると、腰が強くて蛇行する血管内におけるねじり力の伝達性が悪くなる。
また、芯材10の前記チタン合金は、ダイス引き冷間伸線加工により断面が15μm以下の真円度を有しており、好ましくは5μm以下、更に好ましく1μm以下である。断面の真円度が15μmを越えると湾曲した血管内において手元部の微妙なねじり力が正確に先端部に伝えることができず、血管の分岐部における選択性が劣る。
【0020】
芯材10の前記チタン合金は、剛性率が1,500kgf/mm2以上6,000kgf/mm2以下であり、好ましくは、3,000kgf/mm2以上 5,000kgf/mm2以下である。剛性率が1,500kgf/mm2未満であると手元でのねじりトルクが瞬時に先端に伝わりにくくなり、6,000kgf/mm2を越えると湾曲した血管においてねじりトルクが忠実に先端部で再現することが困難となる。
そして、芯材10の前記チタン合金はモーリの方程式により算出されるモリブデン(Mo)当量の値が3.65以上であり、更に6以上であることが好ましい。一般的にチタン合金のβ相とα相にはそれぞれα−β変態点を上昇させたり低下させたりする添加元素がある。その中でもβ相領域を低温側に広げ、α−β変態点を低下させて添加元素をβ安定化元素という。β安定化元素によってα−β変態点が室温以下まで下がるとβ相が焼き入れされてもマルテンサイト変態せずに室温で準安定に存在するようになる。この準安定βTi合金は時効処理などの熱処理でα相が析出し、材料の弾性率が変化することがある。β相の安定性を知る指標として添加元素の重量%の値をモリブデン(Mo)当量として次のモーリーの方程式に当てはめることできる(Materials Science and Engineering A243(1998)46-65参照)。
【0021】
Mo当量=1.0Mo+0.67V+0.44W+0.28Nb+0.22Ta+1.6Cr+・・・-1.0Al
芯材10の前記チタン合金についてMo当量の値が3.65より低いと、準安定βTi合金になり得ず又はなりにくく、熱処理によって高い強度を得にくく真直出しを行うための強度として不足なので真直性に劣る芯材になるおそれがある。また、α相の体積のしめる割合がおおきくなると冷間加工などの加工性が劣る。
【0022】
なお、β相を含むチタン合金としては、ガイドワイヤとして例えば引張強度、縦弾性率、剛性率、0.2%耐力又は曲げ弾性率などが好適な性質を備えていれば上述した準安定βTi合金と限るものではない。
【0023】
また、芯材10の前記合金は0.2%耐力が50kgf/mm2以上150kgf/mm2以下であり、更に100kgf/mm2以上130kgf/mm2以下であることが好ましい。0.2%耐力が50kgf/mm2未満であると曲げ癖がつきやすく、150kgf/mm2を越えると術者によるリシェイプがしにくくなり先端部に分岐部の選択性をもたせることができない。
さらに、芯材10の前記合金は曲げ弾性率が6,000kgf/mm2以上18,000kgf/mm2以下であり、更に10,000kgf/mm2以上15,000kgf/mm2以下であることが好ましい。曲げ弾性率が6,000kgf/mm2未満であると腰が弱く挿入時の押し込みがききにくく、18,000kgf/mm2を越えると蛇行している血管を無理に真っ直ぐにしてダメージを与えかねない。
なお、上記芯材10の特性は、すべてを備えることが好ましいが、少なくとも1つの特性を示してもよい。すなわち、医療用ガイドワイヤの芯材として110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下の引張強度や、5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下の縦弾性率であるチタン合金であってもよい。医療用ガイドワイヤの芯材として断面の真円度が15μm以下のチタン合金であってもよい。医療用ガイドワイヤの芯材として1,500kgf/mm2以上6,000kgf/mm2以下
の剛性率であるチタン合金であってもよい。また、モーリの方程式により算出されるMo当量の値が3.65以上であるチタン合金からなる医療用ガイドワイヤの芯材であっても良い。さらに、0.2%耐力が50kgf/mm2以上150kgf/mm2以下であるチタン合金からなる医療用ガイドワイヤの芯材であっても良い。また、曲げ弾性率が6,000kgf/mm2以上18,000kgf/mm2以下であるチタン合金からなる医療用ガイドワイヤの芯材であっても良い。
【0024】
そして、各々の特性を2つ以上兼ね備えた芯材であることが好ましい。例えば、110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下の引張強度又は5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下縦弾性率と所定真円度のチタン合金、上記数値範囲を備える引張強度又は縦弾性率と上記数値範囲を備える剛性率を有するチタン合金、断面の所定真円度と上記数値範囲を備える剛性率を有するチタン合金であってもよい。
【0025】
芯材10の前記チタン合金は、チタンの他に、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、錫(Sn) などを添加して前述したようにβ相を含有するチタン合金を形成できる。
【0026】
次に、図2に示す医療用ガイドワイヤ100は、芯材110とその先端部の表面を被った被覆部120とからなる。
【0027】
医療用ガイドワイヤ100は、180cmの長さであるが、種類によって10cm〜400cmの様々な長さが適用可能である。外径は0.36mm(0.014インチ)であるが、種類によって0.2〜2.0mmに設定可能である。
【0028】
芯材110は、チタン合金により形成されており、好適には後述するβ相を含有するチタン合金である。被覆部120は、コイルから形成されているが、プラスチックの被覆層から形成しても構わない。コイルによる被覆部120はステンレス鋼製であり長さは1cmから50cmに設定できる。コイルによる被覆部120は、その先端部分をX線造影性が他の部分よりも高い材料によって形成していることが好ましい。X線造影性が他の部分よりも高い材料とは、例えば金、白金、イリジウム若しくはそれらの合金である。プラスチックの被覆層としてはガイドワイヤ10で前述した材料が使用できる。該被覆層は上記プラスチック材料からなるチューブであってもよい。さらに、被覆部20の表面には潤滑性コートを施すのが好ましい。この場合、潤滑性コートとしては親水性表面にすることによって含水性を高めて血管などとの摩擦抵抗を減らし摺動性を高めることができる。また、シリコンコーティングを施して平滑で血液粘着性の低い表面を備えることで摺動性を高めることができる。その他摺動性を高めるのであれば様々な処理が可能である。
【0029】
芯材110に使用されているチタン合金は好適にはβ相を含有しており、引張強度が超弾性Ni-Ti合金より大きく、縦弾性率に関してはNi-Ti合金の約2倍程度、ステンレス鋼の約半分であり、ねばり強く適度な柔軟性、復元性を備えたトルク伝達性にすぐれた材料である。
【0030】
芯材110は図2のように先端部から基端部まで同じ素材を使用することができる。その場合には、各部位に要求される特性によって外径を変化させる。例えば、先端部を除く部分は比較的剛性の高く手元の押し込み、トルクを先端に伝えるために先端に比べて外径を大きくし、2段若しくは3段以上のテーパ部を経て外径を細くして極めて柔軟な先端部を示すようにする。また、各部位に要求される特性に応じてチタン合金と異なる材料の線材を組み合わせて使用することも可能である。例えば、先端部の芯材をNi-Ti合金とし、本体部の芯材をチタン合金とした医療用ガイドワイヤにあっては、本体部の押し込み性、トルク伝達性に優れながら、Ni-Ti合金の備える極めて優れた復元性による血管追従性、血管通過性を兼ね備えることができる。また、先端部の芯材をチタン合金として、本体部の芯材をステンレス鋼線とした医療用ガイドワイヤにあっては、ステンレス鋼線の備える押し込み性を本体部に持ちながら、キンクしにくく、塑性変形しにくい粘り強さと高いトルク伝達性の両方を兼ね備える先端部を兼ね備える。
【0031】
芯材110に使用されている好適なβ相を含有するチタン合金は、引張強度が110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下であり、更に150kgf/mm2以上180kgf/mm2以下であることが好ましい。引張強度が110kgf/mm2未満であると冷間加工で線引きしたりテンションをかけながら真直出しを行うための強度として不足なので芯材を所望の外径にしにくく、また真直性に劣る芯材になりやすい。200kgf/mm2を越えると、引張強度の上昇に伴い縦弾性率の値が高くなり、しなやかさが失われるおそれがある。
【0032】
芯材110の前記チタン合金は、前述した引張強度を備えると共に縦弾性率が5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下であり、更に6,000kgf/mm2以上10,000kgf/mm2以下であることが好ましい。縦弾性率が5,000kgf/mm2未満であると、ガイドワイヤとして腰が弱いのでNiTi合金のように手元での押し込みが先端に伝わりにくく、12,000kgf/mm2を越えると、腰が強くて蛇行する血管内におけるねじり力の伝達性が悪くなる。
また、芯材110の前記チタン合金は、ダイス引き冷間伸線加工により断面が15μm以下の真円度を有しており、好ましくは5μm以下、更に好ましく1μm以下である。断面の真円度が15μmを越えると湾曲した血管内でのトルク伝達性が劣る。
【0033】
芯材110の前記チタン合金は、剛性率が1,500kgf/mm2以上6,000kgf/mm2以下であり、好ましくは、3,000kgf/mm2以上5,000kgf/mm2以下である。剛性率が1,500kgf/mm2未満であると手元でのねじりトルクが瞬時に先端に伝わりにくくなり、6,000kgf/mm2を越えると湾曲した血管においてねじりトルクが忠実に先端部で再現することが困難となる。
そして、芯材110の前記チタン合金は前述したとおりモーリの方程式により算出されるMo当量の値が3.65以上であり、更に6以上であることが好ましい。
【0034】
なお、β相を含有するチタン合金としては、ガイドワイヤとして例えば引張強度、縦弾性率、剛性率、0.2%耐力又は曲げ弾性率などが好適な性質を備えていれば上述した準安定βTi合金と限るものではない。
【0035】
また、芯材110の前記合金は0.2%耐力が50kgf/mm2以上150kgf/mm2以下であり、更に100kgf/mm2以上130kgf/mm2以下であることが好ましい。0.2%耐力が50kgf/mm2未満であると曲げ癖がつきやすく、150kgf/mm2を越えると術者によるリシェイプがしにくくなり先端部に分岐部の選択性を持たせることができない。
さらに、芯材110の前記合金は曲げ弾性率が6,000kgf/mm2以上18,000kgf/mm2以下であり、更に10,000kgf/mm2以上15,000kgf/mm2以下であることが好ましい。曲げ弾性率が6,000kgf/mm2未満であると腰が弱く挿入時の押し込みがききにくく、18,000kgf/mm2を越えると蛇行している血管を無理に真っ直ぐにしてダメージを与えかねない。
なお、上記芯材110の特性は、すべてを備えることが好ましいが、少なくとも1つの特性を示してもよい。すなわち、医療用ガイドワイヤの芯材として110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下の引張強度や、5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下の縦弾性率であるチタン合金であってもよい。医療用ガイドワイヤの芯材として断面の真円度が15μm以下のチタン合金であってもよい。医療用ガイドワイヤの芯材として1,500kgf/mm2以上 6,000kgf/mm2以下の剛性率であるチタン合金であってもよい。また、モーリの方程式により算出されるMo当量の値が3.65以上であるチタン合金からなる医療用ガイドワイヤの芯材であっても良い。さらに、0.2%耐力が50kgf/mm2以上150kgf/mm2以下であるチタン合金からなる医療用ガイドワイヤの芯材であっても良い。また、曲げ弾性率が6,000kgf/mm2以上18,000kgf/mm2以下であるチタン合金からなる医療用ガイドワイヤの芯材であっても良い。
【0036】
そして、各々の特性を2つ以上兼ね備えた芯材であることが好ましい。例えば、110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下の引張強度又は5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下縦弾性率と所定真円度のチタン合金、上記数値範囲を備える引張強度又は縦弾性率と上記数値範囲を備える剛性率を有するチタン合金、断面の所定真円度と上記数値範囲を備える剛性率を有するチタン合金であってもよい。
【0037】
芯材110の前記チタン合金は、チタンの他に、Mo、V、W、Nb、Ta、Fe、Cr、Ni、Co、Al、Zr、Snなどを添加して前述したようにβ相を含有するチタン合金を形成できる
芯材110のチタン合金は芯材10で記載した方法で製造可能である。
【0038】
本発明の如くガイドワイヤの芯材をβ相を含有するチタン合金によって形成した場合には、キンクしにくく、塑性変形しにくい粘り強さと高いトルク伝達性の両方を兼ね備える事ができ、血管等の内部へのガイドワイヤの挿入、ガイドワイヤの外面へのカテーテル等の冠挿を確実かつ円滑に実施する事ができる。つまり、先端部は高強度・高弾性を維持しながらも、手元部のねじり力に対してはほぼ確実に応答することができる操作性の高いガイドワイヤと成り得る。また、先端部は必要に応じてリシェイプにより形状づけが可能であること、芯材が適度な腰強度を有していることから狭窄部における押し込み性も良く分岐部での選択性も高い。一方では、Sn或いはMoといった造影性の高い金属を含有している高弾性・高強度チタン合金を選択することにより、従来のNi-Ti線のような超弾性合金やSUSのようなステンレス鋼よりも高い造影性を発現することが可能であり、術者がガイドワイヤの全体像を確認できることにより正確な操作が可能となり得る利点もある。
【0039】
以上、医療用ガイドワイヤとして説明してきたが、上述したキンクしにくく、塑性変形しにくい粘り強さと高いトルク伝達性の両方を兼ね備えたチタン合金は、各種医療器具に使用できる。例えば、バルーンを備えたPTCA用カテーテルの芯材、いわゆるオンザワイヤー(On-The-Wire)式カテーテルの芯材としても使用可能である。このカテーテルはバルーンより先の部分をガイドワイヤとして使用するPTCA用カテーテルの一種であり、後述するオーバーザワイヤー(Over-The-Wire)式カテーテルのようなガイドワイヤルーメンがないのでバルーン部分の外径が小さくできる。このカテーテルは、チューブ内に芯材が所定長だけ突出した状態で挿通され、バルーンはチューブ先端部と突出した部分の芯材の途中とに固着する。また、オーバーザワイヤーカテーテルのルーメンや壁面に芯材を設けて押し込み性を向上させることもできる。さらに、石灰化した狭窄病変を回転体によって削って除去する装置の芯材にも適用できる。
【0040】
以下、本発明に適用できる芯材の実施例を説明するが実施の形態は以下に限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
15wt%のバナジウム、3wt%のスズ、3wt%のクロム、3wt%のアルミニウム、残部チタンからなる外径9.0mmの熱間圧延材を用い、まずこの線材の表面皮むきを行って外径8.3mmの線材を作製した。次に、ロール伸線を行って外径2.0mmとし、800〜810℃で10min間ライン焼鈍で溶体化処理を行った。ついで、ダイス引きの乾式伸線を行い外径0.48mmの線材を得た。得られた線材は最後に500℃で4時間の時効処理により仕上げを行った。
【0042】
上記のように作製されたTi-15V-3Sn-3Cr-3Al合金線材の機械的物性値を表1に示す。
【0043】
なお、各数値の試験方法及び算出方法は次の通りである。
【0044】
引張強度、縦弾性率、0.2%耐力は、金属材料引張試験方法(JIS Z 2241)に準じて室温下で引張速度5mm/分、チャック間距離50mmにて行い、数値を算出した。
【0045】
剛性率は、高千穂精機(株)製細物ねじり試験機を使用して、室温下でねじり速度10回/分、標点距離25mmにて行い、得られたトルクの値を剛性率G=32LT/πdθ(L:標点距離、T/:θ時のトルク値、d:線径、θ:角度、90度=1.57で計算)の式に当てはめて計算する。
【0046】
線材の断面の真円度は、細径化された部分を除く部分について長さ方向に任意に5箇所計測してJIS B 0419に準じて数値をだした。
【0047】
曲げ弾性率は、三点曲げ試験を行って測定した。具体的には支点間30mm(サンプル長40mm)の三点曲げジグに試料を設置し、室温下で正確に真ん中を5mm/分の速度で2mm押し込みその時の荷重から曲げ弾性率を求めた。試験方法及び数値の算出はJIS K 7203に準じた。なお、慣性モーメントIの値は円形断面のためπd/64を代入して求めた(d:線径)。以下の実施例も同様に求めた。
【0048】
(実施例2)
15wt%のモリブデン、5wt%のジルコニウム、3wt%のアルミニウム、残部チタンからなる外径9.0mmの熱間圧延材を用い、まずこの線材の表面皮むきを行って外径8.3mmの線材を作製した。次に、ロール伸線を行って外径2.0mmとし、800〜810℃で10min間ライン焼鈍で溶体化処理を行った。ついで、ダイス引きの乾式伸線を行い外径0.48mmの線材を得た。得られた線材は最後に500℃で4時間の時効処理により仕上げを行った。
【0049】
上記のように作製されたTi-15Mo-5Zr-3Al合金線材の機械的物性値を表1に示す。
【0050】
(実施例3)
22wt%のバナジウム、4wt%のアルミニウム、残部チタンからなる外径9.0mmの熱間圧延材を用い、まずこの線材の表面皮むきを行って外径8.3mmの線材を作製した。次に、ロール伸線を行って外径2.0mmとし、800〜810℃で10min間ライン焼鈍で溶体化処理を行った。ついで、ダイス引きの乾式伸線を行い外径0.48mmの線材を得た。得られた線材は最後に500℃で4時間の時効処理により仕上げを行った。
【0051】
上記のように作製されたTi-22V-4Al合金線材の機械的物性値を表1に示す。
【0052】
(比較例)
比較例として超弾性のNi-Ti合金(比較例1)、ステンレス鋼のSUS304の外径が0.48mmのもの(比較例2)を用い、機械的物性を測定した。
【0053】
【表1】
Figure 0003774592
【0054】
【発明の効果】
本発明の医療用ガイドワイヤは、適度な腰強度を持ち、且つプリシェイプ可能な高弾性・高強度の内芯を有しているため、トルク伝達性、押し込み性、分岐における選択性に優れており操作性が良好で安全に使用できるものである。更に、必要に応じて被覆部表面の摺動抵抗を低下させる処理を行うことにより、目的とする部位への到達性や狭窄部の通過性にも優れた性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の医療用ガイドワイヤの一実施形態を示した断面図。
【図2】図2は本発明の医療用ガイドワイヤの別の実施形態を示した断面図。
【符号の説明】
1、100:医療用ガイドワイヤ
10、110:芯材
20、120:被覆部

Claims (4)

  1. 引張強度が110kgf/mm2以上200kgf/mm2以下、かつ縦弾性率が5,000kgf/mm2以上12,000kgf/mm2以下である、β相を含有するチタン合金によって形成され、断面が15マイクロメートル以下の真円度を有し、リシェイプ可能な先端部を有する芯材を備えた医療用ガイドワイヤ。
  2. 上記合金はモーリの方程式により算出されるMo当量の値が3.65以上である請求項1に記載の医療用ガイドワイヤ。
  3. 上記合金は0.2%耐力が50kgf/mm2以上150kgf/mm2以下である請求項1に記載の医療用ガイドワイヤ。
  4. 上記合金は曲げ弾性率が6,000kgf/mm2以上18,000kgf/mm2以下である請求項1に記載の医療用ガイドワイヤ。
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