JP3756086B2 - 医療用ガイドワイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、医療用ガイドワイヤの製造方法に係り、特に血管、消化管、尿管、気管、胆管、その他の体腔或いは組織中に挿入されるカテーテルを案内するための医療用ガイドワイヤにおいて、人体内への深部挿入時の押込み特性の向上を図りつつ、優れた操作性を実現し得る構造を得るための有利な手法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、治療や検査のために、血管、消化管、尿管、器官、胆管等の人体の管状器官、更にはその他の体腔或いは組織中に挿入されて、カテーテル等を案内するガイドワイヤとして、種々なる提案が為されており、例えば、特開平10−146390号公報には、先端側が細径とされた中実の線部材からなる芯材と、そのような芯材の先端細径部位に設けられたX線造影性金属コイルと、更に、かかるX線造影性金属コイルよりも芯材の基部(本体部)側に位置するように、該芯材の外周部を被覆する合成樹脂製被覆部材と、該合成樹脂製被覆部材の少なくとも一部を覆う親水性潤滑層とからなる構成のガイドワイヤが、明らかにされている。
【0003】
また、特開平9−276392号公報においては、合成樹脂からなる基材の表面に、無水マレイン酸系高分子物質とポリウレタンの混合物の皮膜が形成されてなり、該皮膜が加熱により不溶化されると共に、親水化剤により親水化処理されている構造の医療用ガイドワイヤが明らかにされ、これによって、湿潤時に表面潤滑性を発現し、且つ摩擦耐久性に優れ、潤滑性が安定的に維持される効果を奏するとされている。
【0004】
さらに、特開2000−135289号公報においては、先端部が本体部に比して小径とされた弾性材料からなる芯材と、この芯材の先端部の少なくとも一部を被覆する樹脂チューブと、この樹脂チューブの外周部を被覆する親水性樹脂膜とを有し、それら樹脂チューブ及び親水性樹脂膜が施された部分の外径が、前記芯材の本体部の製品外径よりも細くされてなる構造の医療用ガイドワイヤが提案され、これによって、芯材の本体部の外径を維持して、プッシュアビリティを良好にすると共に、滑り性や血栓付着防止性等を兼ね備え、しかも一定の品質のあるものを安定して製造することの出来る医療用ガイドワイヤが提供され得る旨、明らかにされている。
【0005】
しかしながら、それら従来から提案のガイドワイヤ構造にあっては、何れも、芯材本体の基部側部位が術者乃至は操作者にて把持されて操作せしめられることとなるのであるが、そのような芯材としては、1本の線部材(ワイヤ)が用いられているところから、そのような線部材の径を細くしない限りにおいて、人体内の深部への挿入時において、ガイドワイヤの押込み特性のある程度の確保は、可能となっている。而して、それらガイドワイヤを人体内の屈曲した管状器官内に挿入するに際しては、その芯材の操作部に対して回転操作を加える必要が生じるのであるが、その際、従来のガイドワイヤでは、トルクの応答性が充分でなく、またトルクの伝達性においても遊びがある等、その操作性において充分に満足するものではなく、そこに、改良の余地を内在するものであった。
【0006】
【解決課題】
そこで、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、人体内の深部への挿入時における押込み特性を向上せしめつつ、回転操作時におけるトルク応答性やトルク伝達性を高め、以て、挿入時における操作性を著しく向上せしめ得る、実用的な医療用ガイドワイヤを、有利に製造し得る手法を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
先ず、本発明にあっては、(A)複数の金属素線を撚り合わせて、同一円周上に配置せしめてなる、芯のない中空形状を呈する中空撚線コイル体と、(B)該中空撚線コイル体の中空部内を挿通する形態において配置され、該中空部内に位置せしめられる基部側本体部と、該中空撚線コイル体の先端部から外方に所定長さで突出せしめられる、先端側が該本体部に比して小径とされた外方突出部とを有する、弾性材料からなる単線状の芯材と、(C)該芯材の外方突出部の外周部を、その軸方向の少なくとも一部の長さに亘って覆うように施された樹脂被覆とを、有することを特徴とする医療用ガイドワイヤが、対象とされる
【0008】
すなわち、このような医療用ガイドワイヤにあっては、術者乃至は操作者が把持する手元側のガイドワイヤ基部乃至は操作部を構成する部材の一つとして、中空撚線コイル体が用いられていることにより、そのような中空撚線コイル体の特性によって、ガイドワイヤの回転操作時において、素早いトルク応答性が得られ、また遊びのないトルク伝達性が付与されることとなるのであって、これにより、操作性が著しく高められ得ることとなった他、そのような中空撚線コイル体の外表面に現れる螺旋状の凹凸により、術者の手の滑りを防止し、所望の位置へのガイドワイヤの導入操作を容易ならしめ得る利点を有していると共に、かかる中空撚線コイル体の中空部内には、弾性材料からなる単線状の芯材が挿通せしめられて、固定されていることによって、人体内の深部への挿入時における押込み特性が効果的に向上せしめられることによって、そのようなガイドワイヤの押込み操作も有利に確保され得ているのである。
【0009】
しかも、かかる医療用ガイドワイヤにあっては、中空撚線コイル体の先端部から外方に突出する芯材の外方突出部の外周部を、その軸方向の少なくとも一部の長さに亘って覆うように施された樹脂被覆の存在によって、当該被覆部位の外方突出部の保護を確保し得ると共に、その被覆樹脂内にX線不透過性材料を含有せしめれば、そのようなガイドワイヤに対して、X線造影性を付与せしめたり、更には、外周面に対する親水性樹脂皮膜の形成をより一層有利に行ない得る等の特徴を発揮することとなる。
【0010】
なお、そのような医療用ガイドワイヤの有利な態様の一つによれば、前記芯材の外方突出部の先端側部位の外周に、放射線不透過性の金属製コイルが装着せしめられている。このような放射線不透過性の金属製コイルの存在によって、ガイドワイヤ先端部の柔軟性を損なうことなく、かかる先端部の位置確認を容易に行ない得るのである。
【0011】
また、本発明にあっては、更に、(A)複数の金属素線を撚り合わせて、同一円周上に配置せしめてなる、芯のない中空形状を呈する中空撚線コイル体と、(B)該中空撚線コイル体の中空部内を挿通する形態において配置され、該中空部内に位置せしめられる基部側本体部と、該中空撚線コイル体の先端部から外方に所定長さで突出せしめられる、先端側が該本体部に比して小径とされた外方突出部とを有する、弾性材料からなる単線状の芯材と、(D)該芯材の外方突出部の全長に亘って、該外方突出部の外周部を取り巻くように取り付けられた金属製コイルとを、有することを特徴とする医療用ガイドワイヤも、その対象とされるものである。そして、この(A)、(B)及び(D)の構成からなる医療用ガイドワイヤによれば、中空撚線コイル体から突出する芯材の外方突出部を、その全長に亘って取り囲むように金属製コイル、換言すれば単糸コイル体が取り付けられていることにより、そのような外方突出部の外周部を樹脂被覆する方式に比較して、更に柔軟性が高く、それ故に、分岐屈曲細管内へのガイドワイヤの挿入に際して、その屈曲形状に良好に順応して、ガイドワイヤを深部へ容易に挿入せしめることが出来るのである。
【0012】
ところで、かくの如き医療用ガイドワイヤの望ましい態様の一つによれば、前記中空撚線コイル体は、前記複数の金属素線を所定の内層芯体上に撚り合わせて、外層としてなるストランドより、該内層芯体を抜去することによって、形成されるものである。このように、多層構造のストランドから、その内層芯体を抜き去り、その外層を構成する金属素線のみを取り出すことによって、中空撚線コイル体が有利に形成されることとなる。
【0013】
また、そのような医療用ガイドワイヤの望ましい態様の他の一つによれば、前記中空撚線コイル体の外周部を覆うように薄層の基部側樹脂被覆が設けられており、これによって、ガイドワイヤの滑り性や血栓付着防止性が有利に付与され得ることとなる。
【0014】
さらに、このような医療用ガイドワイヤにあっては、前記二つの樹脂被覆が、材質の異なる樹脂にて形成されている構成も、有利に採用され、これによって、それぞれの樹脂被覆に基づくところの特徴が有利に発揮せしめられ得るのである。
【0015】
そして、この医療用ガイドワイヤの有利な態様によれば、前記先端側に設けられる樹脂被覆の外表面には、親水性樹脂皮膜が、更に形成せしめられることとなる。このような親水性樹脂皮膜の形成によって、より一層優れた滑り性や血栓付着防止性が付与せしめられ得るのである。
【0016】
なお、かくの如き医療用ガイドワイヤにあっては、望ましくは、前記中空撚線コイル体及び前記芯材の外方突出部の外表面の全てが、2種以上の樹脂にて包被されており、これによって、前記先端側の樹脂被覆や前記基部側の樹脂被覆が形成され、以て有効な電気絶縁特性を付与せしめ得ると共に、それぞれの樹脂の種類に応じた特性を、ガイドワイヤの各樹脂適用部位において、それぞれ発揮せしめることが出来る。
【0017】
ところで、上述の如き医療用ガイドワイヤは、前述せる課題の解決のために、本発明に従って、以下の如き手法によって、有利に製造されることとなる。
【0018】
先ず、その手法の一つとしては、(a)複数の金属素線を所定の内層芯体上に撚り合わせて、外層を形成してなる構造のストランドを準備する工程と、(b)該ストランドの前記内層芯体を抜去することにより、前記撚り合わされた複数の金属素線が同一円周上に配置された、芯のない中空形状を呈する中空撚線コイル体を得る工程と、(c)該中空撚線コイル体の中空部内に、先端側が小径とされた弾性材料からなる単線状の芯材を挿通せしめて、かかる先端側の小径部分を該中空撚線コイル体の先端部から外方に所定長さで突出せしめる一方、それら中空撚線コイル体と芯材とを、該中空撚線コイル体の両端部において相互に固定せしめる工程とを、含むことを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法を挙げることが出来る。
【0019】
また、他の手法として、(a)複数の金属素線を所定の内層芯体上に撚り合わせて、外層を形成してなる構造のストランドを準備する工程と、(b)該ストランドの前記内層芯体を抜去することにより、前記撚り合わされた複数の金属素線が同一円周上に配置された、芯のない中空形状を呈する中空撚線コイル体を得る工程と、(c)該中空撚線コイル体の中空部内に、先端側が小径とされた弾性材料からなる単線状の芯材を挿通せしめて、かかる先端側の小径部分を該中空撚線コイル体の先端部から外方に所定長さで突出せしめる一方、それら中空撚線コイル体と芯材とを、該中空撚線コイル体の両端部において相互に固定せしめる工程と、(d)該中空撚線コイル体の先端部から突出する前記芯材の外方突出部の外周部に対して、その軸方向の所定長さに亘って覆うように、所定の樹脂材料を用いて樹脂被覆を施す工程と、(e)該中空撚線コイル体の先端部から突出する前記芯材の外方突出部に対して、その外周部を取り巻くように、金属製コイルを取り付ける工程とを、含むことを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法を挙げることが出来るのである。
【0020】
そして、これらの何れかの手法に従って、前述した医療用ガイドワイヤを製造するようにすれば、そのような医療用ガイドワイヤにおいて重要な構成要素となる中空撚線コイル体が、有利に形成され、以て、そのような中空撚線コイル体に対して、所定の単線状の芯材を挿通せしめて、それら中空撚線コイル体と芯材とを組み付け、固定せしめることによって、ガイドワイヤの手元側の操作部が容易に形成され得ることとなるのであり、また芯材の存在下において、中空撚線コイル体を構成する複数の金属素線を切断して、芯材を露出させ、外方に突出せしめた形態と為す方式に比べて、芯材を傷つけることがなく、従って、芯材を折損させる危険性も有利に回避され得ることとなることに加えて、芯材の先端側の小径部位の異なるものを多数用意しておくことによって、ガイドワイヤの先端部位の柔軟性を種々異ならしめた製品も、容易に製造することが出来るという特徴を発揮し得るのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の対象とする医療用ガイドワイヤについて、その構成を更に具体的に明らかにするために、本発明の幾つかの実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0022】
先ず、図1には、本発明の対象とする医療用ガイドワイヤの代表的な一例が示されている。そこにおいて、医療用ガイドワイヤ10は、胆管用又は透析用としてのものであって、屈曲の容易な長尺の真直な中空撚線コイル体12と、かかる中空撚線コイル体12よりも長さが長く、先端側が先細とされた、単線状の芯材14と、かかる芯材14の中空撚線コイル体12から突出せしめられた先細形状部分の最先端部を除く部分を被覆するように設けられた樹脂チューブ16と、かかる芯材14の先細の最先端部分の外周部を取り囲むように取り付けられた先端コイル18とから、構成されている。
【0023】
具体的には、そのような医療用ガイドワイヤ10において、中空撚線コイル体12は、図1や図2(a)等から明らかな如く、複数の金属素線12aを撚り合わせて、同一円周上に配置せしめてなる構造を有し、それによって、芯のない中空形状を呈している。なお、かかる金属素線12aは、ステンレス鋼等の公知の材質からなるものであって、内部に中空部12bを形成し得る本数において用いられるものであって、ここでは、12本の金属素線12aを用いて、中空撚線コイル体12が形成されている。
【0024】
そして、かかる中空撚線コイル体12の外周部を覆うように、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いたフッ素樹脂コーティング(図示せず)が、施されている。このフッ素樹脂コーティングは、薄層の基部側樹脂被覆となるものであって、ここでは、8μm程度の厚さにおいて形成されている。なお、この基部側樹脂被覆は、滑り性、血栓付着防止性等の特性を付与するためのものであって、上記の如きフッ素樹脂の他、シリコーン樹脂等の疎水性樹脂を用いて形成されることが望ましい。
【0025】
また、芯材14は、中空撚線コイル体12の中空部12b内を挿通した形態において配置せしめられると共に、中空撚線コイル体12の先端部から外方に、所定長さで突出せしめられている。かかる芯材14は、中空撚線コイル体12の中空部12b内に挿通させるために、そのような中空部12bの直径よりもやや小さな外径を有するものとして構成されており、また中空撚線コイル体12から突出する外方突出部14bは、体内への挿入に際して屈曲変形が容易となるように、中空撚線コイル体12の中空部12b内に位置する基部側本体部14aから先端側に向かって、該本体部14aの外径よりも漸次小径となるテーパ形状において形成されている。そして、それら中空撚線コイル体12の中空部12b内に、芯材14が挿通せしめられた状態において、それら中空撚線コイル体12と芯材14とは、中空撚線コイル体12の両端部において、相互に固定せしめられているのである。より具体的には、中空撚線コイル体12の基部側端部と芯材14の基部側本体部14aとが、金属製チップ15の存在下にプラズマ溶着されて、固着せしめられている一方、中空撚線コイル体12の先端部が、芯材14に対してろう付けにて接合されており、かかる中空撚線コイル体12の両端部において、芯材14との間で、両者が位置固定に取り付けられているのである。
【0026】
このように、ガイドワイヤ10は、芯材14が挿通せしめられた中空撚線コイル体12部分を術者乃至は操作者が把持して、人体内の目的とする深部にまで挿入せしめられることとなるのである。
【0027】
なお、かかる芯材14は、超弾性材料、ステンレス鋼、ピアノ線等の、従来から公知の弾性材料を用いて形成されることとなる。そして、この超弾性材料としては、Ni−Ti合金、Cu−Zn−X(X=Al、Fe等)合金、Ni−Ti−X(X=Fe、Cu、V、Co等)合金等が、好ましく用いられる。特に、Ni−Ti合金等は、形状記憶合金として、形状記憶効果や超弾性(擬弾性)効果を持つことが知られており、それらの効果に基づいて、降伏点を越える変形歪みを与えても、除荷すると、永久変形することなく、原形状に復帰し、捩じりや曲げに対する戻り特性も大きいところから、ガイドワイヤの芯材として、有利に用いられ得るのである。
【0028】
また、樹脂チューブ16は、芯材14の外方突出部14bの外周部を、その軸方向の少なくとも一部の長さに亘って覆うように施された先端側樹脂被覆となるものであり、ここでは、芯材14の外方突出部14bの最先端部に取り付けられる先端コイル18と、中空撚線コイル体12の先端部との間に位置する外方突出部14bの中間部分を覆うように、かかる中空撚線コイル体12の外径と略等しい外径において、外方突出部14bに固着せしめられている。なお、この樹脂チューブ16は、外方突出部14bの柔軟性を確保しつつ、その被覆部位の保護を行なうものであり、また樹脂内にX線不透過性材料を含有せしめることによって、X線像影性を付与せしめたり、更には、外周面上に有利に形成される親水性樹脂皮膜の固定を有利に行なうべく、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂を用いて形成されることとなる。また、そのような樹脂チューブ16は、硫酸バリウム、ビスマス、タングステン等の粉末の如き、X線不透過性材料を含有するものが、必要に応じて用いられることとなる。
【0029】
さらに、かかる樹脂チューブ16の外表面上には、所定の親水性樹脂皮膜17が、通常のコーティング手法によって形成されており、これにより、滑り性や血栓付着防止性が向上せしめられている。このような皮膜17を与える親水性樹脂としては、よく知られているように、親水性基を有する樹脂であって、ここでは、樹脂チューブ16の表面に結合し得る官能基を有するものが好ましく用いられ、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が選択、使用されることとなる。例えば、樹脂チューブ16の材質として、ポリウレタンを採用する場合にあっては、そこに内在するイソシアネート基を介して、親水性樹脂を結合せしめる方法等が採用される。
【0030】
そして、芯材14の外方突出部14bの最先端部には、所定長さにおいて、樹脂チューブ16よりも小径の先端コイル18が取り付けられている。この先端コイル18の取付けは、その両端部において、ろう付けにより、外方突出部14bに固定せしめられているのであり、特に、外方突出部14bの最先端と先端コイル18の先端部とが、金属製チップ19と共にろう付け固定せしめられているのである。なお、この先端コイル18の材質としては、放射線不透過性の金属、例えば金、白金、銀、ビスマス、タングステン、またはこれらの金属を含有する合金(Pt−Ni等)等が、有利に用いられることとなる。勿論、そのような先端コイル18の固定には、ろう付けのみならず、接着剤による接着等の手段を採用することも可能である。
【0031】
ところで、このような構成の医療用ガイドワイヤ10を製造するに際しては、先ず、中空撚線コイル体12が、複数の金属素線12aを所定の内層芯体上に撚り合わせて、外層としてなるストランドを用いて、以下のようにして有利に形成されるのである。
【0032】
すなわち、先ず、通常のロープ撚線機を用いて、複数の金属素線を螺旋状に撚り合わせて、図3に示されるようなストランド20が形成される。そこでは、ストランド20は、中心部に位置する1本の金属素線20aの回りに6本の金属素線20bが撚り合わされ、それによって、内層芯体20cが形成されていると共に、そのような内層芯体20cの外周に、12本の金属素線12aが同一円周上に位置するように撚り合わされることによって、外層が形成されてなる構造を呈している。
【0033】
なお、そのようなロープ撚線機を用いたストランド20の形成に際しては、金属素線12a、20a、20bに対して、従来と同様な型付け(プリフォーム)が施され、好ましくは90〜98%、特に90〜95%程度の型付け率にて、撚線が行なわれることにより、大きな可撓性が得られ、また耐疲労性が向上し、更に素線の撚りに基づく内部応力を除去し、切断時の反撥、素線の飛び出しを防止し得る利点を享受することが出来るのである。また、ロープ撚線機によって、複数の金属素線(12a)を同一円周上に沿って撚り合わせて形成した中空撚線コイル体12にあっては、隣接する素線12a、12a同士が、周方向に、撚り時の圧縮力を受け合うところから、それら素線12a、12a間に隙間が生じることがない特徴を発揮する。この場合において、撚りピッチは、金属素線(12a)の外径寸法の約7〜8倍の範囲に設定されることとなる。
【0034】
さらに、このようにして得られたストランド20に対して、ポストフォームを施し、以て隣接する金属素線12a、12a同士を締め付けて、接触圧を高め、それら素線12a、12a間の隙間及びばらけの防止を図るようにすることが、望ましい。これにより、隣接する素線12a、12a同士を密着させ、馴染みが良くなることにより、剛性が高まり、外径の均一で真円性の高い中空撚線コイル体12を、有利に形成することが出来ると共に、後述するトルク伝達性の増大を有利に図ることが出来るのである。なお、このポストフォームとしては、従来から知られている各種の方式を採用することが出来、例えば引張式、圧縮式、屈曲式の各成形方法を用いることが出来、また速度差を引張力に代えて型付けする方法を採用することも可能である。
【0035】
そして、かくの如くして得られたストランド20を用いて、それから目的とする中空撚線コイル体12を得るには、そのようなストランド20を所定の長さに切断し、その後に、素線20a、20bからなる内層芯体20cを機械的手段を採用して引き抜き、素線12aにて構成される外層としての外周部を残すことにより、芯のない、中空円筒形状を呈する中空撚線コイル体12が、形成され得るのである。このように、ストランド20において、その内層芯体20cは抜き去られることとなるところから、その抜き取り操作を容易にするために、それを構成する各素線20a、20bを伸びの大きな軟銅線等の軟質線を用いることは有効であり、また、内層芯体20cの外径が中空撚線コイル体12の内径よりも小さくなるように、素線20aや20bの線径を小さくすることも有効である。
【0036】
次いで、このようにして得られた中空撚線コイル体12に対して、その中空部12b内に、予め準備された、単線状の芯材14を挿通せしめる一方、それら中空撚線コイル体12と芯材14とを、中空撚線コイル体12の両端部においてプラズマ溶着やろう付け等の固着手段を採用して、相互に固定せしめた後、そのような中空撚線コイル体12の先端部から突出する先細形状の外方突出部14bの最先端部に、先端コイル18を、ろう付け等の固着手段にて固定せしめ、更にその後、外方突出部14bにおける先端コイル18と中空撚線コイル体12との間の部分に対して、樹脂チューブ16による被覆が施される。この樹脂チューブ16による被覆は、溶着、膨潤、拡径、乾燥、収縮等の手段を用いて、外方突出部14bの表面に固着せしめることにより、実現される。そして、その後、かかる樹脂チューブ16の外表面に対して、親水性樹脂をディッピング等の手法にてコーティングすることにより、親水性樹脂皮膜17が形成されることにより、目的とする、図1に示される如き医療用ガイドワイヤ10が得られるのである。
【0037】
ところで、上述の如き構成の医療用ガイドワイヤ10を製作するに際しては、芯材14の基部側本体部14aの外周面上に、金属素線12aの複数をロープ撚線の場合と同様に撚り合わせて、同一円周上に配置せしめて、中空撚線コイル体12を芯材14上に、直接に形成せしめる手法を採用することも考えられるが、その場合にあっては、通常のロープ成形操作の後、芯材14を突出させるために、その外側の撚線(12a)を切断せしめる際に、芯材14を傷つけ易く、その部分において折損する問題を内在しているのであるが、前記した図3に示される如き、ストランド20から、その内層芯体20cを引き抜くことにより、中空撚線コイル体12を得るようにすれば、そのような問題は、何等顧慮しなくて済むのである。
【0038】
しかも、かかる芯材14の中空撚線コイル体12から突出するテーパ形状の外方突出部14bには、人体内部への導入部位の如何により、または老若男女の個体差により、多種多様な柔軟性が要求され、そしてそれに応え得るように、テーパ形状を設定する必要があるが、そのような場合に、図3に示される如き構成に従って、中空撚線コイル体12に対して、芯材14を挿通せしめる組付方式を採用するようにすれば、前述の如き多種多様な柔軟性に対応した芯材を、それぞれ準備しておくだけで、その要求に充分に対応することが出来るのであり、特性の異なるガイドワイヤ10の多品種少量生産に対して、良好に応えることが出来るのである。
【0039】
また、例示の医療用ガイドワイヤ10においては、中空撚線コイル体12の中空部12b内に、弾性材料からなる単線状の芯材14が挿通する形態において、配置されているところから、そのようなガイドワイヤ10の使用に際し、人体内の深部への挿入時における押込み特性を向上させ得ることに加えて、芯材14の材質として、形状記憶合金、超弾性合金材であるNi−Ti系合金等を用いることにより、人体内屈曲細血管等の細管状器官の深部への挿入が容易となると同時に、その形状回復特性により、屈曲細管内から抜き出しても、その直線性が良好に維持され、患部への再トライが容易となる特徴を有している。
【0040】
さらに、かかる本発明の対象とする医療用ガイドワイヤ10においては、術者乃至は操作者が把持する後端手元側の部位には、芯材14の外周部に中空撚線コイル体12が配置されているところから、そのような中空撚線コイル体12を把持して回転させ、人体内の屈曲管内を前進させる際に、以下の如き優れた特徴を発揮することとなるのである。
【0041】
例えば、本発明者らの検討したところによれば、所定の屈曲管内で各種部材の先端部が回転し始めるときの後端手元側の回転角度やトルク力の測定結果よりして、中空撚線コイル体(12)は、トルク伝達性や応答性が優れているために、トルク感度が高く、遊びがないため、後端手元側に少しのトルクを与えるだけで、先端部が回転するという特徴を有しているのである。これに対して、コイルバネは、その先端部が回転し始めるまでに、後端手元側を大きく回転しなければならず、実用に適していないのである。
【0042】
また、本発明において用いられる中空撚線コイル体(12)は、正逆、何れの回転も、後端手元側と先端部との間に遅れのない、良好な応答性(リニアな応答性)傾向を示す。これに対して、中実線(真直線、Ni−Ti線)では、追随性に若干の遅れが認められ、その傾向は、Ni−Ti線に顕著である。これは、中空柔軟構造(中空撚線コイル体)と中実剛体構造との差異に起因するものと考えられる。つまり、中空構造とすることにより、捩じり抵抗モーメントが小さくなり、且つ剛性も低下して、屈曲総曲げ角度が大きくなる場合でも、その柔軟構造により、前述せる各種性能が向上させられることとなると推定されるのである。
【0043】
さらに、一定の負荷を加えたときの総曲げ角度と操作効率である荷重効率(%)との関係からして、中空撚線コイル体(12)の操作効率は、他のNi−Ti線や真直線に比べて高く、以て中空撚線コイル体の操作が極めて軽く、操作性に優れている。
【0044】
加えて、本発明に従う中空撚線コイル体(12)にあっては、複数の金属素線(12a)を撚り合わせて、同一円周上に配置せしめてなる撚線構造のものであるところから、その外表面には、螺旋状に微小な凹凸が形成されることとなり、これによって、そのような中空撚線コイル体(12)を把持する術者乃至は操作者の手の滑りを阻止し、所望の位置にまでガイドワイヤを導入させ易いという特徴も有しているのである。特に、撚線時の撚り方向を変えることにより、右回転または左回転の何れかの方向において、かかる滑り止め性能を高めることが出来るのである。なお、かかる中空撚線コイル体12の外表面には、PTFE樹脂コート等の薄層の樹脂被覆を施しても、その膜厚は5〜15μm程度であるところから、それによって、その滑り止め性能が大きな影響を受けるようなことがなく、同様な作用・効果を享受することが出来るのである。
【0045】
なお、本発明は、以上に例示した医療用ガイドワイヤ10の構造のみに限定して解釈されるものでは決してなく、以下に例示の如き構造のガイドワイヤも、また、採用可能である。
【0046】
例えば、図4に示される医療用ガイドワイヤ30は、中空撚線コイル体32の中空部内に挿通された、弾性材料からなる、単線状の芯材34の、外方に突出する先細テーパ形状の外方突出部34bを、その軸方向の最先端部まで、外周面の全面を覆うように、硫酸バリウムの40%を含むポリウレタンからなる樹脂チューブ36が、中空撚線コイル体32と略同様な外径において溶着固定せしめられて、構成されている。なお、かかる樹脂チューブ36の外表面には、図示はされていないが、親水性樹脂皮膜として、ポリビニルピロリドンのコーティング層が形成されている一方、中空撚線コイル体32の外表面にも、ポリテトラフルオロエチレンからなる樹脂被覆が、8μmの膜厚において形成されている。
【0047】
このような構造のガイドワイヤ30にあっても、中空撚線コイル体32やそれに挿通される芯材34の使用、更には樹脂チューブ36の固着による作用・効果は、前記した例と同様であるが、特に、樹脂チューブ36部分の外表面のみに親水性樹脂コートが施されることにより、手元部での術者の手の滑りを防止し、且つ屈曲細管内へ侵入する樹脂チューブ36部分に親水性樹脂コートが存在することによって、深部への挿入が容易となる作用・効果がある。
【0048】
また、図5に示される医療用ガイドワイヤ40は、図4に示されるガイドワイヤ30とは異なり、ガイドワイヤの全表面が所定の樹脂にて被覆されて、電気絶縁性とされているところに、特徴を有している。具体的には、中空撚線コイル体42及び芯材44の外方突出部44bの外表面の全てが、樹脂にて被覆されているのであり、ここでは、中空撚線コイル体42の外表面上には、フッ素樹脂(PTFE)チューブまたはポリエチレン(PE)チューブを溶着させたり、或いはフッ素樹脂またはポリエチレンのコーティングが施されて、樹脂被覆48が形成されている一方、ポリウレタンチューブからなる樹脂チューブ46にて、芯材44の外方突出部44bが覆われ、更に樹脂チューブ46の外表面には、ポリビニルピロリドンからなる親水性樹脂皮膜が形成されている。
【0049】
このように、ガイドワイヤ40の全外表面が、所定の樹脂にて被覆されていることにより、絶縁特性が付与され、内視鏡を用いた作業において、有利に使用されることとなる。要するに、樹脂にて外表面全体を包皮するため、絶縁特性に優れると共に、先端部はポリウレタン樹脂により、親水性樹脂の付着力が高く、長期安定して、その滑り性が高く、且つ手元部はPE、PTFE樹脂等を使用することによって、ある程度の滑り性能を確保しつつ、撚線の各素線相互の隣線間内へ樹脂を介在させた構造とすることが出来るため、樹脂のアンカー効果により、元々滑り性能の高いPE、PTFE樹脂であっても、撚線材に対して有効な固着を行なうことが出来、通常の丸棒材に比較して、樹脂被覆の剥離強度を高くすることが出来ることとなる。
【0050】
さらに、図6に示される医療用ガイドワイヤ50は、その芯材54が、前記各例における中空撚線コイル体を構成している金属素線と同様な材質の素線54aの複数を撚り合わせてなるストランドから構成されているところに、大きな特徴を有しており、ここでは、SUS304からなる素線の3本からなる撚線にて構成されている。そして、そのような3本撚線からなる芯材54の先端側の所定長さ部分が、グレーバ等の研削装置を用いて、先細のテーパ形状に切削乃至は研磨されて、ガイドワイヤ先端側が、より柔軟な屈曲性を有するように構成されている。そして、そのテーパ形状の外周面を覆うように、同一径において、ポリウレタン等の材質からなる樹脂チューブ56が溶着され、更にその外周面には、前例と同様なポリビニルピロリドン等の親水性樹脂コーティングが施されている一方、図において下側となる手元側の芯材54の外周面にも、フッ素樹脂チューブ又はポリエチレンチューブの溶着やポリエチレンのコーティングによって、所定の樹脂被覆58が前記樹脂チューブ56と略同径を呈するように施されており、これにより、全体として絶縁タイプのガイドワイヤが形成されている。
【0051】
このような構造のガイドワイヤ50にあっても、図5に示されるガイドワイヤ40と同様に、芯材54の全表面が2種の樹脂にて被覆されているところから(樹脂チューブ56+樹脂被覆58)、優れた電気絶縁性が付与され得ることに加えて、それぞれの樹脂被覆に応じた特性を享受することが出来、また樹脂被覆自体の耐剥離性を向上させることも可能である。
【0052】
加えて、図7に示される医療用ガイドワイヤ60は、図6に示されるガイドワイヤ50と同様に、芯材64として、3本撚りタイプの撚線を用いていると共に、その先端側の細径とされた部分には、ポリウレタン等からなる樹脂チューブ66が、溶着固定せしめられて、構成されている。そして、図示はされていないが、そのような樹脂チューブ66の外表面には、親水性樹脂皮膜が形成されている一方、芯材64の後端手元側部分には、PTFE等のフッ素樹脂コートが施されている。
【0053】
そして、かかる図7に示される如きガイドワイヤ60においては、手元側が3本撚りの撚線構造である一方、挿入するに際しての先端側部分が樹脂コートタイプの構造とされているところに、大きな特徴を有している。そして、ここでは、3本撚りの撚線構造を用いていることにより、特に、図に示される構造においては、把持が容易であって、滑り難く、且つ体内深部への押し込み特性が高いという特徴を有している。また、体内への挿入先端側部分には、親水性樹脂が付着し易い、更には強固に付着可能なポリウレタン樹脂等の樹脂チューブによる被覆が施されていることにより、体内屈曲細管内での操作が極めて容易となる、等の特徴を有しているのである。
【0054】
さらに、本発明にあっては、また、図8に示される如き構造の医療用ガイドワイヤ70も、有利に採用され得るのである。そのようなガイドワイヤ70は、図9において、それぞれ(a)、(b)及び(c)として示される、中空撚線コイル体72と芯材74とコイルスプリング76とから構成されている。なお、ここでは、中空撚線コイル体72は、0.17mmφのSUS304材質の素線12本を撚り合わせて形成されており、また芯材74は、0.40mmφのSUS304材質の単線を用い、その先端側の所定長さ部分に、テーパ加工が施されて、先細形状とされていると共に、最先端の5mm長さの部分が、0.10mmφの同径部分とされており、更にコイルスプリング76は、0.15mmφのSUS304材質のコイルからなる0.89mmφの外径を有するものとして、形成されている。
【0055】
そして、かかる中空撚線コイル体72と芯材74とコイルスプリング76とを用いて、目的とするガイドワイヤ70を製作するに際しては、中空撚線コイル体72の中空部内に芯材74を挿通せしめ、その先端側の細径なテーパ状部分を突出せしめた状態において、それら中空撚線コイル体72と芯材74とを、中空撚線コイル体72の外側端部ではプラズマ溶着により、また内側端部ではろう付けにより、それぞれ固定せしめることによって、組み付ける一方、中空撚線コイル体72の先端部から突出せしめられた芯材74の細径化部分には、コイルスプリング76が外挿され、そのようなコイルスプリング76の先端側部位と芯材74の細径側の先端部位とが、プラズマ溶着されると共に、コイルスプリング76の中空撚線コイル体72の内側端部が、芯材74に対して、ろう付けせしめられることによって、それら芯材74とコイルスプリング76とが固定せしめられることにより、ガイドワイヤ70が構成されている。なお、中空撚線コイル体72やコイルスプリング76の少なくとも外表面には、PTFE等の樹脂を用いたコーティングが、所定厚さ(ここでは、8μm)において、施されている。
【0056】
従って、このような構造のガイドワイヤ70にあっては、芯材74の先細とされた先端側部分の全長に亘って、所定の金属素線を巻回成形したコイル体であるコイルスプリング76が挿着されているところから、先の例における如き樹脂チューブによる被覆方式に比べて、極めて柔軟性が高いという特徴を発揮し、それによって、特に、分岐屈曲細管内、中でも細血管内へ挿入するに際し、その屈曲形状に良好に順応して、深部へ効果的に挿入せしめ得るのである。
【0057】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示であって、本発明は、そのような実施形態における具体的記載によって限定的に解釈されるものでないことが、理解されるべきである。
【0058】
例えば、本発明の対象とする医療用ガイドワイヤのサイズ、具体的には中空撚線コイル体の長さ、外径、中空撚線コイル体より突出せしめられる芯材の長さ、先端側樹脂被覆の厚さや外径、芯材の最先端部位に挿着される放射線不透過性の金属製コイルの長さや外径等は、ガイドワイヤの用途に応じて適宜に選定されることとなるが、一般に、ガイドワイヤの長さ、換言すれば芯材の全長としては、1000〜3000mm程度、ガイドワイヤの外径寸法としては、0.35〜1.0mm程度、中空撚線コイル体から突出せしめられる芯材の先端側先細部分の長さとしては、150〜700mm程度とされることとなる。
【0059】
また、中空撚線コイル体の先端部から突出せしめられる芯材の外方突出部における先細形状としては、テーパ形状のみならず、一段乃至複数段の段付き形状としても、何等差し支えなく、更にはテーパ形状と同一径部分との組合せも採用することが出来、何れにしても、芯材の最先端において、尤も小径となる形態となるように、テーパ形状や段付き形状が適宜に採用されることとなる。
【0060】
さらに、中空撚線コイル体と芯材との固定、芯材の最先端部における金属製コイルの固定、芯材の先細形状部における樹脂チューブの固定には、先に例示の如き、プラズマ溶着、ろう付け、または熱溶着からなる固着手法が採用されているが、これに代えて、適当な接着剤を用いた接着・固定手法を採用することも、可能であり、更には樹脂チューブを用いた樹脂被覆を行なうに際しては、そのような樹脂チューブを溶剤にて膨潤せしめた後、芯材を挿入せしめ、その後、乾燥して、樹脂チューブを収縮させることによって、芯材の外周面に固着させるようにすることも、可能である。
【0061】
加えて、中空撚線コイル体に対する樹脂被覆にあっても、そのような中空撚線コイル体が形成された後、その外周部に対して所定の樹脂を用いたコーティング操作を行なうことにより実現される他、中空撚線コイル体を構成する金属素線に予め所定の樹脂コーティングを施しておき、そしてその樹脂被覆素線を用いて、該中空撚線コイル体を得るようにすることも可能である。
【0062】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、またそのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【0063】
【発明の効果】
以上に説明してきたところから明らかなように、本発明の対象とする医療用ガイドワイヤにおいては、人体内の深部への挿入時における押し込み特性が、効果的に高められ得ていると共に、回転操作時におけるトルク応答性やトルク伝達性が高いために、屈曲した細管内への挿入時における操作性が、著しく向上せしめられ得るのである。
【0064】
そして、本発明に従う医療用ガイドワイヤの製造方法によれば、そのような特徴を有するガイドワイヤを有利に且つ容易に製造し得ると共に、ガイドワイヤ先端部位の柔軟性を種々異ならしめたものの製造にも、容易に対応し得るという特徴有しているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の対象とする医療用ガイドワイヤの一例に係るものの全体構成を示す説明図(一部拡大断面図付き)である。
【図2】図1に示される医療用ガイドワイヤに用いられる部材の説明図であって、(a)は中空撚線コイル体の斜視説明図であり、(b)は芯材の説明図である。
【図3】図1に示される医療用ガイドワイヤの製造工程の一例を示す横断面説明図である。
【図4】 本発明の対象とする医療用ガイドワイヤの他の一例の概略を示す説明図である。
【図5】医療用ガイドワイヤの異なる一例を示す全体説明図である。
【図6】医療ガイドワイヤの他の一例を示す全体説明図である。
【図7】医療用ガイドワイヤの更に異なる一例を示す全体説明図である。
【図8】 療用ガイドワイヤの他の異なる例を示す全体説明図である。
【図9】図8に示される医療用ガイドワイヤの各部材の説明図であって、(a)は中空撚線コイル体の説明図、(b)は芯材の説明図、(c)はコイルスプリングの説明図である。
【符号の説明】
10、30、40、50、60、70 ガイドワイヤ
12、32、42、72 中空撚線コイル体
12a、20a、20b、54a 金属素線
12b 中空部
14、34、44、54、64、74 芯材
14a 基部側本体部
14b、34b、44b 外方突出部
15、19 金属製チップ
16、36、46、56、66 樹脂チューブ
17 親水性樹脂皮膜
18 先端コイル
20 ストランド
20c 内層芯体
48、58 樹脂被覆
76 コイルスプリング

Claims (2)

  1. 複数の金属素線を所定の内層芯体上に撚り合わせて、外層を形成してなる構造のストランドを準備する工程と、
    該ストランドの前記内層芯体を抜去することにより、前記撚り合わされた複数の金属素線が同一円周上に配置された、芯のない中空形状を呈する中空撚線コイル体を得る工程と、
    該中空撚線コイル体の中空部内に、先端側が小径とされた弾性材料からなる単線状の芯材を挿通せしめて、かかる先端側の小径部分を該中空撚線コイル体の先端部から外方に所定長さで突出せしめる一方、それら中空撚線コイル体と芯材とを、該中空撚線コイル体の両端部において相互に固定せしめる工程とを、
    含むことを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
  2. 複数の金属素線を所定の内層芯体上に撚り合わせて、外層を形成してなる構造のストランドを準備する工程と、
    該ストランドの前記内層芯体を抜去することにより、前記撚り合わされた複数の金属素線が同一円周上に配置された、芯のない中空形状を呈する中空撚線コイル体を得る工程と、
    該中空撚線コイル体の中空部内に、先端側が小径とされた弾性材料からなる単線状の芯材を挿通せしめて、かかる先端側の小径部分を該中空撚線コイル体の先端部から外方に所定長さで突出せしめる一方、それら中空撚線コイル体と芯材とを、該中空撚線コイル体の両端部において相互に固定せしめる工程と、
    該中空撚線コイル体の先端部から突出する前記芯材の外方突出部の外周部に対して、その軸方向の所定長さに亘って覆うように、所定の樹脂材料を用いて樹脂被覆を施す工程と、
    該中空撚線コイル体の先端部から突出する前記芯材の外方突出部に対して、その外周部を取り巻くように、金属製コイルを取り付ける工程とを、
    含むことを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
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