JP2005345746A - Ndフィルタの製造装置、ndフィルタの製造方法、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の基板102が取り付けられた回転機構101を回転させ、蒸着源103またはターゲット等から到達した成膜材をこれらの基板に付着させ、グラデーション濃度分布を有する膜を成膜するNDフィルタの製造装置であって、前記基板102と蒸着源103またはターゲット等との間に、任意の数、任意の形状をしたスリットを備えた、前記回転機構と同じ回転中心を持つマスク機構106を有し、該マスク機構を前記回転機構に取り付けられた基板との相対位置を初期状態から変えることなく前記回転機構と同時に回転可能に構成する。
【選択図】 図1
Description
光量絞りは、銀塩フィルムあるいはCCD等への固体撮像素子へ入射する光量を制御するために設けられており、被写界が明るい場合により小さく絞り込まれる様になっている。
したがって、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると絞りは小絞りとなり、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
従来においては、これに対する対策として絞り羽根にフィルム状のNDフィルタを取りつけて、被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫がなされてきた。
因みに図12で6A、6B、6C、6Dは撮影光学系6を構成するレンズ、7は固体撮像素子で8はローパスフィルタである。また11から14は絞り装置で、11がNDフィルタ、12と13が対向的に移動する絞り羽根で、2枚の絞り羽根は略菱形の開口を形成する。NDフィルタは普通、絞り羽根に接着されている。14は絞り羽根支持板である。
以上のような“シェーディング”現象に基づく解像度の低下を解決するため、NDフィルタの濃度を光軸中心に向かって順次透過率が大となるような構造を取る必要があるが、従来においては、そのために以下に述べるような様々な工夫がなされてきている。
一般的にNDフィルタの作製方法としては、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素または顔料を混ぜ、練り込むタイプのものと、前記材料に光を吸収する有機色素または顔料を塗布するタイプのものがある。これらの製造方法では、濃度が均一なフィルタは作製可能であるが、濃度が順次淡、若しくは順次濃と変化するタイプのフィルタ(グラデーションフィルタ)を作製する事は著しく困難である。
また、上記高画質対応の対策として、単一濃度のNDフィルタを複数の絞り羽根に接着して、駆動させることにより、単一濃度フィルタでも複数重なった部分と重ならない部分とから、濃度変化させることは可能である。しかしながら、この方法ではNDフィルタの枚数が増えることによるコスト高になること、及び絞り羽根に複数枚NDフィルタが存在することにより厚くなってしまい、近年の小型・省スペース化に対応できない等の欠点がある。
このような現象の解決には、連続的に濃度を変化させたグラディエントなNDフィルタが必要である。そのため、本発明者らは特許文献5、特許文献6等において、真空蒸着法等を用い、基板に対しスリット型マスクを設け、スリット型マスクを該基板と一体的にドーム上を公転させ、成膜蒸着源と基板との位置関係から、該基板に蒸着させる蒸着粒子が該スリット型マスクを通過して基板に到達できたり、スリット型マスクに遮られ基板まで到達できなかったりすることで、グラデーション濃度分布を有するNDフィルタを製造する方法を提案している。
また、本発明のNDフィルタの製造方法は、回転機構を回転させ、該回転機構に取り付けられた複数の基板に、蒸着源またはターゲット等から到達した成膜材を付着させ、少なくとも2種類以上の層からなる膜を積層してグラデーション濃度分布を有する膜を形成するNDフィルタの製造方法であって、前記基板と蒸着源またはターゲット等との間に配置された、任意の数、任意の形状をしたスリットを備えた、前記回転機構と同じ中心軸を持つマスク機構を用い、該マスク機構を前記回転機構に取り付けられた基板との相対位置を初期状態から変えることなく前記回転機構と同時に回転させて、前記基板上に成膜する工程を有している。
また、本発明の光量絞り装置は、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、前記NDフィルタが、上記したいずれかに記載のNDフィルタの製造装置によって製造されたNDフィルタ、または上記したいずれかに記載のNDフィルタの製造方法によって製造されたNDフィルタによって構成されている。
また、本発明のカメラは、光学系と、該光学系を通過する光量を制限する上記の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有している。
図1は本実施の形態に用いる真空蒸着機の構成を説明する図であり、(a)は真空蒸着機におけるチャンバー内の構成を示す簡易図、(b)は基板の拡大図である。
図1において101は蒸着傘であり、また、102は成膜を施す基板、103は蒸着源、104は実際に成膜を実施する基材、105は基材104を固定するための基板治具、106はマスク機構である。真空蒸着機においては蒸着傘101によって回転機構が構成され、蒸着傘101に成膜するための基板が取り付けられている。なお、本実施の形態において説明する基板102とは、図1(b)に示すように基板治具105に基材104がセットされた状態のものを意味している。
また、図4は図2及び図3で示した蒸着傘とマスク機構を重ねた際の鳥観図であり、図5はマスク機構に設けたスリット形状を変えた際のマスク機構の例である。
つぎに、本実施の形態における成膜について説明する。
まず、従来例の真空蒸着法による成膜について説明すると、従来例においては、図1(a)の様にチャンバー内の基板は蒸着傘101に備え付けられ、この蒸着傘101と共に基板102が回転し成膜が行われる。その際、基板に所定間隔を置いて設けたマスクを取りつけ、このマスクを前記基板と一体的に蒸着傘101と共に回転させて成膜する構成が採られていた。
本実施例は、上記した本発明の構成及び実施の形態を、光量絞り用NDフィルタの作製方法に適用したものであり、これらを図を用いて説明する。
まず、材質厚75μmのプラスチック基材(以下、PET基材と記す)上に、真空蒸着法により図11に示す膜構成のうち第1層から最表層手前までを形成した。
マスク機構は図1(a)に示す様に、蒸着傘から蒸着源側にZ軸を平行移動した位置に配置した。
マスク機構の外形は、蒸着傘と同じものを使用し、マスク機構に設けたスリットの形状は図6で示す様に直線形を使用した。
また、スリット位置は、図2で示す様に蒸着傘とマスク機構を重ね合わせると成膜基板位置に重なる様に配置した。
110℃を選んだのは、100℃未満では環境安定性向上の効果が不十分であり、130℃を超えると基材の熱的劣化を生じて膜にクラックが発生する等問題が発生する。したがって、熱処理の温度は、110℃から130℃の間が適当である。
このような現象が起きる要因としては、真空蒸着時の基板温度が低いことあげられる。
膜の封止密度は成膜時の基板温度が大きく影響し、温度が低いと封止密度が低くなり、水分・酸素等を透過しやすく、そのため吸収膜であるTixOy自体の酸化が促進されること、及びそれを保護するAl2O3膜等の誘電体膜の保護効果が少ないことの両方の影響から透過率が上昇するものと考えられる。熱処理を行うと環境安定性が向上するのは、“エージング効果”であると考えられる。
通常、ガラス基板を用いる場合、基板温度は200℃〜250℃、望ましくは300℃前後まで加熱して成膜する。
しかし、今回のように基板がプラスチックの場合、基板が熱収縮を起こさない温度で成膜する必要があり、その基板温度は150℃未満に制約される。
但し、これは第1層から第8層までの分布である。最表層は一定膜厚である。
このように成膜されたNDフィルタが所定の形状に切り抜かれて羽根に接着されるまでの一例を示すと、図19(a)のようなパターンを作製して、略三角形の形状に切り抜き、その後、この略三角形状に切り抜かれたNDフィルタ1を絞り羽根2に貼って図20の状態になる。フィルタ1枚は図19(b)のようになっていて、0が端面部でそこからX1X2X3までが濃度変化領域である。X3からX4は最も濃い均一濃度が形成されている。X4からX5はフィルタを羽根に接着するための接着領域である。
またこの時の距離と透過率は図15、距離と反射率の関係は図16に示すようになった。
さらに分光透過率は17図、分光反射率は図18に示すようになった。
また、部分的に膜厚が変化する時に発生する、反射防止条件の変化による反射率増大も抑えられ、これらを用いることにより、光量の均一性の向上した高画質対応に応えられる絞り装置及び該絞り装置を備えたカメラを実現することができる。
102:基板
103:蒸着源
104:基材
105:基板治具
106:マスク機構
107:スリット
108:マスク機構に設けたスリットの幅
109:蒸着傘とマスク機構との距離
Claims (8)
- 複数の基板が取り付けられた回転機構を回転させ、蒸着源またはターゲット等から到達した成膜材をこれらの基板に付着させ、グラデーション濃度分布を有する膜を成膜するNDフィルタの製造装置であって、
前記基板と蒸着源またはターゲット等との間に、任意の数、任意の形状をしたスリットを備えた、前記回転機構と同じ回転中心を持つマスク機構を有し、該マスク機構を前記回転機構に取り付けられた基板との相対位置を初期状態から変えることなく前記回転機構と同時に回転可能に構成されていることを特徴とするNDフィルタの製造装置。 - 前記マスク機構は、前記回転機構と同じ外形を有することを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタの製造装置。
- 回転機構を回転させ、該回転機構に取り付けられた複数の基板に、蒸着源またはターゲット等から到達した成膜材を付着させ、少なくとも2種類以上の層からなる膜を積層してグラデーション濃度分布を有する膜を形成するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と蒸着源またはターゲット等との間に配置された、任意の数、任意の形状をしたスリットを備えた、前記回転機構と同じ中心軸を持つマスク機構を用い、該マスク機構を前記回転機構に取り付けられた基板との相対位置を初期状態から変えることなく前記回転機構と同時に回転させて、前記基板上に成膜する工程を有することを特徴とするNDフィルタの製造方法。 - 前記成膜に際して、前記回転機構と前記マスク機構との距離、または前記マスク機構におけるスリットの幅、等を任意に設定することを特徴とする請求項3に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記基板上に成膜した後、100℃から130℃の温度で空気中で熱処理する工程を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記マスク機構を用いて成膜する工程によって最表層以外のグラデーション濃度分布を有する膜を成膜し、前記マスク機構を用いずに成膜する工程によって最表層の膜を成膜することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
- 相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、
前記NDフィルタが、請求項1または請求項2のいずれかに記載のNDフィルタの製造装置によって製造されたNDフィルタ、または請求項3〜6のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法によって製造されたNDフィルタによって構成されていることを特徴とする光量絞り装置。 - 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項7に記載の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴とするカメラ。
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