JP2005343887A

JP2005343887A - エラスターゼ阻害剤

Info

Publication number: JP2005343887A
Application number: JP2005126684A
Authority: JP
Inventors: Shigeru Moriwaki; 繁森脇; Naoko Morizaki; 尚子森崎; Christine Hall; ホールクリスチン
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2004-05-28
Filing date: 2005-04-25
Publication date: 2005-12-15
Also published as: US20070116659A1; US20050265946A1; US20100189709A1

Abstract

【課題】体毛の発育抑制作用並びに皮膚の弾力やハリ及びしわの改善等の皮膚老化防止効果を発揮する医薬又は化粧料の提供。
【解決手段】タンパク加水分解物（但し、大豆及びアーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とするエラスターゼ阻害剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、エラスターゼ阻害剤に関する。

エラスチンは、動脈や腱、皮膚などの伸展性に富んだ組織に見られる構造タンパク質である。皮膚組織内のエラスチンは互いに架橋を作って組織の弾性に寄与しているが、紫外線暴露や加齢により、エラスチン破壊酵素であるエラスターゼが過剰に発現されるとエラスチンが変性、破壊され、これにより皮膚の弾力性が低下すると考えられている。一方、近年、皮膚組織内のエラスターゼ活性が、毛周期と極めて良く対応すること、すなわち毛包形成期（成長期）にはエラスターゼ活性が上昇し、移行期もしくは休止期にはその活性が低下し、皮膚組織内エラスターゼ活性の上昇が毛包形成及びその成長に不可欠であることが報告されている（特許文献１参照）。

従って、皮膚組織内のエラスターゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力やハリを与え、また発毛を抑制できるという点で重要である。

頭髪や体毛は、生物学的には頭部、胸部、手足等の重要な器官を防護するものであるが、衣服や保護具等の防護手段が現れ、発達するに従って、体毛が担う器官防護機能は重要ではなくなってきた。また、近年、特に手足等における体毛は美的外観上は無い方が好ましいとする傾向が高まり、このため、体毛除去処理回数を減少させることのできる発毛抑制剤の開発が望まれているところである。

一方、ミルクタンパク質(カゼインとホエイタンパク質)、とうもろこし由来タンパク質、ひまわり由来タンパク質、魚由来タンパク質等の加水分解物にはアンジオテンシンI変換酵素阻害作用、小麦グルテンやカゼインの加水分解物には鎮痛作用、米タンパク質や大豆タンパク質の加水分解物には免疫調節作用、ミルクタンパク質の加水分解物には必須脂肪酸の過酸化を防御する作用などが報告されている（非特許文献１参照）。
しかしながら、斯かるタンパク加水分解物がエラスターゼ阻害作用を有することは知られていない。
特開平１１−１９９４５０号公報 Kitts DD, Weiler K, Curr. Pharm. Des. 2003;9(16):1309-23

本発明は、エラスターゼの活性を阻害することにより、体毛の発育抑制作用並びに皮膚の弾力やハリ及びしわの改善等の皮膚老化防止効果を発揮する医薬又は化粧料を提供することに関する。

本発明者らは、エラスターゼ阻害活性を有し、且つ安全性の高い天然物を探索したところ、種々のタンパク加水分解物にエラスターゼ阻害作用があり、発毛の抑制や皮膚老化を防止するための医薬又は化粧料として有用であることを見出した。

すなわち、本発明は、タンパク加水分解物（但し、大豆及びアーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とするエラスターゼ阻害剤を提供するものである。

また、本発明は、タンパク加水分解物（但し、大豆及びアーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とする発毛抑制剤を提供するものである。

また本発明は、タンパク加水分解物（但し、アーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とする皮膚老化防止剤を提供するものである。

本発明のタンパク加水分解物は、エラスターゼ阻害作用を有し、且つ安全性が極めて高いことから、発毛抑制効果及び皮膚老化防止効果を発揮する安全性の高い医薬又は化粧料として有用であり、これを用いることにより体毛除去処理の頻度、例えば除毛や髭剃りのためのカミソリ処理頻度の軽減等を図ることができる。

本発明のエラスターゼ阻害剤とは、エラスターゼ（エラスチン分解酵素）の分解を阻害するものをいい、特に線維芽細胞由来のエラスターゼを特異的に阻害するものが好ましい。例えば、１２５mM Ｎ−Ｓｕｃ−（Ａｌａ）₃−ｐ−ニトロアニリドを基質とした酵素活性測定系において酵素阻害活性を示す物質をエラスターゼ阻害剤とすることができる。尚、ここでいう酵素阻害剤とは酵素との結合等により触媒作用を妨げる物質をいい、タンパク変性等を起こさせて酵素活性を失活させるような物質は含まれない。特に本発明のエラスターゼ阻害剤は、効果の点から、０．０３重量％（固形分換算）で１０％以上の酵素阻害活性を有するものが好ましく、３０％以上、５０％以上、７０％以上の阻害活性を有するものがより好ましい。

本発明におけるタンパク加水分解物としては、タンパクを含有する原料を酵素や酸、アルカリ等により加水分解して得られる分解物が挙げられ、特にエラスターゼ阻害効果の点から酵素分解したものが好ましい。

タンパク含有原料としては、例えば、乳、絹、小麦、トウモロコシ、米、エンドウマメ、オーツ、ひまわり、魚類、海藻類、カゼイン、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、大豆等が挙げられ、このうち、乳、絹、小麦、米、エンドウマメ、オーツ、コラーゲン、エラスチン、ケラチンが好ましい。

斯かるタンパク加水分解物は、平均分子量が１０，０００以下であることが望ましく、更に４，０００以下であるのが好ましい。
酵素による加水分解は、通常、タンパク質として１〜３５重量％、好ましくは５〜１５重量％を含有する溶液とし、用いる酵素の作用pH域、作用温度域で、酵素を作用させればよい。

加水分解に用いられる酵素としては、目的タンパク質を分解できるものであればよく、エキソプロテアーゼでもエンドプロテアーゼでもよく、また動物起源、植物起源あるいは微生物起源の何れでもよい。具体的には、例えば、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ等のセリンプロテアーゼ、パパイン、フィシン、ブロメライン等のチオールプロテアーゼ、ペプシン等のカルボキシプロテアーゼ等が挙げられる。

酵素分解の処理時間は、使用するタンパク分解酵素の活性や量にもよるが、通常５分〜３０時間程度、好ましくは３０分〜１０時間程度とするのがよい。

酸・アルカリを用いた加水分解処理は、例えば、タンパク含有原料を水及び／又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコール等の１種又は２種以上の混合物、好ましくは水及び／又はエタノールに、１〜３０vol％の硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等の酸、又は０．１〜１０Ｎの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを加えた混合物に、通常１０〜８０℃で浸漬することにより行われる。

上記の加水分解処理により生じた加水分解物は、必要に応じて遠心分離、塩析、ろ過により精製処理し、乾燥して用いることができる。

尚、斯かるタンパク加水分解物は、市販品をそのまま、或いは適宜精製処理して使用することもできる。市販品としては、例えば、絹タンパク加水分解物：「Solu-Silk Protein」（Arch）、乳タンパク加水分解物：「Hydromilk Protein EN-20」（Arch）、米タンパク加水分解物：「Rice-Pro-Tein BK」（Maybrook）、小麦タンパク加水分解物：「Wheat-Tein NL」（Maybrook）、エンドウマメタンパク加水分解物：「Pea Pro-Tein BK」（Maybrook）、ケラチン加水分解物：「Kera-Tein 1000」（Maybrook）、コラーゲン加水分解物：「Cosmetic N-55」（Maybrook）、オーツタンパク加水分解物：「Cosmoist 0-25」（Croda）等が挙げられる。

斯くして得られたタンパク加水分解物は、後記実施例に示すようにエラスターゼ阻害活性を有する。従って、当該タンパク加水分解物を有効成分とする製剤は、発毛抑制効果、しわ改善等の皮膚老化防止効果を有する化粧品、医薬品又は医薬部外品として有用である。

本発明のエラスターゼ阻害剤、発毛抑制剤及び皮膚老化防止剤は、皮膚外用剤の形態とすることが好ましく、例えば、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、クリーム、ローション、ジェル、フォーム、エッセンス、ファンデーション、パック、スティック、パウダー等とすることができる。

特に発毛抑制剤は、除毛、脱毛、髭剃り等の体毛除去処理関連の化粧料とすることが好ましく、具体的には、ペースト状、クリーム状、エアゾール状等の除毛剤、ワックス状、ジェル状、シート状等の脱毛剤、除毛又は脱毛の後処理に用いるローション、クリーム等の後処理料、デオドラントローション、デオドラントパウダー、デオドラントスプレー、デオドラントスティック等の制汗・防臭化粧料、プレシェーブローション等の髭剃り前処理料、シェービングクリーム等の髭剃り料、アフターシェーブローション等の髭剃り後処理料等とするのが好ましい。

本発明のエラスターゼ阻害剤、発毛抑制剤及び皮膚老化防止剤におけるタンパク加水分解物の配合量は、当該発毛抑制効果及び皮膚老化防止効果を発揮し得る有効量を含有させればよいが、０．００００１〜５０重量％、好ましくは０．１〜１０重量％、更に好ましくは０．５〜１０重量％が望ましい。特に発毛抑制効果については、その効果を十分に発揮させる観点から本発明における蛋白加水分解物を０．１重量％以上、特に０．５重量％以上配合するのが好ましい。

本発明の発毛抑制剤及び皮膚老化防止剤には、製剤化に通常用いられる各種成分、例えば化粧料成分として一般的に使用される油分、界面活性剤、精製水、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、乳化剤、乳化安定剤、色素類、香料等の他、紫外線吸収剤、美白剤、保湿剤、皮脂分泌抑制剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸化防止剤、溶剤等の成分を任意に組合わせて配合し、化粧品、外用医薬品、医薬部外品として製剤化することができる。

特に、発毛抑制剤には、角質溶解剤やチオグリコール酸又はその塩等の制毛脱毛作用を有する成分を適宜加えることができる。当該角質溶解剤としては、例えば乳酸、ビオプラーゼ、サリチル酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられ、チオグリコール酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられる。これらの角質溶解剤、チオグリコール酸又はその塩の配合量は、０．０１〜１０重量％、特に０．０５〜５重量％が好ましい。

試験例１エラスターゼ活性抑制試験
大日本製薬社より市販されている正常ヒト繊維芽細胞を１０％牛胎児血清を含むＤＭＥ培地で継代培養し、本試験に供した。ラバーポリスマンを用いてシャーレから剥がした細胞を、生理食塩水に浮遊させ、低速の遠心分離器を使って細胞を集め、生理食塩水で３回洗浄した。細胞は、０．１％ Triton X-100／０．２Ｍ Tris-HCl buffer（pH８．０）に浮遊させ超音波破砕し、酵素液とした。酵素活性測定の基質には１２５mM Ｎ−Ｓｕｃ−（Ａｌａ）３−ｐ−ニトロアニリドを用いた。酵素液に表１に示す各種タンパク加水分解物を最終濃度１％となるように添加し、３７℃で１時間反応させ、５μＬの酢酸を加えて反応を停止させた。分光光度計で４０５nmにおける吸光度を測定することにより、生成したｐ−ニトロアニリン量を求め、下記式に基づき、エラスターゼ活性抑制率（％）を算出した。その結果、タンパク加水分解物は、優れたエラスターゼ活性阻害作用を有していた（表１）。

（数１）
エラスターゼ活性抑制率（％）＝１００−(タンパク加水分解物を添加した時のｐ−ニトロアニリン量／タンパク加水分解物を添加しない時のｐ−ニトロアニリン量)×１００

Claims

タンパク加水分解物（但し、大豆及びアーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とするエラスターゼ阻害剤。
タンパク加水分解物が、乳タンパク、絹タンパク、小麦タンパク、米タンパク、エンドウマメタンパク、オーツタンパク、コラーゲン、エラスチン及びケラチンから選ばれるタンパク質の加水分解物である請求項１記載のエラスターゼ阻害剤。
タンパク加水分解物（但し、大豆及びアーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とする発毛抑制剤。
体毛除去処理の頻度を軽減するものである請求項３記載の発毛抑制剤。
体毛除去処理がカミソリ処理である請求項３記載の発毛抑制剤。
タンパク加水分解物（但し、アーモンドのタンパク加水分解物を除く）を有効成分とする皮膚老化防止剤。