JPH0959124A - 紫外線カット剤の製造法及び該カット剤を含有した化粧料 - Google Patents

紫外線カット剤の製造法及び該カット剤を含有した化粧料

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JPH0959124A
JPH0959124A JP21045595A JP21045595A JPH0959124A JP H0959124 A JPH0959124 A JP H0959124A JP 21045595 A JP21045595 A JP 21045595A JP 21045595 A JP21045595 A JP 21045595A JP H0959124 A JPH0959124 A JP H0959124A
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ultraviolet
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Shiho Inagaki
志穂 稲垣
Osamu Hashimoto
橋本  修
Takatoshi Nomura
恭稔 野村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線を吸収し、その刺激によるシワ、シ
ミ、ソバカス、肌のかさつき或いは髪の毛の傷みなどを
抑える紫外線カット剤を容易に製造し得る。抗酸化性、
膜形成能、保湿性及び安全性に優れた化粧料を得る。 【解決手段】 紫外線カット剤の製造法はケラチン原料
と過酢酸液とを混合した液を40〜60℃で30分〜5
時間加熱してケラチンを加水分解する第1加水分解工程
と、このケラチンが加水分解した液に水を添加混合して
この液を希釈する希釈工程と、この希釈した液を80〜
100℃で30分〜5時間加熱して更にケラチンを加水
分解することにより加水分解されたケラチンタンパク質
を得る第2加水分解工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間の肌や髪の毛
に有害な紫外線をカットする紫外線カット剤の製造法及
びこのカット剤を含有した化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紫外線はその波長領域によって生物学的
作用及び物理学的作用が異なっているために、長波長紫
外線UV−A(400nm〜320nm)、中波長紫外
線UV−B(320nm〜280nm)及び短波長紫外
線UV−C(280nm〜200nm)に分類されてお
り、そのうちUV−Cはオゾン層で遮断されたり、二酸
化炭素によって吸収されたりして地表にはほとんど到達
しない。従って太陽光線に含まれる紫外線で皮膚に対し
て悪影響を及ぼすものは、UV−AとUV−Bである
が、UV−Bも短波長域がオゾン層で吸収されるため、
地上に届くのは主としてUV−Aであり、このUV−A
によって皮膚に存在しているメラニン色素の前駆物質が
酸化され、メラニンを生成し黒くシミになるといわれて
いる。
【0003】UV−Bは皮膚の血管に吸収され、血管が
拡張し、血液が増え、血管の透過性が増し、皮膚が赤く
なり、やがて紅斑が生じる。特に反復照射により皮膚癌
を起こすことが報告されている。UV−Cは更に殺菌性
と発癌性が強くなる。こうした紫外線から皮膚や髪の毛
を保護する目的として化粧料に配合されるのが紫外線カ
ット剤である。しかし、近年フロン等の増加によりオゾ
ン層が破壊されるため、地表に到達する紫外線UV−B
やUV−Cが増加する傾向にあり、UV−Cに対する防
御も検討課題とされている。また、紫外線は酸素の存在
下、光増感と呼ばれる過程において光を吸収する物質と
反応して活性酸素、特に一重項酸素を生成する。これは
光発癌や光老化、光接触アレルギー、表皮過酸化脂質に
よる皮膚への炎症や色素沈着と大きな関連があるといわ
れ、紫外線カットと同時に皮膚の抗酸化作用を更に高め
る必要がある。
【0004】現在多くの化粧品に用いられている紫外線
カット剤は、紫外線散乱剤又は紫外線吸収剤に大別され
る。紫外線散乱剤としては酸化亜鉛や二酸化チタンなど
があり、紫外線吸収剤としては、特に発癌性に影響があ
るUV−Bの領域(320nm〜280nm)で吸収を
示す有機化合物が多く用いられているが、その使用は皮
膚に対する安全性に配慮して配合量まで細かく規制され
ている。しかし、種類によっては紫外線吸収剤が皮膚に
沈着してシミを発生させたり、アレルギーなどにより皮
膚があれたりするケースも報告されており、安全性につ
いて消費者の不安は大きい。また紫外線吸収剤の多くは
UV−Bに効果的であっても、UV−Aに対して防御効
果が少ないことから、単一の紫外線カット剤で広範囲に
わたる吸収能を期待できず、効果と安全の両面で満足で
きるものは少ない。
【0005】近年、消費者の天然志向が高まり、天然紫
外線吸収剤が着目されている。古くから植物抽出物に紫
外線吸収剤としての効果があることが知られている(田
中宣征、フレグランスジャーナル、臨時増刊 No.6, 44,
1986)。この文献には、アロエ、マロニエ、エイジツ
等のフラボノイドを主成分とするエキスに日焼けを防止
する作用があると記載されている。また公開特許公報に
はオウゴン(特開昭55−127309、特開昭63−
830717及び特開昭63−96128)や、アロエ
抽出物甘(特開昭61−109708)や、甘草抽出物
(特開平1−157909)などが開示されている。ま
た油脂類ではオリザノール、米胚芽油、シアの果実油な
どが比較的良好な紫外線吸収作用を有すると報告されて
いる(井端泰夫、フレグランスジャーナル、臨時増刊、
No.6, 177, 1986: No.84, 54, 1987)。これら天然の紫
外線吸収剤の作用は合成品に対して劣っているものの、
複合的な効果、例えば美白、収斂、抗炎性、殺菌などの
効果を備えているものが多いために、化粧品に用いた場
合に合成品にないメリットがあると考えられる。しか
し、これらの天然物は天候、産地、気候による生産性や
品質のばらつきが大きく、原料の安定供給や品質の安定
化に問題があり、また価格的にも高価となるという問題
がある。
【0006】髪の毛や皮膚の表皮は主としてケラチンか
らなり、特に人体を紫外線から保護する機能から、髪の
毛や皮膚には比較的紫外線を吸収するヒスチジン、トリ
プトファン、チロシン、フェニルアラニンなどのアミノ
酸が多く含まれている。また皮膚はかなりの酸素耐性を
獲得しているといわれている。ウールやシルクなどに代
表されるタンパク質系繊維も紫外線カット効果があり、
特にケラチンを主成分とするウール製品は広範囲の波長
において紫外線カット性を有する優れた天然素材として
着目されている。
【0007】しかし、ウールやシルクは微粉砕すること
はできるが、一般に水に不溶であり、そのままでは化粧
料に配合しにくい。特に化粧料が液体である場合にはそ
の傾向が強い。そのため、このような自然の機能を利用
したタンパク質由来の天然紫外線カット剤の開発が期待
されていた。そこで、本発明者らは、従来より化粧品原
料として市販されているケラチン、コラーゲン、シル
ク、卵、ミルクなどの加水分解されたタンパク質を用い
て、それぞれ紫外線カット剤としての効果を調べた。こ
れらの加水分解されたタンパク質は、主として毛髪或い
は皮膚の化粧品の保湿成分として化粧品に配合すること
により髪の毛や皮膚に対して潤いや艶及びしっとり感を
付与することが知られている。これらの加水分解された
タンパク質の多くは、本来のケラチンのような高分子量
のタンパク質でなく、化学構造的にアミノ酸が2〜3個
連結した程度の低い分子量を有するポリペプチドであっ
た。これらの加水分解されたタンパク質を用いて紫外線
カット性を試験したが、その主成分が低分子量のポリペ
プチドであることから、紫外線から皮膚や髪の毛を均一
に保護するための膜形成能に乏しく、その効果はあまり
期待できなかった。
【0008】一方、高分子量の加水分解されたケラチン
タンパク質(以下、加水分解ケラチンタンパク質とい
う)を得る方法としては、次の弱反応系の加水分解法が
知られている。この方法には、例えば尿素などの存在
下で塩化ナトリウム、チオグリコール酸、メルカオプト
エタノール、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を1種又は
2種以上組み合わせてケラチンのシスチンを切断し、ア
ルカリ水溶液に溶解させる方法(特開平6−10060
0)や、過ギ酸、過酢酸又は過酸化水素などの酸化剤
で処理した後、アルカリ水溶液に処理させる方法(O'Do
nnel,I. J.and Thompson, E. O. P., Aust.J. Biol Sc
i. Vol.12, p.294, 1959)がある。の還元剤を用いる
方法はタンパク質の主鎖を切断しないため、高分子量の
ケラチンタンパク質が得られる特徴がある。またの酸
化剤を用いる方法は、水に不溶である原因となっている
シスチンをシスチン酸に変換することによってその極性
を上げるために、その分解物が高分子量であっても水に
可溶となり、化粧料に配合しやすいという特徴がある。
更にこのの方法は、得られたアルカリ性溶解液を酸性
にするか、或いは塩濃度を上げることによって、水に対
して不溶化するものと不溶化しないものとに分離するこ
とができる。また高分子量の加水分解生成物を得る別の
方法として、強アルカリや強酸条件で行う強反応系の
加水分解法(特公昭60−27680、特開平5−22
2100)において、この処理温度を低温にしてケラチ
ンを分解させることにより高分子量のものを得る方法
(特開平3−7595)がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記及び
の方法では所望の高い分子量の加水分解されたタンパク
質を製造することはできず、このために化粧料とするに
は水に対する溶解度が不十分でしかも弱酸性溶液におけ
る溶解安定性に劣る不具合があった。また上記の方法
は比較的高分子量のものは得られるが、生成物はポリペ
プチドであって、しかもその制御は非常に難しく、時間
がかかり適当でない問題点があった。
【0010】本発明の目的は、紫外線を吸収し、その刺
激によるシワ、シミ、ソバカス、肌のかさつき或いは髪
の毛の傷みなどを抑える紫外線カット剤を容易に製造し
得る方法及びこのカット剤を含有した化粧料を提供する
ことにある。本発明の別の目的は、抗酸化性、膜形成
能、保湿性及び安全性に優れた化粧料を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
発明は、ケラチン原料と過酢酸液とを混合した液を40
〜60℃で30分〜5時間加熱してケラチンを加水分解
する第1加水分解工程と、このケラチンが加水分解した
液に水を添加混合してこの液を希釈する希釈工程と、こ
の希釈した液を80〜100℃で30分〜5時間加熱し
て更にケラチンを加水分解することにより加水分解され
たケラチンタンパク質を得る第2加水分解工程とを含む
紫外線カット剤の製造法である。本発明の請求項2に係
る発明は、請求項1に係る発明であって、第1加水分解
工程の液がケラチン原料100重量%に対して氷酢酸5
00〜2,700重量%と濃度35重量%の過酸化水素
水100〜1,500重量%とを添加混合して調製され
る紫外線カット剤の製造法である。本発明の請求項3に
係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、希釈
工程で過酸化水素水濃度が1〜3重量%になるように希
釈する紫外線カット剤の製造法である。本発明の請求項
4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る方法
により製造された平均分子量が3,000〜20,00
0の加水分解ケラチンタンパク質を含む化粧料である。
【0012】本発明の製造法では、水に不溶性であるケ
ラチンを加水分解して水溶性にする際に、従来のように
アミノ酸が数個連結されたポリペプチドの状態にまで分
子量を小さくせずに、氷酢酸と過酸化水素水とにより合
成される過酢酸液でケラチンを最初にある程度の分子量
サイズにまで加水分解し、次いで過酸化水素の濃度を希
釈して過酢酸の酸化性を弱めた状態で、最初の加水分解
より高い温度で加水分解することにより、加水分解ケラ
チンタンパク質の分子量を所望の高分子量にする。この
結果、ケラチンをタンパク質の形態を保持し、このタン
パク質はケラチンが本来有している紫外線カット性を保
持し、かつ膜形成能や保湿性を向上することができる。
【0013】最終的に加水分解ケラチンタンパク質の平
均分子量は安定した紫外線カット効果と膜形成を示す
3,000〜20,000の範囲内にあることが必要で
ある。3,000未満では紫外線カット効果が十分でな
く、5,000以上であると好ましい。この分子量が増
加するとともに紫外線カット効果が上がる傾向にある。
一方、分子量が20,000を越えると、粉末にした場
合に水に対する溶解性が悪くなり、溶液の泡立ち性が増
す。そのため10,000以下であることが取り扱いや
すく好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用されるケラチン原料としては、主成分とし
てケラチンを含有するものであれば、限定されない。例
示すれば、人毛、羊毛、アルパカなどの獣毛や、アイガ
モや鶏などに代表される鳥類の羽毛、牛や馬などの家畜
の蹄などが挙げられる。この中でも羊毛が原料として入
手しやすく好ましい。本発明の製造法では、第一に高濃
度の酸化剤を用いることにより、ケラチンをある程度の
分子量サイズまで加水分解し、第二に引き続き低濃度の
酸化剤でゆるやかに加水分解して所望の分子量の加水分
解ケラチンタンパク質を得る。この酸化剤として過酢酸
を用いる。過酢酸は氷酢酸と過酸化水素水を混合するこ
とにより調製される。その割合は氷酢酸:濃度35重量
%の過酸化水素水を5:5〜9:1に混合したものを使
用する。好ましくは急激な分子量低下を伴わないように
するため氷酢酸:濃度35重量%の過酸化水素水を8:
2〜9:1に混合した溶液を用いる。
【0015】この過酢酸液に良く洗浄しかつ脱脂した上
記ケラチン原料を入れることにより、或いは良く洗浄し
かつ脱脂した上記ケラチン原料に過酢酸液を注入して良
く撹拌することによりケラチンのシスチン結合が開裂し
かつペプチド鎖が切断されて、ケラチンが適当な分子量
サイズに分解される。過酢酸液とケラチン原料の浴比は
30:1〜10:1が適当である。ケラチンを最初に加
水分解させるための液温は40〜60℃であって、加水
分解時間は30分〜5時間である。この時点でケラチン
の大半は数万の分子量サイズに分解される。この時点で
は未だ分子量サイズが大きい物が残るため、更に平均分
子量が5,000〜10,000になるようにゆっくり
分解を進める。その方法として上記加水分解液の初期過
酸化水素濃度が1〜3重量%%になるように計算して温
水を添加し、酸化剤の濃度を希釈した状態で80℃以上
で30分〜5時間程度加熱処理する。80℃という下限
温度はケラチンの高分子構造が崩れ始める温度で、ケラ
チンの低分子化を進める上で重要な温度である。反応を
できるだけ急激に進めないためにも80℃を大きく越え
ないほうがよい。このようにして所望の分子量を有する
加水分解ケラチンタンパク質が得られる。
【0016】このようにして得られた加水分解ケラチン
タンパク質は、化粧料にするために次の処理が行われ
る。先ずケラチンタンパク質を0.3M〜0.6Mのア
ンモニア水中に溶解させ、これを酸を用いてpH4以下
の酸性にすることによって、加水分解ケラチンタンパク
質の一部を析出させる。次いでこれを沈殿物と水溶液に
固液分離する。沈殿物については再度アルカリ溶液に溶
解し、再び酸性にして再結晶させ、希酸で良く洗浄し乾
燥することにより、無臭の粉末状の加水分解ケラチンタ
ンパク質を得る。一方、固液分離後の水溶液は透析によ
って脱塩した後、これを濃縮するか、或いは凍結乾燥や
スプレードライによって粉末状の加水分解ケラチンタン
パク質を得る。上記2つの形態のケラチンタンパク質を
化粧料に配合する場合は、化粧料の用途に応じてどちら
か一方或いは両者を混合して、又は水に溶解して、或い
は粉末のまま用いる。
【0017】またこのようにして得られたケラチンの加
水分解物はそのままでも紫外線カット剤として用いるこ
とができるが、例えばこれをアシル化等の化学修飾を行
った場合でも基本的にヒスチジン、チロシン、トリプト
ファン或いはフェニルアラニン等のアミノ酸残基を大き
く破壊しなければ同様の効果が期待されるため、紫外線
カット剤として用いることができる。本発明の加水分解
ケラチンタンパク質は、化粧料の全重量に対して0.1
重量%〜50重量%配合される。紫外線カット性や抗酸
化性をより効果的に付与するためには、0.5重量%〜
20重量%が好ましい。
【0018】本発明の化粧料は、粉末状、液状、固形
状、ゲル状などいろいろな形態に使用される。その用途
は日焼け止めローションやクリームをはじめ、シャンプ
ー、ヘアーリンス、パーマネント保護剤、ヘアートニッ
ク、ヘアーローション、ヘアークリーム、ヘアームー
ス、ヘアーカラー、ヘアートリートメント、ヘアーパッ
ク、セットローション等の毛髪用化粧料やパック、サン
ケアミルク、マーリンローション、化粧水、乳液、ハン
ドクリーム、アフターシェイブローション、シェービン
グクリーム、コールドクリーム、モイスチャークリー
ム、ボディーパウダー等の化粧料やファンデーション、
化粧下地、アイシャドー、チークカラー、口紅、アイラ
イナー、アイシャドー等のメイクアップ化粧料、ボディ
ーシャンプー等である。
【0019】本発明の化粧料には、加水分解ケラチンタ
ンパク質以外にも通常の化粧料で用いられるいろいろな
化粧基剤を、紫外線カット性等の本発明の機能を損なわ
ない範囲で配合することが可能である。このような化粧
基剤としては油剤、ゲル剤、界面活性剤、低級アルコー
ル、多価アルコール、香料、色素、顔料、防腐剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、精製
水、美容成分等が挙げられる。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するも
のではない。 <実施例1>この例は加水分解ケラチンタンパク質の製
造例である。先ず過酢酸液として氷酢酸:過酸化水素水
(濃度35重量%)を8:2に混合した溶液100g用
意し、この過酢酸液中によく洗浄した脱脂羊毛を10g
入れ、撹拌しながらケラチンを60℃で1時間加水分解
させた。次いでこの過水分解液に60℃の温水を150
g加えて初期の過酸化水素水濃度が約2.6%になるよ
うにし、80℃に加温し撹拌しながら更に3時間加水分
解を行った。次に加水分解された羊毛を取り出し、これ
を50℃に保温した0.5モルのアンモニア水100g
に溶解させ、加水分解ケラチンタンパク質原液を得た。
【0021】<実施例2>この例は加水分解ケラチンタ
ンパク質粉末の製造例である。実施例1で得られた加水
分解ケラチンタンパク質原液を硫酸を用いてpHを4以
下の酸性にし、これを遠心分離機で8,000rpm、
10分間処理して沈殿物と水溶液に固液分離した。沈殿
物は再度アンモニア溶液(pH9)に溶解させ、再び硫
酸を用いて酸性(pH4)にして再結晶させた。遠心分
離機によって得られる沈殿物を0.001M硫酸で十分
洗浄し、圧搾後に乾燥させた。これを10%の苛性ソー
ダ水溶液でpH7.5に調整にした後、凍結乾燥機に入
れて粉末化した。この粉末をボールミルで微粉末化する
ことにより、1〜10μmの平均粒径を有する無臭の加
水分解ケラチンタンパク質粉末を約4.3g得た。この
タンパク質をリン酸緩衛液に溶解させ、高速液体クロマ
トグラフィーを用いて分子量を測定したところ、平均分
子量は13,400であった。
【0022】<実施例3>実施例1で得られた加水分解
ケラチンタンパク質原液を硫酸を用いてpHを4以下の
酸性にし、これを実施例2と同様に沈殿物と水溶液に固
液分離した。水溶液は分子分画3,000の透析チュー
ブを用いて透析し、塩を除去した後、凍結乾燥した。こ
れによって無臭の加水分解ケラチンタンパク質粉末が
3.8g得られた。このタンパク質を高速液体クロマト
グラフィーにより分子量を測定したところ、平均分子量
は5,830であった。
【0023】<実施例4>80℃での加水分解時間を2
時間にした以外は、実施例1と同様にケラチンの加水分
解を行った。実施例3と同じ方法で精製された加水分解
ケラチンタンパク質粉末の重量は3.1gであり、その
平均分子量は7,210であった。
【0024】<比較例1>80℃での加水分解時間を1
0時間にした以外は、実施例1と同様にケラチンの加水
分解を行った。実施例3と同じ方法で精製された加水分
解生成物はケラチンタンパク質粉末でなく、ケラチンペ
プチド粉末であった。その粉末の重量は4.4gであ
り、その平均分子量は2,070であった。 <比較例2>比較例2として抗酸化剤に広く用いられて
いるビタミンEを採用した。 <比較例3>比較例3として平均分子量が1,888の
加水分解されたコラーゲンペプチド粉末を採用した。
【0025】<評価試験1>本発明の効果を調べるため
に、実施例4で得られた高分子量の加水分解ケラチンタ
ンパク質粉末(200μg及び1mg)及び比較例2の
ビタミンE(200μg)の抗酸化性試験を測定した。
この試験はリノール酸システムを用いた。先ずリノール
酸(1inoleic acid)0.13mlを99%エタノール
で10mlにし、それに50mM燐酸緩衝液(pH7)
10mlを加えた。次にこのリノール酸溶液に抗酸化性
を調べる表1に示すように3種類のサンプル(加水分解
ケラチンタンパク質粉末200μg,1mg及びビタミ
ンE200μg)を0.1ml個別に添加して蒸留水で
全量を25mlにした。被検体である3種類のリノール
酸溶液を40度で5日間放置した。サンプルを全く添加
しないリノール酸溶液は5℃に保たれた冷蔵庫内に保管
した。抗酸化性の測定にはチオシアネート法(thiocyan
ate method)を用いた。5日間放置した3種類のリノー
ル酸溶液を0.1mlずつとり、これらに75%エタノ
ールと30%ロダンアンモンを加え、良く撹拌した。塩
化第一試薬(20mMのFeCl23.5%HCl溶液
10ml)を0.1mlを加え、正確に3分後、500
nmにおける吸光度を測定した。酸化度は[(5日目の
40℃のサンプル)−(5日後の4℃のコントロー
ル)]÷[(リノール酸のみの5日間の40℃のサンプ
ル)−(5日目の4℃のコントロール)]で算出した。
その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1から明らかなように、ビタミンEを2
00μg用いた比較例2は抗酸化性に優れていた。実施
例4のうち加水分解ケラチン粉末を200μg添加した
ものは、比較例2のビタミンEに比較して抗酸化性は弱
かったけれども、実施例4のうち加水分解ケラチンタン
パク質の添加量を1mgにしたものは、優れた抗酸化性
を示すことが判る。
【0028】<評価試験2>実施例3及び4の加水分解
ケラチンタンパク質粉末、比較例1の加水分解ケラチン
ペプチド粉末、及び比較例3の加水分解コラーゲンペプ
チド粉末を用いて、下記の配合によりそれぞれ透明な乾
燥肌用化粧水を調製した。 加水分解ケラチン又はコラーゲン粉末 2.0 % エチルアルコール 10.0 % グリセリン 0.2 % ポリオキシエチレンセチルエーテル20E.O. 1.0 % クエン酸 0.2 % クエン酸ナトリウム 0.4 % 防腐剤 0.1 % 精製水 全量 100.0 % 上記配合によりつくられた4種類の化粧水を用いた場合
の紫外線カット効果について紫外線分光光度計を用いて
調べた。その結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2より明らかなように、加水分解ケラチ
ンの分子量が大きくなるにつれて紫外線カット効果が増
していることが確認された。即ち、平均分子量が2,0
00程度の比較例1及び2はUV−Cを95%以上カッ
トできるものの、UV−Cについては50〜70%程度
しかカットできなかった。これに対して平均分子量が
5,000より大きな実施例3及び4はUV−Aを90
%以上、UV−BやUV−Cについては100%カット
しており、幅広い紫外線領域で効果的に紫外線をカット
していた。また比較例1及び3のペプチドを用いた化粧
料が肌のしっとり感の持続性が比較的短かったのに対し
てに比べて、実施例3及び4の分子量の大きいタンパク
質を配合した化粧料は肌のしっとり感が長時間持続し
た。これは保湿性に優れた膜を形成するためと考えられ
る。
【0031】<評価試験3>実施例3で得られた加水分
解ケラチンタンパク質粉末を用いてヘアーコンディショ
ナーを下記の配合により調製した。 加水分解ケラチンタンパク質粉末(実施例3) 10.0 % クエン酸 1.0 % プロピレングリコール 5.0 % 防腐剤 0.2 % 精製水 全量 100.0 % このコンディショナーを5人のモニターに週に1回定期
的に用いてもらい、1カ月後に髪の毛の状態をアンケー
トした。その結果、共通して髪の毛の櫛どおりの良さ、
しっとり感、艶の向上、ドライヤーによる髪の毛の痛み
の減少とセットしやすさ等の効果があるとの回答を得
た。評価試験2の結果からも紫外線からの毛髪の保護効
果もあると考えられる。
【0032】<評価試験3>実施例2で得られた加水分
解ケラチンタンパク質粉末を用いて油性タイプのファン
デーションを下記の配合により調製した。 加水分解ケラチンタンパク質粉末(実施例2) 10.0 % 酸化チタン 5.0 % 雲母チタン 3.5 % タルク 5.0 % マイカ 7.0 % ミリスチン酸イソプロピル 30.0 % カルナウバロウ 15.0 % ミツロウ 5.0 % 流動パラフィン 15.0 % べんがら 0.3 % 黄酸化鉄 3.5 % 黒酸化鉄 0.3 % 防腐剤 0.2 % 酸化防止剤 0.1 % 香料 0.1 % このファンデーションはUV―A、UV―B、及びUV
―Cのどの領域においても100%の紫外線遮断効果を
示した。また加水分解ケラチンタンパク質が配合されて
いるため、保湿性が高く、通気性も良好であり、乾燥肌
に対して特に効果があった。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば紫外
線カットに効果的な平均分子量を有する加水分解ケラチ
ンタンパク質を効率良く製造することができる。これを
化粧料に配合してこの化粧料を皮膚や髪の毛に使用する
ことによって、皮膚や髪の毛にタンパク質の皮膜を形成
し、潤いを保ち、更にはシミ、シワ、ソバカスを引き起
こすUV−Aや皮膚癌等を引き起こすUV−BやUV−
Cと呼ばれる幅広い紫外線をカットすることができる。
また特定の高分子量のケラチンタンパク質による紫外線
カット性や抗酸化性などの効果により、シミ、シワ、ソ
バカス或いは髪の毛の傷みなどから肌や髪の毛を保護す
ることができる。また優れた膜形成能や保湿性により、
更にしっとり感を長く持続させることもできる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するも
のではない。 <実施例1>この例は加水分解ケラチンタンパク質の製
造例である。先ず過酢酸液として氷酢酸:過酸化水素水
(濃度35重量%)を8:2に混合した溶液100g用
意し、この過酢酸液中によく洗浄した脱脂羊毛を10g
入れ、撹拌しながらケラチンを60℃で1時間加水分解
させた。次いでこの水分解液に60℃の温水を150
g加えて初期の過酸化水素水濃度が約2.6%になるよ
うにし、80℃に加温し撹拌しながら更に3時間加水分
解を行った。次に加水分解された羊毛を取り出し、これ
を50℃に保温した0.5モルのアンモニア水100g
に溶解させ、加水分解ケラチンタンパク質原液を得た。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】表2より明らかなように、加水分解ケラチ
ンの分子量が大きくなるにつれて紫外線カット効果が増
していることが確認された。即ち、平均分子量が2,0
00程度の比較例1及びはUV−Cを95%以上カッ
トできるものの、UV−については50〜70%程度
しかカットできなかった。これに対して平均分子量が
5,000より大きな実施例3及び4はUV−Aを90
%以上、UV−BやUV−Cについては100%カット
しており、幅広い紫外線領域で効果的に紫外線をカット
していた。また比較例1及び3のペプチドを用いた化粧
料が肌のしっとり感の持続性が比較的短かったのに対し
てに比べて、実施例3及び4の分子量の大きいタンパク
質を配合した化粧料は肌のしっとり感が長時間持続し
た。これは保湿性に優れた膜を形成するためと考えられ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラチン原料と過酢酸液とを混合した液
    を40〜60℃で30分〜5時間加熱してケラチンを加
    水分解する第1加水分解工程と、 前記ケラチンが加水分解した液に水を添加混合してこの
    液を希釈する希釈工程と、 前記希釈した液を80〜100℃で30分〜5時間加熱
    して更にケラチンを加水分解することにより加水分解さ
    れたケラチンタンパク質を得る第2加水分解工程とを含
    む紫外線カット剤の製造法。
  2. 【請求項2】 第1加水分解工程の液がケラチン原料1
    00重量%に対して氷酢酸500〜2,700重量%と
    濃度35重量%の過酸化水素水100〜1,500重量
    %とを添加混合して調製される請求項1記載の紫外線カ
    ット剤の製造法。
  3. 【請求項3】 希釈工程で過酸化水素水の濃度が1〜3
    重量%になるように希釈する請求項1又は2記載の紫外
    線カット剤の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の方法に
    より製造された平均分子量が3,000〜20,000
    の加水分解されたケラチンタンパク質を含む化粧料。
JP21045595A 1995-08-18 1995-08-18 紫外線カット剤の製造法及び該カット剤を含有した化粧料 Pending JPH0959124A (ja)

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