JP2023078503A - 皮膚外用剤 - Google Patents

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文人 大森
Fumito Omori
和則 阪井田
Kazunori Sakaida
要 荒巻
Kaname Aramaki
薫 前山
Kaoru Maeyama
終五 渡部
Shugo Watabe
大介 池田
Daisuke Ikeda
信弘 菅野
Nobuhiro Sugano
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Mikimoto Pharmaceutical Co Ltd
Kitasato Institute
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Mikimoto Pharmaceutical Co Ltd
Kitasato Institute
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Abstract

【課題】ECMサイクルを改善する新たな手段を提供すること。【解決手段】アコヤガイ足糸加水分解物を含有する、皮膚外用剤。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚外用剤に関する。より詳細には、皮膚外用剤、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、点眼剤、角膜創傷治癒剤、細胞外マトリックス(ECM)サイクル改善剤、並びにEndo180発現亢進剤に関する。
皮膚の真皮には、線維芽細胞を取り囲むようにして、コラーゲンやエラスチン等のタンパク質等で構成されるECMが存在している。コラーゲンやエラスチン等のECM構成成分は、ハリや弾力といった皮膚の重要な機能を担っており、また、その機能の恒常性を維持するために、上記ECM構成成分が線維芽細胞により産生された後に分解され、この分解産物が線維芽細胞に取り込まれ、新たなECM構成成分が産生されるという一連のサイクルがとられていることが知られている。
また、加齢による自然老化や紫外線による光老化によって分解産物の上記取り込みやECM構成成分の上記産生が鈍化してECMサイクルが乱れるということや、ECMサイクルが乱れた場合に、シワやタルミが形成されやすくなるということがわかってきた。
そのため、ECMサイクル改善剤として、例えば、lycoperoside Aが提案されている(特許文献1~2)。
また、ECMサイクルに関与する遺伝子として、例えば、Endo180、Smad2、Neurainidase-1、及びFibulin-4の他、LAMP-1が報告されている。Endo180は、線維芽細胞による断片化コラーゲンの取り込みに、Smad2は、線維芽細胞のコラーゲン産生に、Neurainidase-1は、線維芽細胞による断片化エラスチンの取り込みに、Fibulin-4は、線維芽細胞のエラスチン産生に、それぞれ関与することがわかっている。また、LAMP-1は、線維芽細胞の細胞内消化やECM構成成分のクリアランスに関与することがわかっている。
また、Endo180は、角膜実質細胞で発現した場合に角膜創傷を治癒するという報告がある(例えば、非特許文献1)。
特開2020-65539号公報 特開2021-6043号公報
高橋彩、「Endo180が角膜実質細胞におけるコラーゲン収縮能に果たす役割(近畿大学科研費、20K18401)」(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K18401/)
一方、アコヤガイ(Pinctada fucata)の足糸には接着性があり、タンパク質が豊富に含まれていることが知られているが、アコヤガイ足糸加水分解物に、Endo180やSmad2、Neurainidase-1、Fibulin-4、LAMP-1の発現を亢進する効果をはじめとするECMサイクル改善効果があるか否かを検討したという報告はない。また、アコヤガイ足糸加水分解物に、皮膚のシワやタルミを改善する効果、角膜創傷治癒効果があるか否かを検討したという報告もない。
本発明の課題は、ECMサイクルを改善する新たな手段を提供することにある。
本発明の課題は、以下の<1>~<26>の手段により解決された。
<1> アコヤガイ足糸加水分解物を含有する、皮膚外用剤(以下、本発明の皮膚外用剤ともいう)。
<2> 前記アコヤガイ足糸加水分解物が、アコヤガイ足糸の酸加水分解物、アコヤガイ足糸のアルカリ加水分解物、及びアコヤガイ足糸の酵素加水分解物から選ばれる1種又は2種以上である、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤(以下、本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤ともいう)。
<4> アコヤガイ足糸加水分解物を含有する、点眼剤(以下、本発明の点眼剤ともいう)。
<5> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、角膜創傷治癒剤(以下、本発明の角膜創傷治癒剤ともいう)。
<6> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、ECMサイクル改善剤(以下、本発明のECMサイクル改善剤ともいう)。
<7> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、Endo180発現亢進剤(以下、本発明のEndo180発現亢進剤ともいう)。
<8> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、Smad2発現亢進剤。
<9> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、Neurainidase-1発現亢進剤。
<10> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、Fibulin-4発現亢進剤。
<11> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、LAMP-1発現亢進剤。
<12> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、コラーゲン産生サイクル亢進剤。
<13> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、エラスチン産生サイクル亢進剤。
<14> アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、ECM構成成分クリアランス亢進剤(以下、<1>及び<3>~<14>の剤を総称して、本発明の剤ともいう)。
<15> 皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤の製造のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<16> 皮膚のシワ及び/又はタルミ改善のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<17> アコヤガイ足糸加水分解物を使用する工程を含む、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善方法。
<18> 角膜創傷治癒剤の製造のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<19> 角膜創傷治癒のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<20> アコヤガイ足糸加水分解物を使用する工程を含む、角膜創傷治癒方法。
<21> ECMサイクル改善剤の製造のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<22> ECMサイクル改善のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<23> アコヤガイ足糸加水分解物を使用する工程を含む、ECMサイクル改善方法。
<24> Endo180発現亢進剤の製造のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<25> Endo180発現亢進のための、アコヤガイ足糸加水分解物の使用。
<26> アコヤガイ足糸加水分解物を使用する工程を含む、Endo180発現亢進方法。
本発明の皮膚外用剤、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、点眼剤、角膜創傷治癒剤、並びにECMサイクル改善剤は、ECMサイクル改善効果に優れる。
本発明のEndo180発現亢進剤は、Endo180発現亢進効果に優れる。
アコヤガイ足糸加水分解物のECMサイクル改善効果を示す図。 アコヤガイ足糸加水分解物のEndo180発現亢進効果を示す図。 Endo180発現低下をアコヤガイ足糸加水分解物が緩和することを示す図。 Endo180産生量低下をアコヤガイ足糸加水分解物が緩和することを示す図。
本発明の剤は、アコヤガイ足糸加水分解物を用いることを特徴とする。まず、アコヤガイ足糸加水分解物について詳細に説明する。
(アコヤガイ足糸加水分解物)
アコヤガイ足糸加水分解物とは、アコヤガイ(Pinctada fucata)の足糸の加水分解物を意味する。アコヤガイの足糸にはタンパク質が豊富に含まれており、種々のアミノ酸をはじめとするタンパク質加水分解産物が加水分解によって生成する。
アコヤガイの足糸をアコヤガイから回収した後、加水分解に先立ち、足糸を切断して小片とする切断工程、及び足糸から付着物を流水等で除去する付着物除去工程から選ばれる1種又は2種の工程を必要に応じて行ってもよい。
アコヤガイ足糸加水分解物としては、アコヤガイ足糸の酸加水分解物、アコヤガイ足糸のアルカリ加水分解物、及びアコヤガイ足糸の酵素加水分解物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。この中でも、アコヤガイ足糸の酸加水分解物及びアコヤガイ足糸の酵素加水分解物から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アコヤガイ足糸の酸加水分解物がより好ましい。
酸加水分解に用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、酸は強酸と弱酸とに大別することもできるが、強酸が好ましい。
また、酸加水分解のpHは、好ましくは0.001~3.0、より好ましくは0.1~2.0である。
酸加水分解の反応温度は通常70~140℃であり、反応時間は、通常6~72時間、好ましくは12~36時間である。
酸加水分解反応終了後に必要に応じて冷却を行った後、中和工程、固液分離操作(例えば、デカンテーション、遠心分離、ろ過等)により沈殿物及び/又は浮遊物を除去する固液分離工程、並びに乾燥工程(例えば、減圧、加熱及び凍結乾燥から選ばれる1種又は2種以上)から選ばれる工程を行うのが好ましい。なお、固液分離操作は1種を単独で行っても2種以上を組み合わせて行ってもよい。
中和工程としては、例えば、酸加水分解の反応生成物に水酸化物を徐々に加えて撹拌する手法が挙げられる。
水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物が挙げられる。
なお、中和工程の後に固液分離工程を行う場合、固液分離に先立って、親水性有機溶媒を加えて0~30℃で静置してもよい。これによって、可溶化した中和塩が沈降する。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3-ブチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
アルカリ加水分解に用いられるアルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アルカリは強アルカリと弱アルカリとに大別することもできるが、強アルカリが好ましい。
また、アルカリ加水分解のpHは、好ましくは11.0~14.0、より好ましくは12.0~14.0である。
アルカリ加水分解の反応温度、反応時間は、酸加水分解の反応温度、反応時間と同様の範囲が好ましい。
アルカリ加水分解反応終了後に必要に応じて冷却を行った後、中和工程、固液分離工程、及び乾燥工程から選ばれる工程を行うのが好ましい。当該固液分離工程、乾燥工程は、酸加水分解反応終了後の固液分離工程、乾燥工程と同様にして行えばよい。なお、中和工程の後に固液分離工程を行う場合、固液分離に先立って、親水性有機溶媒を加えて0~30℃で静置してもよい。親水性有機溶媒としては、上記と同様のものが挙げられる。
中和工程としては、例えば、アルカリ加水分解の反応生成物に酸を徐々に加えて撹拌する手法が挙げられる。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機塩;酢酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。
また、酵素加水分解は、タンパク質分解酵素を用いて行えばよい。
植物起源のタンパク質分解酵素としては、パパイン、ブロメリン、フィシン等が挙げられる。動物起源のタンパク質分解酵素としては、トリプシン、キモトリプシン、カリクレイン、パンクレアチン等が挙げられる。
これらタンパク質分解酵素のうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、トリプシン、α-キモトリプシンが好ましい。また、アスペルギルス属菌、枯草菌、放線菌等が生産するタンパク質分解酵素を用いてもよい。
なお、酵素加水分解終了後、酵素失活工程、固液分離工程(例えば、デカンテーション、遠心分離、ろ過等)、及び乾燥工程(例えば、減圧、加熱、凍結乾燥等)から選ばれる工程を行ってもよい。
アコヤガイ足糸加水分解物の重量平均分子量は、好ましくは75~800、より好ましくは100~500である。
重量平均分子量の算出方法としては、例えば、アコヤガイ足糸加水分解物中の各アミノ酸の含有割合と平均重合度から算出する手法が挙げられる。
(皮膚外用剤)
本発明の皮膚外用剤は、上記アコヤガイ足糸加水分解物を含有することを特徴とする。
アコヤガイ足糸加水分解物の含有量としては、本発明の皮膚外用剤中、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.002質量%以上1質量%以下がより好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、アコヤガイ足糸加水分解物の他に、水、低級アルコール、油剤、界面活性剤、水溶性高分子、粉体、殺菌剤、保湿剤、香料、防腐剤、着色剤、キレート剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、pH調整剤等を含んでいてもよい。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の皮膚外用剤は、用途等に応じて、乳化組成物(水中油型乳化組成物、油中水型乳化組成物)、水性組成物、油性組成物とすることができる。また、剤形は、固形状、半固形状、液状のいずれでもよい。
本発明の皮膚外用剤の適用部位は、好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等である。
本発明の皮膚外用剤は、通常の方法により製造することができる。
そして、本発明の皮膚外用剤は、ECMサイクル改善効果に優れる。本明細書において、「ECMサイクル改善」とは、細胞外マトリックス(ECM)構成成分の線維芽細胞による産生、ECM構成成分の分解、当該分解産物の線維芽細胞への取り込み、及び新たなECM構成成分の産生といった一連のサイクルが乱れることの改善をいう。ECMサイクル改善としては、Endo180発現亢進、Smad2発現亢進等のコラーゲン産生サイクル亢進;Neurainidase-1発現亢進、Fibulin-4発現亢進等のエラスチン産生サイクル亢進;LAMP-1発現亢進等のECM構成成分クリアランス亢進が挙げられる。
後記実施例に示すように、本発明の皮膚外用剤は、皮膚線維芽細胞内Endo180発現亢進効果、皮膚線維芽細胞内Smad2発現亢進効果、皮膚線維芽細胞内Neurainidase-1発現亢進効果、皮膚線維芽細胞内Fibulin-4発現亢進効果、皮膚線維芽細胞内LAMP-1発現亢進効果に優れる。
したがって、本発明の皮膚外用剤は、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善に有用である。本明細書において、「皮膚のシワ及び/又はタルミ改善」とは、皮膚に形成されたシワ及びタルミのいずれか一方又は両方を改善させることの他、シワ及びタルミのいずれか一方又は両方が皮膚に形成されるのを抑制することを包含する概念である。
本発明の皮膚外用剤は、各種化粧品、医薬部外品、医薬品とすることができる。より具体的には、化粧品の形態として、化粧水、美容液、パック、乳液、クリーム、日焼け止め(例えば、日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム)等のスキンケア化粧料;おしろいパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム等のメイクアップ化粧料;入浴剤;皮膚洗浄剤とすることができる。医薬品または医薬部外品の形態として、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤、貼付剤等とすることができる。
(点眼剤)
本発明の点眼剤は、上記アコヤガイ足糸加水分解物を含有することを特徴とする。
アコヤガイ足糸加水分解物の含有量としては、本発明の点眼剤中、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.001質量%以上1質量%以下がより好ましい。
本発明の点眼剤は、アコヤガイ足糸加水分解物の他に、医薬品や医薬部外品に配合される添加物を含んでいてもよい。例えば、等張化剤、キレート剤、防腐剤、抗酸化剤、粘稠化剤、各種基剤(水等)等が挙げられる。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の点眼剤の剤形は、固形状、半固形状、液状のいずれでもよいが、好ましくは半固形状又は液状である。
本発明の点眼剤は、通常の方法により製造することができる。
そして、本発明の点眼剤は、角膜実質細胞内Endo180発現亢進効果に優れる。
したがって、本発明の点眼剤は、角膜創傷治癒に有用である。
(皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤並びにEndo180発現亢進剤)
本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤並びにEndo180発現亢進剤は、上記アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする。
そして、後記実施例に示すように、アコヤガイ足糸加水分解物は、ECMサイクル改善効果、Endo180発現亢進効果に優れる。ECMサイクル改善としては、上記と同様に、Endo180発現亢進、Smad2発現亢進等のコラーゲン産生サイクル亢進;Neurainidase-1発現亢進、Fibulin-4発現亢進等のエラスチン産生サイクル亢進;LAMP-1発現亢進等のECM構成成分クリアランス亢進が挙げられる。この中でも、アコヤガイ足糸加水分解物は、コラーゲン産生サイクル亢進に適し、Endo180発現亢進に特に適する。
アコヤガイ足糸加水分解物は、皮膚線維芽細胞内又は角膜実質細胞内Endo180の発現、皮膚線維芽細胞内Smad2の発現、皮膚線維芽細胞内Neurainidase-1の発現、皮膚線維芽細胞内Fibulin-4の発現、皮膚線維芽細胞内LAMP-1の発現を亢進することができ、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤として有用である。Endo180、Smad2、Neurainidase-1、Fibulin-4及びLAMP-1の発現部位としては、例えば、皮膚、眼組織等が挙げられる。
また、アコヤガイ足糸加水分解物は、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤、Endo180発現亢進剤となり得、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善、角膜創傷治癒、ECMサイクル改善、Endo180発現亢進のために使用することができ、また、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤、Endo180発現亢進剤を製造するために使用できる。
ここで、上記「使用」は、ヒト若しくは非ヒト動物への投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。なお、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には、医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤、Endo180発現亢進剤は、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善、角膜創傷治癒、ECMサイクル改善、Endo180発現亢進に有効な医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは食品として、又は医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは食品に配合する素材として使用可能である。
なお、食品は、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善や角膜創傷治癒、ECMサイクル改善、Endo180発現亢進をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した保健機能食品(例えば機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品等)とすることが可能である。
本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、ECMサイクル改善剤の適用手段は、経口又は経皮が好ましく、経皮がより好ましい。本発明の角膜創傷治癒剤の適用手段は、点眼が好ましい。本発明のEndo180発現亢進剤の適用手段は、経口、経皮又は点眼が好ましく、経口又は点眼がより好ましい。なお、「皮膚」は、顔や身体、手足の皮膚、及び頭皮を包含する概念である。経皮用(皮膚外用剤)、点眼用(点眼剤)の形態とする場合に配合できるアコヤガイ足糸加水分解物以外の成分としては、本発明の皮膚外用剤、点眼剤に配合できるものと同様のものが挙げられる。
本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、ECMサイクル改善剤、Endo180発現亢進剤を経皮用(皮膚外用剤)とする場合、その剤形としては、軟膏剤、クリーム剤、乳液、ゲル剤、ペースト剤、ローション、スプレー剤、貼付剤等が挙げられる。また、皮膚外用剤は、例えば、化粧水、美容液、パック、乳液、クリーム、サンスクリーン、サンオイル、入浴剤、皮膚洗浄剤等の形態にしてもよい。
本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤並びにEndo180発現亢進剤中、アコヤガイ足糸加水分解物の含有量としては、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.002質量%以上1質量%以下がより好ましい。
本発明の皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤、角膜創傷治癒剤、ECMサイクル改善剤並びにEndo180発現亢進剤は、アコヤガイ足糸加水分解物として、成人一日あたり、好ましくは0.2~100mg、より好ましくは0.4~20mgを摂取、塗布又は点眼される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔調製例 アコヤガイ足糸加水分解物の調製〕
付着物を流水で除去したアコヤガイ足糸50gを、冷却器付フラスコに入れ、水で10倍希釈した硫酸500gをさらに加え、110℃で24時間加水分解した(pH:1.0)。放冷後、水酸化カルシウムを徐々に加えてpH6.5に調整した。次いで、生成物を遠心分離(6000rpm、15分間)し、上澄みを回収した。この上澄みに、2倍量のエタノールを加え撹拌し、4℃で14日間静置した後、濾過し、ろ液を回収した。次に、回収したろ液をエバポレートした後、凍結乾燥することで、アコヤガイ足糸加水分解物(重量平均分子量:137)を得た。
〔試験例1 ECMサイクル改善効果〕
正常ヒト皮膚線維芽細胞(以下、NHDFと略記。継代回数2回目の細胞を使用。クラボウ社製)を、NHDF専用無血清培地(以下、BMと略記)を用いて24時間、37℃、5%CO2条件下で前培養した。
次に、調製例で得たアコヤガイ足糸加水分解物を、新鮮培地(BM)で0mg/mL(対照区)、5mg/mL又は10mg/mLの濃度に調整して試験培地としてNHDFに添加し、48時間、37℃、5%CO2条件下で後培養した。48時間培養後、ECMサイクル改善効果関連遺伝子5種類(Endo180、Smad2、Neurainidase-1、Fibulin-4及びLAMP-1)の発現量をリアルタイムPCRにて評価した。
結果を図1に示す(Mean±SD,n=5,*:p<0.05,**:p<0.01,図1に示すECMサイクル改善効果は、対照区の発現量を1.0とした場合の相対値)。図1に示すとおり、アコヤガイ足糸加水分解物を用いた場合に正常ヒト皮膚線維芽細胞におけるECMサイクル改善が確認できた。
〔試験例2 Endo180発現亢進効果(1)〕
NHDFを、BMを用いて24時間、37℃、5%CO2条件下で前培養した。
次に、調製例で得たアコヤガイ足糸加水分解物を、新鮮培地(BM)で0mg/mL(対照区)又は10mg/mLの濃度に調整して試験培地としてNHDFに添加し、48時間、37℃、5%CO2条件下で後培養した。48時間培養後、Endo180の産生量をELISA法にて解析した。
結果を図2に示す(Mean±SD,n=3,*:p<0.05,図2に示すEndo180発現亢進効果は、対照区の産生率を100%とした場合の相対値)。図2に示すとおり、アコヤガイ足糸加水分解物を用いた場合にEndo180の発現が亢進された。
〔試験例3 Endo180発現亢進効果(2)〕
NHDFを、BMを用いて24時間、37℃、5%CO2条件下で前培養した。
次に、この培養物を第1群~第4群に分けて、第1群には、新鮮培地(BM)を、第2群には、インターロイキン-1α(IL-1α) 10ng/mLに新鮮培地(BM)で調整した試験培地を、第3群には、IL-1α 10ng/mL+アコヤガイ足糸加水分解物 5mg/mLに新鮮培地(BM)で調整した試験培地を、第4群には、IL-1α 10ng/mL+アコヤガイ足糸加水分解物 10mg/mLに新鮮培地(BM)で調整した試験培地を、それぞれNHDFに添加し、48時間、37℃、5%CO2条件下で後培養した。48時間培養後、Endo180について遺伝子発現及びタンパク質発現をそれぞれ解析した。
Endo180mRNA発現量を図3に示す(Mean±SD,n=5,*:p<0.05,**:p<0.01,図3に示すEndo180mRNA発現量は、対照区の発現量を1.0とした場合の相対値)。
図3に示すとおり、IL-1αの添加によりEndo180発現量に低下がみられたが、IL-1αとともにアコヤガイ足糸加水分解物を添加した場合には、Endo180発現量が増大した。このように、IL-1αによるEndo180発現低下を緩和させる作用がアコヤガイ足糸加水分解物にみられた。
Endo180産生率を図4に示す(Mean±SD,n=3,*:p<0.05,**:p<0.01,図4に示すEndo180産生率は、対照区の産生率を100%とした場合の相対値)。
図4に示すとおり、IL-1αの添加によりEndo180産生量に低下がみられたが、IL-1αとともにアコヤガイ足糸加水分解物を添加した場合には、Endo180産生量が増大した。このように、IL-1αによるEndo180産生量低下を緩和させる作用がアコヤガイ足糸加水分解物にみられた。
これらの結果より、紫外線照射によって表皮角化細胞からIL-1αが分泌されたときにNHDFのEndo180発現をIL-1αが抑制するのをアコヤガイ足糸加水分解物が緩和させることがわかった。

Claims (7)

  1. アコヤガイ足糸加水分解物を含有する、皮膚外用剤。
  2. 前記アコヤガイ足糸加水分解物が、アコヤガイ足糸の酸加水分解物、アコヤガイ足糸のアルカリ加水分解物、及びアコヤガイ足糸の酵素加水分解物から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、皮膚のシワ及び/又はタルミ改善剤。
  4. アコヤガイ足糸加水分解物を含有する、点眼剤。
  5. アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、角膜創傷治癒剤。
  6. アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、ECMサイクル改善剤。
  7. アコヤガイ足糸加水分解物を有効成分とする、Endo180発現亢進剤。
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