まず、図1および図11〜図19を参照して本発明に係る半導体記憶装置の第1の形態を説明する。
図1は本発明に係る半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の第1の形態の一実施例を示すブロック回路図である。図1から明らかなように、本実施例の半導体記憶装置は、図2に示す関連技術の半導体記憶装置に対して、入力アドレスと不良アドレスを比較する一致回路120,および,冗長ロウデコーダ130 が追加された構成となっている。ここで、本実施例の半導体記憶装置におけるロウアドレスバッファ101,ロウデコーダ102,コラムアドレスバッファ103,コラムデコーダ104,データI/O バッファ105,書き込み回路106,センスアンプ107,負電圧発生回路108,および, ソース電源回路109 は、図2の関連技術の半導体記憶装置におけるロウアドレスバッファ111,ロウデコーダ112,コラムアドレスバッファ113,コラムデコーダ114,データI/O バッファ115,書き込み回路116,センスアンプ117,負電圧発生回路118,および, ソース電源回路119 に対応するものである。
本実施例における動作を説明すると、まず、読み出し時および書き込み時においては、一致回路120 に格納された不良アドレスと入力されるアドレスが一致した場合、該一致回路120 からの出力信号はロウアドレスバッファ101 および冗長ロウデコーダ130 に入力され、ロウデコーダ102 を非選択状態にすると共に、冗長ロウデコーダ130 を選択状態にする。これにより、欠陥セルをアクセスする代わりに冗長セルをアクセスすることができる。消去時においては、消去制御信号Eが高レベル“H”となり、コラムアドレスバッファ103,ロウアドレスバッファ101,ロウデコーダ102,一致回路120,および,冗長ロウデコーダ130 に入力される。
まず、セルアレイ中に欠陥セルトランジスタ(欠陥セル)が存在しないとき(冗長していないとき)は、上述したのと全く同様の動作をする。すなわち、一致回路120 からの冗長制御信号REDは、いずれの回路をも冗長動作させないような論理となっている。
次に、或るリード線上に欠陥セルが存在し、一致回路120 にその欠陥セルのアドレスが格納されている場合を考える。本実施例では、全体のワード線数を2n 本とし、消去ブロックの大きさは2m 本のワード線で構成され、また、2k 本のスペアワード線を備えた構成を例にしている。書き込み時および読み出し時を考えると、一致回路120 中の不良アドレス格納用メモリ素子のビットの必要数はn−k個となり、また、消去ブロック中のワード線の数は2m 本なので消去ブロックを選択するためにはn−m個のアドレスのビット数が必要となる。消去時においては、或る2m 本で構成されるワード線ブロックを選択するためn−m個のワード線ブロック選択アドレスが入力されることになる。この入力アドレスは、一致回路120 に格納されたn−k個のアドレスビットのうちn−m個の上位からのアドレスと比較され、もし、この入力アドレスと格納されているn−m個のアドレスが一致したとすると、欠陥を含む2k 本のワード線ブロックがその消去ブロック中に存在することを示す。
上記した2m 本で構成されるワード線ブロック中で、欠陥を含んだ2k 本で構成されるワード線ブロックを示すアドレス情報は、一致回路120 に格納されたアドレス情報のうちm−k個で示される残りのビットで示されることになる。すなわち、本実施例の半導体記憶装置は、m−k個のアドレスで指定される2m 本のワード線ブロック中の2k 本で構成されるワード線ブロックを、ロウデコーダ102 により非選択とすると共に、n−m個のアドレスが一致した場合に、消去時には、冗長ロウデコーダ130 を選択して2m 本で構成される消去ブロックの内の2k 本単位で構成したワード線ブロックの消去冗長を行うことができるようになっている。
図12は図1の半導体記憶装置におけるロウアドレスバッファ101 の一例を示す回路図、図13はロウデコーダ102 の一例の要部を示す回路図、そして、図14は一致回路120 の一例を示す回路図である。
図12に示されるように、全体でn個のロウアドレスバッファ101 の内、下位のm個には消去制御信号Eが入力され、これにより、2m 本のワード線が消去時に全選択されることになる。ここで、上記m個のアドレスバッファの内のいずれか一つには冗長制御信号REDが入力され、これにより、書き込み時および読み出し時において、冗長制御信号REDが高レベル“H”のとき(不良アドレスと入力アドレスが一致したとき)ワード線WLを非選択とするようになっている。
ここで、冗長制御信号REDは、図14に示す一致回路120 の出力信号であり、この一致回路120 は、2k 本のワード線ブロックを2n 本のワード線中から選択するために必要なアドレス記憶用ヒューズと、冗長使用の信号を記憶するヒューズ(RUSE)を備えている。そして、消去時以外は、消去制御信号Eが低レベル“L”なので、全てのヒューズの情報と入力アドレスが一致しないと冗長制御信号REDは高レベル“H”とはならないが、消去のときは、アドレス ARBm +1〜 ARBn (すなわち上位n−m個のアドレス)が一致するだけで冗長制御信号REDが高レベル“H”となる。また、アドレス ARBk+1 〜 ARBm (m−k個のアドレス)のヒューズのデータは直接外部にとり出され、図12に示すナンドゲートに入力される。これにより2m 本中のワード線のうち2k 本のワード線で構成されるブロックを非選択とすることができる。また、同時に、冗長制御信号REDは冗長用ロウデコーダに入力され、スペアワード線を選択するため2m 本のワード線で構成される消去ブロック中の2k 本で構成される任意のワード線ブロックを冗長することが可能となる。
ところで、フラッシュメモリにおいては、過剰消去による不良で歩留りを下げることがよくある。上述した半導体記憶装置の構成では、ビット線がスペアセルとリアルセルで共通となっているため、スペアセルで過剰消去セルを置き換えただけでは、冗長救済することはできない。具体的に、例えば、図11においてメモリセル(セルトランジスタ)MC11が過剰消去セルとすると、該過剰消去セルMC11を冗長セルMCR11で置き換えた場合、ワード線WL1 を低レベル“L”にしても過剰消去セルMC11が電流を流すため、このビット線BL1 上に存在するセルのデータ(データ“0”)を正常に読み出すことはできないからである。しかしながら、この問題は、過剰消去セルを冗長する前に、そのセルにデータ“0”を書き込み、すなわち、フローティングゲートへ電子を注入し、その後に冗長を行なえば容易に解決することができる。
過剰消去されたセルにおいては、フローティングゲートが正に帯電しているために、図10に示すセルの書き込み特性曲線において、A点の電流がさらに増すことになり、書き込みがおこなえないことになる。これを解決するには、書き込み時にゲートレベルを制御してA点付近のセルトランジスタの電流が書き込み回路106 のロードカーブを越えない状態を作るように制御する必要がある。これを実現するには、書き込み時にワード線WLを連続パルス状に動作させることで容易に行なうことができる。すなわち、ワード線WLを連続パルス的に動作させた場合、図10の書き込み特性曲線においては、ワード線WLが低レベル“L”から高レベル“H”へ、或いは、高レベル“H”から低レベル“L”への遷移中に、必ず曲線C(図10中の破線の特性曲線)を実現することができ、フローティングゲートの状態がいかなる場合においても書き込みが可能となる。
図15は図1の半導体記憶装置におけるロウデコーダ102 の一例の要部を示す回路図であり、図5を参照して説明した関連技術の半導体記憶装置のロウデコーダ112 における入力部Bに対応する回路構成を示す図である。ここで、図15のノアゲートの入力に供給される信号φWは、図16に示すパルス状の波形とされている。これにより、図5中のノードN2 の電位を零ボルトと書き込み電位との間で連続的に振幅させることができ、ワード線WLに連続パルスを与えることが可能となる。ここで、書き込み処理および消去処理は、ベリファイを行いながら実行するのが一般的であり、また、これらのベリファイは、ベリファイ電圧をワード線に印加してデータを読み出すことによって実行するのが一般的である。また、ベリファイ電圧は、デバイスの周囲環境が変化(電源電圧等が変化)しても一定であることが望ましいが、そのためには、デバイスの基準電位(Vss)を基準にして昇圧により作成するのが有効である。尚、パルスを与える以外にも、ワード線に対して中間電圧を生成する回路を用いてもよい。
図17は図1の半導体記憶装置におけるベリファイ電圧発生回路150 の一例を示す回路図であり、図5に示すロウデコーダ回路112(102)中のノードN1 に印加するベリファイ電圧を発生するための回路である。
図17に示されるように、ベリファイ電圧発生回路150 は、クランプ回路151,発振回路152,および, 昇圧回路153 より構成されている。クランプ回路151 において、トランジスタT13, T14はクランプ電圧を決定する回路でありPチャネル型およびNチャネル型のMOSトランジスタが直列にダイオード接続されている。ここで、CMOSプロセスにおいて、各チャネル領域の作成は同一工程で行なわれるため、各トランジスタにおけるしきい値のずれは相補的に打ち消され、その結果、安定したクランプ電圧が得られることになる。
トランジスタT15は、しきい値が〜零ボルトのNチャネル型MOSトランジスタであり、発振回路152 に対してクランプ電圧を供給するようになっている。また、昇圧回路153 は、低電源電圧(接地電圧)Vssを基準に動作し、これにより、ベリファイ電圧(ノードN1 の電位)は、電源電圧に左右されずに安定した値とすることができる。さらに、消去ベリファイおよび書き込みベリファイは、その電圧値が異なるが、これは、クランプ回路151 のトランジスタの段数(T13, T14; ……)を変えれば容易に所定の電位のクランプ電圧を発生することができる。ここで、参照符号VR は、ベリファイ時に高レベル“H”となる信号である。尚、各ベリファイは、センスアンプの判定電流を変化させることでも実現することができる。
図18は図1の半導体記憶装置におけるセンスアンプ107 の一例を示す回路図である。同図に示されるように、センスアンプ107 は、ロード用トランジスタとしてPチャネル型トランジスタTL1, TL2を備えている。ここで、各トランジスタの電流供給能力は、TL1>TL2の関係にある。また、フラッシュメモリの読み出しモードには、消去ベリファイ, 通常読み出し, および,書き込みベリファイの3つのモードがある。そして、これら3つのモードにおけるロードトランジスタ(トータル)の大きさは、消去ベリファイ>通常リード>書き込みベリファイの関係が必要となる。尚、図18の回路における上記の関係は、消去ベリファイ時:VR1=VR2=“L”、通常リード時:VR1=“L",VR2=“H”、書き込みベリファイ時:VR1=“H",VR2=“L”として実現できる。
図19は図18のセンスアンプに供給する制御信号VR1, VR2を作成する論理回路の一例を示す回路図である。同図において、参照符号Wvは書き込みベリファイ信号、Evは消去ベリファイ信号を示している。本構成を採用した場合には、ベリファイ電圧の発生に必要なロウデコーダの電源回路を簡略化することができるという利点がある。このように、本構成によれば、ロードコントロール用の論理回路を追加することにより、フラッシュメモリにおける消去ベリファイに適用することが可能となる。
次に、図20〜図28を参照して本発明に係る半導体記憶装置の第2の形態を説明する。
図20は本発明に係る半導体記憶装置の第2の形態に対応する従来の半導体記憶装置における冗長回路210 の一例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号211 はヒューズを示し、不良アドレスを記憶させるための素子(欠陥アドレス指定手段)であり、切断しているかどうかでアドレスの高レベル“H”または低レベル“L”を記憶させるようになっている。また、参照符号214 はアドレス比較回路を示し、ヒューズ211 の情報と外部入力アドレスが一致しているかどうかを比較判別するものであり、一致すると、例えば、アドレス一致信号を高レベル“H”とするようになっている。
図21は図20に示す従来の冗長回路の構成例を示す図である。同図に示す冗長回路2100の構成例においては、図20に示す冗長回路210 を複数個設け、それらの出力をナンドゲートおよびインバータを介して出力することにより冗長信号を作成するようになっている。そして、各入力アドレスが全ての冗長回路210 におけるヒューズ(211) の情報と一致する場合にだけ、冗長信号を高レベル“H”とし冗長セルのデータを読み出すようになっている。
図22は図21に示す従来の冗長回路2100を使用した半導体記憶装置の一例を示すブロック図である。同図に示す半導体記憶装置全体の構成図において、冗長回路2100から冗長信号が出ると、リアルセル選択回路217 によりリアルセル218 の読み出しが禁止され、代わりに冗長セル選択回路215 により冗長セル216 の読み出しが行われる。これにより、欠陥のあるリアルセル部分を冗長用セルで置き換えるようになっている。ここで、図22において、参照符号219 は、冗長セル216 またはリアルセル218 の選択されたセルトランジスタ(メモリセル)のデータを読み出すデータ読み出し回路を示している。
上述した従来の方法では、ヒューズ1つに対してアドレス比較回路が1つ必要になるため、多数の欠陥部分を置き換えるには、その置き換え数だけのヒューズおよびアドレス比較回路が必要となる。その結果、従来の冗長回路では、チップ面積の増大を引き起こすと共に、コストアップにもなっている。
このように、半導体記憶装置における従来の冗長方式では、回路数の増加から、置き換え数が増加した場合にチップ面積が増加し、また、コストアップにも繋がるという解決すべき課題がある。
図23は本発明に係る半導体記憶装置の第2の形態における冗長回路の一実施例を示すブロック回路図である。同図から明らかなように、本実施例の冗長回路200 においては、図20の冗長回路210 におけるヒューズ211 として、トランジスタTA およびヒューズ201Aと、トランジスタTB およびヒューズ201Bとを設け、外部入力アドレスAn (/An:アドレスAn の反転信号) の論理によりヒューズ201A,201B が選択されるようになっている。ここで、アドレスAn (/An)は、複数のブロックに分割されたリアルセルを選択するブロック選択アドレスを示す上位アドレスを示している。このように、本実施例の冗長回路200 によれば、1つのアドレス比較回路214 を2つのヒューズ201A,201B で共用することによって、全体としてのアドレス比較回路214 の数を削減し、チップ面積の増大およびコストアップを抑えるようになっている。
図24は図23に示す本発明の冗長回路が適用される半導体記憶装置におけるリアルセル208 および冗長セル206 の構成を示す図である。同図に示されるように、リアルセル208 は、例えば、ブロック選択アドレスAn が低レベル“L”で選択される第1のリアルセルブロック208A, および, ブロック選択アドレスAn が高レベル“H”(/An が低レベル“L")で選択される第2のリアルセルブロック208Bにより構成されている。また、冗長セル206 も、例えば、第1のリアルセルブロック208Aを冗長するための第1の冗長セルブロック206A, および, 第2のリアルセルブロック208Bを冗長するための第2の冗長セルブロック206Bにより構成されている。これにより、分割されたリアルセルのブロック206A,206B に共通なアドレス(例えば、An-1,An-2,…) が欠陥セルを含んでいる場合には、ブロックアドレスAn の論理により指定されたブロックにおいて、欠陥を含むリアルセルの所定範囲を冗長セルに置き換えるようになっている。
図25は図23に示す本発明の冗長回路を使用した半導体記憶装置の一例を示すブロック図である。同図に示す半導体記憶装置全体の構成図において、冗長回路200 から冗長信号が出ると、リアルセル選択回路207 によりリアルセル208 の読み出しが禁止され、代わりに冗長セル選択回路205 により冗長セル206 の読み出しが行われる。ここで、図22および図24の半導体記憶装置のブロック図の比較から明らかなように、本実施例の半導体記憶装置においては、アドレス入力(ブロック選択アドレスAn)が冗長セル選択回路205 にも供給され、冗長回路200 におけるアドレスAn の論理により選択されるヒューズ201A,201B に対応した冗長セル206A,206B を選択するようになっている。すなわち、冗長セル選択回路205 には、ブロックアドレスAn が入力され、該ブロックアドレスAn により選択されるリアルセルブロック208A,208B に対応した冗長セル206A,206B を選択して冗長処理を行うようになっている。尚、図24において、参照符号209 は、冗長セル206 またはリアルセル208 の選択されたセル(メモリセル)のデータを読み出すデータ読み出し回路を示している。
以上により、複数の冗長セル206A,20Bに対してアドレス比較回路204 を共通に使用して、図22に示す従来の半導体記憶装置と同様に、欠陥のあるリアルセル部分を冗長用セルで置き換えることができる。ここで、以上の説明では、1ビットのブロック選択アドレスAn が2分割されたリアルセルの一方を選択するように構成されているが、例えば、2ビットのブロック選択アドレスAn,An-1 により4分割されたリアルセルの一つを選択すると共に、4分割された冗長セルの一つを選択するように構成してもよい。
図26は本発明に係る半導体記憶装置の第2の形態における冗長回路の他の実施例200'を示すブロック回路図である。同図において、参照符号220 はセル選択回路,221,223は冗長情報記憶用セルアレイ,222,224は読み出し回路を示している。
図26に示されるように、本実施例の冗長回路200'は、2組みの冗長情報記憶用セルアレイ221,223 および読み出し回路222,224 を備えている。
冗長情報記憶用セルアレイ221,223 は、例えば、EPROM等の複数の不揮発性メモリセルトランジスタで構成され、外部からの入力アドレスにおいて欠陥のあるアドレスにデータを書き込むために使用されている。セル選択回路220 は、冗長情報記憶用セルアレイ221,223 をアドレス入力により選択するようになっている。読み出し回路222,224 の出力は、アンドゲート225A,225B,225C,225D およびインバータ226A,226B を介して、4つの冗長信号として出力されるようになっている。ここで、本実施例では、2つの冗長情報記憶用セルアレイ221,223 から2ビット並列にデータを読み出すようになっており、4個所の欠陥部分に対して冗長セルへの置き換えを行えるようになっているが、3ビット以上のデータを並列に読み出すように構成することができるのはいうまでもない。
図27は本発明に係る半導体記憶装置の第2の形態における冗長回路のさらに他の実施例200"を示すブロック回路図であり、図28は図27に示す本発明の冗長回路を使用した半導体記憶装置の一例を示すブロック図である。
図26に示す冗長回路200'では、複数ビット(2ビット)を並列に読み出す方式を示したが、単一ビットのみを読み出し、リアルセル208 における複数の欠陥部分を冗長セル206 で置き換えることもできる。
図27に示す冗長回路200"では、アドレス入力により単一ビットを読み出し、その論理により冗長信号を出力するようになっている。そして、図28は、図27に示す冗長回路200"を使用した半導体記憶装置の構成を示す。ここで、冗長セル選択回路205'およびリアルセル選択回路207'には、冗長回路200"から冗長信号が供給されると共に、アドレス入力の一部(リアルセルのブロック選択アドレスAn)が供給されている。これにより、複数の冗長セルの内、どの冗長セルを使用してリアルセルの冗長を行うかが決定される。
次に、図29〜図32を参照して本発明に係る半導体記憶装置の第3の形態を説明する。
ところで、近年、電気的に情報の書き込み/消去が可能な不揮発性半導体記憶装置、特に、フラッシュメモリと呼ばれるものにおいて、書き込み若しくは消去を内部アルゴリズムによって自動的に行なうモードを有するものが提案されている。
このような、フラッシュメモリにおいて、書き込み(或いは、消去)は、まず、書き込みパルスを印加してから読み出し処理(ベリファイ)を行ない、この読み出し処理で十分な書き込み深さに達していなければ、再度書き込みパルスを印加するということを繰り返し行なう方法が適用されている。そして、上記書き込みパルスの最大印加回数(ベリファイの回数)を仕様上規定しており、この制御は全て外部から制御されるようになっている。
また、最近のフラッシュメモリでは、このアルゴリズムを内部にもたせて自動的に書き込み若しくは消去を行なわせるものが提案されている。この自動的に書き込みや消去を行う方法ではユーザに対して、その最大書き込み(消去)時間を提示するようになっている。
しかし、例えば、半導体記憶装置(フラッシュメモリ)出荷試験において、最大時間だけでは、書き換え回数の増大による書き換え回数の劣化に対する保証ができず、出荷試験を通過した半導体記憶装置がユーザ側で不良になってしまう可能性がある。
そこで、本発明に係る半導体記憶装置の第3の形態は、ユーザ側での最大回数とは別に、製造側での試験(例えば、出荷試験)時には、劣化による書き換え時間の増大を見込んだ最大回数で試験することによって、ユーザ側での最大回数を保証することを目的とする。
図29は本発明に係る半導体記憶装置の第3の形態における基礎となる内部書き込みアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
まず、書き込み処理が開始されると、ステップS301 において、書き込みパルスが印加され、さらに、ステップS302 に進んで、ベリファイを行う。すなわち、ステップS302 において、読み出しが行われて、十分な書き込み深さに達しているかどうかが判別される。このステップS302 において、十分な書き込み深さに達していると判別されると、書き込み処理は終了し、また、十分な書き込み深さに達していないと判別されると、ステップS303 に進んで、パルス回数がNに達したかどうかが判別される。すなわち、ステップS303 において、ベリファイの回数が予め定められたNに達したかどうかが判別され、Nに達していなければ、ステップ301 およびステップS302 の処理を繰り返し、また、Nに達していれば、書き込み失敗となる。すなわち、書き込みパルスをN回印加してもセルトランジスタに対する十分な書き込み処理が行えないことになる。
本発明の第3の形態においては、例えば、書き込みパルスの最大パルス印加回数を通常のNよりも少ない数のnにより出荷試験を行い、通常よりも厳しい条件により出荷試験を行うようになっている。このように、本発明の第3の形態によれば、劣化による書き換え時間の増大を見込んだ最大回数n(n<N)により出荷試験を行うことによって、ユーザ側での最大回数Nを保証することができる。
図30は本発明の半導体記憶装置の第3の形態の一実施例を示すブロック図である。同図において、参照符号311 は書き込み制御回路,312は書き込みパルス発生回路,313はセルアレイ,314はパルスカウンタ,315はスイッチ部,316は停止信号発生回路, そして,317は高電圧検出回路を示している。
書き込み制御回路311 は、外部制御信号および書き込み停止信号を受け取り、書き込みパルス発生回路312 を制御してセルアレイ313 の各セルトランジスタへの書き込み処理を行うようになっている。書き込みパルス発生回路312 の出力(書き込みパルス)は、セルアレイ313 に供給されると共に、パルスカウンタ314 に供給され、印加された書き込みパルスの回数(ベリファイの回数)をカウントするようになっている。尚、パルスカウンタ314 は、容易にカウント数を加えられるように、ナンド回路の入力に対して直接入力する配線と、インバータの出力の配線を予め作り込んでおき、製造工程においてナンド回路とそれらの配線を選択的に接続してもよい。
スイッチ部315 は、通常の最大パルス印加回数Nと、例えば、出荷試験時の最大パルス印加回数n(n>N)とを切り替えるようになっており、また、停止信号発生回路316 は、上記選択された最大パルス印加回数Nまたはnに応じて書き込み停止信号WSを書き込み制御回路311 に供給する。ここで、スイッチ部315 の切り替え動作は、高電圧検出回路317 から外部高電圧が印加されているかどうかを検出して出力されるスイッチ制御信号SCに応じて行われる。
図31は図30の半導体記憶装置における要部の回路例を示す図であり、図32は図31の回路の動作を説明するためのタイミング図である。ここで、図31および図32において、参照符号QC0iはパルスカウントの各段数出力を表わしている。
図31および図32に示されるように、通常の最大パルス印加回数Nに対応するストップ信号WS(N) は、パルスカウント出力QCO2,QCO3,QCO4から作成され、また、例えば、出荷試験時の最大パルス印加回数nに対応するストップ信号WS(n) は、パルスカウント出力QCO0,QCO1,QCO2から作成されるようになっている。ここで、高電圧検出回路(EWCMGN)317 の出力(スイッチ制御信号) SCが低レベル“L”のとき、すなわち、高電圧が印加されていないとき、通常の最大パルス印加回数Nに対応するストップ信号WS(N) がパルス信号QCO0の21回目のタイミングで出力される。逆に、高電圧検出回路317 の出力SCが高レベル“H”のとき、すなわち、所定の端子に対して高電圧が印加されているとき、例えば、出荷試験時の最大パルス印加回数nに対応するストップ信号WS(n) がパルス信号QCO0の4回目のタイミングで出力される。
以上の説明では、例えば、ストップ信号WSが出力されるまでの書き込みパルスの印加回数を通常時(ユーザ使用時)と、出荷試験時とで変化させるように構成したが、書き込みパルスの印加回数の代わりに、書き込みパルスのパルス幅を変化させるように構成してもよい。すなわち、例えば、出荷試験時には、書き込みパルスのパルス幅を通常よりも厳しい条件となるように短くするように構成してもよい。尚、この場合にも、例えば、出荷試験時における書き込みパルスのパルス幅の短縮は、所定の端子に対する高電圧の印加を検出して行うようにしてもよい。さらに、以上の説明は、書き込み処理について説明したが、消去処理についても同様である。
このように、本発明の半導体記憶装置の第3の形態によれば、内部アルゴリズムにおけるメモリセルに対する情報の書き込み若しくは消去の許容値を可変にすることによって、例えば、出荷試験を通過した半導体記憶装置がユーザ側で不良になることを防止することができる。
次に、図33〜図36を参照して本発明に係る半導体記憶装置の第4の形態を説明する。
図33は本発明に係る半導体記憶装置の第4の形態におけるメモリセル(MC0)を示し、電気的一括消去型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)におけるセルトランジスタ(メモリセルMC0)の動作を説明するための図である。同図に示されるように、セルトランジスタは、ソース−ドレイン間にどの領域とも絶縁されたフローティングゲートFGが設けられ、該フローティングゲートFGの上にコントロールゲートCGを形成して構成されている。
まず、読み出し時には、ゲート電圧Vg を電源電圧Vccとし、ドレイン電圧Vd をほぼ1ボルト程度とし、そして、ソース電圧Vs をグランドレベルVssとして、ドレイン電流が流れるか否かでセルトランジスタに書き込まれているデータが“1”か“0”かを判別する。
また、書き込み時には、ドレイン領域DDに印加するドレイン電圧Vd を高電圧(通常、Vcc<高電圧<Vpp)とし、コントロールゲートCGに印加するゲート電圧Vg を書き込み用電圧Vpp(〜+10ボルト程度) とし、ソース領域SSに印加するソース電圧Vs をグランドレベルVssとして、ドレイン端子(DD)からフローティングゲート(FG)に電子を注入してデータ“0”を書き込む。ここで、近年の書き込み用電圧の低電圧化に伴って、書き込み用電圧を効率よくドレイン端子に印加する必要性が強くなっている。
図34は本発明の半導体記憶装置の第4の形態に対応する関連技術としての半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の一例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号411 はロウアドレスバッファ,412はロウデコーダ,413はコラムアドレスバッファ,414はコラムデコーダ,415はバッファ回路,416は書き込み電圧供給用トランジスタ, 417 はセンスアンプ, そして,418はバス線を示している。また、参照符号BLはビット線, WLはワード線を示し、また、/WDは書き込みデータ(反転レベル)、Wは書き込み制御信号を示している。
図34に示す半導体記憶装置において、読み出し時には、ロウアドレスおよびコラムアドレスによりワード線WLおよびビット線BLがそれぞれ一本ずつ選択され、センスアンプ417 によりその選択されたメモリセルMC0(セルトランジスタ)が電流を流すか否かにより、該選択されたセルトランジスタに書き込まれている内容がデータ“1”或いはデータ“0”かを判別して出力する。
データ書き込み時には、書き込み制御信号Wにより、各ワード線およびビット線の選択信号が書き込み用電圧Vppとされる。このとき、書き込みデータ/WDが入力されるとトランジスタ416 がオンして、バス線418(セルトランジスタMC0 のドレイン端子)に対して書き込み用電圧Vpp(トランジスタ416 の閾値電圧分だけ低い電圧)が印加される。ここで、図34に示すフラッシュメモリ(半導体記憶装置)においては、例えば、書き込み用電圧Vppとして十分に高い電圧を使用することが可能だったので、書き込み電圧供給用トランジスタ416 は、Nチャネル型MOSトランジスタで構成することができた。すなわち、書き込み電圧供給用トランジスタ416 としてNチャネル型MOSトランジスタを使用すると、書き込み用電圧Vppは、該Nチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧分だけ低くなってセルトランジスタMC0 のドレインに印加されることになる。
ところで、近年、フラッシュメモリを使用する場合にも、例えば、5ボルト単一電源化の要求に応じて、書き込み用電圧を低電圧化する必要が生じている。このように、例えば、5ボルト単一電源によりフラッシュメモリを駆動する場合には、書き込み電圧供給用トランジスタ416 の閾値電圧により供給電圧が書き込み用電圧Vppよりも低下して効率のよい書き込み用電圧のドレイン端子への供給が難しくなる。
本発明に係る半導体記憶装置の第4の形態は、書き込み電圧供給用トランジスタでの閾値電圧による書き込みドレイン電圧の低下を防止することによって、書き込み用電圧の低電圧化においても良好なデータの書き込みを実現することを目的とする。
図35は本発明の半導体記憶装置の第4の形態の一実施例を示すブロック回路図である。図34に示す関連技術としての半導体記憶装置との比較から明らかなように、本実施例の半導体記憶装置においては、書き込み電圧供給用トランジスタをPチャネル型MOSトランジスタ406 で構成し、バッファ回路405 に供給する書き込みデータを正論理の信号WDとしている。ここで、図35に示す本実施例のロウアドレスバッファ401,ロウデコーダ402,コラムアドレスバッファ403,コラムデコーダ404,および, バッファ回路405 は、図34に示す関連技術のロウアドレスバッファ411,ロウデコーダ412,コラムアドレスバッファ413,コラムデコーダ414,および, バッファ回路415 に対応している。尚、参照符号BLはビット線, WLはワード線, そして, Wは書き込み制御信号を示している。
図35に示す半導体記憶装置において、読み出し時には、ロウアドレスおよびコラムアドレスによりワード線WLおよびビット線BLがそれぞれ一本ずつ選択され、センスアンプ407 によりその選択されたメモリセルMC0(セルトランジスタ)が電流を流すか否かにより、該選択されたセルトランジスタに書き込まれている内容がデータ“1”或いはデータ“0”かを判別して出力する。
データ書き込み時には、書き込み制御信号Wにより、各ワード線およびビット線の選択信号が書き込み用電圧Vppとされる。このとき、書き込みデータWDは、バッファ回路405 により書き込み用電圧Vppのレベルの信号に変換される。そして、書き込み電圧供給用トランジスタ406 のゲート信号が低レベル“L”になると、該トランジスタ406 がオンして書き込み用電圧Vppがバス線408 に供給される。ここで、図35に示す本実施例のフラッシュメモリ(半導体記憶装置)においては、書き込み電圧供給用トランジスタ406 がPチャネル型MOSトランジスタで構成されているので、該トランジスタ406 のソースに印加される書き込み用電圧Vppは、該トランジスタ406 の閾値電圧分だけ電圧降下されることなく、バス線408 の電位を書き込み用電圧Vpp付近まで上昇させることができ、セルトランジスタMC0 のドレイン端子に対して効率よく書き込み用電圧Vppを印加させることができる。従って、例えば、フラッシュメモリを5ボルト単一電源で使用する場合にも、低電圧化された書き込み用電圧Vppを使用して有効にデータの書き込み処理を行なうことが可能となる。
図36は本発明の半導体記憶装置の第4の形態の他の実施例の要部を示す回路図であり、図34に示す関連技術の半導体記憶装置における書き込み電圧供給用トランジスタおよびバッファ回路に対応する部分を示す回路図である。
図36に示されるように、本実施例においては、書き込み電圧供給用トランジスタ426 を、図34に示す関連技術の半導体記憶装置と同様に、Nチャネル型MOSトランジスタで構成している。しかし、図34に示す関連技術の半導体記憶装置におけるバッファ回路417 を、Nチャネル型MOSトランジスタ4251,4252,4253, インバータ4255,4256,4257, および, 容量4253によるブートストラップ回路で構成するようになっている。ここで、図36に示すブートストラップ回路は、書き込みデータWDが高レベル“H”から低レベル“L”へ変化すると、トランジスタ4251のゲートは高レベル“H”となり、その後、トランジスタ4252のゲートは低レベル“L”となることによりノードN40の電位が上昇する。このとき、容量4253によりトランジスタ4251のゲートはさらに昇圧され、最終的には、約Vpp+Vccのレベルまで上昇することになる。この電位を書き込み電圧供給用トランジスタ426 のゲートに印加すれば、バス線(418) の電位はほぼ書き込み用電圧Vppまで上昇することになる。
これにより、Nチャネル型MOSトランジスタで構成した書き込み電圧供給用トランジスタ426 のゲートに対して、書き込み用電圧Vpp以上に昇圧されたデータ信号を印加し、バス線に対して書き込み用電圧Vppと同等の電圧を供給して低電圧化された書き込み用電圧Vppを使用して有効にデータの書き込み処理を行なうことが可能となる。
上述したように、本発明の半導体記憶装置の第4の形態によれば、書き込み電圧供給用トランジスタでの閾値電圧による書き込みドレイン電圧の低下を防止することによって、書き込み電圧の低電圧化においても良好なデータの書き込みを実現することができる。
次に、図37〜図45を参照して本発明に係る半導体記憶装置の第5の形態を説明する。
図37は本発明に係る半導体記憶装置の第5の形態に対応する従来の半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の一例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号512 はロウデコーダ,514はコラムデコーダ,517はセンスアンプ, そして,519はソース電源回路を示している。また、参照符号MCはNチャネル型MISトランジスタで構成されたメモリセルトランジスタ(メモリセル),WLはワード線,BLはビット線,そして,SLはソース線を示している。ここで、ソース電源回路519 は、ソース線SLを介してメモリセルアレイにおける各メモリセルトランジスタのソースに接続され、電気的に一括消去を行えるようになっている。また、メモリセルMCは図33に示すものと同様である。
図38は図37の半導体記憶装置におけるロウデコーダ512 の構成を示す回路図、図39はコラムデコーダ514 の構成を示す回路図、そして、図40はコラムデコーダ514 におけるビット線トランスファーゲート5145の構成を示す回路図である。
図38に示されるように、ロウデコーダ512 は、電源回路5121, ロウアドレスが供給されるゲートRG1 〜RGn,該ゲートRG1 〜RGn と電源回路5121との間に設けられたトランジスタ5122, および, 電源回路5121と低電位電源Vss(グランドレベルGND:0ボルト)との間に設けられワード線WLのレベルを制御するインバータ(トランジスタ5123,5124)を備えている。これにより、例えば、入力されるロウアドレスが全て高レベル“H”となってゲートRG1 〜RGn がオンするアドレスに対応したワード線(選択ワード線)WLには、トランジスタ5123を介して電源回路5121の出力(Vcc) を印加し、他の非選択ワード線WLには、トランジスタ5124を介して低電位電圧(Vss:0ボルト)を印加するようになっている。
図39に示されるように、コラムデコーダ514 は、電源回路5141, コラムアドレスが供給されるゲートCG1 〜CGm,該ゲートCG1 〜CGm と電源回路5141との間に設けられたトランジスタ5142, ビット線トランスファーゲート5145, および, 電源回路5121と低電位電源Vssとの間に設けられビット線トランスファーゲート5145を制御するインバータ(トランジスタ5143,5144)を備えている。これにより、例えば、入力されるコラムアドレスが全て高レベル“H”となってゲートCG1 〜CGm がオンするアドレスに対応したビット線(選択ビット線)BLをセンスアンプ517 に接続するようになっている。
ここで、図40に示されるように、複数のビット線トランスファーゲート51451 〜5145m がバス線(BUS) を介して1つのセンスアンプ517 に接続され、ビット線トランスファーゲート51451 〜5145m における選択された1つのビット線(選択ビット線)だけがセンスアンプ517 に接続されるようになっている。そして、上述した選択ワード線と選択ビット線との交点に一するメモリセルMCの内容がセンスアンプ517 を介して出力されるようになっている。
ところで、フラッシュメモリは、電気的に全ビットの一括消去が可能であり、一括消去を行う際には回路技術上の簡便さから一般的に全てのセルトランジスタ(メモリセルMC)に対して同時に同様の消去動作を行う。そして、この消去動作は、全てのセルトランジスタが消去されるまで繰り返される。しかしながら、セルアレイ中には統計的な理由により、比較的消去が容易なセルトランジスタおよび比較的消去が困難なセルトランジスタが混在している。そのため、上述したような方法で全ビットの一括消去を行うと、消去が容易なセルトランジスタと消去が困難なセルトランジスタの特性的な差が非常に大きい場合、消去が容易なセルトランジスタに対する消去動作が必要以上になされてしまう。ここで、セルトランジスタの特性的な差は、ウエハープロセス的なゆらぎや、長時間にわたる書き込み/消去の繰り返しによるストレス等により、比較的容易に出現し得る。
また、フラシュメモリのセルトランジスタに対する書き込みおよび消去動作は、通常、セルトランジスタのフローティングゲートに対する電荷の注入および放出により行われる。そのため、上述したような必要以上に消去動作のなされたメモリセルMCは、見掛け上、書き込まれた際とは逆の極性の電荷がフローティングゲートに注入される(フローティングゲートが正に帯電する)ことになる。このような状態を過剰消去(オーバーイレース)の状態と呼ぶ。
さて、不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の場合、一般的に、セルアレイはNOR型と呼ばれる構成を取っている。このNOR型の不揮発性半導体記憶装置において、セルトランジスタ(Nチャネル型MISトランジスタ)のドレインは、ビット線毎に共通接続され、一様にバイアスを与えた状態で、選択するセルトランジスタのゲートにだけバイアス(正の電圧)を与え、且つ、非選択のセルトランジスタのゲートにはバイアスを与えない(0ボルト)ことより、所定のセルトランジスタ(メモリセル)を選択するようになっている。尚、全てのセルトランジスタのソースはソース電源回路519 を介して接地されている。ここで、セルトランジスタは、エンハンスメント型のMISトランジスタ(Nチャネル型MISトランジスタ)を用いるため、非選択のセルトランジスタは電流を流さず、選択されたセルトランジスタのみがフローティングゲート中の電荷の量に応じて電流を流したり或いは流さなかったりする。この選択されたセルトランジスタを流れる電流に応じてデータ“0”およびデータ“1”が割り当てられるようになっている。
フラッシュメモリにおいては、エンハンスメント型のセルトランジスタに対して上述した過剰消去が生じると、セルトランジスタは見掛け上デプリション型に特性が変じてしまう。そして、NOR型のセルアレイを用いた場合、非選択のセルトランジスタはゲートにバイアスを与えない状態では電流を流さないようにしているが、過剰消去が生じたセルトランジスタは見掛け上デプリション型の特性を示すため、非選択のセルトランジスタであっても電流を流してしまう。このため、例え、選択されたセルトランジスタが電流を流さない状態であっても、過剰消去の非選択のセルトランジスタが電流を流すため、データ“0”とデータ“1”とが誤って判定される場合が生じるという問題がある。
本発明に係る半導体記憶装置の第5の形態は、過剰消去を起こしたセルトランジスタが存在してもデータを正確に読み出すことを目的とする。
図41は本発明に係る半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の第5の形態の一実施例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号502 はロウデコーダ,504はコラムデコーダ,507はセンスアンプ, そして,509はソース電源回路を示している。ここで、本実施例の半導体記憶装置は、基本的には、図37を参照して説明した半導体記憶装置と同様であり、その説明は省略するが、ロウデコーダ502 の構成が異なっている。
図42は図41の半導体記憶装置におけるロウデコーダ502 の構成を示す回路図である。同図に示されるように、本実施例のロウデコーダ502 は、所定の正電圧を発生する正電源回路5021, ロウアドレスが供給されるゲートRG1 〜RGn,該ゲートRG1 〜RGn と正電源回路5021との間に設けられたトランジスタ5022, 負電源回路5025, および, 正電源回路5021と負電源回路5025との間に設けられワード線WLのレベルを制御するインバータ(トランジスタ5023,5024)を備えている。これにより、例えば、入力されるロウアドレスが全て高レベル“H”となってゲートRG1 〜RGn がオンするアドレスに対応したワード線(選択ワード線)WLには、トランジスタ5123を介して正電源回路5021の出力(Vcc) を印加し、他の非選択ワード線WLには、トランジスタ5024を介して負電源回路5025の出力(負の電圧)を印加するようになっている。尚、負電源回路5025の具体的な回路としては、図5に示す関連技術としての半導体記憶装置における負電圧発生回路118 を適用して構成することができるのはもちろんである。
ここで、負電源回路5025の出力は、過剰消去を起こしてデプリション型となっているセルトランジスタMCのゲートに印加された場合に、該過剰消去のセルトランジスタMCを非選択状態にして電流を流さないようにする電圧となっている。すなわち、負電源回路5025の出力は、デプリション型のNチャネル型MISトランジスタ(過剰消去のセルトランジスタ)におけるゲート電圧が、閾値電圧以下となるような負の電圧となっている。これにより、例え、選択されたビット線に過剰消去のセルトランジスタが存在していても、ワード線により選択されたセルトランジスタに書き込まれた内容がセンスアンプ507 を介して正確に出力されることになる。
図43は本発明に係る半導体記憶装置の第5の形態の他の実施例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号5221は、図41におけるロウデコーダ502 に対応する第1のロウデコーダ、5222は図41におけるソース電源回路509 の機能および非選択のワード線WLに対応するソース線SLに対して選択ビット線のレベル以上の電圧を印加するための第2のロウデコーダを示している。ここで、コラムデコーダ524,センスアンプ527 等の構成は、前述した図41に示すものと同様である。
本実施例の半導体記憶装置において、第1のロウデコーダ5221は、読み出し時の選択ワード線WLに対して通常の電圧Vccを印加し、該選択ワード線WLに接続されたメモリセル(セルトランジスタ)MCを選択する。また、第2のロウデコーダ5222は、選択ワード線に接続されたセルトランジスタのソース(SWL)に対して低電位の電源電圧Vss:0ボルト)を印加すると共に、読み出し時の非選択ワード線に接続された全てのセルトランジスタのソースに対して、選択されたビット線のレベル(ドレイン電圧)以上の電圧を印加するようになっている。これにより、非選択状態とされている場合、一括消去により過剰消去状態になったセルトランジスタに対しても、ゲート電圧がソース電圧よりも低くなるためカットオフ(非選択状態)させることができる。ここで、読み出し時の非選択ワード線に接続されたメモリセルのソースに印加する電圧としては、選択されたビット線のレベルと同じ電圧に設定してもよい。すなわち、過剰消去により、例え、チャネルが生成されていても、ドレインとソースとの間に電位差がなければ電流は流れないので、非選択の過剰消去のセルトランジスタが読み出し動作に影響を与えることない。
図44は図43の半導体記憶装置における第1のロウデコーダ5221および第2のロウデコーダ5222の一例を示す回路図であり、図45は図44の第2のロウデコーダの一部を示す回路図である。
図44に示されるように、第1のロウデコーダ5221は、電源回路(Vcc)52211, ロウアドレスが供給されたナンドゲート52212,および,インバータ52213 で構成され、また、第2のロウデコーダ5222は、電源回路(Vcc)52221, ロウアドレスが供給されたナンドゲート52222,インバータ52223,52224,および, 電源回路5225で構成されている。ここで、電源回路52225 は、読み出し時の非選択ワード線に接続されたセルトランジスタのソースに対して印加する選択されたビット線のレベル(ドレイン電圧)以上の電圧を供給するためのものであリ、図45にその一例の回路を示す。
以上、説明したように、本発明の半導体記憶装置の第5の形態によれば、例えば、フラッシュメモリにおける一括消去により過剰消去のメモリセルが生じた場合であっても、正常にデータ“0”或いはデータ“1”を正確に読み出すことができ、ウエハープロセス上のゆらぎや、長時間に渡る書き込み/消去の繰り返しに等による過剰消去が存在してもデータを正確に読み出すことで歩留りの向上およびデバイスの信頼性の大幅な向上が期待できる。
次に、図46〜図49を参照して本発明に係る半導体記憶装置の第6の形態を説明する。まず、本第6の形態においても、前述した本発明の半導体記憶装置の第5の形態と同様に、フラッシュメモリにおける一括消去により過剰消去のメモリセルが生じた場合においても正確なデータを読み出すようにしたものである。
すなわち、図37〜図40を参照して説明したように、フラッシュメモリは、電気的に全ビットの一括消去が可能であり、一括消去を行う際には回路技術上の簡便さから一般的に全てのセルトランジスタ(メモリセルMC)に対して同時に同様の消去動作を行い、この消去動作を全てのセルトランジスタが消去されるまで繰り返すようになっている。しかしながら、セルアレイ中には、比較的消去が容易なセルトランジスタおよび比較的消去が困難なセルトランジスタが混在しているため、全ビットの一括消去を行うと、消去が容易なセルトランジスタに対する消去動作が必要以上になされて過剰消去となってしまう。そして、セルトランジスタの特性的な差は、ウエハープロセス的なゆらぎや長時間にわたる書き込み/消去の繰り返しによるストレス等により比較的容易に出現し得るため、過剰消去セルの出現も比較的頻繁に生じることになっている。ここで、フラッシュメモリのセルトランジスタに対する書き込みおよび消去動作は、図37〜図40を参照して説明した通りである。
また、フラッシュメモリの場合、一般的に、セルアレイはNOR型と呼ばれる構成を取っており、Nチャネル型MISトランジスタ(セルトランジスタ)のドレインは、ビット線毎に共通接続され、一様にバイアスを与えた状態で、選択するセルトランジスタのゲートにだけ正のバイアス電圧を与え、且つ、非選択のセルトランジスタのゲートにはバイアスを与えない(0ボルト)ことより、所定のセルトランジスタを選択するようになっている。ここで、セルトランジスタは、エンハンスメント型のNチャネル型MISトランジスタを用いるため、非選択のセルトランジスタは電流を流さず、選択されたセルトランジスタのみがフローティングゲート中の電荷の量に応じて電流を流したり或いは流さなかったりする。この選択されたセルトランジスタを流れる電流に応じてデータ“0”およびデータ“1”が割り当てられるようになっている。
フラッシュメモリにおいては、エンハンスメント型のセルトランジスタに対して上述した過剰消去が生じると、セルトランジスタは見掛け上デプリション型に特性が変じてしまう。そして、NOR型のセルアレイを用いた場合、非選択のセルトランジスタはゲートにバイアスを与えない状態では電流を流さないようにしているが、過剰消去が生じたセルトランジスタは見掛け上デプリション型の特性を示すため、非選択のセルトランジスタであっても電流を流してしまう。このため、例え、選択されたセルトランジスタが電流を流さない状態であっても、過剰消去の非選択のセルトランジスタが電流を流すため、データ“0”とデータ“1”とが誤って判定される場合が生じるという問題がある。
本発明に係る半導体記憶装置の第6の形態は、過剰消去を起こしたセルトランジスタが生じたら、該過剰消去セルを救済して、正確なデータを読み出すようにすることを目的とする。
図46は本発明に係る半導体記憶装置の第6の形態の要部を示す回路図である。同図において、参照符号602 はロウデコーダ,604はコラムデコーダ, そして,607はセンスアンプを示している。また、参照符号MCはNチャネル型MISトランジスタで構成されたメモリセルトランジスタ(メモリセル),WL1,WL2 はワード線,そして, BLはビット線を示している。ここで、メモリセルMCは図33に示すものと同様である。
図47は図46における半導体記憶装置のセンスアンプ607 の一例を示す回路図であり、Nチャネル型MOSトランジスタ6071,6072,6073,6074,6075,6077 およびPチャネル型MOSトランジスタ6076,6078 で構成されている。
本第6の形態において、例えば、一括消去により過剰消去を起こしたセルトランジスタ(過剰消去セル)を検出するには、一括消去処理が行われたメモリセルアレイに対して、まず、ロウデコーダ602 により全てのワード線WL1,WL2,…を低レベル“L”とし、次に、コラムデコーダ604 によりコラムゲートG601,G602,…を順次選択してビット線BL1,BL2,…を順次センスアンプ607 に接続する。このとき、センスアンプ607 の出力は、過剰消去セルが接続されているビット線が選択されたときに低レベル“L”となるため、センスアンプ607 の出力が低レベル“L”となるビット線を選択し、その状態において、センスアンプ607 のトランジスタ6077をオンとして該センスアンプ607 の駆動電流を増大して、過剰消去セルが電流を流さないようにする。さらに、ロウデコーダ602 によりワード線WL1,WL2,…をスキャンして、センスアンプ607 の出力が高レベル“H”となるセルトランジスタが過剰消去セルとして検出される。
図48は本発明に係る半導体記憶装置の第6の形態が適用されるシステムの一例を概略的に示すブロック図である。同図において、参照符号610 はフラッシュメモリ,620は読み出し専用メモリ(ROM),そして,630は中央処理装置(CPU) を示している。
図48に示すシステムでは、後述する図49に示すアルゴリズムをROM620 に格納しておき、CPU630 が該アルゴリズムに従ってフラッシュメモリ610 を制御するようになっている。すなわち、CPU630 は、ROM620 に格納されたアルゴリズムに従って、フラッシュメモリ610 における過剰消去セルを救済するようになっている。
図49は本発明に係る半導体記憶装置の第6の形態における処理の一例を説明するためのフローチャートである。同図に示されるように、フラッシュメモリの消去処理が開始されると、ステップS611 において、消去前書き込み処理を行う。この消去前書き込み処理は、フラッシュメモリのメモリセルアレイを一括消去する前に、メモリセルアレイの全てのセルトランジスタに対してデータ“0”の書き込み処理を行うものである。
次に、ステップS612 において一括消去を行うと共に、ステップS613 において消去ベリファイを行う。すなわち、メモリセルアレイの全てのセルトランジスタに対して、一括的に、少しずつフローティングゲートからの電子の放出を行わせるようにして、消去処理を実効する。さらに、ステップS614 に進んで、過剰消去セルが存在するかどうかの過剰消去チェックを行う。ここで、ステップS614 において、過剰消去セルが存在しないと判別されると(過剰消去チェックをパスすると)消去処理は終了し、また、過剰消去セルが存在すると判別されると(過剰消去チェックでフェイルになると)ステップS615 に進む。尚、ステップS614 における過剰消去チェックは、図46および図47を参照して説明したように、過剰消去となっているセルトランジスタを1つだけ検出することになる。
ステップS615 において、ステップS614 で検出された1つの過剰消去セル(過剰消去ビット)に対して書き込み処理を行い、ステップS616 に進んで、ステップS614 と同様な過剰消去チェックを行う。ここで、ステップS615 における書き込み処理により、ステップS614 で検出された1つの過剰消去セルの過剰消去状態がなくなり正常な消去の状態になったとすると、他に過剰消去セルがなければ、ステップS617 に進んで、ステップS613 と同様な消去ベリファイを行う。そして、ステップS617 の消去ベリファイをパスすれば、消去処理は終了し、また、ステップS617 の消去ベリファイでファイルになると、ステップS618 およびS619 において、消去および消去ベリファイを行う。
一方、ステップS615 における書き込み処理により、ステップS614 で検出された1つの過剰消去セルの過剰消去状態がなくなり正常な消去の状態になったが、他にも過剰消去セルが存在すれば、ステップS616 において、ステップS614 で検出された過剰消去セルとは異なる他の1つの過剰消去セルが検出され、ステップS615 に戻って書き込み処理が行われる。このようにして、メモリセルアレイにおける全ての過剰消去セルに対して1つずつ書き込み処理が行われて、全ての過剰消去セルを正常な消去状態にする。
ここで、図49に示す消去処理は、前述したように、例えば、図48に示すシステムのROM620 に格納しておき、それをCPU630 が読み出して処理することもできるが、フラッシュメモリ自体に図49に示す消去処理を実現するような論理回路等を内蔵してハード的に構成することも可能である。
上述したように、本発明の半導体記憶装置の第6の形態によれば、過剰消去を起こしたセルトランジスタを救済して、正確なデータを読み出すようにすることができ、ウエハープロセス上のゆらぎや、長時間に渡る書き込み/消去の繰り返しに等による過剰消去が存在してもデータを正確に読み出すことで歩留りの向上およびデバイスの信頼性の大幅な向上が期待できる。
次に、図50〜図61を参照して本発明に係る半導体記憶装置(本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態)を説明する。
図50は本発明の半導体記憶装置の第7の形態に使用するメモリセル(MC)を示し、電気的一括消去型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)におけるセルトランジスタ(メモリセルMC)の動作を説明するための図である。同図に示されるように、セルトランジスタは、ソース−ドレイン間にどの領域とも絶縁されたフローティングゲートFGが設けられ、該フローティングゲートFGの上にコントロールゲートCGを形成して構成されている。
書き込み時には、ドレイン領域DDに印加するドレイン電圧Vd を、例えば、6ボルトとし、コントロールゲートCGに印加するゲート電圧Vg を書き込み用電圧(消去用電圧)Vppとし、ソース領域SSに印加するソース電圧Vs を零ボルトとして、ドレイン端子(DD)からフローティングゲート(FG)に電子を注入してデータ“0”を書き込む。
消去時には、ゲート電圧Vg およびドレイン電圧Vd をオープン(フローティング状態)とし、ソース電圧Vs を消去用電圧Vppとして、フローティングゲート(FG)からソース端子(SS)に電子を引き抜いて消去(データ“1”の書き込み)を行う。また、読み出し時には、ゲート電圧Vg を電源電圧Vccとし、ドレイン電圧Vd を1ボルト程度とし、そして、ソース電圧Vs を零ボルトとして、ドレイン電流が流れるか否かでセルトランジスタに書き込まれているデータが“1”か“0”かを判別する。
図51は本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態に対応する関連技術の半導体記憶装置の一例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号710 はブロックアドレスバッファ,7101,7102はブロック選択ゲート,711はロウアドレスバッファ,712はロウデコーダ,713はコラムアドレスバッファ,714はコラムデコーダ,715はデータI/O バッファ,716は書き込み回路,717はセンスアンプ, そして,7191,7192はソース電源回路を示している。また、参照符号BLはビット線, WLはワード線, MCはメモリセルを示し、また、Wは書き込み時に高レベル“H”となる書き込み制御信号, Eは消去時に高レベル“H”となる消去制御信号を示している。
図51に示す半導体記憶装置における動作は、例えば、前述した図2に示す関連技術の半導体記憶装置と基本的には同様であるが、図51に示す半導体記憶装置では、ブロックアドレスバッファ710 およびブロック選択ゲート7101,7102 がさらに設けられている。すなわち、図51に示す半導体記憶装置においては、複数のブロックB1,B2 が設けられ、ブロックアドレスバッファ710 からのブロック選択信号によりブロック選択ゲート7101,7102 を選択して任意の一つのブロックを書き込み回路716 或いはセンスアンプ717 に接続するようになっている。ここで、メモリセルアレイは、ソースを共通にした2つのブロックB1,B2 で構成され、各ブロックB1,B2 に設けられたソース電源回路7191,7192 によりブロック毎に消去(ブロック消去)が行えるようになっている。
図51の半導体記憶装置において、消去時には、高レベル“H”となる消去信号Eがロウアドレスバッファ711,コラムアドレスバッファ713 に入力され、ロウアドレスバッファ711 およびコラムアドレスバッファ713 の出力を非選択論理(例えば、相補出力が共に低レベル“L”)とし、全てのワード線WLおよびビット線BLが非選択となる。さらに、消去信号Eはブロックアドレスバッファ710 からのブロック選択信号と共にソース電源回路7191,7192 に入力され、例えば、該ブロック選択信号が高レベル“H”となる所定の1つのソース電源回路を消去用電圧Vppとして、所定のブロックの消去が実行される。
また、書き込み時には、高レベル“H”となる書き込み制御信号Wがロウアドレスバッファ711,コラムアドレスバッファ713 に入力され、ロウデコーダ712 およびコラムデコーダ714 に入力され、これにより、ワード線WLは書き込みレベルVppとされ、また、ビット線BLはブロック選択信号により選択されたブロック選択ゲート7101,7102 を介して書き込み回路716 に接線される。ここで、書き込み回路716 から選択されたブロックの所定のビット線BLには、書き込み電圧(例えば、6ボルト)が供給され、書き込みが実行される。
上述した図51に示す関連技術の半導体記憶装置では、ブロック消去を実行することは可能であるが、両ブロック(複数ブロック)を同時に消去することは不可能である。すなわち、図51の半導体記憶装置では、各ブロック毎の消去をシーケンシャルに行って、複数ブロックの消去を行うようになっている。さらに、消去後のベリファイに関しても、消去を行ったブロック毎のべリファイをシーケンシャルに行うようになっている。そのため、複数ブロックを消去する場合には、長時間を要すると共に、ベリファイ処理も複雑化することになっている。
本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態は、複数ブロックを同時に消去すると共に、複数ブロックを同時に消去した場合でも簡単にベリファイを実効することを目的とする。
図52は本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態の一実施例を示すブロック回路図である。同図において、参照符号701 はブロックアドレスバッファ,7021,7022は期待値データ格納回路,7031,7032は一致回路,704は論理回路(ナンドゲート),721 はロウアドレスバッファ,722はロウデコーダ,723はコラムアドレスバッファ,724はコラムデコーダ,725はデータI/O バッファ,7261,7262は書き込み回路,7271,7272はセンスアンプ, そして,7091,7092はソース電源回路を示している。また、参照符号BLはビット線, WLはワード線, MCはメモリセルを示し、また、Wは書き込み時に高レベル“H”となる書き込み制御信号, Eは消去時に高レベル“H”となる消去制御信号を示している。すなわち、図52に示す実施例は、図51の関連技術の半導体記憶装置に対して、期待値データ格納回路7021,7022,一致回路7031,7032,マルチプレクサ(データI/O バッファ)725, および, ナンドゲート704 が追加された構成となっている。
まず、消去時においては、ブロックアドレスバッファ701 からの出力信号で選択されるソース電源回路7091,7092 のいずれかに選択信号をラッチ制御信号LTを高レベル“H”としてラッチさせる。この後、消去制御信号Eを高レベル“H”として選択信号がラッチされたソース電源回路の全てを動作させ、これにより複数ブロックの消去処理を同時に実効する。
図53は図52の半導体記憶装置におけるソース電源回路の一例を示す回路図であり、図54は期待値データ格納回路の一例を示す回路図、そして、図55は一致回路の一例を示す回路図である。
図53に示されるように、ソース電源回路7091(7092)は、ブロックアドレス信号(ブロック選択信号)およびラッチ制御信号が入力されたナンドゲート731 と、ラッチ回路を構成するナンドゲート732 およびインバータ733 と、該ラッチ回路の出力および消去制御信号Eが入力されたナンドゲート734 と、消去用電源(Vpp) が印加されたPチャネル型MOSトランジスタ736,737 およびNチャネル型MOSトランジスタ738 を備えて構成されている。また、図54に示されるように、期待値データ格納回路7021(7022)は、インバータ741,744,745,746,750,および, ナンドゲート742,743,747,748,749 を備えて構成されている。ここで、ナンドゲート743 およびインバータ744 はラッチ回路を構成し、該ラッチ回路の出力は反転制御信号INV に応じて制御されるようになっている。さらに、図55に示されるように、一致回路7031(7032)は、インバータ753,ナンドゲート751,752,755,および, エクスクルーシブオアゲート754 を備えて構成されている。ここで、ナンドゲート752 およびインバータ753 はラッチ回路を構成し、センスアンプ7271(7272)の出力(センスアンプデータ)と期待値データ格納回路7021(7022)の出力(リファレンスデータ)とが一致するか否かの判定を行うようになっている。
上述した各回路により、まず、ブロックアドレス信号をラッチして行う消去動作においては、そのラッチした消去回路のみを消去制御信号“E”で動作させるようになっており、また、消去前書き込みでは、同様にラッチ制御信号LTを高レベル“H”とすることにより書き込みデータ“0”を期待値データ格納回路7021(7022)にラッチするようになっている。この場合、ブロックアドレス信号によって選択された期待値データ格納回路7021(7022)にデータI/Oバッファ725 からデータ“0”を転送し、該データ“0”をラッチ制御信号LTを高レベル“H”とすることでラッチするようになっている。ここで、一致回路7031(7032)の出力は、選択されたブロック以外では強制的に高レベル“H”を出力させるようになっている。以上により、書き込み制御信号Wを高レベル“H”として書き込みを実行させると、選択された複数のブロックは同時に書き込みが実行される。
次に、ベリファイ時には、期待値データ格納回路7021(7022)に格納された期待値データと、センスアンプ7271(7272)の出力とが比較されナンドゲート704 へ一致回路7031および7032の出力が送られる。もし、書き込みが充分に行なわれればセンスアンプ出力は低レベル“L”となるから、一致信号出力は高レベル“H”となり、全てのセルブロックにデータが書き込まれると、ナンドゲート704 のベリファイ出力VER は低レベル“L”となって書き込みが全ブロックの所定アドレスで終了したことが確認できる。ここで、消去ベリファイ時には、反転信号INV により期待値データを反転してベリファイすれば、もし、全ての選択されたブロック中の所定のアドレスデータがデータ“1”となった場合、書き込みと同様にベリファイ出力VER が低レベル“L”となってデータ消去が行なわれたことが検出できる。このように、本実施例の半導体記憶装置によれば、一致回路7031(7032)の全ての出力が高レベル“H”の時だけ、ナンドゲート704 の出力が低レベル“L”となり、一つでも出力が低レベル“L”となる一致回路が存在すれば、不良ビットが存在することが確認されることになる。
図56は本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態の他の実施例を示すブロック回路図である。図56に示す半導体記憶装置は、上述した図52の半導体記憶装置における期待値データ格納回路7021(7022)を、期待値データ発生回路7041(7042)に置き換えるようにしたものである。
図52に示す半導体記憶装置においては、消去前の書き込みおよび消去するのに必要なリファレンスデータは、全ビットともデータ“0”或いはデータ“1”であるため、ランダムデータを格納する手段を使用しなくても実現は可能である。しかしながら、図56に示す本実施例においては、ブロックアドレス信号により選択された期待値データ発生回路7041(7042)にその選択信号をラッチ制御信号LTを高レベル“H”とすることによってラッチするようになっている。そして、ラッチされた期待値データ発生回路7041(7042)からは、強制的にデータ“0”が発生される。また、消去時には、反転制御信号INV によりその期待値データを反転させれば、前述したのと同様な消去ベリファイも可能となる。
図57は図56の半導体記憶装置における期待値データ発生回路の一例を示す回路図である。同図に示されるように、期待値データ発生回路7041(7042)は、インバータ763,764,767,768,ナンドゲート761,762,766,769,770,および, ノアゲート765 を備えて構成されている。ここで、ナンドゲート762 およびインバータ763 はラッチ回路を構成している。この図57に示す期待値データ発生回路7041(7042)では、アドレスデータ信号(ブロック選択信号)をラッチ回路(762,763) にラッチすると、リファレンスデータは強制的に低レベル“L”となり、また、反転制御信号INV を高レベル“H”とすると、リファレンスデータは高レベル“H”となる。
図58は本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態のさらに他の実施例を示すブロック回路図である。図58に示す実施例においては、図52の期待値データ格納回路7021(7022), 書き込み回路7261(7262)および一致回路7031(7032)を、ブロック選択信号格納回路7051(7052), 書き込み回路7161(7162)およびデータ反転回路7061(7062)に置き換えた構成となっている。すなわち、本実施例では、ブロック選択信号格納回路7051(7052)に格納された選択信号により、消去前書き込みおよびそのベリファイと消去ベリファイを制御するようになっている。
図58に示す半導体記憶装置において、まず、消去前書き込み時には、ブロック選択信号(ブロックドレス信号)により所定のブロックのセルに書き込みを行なう。ここで、データ反転回路7061(7062)は、センスアンプ7271(7272)のデータを消去ベリファイ時と書き込みベリファイ時とで反転させる機能を持ち、書き込みおよび消去が十分に行なわれると出力が高レベル“H”となるようにされている。また、このとき非選択のブロックにおいては、ブロック選択信号格納回路7051(7052)の出力信号により常に高レベル“H”となるようにされている。これにより、前述のような消去前書き込みおよび消去を実現することができる。
図59は図58の半導体記憶装置におけるブロック選択信号格納回路の一例を示す回路図、図60は書き込み回路の一例を示す回路図、そして、図61はデータ反転回路の一例を示す回路図である。
図59に示されるように、ブロック選択信号格納回路7051(7052)は、ブロックアドレス信号(ブロック選択信号)およびラッチ制御信号が入力されたナンドゲート771 と、ラッチ回路を構成するナンドゲート772 およびインバータ773 で構成されている。また、図60に示されるように、書き込み回路7161(7162)は、インバータ781,ノアゲート782,ナンドゲート783,および, 書き込み用電源(Vpp) が印加されたPチャネル型MOSトランジスタ785,786 およびNチャネル型MOSトランジスタ787 を備えて構成されている。さらに、図61に示されるように、データ反転回路7061(7062)は、インバータ792,793 およびナンドゲート791,794,795,796 を備えて構成されている。そして、反転信号INV に応じてセンスアンプ7271(7272)の出力を反転してナンドゲート704 へ供給するようになっている。
図59に示すブロック選択信号格納回路7051(7052)において、ブロックアドレス信号をラッチ制御信号LTの高レベル“H”に従ってラッチ回路(772,773) にラッチする構成となっている。そして、選択信号のラッチされたブロックでは、入力データのレベルにかかわらず、書き込み制御信号Wを高レベル“H”とすることによりバス線に書き込み電圧Vppを印加するようになっている。
図61に示すデータ反転回路7061(7062)において、書き込みベリファイ時には反転制御信号INV を低レベル“L”とすると、センスアンプ7271(7272)の出力が低レベル“L”(書き込みが行なわれた状態)となって、ナンドゲート704 への出力が高レベル“H”となる。また、消去ベリファイ時には、反転制御信号INV を高レベル“H”とする。ここで、非選択ブロックにおいてはブロック選択信号(ブロックアドレス信号)が低レベル“L”となり、ナンドゲート704 への出力は強制的に高レベル“H”となる。これにより、任意のブロックを同時に消去を実行できるようになる。尚、マルチプレクサ725 は、書き込みデータおよびセンスアンプデータをブロック選択アドレスに従って、所定のブロックに供給し、また、所定のブロックのデータを出力するかを制御するものである。
以上、説明したように、本発明に係る半導体記憶装置の第7の形態によれば、各セルブロックのソース電源回路にブロック選択信号のラッチ回路を備え、同時に各セルソース電源回路を動作させると共に、各セルブロックにセンスアンプとベリファイの期待値データ発生回路とセンスアンプ出力と期待値の一致を確認する回路を備え、且つ、該一致回路の出力の論理積をとる回路を備えることによって、同時に消去およびベリファイを行なうことが可能となる。