JP2005338674A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置構成を複雑にかつ大型化することなく、広い視野角に対応してコントラストの良好な表示を行うことが可能な投射型の液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネルをライトバルブとして用いた投射型の液晶表示装置であって、液晶パネルの表示領域に配置される各表示画素13は、第1領域13-1と第2領域13-2とで構成されている。第1領域13-1と第2領域13-2とは、駆動電圧無印加時における液晶分子mの配向方向が、逆向きの方位角方向に設定されていることとする。また、この液晶パネルは、電圧無印加時における液晶分子mのツイスト角θが90°に対してずらした角度、好ましくは60°〜85°に設定されていることとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特には液晶パネルをライトバルブとして用いた投射型の液晶表示装置に関する。
液晶パネルを用いた表示装置の一つとして、光源から出力された照射光を、例えば透過型の液晶パネルからなるライトバルブによって光変調して画像光を形成し、この画像光をスクリーンなどに投射する液晶表示装置(すなわち液晶プロジェクタ装置)が知られている。
このような液晶プロジェクタ装置のライトバルブとして用いられている液晶パネルは、一対の基板間に液晶層を充填してなり、各基板の液晶層に向かう面には、液晶層を構成する液層分子の配向を制御するための駆動電極がパターン形成され、これらの駆動電極を覆う状態で配向膜が設けられている。また、駆動電極によって液晶層に電圧を印加した際に、液晶層を構成している液晶分子の倒れる方向を基板の全面において揃えるために、電界を印加していない時に液晶分子の長軸方向が基板の表面に対して所定のプレチルト角を持った同一方向に向くように、配向膜表面が構成されている。例えば、TNモードの液晶パネルであれば、表示領域の全面において、液晶分子に2°〜6°のプレチルト角(基板面に対する角度)を持たせるように、配向膜表面が構成されている。
このような構成の液晶パネルは、一対の偏光板に狭持された状態で液晶プロジェクタにおける照射光の光路に配置される。例えばTNモードの液晶パネルであれば、クロスニコルの位置に偏光板を配置することにより、駆動電圧の無印加時に白表示、印加時に黒表示がなされるノーマリーホワイトの表示が行われるのである。
ここで、上記液晶プロジェクタ装置においては、表示画面の明るさを確保するために、液晶パネルに対する照射光の角度成分を5°〜15°の範囲を主としている。つまり、照射光には液晶パネルに対して垂直に入射する成分がほとんど含まれておらず、大部分の照射光が角度を持って液晶パネルに入射する構成となっている。
ところが、液晶パネル面に角度をもって入射した光は、駆動電極の無印加時における液晶分子のプレチルト角の影響を受けて、その偏光状態に乱れが生じる。これは、液晶分子の有する屈折率の異方性に関するものである。要するに、液晶分子の屈折率の異方性により、液晶分子の長軸方向成分の位相が遅れる。このため、入射側の偏光板を通過して液晶パネルに入射した直線偏光の入射光は、液晶分子で遅相軸方向成分と進相軸方向成分との間に位相差が生じて楕円偏光となる。また、液晶パネルを通過した後の光の偏光状態は、多数の異なる向きの液晶分子による偏光変化を足し合わせたものとなるため、上述したように種々の方向から入射した直線偏光は、液晶分子によって変化し、入射方向に応じて、上記楕円偏光が変化するのである。
これにより、例えば、上述したTNモードの液晶パネルにおいては、液晶パネルの表示面に対してある方位角方向に傾斜して入射される照射光成分に対しては、駆動電圧の上昇に伴って、光透過率が低下し、特定の電圧値を境界として再び光透過率が上昇し、その後、徐々に低下する、と言った反転現象が生じる。また、液晶パネルの表示面に対して、異なる方位角方向に傾斜して入射される照射光成分に対しては、駆動電圧を上昇させても光透過率が下がりきらず、黒が浮いたままになることもある。
この結果、上記構成の液晶パネルをライトバルブとして用いた液晶プロジェクタにおいては、液晶パネルの出射側にある偏光板で楕円偏光による光漏れが生じて黒表示においての光透過率が上がり、視野角に依存してコントラストが劣化すると言った問題が生じていた。
そこで、液晶パネルと偏光板との間に、所定の角度傾斜させた状態で位相差手段を配置したり、所要の軸方向における遅相軸が偏光板の偏光軸に対して所定の角度を持つように光学補償手段を配置することにより、液晶分子のプレチルト角に伴う遅相軸方向と進相軸方向との間の位相差を打ち消す構成の液晶プロジェクタ装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
特開2001−42314号公報
しかしながら、このような構成の液晶プロジェクタ装置においては、液晶パネルと偏光板との間に、位相差手段や光学補償手段を設ける必要があるため、装置構成が複雑化する。特に、位相差手段を配置する場合には、液晶パネルに対して位相差フィルムを傾斜させた状態とするため、偏光板間に液晶パネルを狭持してなる液晶パネル部が大型化し、装置の小型化を図る上での妨げになる。
そこで本発明は、装置構成を複雑にかつ大型化することなく、広い視野角に対応してコントラストの良好な表示を行うことが可能な投射型の液晶表示装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の液晶表示装置は、液晶パネルをライトバルブとして用いた投射型の液晶表示装置であり、特には、液晶パネルの表示領域に配置される各表示画素に、駆動電圧無印加時における液晶分子の配向方向が逆向きの方位角方向に設定されている第1領域と第2領域とが設けられていることとする。
このような構成の液晶表示装置では、液晶分子の配向方向が逆向きに設定された第1領域と第2領域とにおいては、電圧無印加時に液晶分子が逆向きの方位角方位に所定のプレチルト角で傾くことになる。このため、電圧無印加時における各表示画素の光透過率は、第1領域と第2領域とのそれぞれの視野角依存性を相補的に補った視野角特性を有することとなる。これにより、この液晶パネルをライトバルブに用いた投射型の液晶表示装置においては、プレチルト角に依存して生じていたコントラストの視野角依存性が抑えられる。
そして、ツイストモードの液晶パネルにおいては、液晶分子のツイスト角を90°からずらすことが好ましい。これにより、液晶分子にプレチルト角が設けられることで90°からずれてしまう「見かけのツイスト角」が90°に近づく。このため、第1領域および第2領域のそれぞれにおいて、電圧無印加時における光透過率の視野角依存性に対するプレチルト角の影響が抑えられる。この場合、上記「見かけのツイスト角」が90°に近づくように、ツイスト角を60〜85°の範囲とすることが好ましい。
以上説明したように本発明の投射型の液晶表示装置によれば、電圧無印加時における液晶分子の配向方向を逆向きの方位角方向とした2つの領域を各表示画素に設けた液晶パネルをライトバルブに用いることで、コントラストの視野角依存性を抑えることができる。したがって、装置構成を複雑にしたり、装置の小型化を妨げることなく、広い視野角に対応してコントラストの良好な表示を行うことが可能になる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<液晶パネルの構成>
図1には、本発明の投射型の液晶表示装置の一例を示す要部断面図として、特に液晶パネルの断面図を示す。この図に示す液晶パネル1は、投射型の液晶表示装置のライトバルブとして用いられるものであり、駆動基板2と対向基板3との間に液晶層4を狭持してなる。
このうち、駆動基板2は、例えば光透過性の絶縁基板を用いて構成され、その中央部を表示領域2aとし、この表示領域2aの液晶層4に向かう面には、ここでの図示を省略したスイッチング素子が配列形成されている。このスイッチング素子は、薄膜トランジスタ(TFT)等の三端子素子、または二端子素子等であって良い。このような駆動基板2における液晶層4に向かう面上には、それぞれがスイッチング素子に個別に接続された画素電極5が配列形成されている。これらの画素電極5は、透明導電性材料からなる。そして、画素電極5が配置されている表示領域2aの全体を覆う状態で、配向膜6が設けられている。この配向膜6の構成が、以降に述べるように本実施形態において特徴的な構成となっている。
一方、対向基板3は、光透過性の絶縁基板を用いて構成され、その中央部を表示領域3aとし、この表示領域3aの液晶層4に向かう面には、例えば表示画素毎にオンチップレンズ7が設けられていても良い。これらのオンチップレンズ7は、画素電極5が設けられている表示画素に対応して同一ピッチで作製されていることとする。尚、各表示画素とオンチップレンズ7のピッチとは、例えば5μm〜30μmである。そして、このような対向基板3における液晶層4に向かう面上には、透明導電性材料からなる対向電極8が形成され、さらにこの対向電極8が配置されている表示領域3aの全体を覆う状態で、配向膜9が設けられている。この配向膜9の構成が、駆動基板2側の配向膜6と同様に、以降に述べる通りに本実施形態において特徴的な構成となっている。
そして、上記構成の駆動基板2と対向基板3とは、それぞれの表示領域2a,3aを平面視的に重ね合わせた状態で対向配置され、ここでの図示を省略したスペーサを狭持することにより、所定のギャップ間隔に保たれている。そして、駆動基板2と対向基板3との周縁には、駆動基板2−対向基板3間に狭持させた液晶層4を密封するためのシール剤11が設けられている。
尚、以上は、液晶パネル1がアクティブマトリックス駆動である場合を説明したが、この液晶パネル1は、パッシブマトリックス駆動であっても良い。
ここで、この液晶パネル1は、例えば駆動電圧の無印加時において液晶層4を構成する液晶分子が駆動基板2側から対向基板3側に向かって捩じれるツイストモードで駆動されることとする。このため、駆動基板2側の配向膜6と、対向基板3側の配向膜9とは、駆動基板2側(または対向基板3側)から平面視的に見た場合に、交差する方向に配向処理がなされている。ただし、配向膜6,9は、液晶パネル1に対して駆動電圧を印加した際に、正の誘電異方性を有する液晶分子mが立ち上がる方向を揃えるために、駆動電圧無印加の状態で液晶分子mが基板面に対して所定のプレチルト角で傾斜するように構成されていることとする。
そして特に、本実施形態の液晶パネル1においては、図2に示すように、各表示画素13が第1領域13-1と第2領域13-2とを備えていることを特徴としている。尚、図2(1)は、1つの表示画素13における配向膜6,9間の斜視図である。そして、図2(2)は1つの表示画素13を駆動基板2側の配向膜6上から平面視的に見た模式図である。
すなわち、各表示画素13の画素開口に設けられている第1領域13-1と第2領域13-2とは、駆動電圧無印加時における液晶分子mの配向方向が、180°の逆向きとなるように構成されているのである。このため、例えば、駆動基板2側の配向膜6は、実線矢印で示したように、第1領域13-1と第2領域13-2とにおいて、平行をなす逆向きに配向処理がなされている。一方、対向基板3側の配向膜9は、破線矢印で示したように、第1領域13-1と第2領域13-2とにおいて、平行をなす逆向きに配向処理がなされている。
これにより、第1領域13-1と第2領域13-2とにおいては、駆動電圧の無印加時において、液晶分子mが逆の方位角方向に所定のプレチルト角で傾く構成となっている。
また、第1領域13-1および第2領域13-2においては、駆動基板2側の配向膜6の配向方向と対向基板3側の配向膜9の配向方向とがなす角度、すなわち液晶分子mのツイスト角θが、90°に対してずらした角度に設定されていることが好ましい。このツイスト角θは、90°を越える範囲、または90°未満の範囲に設定して良い。この場合、以降に説明するように、駆動電圧無印加の際に、液晶分子mのプレチルト角の影響によって90°からずれる「見かけのツイスト角」が90°に近づくように、ツイスト角θを設定することが好ましい。そして、液晶パネルにおける視野角特性を示すコントラストの等高線形状が、例えば円形状、四角形状、楕円形状、長方形状等の凹部のない凸状の閉曲線となるように、ツイスト角θを設定することが好ましい。このようなツイスト角θとしては、例えば60°〜85°の範囲で設定される。尚、このツイスト角θは、「見かけのツイスト角」が90°に近づけることができれば、上述したように90°を越える範囲に設定されても良く、液晶パネルをSTNモードとしても良い。
尚、図2においては、1つの表示画素13を、第1領域13-1と第2領域13-2とに2分割した構成を図示した。しかしながら、各表示画素13を、さらに複数の第1領域13-1および複数の第2領域13-2に分割した構成であっても良い。この場合、各表示画素13における第1領域13-1と第2領域13-2との分割数が異なっていても良いが、第1領域13-1と第2領域13-2との専有面積が同程度に設定されていることが好ましい。また、各表示画素13内において、第1領域13-1と第2領域13-2とが均等に配置されていることが好ましい。
以上のように構成された液晶パネル1は、図3に示すように、2枚の偏光板、すなわち液晶表示装置における照射光が入射する側の入射側偏光板15aと、この照射光が射出される側の射出側偏光板15bとに狭持された状態で液晶パネル部1aを構成し、この液晶パネル部1aを透過した照射光hがレンズ17を介してスクリーン18上に投射されるように、投射型の液晶表示装置内に配置される。
ここで、液晶パネル部1aを構成する入射側偏光板15aと射出側偏光板15bは、液晶パネル1における光hの入射側と射出側とに、例えばクロスニコルとなる状態で配置されることにより、ノーマリーホワイトモードの液晶パネル部1aが構成されていることとする。すなわち、液晶パネル部1aは、駆動電圧無印加時には、入射側偏光板15aを通過して液晶パネル1内に入射した照射光(直線偏光)hが、液晶分子の配向に従ってツイスト角θだけ回転し、クロスニコルの位置に配置された射出側偏光板15aを通過して白表示となる。一方、駆動電極印加時には、駆動基板2および対向基板3の表面に対して液晶分子の長軸方向が垂直をとなる方向に、液晶分子が立ち上がる。そして、入射側偏光板15aを通過して液晶パネル1内に入射した照射光(直線偏光)hが、そのまま液晶層4内を通過してクロスニコルの位置に配置された射出側偏光板15aで遮断されて黒表示となるのである。
また、図4に示すように、入射側偏光板15aと液晶パネル1との間、および射出側偏光板15bと液晶パネル1との間に、位相差手段として位相差板16,16を配置して液晶パネル部1aを構成しても良い。これらの位相差板16,16の遅相軸(または進相軸)は、液晶パネル1を構成する液晶分子の配向軸と、入射側偏光板15aおよび射出側偏光板15bの吸収軸(または透過軸)との間に位置することとする。また、以降に説明するV−T特性を良好にするため、具体的にはV−T特性を示す黒透過率を良好にするために位相差板16,16のリタデーション(リタデーションの絶対値の差)が30nm以下であることが好ましい。
尚、液晶パネル部1aに配置する位相差手段としては、偏光板15a,15bと液晶パネル1との間に設けられる位相差板16に限定されることはなく、液晶パネル1の駆動基板内や対向基板内に位相差フィルムとして設けても良い。この場合であっても、同様の理由により、リタデーションが30nm以下であることが好ましい。
<液晶表示装置の全体構成>
次に、上述した構成の液晶パネル部1aを備えた液晶表示装置の全体構成を、図5の液晶表示装置の全体構成に基づいて詳細に説明する。尚ここでは、赤(R)・緑(G)・青(B)各色に1枚ずつ、合計3枚の液晶パネル部1aを用いて画像表示を行ういわゆる3板式投射型の液晶表示装置に本発明を適用した構成を説明する。尚、本発明は、3板式投射型の液晶表示装置だけに限らず、1枚の液晶パネル部1aのみ用いて画像表示を行ういわゆる単板式投射型の液晶表示装置に用いることもできる。
この図に示す液晶表示装置20はランプ22を備えている。このランプ22は、リフレクタ22aの焦点位置に発光部22bを配置してなり、ランプ22から照射された照射光は、リフレクタ22aの光軸にほぼ平行な光として、その開口部から前方に射出される。
そして、ランプ22の後段には、4枚のマルチレンズアレイ23,24が、ランプ22から射出された光路に沿って配置されている。これらのマルチレンズアレイ23,24は、上述した液晶パネル部1aを構成する液晶パネルの被照射領域(画素形成のための光変調を行う有効開口に相当する)のアスペクト比にほぼ等しい相似型をした外形を有している複数のレンズセルが、例えば正方配列されたものであり、それぞれのレンズセルが対向する状態で配置されている。
またマルチレンズアレイ24の後段には、マルチレンズアレイ23,24で集光された光を所定の偏光方向の光に偏光するための偏光変換ブロック25が配置されている。これにより、ランプ22から射出された無偏光(P偏光波+S偏光波)の照射光が、所定の偏光方向(例えば、P偏光波)の照射光に変換される。なお、偏光変換ブロック25の説明については省略する。
そしてさらに、偏光変換ブロック25の後段には平凸レンズ26が配置され、これによって偏光変換ブロック25において例えばP偏光波に変換された照射光が、効率良く3枚の液晶パネル1aに照射される構成となっている。
また、平凸レンズ26の後段には、R光のみを通過させるダイクロイックミラー27が配置されている。これにより、R光のみを直進させ、G光およびB光を90°の方向に反射させる。そして、ダイクロックミラー27を透過して直進させたR光の光路には、R光の進行方向を例えば90°反射させるミラー28が設けられ、このミラー28で反射させたR光の光路に、凸平レンズ29を介して1つめの液晶パネル部1aが配置されている。
一方、ダイクロイックミラー27で反射させたG光およびB光の光路には、B光のみを透過するダイクロイックミラー31が配置されている。これにより、B光のみを直進させ、G光を90°の方向に反射させる。そして、ダイクロックミラー31で反射させたG光の光路に、凸平レンズ32を介して2つめの液晶パネル部1aが配置されている。またさらに、ダイクロックミラー31を透過して直進させたB光の光路には、光路順にリフーレンズ33、ミラー34、リフーレンズ35、ミラー36、凸平レンズ37を介して3枚目の液晶パネル部1aが配置されている。
そして、3枚の液晶パネル部1aのそれぞれで光変調されたR光、G光、B光の光路上には、クロスプリズム38が配置されている。このクロスプリズム38は、複数のガラスプリズムを接合して外形が形成される。そして、各ガラスプリズムの接合面には、所定の光学特性を有している干渉フィルタ38a,38bが形成されている。例えば、干渉フィルタ38aはR光を反射してG光を透過するように構成されている。また、干渉フィルタ38bは、B光を反射してG光を透過するように構成されている。そして、R光は干渉フィルタ38aによって、またB光は干渉フィルタ38bによって、これらを透過したG光と同一方向に反射される構成となっている。
また、クロスプリズム38から射出された光(R,G,B光)の光路には投射レンズ39が配置され、この投射レンズ39においてR光,G光,B光が1つの光軸に合成され、ここでの図示を省略したスクリーンに拡大投射される。
以上説明した構成の投射型の液晶表示装置では、図1および図2を用いて説明したように、ライトバルブとして用いられている液晶パネル1の各表示画素13に、駆動電圧無印加時における液晶分子mの配向方向が逆向きの方位角方向に設定されている第1領域13-1と第2領域13-2とを設けた。これにより、第1領域13-1および第2領域13-2においては、電圧無印加時に液晶分子mが逆向きの方位角方位に所定のプレチルト角で傾くことになる。
このため、電圧無印加時における各表示画素13の光透過率は、第1領域13-1と第2領域13-2とのそれぞれの視野角依存性を相補的に補った視野角特性を有することとなる。
また、この液晶パネル1においては、図2(2)を参照し、液晶分子のツイスト角θを90°からずらし、ツイスト角θ=60〜85°の範囲としている。これにより、液晶分子にプレチルト角が設けられることで90°からずれる「見かけのツイスト角」を90°に近づけている。このため、第1領域13-1および第2領域13-2毎に、電圧無印加時における光透過率の視野角依存性に対するプレチルト角の影響が抑えられる。
図6は液晶パネル部1aを示す斜視図であり、図7は、図6に示されている液晶パネル部1aに対して所定の方位角方向φから入射した照射光hの視野角特性をコントラストの等高線によって示す図である。尚、図7は、図6に示されている照射光hの入射方向として、破線で示されているようにパネル面に対して法線となるz軸を回転軸としてy軸を起点としてφa回転し、z軸からΘa(=20°)傾いた角度で入射した照射光hの視野角特性を示している。また、図7の各図には、本実施形態で説明した構成の液晶パネル部における視野角特性とともに、従来構成の液晶パネル部、すなわちツイスト角90°で全表示画素に均一に液晶分子の配向方向が設定されている液晶パネル部における視野角特性を破線で示した。
図7の各図に破線で示したように、従来構成の液晶パネル部を透過した照射光で構成される画像は、所定の方位角方向φ1において、電界無印加時における光抜けが大きく、コントラストの等高線が凹状となってコントラストが低下している。尚、この方位角方向φ1は、従来構成の液晶パネル部において、液晶分子の立ち上がり方向に対して逆の方位角方向(逆視角方向)である。
これに対して、図7(1)の実線に示すように、本実施形態の液晶パネル部の第1領域のみを透過した照射光で構成される画像は、第1領域における液晶分子のツイスト角を90°からずらして60°〜85°の範囲としたことにより、コントラストの等高線形状における凹状が解消され、楕円形状の凹部のない凸状の閉曲線となる。つまり、特に光抜けが大きい方位角領域が無くなっている。これは、液晶分子にプレチルト角を設けたことで90°からずれる「見かけのツイスト角」が90°に近づき、電圧無印加時におけるプレチルト角の影響が抑えられたためである。
また、図7(2)の実線に示すように、本実施形態の表示パネル部の第2領域のみを透過した照射光で構成される画像は、第1領域で構成される画像と逆の(180°回転させた)視野角特性を有するようにコントラストの等高線形状が構成される。このため、第2領域を透過した照射光で構成される画像にも、特に光抜けが大きい方位角領域は無い。
そして、本実施形態の液晶パネル部においては、各表示画素が第1領域と第2領域とを備えているため、この液晶パネル部を透過した照射光で構成される画像は、図7(1)と図7(2)とを合わせたコントラストの等高線を有する視野角特性となる。これにより、本実施形態の液晶パネルにおいては、図7(3)に示すように、コントラストの等高線が凹部を持たない凸型の閉曲線で構成され、視野角特性の良好な表示を行うことが可能になる。
次に、図8の各図には、本実施形態で説明した構成の液晶パネル部における駆動電圧と光透過率との関係、いわゆるV−T特性a,a’を示す。
尚、図8(1)には、従来構成の液晶パネル部に対して、液晶分子が立ち上がる方位角方向(正視角方向)に、例えば20°傾けた角度のV−T特性bを破線で示した。一方、図8(2)には、従来構成の液晶パネル部に対して、液晶分子が立ち上がる方向とは逆の方位角方向(逆視角方向)に、例えば20°傾けた角度のV−T特性b’を破線で示した。そして、本実施形態で説明した構成の液晶パネル部に対しては、図8(1)に第1領域の正視角方向でかつ第2領域の逆視角方向に20°傾けた角度のV−T特性aを示す一方、図8(2)に第1領域の逆視角方向でかつ第2領域の正視角方向に20°傾けた角度のV−T特性a’を示している。さらに、図8の各図には、パネル面に対して垂直な入射光についてのV−T特性cを合わせて示した。
図8(1)に示すように、パネル面に対して垂直な入射光のV−T特性cに対して、従来構成の液晶パネルにおいて正視角方向に20°傾けた角度のV−T特性bは、駆動電圧(V)の上昇とともに、光透過率(T)がある程度までは沈むが0にはならず、また浮いてしまうという反転現象が生じる。これに対して、本実施形態の液晶パネルにおけるV−T特性aは、反転現象が生じることはなく、またパネル面に対して垂直な入射光のV−T特性cと同様に駆動電圧の上昇にともなって光透過率(T)を0にまで下げることができるため、黒浮き現象が生じることはない。
一方、図8(2)に示すように、パネル面に対して垂直な入射光のV−T特性cに対して、従来構成の液晶パネルにおいて逆視角方向に20°傾けた角度のV−T特性b’は、駆動電圧(V)を上昇させても光透過率(T)が沈みきらず、黒浮き現象が生じてしまう。これに対して、本実施形態の液晶パネルにおけるV−T特性a’は、パネル面に対して垂直な入射光のV−T特性cと同様に駆動電圧の上昇にともなって光透過率(T)を0にまで下げることができるため、黒浮き現象が生じることはない。
したがって、上述した本実施形態構成の液晶パネル部を用いた投射型の液晶表示装置によれば、視野角依存性なく光透過率を十分に抑えた黒表示が可能になるため、広い視野角の範囲においてコントラストの良好な表示を行うことが可能である。また、液晶分子の配向方向を逆向きの方位角方向とした2つの領域を各表示画素に設けた液晶パネルをライトバルブに用いることによって、上述したようなコントラストの視野角依存性を抑えることを可能としているため、液晶表示装置の装置構成を複雑にしたり、装置の小型化を妨げることもない。
<液晶パネルの作製方法>
次に、上述した液晶パネル部1aを構成する液晶パネルの作製方法を、図9のフローチャートに基づき、図1および図2を参照して説明する。
先ず、工程1では、駆動基板2を構成する絶縁性基板上にスイッチング素子を含む駆動回路を形成し、さらに画素電極5をパターン形成するまでを、従来と同様に行う。
その後、工程2では、画素電極5を覆う状態で配向膜形成層を成膜する。
次に、工程3では、駆動基板2の各表示画素のうちの第1領域13-1の配向膜形成層部分のみを所定の配向状態で配向させる配向処理を行う。この場合、例えば、第1領域13-1を開口させて第2領域を覆うマスクを、配向膜形成層上に対向配置させた状態で、このマスク上から第1領域13-1のみに光を照射する光配向技術により、第1領域13-1を上述した配向状態とする。
次いで、工程4では、駆動基板2の各表示画素13のうちの第2領域13-2の配向膜形成層部分のみを所定の配向状態で配向させる配向処理を行う。この場合、工程3で用いたマスクを配向膜形成層上から取り外し、第2領域13-2が上述した配向状態となるように配向処理を行う。この際には、光配向技術を適用しても良く、またラビング処理を施しても良い。
一方、工程5では、対向基板3を構成する絶縁性基板上に対向電極8を形成するまでを、従来と同様に行う。
次の工程6では、対向電極8を覆う状態で配向膜形成層を成膜する。
その後、工程7,8は、上記工程3,4と同様に行うことにより、対向基板3側の各表示画素のうちの第1領域13-1および第2領域13-2の配向膜形成層に対して、それぞれ上述した配向状態となるように、順次配向処理を行う。
以上のようにして、各表示画素の第1領域13-1および第2領域13-2がそれぞれの配向状態となっている配向膜6,9を備えた駆動基板2および対向基板3を作製する。そして、その後の工程9においては、駆動基板2側または対向基板3側の周縁にシール剤11を土手状に設け、このシール剤11およびここでの図示を省略したスペーサを介して、駆動基板2と対向基板3とを所定ギャップを保って貼り合わせる。この際、各表示画素13において、駆動基板2側の第1領域13-1および第2領域13-2と、対向基板3側の第1領域13-1および第2領域13-2とにおける配向膜6,9が、上述した所定状態で対向配置されるように位置合わせを行う。
そして次の工程10では、シール剤11の開口部から駆動基板2と対向基板3との間に液晶層4を充填し、その後シール剤11の開口部2を封止剤によって封止し、液晶パネル1を完成させる。
このようにして完成させた本実施形態構成の液晶パネル1を用い、通常の手順にしたがって図5に示した本発明の投射型の液晶表示装置を組み立てる。
実施形態の液晶表示装置における液晶パネルの全体構成図である。 実施形態の液晶表示装置における液晶パネルの表示画素の構成を示す図である。 液晶パネルを用いた液晶パネル部の構成を説明する図である。 液晶パネルを用いた液晶パネル部の他の構成を説明する図である。 液晶パネルを用いた実施形態の液晶表示装置の全体構成図である。 液晶パネルに入射する光線の方向を説明する図である。 図6に示されている液晶パネルに対して所定の方向から入射した光の視野角特性を等高線によって示す図である。 図6に示されている液晶パネルに対して所定の方向から入射した光の視野角特性をV−Tカーブによって示す図である。 実施形態の液晶表示装置における液晶パネルの製造手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…液晶パネル、2a,3a…表示領域、13…表示画素、13-1…第1領域、13-2…第2領域、16…位相差板(位相差手段)、20…液晶表示装置、m…液晶分子

Claims (8)

  1. 液晶パネルをライトバルブとして用いた投射型の液晶表示装置であって、
    前記液晶パネルの表示領域に配置される各表示画素には、駆動電圧無印加時における液晶分子の配向方向が逆向きの方位角方向となる第1領域と第2領域とが設けられている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 請求項1記載の液晶表示装置において、
    前記液晶パネルは、電圧無印加時における液晶分子のツイスト角が90°に対してずらした角度に設定されている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項2記載の液晶表示装置において、
    前記ツイスト角が60°〜85°に設定されている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項1記載の液晶表示装置において、
    前記各表示画素には、前記第1領域および第2領域の少なくとも一方の領域が複数設けられている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  5. 請求項1記載の液晶表示装置において、
    前記各表示画素は、前記第1領域および前記第2領域に対して、さらに駆動電圧無印加時における液晶分子の配向方向を所定の方位角方向にずらした領域対を備えている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  6. 請求項1記載の液晶表示装置において、
    前記液晶パネルの両側に配置された偏光板の間に、位相差手段が配置されている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  7. 請求項6記載の液晶表示装置において、
    前記位相差手段は、前記液晶パネル内に設けられた位相差フィルムからなる
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  8. 請求項1記載の液晶表示装置において、
    前記液晶パネルにおける視野角特性を示すコントラストの等高線形状が、凸状の閉曲線で構成されている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
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