JP3887980B2 - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の基板間に液晶が封入された液晶パネルを用いた液晶装置に関するものである。さらに詳しくは、所定の配向処理が施された一対の基板間にネマティック液晶が封入された電界制御複屈折モードの液晶パネルにおける表示品位の向上技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置に用いる液晶パネルでは、図12に模式的に示すように、画素電極8、配向膜46、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)10などが形成されたアクティブマトリクス基板3と、遮光膜6、対向電極32および配向膜49が形成された対向基板4と、これらの基板間に封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。アクティブマトリクス基板3と対向基板4とはギャップ材含有のシール材59によって所定の間隙(基板間の間隔)を介して貼り合わされ、この間隙内に液晶39が封入されている。ここで、液晶パネル1′を反射型として構成する場合には、画素電極8としてアルミニウム電極などといった反射性の電極が用いられる。また、画素電極8として透明な電極を形成した場合でも、液晶パネル1′の一方の面側に反射シートなどを重ねれば、反射型として構成できる。
【0003】
このように構成した液晶パネル1′において、配向膜46、49は、ポリイミド膜などの有機薄膜に対して所定方向のラビング処理、あるいは斜め蒸着などを行うことによって形成されたものであり、アクティブマトリクス基板3と対向基板4との間に液晶39を封入したときに、液晶39の配向状態を規定する。このラビング処理において、液晶パネル1′をTNモードで構成する場合には、アクティブマトリクス基板3に対するラビング方向、および対向基板4に対するラビング方向は、互いに直角をなすように設定される。このため、液晶39は、電場がかかっていない状態では、アクティブマトリクス基板3および対向基板4の表面近傍において配向膜46、49からの配向規制力を受け、基板間で90°の角度をもって捩じれ配向する。このような捩じれ配向は、アクティブマトリクス基板3と対向基板4との間に電場をかけることによって解放される。従って、画素電極8と対向電極32との間に電場を印加するか否かによって、液晶39の配向状態を制御することができる。それ故、反射型の液晶パネル1′であれば、光源(図示せず。)からの光は、入射側に配置された偏光板(図示せず。)によって所定の直線偏光光に揃えられた後、対向基板4の側から液晶39の層に入射し、ある領域を透過する直線偏光光は、入射した状態から透過偏光軸が液晶39によって捩じられながらアクティブマトリクス基板3の側で反射されて再び、対向基板4から出射される一方、他の領域を通過した直線偏光光は、入射した状態から透過偏光軸が液晶39によって捩じられることなくアクティブマトリクス基板3の側で反射されて再び対向基板4から出射される。このため、入射側の偏光板を再び透過するのは、液晶39によって透過偏光軸が捩じられることがなかった方の光だけであるので、これらの偏光状態を画素毎に制御することにより所定の情報を表示することができる。
【0004】
このように構成した液晶パネル1′を用いてカラー画像を表示する場合に、従来は、対向基板4には、各画素電極8に対向するように赤、緑、青のカラーフィルタ33R、33G、33Bが形成される。
【0005】
また、反射型の液晶パネル1′をライトバルブとして用いてカラー画像を投射表示する投射型表示装置は、図13に示すように構成される。この投射型表示装置においては、以下に説明するように、3枚の液晶パネル1′はそれぞれ、RGB用のライトバルブとして使用されているので、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された光が入射し、光変調させた光を出射する。従って、ここに使用する液晶パネル1′にはカラーフィルタが形成されていない。また、この投射型表示装置では、偏光板に代えて偏光ビームスプリッタが用いられている。
【0006】
図13において、投射型表示装置2100では、システム光軸Lに沿って、光源110、インテグレータレンズ120、偏光変換素子130を備える偏光照明装置140と、偏光照明装置140から出射された偏光光束をS偏光光束反射面201により反射させる偏光ビームスプリッタ200と、偏光ビームスプリッタ200のS偏光反射面201から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー412と、分離された青色光(B)を青色光を変調する反射型のライトバルブ1Bと、青色光が分離された後の光束のうち赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー413と、分離された赤色光(R)を変調する反射型のライトバルブ1Rと、ダイクロイックミラー413を透過する残りの緑色光(G)を変調する反射型のライトバルブ1Gと、3つのライトバルブ1R、1G、1Bにて変調された光をダイクロイックミラー412、413、偏光ビームスプリッタ200にて合成し、この合成光をスクリーン600に投射する投射レンズからなる拡大投射光学系500′とから構成されている。上記3つの反射型のライトバルブ1R、1G、1Bには、それぞれ前述の液晶パネル1′が用いられ、偏光ビームスプリッタ200は、これらのライトバルブ1R、1G、1Bから出射されてくる光のうち、液晶によって透過偏光軸が捩じられてP偏光光となった光のみを透過させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成した液晶パネル1′において、図12に示すようなカラーフィルタ33R、33G、33Bを用いた場合には、カラーフィルタ33R、33G、33Bを光が通過する段階で透過率がかなり低下するため、明るい表示が強く求められる投射型表示装置には不適であるという問題点がある。
【0008】
また、図13に示すように、従来の液晶パネル1′をライトバルブ1R、1G、1Bとして用いた投射型表示装置2100では、3枚の液晶パネル1′(ライトバルブ1R、1G、1B)が必要であるため、投射型表示装置2100を小型化できないという問題点がある。
【0009】
ここに、本願発明者は、電界制御複屈折モードの液晶パネルを用いることによって、カラーフィルタを形成しない液晶パネル、1枚でカラー表示を行うことを提案するものである。しかしながら、電界制御複屈折モードの液晶パネルを投射型表示装置に用いた場合には、周囲の温度変化によって表示の品位が変化するという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、電界制御複屈折モードの液晶パネルを用いた場合に表示の品位が変動する原因を追求すべく各種の検討を行い、その検討により得られた知見に基づいて、液晶パネルの駆動状態と液晶材料の物性とを適合させることにより、表示の品位を高めることのできる液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶表示装置は、平行配向処理が施された一対の基板間にネマティック液晶が封入された電界制御複屈折モード(ECDモード/Electrically Controlled Birefringence mode)の液晶パネルと、前記液晶の相転移点(Clearing Point/NI点)よりも20℃から30℃、低い温度になるように前記液晶パネルを加熱する加熱装置とを有し、前記ネマティック液晶は、屈折率異方性が0.1から0.18までの範囲にあり、粘度が15cps以下であり、誘電率異方性が2.5から10までの範囲にあり、前記基板間の間隔は、0.7μmから1.5μmまでの範囲にあることを特徴とする。
また、本発明に係る別の液晶表示装置は、平行配向処理が施された第一の基板と垂直配向処理が施された第二の基板との間にネマティック液晶が封入された電界制御複屈折モード(OCB/Optically Compensated Bend mode)の液晶パネルと、前記液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度になるように前記液晶を加熱する加熱装置とを有し、前記ネマティック液晶は、屈折率異方性が0.1から0.18までの範囲にあり、粘度が15cps以下であり、誘電率異方性の絶対値が2.5から10までの範囲にあり、前記基板間の間隔は、1.2μmから2.5μmまでの範囲にあることを特徴とする。
【0012】
本願発明者は、繰り返し行った実験によって、反射型の電界制御複屈折モードの液晶パネルでは、パネル温度が変化するとコントラスト比が変化するので、表示の品位が変化するという知見を得た。また、反射型の電界制御複屈折モードの液晶パネルでは、パネル温度が高い程、コントラスト特性が向上する傾向にあるという知見も得た。そこで、本発明では、コントラスト特性が常温と比較して明らかに向上する温度まで、すなわち、相転移点よりも約30℃低い温度以上にまで液晶パネルを加熱装置によって加熱する。従って、本発明によれば、コントラスト比の高い表示を行うことができる。但し、パネル温度が相転移点を越えると、液晶パネルとして機能しなくなるので、その上限温度は相転移点とする。
【0013】
また、本願発明者は、繰り返し行った実験によって、電界制御複屈折モードの液晶パネルを投射型表示装置などに用いたときに、パネル温度が変化すると、液晶パネルの応答性が変化し、表示の品位が変動するという知見を得た。但し、パネル温度が液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度範囲内では、パネル温度が変化しても、液晶パネルの応答性があまり変化しないという知見を得た。従って、本発明において、前記加熱装置は、前記液晶パネルが前記液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度になるように加熱することが好ましい。
【0014】
本発明において、前記加熱装置は、たとえば、前記液晶パネルに光を照射するとともに該光の照射によって当該液晶パネルを加熱する光源を利用することができる。
【0015】
このような液晶パネルは、たとえば投射型表示装置に用いることができる。この場合には、前記光源から出射された光を前記液晶パネルによって変調した後、この光を拡大投射光学系によって、スクリーンなどの投射面に向けて拡大投射する。
【0016】
このような投射型表示装置では、光源からかなり強い光が出射されることが多いので、液晶パネルに対して冷却装置を付加することによって、前記光源から照射された光によって加熱された前記液晶パネルの温度を前記液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度に保持することが好ましい。
【0017】
本発明において、前記一対の基板がいずれも平行配向処理が施されている場合には、前記液晶として、屈折率異方性Δnが0.1から0.18までの範囲、粘度が15cps以下、誘電率異方性Δεが2.5から10までの範囲にあるものを用い、前記基板間の間隔dを0.7μmから1.5μmまでの範囲とすることが好ましい。また、本発明において、前記一対の基板がそれぞれ垂直配向処理および平行配向処理が施されている場合には、前記液晶として、屈折率異方性Δnが0.1から0.18までの範囲、粘度が15cps以下、誘電率異方性Δεの絶対値が2.5から10までの範囲にあるものを用い、かつ、前記基板間の間隔dを1.2μmから2.5μmまでの範囲とすることが好ましい。
【0018】
本願明細書において、屈折率異方性Δnとは、結晶の光軸に対して平行方向の屈折率から垂直方向の屈折率を引いた値のことをいい、屈折率が方向によって異なる度合いのことをいう。また、誘電率異方性Δεとは、結晶分子の配列方向に平行方向の誘電率から垂直方向の誘電率を引いた値のことをいい、誘電率が方向によって異なる度合いのことをいう。
【0019】
本願発明者は、繰り返し行った実験から得た知見に基づいて、上記のように、液晶パネルの応答性が高い条件に、基板間の間隔dおよび液晶材料の物性(屈折率異方性Δn、粘度、誘電率異方性Δε)を規定する。このように構成すると、反射型の電界制御複屈折モードの液晶パネルにおいて、応答速度の高い表示を行うことができる。それ故、フィールドシーケンシャル方式によるフルカラー表示に対応可能な液晶パネルを実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、本形態に係る液晶パネルは、基本的な構成が従来の液晶パネルと同一なので、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。
【0021】
[液晶表示パネルの全体構成]
図1は、本形態に係る反射型の液晶パネルを対向基板の側からみた平面図である。図2は、図1のH−H′線で切断したときの液晶パネルの断面図である。図3は、本形態の液晶パネルに用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を示すパネル端部の断面図である。
【0022】
図1、図2および図3に示すように、投射型液晶表示装置などに用いられる液晶パネル1は、石英ガラスや耐熱ガラスなどの基板30の表面に画素電極8がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板3と、同じく石英ガラスや耐熱ガラスなどの基板31の表面に対向電極32が形成された対向基板4と、これらの基板間に封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。
【0023】
本形態では、液晶パネル1を反射型として構成することを目的に、画素電極8としては、アルミニウム電極などといった反射性を有する電極を形成する。ここで、画素電極8としてアルミニウム電極に代えてITOなどによって透明電極を形成した場合でも、液晶パネル1の一方の面側に反射シートなどを重ねれば、反射型として構成できる。
【0024】
アクティブマトリクス基板3と対向基板4とは、対向基板4の外周縁に沿って形成されたギャップ材含有のシール材59によって所定の間隙(基板間の間隔d/図3参照)を介して貼り合わされている。また、アクティブマトリクス基板3と対向基板4との間には、ギャップ材含有のシール材59によって液晶封入領域40が区画形成され、この液晶封入領域40内に液晶39が封入されている。
【0025】
対向基板4はアクティブマトリクス基板3よりも小さく、アクティブマトリクス基板3の周辺部分は、対向基板4の外周縁よりはみ出た状態に貼り合わされる。従って、アクティブマトリクス基板3の駆動回路(走査線駆動回路70やデータ線駆動回路60)や入出力端子45は対向基板4から露出した状態にある。ここで、シール材59は部分的に途切れているので、この途切れ部分によって、液晶注入口241が構成されている。このため、対向基板4とアクティブマトリクス基板3とを貼り合わせた後、シール材59の内側領域を減圧状態にすれば、液晶注入口241から液晶39を減圧注入でき、液晶39を封入した後、液晶注入口241を封止剤242で塞げばよい。なお、アクティブマトリクス基板3には、シール材59の形成領域の内側において、画面表示領域7を見切りするための遮光膜55が形成されている。また、対向基板4には、アクティブマトリクス基板3の各画素電極8の境界領域に対応する領域に遮光膜6が形成されている。
【0026】
本形態の液晶パネル1は、カラー表示用であるが、液晶を電界制御複屈折モード用に配向させているので、カラーフィルタが形成されておらず、後述するように、ECDモードで用いる。
【0027】
このように構成した液晶パネル1において、アクティブマトリクス基板3では、データ線(図示せず。)およびTFT10を介して画素電極8に印加した画像信号によって、画素電極8と対向電極32との間において液晶39の配向状態を画素毎に制御し、画像信号に対応した所定の画像を表示する。従って、アクティブマトリクス基板3では、データ線およびTFT10を介して画素電極8に画像信号を供給するとともに、対向電極32にも所定の電位を印加する必要がある。
【0028】
そこで、液晶パネル1では、アクティブマトリクス基板3の表面のうち、対向基板4の各コーナー部に対向する部分には、データ線などの形成プロセスを援用してアルミニウム膜からなる上下導通用の第1の電極47が形成されている。一方、対向基板4の各コーナー部には、対向電極4の形成プロセスを援用してITO膜からなる上下導通用の第2の電極48が形成されている。さらに、これらの上下導通用の第1の電極47と第2の電極48とは、エポキシ樹脂系の接着剤成分に銀粉や金めっきファイバーなどの導電粒子が配合された導通材56によって電気的に導通している。それ故、液晶パネル1では、アクティブマトリクス基板3および対向基板4のそれぞれにフレキシブル配線基板などを接続しなくても、アクティブマトリクス基板3のみにフレキシブル配線基板99を接続するだけで、アクティブマトリクス基板3および対向基板4の双方に所定の信号を入力することができる。
【0029】
[アクティブマトリクス基板の構成]
図4は、液晶パネル1の構成を模式的に示すブロック図、図5は、この液晶パネル1における画素領域の一部を抜き出して示す平面図、図6(A)は、図5におけるA−A′線におけるアクティブマトリクス基板の断面図である。
【0030】
図4に示すように、液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板3上には、データ線90および走査線91に接続する画素スイッチング用のTFT10と、このTFT10を介してデータ線90から画像信号が入力される液晶セル94が存在する。データ線90に対しては、シフトレジスタ84、レベルシフタ85、ビデオライン87、アナログスイッチ86を備えるデータ線駆動回路60が形成されている。走査線91に対しては、シフトレジスタ88およびレベルシフタ89を備える走査線駆動回路70が形成されている。
【0031】
画素領域には、容量線92との間に保持容量40(容量素子)が形成され、この保持容量40は、液晶セル94での電荷の保持特性を高める機能を有している。なお、保持容量40は前段の走査線91との間に形成されることもある。
【0032】
ここで、走査線91に供給される走査信号の遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路70は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路60を画面表示領域7の辺に沿って両側に配列しても良い。例えば奇数列のデータ線は画面表示領域7の一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、 偶数列のデータ線は画面表示領域7の反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしても良い。このようにデータ線を櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路60の形成面積を拡張することが出来るため、複雑な回路を構成することが可能となる。また、アクティブマトリクス基板3において、データ線駆動回路60と対向する辺の側では、遮光膜55(図1を参照)の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路が設けられることもある。なお、データ線駆動回路60および走査線駆動回路70をアクティブマトリクス基板3の上に形成する代わりに、たとえば、駆動用LSIが実装されたTAB(テープ オートメイテッド、ボンディング)基板をアクティブマトリクス基板3の周辺部に形成された端子群に対して異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。
【0033】
いずれの場合でも、図5に一部の画素領域を抜き出して示すように、マトリクス状に複数の画素電極8が形成されており、画素電極8の縦横の境界に沿って、データ線90、走査線91および容量線92が形成されている。データ線90は、コンタクトホールを介してポリシリコン膜からなる半導体層のうち、ソース領域16に電気的に接続され、画素電極8は、コンタクトホールを介してドレイン領域17に電気的に接続している。また、チャネル形成領域15に対向するように走査線91が延びている。なお、保持容量40は、画素スイッチング用のTFT10を形成するためのシリコン膜10a(半導体膜/図5に斜線を付した領域)の延設部分に相当するシリコン膜40a(半導体膜/図5に斜線を付した領域)を導電化したものを下電極41とし、この下電極41に対して容量線92が上電極として重なった構造になっている。
【0034】
このように構成した画素領域のA−A′線における断面は、図6(A)に示すように表される。まず、アクティブマトリクス基板3の基板30の表面に絶縁性の下地保護膜301が形成され、この下地保護膜301の表面には、島状のシリコン膜10a、40aが形成されている。また、シリコン膜10aの表面にはゲート絶縁膜13が形成され、このゲート絶縁膜13の表面に走査線91がゲート電極として通っている。シリコン膜10aのうち、走査線91に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する領域がチャネル形成領域15になっている。このチャネル形成領域15に対して一方側には、低濃度ソース領域161および高濃度ソース領域162を備えるソース領域16が形成され、他方側には低濃度ドレイン領域171および高濃度ドレイン領域172を備えるドレイン領域17が形成されている。このように構成された画素スイッチング用のTFT10の表面側には、第1層間絶縁膜18および第2層間絶縁膜19が形成され、第1層間絶縁膜18の表面に形成されたデータ線90は、第1層間絶縁膜18に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ソース領域162に電気的に接続している。また、画素電極8は、第1層間絶縁膜18および第2層間絶縁膜19に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ドレイン領域162に電気的に接続している。また、高濃度ドレイン領域172から延設されたシリコン膜40aには低濃度領域からなる下電極41が形成され、この下電極41に対しては、ゲート絶縁膜13と同時形成された絶縁膜(誘電体膜)を介して容量線92が対向している。このようにして保持容量40が形成されている。
【0035】
なお、反射型の液晶パネル1では、図6(B)に示すように、アルミニウム膜などといった反射性を有する画素電極8をTFT10の形成領域を覆うまで拡張して形成すれば、反射面積を拡張できるので、表示の高精彩化を図ることができる。
【0036】
ここで、TFT10は、好ましくは上述のようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域161および低濃度ドレイン領域171に相当する領域に不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を有していてもよい。また、TFT10は、走査線91をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソースおよびドレイン領域を形成したセルフアライン型のTFTであってもよい。なお、本形態では、TFT10のゲート電極(走査線91)をソース−ドレイン領域の間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにデュアルゲート(ダブルゲート)或いはトリプルゲート以上でTFT10を構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域の接合部でのリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することが出来る。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造或いはオフセット構造にすれば、さらにオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることが出来る。
【0037】
[液晶パネル1の製造方法]
このように構成した液晶パネル1を製造するには、基板31の表面に対向電極32および遮光膜6を順次形成した後、遮光膜6および対向電極32の表面にポリイミド樹脂49を薄く塗布する。次に、ポリイミド樹脂47を150℃から200℃位の温度で熱硬化させる。このようにして対向基板4の側にポリイミド樹脂49の層を形成した後、ラビング処理を行う。一方、アクティブマトリクス基板3を形成するには、基板30の表面にTFT10および画素電極8を順次形成した後、画素電極8の表面にもポリイミド樹脂46の層を形成し、しかる後にラビング処理を行う。なお、このような方法で形成する代わりに、斜め蒸着法によって配向膜46、49を形成する場合もある。
【0038】
次に、アクティブマトリクス基板3の表面にギャップ材含有の未硬化のシール材59をディスペンサから吐出しながら塗布する。また、アクティブマトリクス基板3の表面のうち、シール材59の塗布領域よりやや外周側には、上下導通用の未硬化の導通材56を打点式のディスペンサから吐出しながら塗布する。本形態では、導通材56として、光硬化性を有するエポキシ樹脂系の接着剤成分などに約4.5μm径、あるいは約3.3μm径の銀粉や金めっきファイバーなどの導電粒子が配合されたものを用いる。また、ギャップ材含有のシール材59として、導通材56と同様、光硬化性を有するエポキシ樹脂系の接着剤成分、たとえばスリーボンド社製の商品名3025などに約2μm〜約10μmの無機あるいは有機質のファイバ若しくは球からなるギャップ材が5%程度配合されたものを用いる。
【0039】
次に、アクティブマトリクス基板3に形成されている上下導通用の第1の電極47に対して対向基板4に形成されている上下導通用の第2の電極48が対向するように、対向基板4とアクティブマトリクス基板3とを位置合わせした後、アクティブマトリクス基板3に向けて対向基板4を押圧しながら、対向基板4の側から紫外線を照射し、導通材56およびシール材59を硬化させる。その結果、対向基板4とアクティブマトリクス基板3とは所定の間隙を介して貼り合わされ、かつ、アクティブマトリクス基板3に形成されている上下導通用の第1の電極47と、対向基板4に形成されている上下導通用の第2の電極48とが導通材56を介して電気的に接続する。
【0040】
しかる後に、シール材59で区画された液晶封入領域40に対して液晶注入口241から液晶39を減圧注入した後、液晶注入口241を封止剤242で塞ぐ。
【0041】
[反射型液晶パネルの投射型表示装置への適用例]
このように構成した反射型の液晶パネル1において、本形態では、後述するように、液晶の物性値を最適化することにより、1msec〜2msecという高い応答性を有する電界制御複屈折モード(ECDモード)の液晶パネル1とすることができるので、フィールドシーケンシャル方式を採用できる。それ故、ライトバルブとして1枚の液晶パネル1を用いるだけで、図7に示すように、フルカラー表示可能な投射型表示装置を構成することができる。図7は、この投射型表示装置の概略構成図である。
【0042】
すなわち、本形態では、システム光軸Lに沿って、光源110、集光レンズ111、回転式カラーフィルタ112、導光レンズ112を備える偏光照明装置140と、偏光照明装置140から出射された偏光光束をS偏光光束反射面201により液晶パネル1(液晶ライトバルブ)の方に反射させる広波長域の偏光ビームスプリッタ200と、液晶パネル1で反射されて偏光ビームスプリッタ200を透過してきた光を拡大投射する投射レンズを備える拡大投射光学系500とを配置することにより、フィールドシーケンシャル方式の投射型表示装置2000を構成でき、スクリーン600(投射面)上にフルカラー画像を観ることができる。
【0043】
すなわち、この投射型表示装置2000では、回転式カラーフィルタ112によって赤(R)、緑(G)、青(B)の光を時間的に分割しながら液晶パネル1に入射させるとともに、この液晶パネル1によって形成された各色の像を人間の目で混色させてフルカラーを出す。それには、液晶パネル1を120Hzで駆動するとして、液晶パネル1に入射する光を1/120の1/3秒(約2.8msec)毎に赤(R)、緑(G)、青(B)に切り換えるので、液晶を2.8msecの中でオン、オフする必要がある。このような駆動方式は、従来のTN式の液晶パネルでは、応答速度が30msec〜40msecと遅いので、不可能である。しかるに、本形態では、後述するように、ECB方式でセル条件や液晶物性値を最適化するので、応答速度が1msec〜2msecの液晶パネル1を実現でき、このような液晶パネル1であれば、フィールドシーケンシャル方式を採用することにより、1枚のパネルでフルカラー表示を行うことができる。
【0044】
たとえば、本形態の投射型表示装置1では、光源110から強い光が出射されるので、この光によって液晶パネル1が所定の温度まで加熱されるように構成することにより、液晶の物性値が最適な条件下で液晶パネル1を駆動できる。すなわち、本形態では、この光源110を、液晶パネル1を最適な条件下で駆動するための加熱装置として利用する。
【0045】
また、投射型表示装置1では、光源110からかなり強い光が出射されるので、この光を受けて液晶パネル1が、過度に加熱される場合がある。このような場合には、液晶パネル1に対して冷却装置190を設ける。この冷却装置190としては、液晶パネル1に対する冷却専用のものであってもよいし、投射型表示装置1内において、外気を導入して光源110などを冷却するための冷却装置によって外気を液晶パネル1に向けて供給する構成であってもよい。
【0046】
[実施の形態1]
このような電子機器の一例である投射型表示装置2000に用いる液晶パネル1を電界制御複屈折モード(p−ECDモード/Electrically Controlled Birefringence mode)として構成するために、本形態では、アクティブマトリクス基板3および対向基板4のいずれにも、平行配向処理を施した配向膜46、49を形成する。従って、アクティブマトリクス基板3と対向基板4との間において、液晶39は、液晶分子が両方の基板面に対して平行、かつ、同一方位に向くホモジニアス配列をとる。ここで、液晶としては、誘電率異方性Δεが正のネマティック液晶を用いる。
【0047】
また、本形態では、表1に実施例1、2、3、4の構成を示すように、液晶パネル1の構造(基板間の間隔d)、および液晶材料を変えてその特性を検討し、液晶パネル1を最適な条件で駆動するための構成を設定する。
【0048】
【表1】
Figure 0003887980
【0049】
すなわち、表1に示すように、実施例1に相当する試料Aでは、基板間の間隔dを1.038μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが3.0、N−I点(相転移点)が91℃、粘度が12cps、屈折率異方性Δnが0.1332のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.138である。
【0050】
実施例2に相当する試料Bでは、基板間の間隔dを1.041μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが3.6、N−I点が80.9℃、粘度が10.2cps、屈折率異方性Δnが0.131のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.137である。
【0051】
実施例3に相当する試料Cでは、基板間の間隔dを1.244μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが1.8、N−I点が86℃、粘度が12cps、屈折率異方性Δnが0.1072のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.133である。
【0052】
実施例4に相当する試料Dでは、基板間の間隔dを1.66μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが2.5未満、N−I点が92℃、粘度が16cps、屈折率異方性Δnが0.0812のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.135である。
【0053】
なお、本形態、および後述する形態において用いた液晶は、トラン系液晶、シアノ系液晶、フッ素系液晶などを適宜、その種類や配合比を変えることにより物性値を変えたものである。
【0054】
これらの試料A〜D(液晶パネル1)についてコントラスト特性を調査した。その調査結果を図8に示す。図8に()内に示す数字は、液晶のN−I点(相転移点)である。
【0055】
図8において、実線LA1、LB1、LC1、LD1はそれぞれ、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)、試料C(実施例3)、試料D(実施例4)における温度とコントラスト比との関係を示す。
【0056】
この図に示すように、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)、試料C(実施例3)、試料D(実施例4)のいずれにおいても、パネル温度が高い程、コントラスト特性が向上する傾向にある。従って、本形態では、図7に示す投射型表示装置2000において、コントラスト特性が常温と比較して明らかに向上する温度まで、すなわち、N−I点(相転移点)よりも約30℃低い温度以上にまで、光源から110の光照射によって液晶パネル1を加熱するように構成する。従って、本形態によれば、投射型表示装置2000において、コントラスト比の高い表示を行うことができる。但し、パネル温度がN−I点(相転移点)を越えると、液晶パネル1として機能しなくなるので、必要に応じて、図7に示す冷却装置190によって液晶パネル1を冷却し、その上限温度はN−I点(相転移点)とする。
【0057】
次に、表1に示す各試料A〜D(液晶パネル1)について、表示の応答性を調査した。この応答性の評価は、液晶パネル1に7Vの矩形波を20msec.印加して、液晶パネル1から出射されてくる光をフォトマルチプライヤおよびストレージスコープを用いて検出し、反射率が0%から90%に変化するのに要した時間を計測した。その結果を図9に示す。図9に()内に示す数字は、液晶のN−I点(相転移点)である。
【0058】
図9において、実線LA2、LB2、LC2、LD2はそれぞれ、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)、試料C(実施例3)、試料D(実施例4)における温度と応答速度との関係を示す。
【0059】
この図に示すように、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)、試料C(実施例3)、試料D(実施例4)のいずれにおいても、液晶のN−I点(相転移点)に対して20℃から30℃、低い温度範囲では、温度が変化しても応答速度がほとんど変化しない傾向にある。従って、本形態では、図7に示す投射型表示装置2000において、光源110からの光照射、さらには冷却装置190を利用して、液晶1を、液晶のN−I点(相転移点)に対して20℃から30℃、低い温度範囲で駆動する。
【0060】
また、図9に示す結果において、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)は、試料C(実施例3)、試料D(実施例4)と比較して、応答速度が速いとともに、温度が30℃から80℃までの範囲内で変化しても応答速度が変化しない。従って、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)は、投射型表示装置2000のように、光源110から強い光が照射されるタイプの表示装置に使用するのに特に適している。すなわち、本形態の投射型表示装置2000では、光源110の点燈開始時には常温の30℃であった液晶パネル1が、定常状態になると光源110からの光照射によって70℃〜80℃位にまで達するが、このような条件下でも、実施例1、2に係る液晶パネル1では、応答速度があまり変動しないので、表示開始当初から品位の安定した表示を行うことができる。
【0061】
また、本形態の液晶パネル1に関して本願発明者が基板間の間隔dおよび液晶材料を変えて繰り返し行った実験結果によれば、液晶をホモジニアス配列させた反射型の電界制御複屈折モードの液晶パネル1では、液晶として、屈折率異方性Δnが0.1から0.18までの範囲、粘度が15cps以下、誘電率異方性Δεが2.5から10までの範囲のものを用い、かつ、基板間の間隔dを0.7μmから1.5μmまでの範囲に設定すれば、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)のように、応答速度が速くて、かつ、30℃から80℃までの温度範囲内で応答速度が変化しないという知見が得られた。従って、図9に示す結果において、試料A(実施例1)、試料B(実施例2)に比較して、試料C(実施例3)、試料D(実施例4)では、応答速度が遅く、かつ、温度の変化によって応答速度が大きく変化するのは、試料C(実施例3)においては、液晶の誘電率異方性Δεが小さいことに起因し、試料D(実施例4)においては、液晶の誘電率異方性Δεが小さいこと、および粘度が大きいことに起因するものと考えられる。
【0062】
[実施の形態2]
本形態では、液晶パネル1を電界制御複屈折モード(R−OCB/Optically Compensated Bend mode)として構成することを目的に、アクティブマトリクス基板3および対向基板4のうちの一方には平行配向処理を施した配向膜46(または配向膜49)を形成し、他方には垂直配向処理を施した配向膜49(または配向膜46)を形成する。従って、アクティブマトリクス基板3と対向基板4との間において、液晶39は、液晶分子が一方の基板面に対して平行に配列し、他方の基板に対して垂直に配向して、全体の分子配列が両基板間で90°曲がっているハイブリッド分子配列をとる。ここで、液晶としては、誘電率異方性Δεが正、負のいずれのネマティック液晶を用いてもよい。
【0063】
また、本形態では、表2に実施例5、6、7、8の構成を示すように、液晶パネル1の構造(基板間の間隔d)、および液晶材料を変えてその特性を検討し、液晶パネル1を最適な条件で駆動するための構成を設定する。
【0064】
【表2】
Figure 0003887980
【0065】
すなわち、表2に示すように、実施例5に相当する試料Eでは、基板間の間隔dを2.12μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが3.0、N−I点が91℃、粘度が12cps、屈折率異方性Δnが0.1332のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.282である。
【0066】
実施例6に相当する試料Fでは、基板間の間隔dを2.19μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが3.6、N−I点が80.9℃、粘度が10.2cps、屈折率異方性Δnが0.131のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.287である。
【0067】
実施例7に相当する試料Gでは、基板間の間隔dを1.94μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが5.0、N−I点が80.9℃、粘度が10.2cps、屈折率異方性Δnが0.165のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.320である。
【0068】
実施例8に相当する試料Hでは、基板間の間隔dを2.91μmに設定し、液晶として、誘電率異方性Δεが1.8、N−I点が86℃、粘度が12cps、屈折率異方性Δnが0.1072のものを用いる。この液晶パネル1におけるリターデーションΔndは、0.312である。
【0069】
これらの試料E〜H(液晶パネル1)についてコントラスト特性を調査した。その調査結果を図10に示す。図10に()内に示す数字は、液晶のN−I点(相転移点)である。
【0070】
図10において、実線LE1、LF1、LG1、LH1はそれぞれ、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)、試料H(実施例8)における温度とコントラスト比との関係を示す。
【0071】
この図に示すように、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)、試料H(実施例8)のいずれにおいても、パネル温度が高い程、コントラスト特性が向上する傾向にある。従って、本形態では、図7に示す投射型表示装置2000において、コントラスト特性が常温と比較して明らかに向上する温度まで、すなわち、N−I点(相転移点)よりも約30℃低い温度以上にまで、光源から110の光照射によって液晶パネル1を加熱するように構成する。従って、本形態によれば、投射型表示装置2000において、コントラスト比の高い表示を行うことができる。但し、パネル温度がN−I点(相転移点)を越えると、液晶パネル1として機能しなくなるので、必要に応じて、図7に示す冷却装置190によって液晶パネル1を冷却し、その上限温度はN−I点(相転移点)とする。
【0072】
次に、表2に示す各試料E〜H(液晶パネル1)について、表示の応答性を調査した。この応答性の評価は、液晶パネル1に7Vの矩形波を20msec.印加して、液晶パネル1から出射されてくる光をフォトマルチプライヤおよびストレージスコープを用いて検出し、反射率が0%から90%に変化するのに要した時間を計測した。その結果を図11に示す。図11に()内に示す数字は、液晶のN−I点(相転移点)である。
【0073】
図11において、実線LE2、LF2、LG2、LH2はそれぞれ、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)、試料H(実施例8)における温度と応答速度との関係を示す。
【0074】
この図に示すように、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)、試料H(実施例8)のいずれにおいても、液晶のN−I点(相転移点)に対して20℃から30℃、低い温度範囲では、温度が変化しても応答速度がほとんど変化しない傾向にある。従って、本形態では、図7に示す投射型表示装置2000において、光源110からの光照射、さらには冷却装置190を利用して、液晶1を、液晶のN−I点(相転移点)に対して20℃から30℃、低い温度範囲で駆動する。
【0075】
また、図11に示す結果において、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)は、試料H(実施例8)と比較して、応答速度が速いとともに、温度が30℃から80℃までの範囲内で変化しても応答速度が変化しない。従って、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)は、投射型表示装置2000のように、光源110から強い光が照射されるタイプの表示装置に使用するのに特に適している。すなわち、投射型表示装置2000では、光源110の点燈開始時には常温の30℃であった液晶パネル1が、定常状態になると光源110からの光照射によって80℃位にまで達するが、このような条件下でも、実施例5、6、7に係る液晶パネル1では、応答速度があまり変動しないので、表示開始当初から品位の安定した表示を行うことができる。
【0076】
また、本形態の液晶パネル1に関して本願発明者が基板間の間隔dおよび液晶材料を変えて繰り返し行った実験結果によれば、液晶をハイブリッド配列させた反射型の電界制御複屈折モードの液晶パネル1では、液晶として、屈折率異方性Δnが0.1から0.18までの範囲、粘度が15cps以下、誘電率異方性Δεが2.5から10までの範囲のものを用い、かつ、基板間の間隔dを1.2μmから2.5μmまでの範囲に設定すれば、試料E(実施例3)、試料F(実施例4)、試料G(実施例5)のように、応答速度が速くて、かつ、30℃から80℃までの温度範囲内で応答速度が変化しないという知見が得られた。従って、図11に示す結果において、試料E(実施例5)、試料F(実施例6)、試料G(実施例7)に比較して、試料H(実施例8)では、応答速度が遅く、かつ、温度の変化によって応答速度が大きく変化するのは、試料H(実施例8)においては、液晶の誘電率異方性Δεが小さいことに起因するものと考えられる。
【0077】
[その他の実施の形態]
なお、上記形態ではいずれもアクティブマトリクス型の液晶パネルを例に説明したが、パッシブマトリクス型の液晶パネルに本発明を適用してもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明では、反射型の電界制御複屈折モードの液晶パネルにおいて温度が高いほどコントラスト特性が向上するので、コントラスト特性が常温と比較して明らかに向上する温度まで、光源からの光照射などを利用して液晶パネルを加熱装置によって加熱する。従って、本発明によれば、投射型表示装置などにおいてコントラスト比の高い表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した液晶パネルを対向基板の側からみた平面図である。
【図2】図1のH−H′線で切断したときの液晶パネルの断面図である。
【図3】本発明を適用した液晶パネルに用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を示すパネル端部の断面図である。
【図4】液晶パネルの構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】液晶パネルの画素領域の一部を抜き出して示す平面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ、図5におけるA−A′線におけるアクティブマトリクス基板の断面図、および反射型の液晶パネルに適した画素電極の構成を示す断面図である。
【図7】本発明を適用した反射型の液晶パネルを用いたフィールドシーケンシャル方式の投射型表示装置の概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る各液晶パネルにおける温度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る各液晶パネルにおける温度と応答速度との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態2に係る各液晶パネルにおける温度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態2に係る各液晶パネルにおける温度と応答速度との関係を示すグラフである。
【図12】従来のカラーフィルタ型の液晶パネルの断面図である。
【図13】従来の反射型の液晶パネルを用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 液晶パネル
3 アクティブマトリクス基板
4 対向基板
8 画素電極
10 画素スイッチング用のTFT
30、31 基板
32 対向電極
39 液晶
90 データ線
91 走査線
110 光源(加熱装置)
190 冷却装置
2000 投射型表示装置(液晶装置)

Claims (7)

  1. 平行配向処理が施された一対の基板間にネマティック液晶が封入された電界制御複屈折モードの液晶パネルと、
    前記液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度になるように前記液晶を加熱する加熱装置とを有し、
    前記ネマティック液晶は、屈折率異方性が0.1から0.18までの範囲にあり、粘度が15cps以下であり、誘電率異方性が2.5から10までの範囲にあり、
    前記基板間の間隔は、0.7μmから1.5μmまでの範囲にあることを特徴とする液晶装置。
  2. 平行配向処理が施された第一の基板と垂直配向処理が施された第二の基板との間にネマティック液晶が封入された電界制御複屈折モードの液晶パネルと、
    前記液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度になるように前記液晶を加熱する加熱装置とを有し、
    前記ネマティック液晶は、屈折率異方性が0.1から0.18までの範囲にあり、粘度が15cps以下であり、誘電率異方性の絶対値が2.5から10までの範囲にあり、
    前記基板間の間隔は、1.2μmから2.5μmまでの範囲にあることを特徴とする液晶装置。
  3. 前記加熱装置は、前記液晶パネルに光を照射するとともに該光の照射によって当該液晶パネルを加熱する光源であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
  4. 請求項3において、前記光源から出射された光を前記液晶パネルによって変調した光を投射面に向けて拡大投射する拡大投射光学系を有することを特徴とする液晶装置。
  5. 請求項4において、前記光源から照射された光によって加熱された前記液晶の温度を前記液晶の相転移点よりも20℃から30℃、低い温度に保持する冷却装置を有することを特徴とする液晶装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の液晶装置を表示装置として用いたことを特徴とする電子機器。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の液晶装置をライトバルブとして配置してなり、所定の光学系が配置されてなることを特徴とする電子機器。
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