しかしながら、特許文献1に開示された技術のように位相差板を傾斜させて配置する場合、液晶分子の配向方向に応じて、位相差板を傾斜させる必要がある。このため、液晶分子の配向方向によっては、位相差板を傾斜させる機構が複雑になったり、組立工程において調整が困難になったりする可能性があるという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、高コントラストの表示が得られるプロジェクタ及び液晶装置を提供することを課題とする。
本発明のプロジェクタは上記課題を解決するために、光を出射する光源と、配向膜を夫々有する一対の第1及び第2基板間に、前記第1基板の法線方向から見て前記第1基板の一辺に直交する方向に沿って前記配向膜によってプレチルトを付与された液晶分子からなる液晶が挟持されてなり、前記光を変調する液晶パネルと、前記液晶パネルを挟んで配置された一対の偏光板と、負の屈折率異方性を有すると共に光軸として厚さ方向に沿った第1光軸を有し、該第1光軸が前記プレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように前記液晶パネルに対して傾いた状態で、前記一対の偏光板の間に配置された第1位相差板とを備える。
本発明のプロジェクタによれば、光源から出射された光は、例えば反射ミラー及びダイクロイックミラー等の色分離光学系によって赤色光、緑色光及び青色光に色分離される。液晶パネルは、例えば赤色光、緑色光及び青色光の各々を変調するライトバルブとして用いられる。液晶パネルは、例えばデータ信号(或いは画像信号)に応じて各画素の液晶分子の配向状態が規制され、その表示領域にデータ信号に応じた画像を表示する。各液晶パネルによって表示された画像は、例えばダイクロイックプリズム等の色合成光学系により合成され、投射レンズを介して投写画像としてスクリーン等の投写面に投写される。
液晶パネルは、一対の第1及び第2基板間に液晶が挟持されてなる。液晶は、典型的には、垂直配向型の液晶、即ちVA型液晶である。第1及び第2基板の各々には、配向膜が設けられ、該配向膜によって、液晶を構成する液晶分子は、第1基板の法線方向から見て第1基板の一辺に直交する方向に沿った所定方位に所定角度だけ立ち上がるプレチルトが付与される。例えば液晶がVA型液晶の場合、液晶分子は、第1基板の基板面の法線に対して前記所定方位にプレチルト角だけ傾いて配向する。よって、プレチルトを付与された液晶分子の長軸と第1基板の一辺とは、典型的には、第1基板の法線方向から見て、互いに90度の角度をなす。液晶パネルは、一対の偏光板の間に挟み込まれるように配置される。
第1位相差板は、負の屈折率異方性を有しており、当該第1位相差板の光軸(即ち、光学軸)である第1光軸は、当該第1位相差板の厚さ方向に沿っている。即ち、第1位相差板は、例えばCプレートからなる。第1位相差板は、一対の偏光板間に配置される。より具体的には、一対の偏光板のうち一方の偏光板と液晶パネルとの間、或いは、一対の偏光板のうち他方の偏光板と液晶パネルとの間に配置される。言い換えれば、一対の偏光板間であって、液晶パネルに対して光が入射される側或いは光が出射される側に設けられる。第1位相差板は、第1光軸がプレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように、液晶パネルに対して傾いた状態で配置される。即ち、第1位相差板は、液晶分子のプレチルト角に応じた所定角度だけ液晶パネルに対して傾いた状態で配置される。
よって、当該プロジェクタの動作時に、光源から出射された光が例えばプレチルト角だけ傾斜した液晶分子から構成された液晶を通過することで発生する光の位相差を、第1位相差板によって補償することができる。即ち、第1位相差板の第1光軸が、プレチルト角だけ傾斜した液晶分子の長軸に沿うように、第1位相差板が配置されることで、第1位相差板と液晶との光学的な正負が互いに逆(或いは反対)になり、第1位相差板によって液晶において生じる位相差(言い換えれば、複屈折効果)を打ち消す(即ち、補償する)ことができる。従って、液晶パネルを通過した光が出射側の偏光板に対し、位相がずれた状態で入射するのを防止することができる。この結果、例えば出射側の偏光板において、本来通過させないはずの光が漏れる可能性は小さくなり、コントラストの低下や視野角の縮小を防止することができる。
ここで、仮に、液晶分子が、第1基板の法線方向から見て第1基板の一辺に対して鋭角をなす方位(例えば45度の角度をなす方位など)にプレチルトを付与された場合には、第1位相差板を、第1光軸がプレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように、液晶パネルに対して傾いた状態で配置するためには、組み立て工程において、例えば、第1位相差板を、第1基板の一辺に対して鋭角をなす方位に沿った軸を中心に回転させることにより、液晶パネルに対して傾ける機構が必要になってしまい、その機構が複雑になったり、第1位相差板を傾ける調整が困難になってしまう可能性がある。
しかるに、本発明では特に、上述したように、液晶分子は、第1基板の法線方向から見て第1基板の一辺に直交する方向に沿った所定方位にプレチルトを付与される。よって、第1位相差板を、容易に、第1光軸がプレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように、液晶パネルに対して傾いた状態で配置することができる。即ち、組み立て工程において、例えば、第1位相差板を、第1基板の一辺に沿った軸を中心に回転させることにより、液晶パネルに対して傾けることで、第1光軸がプレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように第1位相差板を傾ける調整を容易に行うことができる。特に、液晶パネルが長方形状を有し(言い換えれば、第1及び第2基板が長方形状を有し)、これに対応して第1位相差板も長方形状を有している場合には、当該プロジェクタ内に第1基板と第1位相差板とを、各辺を揃えて或いは平行になるように配置し、第1位相差板を第1基板の一辺に沿った軸を中心に回転させることで、第1位相差板の液晶パネルに対する傾きを容易に且つ高精度に調整することができる。このため、本発明のプロジェクタによれば、液晶において生じる位相差を第1位相差板によって補償する効果を高めることができ、コントラストを高めることが可能となる。
以上説明したように、本発明のプロジェクタによれば、第1位相差板の液晶パネルに対する傾きを容易に且つ高精度に調整可能であり、液晶において生じる位相差を第1位相差板によって確実に補償することができる。この結果、高コントラストで高品位な表示を得ることができる。
本発明のプロジェクタの一態様では、前記第1位相差板を、前記第1光軸が前記液晶分子の長軸に沿うように、調整することが可能な第1光学調整手段を備える。
この態様によれば、仮に、例えば液晶パネル或いは第1位相差板を製造する際の製造誤差によって、プレチルト或いは第1光軸が設計上定められた大きさ或いは向きからずれてしまった場合でも、第1光学調整手段によって、第1光軸がプレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように、第1位相差板の配置の最適化を行うことができる。
上述した第1光学調整手段を備える態様では、前記第1光学調整手段は、前記第1位相差板を、前記一辺に沿った軸を中心として回転させることが可能に構成されてもよい。
この場合には、第1光学調整手段によって、第1位相差板を、第1光軸がプレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように液晶パネルに対して傾いた状態とすることができる。よって、第1位相差板の配置の最適化を極めて容易に短時間で行うことができる。
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記液晶は、垂直配向型の液晶である。
この態様によれば、液晶分子は垂直配向されており、第1及び第2基板の各々に設けられた配向膜の両方が、液晶分子に付与するプレチルトは同じである。従って、2枚の配向膜によってプレチルトが付与された液晶分子の長軸が第1基板の法線に対して傾斜していることに起因して生じる光の位相差を、第1位相差板によって効果的に補償することができる。
上述した液晶が垂直配向型の液晶である態様では、前記一対の偏光板の各々の透過軸は、互いに略直交すると共に、前記第1基板の法線方向から見て、前記プレチルトを付与された液晶分子の長軸と略45度の角度をなすようにしてもよい。
この場合には、ノーマリーブラックモードで好適に動作させることができ、コントラストをより一層高めることが可能となる。
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記光源から出射された光を、前記一対の偏光板のうち前記液晶パネルに対して前記光が入射される側に配置された入射側の偏光板の透過軸に沿った偏光方向を有する直線偏光に変換して、前記液晶パネルに出射する偏光素子を備える。
この態様によれば、偏光素子によって、入射側の偏光板の透過軸に沿った偏光方向を有する直線偏光に変換された光が、入射側の偏光板に入射されるので、光源から出射される光の利用効率を高めることができる。この結果、表示輝度を高めることができる。
本発明のプロジェクタの他の態様では、正又は負の屈折率異方性を有すると共に光軸として面方向に沿った第2光軸を有し、前記一対の偏光板の間に配置された第2位相差板と、前記第2位相差板を前記第1基板の法線方向を中心とする軸回りに回転させることが可能な第2光学調整手段とを備える。
この態様によれば、正又は負の屈折率異方性を有しており、当該第2位相差板の光軸である第2光軸は、当該第2位相差板の面方向に沿っている。即ち、第2位相差板は、例えばAプレートや二軸性プレートからなる。第2位相差板は、一対の偏光板間に配置される。よって、第2光学調整手段により回転調整された第2位相差板によって、例えば偏光板に起因して生じる光の位相差など、第1位相差板では補償することができない光の位相差を補償することができる。
尚、偏光板が、例えばPVA(ポリビニルアルコール)等の偏光膜と、該偏光膜を保護するための例えばTAC(トリアセチルセルロース)からなる保護膜とからなる場合には、該保護膜において光の位相差が生じるおそれがある。
本発明の液晶装置は上記課題を解決するために、配向膜を夫々有する一対の第1及び第2基板間に、前記第1基板の法線方向から見て、前記第1基板の一辺に直交する方向に沿って、前記配向膜によってプレチルトを付与された液晶分子からなる液晶が挟持されてなる液晶パネルと、前記液晶パネルを挟んで配置された一対の偏光板と、負の屈折率異方性を有すると共に光軸として厚さ方向に沿った第1光軸を有し、該第1光軸が前記プレチルトを付与された液晶分子の長軸に沿うように前記液晶パネルに対して傾いた状態で、前記一対の偏光板の間に配置された第1位相差板とを備える。
本発明の液晶装置によれば、第1位相差板の液晶パネルに対する傾きを容易に且つ高精度に調整可能であり、液晶において生じる位相差を第1位相差板によって確実に補償することができる。この結果、高コントラストで高品位な表示を得ることができる。
本発明の液晶装置の一態様では、前記液晶は、垂直配向型の液晶である。
この態様によれば、液晶分子は垂直配向されており、第1及び第2基板の各々に設けられた配向膜の両方が、液晶分子に付与するプレチルトは同じである。従って2枚の配向膜によってプレチルトが付与された液晶分子の長軸が第1基板の法線に対して傾斜していることに起因して生じる光の位相差を、第1位相差板によって効果的に補償することができる。
上述した液晶が垂直配向型の液晶である態様では、前記一対の偏光板の各々の透過軸は、互いに略直交すると共に、前記第1基板の法線方向から見て、前記プレチルトを付与された液晶分子の長軸と略45度の角度をなすようにしてもよい。
この場合には、当該液晶装置をノーマリーブラックモードで好適に動作させることができ、コントラストをより一層高めることが可能となる。
本発明の液晶装置の他の態様では、正又は負の屈折率異方性を有すると共に光軸として面方向に沿った第2光軸を有する第2位相差板を備える。
この態様によれば、よって、第2位相差板によって、例えば偏光板に起因して生じる光の位相差など、第1位相差板では補償することができない光の位相差を補償することができる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係るプロジェクタについて、図1から図7を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係るプロジェクタの全体構成について、図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成図である。尚、本実施形態では、ライトバルブとして機能する液晶装置が3つ設けられた3板式のプロジェクタについて説明するが、プロジェクタに設けられる液晶装置の数は3つに限られず、2つや4つ以上であってもよい。
図1において、プロジェクタ10は、前方に設けられたスクリーン11に映像を投射する前方投影型のプロジェクタである。プロジェクタ10は、光源12と、ダイクロイックミラー13及び14と、液晶装置15、16及び17と、投射光学系18と、クロスダイクロイックプリズム19と、リレー系20とを備えている。
光源12は、赤色光、緑色光及び青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー13は、光源12からの赤色光LRを透過させるとともに緑色光LG及び青色光LBを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー14は、ダイクロイックミラー13で反射された緑色光LG及び青色光LBのうち青色光LBを透過させるとともに緑色光LGを反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー13及び14は、光源12から出射された光を赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する色分離光学系を構成する。ダイクロイックミラー13と光源12との間には、インテグレータ21及び本発明に係る「偏光素子」の一例としての偏光変換素子22が光源12側から順に配置されている。インテグレータ21は、光源12から照射された光の照度分布を均一化する。偏光変換素子22は、光源12からの光を特定の振動方向を有する偏光に変換する。本実施形態では特に、偏光変換素子22は、光源12からの光を、後述する第1偏光板15bの透過軸に沿った方向に振動する直線偏光に変換する。このため、プロジェクタ10の表示輝度を高めることができる。
液晶装置15は、ダイクロイックミラー13を透過して反射ミラー23で反射した赤色光LRを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。液晶装置15は、第1偏光板15b、液晶パネル15c、第1位相差板15a、第2位相差板15e及び第2偏光板15dを備えている。
第1偏光板1b及び第2偏光板1dの各々は、透過軸に沿った方向に振動する光を通過させ、該透過軸に交わる方向に振動する光を遮断する偏光板である。図4及び図5を参照して後述するように、第1偏光板1b及び第2偏光板1dは、第1偏光板1bの透過軸と第2偏光板1dの透過軸とが互いに直交するように配置されている。液晶パネル15cは、入射した第1偏光板1bの透過軸に沿った方向に振動する光を画像信号に応じた変調によって第1偏光板1bの透過軸に交わる方向に振動する光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する。従って、液晶装置15は、画像信号に応じて赤色光LRを変調し、変調した赤色光LRをクロスダイクロイックプリズム19に向けて出射する構成となっている。
液晶装置16は、ダイクロイックミラー13で反射した後にダイクロイックミラー14で反射した緑色光LGを、画像信号に応じて緑色光LGを変調し、変調した緑色光LGをクロスダイクロイックプリズム19に向けて出射する透過型の液晶装置である。液晶装置16は、液晶装置15と同様に、第1偏光板16b、液晶パネル16c、第1位相差板16a、第2位相差板16e及び第2偏光板16dを備えている。
液晶装置17は、ダイクロイックミラー13で反射し、ダイクロイックミラー14を透過した後でリレー系20を経た青色光LBを画像信号に応じて変調し、変調した青色光LBをクロスダイクロイックプリズム19に向けて出射する透過型の液晶装置である。液晶装置17は、液晶装置15及び16と同様に、第1偏光板17b、液晶パネル17c、第1位相差板17a、第2位相差板17e及び第2偏光板17dを備えている。
リレー系20は、リレーレンズ24a及び24bと反射ミラー25a及び25bとを備えている。リレーレンズ24a及び24bは、青色光LBの光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。リレーレンズ24aは、ダイクロイックミラー14と反射ミラー25aとの間に配置されている。リレーレンズ24bは、反射ミラー25a及び25bの間に配置されている。反射ミラー25aは、ダイクロイックミラー14を透過してリレーレンズ24aから出射した青色光LBをリレーレンズ24bに向けて反射するように配置されている。反射ミラー25bは、リレーレンズ24bから出射した青色光LBを液晶装置17に向けて反射するように配置されている。
クロスダイクロイックプリズム19は、2つのダイクロイック膜19a及び19bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜19aは青色光LBを反射して緑色光LGを透過する。ダイクロイック膜19bは赤色光LRを反射して緑色光LGを透過する。従って、クロスダイクロイックプリズム19は、液晶装置15、16及び17の各々で変調された赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとを合成し、投射光学系18に向けて出射するように構成されている。投射光学系18は、投影レンズ(図示省略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム19で合成された光をスクリーン11に投射するように構成されている。
次に、本実施形態に係るプロジェクタが備える液晶パネルの構成について、図2を参照して説明する。
図2(a)は、液晶パネルの全体構成図であり、図2(b)は、図2(a)のH−H'線断面図である。尚、液晶装置15、16及び17は、変調する光の波長領域が異なるだけであって、その基本的構成は同一である。従って、以下では、液晶パネル15cとこれを備えた液晶装置15とを例示して説明する。
図2に示すように、液晶パネル15cは、互いに対向して配置された対向基板31とTFTアレイ基板32とを備え、シール材33を介して両者を貼り合わせた構成である。対向基板31、TFTアレイ基板32及びシール材33に囲まれた領域内に、液晶層34が封入されている。液晶層34は、負の誘電率異方性を有する液晶からなる。液晶パネル15cは、液晶分子が配向膜43及び98の間で所定の傾き(プレチルト角)を有して垂直配向した構成である。
液晶パネル15cは、TFTアレイ基板32、対向基板31及びシール材33で区画された領域に封止された液晶層34を有している。液晶パネル15cのうちシール材33の形成領域の内側には、周辺見切りとなる遮光膜53が形成されている。シール材33の外周側の角部には、TFTアレイ基板32と対向基板31との電気的導通をとるための基板間導通材57が配設されている。
TFTアレイ基板32のうち平面視でシール材33の形成領域の外側となる領域に、データ線駆動回路71及び外部回路実装端子75と、2個の走査線駆動回路73とが形成されている。更に、TFTアレイ基板32の上記領域には、複数の画素電極42が配列された画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路73の間を接続するための複数の配線74も形成されている。データ線駆動回路71及び走査線駆動回路73をTFTアレイ基板32上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板32の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続してもよい。
図2(b)に示すように、対向基板31は、平面的に配列された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズ基板(集光基板)である。対向基板31は、基板92と、樹脂層93と、カバーガラス94とを主体として構成されている。
基板92及びカバーガラス94は、ガラス等からなる透明基板であり、石英やホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス(青板ガラス)、クラウンガラス(白板ガラス)等からなる基板を用いることもできる。基板92の液晶層34側(図中、下面側)には、複数の凹部(マイクロレンズ)95が形成されている。マイクロレンズ95は、液晶層34と反対側から基板92に入射する光を集光して液晶層34側に出射する。
樹脂層93は、基板92のマイクロレンズ95上に充填された樹脂材料からなる層であり、光を透過可能な樹脂材料、例えばアクリル系樹脂等を用いて形成される。樹脂層93は、基板92の一面側を覆い、マイクロレンズ95の凹状の内部を充填するように設けられている。樹脂層93の上面は平坦面とされ、かかる平坦面にカバーガラス94が貼り付けられている。
対向基板31の液晶層34側の面には、遮光膜35と、共通電極97と、配向膜98とが形成されている。遮光膜35は平面視略格子状を成してカバーガラス94上に形成されている。マイクロレンズ95は、遮光膜35の間に位置して、液晶パネル15cの画素領域(画素電極42の形成領域)に平面視で重なる領域にそれぞれ配置されている。配向膜98は液晶層34を構成する液晶分子を基板面に対して略垂直に配向させる垂直配向膜であり、例えば、斜方蒸着により柱状構造を有して形成されたシリコン酸化物膜や、配向処理を施されたポリイミド膜等からなるものである。
TFTアレイ基板32は、ガラスや石英等からなる透明の基板41と、基板41の液晶層34側面に形成された画素電極42と、画素電極を駆動するTFT44と、配向膜43とを主体として構成されている。
図2(a)に示すように、画素電極42は、例えばITO等の透明導電材料からなる平面視略矩形状の導電膜であり、基板41上に平面視マトリクス状に配列され、平面視でマイクロレンズ95と重なる領域に形成されている。
TFT44は、図示を簡略化しているが、画素電極42の各々に対応して基板41上に形成されており、通常は平面視で対向基板31側の遮光膜35と重なる領域(即ち、非表示領域或いは遮光領域)に配置されている。
画素電極42を覆って形成された配向膜43は、先の配向膜98と同様に、斜方蒸着により形成されたシリコン酸化物膜等からなる垂直配向膜である。
配向膜43及び98は、互いの配向方向(柱状構造物の配向方向)が平面視でほぼ平行になるように形成されており、液晶層34を構成する液晶分子を基板面に対して所定の傾きを有してほぼ垂直に配向させるとともに、液晶分子の傾き方向を基板面方向で一様なものとするべく機能する。
尚、基板41の液晶層34側の表面のうち平面視でシール材33の形成領域の内側となる領域には、画素電極42やTFT44を接続するデータ線(図示省略)や走査線(図示省略)が形成されている。データ線及び走査線は、平面視で遮光膜35と重なる領域に形成されている。そして、遮光膜35やTFT44、データ線、走査線によって縁取られた領域が液晶パネル15cの画素領域とされる。そして、複数の画素領域が平面視マトリクス状に配列されて画像表示領域を構成している。
次に、本実施形態に係るプロジェクタが備える第1及び第2偏光板並びに第1及び第2位相差板について、図3から図5を参照して説明する。
図3は、液晶装置の構成を示す説明図である。図4は、液晶装置の各構成部材の光学軸配置を示す図である。図5は、本実施形態に係るプロジェクタの具体的構成例を示す斜視図である。
図3に示すように、液晶装置15は、図2を参照して上述した液晶パネル15cと、液晶パネル15cの対向基板31の外側に配置された第1偏光板15bと、TFTアレイ基板32の外側に配置された第1位相差板15a及び第2位相差板15eと、第2位相差板15eの外側に配置された第2偏光板15dとを備えている。
尚、本実施形態に係る液晶装置15では、第1偏光板15bが配置された側(図示上側)が光入射側であり、第2偏光板15dが配置された側が光出射側である。
図3において、液晶パネル15cの液晶層34を挟持して対向する配向膜43及び98は、例えば基板法線方向から50°程度ずれた斜め方向からシリコン酸化物を蒸着して形成されている。膜厚はいずれも40nm程度である。図3の配向膜43及び98に付した矢印により表される配向方向43a及び98aは、形成時の蒸着方向のうち基板面内の方向に一致している。配向膜43における配向方向43aと配向膜98における配向方向98aとは互いに平行である。
そして、配向膜43及び98の配向規制力により、液晶分子51は基板法線から2°〜8°程度傾いた状態で配向するとともに、液晶分子51の長軸(ダイレクタ)の方向(プレチルト方向P)が、基板法線方向から見て、配向方向43a及び98aに沿った方向となるように配向している。
図4及び図5に示すように、配向方向43a及び98aは、基板法線方向から見て、液晶パネル15cの一辺115cと略直交している(即ち、一辺115cに対して約90°の角度をなす方向である)。一辺115cは、液晶パネル15cにおけるフレキシブル基板300が取り付けられる側の辺(言い換えれば、図2(a)を参照して上述した外部回路実装端子75が設けられた側の辺)とは反対側の辺である。
図3において、第1偏光板15b及び第2偏光板15dは、いずれも、染色されたPVA(ポリビニルアルコール)からなる偏光素子151を、TAC(トリアセチルセルロース)からなる2枚の保護膜152で挟み込んだ三層構造を備えている。
図4及び図5に示すように、第1偏光板15b及び第2偏光板15dは、第1偏光板15bの透過軸151bと第2偏光板15dの透過軸151dとが直交するように配置されている。透過軸151b及び151dの方向は、液晶パネル15cの配向膜43の配向方向43aに対して平面視で約45°ずれた方向となっている。言い換えれば、透過軸151b及び151dの方向は、液晶パネル15cの法線方向(即ち、基板面法線方向、つまり、対向基板31或いはTFTアレイ基板32の法線方向)から見て、液晶パネル15cの一辺115cに対して約45°ずれた方向となっている。
図3において、第1位相差板15aは、負の屈折率異方性を有すると共に当該第1位相差板15aの厚さ方向に光軸を有する位相差板である。具体的には、負のCプレートを用いることができ、本実施形態ではディスコティック液晶を用いたCプレートを用いているが、そのほかに、無延伸のセルロースエステルフィルム(例えば、無延伸のトリアセチルセルロース(TAC)、無延伸のセルロースアセテートプロピオネート(CAP)等)、二軸延伸したノルボルネン系樹脂等を用いた光学フィルムを用いることもできる。また、負のCプレートは、例えば蒸着法、スパッタ法等による真空成膜によっても作製できる。
図3の第1位相差板15aの側方に、第1位相差板15aの平均的な屈折率楕円体255aを模式的に示している。この図において、nx及びnyはそれぞれ第1位相差板15aの面方向の主屈折率を示しており、nzは厚さ方向の主屈折率を示している。本実施形態では、主屈折率nx、ny及びnzは、nx=ny>nzなる関係を満たす構成とされている。即ち、厚さ方向の屈折率nzが他の方向の屈折率より小さく、屈折率楕円体では円盤型となる。この屈折率楕円体は、第1位相差板15aの板面に対して平行に配向されており、第1位相差板15aの光軸方向(屈折率楕円体の短軸方向)は板面法線方向と平行である。
第2位相差板15eは、正又は負の屈折率異方性を有すると共に当該第2位相差板15eの面方向に光軸を有する位相差板である。具体的には、Aプレートや二軸プレートを用いることができる。Aプレートは、主屈折率nx、ny及びnzが、nx>ny=nzなる関係を満たす光学フィルムであり、棒状液晶性化合物、1軸延伸ポリマー(例えば、ポリカーボネート等)等を用いて作製することができる。
二軸プレートは、主屈折率nx、ny及びnzが、nx>ny>nzなる関係を満たす光学フィルムであり、延伸セルロースエステル(例えば、延伸セルロースアセテートプロピオネート(延伸CAP)、トリアセチルセルロース(延伸TAC)等)等を用いて作製することができる。また、二軸プレートは、例えば蒸着法、スパッタ法等による真空成膜によっても作製できる。
上述のような構成を備えた液晶装置15において、液晶パネル15cに封入された液晶層34は、光学的に正の一軸性を示すもので、液晶分子51の長軸方向(即ち、ダイレクタ方向)の屈折率が他の方向の屈折率より大きくなっている。即ち、液晶層34は、図3に平均的な屈折率楕円体250aを示すように、ラグビーボール型の屈折率楕円体を有するものとなっている。ここで、液晶層34の液晶分子51はプレチルト方向Pに沿って斜めに配向しており、黒表示の際に残留位相差を生じ、また斜め方向から観察したときの楕円形状が異なるために視角依存の位相差を有する。この位相差が黒表示における光漏れの原因となり、液晶パネルのコントラスト比を低下させることになる。
これに対して、第1位相差板15aを構成するディスコティック液晶155は光学的に負の一軸性を示すものであるから、第1位相差板15aにおける円盤型の屈折率楕円体255aのz方向の光軸を、それぞれが配設される側のラグビーボール型の屈折率楕円体250aの光軸251aと平行に配置すれば、光学的な正負が逆になって、液晶パネル15cにおける複屈折効果を打ち消すことができる。
そこで本実施形態では、第1位相差板15aの光軸P'が液晶パネル15cにおける液晶のプレチルト方向Pと略一致するように、第1位相差板15aが、液晶パネル15cの基板面と平行な位置から、角度αだけ傾斜して配置されている。これにより、液晶パネル15cにおいて生じる位相差を三次元的に補償することが可能になる。
ここで、図4及び図5において、本実施形態では特に、上述したように、配向方向43a及び98aは、基板法線方向から見て、液晶パネル15cの一辺115cと略直交している。言い換えれば、液晶分子51は、液晶パネル15cの法線方向から見て液晶パネル15cの一辺115cに直交する方向に沿った所定方位にプレチルトを付与されている。よって、第1位相差板15aを傾斜させる際の回転軸81aは、液晶パネル15cの一辺115cに沿って延びる軸とすることができる。つまり、第1調整部81によって回転軸81a回りに第1位相差板15aを傾斜させることで、第1位相差板15aの光軸P'の傾きをプレチルト方向Pに一致させるように調整することができ、極めて容易に最適な表示を得ることができる。
即ち、仮に、液晶分子51が、液晶パネル15cの法線方向から見て液晶パネル15cの一辺115cに対して約45°の角度をなす方位にプレチルトを付与された場合(即ち、配向方向43a及び93aと液晶パネル15cの一辺115cとが約45°の角度をなす場合)には、第1位相差板15aを傾斜させる際の回転軸は、液晶パネル15cの法線方向から見て、液晶パネル15cの一辺115cに対して約45°の角度をなす方向に沿った軸とする必要があり、第1位相差15aを傾斜させる機構が複雑になったり、調整が困難になってしまう可能性がある。
しかるに、本実施形態では特に、上述したように、配向方向43a及び98aは、基板法線方向から見て、液晶パネル15cの一辺115cと略直交しているので、該一辺115cに沿った回転軸81a回りに第1位相差板15aを傾斜させることで第1位相差板15aの光軸P'の傾きをプレチルト方向Pに一致させるように調整することができる。よって、第1位相差板15aの液晶パネル15cに対する傾きを容易に且つ高精度に調整することができる。このため、本実施形態に係るプロジェクタによれば、液晶層34において生じる位相差を第1位相差板15aによって補償する効果を高めることができ、コントラストを確実に高めることができる。
図3において、液晶装置15は、第2位相差板15eを備えている。上述したように、第1位相差板15aは、液晶パネル15cの液晶の配向状態に起因する位相差の補償には有効であるが、第1偏光板15b及び第2偏光板15dに起因する位相差や、液晶パネル15cに設けられたマイクロレンズ95に起因する位相差を補償することはできない。そこで本実施形態では、正又は負の屈折率異方性を有すると共に板面方向に光軸を有する第2位相差板15eが設けられている。
図4及び図5に示すように、第2位相差板15eは、第2調整部82(図5参照)によって、板面法線に沿った軸である回転軸82a回りに回転可能とされることで、第1偏光板15b及び第2偏光板15dに起因する位相差とマイクロレンズ95の回折の影響による位相差とを補償できるようになっている。
図4及び図5において、本実施形態に係るプロジェクタにおける液晶装置15の光学調整は、液晶パネル15cの基板面に対して傾斜可能に設けられた第1位相差板15aの傾斜角調整を行う第1の光学調整ステップと、液晶パネル15cの基板法線を回転軸とする軸回りに移動可能に設けられた第2位相差板15eの回転角調整を行う第2の光学調整ステップとにより実施することができる。
図4及び図5において、第1の光学調整ステップでは、液晶パネル15cに対向して配置した第1位相差板15aについて、その回転軸81aを第1位相差板15aの板面内で液晶パネル15cの一辺115cと直交する方向(言い換えれば、配向方向43a及び98aと直交する方向、或いは、プロジェクタの水平面に直交する方向)に設定する。そして、かかる回転軸81aを中心とする軸回りに第1位相差板15aを回転させて傾斜角αを調整することで、第1位相差板15aの光軸P'と、液晶層34のプレチルト方向Pとを略一致させる。これにより、基板面に対して所定の傾き角を有して略垂直に配向した液晶分子51からなる液晶層34の位相差を三次元的に補償できる位置に第1位相差板15aを配置することができる。
第2の光学調整ステップでは、液晶パネル15cに対向して配置した第2位相差板15eについて、その回転軸82aを第2位相差板15e(及び液晶パネル15c)の法線方向に沿った方向に設定する。そして、かかる回転軸82aを中心とする軸回りに第2位相差板15eを回転させて回転角θを調整することで、第1位相差板15aでは補償できない第1偏光板15b及び第1偏光板15dの位相差や、マイクロレンズ95の回折の影響により生じる位相差を補償できる位置に第2位相差板15eを配置する。上述したように、第2位相差板15eは面方向に1本ないし2本の光軸を有する位相差板であるため、回転角θを変化させることで第2位相差板15eの光軸と、第1偏光板15b及び第2偏光板15dや液晶パネル15cの光軸との位置関係を変更し、第2位相差板15eの位置を最適化することができる。
尚、第2位相差板15eの光学調整は、実際にコントラスト(又は黒表示の輝度)を測定しつつ実施することが好ましい。一般に、偏光板の保護膜152における面方向の光軸は一定の方向に設定されているわけではなく、更に同一の偏光板でも面内で光軸がばらついていることがある。そのため、第2位相差板15eの回転角θを一定角度に設定することはできないので、実際に最大コントラストが得られる位置、或いは黒レベルが最低になる位置をもって第2位相差板15eの最適位置とすればよい。
上述した第1及び第2の光学調整ステップの実施順序は前後してもよいが、第1の光学調整ステップは液晶パネル15cと第1位相差板15aとの光軸合わせを行うものである一方、第2の光学調整ステップは、第1位相差板15aでは補償できない位相差を補償するためのものである。そのため、第1の光学調整ステップを先に実施して第1位相差板15aの最適化を行った後、第2の光学調整ステップによって第1偏光板15b及び第2偏光板15dや、マイクロレンズ95に起因する位相差を補償することが好ましい。このような順序で実施することで、プロジェクタの光学補償を効率よく短時間で行うことができる。
図4において、本実施形態では特に、液晶装置15に入射される入射光の振動方向A1は、第1偏光板15bの透過軸151bに沿っている。即ち、液晶装置15には、光源12(図1参照)から出射された光が第1偏光板15bの透過軸151に沿った偏光方向を有する直線偏光に偏光変換素子22(図1参照)によって変換された光が入射される。よって、光源12から出射される光の利用効率を高めることができる。この結果、表示輝度を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るプロジェクタによれば、第1位相差板15aの液晶パネル15aに対する傾きを容易に且つ高精度に調整可能であり、液晶層34において生じる位相差を第1位相差板15cによって確実に補償することができる。更に、第2位相差板15eによって、第1偏光板15b及び第2偏光板15dに起因する位相差とマイクロレンズ95の回折の影響による位相差とを補償することができる。これらの結果、高コントラストで高品位な表示を得ることができる。
<変形例>
図6は、変形例における第1位相差板の構成を示す説明図である。尚、図6では、変形例における第1位相差板の構成を、図3における第1位相差板15aに対応して示してある。
図6(a)に示すように、上述した第1実施形態における第1位相差板15aに代えて第1位相差板71を備えるようにしてもよい。第1位相差板71は、負の屈折率異方性を有すると共に当該第1位相差板71の板面から傾斜角αだけ傾斜した光軸P’を有する位相差板である。即ち、第1位相差板71は、円盤型の屈折率楕円体71aを有しており、この屈折率楕円体71aは、第1位相差板71の板面に対して傾斜角αだけ傾斜している。このような第1位相差板71の光軸P'と、液晶層34(図3参照)のプレチルト方向Pとを略一致させることで、基板面に対して所定の傾き角を有して略垂直に配向した液晶分子51からなる液晶層34の位相差を三次元的に補償できる。
或いは、図6(b)に示すように、上述した第1実施形態における第1位相差板15aに代えて第1位相差板72を備えるようにしてもよい。第1位相差板72は、光学異方性層720が、楔角度が傾斜角αに等しい楔形状を有する透明光学部材721及び722によって挟み込まれてなる。光学異方性層720は、負の屈折率異方性を有すると共に当該光学異方性層720の厚さ方向に光軸P’を有している。即ち、光学異方性層720は、円盤型の屈折率楕円体720aを有しており、光学異方性層720が楔形状を有する透明光学部材721及び722によって挟み込まれることにより、屈折率楕円体720aは、第1位相差板72の板面に対して傾斜角αだけ傾斜している。このような第1位相差板72の光軸P'(即ち、位相差板720の光軸P’)と、液晶層34(図3参照)のプレチルト方向Pとを略一致させることで、基板面に対して所定の傾き角を有して略垂直に配向した液晶分子51からなる液晶層34の位相差を三次元的に補償できる。
尚、上述した実施形態では、液晶装置15の構成として、液晶パネル15cの出射側に第1位相差板15a及び第2位相差板15eを配置した場合について説明したが、液晶装置15における液晶パネル15cと第1位相差板15a及び第2位相差板15eとの配置はこれに限定されず、種々の配置形態を採用することができる。
図7は、液晶装置における構成部材の配置形態を示す概略図である。
図7(a)は、液晶パネル15cにおける光が入射する光入射側に、第1偏光板15b側から順に第1位相差板15aと第2位相差板15eとを配置した形態である。図7(b)は、液晶パネル15cの光入射側に第1位相差板15aを配置し、液晶パネル15cにおける光が出射する光出射側に第2位相差板15eを配置した形態である。図7(c)は、液晶パネル15cの光入射側に第2位相差板15eを配置し、液晶パネル15cの光出射側に第1位相差板15aを配置した形態である。図7(d)は、液晶パネル15cの光出射側に、液晶パネル15c側から順に第1位相差板15aと第2位相差板15eとを配置した形態であり、上述した第1実施形態で採用している配置である。図7(e)は、液晶パネル15cの光入射側に、第1偏光板15b側から順に第2位相差板15eと第1位相差板15aとを配置した形態である。図7(f)は、液晶パネル15cの光出射側に、液晶パネル15c側から順に第2位相差板15eと第1位相差板15aとを配置した形態である。
本発明に係るプロジェクタにおいて、図7に示す6種類の形態のいずれを採用してもよい。
図7(b)の形態を採用すれば、液晶パネル15cの光入射側に傾斜配置される第1位相差板15aを配置しているので、液晶装置の光出射側で光路が曲がってしまうのを防止でき、また液晶パネル15cの光出射側に第2位相差板15eを配置しているので、第1位相差板15aを透過する光と液晶パネル15cを透過する光の全体に対して補償することができ、より良好な光学補償効果を得ることができる。
また、図7(b)及び図7(c)に示す液晶パネル15cを挟んだ両側にそれぞれ位相差板を配置する形態とすれば、第1位相差板15aにおける傾斜角αの調整と、第2位相差板15eにおける回転角θの調整を行うのに十分なスペースを確保しやすくなり、また調整機構の配置にも余裕ができる。
また、図7(d)に示すように液晶パネル15cの光出射側に第1位相差板15a及び第2位相差板15eを配置すれば、これらの位相差板を光源から遠ざけることができ、光の照射やそれに伴う温度上昇により第1位相差板15a及び第2位相差板15eが劣化するのを効果的に防止でき、信頼性に優れたプロジェクタとなる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係るプロジェクタについて、図8を参照して説明する。
図8は、第2実施形態に係るプロジェクタの具体的構成例を示す斜視図である。尚、図8において、図1から図5に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図8において、第2実施形態に係るプロジェクタは、上述した第1実施形態における液晶装置15に代えて液晶装置215を備える点で、上述した第1実施形態に係るプロジェクタと異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係るプロジェクタと概ね同様に構成されている。
尚、緑色光LGを変調する液晶装置及び青色光LBを変調する液晶装置の各々の基本的構成は、赤色光LRを変調する液晶装置215の基本的構成と同一である。
図8において、第2実施形態に係る液晶装置215は、第1偏光板15bと、液晶パネル15c2と、第1位相差板15a2と、第2位相差板15eと、第2偏光板15dとを備えている。
液晶パネル15c2は、上述した第1実施形態に係る液晶パネル15cと概ね同様に構成されているが、配向膜43及び93が、液晶パネル15c2におけるフレキシブル基板300が取り付けられる側の辺に沿った配向方向43a2及び93a2を夫々有している点で、上述した第1実施形態に係る液晶パネル15cと異なる。配向方向43a2及び93a2は、基板法線方向から見て、液晶パネル15c2の一辺115c2(即ち、液晶パネル15cにおけるフレキシブル基板300が取り付けられる側の辺に隣接する一辺)と略直交している。言い換えれば、液晶分子51は、液晶パネル15c2の法線方向から見て液晶パネル15c2の一辺115c2に直交する方向に沿った所定方位にプレチルトを付与されている。液晶パネル15c2は、配向方向43a2及び93a2がプロジェクタにおける水平面に沿うように(言い換えれば、液晶パネル15cの一辺115c2がプロジェクタにおける水平面と直交するように)配置されている。
第1位相差板15a2は、上述した第1実施形態に係る第1位相差板15aと同様に、負の屈折率異方性を有すると共に当該第1位相差板15aの厚さ方向に光軸を有する位相差板である。第1位相差板15a2は、第1調整部83によって回転軸83a回りに回転可能に構成されており、第1位相差板15a2の光軸が液晶パネル15c2における液晶のプレチルト方向と略一致するように、第1位相差板15a2が、液晶パネル15c2の基板面と平行な位置から、角度αだけ傾斜して配置されている。これにより、液晶パネル15c2において生じる位相差を三次元的に補償することが可能になる。
ここで、本実施形態では特に、上述したように、配向方向43a2及び98a2は、基板法線方向から見て、液晶パネル15cの一辺115c2と略直交している。言い換えれば、液晶分子51は、液晶パネル15c2の法線方向から見て液晶パネル15cの一辺115cに直交する方向に沿った所定方位にプレチルトを付与されている。よって、第1位相差板15a2を傾斜させる際の回転軸83aは、液晶パネル15c2の一辺115c2に沿って延びる軸(言い換えれば、プロジェクタにおける水平面と直交する軸)とすることができる。つまり、第1調整部83によって回転軸83a回りに第1位相差板15a2を傾斜させることで、第1位相差板15a2の光軸の傾きを液晶パネル15c2における液晶のプレチルト方向に一致させるように調整することができ、極めて容易に最適な表示を得ることができる。
10…プロジェクタ、11…スクリーン、12…光源、15、16、17、215…液晶装置、15b、16b、17b、15d、16d、17d…偏光板、15c、16c、17c…液晶パネル、31…対向基板、32…TFTアレイ基板、43a、98a…配向方向、43、98…配向膜、51…液晶分子、81a、82a、83a…回転軸、LB…青色光、LG…緑色光、LR…赤色光、P'…光軸、P…プレチルト方向