JP2008112004A - 光学補償板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】強い光の照射環境下においても良好な光学補償特性を維持できる光学補償板を提供し、この光学補償板を用いたことにより液晶表示装置におけるコントラストのムラを防止して表示性能の向上を図る。
【解決手段】透明基板201上に位相差層203を設けてなる複数の位相差板104a,104bが積層配置され、接着剤204を介して当該複数の位相差板104a,104bを貼り合わせてなる光学補償板104において、接着剤204は、位相差板104a,104bの周縁部のみに設けられていることを特徴としている。
【選択図】図3
【解決手段】透明基板201上に位相差層203を設けてなる複数の位相差板104a,104bが積層配置され、接着剤204を介して当該複数の位相差板104a,104bを貼り合わせてなる光学補償板104において、接着剤204は、位相差板104a,104bの周縁部のみに設けられていることを特徴としている。
【選択図】図3
Description
本発明は光学補償板および液晶表示装置に関し、特には投射型の液晶表示装置に適する光学補償板およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶を利用した液晶表示装置の一例として、光源から出力された光を液晶により光変調して画像光を形成し、この画像光をスクリーンなどに投射する液晶プロジェクタ装置が知られている。
このような液晶プロジェクタ装置のライトバルブとして用いられている液晶セルは、一対の基板間に液晶層を充填してなり、各基板の液晶層に向かう面には、液晶層を構成する液層分子の配向を制御するための駆動電極がパターン形成され、これらの駆動電極を覆う状態で配向膜が設けられている。また、駆動電極によって液晶層に電圧を印加した際に、液晶層を構成している液晶分子の倒れる方向を基板の全面において揃えるために、電界を印加していない時に液晶分子の長軸方向が基板の表面に対して所定のプレチルト角を持った同一方向に向くように、配向膜表面が構成されている。例えば、TNモードの液晶セルであれば、表示領域の全面において、液晶分子に2°〜6°のプレチルト角(基板面に対する角度)を持たせるように、配向膜表面が構成されている。
このような構成の液晶セルは、一対の偏光板に狭持された状態で液晶プロジェクタにおける照射光の光路に配置される。例えばTNモードの液晶セルであれば、クロスニコルの位置に偏光板を配置することにより、駆動電圧の無印加時に白表示、印加時に黒表示がなされるノーマリーホワイトの表示が行われる。
ここで、上記液晶プロジェクタ装置においては、表示画面の明るさを確保するために、液晶セルに対する照射光の角度成分を5°〜15°の範囲を主としている。つまり、照射光には液晶セルに対して垂直に入射する成分がほとんど含まれておらず、大部分の照射光が角度を持って液晶セルに入射する構成となっている。
ところが、液晶セル面に角度をもって入射した光は、駆動電極の無印加時における液晶分子のプレチルト角の影響を受けて、その偏光状態に乱れが生じる。これは、液晶分子の有する屈折率の異方性に関するものである。要するに、液晶分子の屈折率の異方性により、液晶分子の長軸方向成分の位相が遅れる。このため、入射側の偏光板を通過して液晶セルに入射した直線偏光の入射光は、液晶分子で遅相軸方向成分と進相軸方向成分との間に位相差が生じて楕円偏光となる。また、液晶セルを通過した後の光の偏光状態は、多数の異なる向きの液晶分子による偏光変化を足し合わせたものとなるため、上述したように種々の方向から入射した直線偏光は、液晶分子によって変化し、入射方向に応じて、上記楕円偏光が変化するのである。
これにより、例えば、上述したTNモードの液晶セルにおいては、液晶セルの表示面に対してある方位角方向に傾斜して入射される照射光成分に対しては、駆動電圧の上昇に伴って、光透過率が低下し、特定の電圧値を境界として再び光透過率が上昇し、その後、徐々に低下する、と言った反転現象が生じる。また、液晶セルの表示面に対して、異なる方位角方向に傾斜して入射される照射光成分に対しては、駆動電圧を上昇させても光透過率が下がりきらず、黒が浮いたままになることもある。
この結果、上記構成の液晶セルをライトバルブとして用いた液晶プロジェクタにおいては、液晶セルの出射側にある偏光板で楕円偏光による光漏れが生じて黒表示においての光透過率が上がり、視野角に依存してコントラストが劣化すると言った問題が生じていた。
近年、このような液晶プロジェクタの画像のコントラストを高めるために、位相差フィルムのような光学補償板によって液晶のプレチルト角に起因する複屈折を補償することが知られている(下記特許文献1参照)。また、このような光学補償板の構造として、透明フィルム/光学補償フィルム/ガラス板をこの順で積層し、これらの板材をアクリル系、エポキシ系の接着剤を介して積層する構成、さらには光学補償フィルムを2枚積層させる構成が提案されている(下記特許文献2参照)。
しかしながら、近年、液晶プロジェクタの高輝度化に伴い、液晶セルのサイズも小型化している。これにより、光学補償板に照射される投射光の単位面積あたりの光量は増加する傾向にあり、光学補償板の温度は60℃にも達する。このような温度上昇により、光学補償板を構成する各部材間には、その線膨張係数の差によって応力が発生し、この応力によって位相差層の光軸が変化する。そして特に黒表示においては、図13(a)と図13(B)とに示すように、スクリーンの四隅に明るい部分と暗い部分が発生し、コントラストのムラが顕著に現れる。
また、赤(R),緑(G),青(B)の各色毎に液晶セルを配置した3板式液晶プロジェクタ装置では、光源からの白色光をダイクロイックミラーなどにより分解して赤色光、緑色光、青色光を画像情報に応じて出力する。このとき、青色光に含まれる400nm以下の紫外線領域光は、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系、フェノール樹脂系などの有機材を劣化させることが知られている。このため、特許文献2ようにエポキシ樹脂系やアクリル樹脂系などの接着剤を介して各板材が積層されている光学補償板においては、400nm以下の紫外線領域光に長時間照射されることによって、接着剤が変色し、剥離、透過率の低下、特性の低下、画質の不良を引き起こすという問題が生じる。
そこで本発明は、強い光の照射環境下においても良好な光学補償特性を維持できる光学補償板を提供すること、およびこの光学補償板を用いたことによりコントラストのムラを防止して表示性能の向上を図ることが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明は、透明基板上に位相差層を設けてなる複数の位相差板が積層配置され、接着剤を介して当該複数の位相差板を貼り合わせてなる光学補償板において、接着剤が位相差板の周縁部のみに設けられていることを特徴としている。
このような構成の光学補償板によれば、接着剤が表示光に晒されることが抑えられ光照射による接着剤の劣化も防止され、また接着剤が劣化した場合であっても表示に影響を与えることが抑えられる。また、接着剤と位相差板との線膨張係数の差によってこれらの間に発生する応力が小さく抑えられ、位相差板を構成する位相差層における光軸の回転を防止することができる。これにより、例えば強い光の照射による加熱条件下においても、複数枚の位相差層間で光軸の関係を安定した状態に保つことができる。
また本発明は、液晶セルの一方の面側に、このような構成の光学補償板を設けたことを特徴とする液晶表示装置でもある。
このような構成の液晶表示装置では、接着剤と位相差板との線膨張係数の差よらずに光学補償板における複数枚の位相差層間で光軸の関係を安定した状態に保つことができ、また接着剤の劣化に表示が影響されない光学補償板を設けたことにより、この位相差層による光学補償特性が安定的に維持される。
以上説明した様に本発明によれば、強い光の照射環境下においても光学補償板において良好な光学補償特性を維持することが可能になり、この光学補償板を用いた液晶表示装置においてコントラストのムラを防止して表示性能の向上を図ることが可能になる。
次に、本発明の実施形態として、本発明の光学補償板が設けられる液晶表示装置の全体構成を説明し、次いでこの液晶表示装置に設けられる光変調部の構成、この光変調部に設けられる光学補償板の構成の順に説明する。
<液晶表示装置の全体構成>
図1は、本発明が適用される投射型の液晶表示装置1の全体構成図である。この図に示す投射型の液晶表示装置1は、いわゆる液晶プロジェクタであり、光源2からの光(投射光)hを赤色光hR、青色光hB、緑色光hGの3原色に分離し、各色光対して液晶セルをライトバルブとして1枚ずつ用いてカラー画像表示を行う、いわゆる3板方式のプロジェクタである。
図1は、本発明が適用される投射型の液晶表示装置1の全体構成図である。この図に示す投射型の液晶表示装置1は、いわゆる液晶プロジェクタであり、光源2からの光(投射光)hを赤色光hR、青色光hB、緑色光hGの3原色に分離し、各色光対して液晶セルをライトバルブとして1枚ずつ用いてカラー画像表示を行う、いわゆる3板方式のプロジェクタである。
この液晶表示装置1には、リフレクタ2aの焦点位置に発光部2bを配置してなる光源2が備えられ、光源2からの光hの光路上にはマルチレンズアレイ3,4が順次配置されている。これらのマルチレンズアレイ3,4は、後で説明する液晶セルの被照射領域(すなわち、画素形成のための光変調を行う有効開口に相当する)のアスペクト比にほぼ等しい相似型の外形形状を有している。このマルチレンズアレイ3、4で集光された光の光路上には、偏光変換ブロック5が配置され、集光された光を所定の偏光方向の光に偏光する。すなわち、光源2から出射した無偏光(P偏光波+S偏光波)の光は、偏光変換ブロック5を通過することによって、液晶セルに対応した所定の偏光方向(例えば、P偏光波)の光に変換される。なお、偏光変換ブロック5の説明については省略する。
偏光変換ブロック5によって例えばP偏光波に変換された光の光路には、平凸レンズ6が配置され、偏光変化ブロック5からの光を集光して、効率良く液晶セルを備えた光変調部に照射する構成となっている。平凸レンズ6から出射した白色光の光路上には、赤色光hRのみを透過するダイクロイックミラー7が配置されており、これを透過する赤色光hRに対して緑色光hGおよび青色光hBが反射して分光される。
ダイクロイックミラー7を透過した赤色光hRの光路上にはミラー8が配置され、ミラー8で反射させた赤色光hRの光路上には、凸平レンズ9および光変調部10がこの順に配置される。一方、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光hGおよび青色光hBの光路上には、青色光hBを透過させ緑色光hGを反射するダイクロイックミラー11が配置される。ダイクロックミラー11で反射した緑色光hGの光路上には、凸平レンズ12および光変調部13がこの順に配置される。そして、ダクロックミラー11を透過した青色光hBの光路上には、リフーレンズ14、ミラー15、リフーレンズ16、ミラー17、凸平レンズ18、および光変調部19がこの順に配置される。
各色光hR,hG,hBの最終段に設けられた光変調部10,13,19は、液晶セルを備えて構成され液晶表示装置1におけるライトバルブとして用いられるものであり、後で説明するように本発明に特徴的な光学補償板を用いて構成されている。
そして、これらの3つの光変調部10、13、19で光変調された各色光hR,hG,hBの光路上には、1つのクロスプリズム20および投射レンズ22がこの順に配置されている。このクロスプリズム20は、例えば複数のガラスプリズムを接合して外形が形成され、各ガラスプリズムの接合面には、所定の光学特性を有している干渉フィルタ21a、21bが形成されている。例えば、干渉フィルタ21aは赤色光hRを反射して緑色光hGを透過するように構成されている。また、干渉フィルタ21bは、青色光hBを反射して緑色光hGを透過するように構成されている。したがって、赤色光hRは干渉フィルタ21aで、また青色光hBは干渉フィルタ21bで投射レンズ22の方向に反射される。そして、緑色光hGは、干渉フィルタ21a、21bを透過することにより、投射レンズ22に到達し、ここで各色光が1つの光軸に合成され、スクリーンに向けて投射される。
<光変調部の構成>
図2(a)は、上記液晶表示装置に設けられた各光変調部10,13,19の構成を説明する図である。これらの光変調部10,13,19は、入射側の偏光板101、液晶セル102、出射側の偏光板103を光路上に順次設置してなり、例えばクロスニコルに配置された2枚の偏光板101-103間に液晶セル102が狭持された構成となっている。そして特に、液晶セル102と2枚の偏光板102,103との間の少なくとも一方に、本発明に特徴的な構成である光学補償板104が配置されている。尚、液晶セル102の両面は防塵ガラス102a、102bで構成されていることが好ましい。
図2(a)は、上記液晶表示装置に設けられた各光変調部10,13,19の構成を説明する図である。これらの光変調部10,13,19は、入射側の偏光板101、液晶セル102、出射側の偏光板103を光路上に順次設置してなり、例えばクロスニコルに配置された2枚の偏光板101-103間に液晶セル102が狭持された構成となっている。そして特に、液晶セル102と2枚の偏光板102,103との間の少なくとも一方に、本発明に特徴的な構成である光学補償板104が配置されている。尚、液晶セル102の両面は防塵ガラス102a、102bで構成されていることが好ましい。
以上のような構成の光変調部10,13,19において、各液晶セル102は同一に設計されたものであって良い。ここでは、例えばツイスト角90°のツイストネマチック(TN)モードで動作されるものであることとする。また各液晶セル102は、マイクロレンズが搭載された構成であっても良い。
これらの各光変調部10,13,19は、入射側の偏光板101側から入射して、出射側の偏光板103から出射した投射光(hを分光した各光hR,hG,hB)が、ここでの図示を省略したクロスプリズム(20)および投影レンズ22に入射されるように、液晶表示装置内に配置される。そして、各光変調部10,12,19で変調された光が、クロスプリズム(20)で合成されて投影レンズ22を介してスクリーン30上に拡大投影される構成となっている。
尚、光変調部10,13,19の構成は、液晶セル102と2枚の偏光板102,103との間の少なくとも一方に、光学補償板(位相差層)104が狭持されていれば良い。このため、図2(b)に示すように、位相差層を用いた光学補償板104を、液晶セル102に密着させて一方側のみに設けた構成としても良い。この場合、光学補償板104を防塵用として配置しても良く、光学補償板104の基材となる基板が液晶セルの基板を兼ねても良い。また。光学補償板104が、液晶セル102の両側に配置される場合には、一方のみを液晶セル102に密着させて設けても良く、両方を液晶セル102に密着させても良い。
<光学補償板の構成>
図3(a)〜図3(c)は、光学補償板104を示す断面構成図である。これらの図に示すように、例えば光学補償板104は、2枚の位相差板104a,104bを積層してなる。各位相差板104a,104bは、透明基板201の一主面上に配向膜202を介して位相差層203を設けてなる。このような構成の位相差板104a,104bは、位相差層203,203を対向配置した状態で、接着剤204によって貼り合わされて一体化されている。
図3(a)〜図3(c)は、光学補償板104を示す断面構成図である。これらの図に示すように、例えば光学補償板104は、2枚の位相差板104a,104bを積層してなる。各位相差板104a,104bは、透明基板201の一主面上に配向膜202を介して位相差層203を設けてなる。このような構成の位相差板104a,104bは、位相差層203,203を対向配置した状態で、接着剤204によって貼り合わされて一体化されている。
このような光学補償板104において、特に本実施形態において特徴的なことは、接着剤204が、位相差板104a,104bの周縁部のみに設けられているところにある。ここで周縁部とは、光学補償板104において、表示に影響を及ぼさない領域であり、好ましくは投射光の透過領域(以下、有効照射エリア)よりも外側であることとする。尚、投射光が照射されるが表示には無関係な領域が存在するばあい、このような表示に無関係な領域にも接着剤204が配置されないことが好ましい。
通常、光学補償板104の基板端部より10mm以内の周縁部は、有効照射エリアの外側に位置する。このため、光学補償板104の基板端部より10mm以内の有効照射エリアの外側に位置する周縁部に、接着剤204を設けることとする。
特に、液晶プロジェクタに設けられる光学補償板204に照射される光の面積は、液晶プロジェクタの光学設計上、例えば光学補償板204の面積をRaとした場合、光学補償板に照射される照射エリア面積Bは、光学補償板の面積Ra/有効照射エリア面積Rb=0.55となる。このため例えば、光学補償板104のサイズが対角0.9インチである場合、有効照射エリアは対角0.5インチとなり、光学補償板104の基板端部より10mm以内の周縁領域には光が直接照射されることはない。尚、後述の≪実施例−1≫において示すが、このような有効照射エリアの内側に接着剤204を設けた場合、透過率の低下、特性の低下、画質の不良などの不良が多発することが確認されている。
また接着剤203を設ける高さ位置は、図3(a)に示すように、一方の位相差板104aの位相差層203上と、他方の位相差板104bにおいて位相差層203が除去された配向膜203上であっても良く、さらに配向膜203が除去された透明基板201上であっても良い。また、図3(b)に示すように、両方の位相差板104a,104bにおいて、位相差層203が除去された配向膜203上であっても良く、さらに少なくとも一方の配向膜203が除去された透明基板201上であっても良い。また、図3(c)に示すように、両方の位相差板104a,104bにおける位相差層203上であっても良い。この場合、2枚の位相差板104a,104b間には、ある程度の大きさの空間部Aが形成されることになる。
図4(a),図4(b)には、光学補償板104を一方の位相差板104a(または104b)側から見た場合の外形形状と接着剤203の配置状態とを示す。これらの図に示すように、接着層204は、光学補償板104の周縁部である有効照射エリアBの外側に、連続的に設けられていても良いし、不連続に設けられていても良い。
図4(a)に示すように、接着剤204が連続的に設けられている場合には、2枚の位相差板104a−104b間は封止された状態となる。この場合、これらの位相差板104a−104b間の空間部Aは、空間部Aと位相差層203との界面での光反射が抑えられる物質で満たされることが好ましい。このため、この空間部Aには、位相差層(203)の材質にもよるが、屈折率がおよそ1.5以下の物質を満たすこととする。このような物質として、例えば、水:H2O(屈折率n=1.33)、空気(屈折率n=1.000292)、二酸化炭素:CO2(屈折率n=1.00045)など適宜選択することができる。尚、後述の≪実施例−2≫において示すが、空間部Aの屈折率が1.5以上である場合、コントラスト改善率が大きく上昇する効果が得られる。
また、接着剤204を不連続に設ける場合には、図4(b)に示すように、光学補償板104の四隅であっても良い、これ以外のパターンで接着剤204を不連続に設けても良い。この場合、図3に示した透明基板201および配向膜202と位相差層203との線膨張係数の差によって生じる位相差層203の光軸(例えば遅相軸の方向)の回転を、面内において防止する位置に接着剤204を設けることが好ましい。
例えば、光学補償板104が設けられる液晶セルが、例えばツイスト角90°のツイストネマチック(TN)モードで動作されるものを想定する。この場合、光学補償板104を構成する2枚の位相差板104a,104bは、例えば図5に示すように、それぞれの位相差層203における光軸φa,φbが互いに略90°の角度をなすように配置される。
ところが、各位相差板104a,104bを構成する透明基板201、配向膜202、および位相差層203は、それぞれ異なる材質からなるため、異なる線膨張係数を備えている。このため、投射光の照射によって光学補償板104の温度が40℃〜60℃程度にまで上昇すると、このような線膨張係数の差により位相差層203に応力が加わる。これにより、図6(a),図6(b)に示すように各位相差層(203)の光軸φa、φbが回転する。このような光軸φa、φbの回転は、各位相差層(203)の中心から離れた4隅に向かって大きくなる。
つまり、図3を参照し、位相差層203の線膨張係数が、透明基板201および配向膜202の線膨張係数よりも小さい場合、加熱による透明基板201および配向膜202の大きな膨張に引っ張られる方向に、位相差層203に対して応力が印加される。この応力は、位相差層203の中心から離れた四隅に向かって大きくなる。このため、図6(a)に示すように、位相差層203の四隅において、光軸φa,φbが外側に向かって引っ張られる様に回転する。
一方、位相差層203の線膨張係数が、透明基板201および配向膜202の線膨張係数よりも大きい場合、加熱による位相差層203の大きな膨張が透明基板201および配向膜202によって阻止される方向に応力が印加される。この応力は、位相差層203の中心から離れた四隅に向かって大きくなる。このため、図6(b)に示すように、位相差層203の四隅において、光軸φa,φbが内側に向かって引っ張られる様に回転する。
そして、以上のような光軸φa,φbの回転により、隣接する四隅において、光軸φa,φbのなす角度が90°に対して異なる方向(90°よりも大きい方向、および90°よりも狭い方向)に変動する。
このため、上述したような温度変化による光軸φa,φbの回転を効果的に防止できるように、光学補償板104の周縁部においての接着剤204の配置状態が設計されていることが好ましい。
また、このよう光学補償板104においては、所望の光学補償特性が得られるように各位相差層203のリタデーションが設定されている。例えば、光学補償板104が設けられる液晶セルが、例えばツイスト角90°のツイストネマチック(TN)モードで動作されるものを想定する。この場合、位相差層203は、光学補償板104の法線方向に対する面内のリタデーションが80nm以下であることが好ましい。尚、後述の≪実施例−3≫において示すが、リタデーションを80nm以下とすることで、コントラスト改善率が大幅に上昇する効果が見られた。
ここで、各位相差層203のリタデーションRthは、下記式(1)で表される。
ただし、上記式(1)において、nx、nyおよびnzは、光学補償板104の法線方向をZ軸とした時に、位相差層203中における互いに直交するX、Y、Z軸方向の屈折率をそれぞれ表し、dは位相差層203の膜厚を表す。
以上のように、リタデーションRthは、位相差層203の複屈折率と膜厚dによって制御されるが、特に膜厚dによる制御が容易であり、実際の液晶パネルのリタデーションRthから考えて膜厚d=50〜500nmが好ましい。
尚、各位相差層203のリタデーションRthは、各位相差層203が設けられた光変調部(10,13,19)に入射される光の波長範囲毎に、視野角特性が得られるように個別に設計されていても良い。
<光学補償板の作製方法>
図7は光学補償板104の製造手順を示すローチャートであり、図8は断面工程図である。以下に図7のフローチャートに基づき、図8の断面工程図を参照しながら作製手順を説明すると、
<工程1および工程1’>
図8(1)を参照し、先ず2枚の透明基板201を用意する。この透明基板201は、面の平滑性の観点から、各種無機材料よりなるガラスを好適に用いることができ、例えば、白板ガラス、青板ガラス、石英ガラス、アルカリフリーガラス、サファイアガラスなどから適宜選択して用いられる。透明基板201の厚みに特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上が好ましく、組込みのハンドリング性や機械的強度の観点から0.2mm〜2mmが好ましい。尚、これらの透明基板201は、透明絶縁性基板でも良いし、液晶セルの基板を兼ねる場合には、TFT素子などのスイッチング素子や透明電極が形成されていても良い。
図8(1)を参照し、先ず2枚の透明基板201を用意する。この透明基板201は、面の平滑性の観点から、各種無機材料よりなるガラスを好適に用いることができ、例えば、白板ガラス、青板ガラス、石英ガラス、アルカリフリーガラス、サファイアガラスなどから適宜選択して用いられる。透明基板201の厚みに特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上が好ましく、組込みのハンドリング性や機械的強度の観点から0.2mm〜2mmが好ましい。尚、これらの透明基板201は、透明絶縁性基板でも良いし、液晶セルの基板を兼ねる場合には、TFT素子などのスイッチング素子や透明電極が形成されていても良い。
<工程2および工程2’>
次に、透明基板201上に配向膜202を形成する。これらの配向膜202は、ポリイミドなどの光硬化型配向膜を用いて光配向処理されたものでも良く、ラビング処理によって形成されたものでも良く、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などによって塗布した膜に対して光配向処理またはラビング処理を行うことで形成する。また、尚、透明基板201が液晶セルの基板を兼ねる場合には、TFT素子や透明電極の形成面と反対側に配向膜202を塗布する。
次に、透明基板201上に配向膜202を形成する。これらの配向膜202は、ポリイミドなどの光硬化型配向膜を用いて光配向処理されたものでも良く、ラビング処理によって形成されたものでも良く、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などによって塗布した膜に対して光配向処理またはラビング処理を行うことで形成する。また、尚、透明基板201が液晶セルの基板を兼ねる場合には、TFT素子や透明電極の形成面と反対側に配向膜202を塗布する。
<工程3および工程3’>
その後、それぞれの透明基板201上に配向膜202を介して位相差層203を形成する。この際、配向膜202上に位相差層203の前駆体材料を塗布し、これを硬化させることにより位相差層203を形成する。位相差層203の構成材料としては、例えば熱硬化型の液晶ポリマーや光硬化型液晶ポリマーが用いられる。また、必要に応じて塗布時の膜厚を制御することにより、形成される各光学補償層203の膜厚を調整する。この塗布は、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などによって行われる。
その後、それぞれの透明基板201上に配向膜202を介して位相差層203を形成する。この際、配向膜202上に位相差層203の前駆体材料を塗布し、これを硬化させることにより位相差層203を形成する。位相差層203の構成材料としては、例えば熱硬化型の液晶ポリマーや光硬化型液晶ポリマーが用いられる。また、必要に応じて塗布時の膜厚を制御することにより、形成される各光学補償層203の膜厚を調整する。この塗布は、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などによって行われる。
尚、図3(a)および図3(b)を用いて説明したように、位相差層203や配向膜202を除去した部分に接着剤204を設ける場合には、図8(1)に示すように、少なくとも一方の透明基板201上において、配向膜202または位相差層203の形成工程においてこれらの形成部を制限するか、または形成後に配向膜202や位相差層203を部分的に除去する工程を行うこととする。
以上までの工程により、2枚の位相差板104a,104bを作製する。
<工程4>
図8(2)を参照し、位相差板104a,104bの少なくとも一方の周縁において、図4〜図5を用いて説明したように設定された位置に、接着剤204を塗布する。ここでは、ディスペンサーを用いて接着剤204を所定パターンに塗布しても良いし、スクリーン印刷法を適用してもよい。
図8(2)を参照し、位相差板104a,104bの少なくとも一方の周縁において、図4〜図5を用いて説明したように設定された位置に、接着剤204を塗布する。ここでは、ディスペンサーを用いて接着剤204を所定パターンに塗布しても良いし、スクリーン印刷法を適用してもよい。
この際、位相差層203の高さを越えるように、有る程度の粘度を有する接着剤204を塗布形成することが重要である。接着剤204は、紫外線硬化型アクリル樹脂を主成分とするもの、紫外線硬化型のエポキシ樹脂を主成分とするもの、フェノール樹脂系を主成分とするもの、熱硬化型のアミン系材料、カルボン酸系材料、さらには酸無水物系材料が用いられる。また、位相差層201の材料がアクリル系であるならば、接着剤204の材料もアクリル系を選定することが好ましい。尚、接着剤204の形成は、上述した周縁部であれば位相差板104a,104bの両方に形成しても良い。
また、図4(a)に示すように、光学補償板104の周縁部に接着剤204を連続的に設けて位相差板104a−104b間を封止状態とし、この空間部Aに空気以外の物質を封入した状態とする場合、本工程4においては、物質の注入口となる部分を除いた全周に接着剤204をパターン形成しておく。
<工程5>
図8(3)を参照し、位相差層203を対向させると共にそれぞれの配向膜202の配向方向が所定状態(例えば略直交)となるように、2枚の位相差板104a,104bを配置する。そして、2枚の位相差板104a,104bを互いに押し圧し、必要に応じて光照射や加熱を行うことによって接着剤204を硬化させる。これにより、2枚の位相差板104a−104b間を接着剤204で貼り合わせる。
図8(3)を参照し、位相差層203を対向させると共にそれぞれの配向膜202の配向方向が所定状態(例えば略直交)となるように、2枚の位相差板104a,104bを配置する。そして、2枚の位相差板104a,104bを互いに押し圧し、必要に応じて光照射や加熱を行うことによって接着剤204を硬化させる。これにより、2枚の位相差板104a−104b間を接着剤204で貼り合わせる。
尚、図4(a)に示すように、光学補償板104の周縁部に接着剤204を連続的に設けて位相差板104a−104b間を封止状態とし、この空間部Aに空気以外の物質を封入した状態とする場合、2枚の位相差板104a,104bを貼り合わせた後、接着剤204の注入口から水(H2O)や二酸化炭素(CO2)などの物質を注入し、次いで注入口を紫外線硬化樹脂により封止する手順を行うこととする。
以上により、図3を用いて説明した構成の光学補償板104を完成させる。
以上実施形態で説明した構成の光学補償板104によれば、2枚の位相差板104a,104bを貼り合わせるための接着剤204を、光学補償板104の周縁部のみとした構成である。
このため、接着剤204が表示光(投射光)に晒されることが抑えられ、光照射による接着剤204の劣化も防止され、また接着剤204が劣化した場合であっても表示に影響を与えることが抑えられる。
また上記光学補償板104の構成により、位相差板104a,104bと接着剤204との線膨張係数の差、より詳細には位相差板104a,104bを構成する各位相差層203と接着剤204との間の線膨張係数の差による応力の発生自体を抑えることができる。これにより、この応力による位相差層203における光軸の回転を防止することができる。
さらに、このような構成の光学補償板104においては、各位相差層203が、周縁部の接着剤204によって対向する位相差板104a,104bに固定された構成である。このため、各位相差板104a,104bにおいては、透明基板201と位相差層203との線膨張係数の差によって発生した応力が抑え込まれる。これにより、この応力による位相差層203における光軸の回転を防止することができる。
そして、以上のように応力による位相差層203における光軸の回転を防止することが可能になったことから、例えば強い光の照射による加熱条件下においても、複数枚の位相差層203間で光軸の関係を安定した状態に保つことができる。
したがって、2枚の位相差層203を備えた光学補償板104において、強い光の照射環境下での良好な光学補償特性を維持することが可能になる。また接着剤204の劣化を抑えて光学補償板104の超寿命化を図ることもできる。
また、液晶セル102における光学特性を補償するために、上記構成の光学補償板104を設けた液晶表示装置においては、使用環境によらずに液晶セル102の光学特性を安定的に補償することができ、コントラストのムラを防止して表示性能の向上を図ることが可能になる。特に、図1を用いて説明した液晶プロジェクタにおいては、さらなる高輝度化により、液晶セルおよび光学補償板に照射される投射光の光量が増大することが予想される。このため、光照射による加熱環境下においても、接着剤の劣化や位相差層の光軸の回転による光学補償特性の劣化が防止される本発明技術は、液晶プロジェクタの高コントラスト化、高品質化、さらには超寿命化に対して特に有効である。
尚、上述した実施形態においては、液晶セルがTNモードである場合を説明した。しかしながら、液晶セルの動作モードは、TNモードに限定されることはなく、VAモードを含むECBモードであっても良く、また反射型の液晶セルを用いた構成にも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。また、本発明は、異なる波長範囲の光を、液晶セルを備えた複数の光変調部によって変調して合成する構成であれば、投射型液晶プロジェクタだけでなく、直視型の液晶表示パネルにも同様に適用することが可能であり、同様の効果を得ることが可能である。
≪実施例−1≫
以下のようにして、接着剤の形成幅を因子とした各光学補償板を作製した(図7,8参照)。
以下のようにして、接着剤の形成幅を因子とした各光学補償板を作製した(図7,8参照)。
<工程1および工程1’>
位相差板に用いる透明基板201として、対角0.9インチの石英基板を用意し、純水にて洗浄後120℃で20分間乾燥させた。
位相差板に用いる透明基板201として、対角0.9インチの石英基板を用意し、純水にて洗浄後120℃で20分間乾燥させた。
<工程2および工程2’>
各透明基板201上に配向膜202を形成した。ここでは、ポリイミドからなる配向膜をスピンコート法により約50nmの厚さに塗布後、100℃で1分間乾燥させた。ポリイミドは、可溶性ポリイミド(JSR製)を用いた。その後、180℃で1時間ポストベークをおこない、溶媒を乾燥させた。次に、塗布した配向膜に対してビング処理をおこなった。ラビングはレーヨンバフを用いてラビング角度90°、ラビング数2回の条件でおこなった。ラビング後には、ラビングで使用した布のごみやポリイミドのカスなどを水により洗浄した。
各透明基板201上に配向膜202を形成した。ここでは、ポリイミドからなる配向膜をスピンコート法により約50nmの厚さに塗布後、100℃で1分間乾燥させた。ポリイミドは、可溶性ポリイミド(JSR製)を用いた。その後、180℃で1時間ポストベークをおこない、溶媒を乾燥させた。次に、塗布した配向膜に対してビング処理をおこなった。ラビングはレーヨンバフを用いてラビング角度90°、ラビング数2回の条件でおこなった。ラビング後には、ラビングで使用した布のごみやポリイミドのカスなどを水により洗浄した。
<工程3および工程3’>
配向膜202上に位相差層203を形成した。ここでは、配向膜202上にスピンコート法により光硬化型液晶ポリマーを約500nmの厚さに塗布後、70℃で60秒乾燥させた。その後、400nm以下の紫外線領域光を強度10mwで50秒露光し、次いで150℃で1時間ポストベークをおこない溶媒を乾燥させた。これにより、膜厚500nmの位相差層203を形成した。また、位相差板203の法線方向に対するリタデーションは50nmとなった。尚、位相差層203の膜厚は、電子顕微鏡を用い、50枚の抜き取り測定で確認を行った。
配向膜202上に位相差層203を形成した。ここでは、配向膜202上にスピンコート法により光硬化型液晶ポリマーを約500nmの厚さに塗布後、70℃で60秒乾燥させた。その後、400nm以下の紫外線領域光を強度10mwで50秒露光し、次いで150℃で1時間ポストベークをおこない溶媒を乾燥させた。これにより、膜厚500nmの位相差層203を形成した。また、位相差板203の法線方向に対するリタデーションは50nmとなった。尚、位相差層203の膜厚は、電子顕微鏡を用い、50枚の抜き取り測定で確認を行った。
<工程4>
以上のようにして作製した2枚の位相差板104a,104bのうちの一方における位相差層203上に、紫外線硬化型アクリル樹脂を主成分とする接着剤204のパターンを形成した。ここでは、ディスペンサーを用いて位相差板104aの周辺部に接着剤204をパターン形成した。接着剤204の幅は基板端部より50mm、30mm、10mm、5mmとした。また、接着剤204の層厚は10μmとした。
以上のようにして作製した2枚の位相差板104a,104bのうちの一方における位相差層203上に、紫外線硬化型アクリル樹脂を主成分とする接着剤204のパターンを形成した。ここでは、ディスペンサーを用いて位相差板104aの周辺部に接着剤204をパターン形成した。接着剤204の幅は基板端部より50mm、30mm、10mm、5mmとした。また、接着剤204の層厚は10μmとした。
尚、端部からの接着剤204の幅および膜厚は、電子顕微鏡を用い、50枚の抜き取り測定で確認を行った。
<工程5>
接着剤204を介して位相差板104a,104bの貼り合せを行った。ここでは位相差層203の光軸が直交する直交配向となるように各位相差板104a,104bを重ねて配置し、位相差板104a,104bを互いに押し圧した。その後、位相差板104a,104b間の周縁部に狭持された接着剤204に対して400nm以下の紫外線領域光を強度10mwで50秒露光し乾燥させた。また、このような作業を空気中にて行うことにより、位相差層203間の空間部を空気層とした。尚、接着剤204を介しての位相差板104a,104bの押し圧によっても、接着剤204の幅はほとんど変化しなかった。
接着剤204を介して位相差板104a,104bの貼り合せを行った。ここでは位相差層203の光軸が直交する直交配向となるように各位相差板104a,104bを重ねて配置し、位相差板104a,104bを互いに押し圧した。その後、位相差板104a,104b間の周縁部に狭持された接着剤204に対して400nm以下の紫外線領域光を強度10mwで50秒露光し乾燥させた。また、このような作業を空気中にて行うことにより、位相差層203間の空間部を空気層とした。尚、接着剤204を介しての位相差板104a,104bの押し圧によっても、接着剤204の幅はほとんど変化しなかった。
以上のようにして、接着剤204の幅を因子とした対角0.9インチの各光学補償板104を作製した。
尚、従来構成として、上記手順において、2枚の位相差板の全面に接着剤を塗布してこれらを貼り合わせた光学補償板も作製した。
<評価結果>
実施例−1の各光学補償板104および従来構成の光学補償板について、環境試験機を用いて、光量2000万lx、温度90℃、UVCF414nmにて加速試験を行った。この結果を図10に示す。図10においては、従来構成においての耐光性寿命時間を1とした場合の寿命改善率を、基板端部からの接着剤204の幅に対して示した。
実施例−1の各光学補償板104および従来構成の光学補償板について、環境試験機を用いて、光量2000万lx、温度90℃、UVCF414nmにて加速試験を行った。この結果を図10に示す。図10においては、従来構成においての耐光性寿命時間を1とした場合の寿命改善率を、基板端部からの接着剤204の幅に対して示した。
図10に示すように、接着剤の幅が基板端部より25mm以内であれば、寿命改善率が1.1以上となり、従来構成との比較において耐光性寿命の改善が見られた。また、接着剤の幅が基板端部より幅10mm以内であれば、対角0.9インチの光学補償板の基板端部より10mm以内の周縁領域には光が直接照射されることはなく、従来構成と比較して約1.5倍の高い寿命改善率が得られることが確認された。
≪実施例−2≫
以下のようにして、2枚の位相差板間の屈折率を因子とした各光学補償板を作製した。
以下のようにして、2枚の位相差板間の屈折率を因子とした各光学補償板を作製した。
実施例−1で説明した作製手順の<工程4>において、接着剤204をパターン形成する際、物質の注入口となる部分を除いた全周に接着剤204をパターン形成した。また、<工程5>において注入口から、各屈折率の下記材料を2枚の位相差板104a,104b間に注入し、次いで注入口を紫外線硬化樹脂により封止した。ただし、基板端部からの接着剤204の幅は、1mmとした。尚、これらの工程以外は、実施例−1と同様に行った。
屈折率1.0…空気、N2
屈折率1.3…H2O
屈折率1.5…ガラス
屈折率2.0…酸化タンタル、酸化ジルコニウム
屈折率1.0…空気、N2
屈折率1.3…H2O
屈折率1.5…ガラス
屈折率2.0…酸化タンタル、酸化ジルコニウム
<評価結果>
実施例−2の各光学補償板104を液晶セルに対向配置した光変調部を形成し、また液晶セルのみを用いた光変調部とを形成し、これらの光変調部についてコントラストを測定した。この結果を図11に示す。図11においては、液晶セルのみを用いた光変調部におけるコントラストを1とした場合のコントラスト改善率を、屈折率に対して示した。
実施例−2の各光学補償板104を液晶セルに対向配置した光変調部を形成し、また液晶セルのみを用いた光変調部とを形成し、これらの光変調部についてコントラストを測定した。この結果を図11に示す。図11においては、液晶セルのみを用いた光変調部におけるコントラストを1とした場合のコントラスト改善率を、屈折率に対して示した。
図11に示すように、2枚の位相差板間の屈折率が1〜2の範囲において、光学補償板を設けたことによるコントラスト改善の効果が得られている。また、屈折率1.5以下であれば、コントラスト改善率が1.5倍以上の大きな効果が得られることが確認された。
≪実施例−3≫
以下のようにして、位相差層のリタデーションを因子とした各光学補償板を作製した。
以下のようにして、位相差層のリタデーションを因子とした各光学補償板を作製した。
実施例−1で説明した作製手順の<工程3および工程3’>において、位相差層203の膜厚を調整することにより、リタデーションRth40nm、50nm、60nm、80nm、100nmの位相差層を形成した。尚、リタデーションRthは、大塚電子製RETS1200RFを用いて確認を行った。また、基板端部からの接着剤204の幅は、1mmとした。
実施例−3の各光学補償板104を液晶セルに対向配置した光変調部を形成し、液晶セルのみを用いた光変調部とを形成し、これらの光変調部についてコントラストを測定した。この結果を図12に示す。図12においては、液晶セルのみを用いた光変調部におけるコントラストを1とした場合のコントラスト改善率を、屈折率に対して示した。
図12に示すように、位相差層におけるリタデーションRthが、30〜80nmの範囲において、コントラスト改善率が1.5倍以上の大きな効果が得られることが確認された。
1…液晶表示装置、2…光源、102…液晶セル、104…光学補償板、104a,104b…位相差板、201…透明基板、203…位相差層、204…接着剤、B…有効透過エリア(透過領域)、h…投射光、φa,φb…光軸
Claims (7)
- 透明基板上に位相差層を設けてなる複数の位相差板が積層配置され、接着剤を介して当該複数の位相差板を貼り合わせてなる光学補償板において、
前記接着剤は、前記位相差板の周縁部のみに設けられている
ことを特徴とする光学補償板。 - 請求項1記載の光学補償板において、
前記接着剤は、当該光学補償板における表示光の透過領域よりも外側に設けられている
ことを特徴とする光学補償板。 - 請求項1記載の光学補償板において、
前記接着剤は、当該光学補償板の周縁部に不連続に設けられている
ことを特徴とする光学補償板。 - 請求項3記載の光学補償板において、
前記複数の位相差板は、当該位相差板を構成する位相差層の光軸が互いに所定の角度をなすように配置され、
前記接着剤は、前記透明基板と前記位相差層との線膨張係数の差によって生じる前記光軸の回転を面内において防止する位置に設けられている
ことを特徴とする光学補償板。 - 請求項3記載の光学補償板において、
前記接着剤は、前記光学補償板の四隅に設けられている
ことを特徴とする光学補償板。 - 液晶セルの一方の面側に光学補償板が設けられた液晶表示装置において、
前記光学補償板は、透明基板上に位相差層を設けてなる複数の位相差板が積層配置され、接着剤を介して当該複数の位相差板を貼り合わせてなるもので、当該接着剤が前記位相差板の周縁部のみに設けられている
ことを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項6記載の液晶表示装置において、
前記液晶セルおよび光学補償板に対して光を照射する光源を備え、
前記液晶セルおよび光学補償板を通過した光を表示する
ことを特徴とする液晶表示装置。
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JP2010169851A (ja) * | 2009-01-22 | 2010-08-05 | Seiko Epson Corp | 液晶表示装置及びプロジェクター |
JP2010169852A (ja) * | 2009-01-22 | 2010-08-05 | Seiko Epson Corp | 液晶表示装置及びプロジェクター |
US10928679B2 (en) | 2016-09-12 | 2021-02-23 | Sony Corporation | Optical compensation element, liquid crystal light valve assembly, and liquid crystal projector apparatus |
-
2006
- 2006-10-31 JP JP2006295181A patent/JP2008112004A/ja active Pending
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