JP2005336322A - 変性スチレン−フマレート樹脂、それを用いた物品、及びプラスチックの回収・再利用方法 - Google Patents

変性スチレン−フマレート樹脂、それを用いた物品、及びプラスチックの回収・再利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 スチレン−フマレート樹脂を架橋重合させて熱硬化性樹脂として再利用することが容易になる変性スチレン−フマレート樹脂を提供する。
【解決手段】 スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入して、変性スチレン−フマレート樹脂として用いる。不飽和結合の導入によって、ラジカル反応が可能となり、スチレンによって架橋重合させて、熱硬化性樹脂として再利用することが容易になる
【選択図】 なし

Description

本発明は、不飽和ポリエステル樹脂を分解・回収することによって得られるスチレン−フマレート樹脂を原料とする、変性スチレン−フマレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂組成物、成形品、シートモールディングコンパウンドに関するものであり、さらに不飽和ポリエステル樹脂を分解・回収するプラスチックの回収・再利用方法に関するものである。
浴槽等の浴室部材に使用される製品としては、FRPなど不飽和ポリエステル樹脂を材料とするものが多く用いられている。この不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性樹脂であるために、熱可塑性樹脂のように加熱溶融させることによって再成形して使用することができず、しかも一般に無機フィラーなどの無機物が7割ほど含有されているために自己燃焼させることが難しい。このように不飽和ポリエステル樹脂を材料とするFRPなどの廃棄物はリサイクルすることが非常に困難であり、現状では殆どが埋め立て処理されている。
一方、近時、強力な加水分解能力を有する亜臨界水を用いて、熱硬化性樹脂を分解する技術が提案されている。すなわち、熱硬化性樹脂を亜臨界水を反応溶媒として加水分解し、生成された低〜中分子化合物を回収して、樹脂原料として再利用するようにしたものである(例えば、特許文献1等参照)。
特開平10−024274号公報
ここで、最も一般的な不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸としてマレイン酸を用い、マレイン酸とグリコールとをエステル結合させた重合物である不飽和ポリエステルに、スチレンをラジカル反応させ、不飽和ポリエステルをスチレンで架橋重合することによって得られるものであるが、このような不飽和ポリエステル樹脂を加水分解する場合、不飽和ポリエステル樹脂を加水分解して生成されるマレイン酸の異性体であるフマル酸とスチレンとがそれぞれ二重結合によって付加重合して、構造式(1)に示すようなスチレン−フマレート樹脂が分解生成物として得られる。
Figure 2005336322
そしてこのスチレン−フマレート樹脂を回収することによって、不飽和ポリエステル樹脂をリサイクルに供することができるのであるが、式(1)にみられるように、スチレン−フマレート樹脂にはラジカル反応を可能とする二重結合の構造が残っていない。従って、このスチレン−フマレート樹脂はそのままでは架橋重合させることができず、熱硬化性樹脂として再利用することが容易ではないという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スチレン−フマレート樹脂を架橋重合させて熱硬化性樹脂として再利用することが容易になる変性スチレン−フマレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とするものであり、またこの変性スチレン−フマレート樹脂を用いて再生した成形品及びシートモールディングコンパウンドを提供することを目的とするものであり、さらに、不飽和ポリエステル樹脂の廃棄物を再生して得たスチレン−フマレート樹脂を熱硬化性樹脂として再利用できるようにしたプラスチックの回収・再利用方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る変性スチレン−フマレート樹脂は、スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入して成ることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物は、スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入した変性スチレン−フマレート樹脂と、スチレンと、不飽和ポリエステルと、ラジカル開始剤とを含有して成ることを特徴とするものである。
また請求項3の発明は、請求項2において、変性スチレン−フマレート樹脂は、フマレート構造部に不飽和結合を有するエポキシ化合物が付加反応して不飽和結合が導入されたものであることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る成形品は、請求項2又は3に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物が成形されたものであることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係るシートモールディングコンパウンドは、繊維マットに請求項2又は3に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物が含浸されたものであることを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係るプラスチックの回収・再利用方法は、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を亜臨界水で分解することによって生成されるスチレン−フマレート樹脂を回収し、このスチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入して変性スチレン−フマレート樹脂を調製すると共に、この変性スチレン−フマレート樹脂と、スチレンと、不飽和ポリエステルと、ラジカル開始剤を配合することによって不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し、この不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形することを特徴とするものである。
また請求項7の発明は、請求項6において、アルコールの存在下でスチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を有するエポキシ化合物を反応させることによって、変性スチレン−フマレート樹脂を調製することを特徴とするものである。
また請求項8の発明は、請求項7において、アルコールが炭素数4以上のアルコールであることを特徴とするものである。
また請求項9の発明は、請求項7又は8において、スチレン−フマレート樹脂に反応させる不飽和結合を有するエポキシ化合物の量を、エポキシ化合物のエポキシ基がスチレン−フマレート樹脂中のカルボキシル基の1/10当量〜1/2当量の範囲になるように設定することを特徴とするものである。
また請求項10の発明は、変性スチレン−フマレート樹脂を、不飽和ポリエステル樹脂組成物中10〜30質量%配合することを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る変性スチレン−フマレート樹脂によれば、フマレート構造部に導入された不飽和結合によって、ラジカル反応が可能となり、スチレンで架橋重合させて、熱硬化性樹脂として再利用することが容易になるものである。
本発明の請求項2に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物によれば、変性スチレン−フマレート樹脂を不飽和ポリエステルと共にスチレンで架橋重合させて不飽和ポリエステル樹脂の硬化物を得ることができるものであり、不飽和ポリエステル樹脂硬化物から回収したスチレン−フマレート樹脂を、不飽和ポリエステル樹脂の再生に用いて水平リサイクルが可能になるものである。
また請求項3の発明によれば、フマレート構造部のカルボキシル基にエポキシ化合物のエポキシ基を付加反応させることよって、スチレン−フマレート樹脂に不飽和結合を容易に導入することができるものである。
本発明の請求項4に係る成形品によれば、不飽和ポリエステル樹脂硬化物から回収したスチレン−フマレート樹脂を、不飽和ポリエステル樹脂の成形品の成形に用いて水平リサイクルが可能になるものである。
本発明の請求項5に係るシートモールディングコンパウンドによれば、不飽和ポリエステル樹脂硬化物から回収したスチレン−フマレート樹脂を、FRPの成形に用いて水平リサイクルが可能になるものである。
本発明の請求項6に係るプラスチックの回収・再利用方法によれば、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解して回収したスチレン−フマレート樹脂を用いて、不飽和ポリエステル樹脂組成物に水平リサイクルすることが可能になるものである。
また請求項7の発明によれば、フマレート構造部にエポキシ化合物を容易に反応させて付加することができ、スチレン−フマレート樹脂に不飽和結合を導入した変性スチレン−フマレート樹脂を容易に調製することができるものである。
また請求項8の発明によれば、高沸点のアルコールを使用することによって、スチレン−フマレート樹脂とエポキシ化合物との反応を加熱条件下で容易に行なうことができ、スチレン−フマレート樹脂に不飽和結合を導入した変性スチレン−フマレート樹脂を容易に調製することができるものである。
また請求項9の発明によれば、フマレート構造部に不飽和結合を導入するためのエポキシ化合物の使用量を適量に設定して、コスト上昇を抑制することができるものである。
また請求項10の発明によれば、変性スチレン−フマレート樹脂の使用量を適量に設定して、不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形性が低下することを防ぐことができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、不飽和二塩基酸としてマレイン酸を用い、マレイン酸とグリコールとをエステル結合させて得られる不飽和ポリエステルに、スチレンをラジカル反応させ、不飽和ポリエステルをスチレンで架橋重合することによって得られるものであり、スチレン−フマレート樹脂は、この不飽和ポリエステル樹脂の硬化物を、亜臨界水を反応溶媒として加水分解することによって得ることができる。
この不飽和ポリエステル樹脂の硬化物としては、浴室部材などの製品の廃棄物を用いることができるものであり、200〜280℃、1〜7MPaの温度・圧力条件を、1〜12時間維持することによって、亜臨界状態の水で不飽和ポリエステル樹脂硬化物を加水分解することができる。このように不飽和ポリエステル樹脂を亜臨界水を反応溶媒として加水分解すると、グリコール、マレイン酸の異性体であるフマル酸、スチレンなどのモノマーあるいはオリゴマーに分解されるが、フマル酸とスチレンとがラジカル反応し、それぞれの二重結合によってフマル酸とスチレンが付加重合して、既述の構造式(1)のようなスチレン−フマレート樹脂が分解生成物として得られるものである。このスチレン−フマレート樹脂は反応液中に沈殿するので、沈殿物を濾過して分離することによって、スチレン−フマレート樹脂を回収することができるものである。式(1)においてmとnの数値は一定のものではないが、m=1〜3程度、n=3〜300程度であり、また式(1)の両末端はHである。
そして本発明に係る変性スチレン−フマレート樹脂は、上記のように不飽和ポリエステル樹脂の廃棄物を分解して回収されたスチレン−フマレート樹脂を用い、このスチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部(フマール酸単位の部分)に不飽和結合を導入することによって、得ることができるものである。フマレート構造部に不飽和結合を導入するにあたっては、不飽和結合を有するエポキシ化合物を用い、このエポキシ化合物のエポキシ基をフマレート構造部のカルボキシル基に反応させ、フマレート構造部に不飽和結合を有するエポキシ化合物を付加反応させることによって、行なうことができる。
式(2)は、不飽和結合を有するエポキシ化合物としてメタクリル酸グリシジルを用い、スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部にメタクリル酸グリシジルを付加反応させて不飽和結合を導入するようにした例を示すものであり、不飽和結合を有するエポキシ化合物としては、メタクリル酸グリシジル(式3)の他に、アリルグリシジルエーテル(式4)、1,2−エポキシ−9−デセン(式5)などを用いることができる。スチレン−フマレート樹脂に対する不飽和結合を有するエポキシ化合物の付加反応量は特に限定されるものではないが、スチレン−フマレート樹脂のカルボキシル基1当量に対して、エポキシ化合物のエポキシ基が1/10〜1/2当量の範囲になるように調整するのが好ましい。スチレン−フマレート樹脂のカルボキシル基に対してエポキシ化合物のエポキシ基が1/10当量未満であると、不飽和結合の導入が不十分になり、変性スチレン−フマレート樹脂をリサイクルした成形品の物性に問題が生じるおそれがある。逆に1/2当量を超えると、エポキシ化合物が過剰になり、コストアップの原因となる。
Figure 2005336322
Figure 2005336322
スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を有するエポキシ化合物を付加反応させるにあたっては、スチレン−フマレート樹脂とエポキシ化合物とをアルコール存在下で加熱することによって行なうことができる。スチレン−フマレート樹脂を回収する際に、残存あるいは付着している水分等を除去するために加熱することが行なわれるが、この加熱によって一部のフマレート構造部のカルボキシル基が酸無水物化してしまうので、アルコールの存在下加熱することによって、酸無水物を開環させ、カルボキシル基に対するエポキシ化合物の付加反応を効率高く行なうことができるものである。
このアルコールとしては、一般式が
2n+1OH (6)
で表される脂肪族飽和アルコールを用いることができるものであり、式6において炭素数n≧4のアルコールが好ましく、沸点が100℃〜200℃のものが好ましい。高沸点の炭素数n≧4のアルコールを用いることによって、スチレン−フマレート樹脂とエポキシ化合物とをアルコール存在下で反応させる際に、加熱を行なって反応を効率高く行なうことが可能になるものである。このような炭素数n≧4のアルコールとしては、例えば、ブタノール、ペンタノール等を例示することができる。nの上限は特に設定されないが、一般的にはnは7以下である。そして、スチレン−フマレート樹脂とエポキシ化合物をそれぞれアルコールに溶解し、70〜130℃の温度で1〜8時間反応させることによって、スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部にエポキシ化合物を付加反応させて不飽和基を導入した変性スチレン−フマレート樹脂を得ることができるものである。スチレン−フマレート樹脂とエポキシ化合物の配合量は、スチレン−フマレート樹脂100質量部に対してエポキシ化合物5〜30質量部の範囲が好ましく、アルコールの配合量は、スチレン−フマレート樹脂100質量部に対して10〜40質量部の範囲が好ましい。
この変性スチレン−フマレート樹脂はフマレート構造部に不飽和結合を有するのでラジカル反応が可能であり、スチレンのような不飽和結合を有する架橋用単量体をラジカル重合反応させ、変性スチレン−フマレート樹脂を架橋用単量体で架橋して硬化させることができるものである。
またこの変性スチレン−フマレート樹脂を不飽和ポリエステルに配合して不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製することができる。不飽和ポリエステルはバージンのもの、あるいは不飽和ポリエステル樹脂硬化物を加水分解したモノマーから調製したものを用いることができるものであり、マレイン酸などの不飽和二塩基酸とグリコールとをエステル結合させて得られる不飽和ポリエステルを用いることができる。そして、変性スチレン−フマレート樹脂、スチレン、不飽和ポリエステル、及びラジカル開始剤、さらに必要に応じて炭酸カルシウムなどの無機質充填剤やその他の成分を配合して混合することによって、不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製することができるものである。
変性スチレン−フマレート樹脂の配合量は不飽和ポリエステル樹脂組成物の全量に対して、10〜30質量%の範囲になるように設定するのが好ましい。変性スチレン−フマレート樹脂の配合量が30質量%を超えると、調製した不飽和ポリエステル樹脂組成物のワニスの粘度が高くなり、成形性に問題が生じるおそれがある。変性スチレン−フマレート樹脂の配合量が10質量未満では、変性スチレン−フマレート樹脂のリサイクル効率を十分に得ることができない。
また不飽和ポリエステルの配合量は不飽和ポリエステル樹脂組成物の全量に対して35〜50質量%の範囲、スチレンの配合量は不飽和ポリエステル樹脂組成物の全量に対して35〜50質量%の範囲、ラジカル開始剤の配合量は不飽和ポリエステル樹脂組成物の全量に対して0.5〜2質量%の範囲が好ましい。ラジカル開始剤としては、不飽和ポリエステル樹脂用に一般的に用いられているものを使用することができるものであり、特に限定されるものではないが、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート等を例示することができる。ラジカル開始剤の配合量が0.5質量%未満であると反応が遅くなり、逆に2質量%を超えると反応が速くなり過ぎて反応制御が困難になる。
このように調製される不飽和ポリエステル樹脂組成物は、射出成形法、トランス成形法、圧縮成形法など任意の方法で形成することによって、成形品を製造することができる。
また上記のように調製される不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維マットに含浸させることによって、シートモールディングコンパウンドを作製することができる。この繊維マットとしては、ガラス繊維など任意のものを用いることができるものであり、例えばガラス繊維のロービングを切断したチョップトストランドを堆積した繊維マットに不飽和ポリエステル樹脂を均一な厚さに供給し、これを2枚の支持フィルムの間に挟み込んでシート状にすることによって、シートモールディングコンパウンドを作製することができるものである。そしてこのシートモールディングコンパウンドを金型にセットして加熱加圧成形することによって、浴槽や浴室防水パンなど浴室部材の製品として使用される繊維強化プラスチック(FRP)を製造することができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
分解して回収する不飽和ポリエステル樹脂として、グリコールとしてプロピレングリコール、不飽和二塩基酸として無水マレイン酸を用い、これらを等モル量で縮重合させて合成した重量平均分子量4000〜5000の不飽和ポリステルのワニス(溶媒なし)に、スチレンと、ラジカル開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドと、無機充填剤として炭酸カルシウムを、不飽和ポリエステル1に対して1:0.02:2の質量比で配合し、これを硬化させて得られたものを用いた。
上記の不飽和ポリエステル樹脂の硬化物3gと、純水15gを反応管に仕込み、内部をアルゴンガスで置換して密閉封入した。そしてこの反応管を230℃の恒温槽に浸漬し、水を亜臨界状態にして、反応分解を4時間行なった。この後、反応管の内容物を濾過により分離し、得られた水可溶成分を塩酸で中和させることによってスチレン−フマレート樹脂を沈殿させ、沈殿物を濾別することによって、1gのスチレン−フマレート樹脂を回収した。
この不飽和ポリエステル樹脂の硬化物の加水分解、スチレン−フマレート樹脂の回収の作業を繰り返して実施することによって、スチレン−フマレート樹脂を30g回収した。そしてこのスチレン−フマレート樹脂30gをジメチルスルホキシド15gに溶解し、これにアルコールとして1−ブタノール10gを加え、1時間放置した。さらにこれに不飽和基を有するエポキシ化合物としてメタクリル酸グリシジル2gを加え、100℃で2時間反応させた。この後に、反応生成物を水洗して乾燥することによって、スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入した変性スチレン−フマレート樹脂の白色粉末30gが得られた
次に、上記の重量平均分子量4000〜5000の不飽和ポリステルのワニスと、スチレンと、ラジカル開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドと、無機充填剤として炭酸カルシウムを、不飽和ポリエステル1に対して1:0.02:2の質量比で配合し、さらに組成物全量に対して20質量%になるように変性スチレン−フマレート樹脂を配合し、混合することによって不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。
(比較例1)
実施例1と同様にして、不飽和ポリエステル樹脂の硬化物を亜臨界水で分解反応してスチレン−フマレート樹脂を回収した。そしてこのスチレン−フマレート樹脂を変性せずに用い、実施例1と同様にして不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。
上記の実施例1及び比較例1で得た不飽和ポリエステル樹脂組成物を常温で1時間硬化させた後、100℃で2時間加熱して硬化させることによって、実施例1及び比較例1の成形品を得た。
また比較のために、上記の重量平均分子量4000〜5000の不飽和ポリステルのワニスと、スチレンと、ラジカル開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドと、無機充填剤として炭酸カルシウムを、不飽和ポリエステル1に対して1:0.02:2の質量比で配合したバージンの不飽和ポリエステル樹脂組成物を同様に成形して、基準例の成形品を得た。
これらの基準例、実施例1、実施例2の硬化成形品について、外観の観察を行ない、また反応率、曲げ弾性率、曲げ強度、アイゾット衝撃値を測定した。結果を表1に示す。
反応率は、硬化成形品を室温雰囲気でテトラヒドロフラン(THF)に5時間浸漬し、THFに抽出される未反応物量から算出した。
曲げ弾性率と曲げ強度の試験は、JIS−K7017に準拠して、試験片寸法:厚さ2mm×幅12mm×長さ80mm、支点間距離:50mm、試験速度:2mm/minの条件で行ない、試験片中央の圧子の変位に伴なう強度を計測し、変位と強度の直線関係が成り立つ弾性率を求め、降伏点での強度から曲げ強さを求めた。
アイゾット衝撃強度の試験は、JIS−K7062に準拠して、厚さ2mm×幅12mm×長さ80mmの寸法の試験片を用いて行ない、試験片の片側を固定した後、ハンマーで打撃して、破断に要したエネルギーよりアイゾット衝撃強度を求めた。
Figure 2005336322
変性しないスチレン−フマレート樹脂を用いた比較例1の成形品は、多数のクラックが発生するものであり(従って物性試験はできない)、また反応率が低くTHFに未反応物としてスチレン−フマレート樹脂が抽出されるので、耐溶剤性の観点からも、再利用することは実用上困難であった。一方、不飽和結合を導入した変性スチレン−フマレート樹脂を用いた実施例1の成形品は、外観に問題はなく、反応率が高く、また物性も良好であり、回収品ではないバージンの不飽和ポリエステル樹脂の成形品である基準例のものと、全く遜色がないことが確認された。

Claims (10)

  1. スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入して成ることを特徴とする変性スチレン−フマレート樹脂。
  2. スチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入した変性スチレン−フマレート樹脂と、スチレンと、不飽和ポリエステルと、ラジカル開始剤とを含有して成ることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  3. 変性スチレン−フマレート樹脂は、フマレート構造部に不飽和結合を有するエポキシ化合物が付加反応して不飽和結合が導入されたものであることを特徴とする請求項2に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物が成形されたものであることを特徴とする成形品。
  5. 繊維マットに請求項2又は3に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物が含浸されたものであることを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
  6. 不飽和ポリエステル樹脂硬化物を亜臨界水で分解することによって生成されるスチレン−フマレート樹脂を回収し、このスチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を導入して変性スチレン−フマレート樹脂を調製すると共に、この変性スチレン−フマレート樹脂と、スチレンと、不飽和ポリエステルと、ラジカル開始剤を配合することによって不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し、この不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形することを特徴とするプラスチックの回収・再利用方法。
  7. アルコールの存在下でスチレン−フマレート樹脂のフマレート構造部に不飽和結合を有するエポキシ化合物を反応させることによって、変性スチレン−フマレート樹脂を調製することを特徴とする請求項6に記載のプラスチックの回収・再利用方法。
  8. アルコールが炭素数4以上のアルコールであることを特徴とする請求項7に記載のプラスチックの回収・再利用方法。
  9. スチレン−フマレート樹脂に反応させる不飽和結合を有するエポキシ化合物の量を、エポキシ化合物のエポキシ基がスチレン−フマレート樹脂中のカルボキシル基の1/10当量〜1/2当量の範囲になるように設定することを特徴とする請求項7又は8に記載のプラスチックの回収・再利用方法。
  10. 変性スチレン−フマレート樹脂を、不飽和ポリエステル樹脂組成物中10〜30質量%配合することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のプラスチックの回収・再利用方法。
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