JP2008291188A - 熱硬化性樹脂の分解・回収方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂の分解・回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亜臨界水による熱硬化性樹脂の分解生成物の液分に強酸を加えてスチレン−フマル酸共重合体を析出させる工程を要することなく、分解生成物の固形分として直接にスチレン−フマル酸共重合体を析出させることができ、しかも、効率よくスチレン−フマル酸共重合体を回収可能な熱硬化性樹脂の分解・回収方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂を、実質的にアルカリを含有しない亜臨界水で分解する工程(A)と、得られた分解生成物を固液分離して、スチレン−フマル酸共重合体を含有する固形分を回収する工程(B)と、回収した固形分を、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒に接触させて、スチレン−フマル酸共重合体を当該溶媒に溶解して回収する工程(C)とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂を亜臨界水で分解してスチレン−フマル酸共重合体を回収する熱硬化性樹脂の分解・回収方法に関するものである。
従来、プラスチック廃棄物はそのほとんどが埋立処分あるいは焼却処分されており、資源として有効活用されていなかった。また、埋立処分では、埋立用地の確保が困難であることや埋立後の地盤が不安定化するといった問題点があり、一方、焼却処分では、炉の損傷、有機ガスや悪臭の発生、COの発生といった問題点があった。
そのため、平成7年に容器包装廃棄法が制定され、プラスチックの回収再利用が義務付けられるようになった。さらに、各種リサイクル法の施行にともない、プラスチックを含む製品の回収リサイクルの流れは加速する傾向にある。
これらの状況に合わせて、近年、プラスチック廃棄物を再資源化することが試みられており、その一つとして、超臨界水または亜臨界水を反応媒体としてプラスチックを分解・回収する方法が提案されている(特許文献1〜5参照)。
しかしながら、これらの方法ではプラスチックがランダムに分解されるために、一定品質の分解生成物を得ることが困難であった。
この問題点を解決する技術として、多価アルコールと多塩基酸からなるポリエステルを架橋剤で架橋した熱硬化性樹脂を、亜臨界水を用いて熱硬化性樹脂の熱分解温度未満で分解させることで、熱硬化性樹脂の原料として再利用できるモノマーと共に、架橋剤と多塩基酸の共重合体(スチレン−フマル酸共重合体)を得る技術が提案されている(特許文献6参照)。
特表昭56−501205号公報 特開昭57−4225号公報 特開平5−31000号公報 特開平6−279762号公報 特開平10−67991号公報 国際公開WO2005/092962号パンフレット
しかしながら、この方法ではスチレン−フマル酸共重合体を得ることはできるものの、触媒量のアルカリを含有する亜臨界水で熱硬化性樹脂を分解しているため、分解反応により生成したスチレン−フマル酸共重合体は塩として水溶液中に溶解した状態で存在する。そのため、スチレン−フマル酸共重合体を回収するためには、この水溶液に強酸を加えて酸性水溶液とし、スチレン−フマル酸共重合体を析出させる工程がさらに必要になる。
また、スチレン−フマル酸共重合体を回収した後の水溶液は、樹脂原料等として再利用可能なモノマー成分である多価アルコールと多塩基酸を含有しているが、この水溶液は上記の強酸や触媒のアルカリをさらに含有しているため、多価アルコールと多塩基酸の再利用や廃水処理の際に、上記の強酸や触媒のアルカリに対処するための処置が必要になるという問題点があった。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、亜臨界水による熱硬化性樹脂の分解生成物の液分に強酸を加えてスチレン−フマル酸共重合体を析出させる工程を要することなく、分解生成物の固形分として直接にスチレン−フマル酸共重合体を析出させることができ、しかも、効率よくスチレン−フマル酸共重合体を回収可能な熱硬化性樹脂の分解・回収方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の熱硬化性樹脂の分解・回収方法は、ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂を、実質的にアルカリを含有しない亜臨界水で分解する工程(A)と、得られた分解生成物を固液分離して、スチレン−フマル酸共重合体を含有する固形分を回収する工程(B)と、回収した固形分を、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒に接触させて、スチレン−フマル酸共重合体を当該溶媒に溶解して回収する工程(C)とを含むことを特徴とする。
第2に、上記第1の熱硬化性樹脂の分解・回収方法において、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒は、アセトンであることを特徴とする。
第3に、上記第1または第2の熱硬化性樹脂の分解・回収方法において、工程(A)において、熱硬化性樹脂と炭酸カルシウムとを含有する熱硬化性樹脂組成物を亜臨界水で分解し、工程(B)において、得られた分解生成物を固液分離して、スチレン−フマル酸共重合体と炭酸カルシウムとを含有する固形分を回収すると共に、当該固形分を、炭酸カルシウムと反応して水溶性カルシウム塩を生成する酸および水と混合して炭酸カルシウムを水に溶解させた後、固液分離して固形分を回収することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、実質的にアルカリを含有しない亜臨界水で熱硬化性樹脂を分解しているので、分解生成物の固形分として、すなわち水不溶成分としてスチレン−フマル酸共重合体が析出する。したがって、アルカリ存在下で分解を行う場合のように強酸を加えてスチレン−フマル酸共重合体を析出させる追加の工程を要することなく、簡便にスチレン−フマル酸共重合体を固形分として分離することができる。
また、回収液分である、多価アルコールと多塩基酸を含有する水溶液は、上記の強酸や触媒のアルカリを含有していないため、これらのモノマー成分の再利用や廃水処理が容易になる。
さらに、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒を用いて、分解生成物の固形分からスチレン−フマル酸共重合体を溶解させて回収するようにしたので、分解生成物に無機物や未分解の熱硬化性樹脂を含有していても、スチレン−フマル酸共重合体を効率よく回収することができる。
上記第2の発明によれば、分解生成物の固形分からスチレン−フマル酸共重合体を溶解させる溶媒としてアセトンを用いたので、上記第1の発明の効果に加え、スチレン−フマル酸共重合体を特に効率よく回収することができる。
上記第3の発明によれば、亜臨界水による分解生成物を固液分離して得た固形分から、酸を用いて炭酸カルシウムを水に溶解させるようにしたので、上記第1および第2の発明の効果に加え、分解しようとする熱熱硬化性樹脂組成物に炭酸カルシウムを含有していても、スチレン−フマル酸共重合体を効率よく回収することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明において分解・回収の対象となる熱硬化性樹脂は、ポリエステルを架橋して得られたものであり、ポリエステル部とその架橋部を含むものである。
ポリエステル部は、多価アルコールと多塩基酸とを重縮合させることにより多価アルコール残基と多塩基酸残基とがエステル結合を介して互いに連結したポリエステルに由来する。ポリエステル部は、不飽和多塩基酸に由来する二重結合を含んでいてもよい。
架橋部は、ポリエステル部を架橋する部分である。架橋部は、たとえば架橋剤に由来する部分であるが、特に限定されない。架橋部は、1個の架橋剤に由来する部分であってもよく、複数の架橋剤が重合したオリゴマーまたはポリマーに由来する部分であってもよい。また、架橋部とポリエステル部の結合位置および結合様式も特に限定されない。
したがって、「ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂」とは、多価アルコールと多塩基酸から得られるポリエステルが架橋部を介して架橋された網状の熱硬化性樹脂(網状ポリエステル樹脂)である。このような熱硬化性樹脂としては、本発明を適用したときに上記した効果を得ることができるものであれば、いかなる態様の樹脂であってもよい。すなわち、樹脂の種類と構造、架橋部(架橋剤)の種類、量および架橋度などに制限はない。
本発明が適用される熱硬化性樹脂は、主として加熱等により硬化(架橋)された樹脂であるが、本発明を適用したときに上記した効果を得ることができるものであれば、加熱等により硬化(架橋)が進行する未硬化の樹脂または部分的に硬化された樹脂であってもよい。
また、本発明において「熱硬化性樹脂組成物」とは、上記の熱硬化性樹脂と、炭酸カルシウム等の無機充填材や、ロービングを切断したチョップドストランド等のガラス繊維などの他の成分とを含有するものを意味する。
本発明が好適に適用される熱硬化性樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸からなる不飽和ポリエステルが架橋剤により架橋された網状ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル部の原料である多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類などが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
ポリエステル部の原料である多塩基酸の具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和二塩基酸などが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。また、無水フタル酸などの飽和多塩基酸を不飽和多塩基酸と併用してもよい。
多価アルコールと多塩基酸の共重合体であるポリエステルを架橋する架橋剤には、スチレンが必須成分として含まれるが、その他、メタクリル酸メチル等の重合性ビニルモノマーなど、他の架橋剤を併用してもよい。
本発明では、以下の工程(A)〜(C)により、上記の熱硬化性樹脂を分解してスチレン−フマル酸共重合体を回収する。以下に、図1のフローチャートを参照しながら本発明の方法を工程順に説明する。
最初に、熱硬化性樹脂を、実質的にアルカリを含有しない亜臨界水中で分解する(工程(A))。ここで、「実質的にアルカリを含有しない」とは、分解反応の触媒として作用するアルカリ金属水酸化物等のアルカリを、少なくとも触媒としての有効量を超えて含有しないことを意味し、分解により得られるスチレン−フマル酸共重合体が塩として水中に溶解せずにそのほぼ全てがスチレン−フマル酸共重合体として存在する条件を意味する。したがって、熱硬化性樹脂に由来して溶出される可能性のあるごく微量のアルカリの存在等は許容される。
この工程では、実質的にアルカリを含有しない中性の水を熱硬化性樹脂に加え、温度と圧力を上昇させて水を亜臨界状態にして熱硬化性樹脂を分解する。熱硬化性樹脂に対する水の添加量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは200〜500質量部の範囲である。
亜臨界水によるプラスチックの分解処理は、一般的に熱分解反応および加水分解反応によって起こるものであり、多価アルコールと多塩基酸を含む原料により製造された熱硬化性のプラスチックにおいても同様であるが、加水分解反応が支配的になる。亜臨界水の温度や圧力を適切な条件とすることにより、選択的に加水分解反応が起こり、多価アルコールと多塩基酸のモノマーあるいはこれらが複数個結合したオリゴマーに分解される。
したがって、本発明においても、上記の熱硬化性樹脂を亜臨界水に接触させて処理することにより、多価アルコールと多塩基酸およびスチレン−フマル酸共重合体に分解することができる。
本発明において「亜臨界水」とは、水の温度が水の臨界点(臨界温度374.4℃、臨界圧力22.1MPa)以下であって、かつ、温度が140℃以上(この場合、イオン積が常温の約100倍になり、水の誘電率が常温の約50%下がることから、加水分解が促進されて熱硬化性樹脂をモノマー化することができる)、その時の圧力が0.36MPa(140℃の飽和蒸気圧)以上の範囲にある状態の水をいう。
本発明において、分解反応時における亜臨界水の温度は、分解・回収の対象である熱硬化性樹脂の熱分解温度未満であり、好ましくは180〜300℃の範囲である。分解反応時の温度が180℃未満であると、分解処理に多大な時間を要するため処理コストが高くなる場合があり、さらにスチレン−フマル酸共重合体の収率が低くなる傾向がある。分解反応時の温度が300℃を超えると、スチレン−フマル酸共重合体の熱分解が著しくなり、スチレン−フマル酸共重合体が低分子化されて多種多様なスチレン誘導体が生成され、スチレン−フマル酸共重合体として回収することが困難になる傾向がある。
亜臨界水による処理時間は、反応温度などの条件によって異なるが、通常は1〜4時間である。分解反応時における圧力は、反応温度などの条件によって異なるが、好ましくは2〜15MPaの範囲である。
以上のように、実質的にアルカリを含有しない状態で熱硬化性樹脂を分解することで、分解反応により生成したスチレン−フマル酸共重合体は、水不溶成分として析出し、熱硬化性樹脂組成物に含まれる他の無機物や、未分解の熱硬化性樹脂とともに固形分として回収される。一方、分解反応により生成したポリエステル由来のモノマー(多価アルコールと多塩基酸)は、水可溶成分としてスチレン−フマル酸共重合体等の固形分と分離される。
次に、図1にも示すように、得られた分解生成物を固液分離して、スチレン−フマル酸共重合体を含有する固形分を回収する(工程(B))。
具体的には、亜臨界水と分解生成物を含む反応容器を冷却した後、濾過等の方法で容器の内容物を固液分離する。これにより、スチレン−フマル酸共重合体は、熱硬化性樹脂組成物に含まれていた他の無機物、たとえば炭酸カルシウム、ガラス繊維や、未分解の熱硬化性樹脂などと共に固形分として分離される。
一方、モノマー成分である多価アルコールと多塩基酸を溶解している水溶液が分離濾液として分離される。この分離濾液は、多価アルコールと多塩基酸を含有したまま亜臨界水として他の熱硬化性樹脂の分解に再利用することができる。しかも、繰り返し再利用することで、それぞれの分解反応時に生成する多価アルコールと多塩基酸を順次水溶液中に溶解させて、多価アルコールと多塩基酸を高濃度で回収することも可能である。
次に、図1にも示すように、工程(B)で回収した固形分をアセトン等の溶媒に接触させて固形分のスチレン−フマル酸共重合体を溶解させ、スチレン−フマル酸共重合体を回収する(工程(C))。
具体的には、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒を上記固形分に供給し、これにより、スチレン−フマル酸共重合体を固形分中の他の無機物や未分解の熱硬化性樹脂から分離する。
たとえば溶媒としてアセトンを用いた場合には、上記固形分をアセトンに浸漬させ、攪拌させながら加熱した後、固液分離する。アセトンに溶解して回収したスチレン−フマル酸共重合体は、改質処理した後、熱硬化性樹脂の低収縮材等として再利用することができる。
分解生成物の固形分からスチレン−フマル酸共重合体を溶解させるために用いられる溶媒としては、分解生成物の固形分中のスチレン−フマル酸共重合体に対して高い溶解度を示す有機溶媒が用いられる。このような溶媒の具体例としては、アセトンを挙げることができる。
さらに本発明では、分解・回収の対象が炭酸カルシウムを含有する熱硬化性樹脂組成物である場合には、工程(A)において熱硬化性樹脂組成物を亜臨界水で分解した後、工程(B)において、得られた分解生成物を固液分離してスチレン−フマル酸共重合体と炭酸カルシウムとを含有する固形分を回収し、さらに、当該固形分を、炭酸カルシウムと反応して水溶性カルシウム塩を生成する酸および水と混合して炭酸カルシウムを水に溶解させた後、固液分離して固形分を回収するようにしてもよい。この工程を含む本発明のフローチャートを図2に示す。
具体的には、図2にも示すように、亜臨界水による分解生成物を固液分離して回収した固形分に、塩酸等を加えて固形分中の炭酸カルシウムを水溶性カルシウム塩として水中に溶解させる。使用する酸としては、水溶性カルシウム塩を生成させるものであれば、塩酸以外のものであってもよい。
その後、工程(C)として、回収した固形分を上記したアセトン等の溶媒に浸漬してスチレン−フマル酸共重合体を当該溶媒に溶解させることで、スチレン−フマル酸共重合体を回収することができる。
このように、スチレン−フマル酸共重合体と炭酸カルシウムを含有する固形分から酸を用いて炭酸カルシウムを除去することにより、分解しようとする熱硬化性樹脂組成物に炭酸カルシウムを含有していても、図1に示す方法と比較して、さらに高い収率でスチレン−フマル酸共重合体を回収することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびジプロピレングリコールからなるグリコール類と、無水マレイン酸とを等モル量で重縮合させて不飽和ポリエステルを合成した。この不飽和ポリエステルのワニス(溶剤未添加)に架橋剤のスチレンを等モル量配合した液状樹脂100質量部に、炭酸カルシウム165質量部とガラス繊維90質量部を配合し、これを硬化させて不飽和ポリエステル樹脂成形品(以下、「熱硬化性樹脂」という。)を得た。
この熱硬化性樹脂4gと、純水16gを図3に示す反応管1に仕込み、内部をアルゴンガスで置換して密閉封入した。反応管1を230℃の恒温槽2に浸漬し、反応管1内の純水を亜臨界状態にして8時間浸漬したまま放置し、熱硬化性樹脂の分解処理を行った。
その後、反応管1を恒温槽2から取り出して冷却槽3に浸漬し、反応管1を急冷して室温まで戻した。分解処理後の反応管1の内容物は、水可溶成分と未可溶樹脂残渣と炭酸カルシウムとガラス繊維であり、反応管1の内容物を濾過することにより固形分を分離して回収した。
そして、熱硬化性樹脂の分解率を下記式により算出した。
分解率(%)=(分解前の熱硬化性樹脂の量−分解後に残った熱硬化性樹脂の量)/(分解前の熱硬化性樹脂の量)×100
次に、回収した固形分をアセトン20mlに浸漬させて2時間攪拌させた後、濾過することにより、アセトン溶解物とアセトン未溶解物に分離した。アセトン溶解物の重量を測定し、スチレン−フマル酸共重合体の回収率を下記式により算出した。
回収率(%)=(アセトン溶解物の量)/(熱硬化性樹脂に含有するスチレン−フマル酸共重合体の量)×100
試験条件、熱硬化性樹脂の分解率、スチレン−フマル酸共重合体の回収率等の結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、亜臨界水による分解後に回収した固形分をアセトンに浸漬させる前に、この固形分を塩酸に浸漬させて固形分中の炭酸カルシウムを溶解させた。それ以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、スチレン−フマル酸共重合体を回収した。試験条件、熱硬化性樹脂の分解率、スチレン−フマル酸共重合体の回収率等の結果を表1に示す。
<実施例3>
熱硬化性樹脂の分解温度を280℃、分解時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、スチレン−フマル酸共重合体を回収した。試験条件、熱硬化性樹脂の分解率、スチレン−フマル酸共重合体の回収率等の結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、熱硬化性樹脂の分解温度を280℃、分解時間を4時間に変更し、さらに、亜臨界水による分解後に回収した固形分をアセトンに浸漬させる前に、この固形分を塩酸に浸漬させて固形分中の炭酸カルシウムを溶解させた。それ以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、スチレン−フマル酸共重合体を回収した。試験条件、熱硬化性樹脂の分解率、スチレン−フマル酸共重合体の回収率等の結果を表1に示す。
<実施例5>
亜臨界水による分解後に回収した固形分を、アセトンに代えてメタノール20mlに浸漬させて2時間攪拌した後、濾過することにより、メタノール溶解物とメタノール未溶解物に分離した。それ以外は実施例1と同様の条件で試験を行い、スチレン−フマル酸共重合体を回収した。試験条件、熱硬化性樹脂の分解率、スチレン−フマル酸共重合体の回収率等の結果を表1に示す。
Figure 2008291188
表1の結果より、実施例1〜5では、アルカリを含有しない亜臨界水で熱硬化性樹脂を分解することによりスチレン−フマル酸共重合体が水不溶成分として得られ、回収溶媒を用いてスチレン−フマル酸共重合体を回収できることが示された。特に、回収溶媒としてアセトンを用いた実施例1〜4の場合には、高い収率でスチレン−フマル酸共重合体を回収でき、さらに実施例2,4では、固形分をアセトンに浸漬させる前に、この固形分を塩酸に浸漬させて固形分中の炭酸カルシウムを溶解させることで、より高い収率でスチレン−フマル酸共重合体を回収できた。
本発明の一実施形態における熱硬化性樹脂の分解・回収方法の操作を工程順に示したフローチャートである。 本発明の別の実施形態における熱硬化性樹脂の分解・回収方法の操作を工程順に示したフローチャートである。 実施例で用いた反応系と冷却系の装置構成を概略的に示した図である。

Claims (3)

  1. ポリエステル部とその架橋部を含む熱硬化性樹脂を、実質的にアルカリを含有しない亜臨界水で分解する工程(A)と、得られた分解生成物を固液分離して、スチレン−フマル酸共重合体を含有する固形分を回収する工程(B)と、回収した固形分を、スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒に接触させて、スチレン−フマル酸共重合体を当該溶媒に溶解して回収する工程(C)とを含むことを特徴とする熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  2. スチレン−フマル酸共重合体の溶解度が水よりも高い溶媒は、アセトンであることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
  3. 工程(A)において、熱硬化性樹脂と炭酸カルシウムとを含有する熱硬化性樹脂組成物を亜臨界水で分解し、工程(B)において、得られた分解生成物を固液分離して、スチレン−フマル酸共重合体と炭酸カルシウムとを含有する固形分を回収すると共に、当該固形分を、炭酸カルシウムと反応して水溶性カルシウム塩を生成する酸および水と混合して炭酸カルシウムを水に溶解させた後、固液分離して固形分を回収することを特徴とする請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂の分解・回収方法。
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