JP2007217196A - 水酸化カルシウムの回収方法および炭酸カルシウムの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維で補強された不飽和ポリエステル樹脂から固相部分の経済的で環境負荷の少ない水酸化カルシウムの回収方法および炭酸カルシウムの回収方法を提供する。
【解決手段】水酸化カルシウムの回収方法は、炭酸カルシウムを含む繊維補強不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得る分解工程と、前記分解生成物の分解液から固形分を分離する分離工程と、前記固形分に酸化カルシウムおよび水を加えて反応させて水酸化カルシウムを製造する反応工程とを含む。炭酸カルシウムの回収方法は、前記水酸化カルシウムの回収方法により回収される水酸化カルシウムを二酸化炭素で処理して炭酸カルシウムを製造する再生工程を含む。
【選択図】図1
【解決手段】水酸化カルシウムの回収方法は、炭酸カルシウムを含む繊維補強不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得る分解工程と、前記分解生成物の分解液から固形分を分離する分離工程と、前記固形分に酸化カルシウムおよび水を加えて反応させて水酸化カルシウムを製造する反応工程とを含む。炭酸カルシウムの回収方法は、前記水酸化カルシウムの回収方法により回収される水酸化カルシウムを二酸化炭素で処理して炭酸カルシウムを製造する再生工程を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、繊維で補強された不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して、水酸化カルシウム成分を回収する水酸化カルシウムの回収方法、および回収した水酸化カルシウム成分に二酸化炭素を加えて生成される炭酸カルシウムの回収方法に関する。
繊維で補強された不飽和ポリエステル樹脂(以下、「FRP」ともいう。)は、不飽和ポリエステル樹脂中に、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などで補強されたものをいう。ここで不飽和ポリエステル樹脂は、熱硬化性樹脂であり、三次元網目構造を有する。このため、上記の不飽和ポリエステル樹脂の廃棄物は、溶媒に溶解せず、再溶融して再成形することができない。この点においてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)で例示される飽和ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂と異なり回収および再生が困難である。しかもFRPは、ガラス繊維、カーボン繊維などで補強されているため、これらの繊維から樹脂成分を分離、回収することは極めて困難である。
従来、FRP廃棄物の再利用の方法は、FRP廃棄物を微粉砕してフィラーとし、これを新しい、ゴム充填剤或いは樹脂充填剤として用いるマテリアルリサイクルがあるが、この方法では、得られたゴム組成物或いは樹脂組成物の強度が低下する問題がある。
また、ケミカルリサイクルとして、不飽和ポリエステル樹脂に、炭酸カルシウムを加えて、グリコール分解することにより、二塩基酸グリコールエステルを製造する方法がある(特許文献1)。
さらに、不飽和ポリエステル樹脂を290℃、水酸化ナトリウム等の触媒存在下でグリコール分解することにより二塩基酸のグリコールエステルを得る方法が知られている(特許文献2)。
また、飽和ポリエステル樹脂廃棄物に不活性ガスの雰囲気下、酸化防止剤の存在下でグリコールを反応させてグリコール分解液を製造し、該グリコール分解液に二塩基酸を反応させる不飽和ポリエステル樹脂の製造方法が開示されている(特許文献3)。
しかし、上記特許文献1〜3はいずれも、FRPから水酸化カルシウム成分を分離し、回収し、各種用途に適したものに再生するものではない。
また、グリコール分解して得られる分解生成物を固液分離し、固相部分を取り出したとしても、その中からガラス繊維を分離回収することは容易ではなく、固相部分の経済的で環境負荷の少ない処理方法および再利用方法はない。
特開2000−178230号公報
特許第2701012号公報
特開2002−317039号公報
本発明は、繊維で補強された不飽和ポリエステル樹脂から固相部分(固形分)の経済的で環境負荷の少ない水酸化カルシウムの回収方法および炭酸カルシウムの回収方法を提供する。
本発明は、炭酸カルシウムを含む繊維補強不飽和ポリエステル樹脂を分解して分解生成物を得る分解工程と、前記分解生成物の分解液から固形分を分離する分離工程と、前記固形分に酸化カルシウムおよび水を加えて反応させて水酸化カルシウムを製造する反応工程とを含む水酸化カルシウムの回収方法である。また、分解工程および前記分離工程は、2回以上行なうことが好ましい。
また本発明は、分解工程において、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解することが好ましい。
また本発明は、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂には、炭酸カルシウムが3〜70質量%含まれていることが好ましい。
また本発明は、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂はガラス繊維で補強されていることが好ましい。
また本発明は、前記反応工程において、酸化カルシウムおよび水を加えて反応させる際の発熱によって、前記固形分に残存している有機物が熱分解されることが好ましい。
本発明は、炭酸カルシウムを含む繊維補強不飽和ポリエステル樹脂を分解して分解生成物を得る分解工程と、前記分解生成物の分解液から固形分を分離する分離工程と、前記固形分に酸化カルシウムおよび水を加えて反応させて水酸化カルシウムを製造する反応工程を実施することで、繊維補強不飽和ポリエステル樹脂を容易に再生材料とすることができる。よって、固形分の経済的で環境負荷の少ない処理方法および再利用方法を実現できる。
図1は、本発明の水酸化カルシウムの回収方法および炭酸カルシウムの回収方法を示すフローチャートである。以下、このフローチャートにしたがって本発明の製造方法を説明する。
<繊維補強不飽和ポリエステル樹脂(FRP)>
本発明において繊維補強不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂が繊維で補強された複合体であり、FRPと略称されることがある。そしてこれらの成形品の使用済み廃棄物が使用されるが、たとえば加工端材や切削カス等などを含む工場でのスクラップ製品も同様に使用できる。
本発明において繊維補強不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂が繊維で補強された複合体であり、FRPと略称されることがある。そしてこれらの成形品の使用済み廃棄物が使用されるが、たとえば加工端材や切削カス等などを含む工場でのスクラップ製品も同様に使用できる。
ここで繊維はガラス繊維、炭素繊維、ウイスカ等の無機繊維、アラミド、ナイロン等の有機繊維などがある。そして繊維は製品の要求特性に応じて長繊維、短繊維などが使用されており、さらに繊維は製品の用途に応じて繊維補強不飽和ポリエステル樹脂の10〜60質量%の範囲で用いられている。
また前記不飽和ポリエステル樹脂は、その分子構造の一部に二重結合を有し、これが架橋して網目構造を形成することで溶媒に溶解せず、加熱しても流動しない。本発明では、不飽和ポリエステル樹脂に一部の飽和ポリエステル樹脂が含まれていても採用することができる。同様に、繊維補強不飽和ポリエステル樹脂廃棄物に重量比で10%程度の断熱用として使用されるウレタンおよび船舶などで補強に使用される木材が混入されていても採用することができる。
繊維補強不飽和ポリエステル樹脂は、炭酸カルシウムを含んでいる。繊維補強不飽和ポリエステル樹脂は、炭酸カルシウムを3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%含むことが好ましい。炭酸カルシウムを含んでおれば、グリコール分解工程において繊維と不飽和ポリエステル樹脂との分離、さらに不飽和ポリエステルのグリコール分解が促進され、回収効率を高めることができ、再生不飽和ポリエステル樹脂の貯蔵安定性も向上する。特に、炭酸カルシウムは、繊維補強不飽和ポリエステル樹脂に均一に分散しているため、グリコール分解の際に添加する場合に比べて、その分解効率は高い。炭酸カルシウムは、繊維補強不飽和ポリエステル樹脂中、3質量%未満の場合は、上述の効果は十分ではなく、70質量%を超えると再生不飽和ポリエステル樹脂の特性を損なうことになる。
<繊維補強不飽和ポリエステル樹脂(FRP)の破砕>
繊維補強不飽和ポリエステル樹脂の廃棄物は破砕され、必要に応じて洗浄処理、篩掛けなどの前処理を行なう。破砕はハンマー或いはチェーン等の衝撃式破砕機、せん断式破砕機、切断式破砕機、圧縮式破砕機(ロール、コンベア、スクリュ)、スタンプミル破砕機、ボールミル破砕機、ロッドミル粉砕機を用いて、一般的な技術に基づいて行なう。破砕後の粒子径は分解効率を高めるため、10mm以下、好ましくは5mm以下のものが使用される。
繊維補強不飽和ポリエステル樹脂の廃棄物は破砕され、必要に応じて洗浄処理、篩掛けなどの前処理を行なう。破砕はハンマー或いはチェーン等の衝撃式破砕機、せん断式破砕機、切断式破砕機、圧縮式破砕機(ロール、コンベア、スクリュ)、スタンプミル破砕機、ボールミル破砕機、ロッドミル粉砕機を用いて、一般的な技術に基づいて行なう。破砕後の粒子径は分解効率を高めるため、10mm以下、好ましくは5mm以下のものが使用される。
なお、破砕時の不飽和ポリエステル樹脂の酸化を防止し再生樹脂の着色を抑制するため、不活性ガスの雰囲気下、酸化防止剤の存在下で処理することが好ましい。不活性ガスとしては窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等であるが、特に窒素ガスが好ましい。
<分解工程>
本発明では、前記破砕された、繊維補強不飽和ポリエステル樹脂廃棄物の粒子をたとえばグリコール分解し、分解生成物を得る。ここでグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコールなどが挙げられる。ここで再生樹脂のスチレンとの溶解性、価格が安い点で、プロピレングリコールが好ましい。なお、分解工程では、グリコールにより行なっているが、特にこれに限定されず、たとえばジアミン、ジカルボン酸、ビスフェノール、アルコール、またはフェノールなどにより行なってもよい。
本発明では、前記破砕された、繊維補強不飽和ポリエステル樹脂廃棄物の粒子をたとえばグリコール分解し、分解生成物を得る。ここでグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコールなどが挙げられる。ここで再生樹脂のスチレンとの溶解性、価格が安い点で、プロピレングリコールが好ましい。なお、分解工程では、グリコールにより行なっているが、特にこれに限定されず、たとえばジアミン、ジカルボン酸、ビスフェノール、アルコール、またはフェノールなどにより行なってもよい。
グリコールの配合量は繊維補強不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して50〜500質量部、特に100〜300質量部が好ましい。グリコールの配合量が50部より少ないと不飽和ポリエステル樹脂のグリコールによる分解を効率的に行なうことができず、500質量部を超えると、グリコール分解は効率的に実施できるが、過剰のグリコールが残存し、後工程において、これと反応させる二塩基酸の配合量を増加する必要がある。その結果、分解した不飽和ポリエステル樹脂成分の再生樹脂中に占める割合が小さくなり回収、再生効率が低下することになる。また、不飽和ポリエステル樹脂成分は、分解工程に投入される全成分(通常、FRPとグリコールよりなる)の3〜20質量%の範囲となるようにFRPの配合量が調整されることが好ましい。
なお、グリコールの配合量を調整することで、グリコール分解物の分子量を調整することができる。グリコールの配合量が少ないとグリコール分解物の分子量が大きくなり、グリコールの配合量が多いとグリコール分解物の分子量は小さくなる。
グリコール分解中の反応槽の温度は、使用するグリコールの種類によって異なるが、プロピレングリコール(沸点188℃)或いはエチレングリコール(沸点198℃)を使用する場合は、約280℃〜300℃の範囲に調整され、290℃に調整することが好ましい。280℃以上とすることによって、分解にあまり時間を要しない。そして反応槽内の圧力は0.8〜2.8MPaの範囲に調整され、通常、反応時間は1〜3時間の範囲である。グリコール分解中の反応槽の温度を290℃とすると、反応時間は約2時間となり、好適である。
<分離工程>
前記分解工程で得られた分解生成物は、繊維などの固形分と不飽和ポリエステル樹脂のグリコール分解成分である分解液が含まれている。ここで固形分と分解液の分離方法は、公知の方法で行なうことができる。例えば、繊維をろ過し分離した後、分解物を貯蔵槽で静置して固形分を底部に沈殿させ、上部の分解液を分離するとともに低部の固形分を回収する、いわゆる沈殿分離の方法を採用できる。なお、沈殿分離の方法では、固体成分は、真空脱水機、加圧式脱水機、遠心分離機、フィルタープレス、ベルトプレス、またはスクリュープレス等の脱水機を用いて、さらに固体成分中に含まれる液体成分を分離される。脱水機を用いることにより、より多くの有機成分を分離回収することができる。そして、固体成分は後述の反応工程に、分解液は後述の第2分解工程に移される。
前記分解工程で得られた分解生成物は、繊維などの固形分と不飽和ポリエステル樹脂のグリコール分解成分である分解液が含まれている。ここで固形分と分解液の分離方法は、公知の方法で行なうことができる。例えば、繊維をろ過し分離した後、分解物を貯蔵槽で静置して固形分を底部に沈殿させ、上部の分解液を分離するとともに低部の固形分を回収する、いわゆる沈殿分離の方法を採用できる。なお、沈殿分離の方法では、固体成分は、真空脱水機、加圧式脱水機、遠心分離機、フィルタープレス、ベルトプレス、またはスクリュープレス等の脱水機を用いて、さらに固体成分中に含まれる液体成分を分離される。脱水機を用いることにより、より多くの有機成分を分離回収することができる。そして、固体成分は後述の反応工程に、分解液は後述の第2分解工程に移される。
<反応工程>
本発明では、前記第1分解工程で得られた分解生成物を固体成分(固形分)と分解液とに分離し、固体成分を反応工程で再利用する。なお、固体成分中には、未反応残渣、ガラス繊維、および炭酸カルシウムなどが含まれている。
本発明では、前記第1分解工程で得られた分解生成物を固体成分(固形分)と分解液とに分離し、固体成分を反応工程で再利用する。なお、固体成分中には、未反応残渣、ガラス繊維、および炭酸カルシウムなどが含まれている。
反応工程では、第1分解工程で得られた分解生成物の固体成分に、さらに酸化カルシウム(生石灰)および水を加えて反応させる。詳細には、分解生成物に水を加えて攪拌すると、固体成分に付着して残存する有機物と水とが混ざり合うことにより、酸化カルシウムと水との接触が阻害されてしまう。そのため、FRPの分解生成物に水を加えて攪拌した後に酸化カルシウムを加えても、反応はすぐに始まらない。そこで、150℃程度の熱源で反応槽を加温することにより、加えた水が水蒸気化して酸化カルシウムとの反応を促進する。そのため、反応開始時期をコントロールできる。すなわち、分解生成物自体が遅延剤なしに反応の遅延効果をもたらし、反応槽を加温することにより、反応開始時期をコントロールできる。そして、反応が開始されると、水蒸気と発生した熱とにより、相互に反応を促進することができる。なお、残存した有機物により、酸化カルシウムと水のみとの反応と異なり、400℃を超える高い内部温度を数時間維持することもできる。
また反応工程では、固形成分対する酸化カルシウムおよび水の混合比が固形物:酸化カルシウム:水=2:3:1となるように混合することが好ましい。反応させた結果、水和反応および水和膨張により、白色粉末の水酸化カルシウム(消石灰)混合物を得ることができる。得られた水酸化カルシウムは、FRP廃棄物を含む再生原材料として再利用することができる。
<再生工程>
本発明では、前記反応工程で得られる水酸化カルシウムをさらに再生工程により、たとえば炭酸カルシウムを製造して再利用する。
本発明では、前記反応工程で得られる水酸化カルシウムをさらに再生工程により、たとえば炭酸カルシウムを製造して再利用する。
再生工程では、反応工程で得られた水酸化カルシウム混合物を篩い分けし、細粒の水酸化カルシウム混合物を二酸化炭素などにより処理する。その結果、細粒の水酸化カルシウム混合物に含まれる水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに変質させることができる。得られた炭酸カルシウムは、FRP原材料のフィラーとして再利用することができる。
以上説明したように、実施例における水酸化カルシウムの回収方法は、炭酸カルシウムを含む繊維補強不飽和ポリエステル樹脂を分解して分解生成物を得る分解工程(分解工程)と、前記分解生成物の分解液から固形分を分離する分離工程(分離工程)と、前記固形分に酸化カルシウムおよび水を加えて反応させて水酸化カルシウムを製造する反応工程とを含む。反応工程により、固形分を水酸化カルシウムに製造することができる。得られる水酸化カルシウムは、FRP廃棄物を含む再生原材料として再利用することができる。よって、固形分の経済的で環境負荷の少ない処理方法および再利用方法を実現できる。
上記水酸化カルシウムの回収方法において好ましくは、前記分解工程において、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解することを特徴としている。これにより、容易に無機成分と有機成分とを分離できる。
また、実施例における炭酸カルシウムの回収方法は、前記水酸化カルシウムの回収方法により回収される水酸化カルシウムを二酸化炭素で処理して炭酸カルシウムを製造する再生工程を含む。これにより、容易に炭酸カルシウムを得ることができる。得られた炭酸カルシウムを、FRP原材料のフィラーとして容易に再利用することができる。よって、環境負荷をより低減することができる。
上記炭酸カルシウムの回収方法において好ましくは、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂には、炭酸カルシウムが3〜70質量%含まれている。これにより、グリコール分解を促進するとともに、より多くの炭酸カルシウムを回収することができる。よって、経済性をより高めることができる。
上記炭酸カルシウムの回収方法において好ましくは、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂はガラス繊維で補強されている。これにより、ガラス繊維で補強されている繊維補強不飽和ポリエステル樹脂を炭酸カルシウムに容易に製造することができる。
上記炭酸カルシウムの回収方法において好ましくは、反応工程において、酸化カルシウムおよび水を加えて反応させる際の発熱によって、前記固形分に残存している有機物が熱分解される。これにより、反応工程で発生する発熱を利用して、固形分に残存している有機物を熱分解(燃焼)することができ、水和反応および水和膨張により水酸化カルシウムを得ることができる。なお、酸化カルシウムと水との水和膨張反応で無機成分を粒度の小さな粉体にすることができ、これにより篩い分けすることで容易にガラス繊維を分離回収できる。
本発明の実施例を水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの回収方法に用いられる装置の概念図である。図2にしたがって詳細に説明する。
前記装置は、不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解する分解槽1、分解液を二塩基酸と縮合反応させてエステルを合成する再合成反応槽13、このエステルにビニルモノマーを混合する混合槽20、固形分から水酸化カルシウムを回収する反応槽30、および水酸化カルシウムから炭酸カルシウムを製造する再生槽40とを備えている。これら分解槽などは、いずれも加熱装置2が付設されている。
<FRPの破砕>
ガラス繊維補強不飽和ポリエステル樹脂よりなる組立式水槽パネルを、破砕機を用いて、1〜5mm粒子径の破砕粉(以下、「FRP粉末」という。)を作成した。
ガラス繊維補強不飽和ポリエステル樹脂よりなる組立式水槽パネルを、破砕機を用いて、1〜5mm粒子径の破砕粉(以下、「FRP粉末」という。)を作成した。
<分解工程>
FRP粉末100gとプロピレングルコール(PG)220gの合計320gを、FRP粉末投入口5、グリコール投入口6からそれぞれ分解槽1に投入した。図において、分解槽1には、攪拌羽4を供えた攪拌装置3を備え、攪拌羽の回転速度は15rpmに設定した。ここでFRP粉末には、不飽和ポリエステル樹脂が20g、ガラス繊維が40g、炭酸カルシウムが40g含まれている。分解槽1は密閉状態で、290℃の温度で2時間、圧力は温度の上昇と共に、約2.3MPaまで上昇する。第1分解工程における反応槽の温度と圧力の履歴を図3に示している。所定時間の後加熱を停止し、分解槽1の温度をほぼ室温まで低下する。ここで不飽和ポリエステル樹脂成分は、全投入量の6.25質量%である。
FRP粉末100gとプロピレングルコール(PG)220gの合計320gを、FRP粉末投入口5、グリコール投入口6からそれぞれ分解槽1に投入した。図において、分解槽1には、攪拌羽4を供えた攪拌装置3を備え、攪拌羽の回転速度は15rpmに設定した。ここでFRP粉末には、不飽和ポリエステル樹脂が20g、ガラス繊維が40g、炭酸カルシウムが40g含まれている。分解槽1は密閉状態で、290℃の温度で2時間、圧力は温度の上昇と共に、約2.3MPaまで上昇する。第1分解工程における反応槽の温度と圧力の履歴を図3に示している。所定時間の後加熱を停止し、分解槽1の温度をほぼ室温まで低下する。ここで不飽和ポリエステル樹脂成分は、全投入量の6.25質量%である。
<分離工程>
分解生成物を分解槽1から取り出し、分解物タンク7に移し、これをさらに沈殿分離、ベルトプレスを用いた分離機10によって、固形物と分解液に分離して前者は固形物タンク8に後者は分解液タンクに移送される。ここで固形分は150.1g(全体の46.9質量%)であり、その内訳はガラス繊維が40g、炭酸カルシウムが40g、プロピレングリコールが70.1gである。また分解液は144.3g(全体の45.1質量%)であり、その内訳は不飽和ポリエステル樹脂成分が20g、プロピレングリコールが124.3gである。さらに気体分は25.6g(全体の8.0質量%)であり、これはすべてプロピレングリコールである。
分解生成物を分解槽1から取り出し、分解物タンク7に移し、これをさらに沈殿分離、ベルトプレスを用いた分離機10によって、固形物と分解液に分離して前者は固形物タンク8に後者は分解液タンクに移送される。ここで固形分は150.1g(全体の46.9質量%)であり、その内訳はガラス繊維が40g、炭酸カルシウムが40g、プロピレングリコールが70.1gである。また分解液は144.3g(全体の45.1質量%)であり、その内訳は不飽和ポリエステル樹脂成分が20g、プロピレングリコールが124.3gである。さらに気体分は25.6g(全体の8.0質量%)であり、これはすべてプロピレングリコールである。
<反応工程>
第1分離工程で得られた固形分150.1gを固形物タンク8から反応槽30に移す。そして、酸化カルシウム225.2gおよび水75.1gを、酸化カルシウム投入口31および水投入口32からそれぞれ反応槽30に投入した。反応槽30の温度を25〜150℃、攪拌条件を30〜100rpmとして反応させた。
第1分離工程で得られた固形分150.1gを固形物タンク8から反応槽30に移す。そして、酸化カルシウム225.2gおよび水75.1gを、酸化カルシウム投入口31および水投入口32からそれぞれ反応槽30に投入した。反応槽30の温度を25〜150℃、攪拌条件を30〜100rpmとして反応させた。
反応工程により水酸化カルシウムは343g得られた。得られた水酸化カルシウムは、水酸化カルシウムタンク7に移した。
このようにして得られた、水酸化カルシウムは有用であることが確認された。さらに、得られた水酸化カルシウムは、FRP廃棄物を含む再生原材料として有用であることも確認された。
<再生工程>
反応工程で得られた水酸化カルシウムを水酸化カルシウムタンク33から再生槽40に移す。そして、二酸化炭素87.6lを、二酸化炭素投入口41から再生槽40に投入した。再生工程により炭酸カルシウムは313g得られた。再生槽40の温度を25〜150℃、攪拌条件を30〜100rpmとして反応させた。
反応工程で得られた水酸化カルシウムを水酸化カルシウムタンク33から再生槽40に移す。そして、二酸化炭素87.6lを、二酸化炭素投入口41から再生槽40に投入した。再生工程により炭酸カルシウムは313g得られた。再生槽40の温度を25〜150℃、攪拌条件を30〜100rpmとして反応させた。
このようにして得られた、炭酸カルシウムは有用であることが確認された。さらに、FRP原材料のフィラーとして有用であることも確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、炭酸カルシウムを含み繊維で補強された不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解し、固形分を分離回収するとともに、回収した固形分を再使用するために用いること、および酸化カルシウムおよび水を加えて水酸化カルシウムを回収する方法、さらには、これに二酸化炭素を添加して水酸化カルシウムを回収する方法を提供する。かかる水酸化カルシウムは、FRP原材料のフィラーとして採用できる。
1 分解反応槽、2 加熱装置、3 攪拌装置、8 固形物タンク、9 分解液タンク、10 分離機、12 濾過機、30 反応槽、40 再生槽。
Claims (6)
- 炭酸カルシウムを含む繊維補強不飽和ポリエステル樹脂を分解して分解生成物を得る分解工程と、
前記分解生成物の分解液から固形分を分離する分離工程と、
前記固形分に酸化カルシウムおよび水を加えて反応させて水酸化カルシウムを製造する反応工程とを含む、水酸化カルシウムの回収方法。 - 前記分解工程において、前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解することを特徴とする、請求項1記載の水酸化カルシウムの回収方法。
- 請求項1記載の水酸化カルシウムの回収方法により回収される水酸化カルシウムを二酸化炭素で処理して炭酸カルシウムを製造する再生工程を含む、炭酸カルシウムの回収方法。
- 前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂には、炭酸カルシウムが3〜70質量%含まれていることを特徴とする、請求項3記載の炭酸カルシウムの回収方法。
- 前記繊維補強不飽和ポリエステル樹脂はガラス繊維で補強されていることを特徴とする、請求項3記載の炭酸カルシウムの回収方法。
- 前記反応工程において、酸化カルシウムおよび水を加えて反応させる際の発熱によって、前記固形分に残存している有機物が熱分解されることを特徴とする、請求項3記載の炭酸カルシウムの回収方法。
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JP2006036398A Withdrawn JP2007217196A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | 水酸化カルシウムの回収方法および炭酸カルシウムの回収方法 |
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2006
- 2006-02-14 JP JP2006036398A patent/JP2007217196A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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CN109679311A (zh) * | 2018-12-29 | 2019-04-26 | 绍兴金创意塑化电器有限公司 | 耐微波低气味的bmc材料、制备方法及其应用 |
CN109679311B (zh) * | 2018-12-29 | 2021-05-04 | 绍兴金创意塑化电器有限公司 | 耐微波低气味的bmc材料、制备方法及其应用 |
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