JP2005331365A - Dna診断装置およびdna判別方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 DNAのワイルドタイプが変異してできたSNPタイプの有無をワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを混合したコントロールDNAをサンプルDNAと混合して電気泳動することにより、簡単、正確にサンプルDNAのタイプを検出できるDNA診断装置及びDNA判別方法を提供する。
【解決手段】 サンプルDNAを構成しているワイルドタイプのDNAとSNPタイプDNAの混合物にDNAサンプルとは異なる標識物質を付加したコントロールDNAをサンプルDNAと混合して新DNAサンプルとし、これらを同一流路にて流して、コントロールDNAに対する時間的な位置比較をすることにより、リアルタイムでサンプルDNAに含まれているDNAのタイプが診断・判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 サンプルDNAを構成しているワイルドタイプのDNAとSNPタイプDNAの混合物にDNAサンプルとは異なる標識物質を付加したコントロールDNAをサンプルDNAと混合して新DNAサンプルとし、これらを同一流路にて流して、コントロールDNAに対する時間的な位置比較をすることにより、リアルタイムでサンプルDNAに含まれているDNAのタイプが診断・判定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、DNAのワイルドタイプが変異してできたSNPタイプの有無を簡単、正確に検出できるDNA診断装置及びDNA判別方法に関する。
近年、分子生物学の急速な進展によって、様々な疾患において遺伝子の関与がかなり正確に理解されるようになり、遺伝子をターゲットにした医療に注目が集まるようになってきている。DNAに関しては、現在、SNPが注目されている。SNP(スニップ)は、single nucleotide polymorphismの略で「1塩基多型」と一般に訳されており、遺伝子における1暗号(1塩基)の違いの総称である。
地球上の全ての生命体遺伝子(または遺伝子の全集合体を意味するゲノム)は、共通の4つの塩基から成り立っており、この塩基の配列によって様々なタンパク質が作られ、各生物特有の生命活動が行われる。この4つの塩基とは、アデニン(記号はA)、グアニン(同G)、チミン(同T)、シトシン(同C)である。例えば人の遺伝子は、約30〜32億塩基配列で構成されていると言われており、各個人で数百から1000塩基に1ヶ所程度の割合で他の人と1つの塩基が異なっている場所が存在する。従って、人の全遺伝子(ゲノム)中には、300万〜1000万のSNPが存在していると予想され、世界中でSNPの探索が続けられている。
地球上の全ての生命体遺伝子(または遺伝子の全集合体を意味するゲノム)は、共通の4つの塩基から成り立っており、この塩基の配列によって様々なタンパク質が作られ、各生物特有の生命活動が行われる。この4つの塩基とは、アデニン(記号はA)、グアニン(同G)、チミン(同T)、シトシン(同C)である。例えば人の遺伝子は、約30〜32億塩基配列で構成されていると言われており、各個人で数百から1000塩基に1ヶ所程度の割合で他の人と1つの塩基が異なっている場所が存在する。従って、人の全遺伝子(ゲノム)中には、300万〜1000万のSNPが存在していると予想され、世界中でSNPの探索が続けられている。
ところでSNPが注目されているのは、SNPの分類により多くの疾患に対する罹患率が推測できると考えられているからである。例えば、乳癌を例にとると、乳癌にかかった患者群と正常な群とのSNPの比較により、乳癌に罹りやすい人に共通のSNPを特定することができる。これにより遺伝子を調査して、現在は正常でも将来乳癌に罹りやすい体質の人を見つけることが可能になる。同様に糖尿病や高血圧などの生活習慣病でも発病の前から食事や生活指導を正確に行うことが可能になる。また、癌は遺伝子上の特定の部位に例えば紫外線や変異原性物質の作用によって突然変異によって引き起こされるが、特定の遺伝子上の変異を読み取ることで早い段階から癌の診断が可能になるからである。
がん細胞において、マイクロアレイを使用し、抗体などの薬を探索していく場合を考えると、正常細胞とがん細胞を用意し、両細胞に対して薬を投与して、その効果を遺伝子の発現をみて比較判断する。遺伝子は全遺伝子の発現をみることが理想であるが、膨大なデータになるため、現状の対策として変化が見えやすい候補遺伝子を設定(マーカーと呼ぶ)し、少ない量で測定できる方法も検討されている。この方法は、細胞に対する薬の効果をみるものであるため、実際に人に投与する場合においては、人それぞれの薬の代謝や、副作用が影響してくる。これは人によって効果が変化することが予想されるためである。この対策として、SNPを測定して代謝や副作用を予想していくことが必要となる。これも全てのSNPをみて判断していくことが理想であるが、候補マーカーや近傍のSNPを集めたハプロタイプを設定し、見ていく方法も検討されている。このようにしてSNPの解析により薬剤に対する効果や感受性を予測することで、より適正な処方をすることが可能になる。
さらに、個人の識別にもSNPは有効である。両親からそれぞれの別々のSNPを引き継ぐため、地球上に親子兄弟といえども全く同じSNPをもつ人間は絶対に存在しない。これにより個人の完全な特定が可能になる。
以上のように、特定の遺伝子中の1塩基に起きた変異を観察することは医療をはじめ多方面で多大な貢献が予想される。
従来の遺伝子配列決定法を利用した、遺伝子診断や遺伝子による個人の識別は、ターゲットとする遺伝子を単離したのち、増幅・精製し遺伝子の塩基配列決定法(装置)を用いて、目的遺伝子の塩基配列を読むことによって行なっていたため、実験に膨大な作業量と時間、さらには多大のランニングコストを要していた。また塩基配列決定のための自動化装置は、非常に高価で、大きなスペースを占有し、高価な試薬を大量に必要とするものであった。
こうした問題点は、アフィニティキャピラリー電気泳動によってDNAを分離する方法では比較的小さい。これは、分子間親和力、とくに生態系における特異的親和力(酵素と基質、抗原と抗体の親和力等)を利用して分離に特異性を持たせるためである(例えば、特許文献1参照)。すなわち、キャピラリー管の中の泳動溶液に相互作用する二成分のうちの一方を添加しておき、他方の成分を電気泳動させると、試料混合物中で相互作用する分子種だけが移動速度に変化を生じるので、これに着目して分析を行うものである。(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来のアフィニティリガンドキャピラリー電気泳動では、塩基配列を特異的に認識するアフィニティリガンドとして、被検体DNAの塩基配列と相補的関係の1本鎖を使うが、ポリヌクレオチドを成分とするアフィニティリガンドは負電荷を有しているため、電圧を印加すると、このアフィニティリガンドがキャピラリー外に流出してしまう。これを防ぐため、従来では、アフィニティリガンドである、前記被検体DNAの塩基配列と相補的関係の1本鎖を、キャピラリー内に固定化している。そして、固定化の方法としては、ビニル化DNAをポリアクリルアミドと共重合し、それをキャピラリー内壁に共有結合的に固定化するものが提案されている。これにより、前記被検体DNAは、アフィニティリガンドである固定的オリゴヌクレオチドと強く相互作用してキャピラリー内に吸着され、一方ノイズDNAは該固定的オリゴヌクレオチドに吸着されずキャピラリー外に流出され、この結果、前記被検体DNAを検出することが可能となる(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、アフィニティリガンドがキャピラリー内壁にしかコーティングできないので、アフィニティリガンドと試料との相互作用が壁面近傍に限られ、測定が難しく、且つ測定精度が悪くなるという問題がある。
そこで、本出願人は、アフィニティリガンドと試料との相互作用が壁面近傍に限られないように、該アフィニティリガンドをキャピラリー内で擬似的に固定する方法を開発し、例えば、それぞれに電極を配置した第1容器と第2容器間を、リニアポリマーとDNA結合制御剤とを含む緩衝液を充たしたキャピラリー管で連絡し、次いで、このキャピラリー管の緩衝液の中に、該DNA試料に含まれる検出対象である目的DNAに水素結合可能な塩基配列を結合したリニアポリマーからなる分離用DNAコンジュゲートを充填した後、続いて被検体であるDNA試料を充填し、その後、両電極間に電圧を印加して、キャピラリー管内の被検体DNA試料を電気泳動させることで、該DNA試料を分離する遺伝子診断装置と遺伝子診断方法を提案している(特許文献2参照)。
前述した特許文献2の遺伝子診断装置と診断方法における判定手段は、キャピラリー管の一部でDNAサンプルを検出するが、電気泳動を開始した時間を基点として、その経過時間に対するDNAサンプルの検出を、例えばDNAが良く吸収する260nmの波長の吸光度を測定することで検出することができる。このような方法は一般的にクロマトグラフィーと呼ばれており、代表的な装置として以下に説明するHPLCがある。
HPLCは、分離したいサンプルをトラップできるカラムを用意しておき、そのカラムにトラップされた試料を、親水性の溶離液と疎水性の溶離液の混合物を流すことにより、カラムから剥ぎ取る手法であるが、時間の経過に対して親水性の溶離液と疎水性の溶離液の混合比率を定量的に変化させて、抽出するという方法である。
従って、図6に示すように最初に検出したいと思っている目的の試薬を予め準備して置き、これをコントロール液として流し、時間に対する検出位置を測定しておく。その次に測定したい測定サンプルを流し、時間に対する検出位置が目的試薬であるコントロール液と同じかどうかで、測定サンプルの中に目的試薬が含まれているかどうかを判断していた。
特開平7−311198号公報
特開2002−340859号公報
しかしながら、従来のHPLCの方法のように最初に基準となるコントロール液を流し、コントロール液の検出される時間と測定サンプルを実際に流してみたときの検出時間を比べる方法を前述した特許文献2の遺伝子診断装置と診断方法における判定手段に応用した場合、図7で示すように測定するたびに得られるピークの位置がずれてしまう。これは、
電気泳動を行う時の温度、キャピラリー管に充填するコンジュゲートや緩衝液や結合制御剤などの試薬類の濃度等さまざまな因子により、検出される時間が前後するためである。従って、前述した因子による検出時間がずれる事から、測定したいサンプルの決定判断は検出時間がずれているということにより、明確に決定できないという課題を有していた。
電気泳動を行う時の温度、キャピラリー管に充填するコンジュゲートや緩衝液や結合制御剤などの試薬類の濃度等さまざまな因子により、検出される時間が前後するためである。従って、前述した因子による検出時間がずれる事から、測定したいサンプルの決定判断は検出時間がずれているということにより、明確に決定できないという課題を有していた。
また、検出方法も、UVによる吸光度か、蛍光色素なら使用する蛍光色素は一種類だけという選択であったため、DNAサンプルの変異の有無を確認する際に、同一流路で泳動する場合、2種類のDNAを区別することは困難であるという課題も有していた。
本発明は、DNAサンプルを構成しているワイルドタイプのDNAとワイルドタイプのDNAの塩基配列と少なくとも1塩基だけ異なる配列を持つSNPタイプDNAの混合物にDNAサンプルとは異なる標識物質を付加したコントロールDNAをDNAサンプルと混合して新DNAサンプルとすることで、上述の検出時間のずれに影響されることなく、2種類のDNAサンプルのタイプを確実に判断でき、また同一流路でリアルタイムに判別することができる装置や判別方法を提供することを目的とする。
従来の課題を解決するために、本発明のDNA診断装置は、緩衝液を収容し、第1電極が浸漬された第1容器と、緩衝液を収容し、第2電極が浸漬された第2容器と、第1容器と第2容器の間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液で充たしたキャピラリーと、第2電極に正電位を第1電極に負電位を印加する電源部と、電源部を制御して第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加する制御部と、キャピラリー内部を通過するDNAサンプルの通過量を検出する検出部を備え、キャピラリーには緩衝液の他に、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートと、標識物質を付加されたDNAサンプルと、DNAサンプルと異なる標識物質を付加されたコントロールDNAとが混合されて充填され、前記第1電極と前記第2電極との間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、検出部がDNAサンプルとコントロールDNAをそれぞれ検出することを特徴とするものである。
また本発明のDNA診断装置は、緩衝液を収容し、第1電極が浸漬された第1の穴部と、緩衝液を収容し、第2電極が浸漬された第2の穴部と、前記第1の穴部と前記第2の穴部の間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液で充たした細溝で連結し、第2電極に正電位を第1電極に負電位を印加する電源部と、電源部を制御して第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加する制御部と、前記細溝部を通過するDNAサンプルの通過量を検出する検出部を備え、前記細溝部には緩衝液の他に、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートと、標識物質を付加されたDNAサンプルと、DNAサンプルと異なる標識物質を付加されたコントロールDNAとが混合されて充填され、前記第1電極と前記第2電極との間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、検出部がDNAサンプルとコントロールDNAをそれぞれ検出することを特徴とするものである。
また、本発明のDNA診断装置は、上記装置において、コントロールDNAがワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAで構成されたことを特徴とするものである。
また、本発明のDNA診断装置は、上記装置において、ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの混合比率が一定であることを特徴とする請求項3に記載のDNA診断装置。
また、本発明のDNA診断装置は、上記装置において、ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの混合比率が1:1であることを特徴とするものである。
また、本発明のDNA判別方法は、緩衝液を収容するとともに負電位を印加する第1電極が浸漬された第1容器と、緩衝液を収容するとともに正電位を印加する第2電極が浸漬された第2容器とに、両端が浸されたキャピラリーの内部を、リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液と、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートとで充たし、前記第1容器の側のキャピラリー端部に、標識物質を付加されたDNAサンプルと、前記DNAサンプルとは異なる標識物質が付加されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを有するコントロールDNAとが混合されて充填され、前記第1電極と前記第2電極の間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、DNAサンプルがワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離されたときに、コントロールDNAが分離されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの分離位置と比較することにより、ワイルドタイプDNAかSNPタイプDNAかを判別することを特徴とするものである。
また、さらに本発明のDNA判別方法は、緩衝液を収容するとともに負電位を印加する第1電極が浸漬された第1穴部と、緩衝液を収容するとともに正電位を印加する第2電極が浸漬された第2穴部との間に形成された細溝の内部を、リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液と、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートとで充たし、前記第1穴部側のキャピラリーの端部に、標識物質を付加されたDNAサンプルと、前記DNAサンプルとは異なる標識物質を付加されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを有するコントロールDNAとが混合されて充填され、前記第1電極と前記第2電極の間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、DNAサンプルがワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離されたときに、コントロールDNAが分離されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの分離位置と比較することにより、ワイルドタイプDNAかSNPタイプDNAかを判別することを特徴とするものである。
本発明のDNA診断装置によれば、DNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離して判別・診断するときに、少なくとも1つはコントロールDNAに含まれているワイルドタイプDNAかSNPタイプDNAと同じDNAを持つことを確実に判断する事ができる。また本発明のDNA判別方法によれば、DNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離して判別・診断するときに、少なくとも1つはコントロールDNAに含まれているワイルドタイプDNAかSNPタイプDNAと同じDNAを持つことを確実に判別することができる。
(実施の形態1)
以下に、本発明のDNA診断装置の実施の形態を図1〜図5を用いて詳細に説明する。
以下に、本発明のDNA診断装置の実施の形態を図1〜図5を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるDNA診断装置の外観図を示すものである。図1において、キャピラリー1は直径が50〜200μmの石英ガラス管が望ましいが、面積が直径50〜200μmの管と同等であれば他の形状でも良い。但し各部の断面形状に変化があってはならない。
該キャピラリー1には後述する緩衝液とコンジュゲートと結合制御剤が混合されて充填されており、陰電極8の側の端部にワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを混合したコントロール液とさらにサンプルDNAを混合した液が充填されている。前記キャピラリー1はガイド2とガイド3に挟まれて保持されているが、キャピラリー1が自由に動かないように固定できれば、他の構造や部材でもかまわない。
容器4と容器5は緩衝液6が内部に入っており、該容器4には陽電極7が挿入されており、該容器5には陰電極8が挿入されている。更に、前記容器4と前記容器5にはキャピラリー1の端部が挿入されている。キャピラリー1の容器4の側に検出部9があり、キャピラリー1を移動してきたDNAを検出できる。陽電極7と陰電極8は電源制御部10に連結されており、該電源制御部10によって所定の電圧を印加することができる。
以上のように構成されたDNA診断装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、トリスとホウ酸によってpH調整された水溶液に、塩化マグネシウムなどの結合制御剤を混合して緩衝液とする。pHが調整できて緩衝作用を有し、サンプルに影響を与えない物質であれば他の緩衝液でも良い。次に最低でも60塩基以上の塩基配列で構成されたサンプルDNAの配列の一部と相補的に配列する6〜10塩基の配列を持つDNAをアミノ化して、MOSU(メタクリロイル・オキシ・スクシンイミド)を使用してビニル化する。(詳細な方法は本発明に直接関係しないので省略する。)
ビニル化したDNAとモノマーのアクリルアミド、重合開始剤であるAPS(過硫酸アンモニウム)とTEMD(テトラメチルエチレンジアミン)を混合して嫌気性の中で反応させると、リニアーのポリアクリルアミドの一部に、サンプルDNAの配列の一部と相補的に配列する6〜10塩基の配列を持つDNAが混入される。この特殊なDNAを含むアクリルアミドポリマーと前記緩衝液を混合してコンジュゲートとする。詳細な作成方法は特許文献2を参考にすると良い。キャピラリー1にコンジュゲートを注入して全体を満たす。この時に気泡が混入すると、後で電気泳動した際に電気が流れないという現象が発生して、電気泳動できなくなるため、気をつける必要がある。
ビニル化したDNAとモノマーのアクリルアミド、重合開始剤であるAPS(過硫酸アンモニウム)とTEMD(テトラメチルエチレンジアミン)を混合して嫌気性の中で反応させると、リニアーのポリアクリルアミドの一部に、サンプルDNAの配列の一部と相補的に配列する6〜10塩基の配列を持つDNAが混入される。この特殊なDNAを含むアクリルアミドポリマーと前記緩衝液を混合してコンジュゲートとする。詳細な作成方法は特許文献2を参考にすると良い。キャピラリー1にコンジュゲートを注入して全体を満たす。この時に気泡が混入すると、後で電気泳動した際に電気が流れないという現象が発生して、電気泳動できなくなるため、気をつける必要がある。
次に、サンプルDNAはターゲットの塩基配列を血液や細胞などから抽出してきた全DNAより、PCRなどで取り出してくる。同じ配列がないようなDNAの塩基数は40塩基以上が望ましい、取り出したDNAは一般的なワイルドタイプのDNAと1塩基が異なるSNPタイプDNAで構成されると予想できるが、どちらか一方のみという事も十分考えられる。従って、サンプルDNAに含まれるDNAの種類は、
(1)ワイルドタイプDNAのみ
(2)SNPタイプDNAのみ
(3)ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの混合
の3タイプが考えられる。
(1)ワイルドタイプDNAのみ
(2)SNPタイプDNAのみ
(3)ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの混合
の3タイプが考えられる。
いま、キャピラリー1の一端にサンプルDNAのみを注入して電気泳動を行い、DNAにつけた蛍光素子に励起光を当てて発光した光の強度を測定すると、図3のような3タイプのDNA毎の時間に対する波形が得られる。従って、上記3つのタイプのうち、(1)、(2)の場合は波形がひとつしか現れないため、区別がつかなくなってしまう可能性がある。
そこで、ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを1:1の比率で混合したコントロールDNAを用意して、サンプルDNAと混合する。あらかじめDNAに蛍光色素を付加しておけば、励起光を照射すると発光するので、DNAの存在を検出することが可能となる。励起光の種類が異なる蛍光色素を選んで、サンプルDNAとコントロールDNAに付加しておけばサンプルDNAの波形とコントロールDNAの波形が並列で取る事が可能となり、サンプルDNAとコントロールDNAを比較することができる。
キャピラリー1の一端にサンプルDNAとコントロールDNAを混合した液を注入する。サンプルDNAとコントロールDNAを混合した液を注入したキャピラリー1の端を陰電極8が挿入された容器5の緩衝液6の中に浸し、キャピラリー1の他端を容器4の緩衝液6の中に浸して、陽電極7と陰電極8の間に、電源制御部より所定の電圧を印加すると、キャピラリー1中のサンプルDNAとコントロールDNAが電気泳動されて、容器4の方向に移動する。この時、ガイド2とガイド3の少なくとも片方に、ヒーターやペルチェなどの温度制御できる部材を挿入したり、貼り付けたり、組み込んだりすれば、安定した電気泳動を行うことができる。
ここで、キャピラリー1に充填されているコンジュゲートのDNA配列を、ワイルドタイプDNAの配列に相補的な配列にしておけば、サンプルDNAとコントロールDNAに含まれているワイルドタイプDNAは、SNPタイプDNAに対して移動の遅れを生ずるようになる。検出部9でサンプルDNAとコントロールDNAそれぞれに対する励起光を照射して光の強度を検出した波形を図4に示す。図4にあらわしたデータはサンプルDNAにワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAが混合した場合を示した。図4のコントロールDNAとサンプルDNAを比較し易いように重ねて表現したのが図5である。図5のように重ねてみると、サンプルDNAの波形が1つしかなくてもコントロールDNAの波形と比較すれば、どちらの波形であるかが確実に判定できる。
なお、図2は、DNA診断装置の変形例を示す外観図を示すものである。図2において、プレート12上に溝11と穴13と穴14が形成されている。溝11は幅が100μmで深さも100μmが望ましいが、断面積の幅が100μmで深さも100μmの溝の断面積と同等であれば他の形状でも良い。但し各部の断面形状に変化があってはならない。
該溝11には緩衝液と結合制御剤を含むコンジュゲートが充填されており、陰電極17の側の端部にワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを混合したコントロール液とさらにサンプルDNAを混合した液サンプルが充填されている。穴13と穴14は緩衝液15が内部に入っており、該穴13には陰電極16が挿入されており、該穴14には陽電極17が挿入されている。更に、前記穴13と前記穴14は溝11で繋がれている。溝11の穴14側の端に検出部18があり、溝を移動してきたDNAを検出できる。該陽電極17と該陰電極16は電源制御部19に連結されており、該電源制御部19によって所定の電圧を印加することができる。なお以上のように構成されたDNA診断装置についての動作、作用は実施例1と同じなので説明を省略する。
本発明にかかるDNA診断装置およびDNA判定方法は、DNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離して判別・診断する診断装置及びDNA判別方法等として有用である。
1 キャピラリー
2,3 ガイド
4,5 容器
6,15 緩衝液
7,16 陽電極
8,17 陰電極
9,18 検出部
10,19 電源制御部
11 溝
12 プレート
13,14 穴
2,3 ガイド
4,5 容器
6,15 緩衝液
7,16 陽電極
8,17 陰電極
9,18 検出部
10,19 電源制御部
11 溝
12 プレート
13,14 穴
Claims (7)
- 緩衝液を収容し、第1電極が浸漬された第1容器と、
緩衝液を収容し、第2電極が浸漬された第2容器と、
第1容器と第2容器の間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液で充たしたキャピラリーと、
第2電極に正電位を第1電極に負電位を印加する電源部と、
電源部を制御して第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加する制御部と、
キャピラリー内部を通過するDNAサンプルの通過量を検出する検出部を備え、
キャピラリーには緩衝液の他に、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートと、標識物質を付加されたDNAサンプルと、DNAサンプルと異なる標識物質を付加されたコントロールDNAとが混合されて充填され、
前記第1電極と前記第2電極との間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、検出部がDNAサンプルとコントロールDNAをそれぞれ検出することを特徴とするDNA診断装置。 - 緩衝液を収容し、第1電極が浸漬された第1の穴部と、
緩衝液を収容し、第2電極が浸漬された第2の穴部と、
前記第1の穴部と前記第2の穴部の間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液で充たした細溝で連結し、
第2電極に正電位を第1電極に負電位を印加する電源部と、
電源部を制御して第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加する制御部と、
前記細溝部を通過するDNAサンプルの通過量を検出する検出部を備え、
前記細溝部には緩衝液の他に、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートと、標識物質を付加されたDNAサンプルと、DNAサンプルと異なる標識物質を付加されたコントロールDNAとが混合されて充填され、
前記第1電極と前記第2電極との間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、検出部がDNAサンプルとコントロールDNAをそれぞれ検出することを特徴とするDNA診断装置。 - コントロールDNAがワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAで構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のDNA診断装置。
- ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの混合比率が一定であることを特徴とする請求項3に記載のDNA診断装置。
- ワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの混合比率が1:1であることを特徴とする請求項3に記載のDNA診断装置。
- 緩衝液を収容するとともに負電位を印加する第1電極が浸漬された第1容器と、緩衝液を収容するとともに正電位を印加する第2電極が浸漬された第2容器とに、両端が浸されたキャピラリーの内部を、リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液と、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートとで充たし、
前記第1容器の側のキャピラリー端部に、標識物質を付加されたDNAサンプルと、前記DNAサンプルとは異なる標識物質が付加されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを有するコントロールDNAとが混合されて充填され、
前記第1電極と前記第2電極の間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、DNAサンプルがワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離されたときに、コントロールDNAが分離されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの分離位置と比較することにより、ワイルドタイプDNAかSNPタイプDNAかを判別することを特徴とするDNA判別方法。 - 緩衝液を収容するとともに負電位を印加する第1電極が浸漬された第1穴部と、緩衝液を収容するとともに正電位を印加する第2電極が浸漬された第2穴部との間に形成された細溝の内部を、リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液と、DNAサンプルに水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNAサンプルをワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離する分離用DNAコンジュゲートとで充たし、
前記第1穴部側のキャピラリーの端部に、標識物質を付加されたDNAサンプルと、前記DNAサンプルとは異なる標識物質を付加されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAを有するコントロールDNAとが混合されて充填され、
前記第1電極と前記第2電極の間に定電圧を印加することにより、キャピラリー内のDNAが電気泳動され、DNAサンプルがワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAに分離されたときに、コントロールDNAが分離されたワイルドタイプDNAとSNPタイプDNAの分離位置と比較することにより、ワイルドタイプDNAかSNPタイプDNAかを判別することを特徴とするDNA判別方法。
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