JP5169496B2 - 被検体の流速決定方法、ならびにその方法を用いた被検体評価方法および被検体評価装置の設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、DNAや蛋白質等の被検体を、受光下、その被検体と結合することにより蛍光発光の強度が変化し得る蛍光標識体と結合させて蛍光強度の変化を検出することにより被検体を評価する技術に関する。
近年、「ナノ」をキーワードとして、ナノテクノロジーが多くの人々の関心を集めている。
このナノテクノロジーの中でも、半導体微細加工技術(半導体ナノテクノロジー)とバイオテクノロジーとの融合領域であるナノバイオテクノロジーは、既存の問題を根底から解決できる可能性を持つ新分野として、多くの研究開発が精力的に行われるようになってきている。
このナノバイオテクノロジーの中でも特に、DNAチップ(またはDNAマイクロアレイ)に代表され、ガラス、シリコン、プラスチック、金属等で形成された基板上に、DNA、蛋白質等の生体高分子からなる多数の異なった被検体を高密度に整列化してスポット状に配置したバイオチップは、臨床診断や薬物治療等の分野で、核酸や蛋白質の試験を簡素化でき、特に遺伝子解析に有効な手段として注目されている(非特許文献1および2参照)。
更に、近年では、固体基板上に、機能性分子や機能性分子と結合させた分子を結合させて、部分的に機能性表面(評価部)を形成し、マイクロマシニング技術やマイクロセンシング技術と組み合わせて、微小なターゲットを評価する技術のもとに作製される、「MEMS」や「μTAS」と呼ばれるデバイスが、従来の評価感度や評価時間を大幅に向上させるものとして注目されている。「MEMS」は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(Micro Electro Mechanical Systems)の略であり、半導体の加工技術をもとに非常に微細なものを作る技術、またはその技術を用いて作製された精密微細機器を意味し、一般に、機械、光学、流体等の複数の機能部分を複合化、微細化したシステムを意味する。また、「μTAS」は、マイクロトータルアナリシスシステム(Micro Total Analysis System)の略であり、マイクロポンプ、マイクロバルブ、センサ等を小型、集積、一体化した化学分析システムを意味する。これらのデバイスにおいては、機能性表面での反応を電気的または光学的に評価する手法が多く取られている。
「MEMS」や「μTAS」と呼ばれるデバイスの評価感度や評価時間の向上には、そのデバイスを格納する流路構造を適正化する必要がある。これには、流体力学を適用して、流路内の物質の流れを解析し、流路の構造を適正化する手法が知られているが、流路内の流れは微小であるため、センサ表面と溶媒が接する界面に於ける物質の流れを精度良く解析することは難しい。このため、実験による流路の構造を適正化することが必須となる。しかしながら、このためには標的物質をラベルで修飾する手順が不可欠であり、ラベリングや洗浄等の煩雑な工程が必要となる。
したがって、精度が高く、かつ、簡便な流路構造の評価技術の開発が望まれているのが現状である。
また、そのようなデバイスを用いて、実際に標的物質を評価するに際しては、多くの場合利用できる標的物質の量に限りがあるため、最適な評価条件を十分検討できないまま評価を行わざるを得ない場合が多い。
このため、標的物質の量に限りがあっても容易に最適な評価条件を見出すことのできる技術が望まれている。
T. G. Drummond et al.,「電気化学的DNAセンサー(Electrochemical DNA sensors)」,ネイチャーバイオテクノロジー(Nature Biotech.),2003年,第21巻,第10号,p.1192-1199 J. Wang,「DNAバイセンサーから遺伝子チップまでのサーベイと纏め(SURVEY AND SUMMARY From DNA biosensors to gene chips)」,Nucleic Acids Research, 2000年,第28巻,第16号,p.3011-3016 G. Cosa et al.,「(Photophysical Properties of Fluorescent DNA-dyes Bound to Single- and Double-stranded DNA in Aqueous Buffered Solution)」,Photochemistry and Photobiology,2001年,第73巻,第6号,p.585-599
以下の実施形態においては、被検体の評価や被検体評価装置の設計における適正化を容易に行うことができる技術を提供することを目的とする。更に他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
被検体を、受光下、当該被検体と結合することにより蛍光発光の強度が変化し得る蛍光標識体と結合させ、当該蛍光強度の変化を検出することにより当該被検体を評価するために、固体表面に固定化された当該蛍光標識体上に、当該被検体を素早く到達させるに適した、該被検体が溶解している溶液の流速を決定する方法において、
当該蛍光標識体上に、当該被検体と、当該被検体以外の物質であって、受光下、当該蛍光標識体と結合することにより当該蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る物質とのいずれかである流速決定用物質が溶解した溶液を流して当該蛍光標識体と接触させ、
当該蛍光標識体の蛍光強度の立ち上がりまたは立ち下がりの時間変化の勾配を規格化して求めた時定数と当該流速決定用物質が溶解した溶液の流速との関係から、当該被検体を評価する場合に使用する溶液の流速を決定することを含む、被検体の流速決定方法が提供される。
これにより、被検体が溶解した溶液の合理的な流速決定が可能となる。そして、この方法を、従来の被検体評価方法や被検体評価装置の設計方法(たとえば非特許文献3参照)に利用すれば、その適正化を容易に行うことができるようになる。
以下の実施形態によって、拡散を考慮して被検体が固体表面に到達する流速を算出しなくとも、被検体が溶解した溶液の合理的な流速決定が可能となる。そして、これにより、被検体の評価や被検体評価装置の設計における適正化を容易に行うことができるようになる。なお、合理的な流速とは、被検体の検出完了までに許容される時間内に、かつ、被検体の量が限られた状況で、検出の感度と精度がより良く評価出来る範囲の流速である。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
被検体を、受光下、その被検体と結合することにより蛍光発光の強度が変化し得る蛍光標識体と結合させ、蛍光強度の変化を検出することによりその被検体を評価するために、固体表面に固定化された蛍光標識体上に流れる被検体が溶解した溶液の流速を決定する場合に、蛍光標識体上に、その被検体と、その被検体以外の物質であって、受光下、当該蛍光標識体と結合することにより当該蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る物質とのいずれかである流速決定用物質が溶解した溶液を流して蛍光標識体と接触させ、蛍光標識体の蛍光強度の立ち上がりまたは立ち下がりの時間変化の勾配を規格化して求めた時定数(以下、規格化時定数ともいう)と流速決定用物質が溶解した溶液の流速との関係から、その被検体を評価する場合に使用する溶液の流速を決定することにより、被検体の合理的な流速決定が可能となる。
なお、以下においては、蛍光標識体の蛍光発光の強度が増大する場合についてのみ説明したが、流速決定用物質との結合により、蛍光発光の強度が減少する場合もあり得る。「蛍光標識体の蛍光強度の立ち上がりまたは立ち下がりの時間変化」と規定したのは、このような場合をも含むことを意味している。
本明細書において、評価とは、評価対象の有無の検出や定量を行うことを意味する。また、「規格化時定数」は、ある時間における蛍光強度を、蛍光強度が飽和した時における蛍光強度で除した値について求めた時定数を意味する。
本発明における「流速」とは、被検体または流速決定用物質が溶解した溶液の用いるデバイスの検出部に単位時間当たりに流れ出るまたは流れ込む液量(体積)から計算によって求められる体積速度(たとえば「mL/分」等の単位を有する)、または、線速度(たとえば「cm/秒」等の単位を有する)線速度を意味する。また、「規格化時定数(「規格化時定数」については、後述する。)を得るときに使用したデバイスで、検出部から単位時間当たりに流れ出るまたは流れ込む液量(体積)から計算される値」であってもよい。検出部の断面構造が固定されている場合には、「流量」を「流速」の代わりに使用することができ、「流量」を一定にして断面構造を変更する場合には、「流速」の代わりに断面の面積、高さ、幅等の他の因子に置き換えて使用することができる。すなわち、検出部の表面と溶液が接する界面における物質の流れを、被検体の真の流速として、蛍光標識体上に到達する際の拡散までも考慮して精度良く解析することなどは不要である。
蛍光強度は実測による。蛍光強度の実測方法には特に制限はない。
まず、「流速決定用物質」とは、当該被検体、または、その被検体以外の物質であって、受光下、当該蛍光標識体と結合することにより当該蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る物質とのいずれかである。
流速決定用物質として「その被検体以外の物質であって、受光下、当該蛍光標識体と結合することにより当該蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る物質」を使用することにより、被検体の量に限りがある場合にも、検討に制限を受けることがなくなり、好ましい。このような物質としては、被検体に構造が似ているものが好ましい。例えば被検体がDNAであれば、このような物質もDNAであることが好ましく、被検体が蛋白質であれば、このような物質も蛋白質であることが好ましい。また、分子量や荷電量が被検体と同程度であることが好ましい。いずれも、流速に対する影響が似通うからである。なお、このような場合における「似る」または「似通う」程度は、実情に応じて適宜定めればよい。
次に、当該流速決定用物質が溶解した溶液を当該蛍光標識体上に種々の流速で流して当該流速決定用物質を当該蛍光標識体と接触させ、蛍光標識体の蛍光強度の立ち上がりまたは立ち下がりの時間変化の勾配を規格化した時定数(すなわち、規格化時定数)を求めれば、その中で最大の規格化時定数を与える流速を、その中でもっとも好ましい流速として容易に決定することができる。
これは、蛍光強度の時間変化量は全ての蛍光標識体が被検体と結合したときに最大になり、十分な量、即ち、蛍光標識体と被検体平衡定数や被検体の拡散速度の影響を受けない程度に十分な量、の被検体が溶解した溶液が流された場合にはどのような流速であっても、いずれ同一程度の値に収束する筈であるが、有限時間内においては十分な量の被検体が流れず、流速により差が生じる所、規格化時定数が大きいほど、限られた時間内で得られる蛍光信号の変化量が大きくなり、従って検出精度が高くなると考えられるからである。
本発明の評価では、ごく狭い流路断面積に検出部があるため、また、時として流速決定用物質が溶解した溶液の粘性が高く、流速をいくら上げようとしてもあがらない場合や流速が一定しない場合もあり得る。また、検出部の表面と溶液とが接する界面に於ける物質の拡散を考えた場合には、十分な解析手段がなく、真の流速が不明な場合もあり得る。このような場合においても、上記規格化時定数を見ていれば、好ましい流速を把握することができるという利点が存在する。
「被検体」とは、受光下、蛍光標識体と結合すると蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る評価対象物質を意味し、それ以外に特に制限はない。
具体的には、蛋白質、DNA、RNA、抗体、天然または人工の1本鎖のヌクレオチド体、天然または人工の2本鎖のヌクレオチド体、アプタマーと、抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、蛋白質に対して親和性を有する有機化合物、蛋白質に対して親和性を有する生体高分子、これらの複合体およびそれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれたものを含むものが好ましい。この「含むもの」には、「選ばれたもの」そのものも含まれる。プラスまたはマイナスに帯電したイオン性ポリマーを含んでいてもよい。なお、上記複合体の例としては、DNAとマイナスに帯電したポリマーとの結合体等、上記の物質と他の物質との結合体を挙げることができる。
「蛍光標識体」とは、受光下、被検体と結合すると蛍光発光の強度を変化し得る蛍光発光部位を有する物質であればどのようなものでもよい。蛍光発光部位としてイオン化されたスルホ基(−SO−)を持つシアニン蛍光色素構造を有し、当該構造で修飾された物質であることが入手の容易さ等の観点から好ましい。より具体的には、イオン化したスルホ基(−SO−)を両端のインドール環にもつシアニン色素(商標名Cy3)で修飾された物質が好ましい。
また、蛍光標識体の蛍光発光部位以外の構造(主として、被検体または流速決定用物質との結合に寄与する構造)については、蛋白質、DNA、RNA、抗体、天然または人工の1本鎖のヌクレオチド体、天然または人工の2本鎖のヌクレオチド体、アプタマー、抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、蛋白質に対して親和性を有する有機化合物、蛋白質に対して親和性を有する生体高分子、これらの複合体およびそれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれたものを含むものが好ましい。プラスまたはマイナスに帯電したイオン性ポリマーを含んでいてもよい。なお、上記複合体の例としては、DNAとマイナスに帯電したポリマーとの結合体等、上記の物質と他の物質との結合体を挙げることができる。
ここで、「ヌクレオチド体」とは、モノヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドよりなる群のいずれか一つまたはその混合物を意味する。このような物質は、マイナスに帯電していることが多い。1本鎖あるいは2本鎖を用いることができる。なお、蛋白質、DNA、ヌクレオチド体が混在していてもよい。また、生体高分子には、生体に由来するものの他、生体に由来するものを加工したもの、合成された分子も含まれる。
上記「産物」とは、抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られるものであり、上記実施形態の趣旨に合致する限り、抗体のFabフラグメントまたは(Fab)2フラグメントや抗体のFabフラグメントまたは(Fab)2フラグメントに由来する断片、さらにはその誘導体等どのようなものを含めることもできる。
抗体としては、たとえば、モノクローナルな免疫グロブリンIgG抗体を使用することができる。また、IgG抗体に由来する断片として、たとえばIgG抗体のFabフラグメントまたは(Fab)2フラグメントを使用することもできる。更に、そのようなFabフラグメントまたは(Fab)2フラグメントに由来する断片などを使用することもできる。蛋白質に対して親和性を有する有機化合物として使用可能な例を挙げると、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)等の酵素基質アナログや酵素活性阻害剤、神経伝達阻害剤(アンタゴニスト)などがある。蛋白質に対して親和性を有する生体高分子の例としては、蛋白質の基質または触媒となる蛋白質、分子複合体を構成する要素蛋白質同士等を挙げることができる。
これらの物質は被検体と蛍光標識体とが特異的に結合する場合に評価が容易になるので特に好ましい。そのような場合として、被検体が蛋白質またはDNAであり、蛍光標識体が、その被検体と特異的に結合し得るDNAである場合や、被検体が天然または人工の1本鎖のヌクレオチド体を含んでなり、蛍光標識体が、その被検体と特異的に結合し得る天然または人工の1本鎖のヌクレオチド体を含んでなるものである場合を挙げることができる。
上記の流速決定方法によって決定した流速を、蛍光標識体による被検体の評価の際に用いる溶液の流速として使用すれば、被検体の評価における合理的な流速決定が可能となり、被検体の評価における、被検体の供給流速、溶媒に対する被検体の濃度等の評価条件の適正化を容易に行うことができるようになる。なお、この場合における「流速決定方法によって決定した流速」は一つの値である必要はなく、ある範囲を指すものであっても差し支えない。特に、流速決定物質として、被検体以外の物質であって、受光下、当該蛍光標識体と結合することにより当該蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る物質を使用した場合には、実際の被検体を使用する場合に、その量に余裕があれば、上記「ある範囲」内で、同様の試験を行うことにより、更に最適化を図ることができるため有用である。
また、被検体を、受光下、その被検体と結合することにより蛍光発光の強度が変化し得る蛍光標識体と結合させ、蛍光強度の変化を検出することにより被検体を評価するための、蛍光標識体を備えた被検体評価装置の検出部の構造決定に、上記流速決定方法によって決定した流速を使用すれば、検出部の構造、特に断面の寸法を容易に設計することが可能になる。
上記技術は、標的物質の評価の高精度化、高感度化を実現できることから、特にナノバイオテクノロジーの分野に極めて有用であり、DNAチップ、プロテインチップ等のバイオチップの開発期間の短縮をもたらすことが期待される。
次に実施例を詳述する。
[実施例1]
図1に必要な装置構成図を示す。図1は、上記説明における蛍光標識体に該当する蛍光色素で修飾されたDNAが、上記説明における検出部に該当する微細流路9の壁面に固定化されており、微細流路ホルダー10に固定された微細流路9の壁面を照射するレーザー1と、蛍光色素の蛍光12を対物レンズ5で集光して検知する光検知器7とを備え、更に、光検知器7からのシグナルを解析するPC(パーソナルコンピューター)8を備えた蛍光観察装置(上記説明における被検体評価装置に該当)の一例を説明するための概略説明図である。
微細流路壁面に固定化されており、かつ、蛍光色素で修飾されたDNA(上記説明における蛍光標識体に該当)の相補鎖であるcDNA(10nM)(上記説明における流速決定用物質に該当)を含んだ緩衝溶液(10mM Tris−HCl、50mM NaCl、pH7.3)を微細流路9に流して、微細流路壁面に固定化された蛍光色素で修飾されたDNAと結合させ、レーザー光で励起させた蛍光色素からの蛍光強度を光検知器7で検知し、そのシグナルを信号処理PC8上でモニターした。
図2は、微細流路壁面に固定化されており、かつ、蛍光色素で修飾されたDNAのほぼ全量に相補鎖結合させるのに十分な量のcDNAを加えたときの蛍光強度の時間変化を示している。ただし、図2には、ある時間における蛍光強度を蛍光強度が飽和した時における蛍光強度で除した値を示してある。
図2より、時間とともに2本鎖が形成されていく様子が、蛍光強度の増大として明確に確認できるとともに、蛍光強度の立ち上がり時の規格化時定数を得ることができる。立ち下がり時の規格化時定数も同様にして得ることができる。
なお、このような場合に、蛍光強度の立ち上がり時や立ち下がり時をどのように定めるかについては特段の制限はない。たとえば変化の開始ゼロ秒程度から数秒または10数秒までを立ち上がり時または立ち下がり時と考えることができる。規格化時定数を求めるために蛍光強度を外挿する関数にも特段の制限はないが、本例では、図2の左に示す式に当て嵌めてk値として求めた。
図2の場合は、流量を変化させることで、高流量になるほど大きい規格化時定数が得られることが示されている。評価時間として5分程度を想定した場合、4mL/分がもっとも蛍光強度の変化量が大きくなり、検討範囲内では、精度や感度の上でもっとも有利であることは明らかである。なお、本例では、微細流路9の形状を固定したので、「流速」に代えて流量を使用しても差し支えない。
本例の結果は、使用したDNAとは異なるDNAについての評価においてその流速を決める場合にも使用することができる。特に、予め複数種のDNAについてこのような測定を行い、それらの中から、共通して使用できる流速を選択すれば、未知のDNAの評価においても、好ましい結果を得られる可能性を高くすることができる。
[実施例2]
図1に示した装置構成図において、被検体の流量は一定にし、微細流路9の断面の寸法を変えて規格化された蛍光強度の変化を観察した。結果を図3に示す。図3中に断面寸法を示してある。ただし、蛍光色素で修飾されたDNAが微細流路壁面に固定化された部分は、微細流路9の幅方向の一部を占めるだけであるため、図3中の断面寸法の変更にも拘わらず、蛍光色素で修飾されたDNAが固定化された部分の面積には変わりはなかった。
この結果、断面面積の小さいものが大きな規格化時定数を与えることが示された。この結果は、流速の大きなものほど、規格化時定数が大きくなることを意味している。なお、幅を100μmにした場合には、得られる蛍光強度に再現性がなく、図3に示すような関数で外挿できる程度にまとまったデータは得られなかった。これは、恐らく、被検体の流量を一定に保てなかったためであろうと思われるが、供給量が少量すぎて、そのような乱れは検出することはできなかった。
上記の結果から、このようにして求めた微細流路9の断面の寸法を用いれば、被検体評価装置の設計を容易に行うことができる。
上記説明における被検体評価装置の一例を示す概略図である。 実施例1における、蛍光強度の時間変化を示すグラフである。 実施例2における、蛍光強度の時間変化を示すグラフである。
符号の説明
1 レーザー
2 入射レンズ
3 リング搾り
4 穴あきミラ
5 対物レンズ
6 フィルタ
7 光検知器
8 信号処理PC
9 微細流路(少なくとも一部の壁面に蛍光標識体を固定)
10 微細流路ホルダー
11 入射レーザー光
12 蛍光
13 流速決定用物質を含む溶液
14 ポンプ
15 液貯め

Claims (6)

  1. 被検体を、受光下、当該被検体と結合することにより蛍光発光の強度が変化し得る蛍光標識体と結合させ、当該蛍光強度の変化を検出することにより当該被検体を評価するために、固体表面に固定化された当該蛍光標識体上に、当該被検体を短い時間で到達させるに適した、当該被検体が溶解している溶液の、体積速度または線速度で表される速を決定する方法において、
    当該被検体と、当該被検体以外の物質であって、受光下、当該蛍光標識体と結合することにより当該蛍光標識体の蛍光発光の強度を変化させ得る物質とのいずれかである流速決定用物質が溶解した溶液を当該蛍光標識体上に流して、当該流速決定用物質を当該蛍光標識体と接触させ、
    当該蛍光標識体の蛍光強度の立ち上がりまたは立ち下がりの時間変化の勾配を蛍光強度の飽和値で割って得られた、規格化された勾配値と当該流速決定用物質が溶解した溶液の流速との関係から、当該被検体を評価する場合に使用する溶液の流速を決定することを含む、被検体の流速決定方法。
  2. 前記蛍光標識体が、イオン化されたスルホ基(−SO−)を持つシアニン蛍光色素で修飾された物質である、請求項1に記載の流速決定方法。
  3. 前記蛍光標識体が、蛋白質、DNA、RNA、抗体、天然または人工の1本鎖のヌクレオチド体、天然または人工の2本鎖のヌクレオチド体、アプタマー、抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、蛋白質に対して親和性を有する有機化合物、蛋白質に対して親和性を有する生体高分子、これらの複合体およびそれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれたものを含む、請求項1または2に記載の流速決定方法。
  4. 前記被検体が、蛋白質、DNA、RNA、抗体、天然または人工の1本鎖のヌクレオチド体、天然または人工の2本鎖のヌクレオチド体、アプタマー、抗体を蛋白質分解酵素で限定分解して得られる産物、蛋白質に対して親和性を有する有機化合物、蛋白質に対して親和性を有する生体高分子、これらの複合体およびそれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれたものを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の流速決定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の流速決定方法によって決定した流速を、前記蛍光標識体による前記被検体の評価の際の流速として使用する被検体評価方法。
  6. 被検体を、受光下、当該被検体と結合することにより蛍光発光の強度が変化し得る蛍光標識体と結合させ、当該蛍光強度の変化を検出することにより被検体を評価するための、蛍光標識体を備えた被検体評価装置の検出部の構造決定に、請求項1〜4のいずれかに記載の流速決定方法によって決定した流速を使用する、被検体評価装置の設計方法。
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