JP2002340857A - 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法 - Google Patents

遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法

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JP2002340857A JP2002042930A JP2002042930A JP2002340857A JP 2002340857 A JP2002340857 A JP 2002340857A JP 2002042930 A JP2002042930 A JP 2002042930A JP 2002042930 A JP2002042930 A JP 2002042930A JP 2002340857 A JP2002340857 A JP 2002340857A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一塩基以上の遺伝子異常を短時間、且つ簡
単、正確に検出することができ、小型、軽量、安価に、
少ないランニングコストで、診断を自動化することがで
きる遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 本発明の遺伝子診断装置は、DNA試料
に水素結合可能な第1の塩基配列と高分子化合物とが結
合し、結合力の差から前記DNA試料を正常DNAと異
常DNAに分離する分離用DNAコンジュゲートと、第
2の塩基配列と高分子化合物とが結合し、該第2の塩基
配列が正常DNAと異常DNAとに対して同等の結合力
を備えてノイズDNAだけを区別する遅延用DNAコン
ジュゲートと、さらにDNA試料とが充填され、定電圧
を印加することにより前記密閉流路内のDNAが電気泳
動され、前記検出部が正常DNAと異常DNAとノイズ
DNAの通過量をそれぞれ測定することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子異常の有無
を簡単、正確に検出できる遺伝子診断装置及び遺伝子診
断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】全ての疾患には、遺伝性要因と環境要因
が種々の確率で関与しているが、先天性代謝異常症・癌
・糖尿病・高血圧・アルツハイマー・自己免疫疾患・ア
トピー・肥満・アルコール依存などの疾患は、遺伝性要
因が非常に大きな割合を占めている。一方、環境要素の
寄与が大きい疾患は感染症や外傷の後遺症から誘因され
る疾患等である。
【0003】ところで、近年分子生物学の急速な進展に
よって、様々な疾患において遺伝的要素、すなわち遺伝
子の関与がかなり正確に解明されるようになり、遺伝子
をターゲットにした医療に注目が集まるようになってき
ている。現在、最も注目されているのはSNPs(スニ
ップス)と呼ばれるものである。これは、single
nucleotide polymorphismの
略で「1塩基多型」と一般に訳されており、個人間の遺
伝子における1暗号(1塩基)の違いの総称である。
【0004】人を含め地球上の全ての生命体遺伝子(ま
たは遺伝子の全集合体を意味するゲノム)は、共通の4
つの塩基から成り立っており、この塩基の配列によって
様々なタンパク質が作られ、各生物特有の生命活動が行
われている。全ての生物に共通する4つの塩基とは、ア
デニン(Aと表記される)、グアニン(Gと表記され
る)、チミン(Tと表記される)、シトシン(Cと表記
される)である。人の遺伝子は、約30〜32億塩基配
列で構成されているといわれているが、各個人で数百か
ら1000塩基に1ヶ所程度の割合で他の人と1つの塩
基が異なっている場所が存在する。通常、この1塩基の
変化が、あるヒト集団の全人口中1%以上の頻度で存在
しているものを、SNPsと呼んでいる。
【0005】従って、全遺伝子(ゲノム)中には、30
0万〜1000万のSNPsが存在しているといわれ、
現在世界中でSNPsの探索が続けられている。SNP
sが注目されている理由は、SNPsの分類により、統
計的に各個人の遺伝子が関与しているといわれている多
くの疾患に対する罹患率が推測できると考えられている
からである。例えば、乳がんを例にとると、乳がんにか
かった患者群と正常な群とのSNPsの比較により、乳
がんにかかりやすい人に共通のSNPsを特定すること
ができる。そして、健康診断時に、遺伝子を調査しその
SNPsを持った人、すなわち現在は正常でも将来乳が
んにかかりやすい体質の人を見つけることが可能にな
る。
【0006】この診断によって、乳がんにかかりやすい
体質の人は、頻繁に検査をすることで万一癌に罹患して
も、超早期に治療が行え生存の可能性が向上する。それ
と同様のことが、糖尿病や高血圧などの生活習慣病につ
いても言え、世界中で多くの人が苦しんでいる病気に対
して発病の前から食事や生活指導を正確にすることが可
能になる。
【0007】また、病気の治療に用いている薬剤に関し
てもSNPsは重要な役割を期待されている。治療の際
に用いられる薬剤は全ての人に均等に効果を示すもので
はない。一般に薬剤は、ある割合の人には効果があって
も他の人には全く効果が無く、かえって副作用等で逆の
結果を招くことがあることも広く知られている。因み
に、アメリカにおける死亡原因の中で薬剤による副作用
が上位に位置しているのは周知のことである。薬剤の効
果はその人がもつ体質に深く関与しており、その体質も
SNPsの分類によって区別可能であると言われてい
る。すなわち、SNPsの解析による分類で、ある薬剤
に対してあらかじめ効果や感受性が予測でき適正な処方
をすることが可能になり、患者個々人の体質に合わせた
最適な薬剤の投与や副作用の危険性の回避が期待されて
いる。このような医療のことをテーラーメイド医療また
はオーダーメイド医療と呼び、将来の実用化が確実視さ
れている。
【0008】また癌は、正常な細胞においては重要な役
割をする遺伝子上の特定の部位に例えば紫外線や変異原
性物質の作用によって突然変異が生じることによって引
き起こされることがわかっている。ある特定の遺伝子上
の変異を読み取ることで細胞が癌化しているか否かを早
い段階から診断できるようになる。そして、犯罪捜査に
おける犯人の特定や曖昧な親子関係の確定さらには本人
であるか否かの識別にもSNPsは、威力を発揮する。
前述したように、各個人には300万〜1000万のS
NPsが存在しており、両親からそれぞれ別々のSNP
sを引き継ぐため、地球上に親子兄弟といえども全く同
じSNPsをもつ人間は絶対に存在しないと言われてい
る。これが個人の完全な特定を可能にする理由である。
【0009】このように、特定の遺伝子中の1塩基に起
きた変異を観察することで医療をはじめ様々の事柄に多
大な貢献をもたらす可能性がある。しかしながら現在、
特定の遺伝子の変異を観察する方法は以下に述べるよう
な非常に複雑な操作あるいは高価な装置を必要とし、ラ
ンニングコストも非常に嵩むため、広く利用されるまで
には至っていない状況にある。
【0010】現在最も一般的に用いられているSNPs
を調べる方法は、DNAの塩基配列を端から直接読んで
いくシーケンシング(塩基配列の決定)と呼ばれている
方法である。遺伝子は1種類のタンパク質を形成するた
めの塩基配列情報をもったDNAの単位であるから、塩
基配列を端から読んでいけばSNPsが解明することが
できる。シーケンシングを行う方法としては、いくつか
の報告があるが、最も一般的に行われているのは以下に
述べるジデオキシシーケンシング(Sanger法)で
ある。この方法を含めいずれの方法も、分離能の高い変
性ポリアクリルアミドゲル電気泳動かキャピラリー電気
泳動によって1塩基長の長さの違いを分離・識別できる
技術が基になって成り立っている。
【0011】ジデオキシシーケンシング(Sanger
法)は、酵素的シーケンシングとも呼ばれ、1本鎖鋳型
DNAの相補的鎖を合成するためにDNAポリメラーゼ
を用い、さらに人工的につくった特殊な4種類のジデオ
キシヌクレオチドを利用するのが特徴である。シーケン
シング操作としては、塩基配列を行いたい1本鎖DNA
の3’末端を相補する合成塩基配列をプライマーとして
用い、そのプライマーからDNAポリメラーゼと均等に
加えられたデオキシヌクレオチドを酵素反応によって伸
長させる操作を行うが、この時同時に4つの反応容器を
準備しておき、それぞれにATGC4つの塩基の3’末
端に水酸基を持たない、従ってこれ以上DNA伸長反応
を続けることができない塩基アナログであるジデオキシ
ヌクレオチドを別々に少量混入させておく。これによ
り、伸長中のDNAの末端にジデオキシヌクレオチドが
付加された時点でDNA合成がストップし、それぞれの
反応容器中に様々な長さを持った、しかし端は必ず加え
た塩基アナログである2本鎖DNAが形成される。この
反応容器にS1エンドヌクレアーゼを反応させ、1本鎖
DNAを全て消化し2本鎖DNAのみとする。こうして
得られた4つの反応容器のDNA鎖をゲル電気泳動また
はキャピラリー電気泳動し、分離されたDNAを短い方
(速く移動したもの)から順に読めば、鋳型鎖と相補的
なDNAの塩基配列がわかる。この際、泳動結果の識別
は、例えば加えるジデオキシヌクレオチドのリンまたは
イオウを放射性標識したり蛍光を発する化学物質を結合
させたりして行う。放射性標識の場合はフィルムへの露
光での検出、蛍光化学物質の場合はレーザービームを照
射し蛍光を検出する。最近では、A,T,G,Cの4種
類の塩基アナログを、それぞれ4種類の蛍光波長の異な
る試薬により標識し、その4色の蛍光を同時に検出する
方法も開発されている。
【0012】このように、従来は被験者から分離・精製
した遺伝子の正確な塩基配列をこのジデオキシシーケン
シング(Sanger法)あるいはその他の塩基配列決
定法により決定し、正常あるいは標準的な塩基配列と比
較することによってSNPsの有無や突然変異の有無の
確認、個人の識別等を行っている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来からの遺伝子配列決定法を利用した、遺伝子診断や
遺伝子による個人の識別は、ターゲットとする遺伝子を
単離したのち、増幅・精製し、遺伝子の塩基配列決定用
装置を用いて、目的遺伝子の塩基配列を読むことによっ
て行っていたため、実験に膨大な作業量と非常に長い時
間、さらには多大のランニングコストを要していた。ま
た塩基配列決定のための自動化した装置は、非常に高価
で、大きなスペースを占有し、しかも高価な試薬を大量
に必要とするものであった。
【0014】そこで、従来のこのような問題を解決する
ため本発明は、一塩基以上の遺伝子異常を短時間、且つ
簡単、正確に検出することができ、小型、軽量、安価
に、しかも非常に少ないランニングコストで、診断を自
動化することができる遺伝子診断装置を提供することを
目的とする。
【0015】さらに、本発明は、一塩基以上の遺伝子異
常を短時間、且つ簡単、正確に判定できる遺伝子診断方
法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の遺伝子診断装置は、密閉流路には、緩衝液の
中に、DNA試料に水素結合可能な第1の塩基配列と高
分子化合物とが結合し、結合力の差からDNA試料を正
常DNAと異常DNAに分離する分離用DNAコンジュ
ゲートと、第2の塩基配列と高分子化合物とが結合し、
該第2の塩基配列が正常DNAと異常DNAとに対して
同等の結合力を備えてノイズDNAだけを区別する遅延
用DNAコンジュゲートと、さらにDNA試料とが充填
され、定電圧を印加することにより密閉流路内のDNA
が電気泳動され、検出部が正常DNAと異常DNAとノ
イズDNAの通過量をそれぞれ測定することを特徴とす
る。
【0017】これにより、一塩基以上の遺伝子異常を短
時間、且つ簡単、正確に検出することができ、小型、軽
量、安価に、しかも非常に少ないランニングコストで、
診断を自動化することができる。
【0018】また、本発明の遺伝子診断方法は、密閉流
路内の緩衝液の中に、DNA試料に水素結合可能な第1
の塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差から
DNA試料を正常DNAと異常DNAに分離する分離用
DNAコンジュゲートを充填し、続いて、第2の塩基配
列と高分子化合物とが結合し、正常DNAと異常DNA
とが該第2の塩基配列に対して同等の結合力を備えてノ
イズDNAだけを区別する遅延用DNAコンジュゲート
を充填し、さらにDNA試料を加え、その後、第2電極
に正電位を印加するとともに第1電極に負電位を印加
し、該第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加し
て、密閉流路内のDNAを電気泳動させ、正常DNAと
異常DNAとノイズDNAを分離し、正常DNAの定量
または異常DNAの定量、または、正常DNAと異常D
NAの比率、もしくは、異常DNAを検出することを特
徴とする。
【0019】これにより、一塩基違いの遺伝子異常でも
短時間、且つ簡単、正確に検出することができ、安価
に、非常に少ないランニングコストで、診断を自動化す
ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】請求項1に記載された発明は、緩
衝液を収容し第1電極が浸漬された第1容器と、緩衝液
を収容し第2電極が浸漬された第2容器と、第1容器と
第2容器間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む
緩衝液を充たして連絡した密閉流路と、第2電極に正電
位を印加するとともに第1電極に負電位を印加する電源
部と、電源部を制御して第2電極と第1電極間に所定の
定電圧を印加する制御部と、密閉流路に設けられ、内部
を通過するDNAの通過量を検出する検出部を備え、密
閉流路には、緩衝液の中に、DNA試料に水素結合可能
な第1の塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の
差からDNA試料を正常DNAと異常DNAに分離する
分離用DNAコンジュゲートと、第2の塩基配列と高分
子化合物とが結合し、該第2の塩基配列が正常DNAと
異常DNAとに対して同等の結合力を備えてノイズDN
Aだけを区別する遅延用DNAコンジュゲートと、さら
にDNA試料とが充填され、定電圧を印加することによ
り密閉流路内のDNAが電気泳動され、検出部が正常D
NAと異常DNAとノイズDNAの通過量をそれぞれ測
定することを特徴とする遺伝子診断装置であるから、第
2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加し、DNA試
料は電気泳動することができるが、分離用DNAコンジ
ュゲート、遅延用DNAコンジュゲートは高分子化合物
と結合したものであるから、泳動速度はDNA試料と比
較すると数%にすぎず(但し、高分子化合物の種類と長
さに依存する)、相対的には擬似固定状態にすることが
できる。従って、DNA試料は電気泳動によって、遅延
用DNAコンジュゲート、次いで、分離用DNAコンジ
ュゲート部分を通過する。その際に、まず遅延用DNA
コンジュゲートとの水素結合力差を利用して正常DNA
と異常DNA群の泳動速度をノイズDNAに対して低下
させ、更に、分離用DNAコンジュゲートにより正常D
NAの泳動速度を異常DNAの泳動速度に対して低下さ
せることができる。
【0021】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
両コンジュゲートや試料の各濃度調整および両コンジュ
ゲートや試料の混合比率の調整がきわめて容易になる。
【0022】正常DNA及び異常DNAは移動しなが
ら、まず遅延用DNAコンジュゲートの結合力の作用を
受け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧を印加
したとき一番先に泳動されて検出部で検出される。しか
し、異常DNAには、遅延用DNAコンジュゲートのほ
か、分離用DNAコンジュゲートとの結合力(但し、正
常DNAに比べて一塩基分弱い)が作用し、コンジュゲ
ートとの作用をなかなか振り切れず、ノイズDNAより
も遅れて泳動され、ノイズDNAの次に検出部で検出さ
れる。正常DNAには最大の結合力が作用し、ノイズD
NAは勿論のこと、異常DNAよりも遅れて泳動され、
最後に検出部で検出される。これにより3つのDNAの
検出時間に差を生じさせることができる。
【0023】このように電気泳動とDNAの水素結合を
利用するから数分〜十数分という短時間のうちにDNA
を分離でき、且つ所定の電圧を印加するだけで良いから
分解能の高い最適電圧にきわめて簡単に調整でき、正確
にDNAの異常の有無を検出することができ、小型、軽
量、低ランニングコストの安価な装置とすることがで
き、診断の自動化がきわめて容易である。
【0024】請求項2に記載された発明は、密閉流路
が、リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液で
充たされ、且つ該緩衝液の中に分離用DNAコンジュゲ
ートと遅延用DNAコンジュゲートとDNA試料とが分
離状態で、リニアポリマーを挟んでこの順序で充填され
た分離用密閉流路カートリッジであって、該分離用密閉
流路カートリッジを交換可能に装着する分離部が設けら
れたことを特徴とする請求項1記載の遺伝子診断装置で
あるから、予めリニアポリマーとDNA結合制御剤を含
む緩衝液と、分離用DNAコンジュゲート、遅延用DN
Aコンジュゲート、DNA試料とを充填した分離用密閉
流路カートリッジを用意しておくことができ、測定毎に
分離部に分離用密閉流路カートリッジを交換して装着す
ればよく、測定を簡単に且つ容易に行うことができる。
【0025】請求項3に記載された発明は、密閉流路が
1以上設けられたことを特徴とする請求項1または2に
記載の遺伝子診断装置であるから、密閉流路ごとに遅延
用DNAコンジュゲートと分離用DNAコンジュゲー
ト、DNA結合制御剤を変化させて、DNA試料の正常
DNAと異常DNAの分離環境を密閉流路ごとに変化さ
せることができる。
【0026】請求項4に記載された発明は、遅延用DN
Aコンジュゲートが1種類以上含まれていることを特徴
とする請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子診断装置
であるから、泳動速度を遅延用DNAコンジュゲートの
比率を変えることで変化させることができる。
【0027】請求項5に記載された発明は、分離用DN
Aコンジュゲート及び/または遅延用DNAコンジュゲ
ートがビニル化したDNAであることを特徴とする請求
項1〜4のいずれかに記載の遺伝子診断装置であるか
ら、DNA試料の正常DNAと異常DNAを明確に分離
して測定することが可能となる。
【0028】請求項6に記載された発明は、密閉流路内
の液体を20℃〜60℃に調整して正常DNAと異常D
NAを分離することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
かに記載の遺伝子診断装置であるから、正常DNAと異
常DNAを温度調整により分離用DNAコンジュゲート
と遅延用DNAコンジュゲートに結合したり離脱させた
りすることが可能であり、結合力を温度で調整でき、分
離後それぞれを検出部で測定することが可能となる。
【0029】請求項7に記載された発明は、密閉流路が
内径50〜100μmのフューズドシリカ製キャピラリ
ー管であることを特徴とする請求項1〜6に記載の遺伝
子診断装置であるから、紫外線を90%以上透過でき、
紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出が容
易にできる。
【0030】請求項8に記載された発明は、密閉流路が
溝のある板と紫外線が90%以上透過する板との組み合
わせであることを特徴とする請求項1〜7に記載の遺伝
子診断装置であるから、紫外線を90%以上透過でき、
紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出が容
易にできる。
【0031】請求項9に記載の発明は、2重螺旋のDN
A試料を引き離して1本鎖のDNA試料とすることを特
徴とする請求項1〜8に記載の遺伝子診断装置であるか
ら、DNA試料を1重鎖とする前処理を行うことなくそ
のまま用いることができるので、更に診断の自動化を図
ることが可能である。
【0032】請求項10に記載された発明は、第1容器
に緩衝液を収容して第1電極を浸漬するとともに第2容
器にも緩衝液を収容して第2電極を浸漬し、第1容器と
第2容器間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む
緩衝液を充たして密閉流路で連絡し、次いで、該密閉流
路内の緩衝液の中に、DNA試料に水素結合可能な第1
の塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差から
DNA試料を正常DNAと異常DNAに分離する分離用
DNAコンジュゲートを充填し、続いて、第2の塩基配
列と高分子化合物とが結合し、正常DNAと異常DNA
とが該第2の塩基配列に対して同等の結合力を備えてノ
イズDNAだけを区別する遅延用DNAコンジュゲート
を充填し、さらにDNA試料を加え、その後、第2電極
に正電位を印加するとともに第1電極に負電位を印加
し、該第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加し
て、密閉流路内のDNAを電気泳動させ、正常DNAと
異常DNAとノイズDNAを分離し、正常DNAの定量
または異常DNAの定量、または、正常DNAと異常D
NAの比率、もしくは、異常DNAを検出することを特
徴とする遺伝子診断方法であるから、第2電極と第1電
極間に所定の定電圧を印加し、DNA試料は電気泳動す
ることができるが、分離用DNAコンジュゲート、遅延
用DNAコンジュゲートは高分子化合物と結合したもの
であるから、泳動速度はDNA試料と比較すると数%に
すぎず(但し、高分子化合物の種類と長さに依存す
る)、相対的には擬似固定状態にすることができる。従
って、DNA試料は電気泳動によって、遅延用DNAコ
ンジュゲート、次いで、分離用DNAコンジュゲート部
分を通過する。その際に、まず遅延用DNAコンジュゲ
ートとの水素結合力差を利用して正常DNAと異常DN
A群の泳動速度をノイズDNAに対して低下させ、更
に、分離用DNAコンジュゲートにより正常DNAの泳
動速度を異常DNAの泳動速度に対して低下させること
ができる。
【0033】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
両コンジュゲートや試料の各濃度調整および両コンジュ
ゲートや試料の混合比率の調整がきわめて容易になる。
【0034】正常DNA及び異常DNAは移動しなが
ら、まず遅延用DNAコンジュゲートの結合力の作用を
受け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧を印加
したとき一番先に泳動されて検出部で検出される。しか
し、異常DNAには、遅延用DNAコンジュゲートのほ
か、分離用DNAコンジュゲートとの結合力(但し、正
常DNAに比べて一塩基分弱い)が作用し、コンジュゲ
ートとの作用をなかなか振り切れず、ノイズDNAより
も遅れて泳動され、ノイズDNAの次に検出部で検出さ
れる。正常DNAには最大の結合力が作用し、ノイズD
NAは勿論のこと、異常DNAよりも遅れて泳動され、
最後に検出部で検出される。これにより3つのDNAの
検出時間に差を生じさせることができる。
【0035】このように電気泳動とDNAの水素結合を
利用するから数分〜十数分という短時間のうちにDNA
を分離でき、且つ所定の電圧を印加するだけで良いから
分解能の高い最適電圧にきわめて簡単に調整でき、正確
にDNAの異常の有無を検出することができる。
【0036】以下、本発明の実施の形態における遺伝子
診断装置と遺伝子診断方法について、図面を参照しなが
ら説明する。
【0037】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1における遺伝子診断装置の外観図、図2は本発明の
実施の形態1における遺伝子診断装置の上蓋開放外観
図、図3は本発明の実施の形態1における遺伝子診断装
置の装置構成図、図4は本発明の実施の形態1における
遺伝子診断装置の制御回路要部図、図5は本発明の実施
の形態1における遺伝子診断装置の密閉流路内の分離用
DNAコンジュゲートと遅延用DNAコンジュゲートと
DNA試料との導入状態図である。
【0038】図1において、1は遺伝子診断装置の電源
スイッチ、2は装置の種々の操作を行うための操作ボタ
ン、3は表示パネル、4は上蓋、5は装置の筐体であ
る。図2、図3、図4において、6は電気泳動を行うた
めの電気泳動部、7は電気泳動部6を支える支持台、8
は電気泳動を行うための制御や後述する吸引ポンプ2
0、検出部15の制御を行い、検出したデータを演算す
る基板からなる制御演算部である。9は電源ボックス、
9aは電源ボックス9内に設けられた電源部である。電
源部9aは、本遺伝子診断装置ではDNAの種類や濃
度、処理条件ごとに異なった最適印加電圧値が存在する
ため、後述のDNA試料23から異常DNAと正常DN
Aを分離するのに最も適した泳動が行えるように所定の
電圧を制御演算部8の制御により印加する。10はDN
Aの2重螺旋(以下、2本鎖)を引き離すための高温
部、11は高温部10と後記する分離部12の温度を独
立にするための断熱部、12は正常DNAと異常DNA
とノイズDNAとを分離するための所定温度に調整する
とともに、この部分で正常DNAと異常DNAを分離す
る分離部、13は高温部10の温度を調整する第1温調
器、14は分離部12の温度を調整する第2温調器であ
る。
【0039】この分離部12内の構成の詳細については
後述するが、測定開始時には、図5に示すように分離用
DNAコンジュゲート21が分離部12の位置、また遅
延用DNAコンジュゲート22が断熱部11付近、DN
A試料23が高温部10付近になるように配置する。そ
して、このように設定された配置と電圧制御、濃度調
整、温度制御等を行うことにより、電気泳動させながら
本遺伝子診断装置はDNA試料23を正常DNAと異常
DNAとノイズDNAに数分〜十数分で分離するもので
ある。
【0040】このうちDNA試料23は、本実施の形態
1においては2本鎖を備えたまま高温部10に充填、配
置され、第1温調器13を用いて(90℃以上の所定温
度±5℃)の温度になるように加熱、制御される。この
加熱により導入されたDNAの2本鎖が1本鎖に自動的
に分離される。続いて、分離部12では分離用DNAコ
ンジュゲート21(場合によっては一部の遅延用DNA
コンジュゲート22も)が泳動作用を受けながら水素結
合の結合力の差によってDNA試料23を正常DNAと
異常DNAとノイズDNAを分離できるように、高温部
10の温度より少なくとも10℃低温、すなわち15℃
〜80℃、望ましくは20℃〜60℃の温度範囲の所定
温度に保つように制御される。正常DNAと異常DNA
とを分離するためにはDNAの分離に適したこの所定の
温度から±1℃の範囲で制御するのがよい。さらに、断
熱部11は、本来、分離部12と高温部10の間を熱的
に遮断して温度調整するために設けられるものである
が、遅延用DNAコンジュゲート22はこの付近に配置
され、温度的には高温部10の90°以上の温度と分離
部12の20℃〜60℃の温度との中間温度に置かれ、
この温度下での水素結合の結合力差により泳動作用を受
けながら正常DNAと異常DNAをノイズDNAから分
離することができる。
【0041】15は電気泳動するDNA試料の通過量を
測定する検出部である。図4に基づいて検出部15につ
いて説明すると、15aは紫外線を照射するD2ラン
プ、15bは紫外線を受光するフォトダイオード、15
cはフォトダイオード15bが検出した微弱電流を増幅
するプリアンプ、15dはデジタル量に変換するA/D
コンバータである。これらの詳細は後述する。16は電
気泳動のときに正電位を印加する電極(本発明の第2電
極)、17は電気泳動のときに負電位を印加する電極
(本発明の第1電極)であり、制御演算部8が電源部9
aを制御し、電極16と電極17との間に所定の定電圧
を印加し、最も適当な電気泳動を生じさせる。図3、図
4、図5において、18は電気泳動のときの電荷の運搬
とDNA試料のpHを安定させるための緩衝液、18a
は緩衝液18を収容する陰極側の容器(本発明の第1容
器)、18bは緩衝液18を収容する陽極側の容器(本
発明の第2容器)、18dはDNA結合制御剤とリニア
ポリマーを緩衝液18に添加したリニアポリマーゲルで
あり、電気泳動時にDNA試料23が早い速度で泳動し
ないように泳動を邪魔する働きを持つものである。この
働きにより、DNA試料23は遅延用DNAコンジュゲ
ート22や分離用DNAコンジュゲート21とキャピラ
リー管19内で充分遭遇する機会を持つことが可能とな
る。なお、19は電気泳動のときにDNA試料23を泳
動するためのキャピラリー管(本発明の密閉流路)、2
0はキャピラリー管19の中に緩衝液18やDNA試料
23、リニアポリマーゲル18dなどの試薬を注入する
ための吸引ポンプである。容器18aの緩衝液18の中
には電極17が浸漬され、容器18bの緩衝液18の中
に電極16が浸漬される。容器18aと容器18b内の
緩衝液18は、キャピラリー管19内の緩衝液18によ
って連通される。従って、分離用DNAコンジュゲート
21、遅延用DNAコンジュゲート22にも緩衝液18
が液のベースとして混入しており、キャピラリー管19
中全ての部分で同じ濃度の緩衝液18が存在している。
電極16と電極17間に電圧を印加すると、キャピラリ
ー管19内に電気泳動が誘発され、分離用DNAコンジ
ュゲート21、遅延用DNAコンジュゲート22、DN
A試料23は負に帯電しているため、容器18a側から
容器18b側へ分離用DNAコンジュゲート21、遅延
用DNAコンジュゲート22、DNA試料23が移動す
るが、分離用DNAコンジュゲート21、遅延用DNA
コンジュゲート22には分子量が大きい高分子がついて
いるため、電気泳動によってDNA試料23の移動量と
比較するとほとんど移動はしない。
【0042】次に、本発明の遺伝子診断装置で測定を行
うために必要な詳細について説明する。本遺伝子診断装
置で測定するDNA試料23は、人の細胞や血液等から
入手したDNAである。約30億塩基対あるといわれる
ヒト・ゲノムDNAからPCR(ポリメラーゼ連鎖反
応)などの方法を利用して目的の部分を目的の長さに切
り出して測定用に数を増加させる作業が必要である。た
だ、このPCRに関しては本遺伝子診断装置の説明に必
要がないため具体的な説明を省略する。
【0043】PCRなどで取り出した目的のDNAは塩
基数でいうと6個程度〜1000個程度であるが、約3
0億塩基対あるといわれるヒト・ゲノムDNAの中に、
同じDNA配列が存在しないと確率的に考えられる個数
としては、50個程度であればよい。しかし、これは総
数が50個程度あればよいということであるから、数回
に分けてDNAを切り取る場合は6個〜12個ずつに分
けるのでもよい。そして、本発明者らの実験によると、
本遺伝子診断装置で正常DNAと1塩基違いの異常DN
Aを分離する場合、塩基の個数は6個〜12個が最も効
率よく分離できるという結果を得ている。ただ、この異
常DNAの分離はDNA試料23の濃度(μM、但し、
M=モル/リットル)、分離用DNAコンジュゲート2
1のDNAの濃度(モル%)、遅延用DNAコンジュゲ
ート22のDNAの濃度(モル%)、測定温度、その他
と密接な関係があるため、適正な条件にしないと分離が
起こらないから、このような条件を設定することができ
るか否かに留意する必要がある。例えば、DNA試料2
3の濃度は1〜10(μM)が適当であり、分離用DN
Aコンジュゲート21と遅延用DNAコンジュゲート2
2に含まれるDNAが、基本となるリニアポリマーのモ
ルに対して0.0002〜0.05(モル%)程度が適
当であるが、分離用DNAコンジュゲート21と遅延用
DNAコンジュゲート22のそれぞれのDNA総量は、
DNA試料23の濃度の20〜600倍とするのが望ま
しい。以上説明したように本遺伝子診断装置のDNA試
料は上述のPCRなどにより前処理によって得られる6
個程度〜1000個程度の塩基配列を持つDNA試料が
必要であり、適正な条件設定が必要である。
【0044】次に、図3、図4、図5のキャピラリー管
19について説明すると、キャピラリー管19にゲルを
入れて電気泳動を行うと、電気浸透流と呼ばれる液の流
れが発生してしまうため、本遺伝子診断装置ではこの現
象が起きないようにする必要がある。このためキャピラ
リー管19の内壁をアクリルアミドなどでコーティング
するのがよい。電気浸透流の発生が阻止できるならコー
ティング方法は他の方法でもよい。例えば、一般に販売
されているコーティングキャピラリー管を使用するので
もよい。なお、キャピラリー管19としては内径50〜
100μmのフューズドシリカ製キャピラリー管が、紫
外線を90%以上透過でき、且つ後述するように紫外線
を利用してDNAを検出するとき、紫外線の通過量を容
易に検出できるから最も適当である。そして、溝のある
板と、紫外線が90%以上透過する板との組み合わせで
キャピラリー管19に相当する密閉流路を構成するので
も、紫外線を90%以上透過でき、紫外線の通過量を検
出することで異常DNAの検出を容易に行うことができ
る。なお、溝のある板を紫外線が透過可能な板にした場
合は透過光を検出し、溝のある板を紫外線が不透過の板
にした場合は、異常DNAを反射光で検出する。反射光
を検出する場合には溝形状を均一な反射面とするため矩
形断面にする等の工夫が必要である。
【0045】容器18a,18bの中やキャピラリー管
19に収容する緩衝液18は、Tris−Borate
(pH7.2〜pH8程度)緩衝液等を利用するのが適
当である。このうちキャピラリー管19に収容する緩衝
液18に必要に応じて混入されるDNA結合制御剤とし
ては、分離用DNAコンジュゲート21や遅延用DNA
コンジュゲート22に対するDNAの結合を促進する塩
化マグネシウム等の結合促進剤と、離脱を促す尿素等の
離脱剤の2種類が存在する。この2種類のDNA結合制
御剤は、2種類の混合割合や、物質(例えば、結合促進
剤として他の電解質)を選ぶことで、DNAに対する多
様な泳動速度の制御が可能になるものである。リニアポ
リマーゲル18dに含まれるリニアポリマーとしては、
ポリアクリルアミドを用いることができ、これは分離用
DNAコンジュゲート21や遅延用DNAコンジュゲー
ト22のコンジュゲート作成にも利用されるため、相性
がよく適当である。
【0046】次に、キャピラリー管19への充填順序で
あるが、図5に示すように先ずキャピラリー管19内に
リニアポリマーとDNA結合制御剤と緩衝液18を含ん
だリニアポリマーゲル18dを導入し、続いて以下詳述
する分離用DNAコンジュゲート21を加える。分離用
DNAコンジュゲート21導入後にリニアポリマーゲル
18dを導入してもよい。図5の場合導入後に分離状態
で導入している。続いて、分離用DNAコンジュゲート
21と分離状態で遅延用DNAコンジュゲート22を加
える。分離用DNAコンジュゲート21と同様に、遅延
用DNAコンジュゲート22の導入後にリニアポリマー
ゲル18dを導入してもよい。図5の場合導入後に分離
状態で導入している。その後、緩衝液18もしくは純水
で希釈したDNA試料23を導入して電気泳動する。
【0047】本実施の形態1では、分離用DNAコンジ
ュゲート21や遅延用DNAコンジュゲート22を作成
するのにアクリルアミドとDNAを重合させているた
め、DNAとの重量差、構造差は大きく、分離用DNA
コンジュゲート21と遅延用DNAコンジュゲート22
の泳動速度(0.6cm/分〜0.7cm/分)は、D
NAの最適の泳動速度(13cm/分〜20cm/分)
の1/20〜1/30程度であって、非常に動きが鈍く
相対的に擬似的に固定されているといってもよいような
状態が実現される。従って、測定開始時、充填物を収容
したキャピラリー管19を高温部10、断熱部11、分
離部12の間で位置を調整しながら、分離用DNAコン
ジュゲート21を分離部12内付近にし、断熱部11付
近から高温部10にかけて遅延用DNAコンジュゲート
22を置くようにし、高温部10には後述のDNA試料
23を配置する。このようにすることにより、高温部1
0でDNA試料23の2本鎖を1本鎖に分離できる。そ
して、高温部10から断熱部11にかけて遅延用DNA
コンジュゲート22を充填したので速度差でノイズDN
Aを分離でき、分離部12で正常DNAと異常DNAを
分離することができる。
【0048】なお、遺伝子診断装置のキャピラリー管1
9にDNA試料23や分離用DNAコンジュゲート、遅
延用DNAコンジュゲート、リニアポリマーの各溶液を
交換的に導入する機構、例えば図3に示した吸引ポンプ
20のほかに、各DNA試料23や分離用DNAコンジ
ュゲート、遅延用DNAコンジュゲート、リニアポリマ
ーの各溶液をそれぞれ保管する容器と、その容器を自動
的に交換し、それをキャピラリー管19に接続する機構
を装備するのが望ましい。
【0049】さらに、キャピラリー管19を1本または
複数本単位でユニット化し、これを交換用の分離用密閉
流路カートリッジとして、分離部12と高温部10、断
熱部11に装着可能にし、分離部12内の第2温調器1
4、あるいは高温部10内の第1温調器13で温度制御
するようにするのも適当である。キャピラリー管19内
に、予めリニアポリマーゲル18dとDNA結合制御剤
を含む緩衝液18を充填し、分離用DNAコンジュゲー
ト21と遅延用DNAコンジュゲート22とDNA試料
23を分離状態で充填して分離用密閉流路カートリッジ
として用意しておくことが可能になる。このように構成
することで、測定を行うたびに分離用密閉流路カートリ
ッジごと交換するため、分離用密閉流路カートリッジご
とに分離用DNAコンジュゲート21、遅延用DNAコ
ンジュゲート22、DNA試料23の配置を予め設定で
きるから、測定が簡単に行え、且つ正確な測定が行え
る。なお、この分離用密閉流路カートリッジでは、分離
用DNAコンジュゲート21と遅延用DNAコンジュゲ
ート22とDNA試料23を分離状態にするため、その
間にリニアポリマーゲル18dを挟んで充填している。
それぞれの中にリニアポリマーゲル18dを混合させて
充填するのでもよい。
【0050】続いて、分離用DNAコンジュゲート21
と遅延用DNAコンジュゲート22について説明する。
図6(a)は本発明の実施の形態1における遺伝子診断
装置の密閉流路内の分離用DNAコンジュゲートとDN
A試料との関係概念図、図6(b)は本発明の実施の形
態1における遺伝子診断装置の密閉流路内の遅延用DN
AコンジュゲートとDNA試料との関係概念図である。
図6(a),(b)において、21は分離用DNAコン
ジュゲート、22は遅延用DNAコンジュゲートであ
る。DNAは二本鎖を形成するものとこれを分離した一
本鎖のものと存在するが、DNAのもつA,T,C,G
4つの塩基は互いにAとT、GとCがそれぞれ水素結合
し易い性質をもち、DNAの二本鎖においてはAT,G
Cで対をなしている。従って、一本鎖のDNAがATC
GCGTCTAGC(配列番号1に記載)と配列されて
いる場合、残りの鎖のDNAは、TAGCGCAGAT
CG(配列番号2に記載)という塩基配列をもってい
る。この関係は相補的関係と呼ばれるもので、この相補
関係を充たす限り、AとT、GとCがそれぞれ水素結合
により結合し、二本鎖を形成する。本発明ではこの関係
を利用するために、図6(a)に示すように分離用DN
Aコンジュゲート21のDNA部分にはDNA試料の正
常DNAに相補的な塩基配列を持たせている。従って、
DNA試料の正常DNAの塩基配列がATCGCGTC
TAGC(配列番号1に記載)を含み、異常DNAがA
TCA*CGTCTAGC(配列番号3に記載)で、*
で示した部分で正常DNAと異常DNAの塩基が異なっ
ている場合、分離用DNAコンジュゲート21のDNA
部分の配列(本発明の第1の塩基配列)をTAGCGC
AGATCG(配列番号2に記載)とすると、異常DN
AはA*において分離用DNAコンジュゲート21と相
補的ではなくなるため水素結合せず、水素結合全体の結
合力はDNA試料の正常DNAの方が異常DNAより1
塩基分の結合力分だけ大きくなる。その結果、後で説明
する電気泳動時に正常DNAの方が異常DNAより強い
結合力で長い時間分離用DNAコンジュゲート21と結
合するため、正常DNAは異常DNAより相対的に遅延
するようになる。というのは、電気泳動時結合力だけで
なく電気泳動による引離力も作用するから、多数のDN
Aが断続的に結合と離脱を繰り返すような結合状態とな
るからである。そして、この泳動速度を平均的にみる
と、長い時間結合する正常DNAの方が異常DNAより
泳動速度が低下することになる。DNA試料の中には、
2本鎖のDNAのうち測定対象ではない分離した残りの
1本鎖DNAのように正常DNAと異常DNA以外のD
NAも含まれており、このDNAが後で説明する電気泳
動時にノイズとして作用するが、このノイズDNAは分
離用DNAコンジュゲート21のDNAとはほとんど無
反応で結合しないから、最も速い泳動速度をもち分離さ
れることになる。
【0051】そして、あらかじめノイズDNAを正常D
NAと異常DNAの群から確実に分離するために、遅延
用DNAコンジュゲート22に正常DNAと異常DNA
の両方が共通にもつ塩基配列に相補的な塩基配列(本発
明の第2の塩基配列)を持たせれば、電気泳動時に正常
DNAと異常DNAの群の方だけが遅延用DNAコンジ
ュゲート22と水素結合し、この分だけノイズDNAよ
り泳動速度が低下する。従って、正常DNAと異常DN
Aの群がノイズDNAより相対的に遅延し、ノイズDN
Aを区別してその影響を排除することが可能となる。ノ
イズDNAが結合するのは偶然に塩基が水素結合する場
合であり、確率的にきわめて低い。なお、遅延用DNA
コンジュゲート22の塩基配列(本発明の第2の塩基配
列)は、正常DNAと異常DNAの両方を遅延用DNA
コンジュゲート22と水素結合させてノイズDNAから
分離するから、正常DNAと異常DNA双方がもつ塩基
配列と相補的でなければならず、図6(b)に示すよう
に、例えばGCAGATCG(配列番号4に記載)にす
るのが望ましい。なお、正常DNAと異常DNAだけに
確実に結合できる塩基配列を選ぶためには、両者に対し
てだけ結合する確率を高くするため、塩基配列の長さは
長い方がよい。また、遅延用DNAコンジュゲート22
と分離用DNAコンジュゲート21のそれぞれのDNA
総量は、DNA試料の濃度の20〜600倍とするのが
適当である。
【0052】次に、このような分離用DNAコンジュゲ
ート21や遅延用DNAコンジュゲート22の作成・合
成方法について説明する。ビニル化DNAを合成するた
めに、PCRによって、分離用DNAコンジュゲート2
1と遅延用DNAコンジュゲート22用のDNAを切り
出す。上述の例では、TAGCGCAGATCG(配列
番号2に記載)が分離用DNAコンジュゲート21のD
NAであり、GCAGATCG(配列番号4に記載)が
遅延用DNAコンジュゲート22のDNAとなる。
【0053】次に、目的の塩基配列を有するDNAの
5’末端をアミノ化(通常は、ヘキシル基を介してアミ
ノ化)する。このようにして得られたアミノ化DNAを
2.6mMになるように滅菌した超純水を加えて希釈す
る。次いで、MOSU(メタクリロイドオキシスクシン
イミド)を71.388mMになるようにDMSO(デ
ィメチルスルオキシド)で希釈する。そして、このよう
にして得たアミノ化DNAとMOSUを1:50の比率
になるように加えて調整する。さらに、この調整溶液に
対して、pH調整用としてpH9になるように炭酸水素
ナトリウムと水酸化ナトリウムで調整した溶液を、アミ
ノ化DNAの量と等量加える。
【0054】そして、得られた溶液を一晩振とうする。
その後、HPLC(High Performance
Liquid Chromatography:高速
液体クロマトグラフィー)を使用して、振とうした溶液
中のビニル化DNAを、アミノ化DNA,MOSU,そ
の他と分離する。ビニル化DNAは溶離液(TEAA;
トリエチルアミンー酢酸とアセトニトリルの混合溶液)
を含んでいるため、さらに真空乾燥機能を持った遠心エ
バポレーターで減圧濃縮する。
【0055】次いで、重合溶液である10%のAAM
(アクリルアミド)を53μmol窒素置換する。さら
に、重合開始剤である1.34%のTEMD(N,N,
N’N’−テトラメチルエチレンジアミン)を超音波で
脱気した滅菌超純水で希釈する。これを重合開始剤であ
る1.34%のAPS(過硫酸アンモニウム)を同じく
超音波で脱気した滅菌超純水で希釈する。さらに濃縮し
たビニル化DNAを滅菌した超純水で希釈する。そし
て、100μlのDNAコンジュゲートを合成するため
に、上記のAAMを34μl、上記のTEMDとAPS
を各々5μl、ビニル化DNAがAAMに対して0.0
1%モル〜0.05%モルになるように加え、100μ
lになるように滅菌超純水を追加して、60分程度放置
しておくとアクリルアミド化されたDNAコンジュゲー
トが得られる。
【0056】なお、未反応のビニル化DNAを除去する
ために、適当な大きさの孔径選択したゲルろ過を数十回
に分けて行うと、純度の高いDNAコンジュゲートが得
られる。本実施の形態1では、分離用DNAコンジュゲ
ート21や遅延用DNAコンジュゲート22の間で合成
法は同じであるが、両者異なる合成法にすることもでき
る。
【0057】続いて、本実施の形態1の遺伝子診断装置
の動作について説明する。先ず遺伝子診断装置内に、D
NA試料や各溶液を導入したキャピラリー管19をセッ
トし、図3、図4に示すように両端に容器18a,18
b内の緩衝液18を浸す。この電極16と電極17間に
電源部9aによって後述する所定電圧を印加する。適当
な電圧幅としては、望ましくは10〜20キロボルトが
好ましいが、電解質や電極の状態により100ボルト〜
30キロボルトでもよい。例えば、低電解質濃度の場合
や、電極面積が大きな場合は電圧を低電圧にする。そし
て、最初から所定電圧を印加するのでなく、定電圧を印
加する前に準備用の30キロボルト以上の高電圧を印加
し、ノイズDNAをいち早く分離すれば、測定を迅速に
行うことができる。
【0058】ここで、所定の電圧を印加する理由を説明
すると、遅延用DNAコンジュゲート22と分離用DN
Aコンジュゲート21に対するDNA試料の結合力と、
電気泳動力による引離力との差が、DNAの泳動速度や
移動差に大きな影響を与えるため、正常DNAと異常D
NAとノイズDNAの分離が最も効果的に行われる所定
の定電圧を印加して電気泳動する必要があるからであ
る。すなわち、この電圧は最も泳動しにくい正常DNA
を電気泳動することができるという条件と、高電圧にす
ると正常DNAと異常DNAの分解能が低下するので、
分解能を上げるため、できるだけ低電圧でなければなら
ないという条件の2つを充たす電圧である。従って、予
め印加する電圧として最適な電圧をDNAごと、条件ご
とに調べておき、当初30キロボルト程度以上の準備電
圧を短時間印加した後、この電圧を印加するようにす
る。なお、キャピラリー管19内のDNAは負に帯電し
ており陽極側に進むため、電源部9aは電極16を正電
位、電極17を負電位になるように印加する必要があ
る。また、電気泳動に当たっては、泳動時間を長くしす
ぎると、キャピラリー管19内で緩衝液18が乾燥する
ので、必要以上に長い時間泳動を行うのは避けなければ
ならない。
【0059】電圧が印加されるとDNA試料は泳動さ
れ、正常DNAと異常DNAの群は遅延用DNAコンジ
ュゲート22との結合力が同等であるから、断続的な結
合と離脱を繰り返しながらまったく同様に泳動していく
ため、ノイズDNAと、正常DNAと異常DNAの群と
の間に大きな移動差が生じる。そして、分離用DNAコ
ンジュゲート21は正常DNAと異常DNAとの結合力
に一塩基分の差があり、泳動されていくとき両者間に移
動速度差が生じ、両者の間で移動差を生じる。
【0060】次に、分離が行われる高温部10と分離部
12、断熱部11の説明を行う。上述したように、高温
部10でDNAの2本鎖を離すために90℃以上の(所
定温度±5℃)になるように第1温調器13を用いて制
御する。また、分離部12では、DNA試料の状態によ
っても異なるが、分離用DNAコンジュゲート21や遅
延用DNAコンジュゲート22とDNA試料の結合力の
差に基づいて、正常DNAや異常DNA、あるいはノイ
ズDNAを分離できるように、高温部10の温度より1
0℃程度低温、すなわち15℃〜80℃、望ましくは2
0℃〜60℃の温度範囲の所定温度に保たなければなら
ない。実施の形態1の遺伝子診断装置では、キャピラリ
ー管19を覆っている分離部12の下部に、シリコンラ
バーヒーターやニクロム線等と熱電対やサーマル等の温
度センサーを配置し、第2温調器14で所定の温度±1
℃以下になるように管理する。ただ、環境温度によって
は室温が目的の所定温度を超える場合もあり、シリコン
ラバーヒーターやニクロム線等に代えて、ペルチェ等の
暖・冷可能な部品を使うのがよい。また、断熱部11は
ガラスウールや発砲剤、雲母、多孔質セラミックス等の
断熱材もしくは、中身を真空にしたものを使用するので
もよい。断熱部11付近では遅延用DNAコンジュゲー
ト22が、高温部10と分離部12の中間温度となるか
ら、これを利用して正常DNAと異常DNAとをノイズ
DNAから分離することができる。
【0061】続いて、遅延用DNAコンジュゲート22
と分離用DNAコンジュゲート21の作用で泳動速度に
差が生じ、移動差が生じた正常DNAと異常DNA、ノ
イズDNAを、どのようにして検出するか説明する。図
7は、泳動開始からの経過時間を横軸にして吸光度を縦
軸にしたときの経過時間と吸光度の関係図である。検出
は紫外線の照射が正常DNAと異常DNA、ノイズDN
Aによって遮光されたときの吸光度を測定することで行
う。実施の形態1においては、図5に示すようにキャピ
ラリー管19の一部でガラス部を露出させ、D2ランプ
15aから波長260nmの紫外線を照射し、このとき
得られる紫外線照射光をフォトダイオード15bで検出
し、吸光度を測定している。制御演算部8によって電源
部9aを制御してD2ランプ15aを発光させ、フォト
ダイオード15bで検出した電流はプリアンプ15cで
増幅し、A/Dコンバータ15dでデジタル量として吸
光度に制御演算部8で換算される。制御演算部8はタイ
マ(図示しない)を内蔵し、泳動開始時間からの経過時
間を測定することができる。図7において、時間的に早
い方(I)が、DNAコンジュゲートと結合しないノイ
ズDNA、時間が中位の(II)が異常DNA、時間が
遅い(III)が正常DNAである。
【0062】この関係図よりピークの高さと時間とピー
クの数を読み取れば、ピークの数からDNA試料に異常
DNAが含まれていることが分かる。すなわち、ピーク
の数から異常DNAが存在するか否かが判定できる。な
お、印加する電圧やDNA濃度、DNAの長さ(塩基の
個数)によってはピークの数を異常DNAとノイズDN
Aだけにすることができるから、このときは異常DNA
の通過量だけを測定する。また、ピークの高さを比べる
のは、同じ条件下で電気泳動されたDNA中の泳動速度
差のある2つの集合の吸光度差を示すから、異常DNA
と正常DNAの存在比率に相当し、存在比率の判定が可
能になる。異常DNAの存在量の判定は、標準DNA試
料の検出ピーク波形から得られた標準データを制御演算
部8に予め入力しておき、そのデータと測定したデータ
を比較して換算すればよい。
【0063】以上説明したように、本実施の形態1の遺
伝子診断装置と遺伝子診断方法によれば、細胞や血液等
から取り出したDNAの中で、特定のDNAを制限酵素
などで取り出したDNA試料中に含まれる正常DNAと
異常DNAの存在比率等が分かることにより、遺伝子診
断、判定ができる。
【0064】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
おける遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法について図
1,図2,図4〜図8に基づいて説明する。図8は本発
明の実施の形態2における遺伝子診断装置の装置構成図
である。実施の形態2の遺伝子診断装置は、実施の形態
1の遺伝子診断装置をDNA試料としてDNAの1本鎖
のものに対応させたものであり、基本的に実施の形態1
の遺伝子診断装置と同一であるから、特徴部分の説明を
行うにとどめ、詳細な説明は実施の形態1に譲って省略
する。
【0065】図8に示すように、実施の形態2の遺伝子
診断装置では、分離用DNAコンジュゲート21と遅延
用DNAコンジュゲート22と1本鎖のDNA試料23
を直接分離部12内に導入する。すなわち、電気泳動部
6を基本的に分離部12だけで構成している。実施の形
態1の高温部10、断熱部11は存在しない。分離用密
閉流路カートリッジの形式で導入する場合は、この順序
で分離用DNAコンジュゲート21と遅延用DNAコン
ジュゲート22とDNA試料23が充填されたキャピラ
リー管19を、測定ごとに交換して分離部12に装着す
る。
【0066】実施の形態1においては、2本鎖のDNA
試料23が供給され、これを自動的に1本鎖にするため
に高温部10が設けられている。しかし、実施の形態2
においてはDNA試料23として供給されるのが1本鎖
のDNAであり、2本鎖のDNAを分離する必要がない
ため高温部10と断熱部11が不要になっている。従っ
て、測定開始時には、分離用DNAコンジュゲート21
と遅延用DNAコンジュゲート22が分離部12付近、
DNA試料23が分離部12の入口付近になるように配
置さえすれば、測定を直ちに実行できる。そして、分離
部12の第2温調器14は、実施の形態1と同様に15
℃〜80℃、望ましくは20℃〜60℃の温度範囲の所
定温度に保つように制御される。このように温度制御す
ることで、DNA試料23を、分離用DNAコンジュゲ
ート21と遅延用DNAコンジュゲート22によって、
正常DNAと異常DNAとノイズDNAに分離すること
ができる。
【0067】このように、実施の形態2の遺伝子診断装
置は、高温部10と断熱部11が不要であるから、診断
装置の構成が簡単化でき、制御も容易で、扱い易いもの
とすることができる。
【0068】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下の
ような有利な効果が得られる。
【0069】請求項1に記載された遺伝子診断装置は、
第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加し、DNA
試料は電気泳動することができるが、分離用DNAコン
ジュゲート、遅延用DNAコンジュゲートは高分子化合
物と結合したものであるから、泳動速度はDNA試料と
比較すると数%にすぎず(但し、高分子化合物の種類と
長さに依存する)、相対的には擬似固定状態にすること
ができる。従って、DNA試料は電気泳動によって、遅
延用DNAコンジュゲート、次いで、分離用DNAコン
ジュゲート部分を通過する。その際に、まず遅延用DN
Aコンジュゲートとの水素結合力差を利用して正常DN
Aと異常DNA群の泳動速度をノイズDNAに対して低
下させ、更に、分離用DNAコンジュゲートにより正常
DNAの泳動速度を異常DNAの泳動速度に対して低下
させることができる。
【0070】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
両コンジュゲートや試料の各濃度調整および両コンジュ
ゲートや試料の混合比率の調整がきわめて容易になる。
【0071】正常DNA及び異常DNAは移動しなが
ら、まず遅延用DNAコンジュゲートの結合力の作用を
受け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧を印加
したとき一番先に泳動されて検出部で検出される。しか
し、異常DNAには、遅延用DNAコンジュゲートのほ
か、分離用DNAコンジュゲートとの結合力(但し、正
常DNAに比べて一塩基分弱い)が作用し、コンジュゲ
ートとの作用をなかなか振り切れず、ノイズDNAより
も遅れて泳動され、ノイズDNAの次に検出部で検出さ
れる。正常DNAには最大の結合力が作用し、ノイズD
NAは勿論のこと、異常DNAよりも遅れて泳動され、
最後に検出部で検出される。これにより3つのDNAの
検出時間に差を生じさせることができる。電気泳動とD
NAの水素結合を利用するから数分〜十数分という短時
間のうちにDNAを分離でき、且つ所定の電圧を印加す
るだけで良いから分解能の高い最適電圧にきわめて簡単
に調整でき、正確にDNAの異常の有無を検出すること
ができ、小型、軽量、低ランニングコストの安価な装置
とすることができ、診断の自動化がきわめて容易であ
る。これにより、癌・糖尿病・高血圧・アルツハイマー
などの様々な遺伝子の変異に起因する疾患に関して、そ
の疾患に対する発症の危険性を予知し、発症前の予防あ
るいは極めて早期の発見をすることができる。また、各
個人が持つ遺伝子の多様性を調査することで、薬品の副
作用と効果の有無をあらかじめ推測し各個人に最も適合
した医薬品を提供することが可能になる。さらに、突然
変異が起き癌化してしまった組織から採取した遺伝子の
変異を速やかに決定して利用することができる。個人を
特定し、犯罪捜査や親子関係の特定、各個人のセキュリ
ティーの確保に決定的な信頼性を遺伝子診断装置によっ
て付与することができる。
【0072】請求項2に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路が分離用密閉流路カートリッジであるから、予
めリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液と、
分離用DNAコンジュゲート、遅延用DNAコンジュゲ
ート、DNA試料とを充填した分離用密閉流路カートリ
ッジを用意しておくことができ、測定毎に分離部に分離
用密閉流路カートリッジを交換して装着すればよく、測
定を簡単に且つ容易に行うことができる。
【0073】請求項3に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路が1以上設けられたから、密閉流路ごとに遅延
用DNAコンジュゲートと分離用DNAコンジュゲー
ト、DNA結合制御剤を変化させて、DNA試料の正常
DNAと異常DNAの分離環境を密閉流路ごとに変化さ
せることができる。
【0074】請求項4に記載された遺伝子診断装置は、
遅延用DNAコンジュゲートが1種類以上含まれている
から、泳動速度を遅延用DNAコンジュゲートの比率を
変えることで変化させることができる。
【0075】請求項5に記載された遺伝子診断装置は、
分離用DNAコンジュゲート及び/または遅延用DNA
コンジュゲートがビニル化したDNAであるから、DN
A試料の正常DNAと異常DNAを明確に分離して測定
することが可能となる。
【0076】請求項6に記載された遺伝子診断装置は、
分離部が内部の液体を20℃〜60℃に調整して正常D
NAと異常DNAを分離するから、正常DNAと異常D
NAを温度調整により分離用DNAコンジュゲートと遅
延用DNAコンジュゲートに結合したり離脱させたりす
ることが可能であり、結合力を温度で調整でき、分離後
それぞれを検出部で測定することが可能となる。
【0077】請求項7に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路が内径50〜100μmのフューズドシリカ製
キャピラリー管であるから、紫外線を90%以上透過で
き、紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出
が容易にできる。
【0078】請求項8に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路が溝のある板と紫外線が90%以上透過する板
との組み合わせであるから、紫外線を90%以上透過で
き、紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出
が容易にできる。
【0079】請求項9に記載の発明は、2重螺旋のDN
A試料を引き離して1本鎖のDNA試料とすることを特
徴とする請求項1〜8に記載の遺伝子診断装置であるか
ら、DNA試料を1重鎖とする前処理を行うことなくそ
のまま用いることができるので、更に診断の自動化を図
ることが可能である。
【0080】請求項10に記載された遺伝子診断方法
は、第2電極と第1電極間に所定の定電圧を印加し、D
NA試料は電気泳動することができるが、分離用DNA
コンジュゲート、遅延用DNAコンジュゲートは高分子
化合物と結合したものであるから、泳動速度はDNA試
料と比較すると数%にすぎず(但し、高分子化合物の種
類と長さに依存する)、相対的には擬似固定状態にする
ことができる。従って、DNA試料は電気泳動によっ
て、遅延用DNAコンジュゲート、次いで、分離用DN
Aコンジュゲート部分を通過する。その際に、まず遅延
用DNAコンジュゲートとの水素結合力差を利用して正
常DNAと異常DNA群の泳動速度をノイズDNAに対
して低下させ、更に、分離用DNAコンジュゲートによ
り正常DNAの泳動速度を異常DNAの泳動速度に対し
て低下させることができる。
【0081】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
両コンジュゲートや試料の各濃度調整および両コンジュ
ゲートや試料の混合比率の調整がきわめて容易になる。
【0082】正常DNA及び異常DNAは移動しなが
ら、まず遅延用DNAコンジュゲートの結合力の作用を
受け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧を印加
したとき一番先に泳動されて検出部で検出される。しか
し、異常DNAには、遅延用DNAコンジュゲートのほ
か、分離用DNAコンジュゲートとの結合力(但し、正
常DNAに比べて一塩基分弱い)が作用し、コンジュゲ
ートとの作用をなかなか振り切れず、ノイズDNAより
も遅れて泳動され、ノイズDNAの次に検出部で検出さ
れる。正常DNAには最大の結合力が作用し、ノイズD
NAは勿論のこと、異常DNAよりも遅れて泳動され、
最後に検出部で検出される。これにより3つのDNAの
検出時間に差を生じさせることができる。電気泳動とD
NAの水素結合を利用するから数分〜十数分という短時
間のうちにDNAを分離でき、且つ所定の電圧を印加す
るだけで良いから分解能の高い最適電圧にきわめて簡単
に調整でき、正確にDNAの異常の有無を検出すること
ができる。この遺伝子診断方法によれば、遺伝子の変異
に起因する疾患に関して、その疾患に対する発症の危険
性を予知し、予防と極めて早期の発見をすることができ
る。また、各個人が持つ遺伝子の多様性を調査すること
で、薬品の副作用と効果の有無をあらかじめ推測し、各
個人に最も適合した医薬品を提供することが可能にな
る。さらに、癌化してしまった組織から採取した遺伝子
の変異を速やかに決定することができる。個人を特定
し、犯罪捜査や親子関係の特定、各個人のセキュリティ
ーの確保に決定的な信頼性を与えることができる。
【0083】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. et al. <120> The apparatus and method for genetic testing <130> 2913040054 <140> <141> <150> JP P2001-047801 <151> 2001-02-23 <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 12 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 atcgcgtcta gc 12 <210> 2 <211> 12 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 tagcgcagat cg 12 <210> 3 <211> 12 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 3 atcacgtcta gc 12 <210> 4 <211> 8 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 4 gcagatcg 8
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の外観図
【図2】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の上蓋開放外観図
【図3】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の装置構成図
【図4】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の制御回路要部図
【図5】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の密閉流路内の分離用DNAコンジュゲートと遅延用D
NAコンジュゲートとDNA試料との導入状態図
【図6】(a)本発明の実施の形態1における遺伝子診
断装置の密閉流路内の分離用DNAコンジュゲートとD
NA試料との関係概念図 (b)本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置の
密閉流路内の遅延用DNAコンジュゲートとDNA試料
との関係概念図
【図7】経過時間と吸光度の関係図
【図8】本発明の実施の形態2における遺伝子診断装置
の装置構成図
【符号の説明】
1 電源スイッチ 2 操作ボタン 3 表示パネル 4 上蓋 5 筐体 6 電気泳動部 7 支持台 8 制御演算部 9 電源ボックス 9a 電源部 10 高温部 11 断熱部 12 分離部 13 第1温調器 14 第2温調器 15 検出部 15a D2ランプ 15b フォトダイオード 15c プリアンプ 15d A/Dコンバータ 16,17 電極 18 緩衝液 18a,18b 容器 18d リニアポリマーゲル 19 キャピラリー管 20 吸引ポンプ 21 分離用DNAコンジュゲート 22 遅延用DNAコンジュゲート 23 DNA試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 G01N 33/483 F G01N 33/483 33/50 P 33/50 27/26 311Z // C12N 15/09 ZNA 315K 325A 325E C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 森 一芳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 橋本 英明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西田 毅 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 前田 瑞夫 福岡県福岡市東区箱崎3丁目1番14号503 (72)発明者 片山 佳樹 福岡県福岡市西区横浜3丁目4番20号 Fターム(参考) 2G045 DA12 DA13 FB05 4B024 AA11 CA01 CA09 HA12 HA19 4B029 AA07 AA12 AA21 AA23 BB20 CC03 CC08 FA15 4B063 QA01 QA12 QA18 QA19 QQ02 QQ42 QR32 QR38 QR55 QS16 QS20 QS28 QS34 QS39 QX01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緩衝液を収容し第1電極が浸漬された第1
    容器と、 緩衝液を収容し第2電極が浸漬された第2容器と、 前記第1容器と前記第2容器間をリニアポリマーとDN
    A結合制御剤を含む緩衝液を充たして連絡した密閉流路
    と、 前記第2電極に正電位を印加するとともに前記第1電極
    に負電位を印加する電源部と、 前記電源部を制御して前記第2電極と前記第1電極間に
    所定の定電圧を印加する制御部と、 前記密閉流路に設けられ、内部を通過するDNAの通過
    量を検出する検出部を備え、 前記密閉流路には、前記緩衝液の中に、 DNA試料に水素結合可能な第1の塩基配列と高分子化
    合物とが結合し、結合力の差から前記DNA試料を正常
    DNAと異常DNAに分離する分離用DNAコンジュゲ
    ートと、 第2の塩基配列と高分子化合物とが結合し、該第2の塩
    基配列が正常DNAと異常DNAとに対して同等の結合
    力を備えてノイズDNAだけを区別する遅延用DNAコ
    ンジュゲートと、 さらにDNA試料とが充填され、 前記定電圧を印加することにより前記密閉流路内のDN
    Aが電気泳動され、前記検出部が正常DNAと異常DN
    AとノイズDNAの通過量をそれぞれ測定することを特
    徴とする遺伝子診断装置。
  2. 【請求項2】前記密閉流路が、リニアポリマーとDNA
    結合制御剤を含む緩衝液で充たされ、且つ該緩衝液の中
    に前記分離用DNAコンジュゲートと前記遅延用DNA
    コンジュゲートとDNA試料とが分離状態で、リニアポ
    リマーを挟んでこの順序で充填された分離用密閉流路カ
    ートリッジであって、該分離用密閉流路カートリッジを
    交換可能に装着する分離部が設けられたことを特徴とす
    る請求項1記載の遺伝子診断装置。
  3. 【請求項3】前記密閉流路が1以上設けられたことを特
    徴とする請求項1または2に記載の遺伝子診断装置。
  4. 【請求項4】前記遅延用DNAコンジュゲートが1種類
    以上含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の遺伝子診断装置。
  5. 【請求項5】前記分離用DNAコンジュゲート及び/ま
    たは前記遅延用DNAコンジュゲートがビニル化したD
    NAであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の遺伝子診断装置。
  6. 【請求項6】前記密閉流路内の液体を20℃〜60℃に
    調整して正常DNAと異常DNAを分離することを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子診断装
    置。
  7. 【請求項7】前記密閉流路が内径50〜100μmのフ
    ューズドシリカ製キャピラリー管であることを特徴とす
    る請求項1〜6に記載の遺伝子診断装置。
  8. 【請求項8】前記密閉流路が溝のある板と紫外線が90
    %以上透過する板との組み合わせであることを特徴とす
    る請求項1〜7に記載の遺伝子診断装置。
  9. 【請求項9】2重螺旋のDNA試料を引き離して1本鎖
    のDNA試料とすることを特徴とする請求項1〜8に記
    載の遺伝子診断装置。
  10. 【請求項10】第1容器に緩衝液を収容して第1電極を
    浸漬するとともに第2容器にも緩衝液を収容して第2電
    極を浸漬し、 前記第1容器と前記第2容器間をリニアポリマーとDN
    A結合制御剤を含む緩衝液を充たして密閉流路で連絡
    し、 次いで、該密閉流路内の緩衝液の中に、前記DNA試料
    に水素結合可能な第1の塩基配列と高分子化合物とが結
    合し、結合力の差から前記DNA試料を正常DNAと異
    常DNAに分離する分離用DNAコンジュゲートを充填
    し、 続いて、第2の塩基配列と高分子化合物とが結合し、正
    常DNAと異常DNAとが該第2の塩基配列に対して同
    等の結合力を備えてノイズDNAだけを区別する遅延用
    DNAコンジュゲートを充填し、さらにDNA試料を加
    え、 その後、前記第2電極に正電位を印加するとともに前記
    第1電極に負電位を印加し、該第2電極と第1電極間に
    所定の定電圧を印加して、前記密閉流路内の緩衝液を電
    気泳動させ、正常DNAと異常DNAとノイズDNAを
    分離し、正常DNAの定量または異常DNAの定量、ま
    たは、正常DNAと異常DNAの比率、もしくは、異常
    DNAを検出することを特徴とする遺伝子診断方法。
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