JP2005324461A - 流延ダイ及び溶液製膜方法 - Google Patents

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JP2005324461A JP2004145423A JP2004145423A JP2005324461A JP 2005324461 A JP2005324461 A JP 2005324461A JP 2004145423 A JP2004145423 A JP 2004145423A JP 2004145423 A JP2004145423 A JP 2004145423A JP 2005324461 A JP2005324461 A JP 2005324461A
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Abstract

【課題】 各層の厚みと全厚みを均一としたフイルムを得る。
【解決手段】 主流ドープ12は、可塑剤を含む。副流ドープ14は、紫外線吸収剤を含み、副流ドープ15は、レターデーション制御剤を含む。ドープ12,14,15を流延ベルト32上に流延する。流延膜35を流延ベルト32から剥ぎ取り、テンタ乾燥機38,乾燥室40で乾燥する。冷却室41で冷却してフィルム42を得る。フィルム42を分光計45で測定しスペクトルを得る。スペクトル中の可塑剤,紫外線吸収剤及びレターデーション制御剤に起因するピークから各層の厚みの変動を算出する。算出結果に基づきコントローラ47でフィードブロック30及び流延ダイ31内の各ドープ12,14,15の量を制御してフィルムの各層の厚み及び全厚みの制御を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流延ダイ及び前記流延ダイを用いる溶液製膜方法に関する。
液晶表示装置などに用いられる偏光板保護フィルムや光学機能性フィルム(例えば、視野角拡大フィルムなど)などのベースフィルムには、セルロースエステルフィルム(以下、TACフィルムと称する)が用いられている。液晶表示装置の小型化に伴い、TACフィルムの薄手化のニーズが高まっている。また、さまざまな光学特性を有するTACフィルムのニーズも高まり、このような場合には、ドープに機能性発現剤を含有させたり、製膜工程途中で延伸したりして、所望の光学特性を付与している。TACフィルムは、支持体上にドープを流延し流延膜を形成し、熱風乾燥や冷却ゲル化により自己支持性を確保した後に、支持体から剥ぎ取り、延伸、乾燥等の工程を経る溶液製膜方法で製造している(例えば、非特許文献1参照。)。溶液製膜方法は、溶融押出方法と比較して光学特性に優れたフィルムを得ることができる。
TACフィルムを製膜する場合、非接触で、連続的にそのフィルム厚みを測定し製造している。また、その測定システムを含むダイリップ自動調整システムを用いて、フィルムの全厚みを目標値となるようにダイリップのギャップを調整して製膜する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
発明協会公開技報公技番号2001−1745号(22頁〜45頁) 特開2002−292660号公報 (2頁〜3頁,第1図)
近年はベースフィルムに複数の機能を付与するため、TACフィルムの多層化が進んでいる。各層の厚みが変化すると、フィルムの特性が変化し、所望の機能を発現しないおそれが生じる。そのため、一度製膜ラインの運転を停止し、各層が所望の厚みとなっているかを確認する必要があり、フィルムの全厚みのインライン制御だけでは、各層の厚みの制御を迅速に行うことが困難である。この場合には、製膜ラインの停止,再稼動を頻繁に行う必要があり、コスト高の原因となる。また、フィルムに付与する機能を変更する際にも、一度製膜ラインを停止して、各層を形成するドープの流延量を調製するため、切り替えを頻繁に行う必要があり、生産性の悪化を招くおそれがある。
本発明は、多層から形成されるフィルムの全厚みと各層の厚み比とを一定の範囲内に調整可能な流延ダイ及び前記流延ダイを用いる溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、多層から形成されるフィルムの全厚みと各層の厚みまたは厚み比を調整するためには、リップのギャップを調整するだけでは困難であることを見出した。そこで、第1に複数のドープが合流する位置での流延幅方向長さと合流部のスリットのギャップの調整を行う。第2として流延する際の幅と流延ダイのリップのギャップとを調整する。これらにより、フィルムの全厚みと各層の厚みまたは厚み比とを最も好ましいものとすることができる。
本発明の流延ダイは、リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、前記流延ダイの上流側に前記複数のドープを合流させる合流手段を備え、前記合流手段に設けられた前記ドープが流れるスリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL1(mm)とし、前記リップの流延幅方向長さをL2(mm)としたときに、
0.05×L2≦L1(mm)≦0.5×L2である。前記合流手段は、前記スリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP1(mm)とし、前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP2(mm)としたときに、10≦P2(mm)≦100、
且つ2.0×(L1/L2)×P2≦P1(mm)≦20×(L1/L2)×P2であることが好ましい。
本発明の流延ダイは、リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、前記流延ダイの上流側に前記複数のドープを合流させる合流手段を備え、前記合流手段は、前記ドープが流れるスリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP1(mm)とし、前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP2(mm)とし、前記スリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL1(mm)とし、前記リップの流延幅方向長さをL2(mm)としたときに、
10≦P2(mm)≦100、
且つ2.0×(L1/L2)×P2≦P1(mm)≦20×(L1/L2)×P2である。
本発明の流延ダイは、リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、前記流延ダイ内に前記複数のドープを合流させる合流部を有し、前記合流部を形成する前記ドープが流れるスリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL3(mm)とし、前記リップの流延幅方向長さをL4(mm)としたときに、0.5×L4≦L3(mm)≦0.95×L4である。前記合流部は、前記スリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP3(mm)とし、前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP4(mm)としたときに、
10≦P4(mm)≦100、
且つ0.5×(L3/L4)×P4≦P3(mm)≦10×(L3/L4)×P4であることが好ましい。
本発明の流延ダイは、リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、前記流延ダイ内に前記複数のドープを合流させる合流部を有し、前記合流部は、前記ドープが流れるスリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP3(mm)とし、前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP4(mm)とし、前記スリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL3(mm)とし、前記リップの流延幅方向長さをL4(mm)としたときに、
10≦P4(mm)≦100、
且つ0.5×(L3/L4)×P4≦P3(mm)≦10×(L3/L4)×P4である。
前記ギャップ調整部材が、複数の左右ネジピッチを組み合わせた差動ネジと、前記差動ネジ間の隙間を除去する方向に与圧を付与する与圧手段とを備えるが好ましい。前記流延ダイが、少なくとも駆動源を有する調整機構を有することが好ましい。前記調整機構が、自動調整機構であることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、前記流延ダイを用い、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを合流させた後に、前記流延ダイのリップから流延し、多層からなるフィルムを製膜する場合であって、前記フィルムの全厚みと、前記多層の各層の厚みとを測定し、前記フィルムの全厚みの測定結果に基づき前記リップのギャップを調整し、且つ前記各層の厚みの測定結果に基づき前記流延ダイ内または前記流延ダイの上流側でドープが合流するスリットのギャップを調整し、前記各層の厚みを調整する。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを合流させた後に、流延ダイのリップから流延し、多層からなるフィルムを製膜する溶液製膜方法において、前記フィルムの全厚みと、前記多層の各層の厚みとを測定し、前記フィルムの全厚みの測定結果に基づき前記リップのギャップを調整し、且つ前記各層の厚みの測定結果に基づき前記流延ダイ内または前記流延ダイの上流側でドープが合流するスリットのギャップを調整し、前記各層の厚みを調整する。前記フィルムの両面の距離を測定し、その偏差から前記フィルムの厚みを算出することが好ましい。前記フィルムに250cm-1以上12500cm-1以下の波数の光を透過させて吸収量分布を測定し、前記吸収量分布に基づき前記各層の厚みを算出することが好ましい。
前記前記複数のドープのうち少なくとも1つに機能性発現剤を含有させたものを用いることが好ましい。前記機能性発現剤に可塑剤,レターデーション制御剤,紫外線吸収剤,疎水化剤,導電性材料,色素,顔料,ゲル化剤,紫外線硬化剤,電子線硬化剤のうち少なくとも1つを用いることが好ましい。前記機能性発現剤を含むドープに更にトレーサーを含めたものを用いることが好ましい。前記トレーサーを前記各層厚み比を調整するときのみ含有させることが好ましい。
前記フィルムの厚みの流延幅方向分布は、中央が最も薄く、両縁方向になだらかに厚くなるものであって、前記フィルム両縁のローレット部を除く最も厚い部分と最も薄い部分との厚み差を0.5μm以上5μm以下として製膜を行うことが好ましい。前記フィルムの製品となる各層厚み比の幅方向分布から、前記フィルムの全厚み分布を用いて計算された各層厚みの幅方向分布の中で、前記機能性発現剤量を有する層の厚みが、その厚み目標値の±3%以内の分布精度であることが好ましい。前記ポリマーにセルロースエステルを用いることが好ましく、セルロースアシレートを用いることがより好ましく、さらに好ましくはセルロースアセテートを用いることであり、最も好ましくはセルローストリアセテートを用いることである。
本発明には、前記溶液製膜方法により製膜されたフィルムを用いて構成された偏光板保護フィルム,光学機能性フィルムも含まれる。
本発明の流延ダイによれば、リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、前記流延ダイの上流側に前記複数のドープを合流させる合流手段を備え、前記合流手段に設けられた前記ドープが流れるスリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL1(mm)とし、前記リップの流延幅方向長さをL2(mm)とし、前記合流手段は、前記スリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP1(mm)とし、前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP2(mm)としたときに、
0.05×L2≦L1(mm)≦0.5×L2・・(1)
10≦P2(mm)≦100・・(2)
2.0×(L1/L2)×P2≦P1(mm)≦20×(L1/L2)×P2・・(3)
の各式で(1)と、(2)及び(3)と、の少なくともいずれかを満たすから、フィルムの全厚み若しくは各層の厚み又は厚み比を均一とする調整が可能となる。
本発明の流延ダイによれば、リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、前記流延ダイ内に前記複数のドープを合流させる合流部を有し、前記合流部を形成する前記ドープが流れるスリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL3(mm)とし、前記リップの流延幅方向長さをL4(mm)とし、前記合流部は、前記スリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP3(mm)とし、前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP4(mm)としたときに、
0.5×L4≦L3(mm)≦0.95×L4・・(4)
10≦P4(mm)≦100・・(5)
0.5×(L3/L4)×P4≦P3(mm)≦10×(L3/L4)×P4・・(6)
の各式で(4)と、(5)及び(6)と、の少なくともいずれかを満たすから、フィルムの全厚み若しくは各層の厚み又は厚み比を均一とする調整が可能となる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記本発明に係る流延ダイを用い、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを合流させた後に、前記流延ダイのリップから流延し、多層からなるフィルムを製膜する場合であって、前記フィルムの全厚みと、前記多層の各層の厚みとを測定し、前記フィルムの全厚みの測定結果に基づき前記リップのギャップを調整し、且つ前記各層の厚みの測定結果に基づき前記流延ダイ内または前記流延ダイの上流側でドープが合流するスリットのギャップを調整し、前記各層の厚みを調整するから、インラインでフィルムの全厚み若しくは各層の厚み又は厚み比を均一とする調整が可能となるので、得られたフィルムの各層の厚みまたは厚み比が略一定であるため、機能性が同一のフィルムを得ることができる。
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを合流させた後に、流延ダイのリップから流延し、多層からなるフィルムを製膜する溶液製膜方法において、前記フィルムの全厚みと、前記多層の各層の厚みとを測定し、前記フィルムの全厚みの測定結果に基づき前記リップのギャップを調整し、且つ前記各層の厚みの測定結果に基づき前記流延ダイ内または前記流延ダイの上流側でドープが合流するスリットのギャップを調整し、前記各層の厚みを調整するから、インラインでフィルムの全厚み若しくは各層の厚み又は厚み比を均一とする調整が可能となるので、得られたフィルムの各層の厚みまたは厚み比が略一定であるため、機能性が同一のフィルムを得ることができる。
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは、特に限定されるものではない。具体的には、ポリアミド類,ポリオレフィン類,ノルボルネン類,ポリスチレン類,ポリカーボネート類,ポリスルホン類,ポリアクリル酸類,ポリメタクリル酸類,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Polyetheretherketone)類,ポリビニルアルコール類,ポリビニルアセテート類,セルロース誘導体(例えば、低級脂肪酸エステル,セルロースアシレートなど)などが挙げられる。なお、製膜されたフィルムの光学異方性が小さくなるセルロース誘導体(セルロースエステル)、好ましくはセルロースアシレート、より好ましくはセルロースアセテート、さらに好ましくはセルローストリアセテート、最も好ましくは酢化度59.5%〜62.5%のセルローストリアセテートを用いることである。
[溶媒]
溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン,クロロホルムなど),エステル類(例えば、蟻酸メチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸アミル,酢酸ブチルなど),エーテル類(例えば、ジオキサン,ジオキソラン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど),芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン,トルエン,キシレンなど),脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン,ヘプタンなど),アルコール類(例えば、メタノール,エタノール,n−ブタノールなど),ケトン類(例えば、シクロペンタノン,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなど)などが挙げられる。また、これら溶媒は、単独で用いても良いし、混合させた混合溶媒として用いても良い。
[機能性発現剤]
フィルムに機能性を付与するために、ドープ中に様々な機能性発現剤(以下、添加剤と称する)を含有させることが好ましい。多層からなるフィルムの各層に所望の添加剤を含有させる。添加剤としては、可塑剤,レターデーション制御剤,紫外線吸収剤,疎水化剤,導電性材料,色素,顔料,ゲル化剤,紫外線硬化剤,電子線硬化剤などが挙げられる。
可塑剤として、リン酸エステル系(例えば、トリフェニルフォスフェート(以下、TPPと称する)、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート(以下、BDPと称する)、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェートなど)、フタル酸エステル系(例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、グリコール酸エステル系(例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなど)およびその他の可塑剤を用いることができる。これら添加剤は単独使用または併用してよい。これら可塑剤は、ドープ中のポリマーに対して2重量%〜30重量%含むように調製することが望ましい。さらに、特開平11−80381号公報、同11−124445号公報、同11−248940号公報に記載されている可塑剤も添加することができる。
また、光学異方性をコントロールするためのレターデーション制御剤も、ドープに添加してもよい。それらは、セルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション制御剤として使用することが好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。なお、ドープ中のポリマーに対して0.01重量%〜20重量%を含むように調製することが望ましい。
芳香族炭化水素環は、6員環(例えば、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
ドープには、紫外線吸収剤を添加することもできる。特に、好ましくは一種または2種以上の紫外線吸収剤を含有することである。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアゾール系化合物,サリチル酸エステル系化合物,ベンゾフェノン系化合物,シアノアクリレート系化合物,ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要な着色が少ないことから、好ましい。さらには、特開平8−29619号公報に記載されているベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、あるいは同8−239509号公報に記載されている紫外線吸収剤も添加することができる。その他、公知の紫外線吸収剤を添加しても良い。これら紫外線吸収剤は、フィルム中に0.2g/m2 〜5.0g/m2 含むように調製することが望ましい。
好ましい紫外線防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール,ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が最も好ましい。また例えば、N,N´−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンなどのヒドラジン系化合物の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系加工安定剤を併用してもよい。
疎水化剤としては、トリス(ビフェニル)フォスフェート,トリス(トリデシルフェニル)フォスフェート,トリメリット酸トリオクタデシルエステル,トリオクタデカノイルグリセリン,クエン酸トリヘキサデシルエステルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これら疎水化剤は、ドープ中に0.01重量%〜1.0重量%を含むように調製することが望ましい。
導電性材料としては、金属の酸化物または窒化物を主成分とする導電性無機微粒子が好ましい。その主成分は、酸化錫,酸化インジウム,酸化亜鉛,窒化チタンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これら導電性材料は、ドープ中のポリマーに対して0.01重量%〜20重量%を含むように調製することが望ましい。
ゲル化剤、特にオイルゲル化剤は、公知のいずれをも用いることが可能であるが、以下に示すものを用いることが本発明では好ましい。オイルゲル化剤である化合物については、公知文献(例えば、J.Chem.Soc.Japan,Ind.Chem.Soc.,46,779(1943) 、J.Am.Chem.Soc.,111,5542(1989) 、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,390 、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,35,1949(1996) 、Chem.Lett.,1996,885 、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1997,545 )に記載されている。また、高分子論文集(VOL.55,No.10,585-589(Oct.,1998))、表面(VOL.36,No.6,291-303(1998))、繊維と工業(VOL.56,No.11,329-332(2000))、特開平7−247473号、特開平7−247474号、特開平7−247475号、特開平7−300578号、特開平10−265761号、特開平7−208446号、特開2000−3003号、特開平5−230435号、および特開平5−320617号の各公報に、「ゲル化剤」または「オイルゲル化剤」として記載されている素材も適用できる。または、表面(VOL.36,No.6,291-303(1998))、繊維と工業(VOL.56,No.11,329-332(2000)に記載されているものを用いることも可能である。
また、オイルゲル化剤には、前述したもの以外で下記に示すものも用いることが可能であるが、本発明のオイルゲル化剤は、それらに限定されるものではない。例えば、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している糖、炭素原子数が5乃至100の脂肪酸、炭素原子数が5乃至100のアミノ酸、炭素原子数が5乃至100の環状ジペプチド、炭素原子数が5乃至100のアミド、ステロイド構造を有するエステル、炭素原子数が6乃至100のフェノール、炭素原子数が5乃至100のエーテル、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合しているラクトン、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している尿素、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合しているビオチン(ビタミンH)、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合しているアルドン酸、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合しているバルビツール酸、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している芳香族ヘテロ環化合物および炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している脂環式化合物が好ましく用いられる。
前述した脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基を意味する。アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。置換アルキル基、置換アルケニル基および置換アルキニル基のアルキル部分、アルケニル部分およびアルキニル部分は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基と同様である。置換アルキル基、置換アルケニル基および置換アルキニル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、アミノ、カルバモイル、スルファモイル、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR・R’、−CO−NH−R、−CO−NR・R’、−SO2 −NH−Rおよび−SO2 −NR・R’が含まれる。R、R’は、脂肪族基、芳香族基または複素環基であり、それらは同一の置換基であっても良いし、異なった置換基であっても良い。
前記芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましい。置換アリール基のアリール部分は、アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、アミノ、カルバモイル、スルファモイル、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−NR・R’、−CO−NH−R、−CO−NR・R’、−SO2 −NH−Rおよび−SO2 −NR・R’が含まれる。R、R’は、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。複素環基は、無置換複素環基または置換複素環基を意味する。複素環基の複素環は、5員環、6員環またはそれらの縮合環であることが好ましい。置換複素環基の置換基の例は、置換アリール基の置換基の例と同様である。
前記芳香族基または脂肪族基は、糖アルコール、ラクトン、尿素、ビオチン、アルドン酸、バルビツール酸、芳香族ヘテロ環化合物または脂環式化合物に、直結または連結基を介して結合できる。連結基は、−NH−、−O−、−CO−またはこれらの組み合わせからなることが好ましい。
前記糖は、糖アルコールであってもよい。糖は、グルコースおよびがラクトースが好ましい。糖アルコールは、ソルビトールが好ましい。炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している糖(および糖アルコール)の例には、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、4−アミノフェニル−α−D−グルコピラノシド、4−アミノフェニル−α−D−ガラクトピラノシド、4−アミノフェニル−α−D−マンノピラノシド、4−アミノフェニル−β−D−グルコピラノシド、4−アミノフェニル−β−D−ガラクトピラノシド、2−アミノフェニル−β−D−グルコピラノシド、2−アミノフェニル−β−D−ガラクトピラノシド、4−アミノフェニル−2−O,3−O,4−O,6−O−テトラアセチル−β−D−グルコピラノシド、4−アミノフェニル−2−O,3−O,4−O,6−O−テトラアセチル−β−D−ガラクトピラノシド、4−アミノフェニル−4−O,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシド、4−アミノフェニル−4−O,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシド、4−アミノフェニル−4−O,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシド、メチル−4−O,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシド、メチル−4−O,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシド、メチル−4−O,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシド、メチル−4−O,6−O−ベンジリデン−β−D−ガラクトピラノシド、メチル−4−O,6−O−ベンジリデン−α−D−マンノピラノシド、1−O,3−O:2−O,4−O−ビス(ベンジリデン)−D−ソルビトール、1−O,3−O:2−O,4−O−ビス(ベンジリデン)−5−O−メチル−D−ソルビトール、1−O,3−O:2−O,4−O−ビス(ベンジリデン)−6−O−メチル−D−ソルビトールが含まれる。
脂肪酸は、置換基(例、ヒドロキシル)を有していてもよい。炭素原子数が5乃至100の脂肪酸の例には、12−ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
炭素原子数が5乃至100のアミノ酸は、通常の(天然の)アミノ酸に、芳香族基または脂肪族基が結合している分子構造を有していてもよい。炭素原子数が5乃至100のアミノ酸の例には、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α、ラウロイルグルタミン酸ラウリルアミン塩、ラウロイルグルタミン酸ジラウリルエステル、ジカプリロイルリジンラウリルアミン塩、ジカプリロイルリジンラウリルエステル、ラウロイルフェニルアラニンラウリルアミン塩が含まれる。
炭素原子数が5乃至100の環状ジペプチド(2,5−ジケトピペラジン誘導体)は、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、アスパラギン酸エステル、グルタミン酸、グルタミン酸エステルおよびフェニルアラニンからなる群より選ばれる二個のアミノ酸から形成されることが好ましい。炭素原子数が5乃至100の環状ジペプチドの例には、3α−メチルピペラジン−2,5−ジオン、3α−イソプロピルピペラジン−2,5−ジオン、3α−(2−メチルプロピル)ピペラジン−2,5−ジオン、3α−ベンジルピペラジン−2,5−ジオン、3α−フェニルピペラジン−2,5−ジオン、3α,6α−ジイソプロピルピペラジン−2,5−ジオン、3α−(2−メチルプロピル)−6α−イソプロピルピペラジン−2,5−ジオン、3α,6α−ビス(2−メチルプロピル)ピペラジン−2,5−ジオン、3α−(2−メチルプロピル)−6α−ベンジルピペラジン−2,5−ジオン、3α,6α−ジベンジルピペラジン−2,5−ジオン、3−(3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル)プロパン酸エチル、3−(5β−イソプロピル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル)プロパン酸エチル、3−(5β−イソプロピル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル)プロパン酸ドデシル、3−(5β−イソプロピル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル)プロパン酸オクタデシル、3−(5β−イソプロピル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル)プロパン酸−3,7−ジメチルオクチル、3−(5β−イソプロピル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル)プロパン酸−2−エチルヘキシル、3−[5β−(2−メチルプロピル)−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル]プロパン酸、3−[5β−(2−メチルプロピル)−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル]プロパン酸エチル、3−[5β−(2−メチルプロピル)−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル]プロパン酸ドデシル、3−[5β−(2−メチルプロピル)−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル]プロパン酸−3,7−ジメチルオクチル、3−[5β−(2−メチルプロピル)−3,6−ジオキソピペラジン−2β−イル]プロパン酸ベンジル、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸ブチル、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸ドデシル、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸−3,7−ジメチルオクチル、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸−2−エチルヘキシル、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸−3,5,5−トリメチルヘキシル、5β−ベンジル−3,6−ジオキソピペラジン−2β−酢酸−2−エチルブチルが含まれる。
炭素原子数が5乃至100のアミドの例には、γ−ビス−n−ブチルアミド、3,5−トリス[フェニル[4−[(1−オキソオクタデシル)アミノ]フェニル]アミノ]ベンゼン、トリス[4−[フェニル[4−[(1−オキソオクタデシル)アミノ]フェニル]アミノ]フェニル]アミン、5,5−ジメチルヒダントイン、N,N’−(1,12−ドデカンジイル)ビス[N−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−バリンアミド]、N,N’−(1,12−ドデカンジイル)ビス[N−α−(エトキシカルボニル)−L−バリンアミド]、N,N’−(1,12−ドデカンジイル)ビス[N−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−イソロイシンアミド]、N,N’−(1,12−ドデカンジイル)ビス[N−α−(エトキシカルボニル)−L−イソロイシンアミド]、N,N’−エチレンビス[N−α−(エトキシカルボニル)−L−バリンアミド]、N,N’,N’’−トリプロピルベンゼン−1,3,5−トリカルボアミド、N,N’,N’’−トリオクチルベンゼン−1,3,5−トリカルボアミド、N,N’,N’’−トリドデシルベンゼン−1,3,5−トリカルボアミド、N,N’,N’’−トリオクタデシルベンゼン−1,3,5−トリカルボアミド、N,N’,N’’−トリス(3,7−ジメチルオクチル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボアミド、N,N’,N’’−トリス(1−ヘキシルノニル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボアミド、ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド、ラウロイルグルタミン酸ジステアリルアミド、ラウロイルバリンブチルアミド、ラウロイルフェニルアラニンラウリルアミド、ジカプリロイルリジンラウリルアミド、が含まれる。
ステロイド構造を有するエステルは、スピンラベル化ステロイド、コレステロール誘導体やコール酸誘導体を含む。ステロイド構造を有するエステルの例には、N−ε−ラウロイル−N−α−ステアリルアミノカルボニル−L−リジンエチル(4−α−D−グルコピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、(4−α−D−ガラクトピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、(4−α−D−マンノピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、(4−β−D−グルコピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、(4−β−D−ガラクトピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、(2−β−D−グルコピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、(2−β−D−ガラクトピラノシルフェニル)カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、[4−(2−O,3−O,4−O,6−O−テトラアセチル−β−D−グルコピラノシル)フェニル]カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、[4−(2−O,3−O,4−O,6−O−テトラアセチル−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル]カルバミド酸コレスタ−5−エン−3β−イル、N,N’−ヘキサメチレンビス[4−[(3β−コレステリル)オキシ]−4−オキソブタンアミド]、N,N’−(ヘプタン−1,7−ジイル)ビス[4−[(3β−コレステリル)オキシ]−4−オキソブタンアミド]、N,N’−(オクタン−1,8−ジイル)ビス[4−[(3β−コレステリル)オキシ]−4−オキソブタンアミド]、N,N’−(ノナン−1,9−ジイル)ビス[4−[(3β−コレステリル)オキシ]−4−オキソブタンアミド]、N,N’−(デカン−1,10−ジイル)ビス[4−[(3β−コレステリル)オキシ]−4−オキソブタンアミド]、N,N’−(ドデカン−1,12−ジイル)ビス[4−[(3β−コレステリル)オキシ]−4−オキソブタンアミド]、N,N’−[トリメチレンビス[カルボニルイミノ(ピリジン−2,6−ジイル)]]ビス(カルバミド酸−3−コレステリル)、N,N’−[m−フェニレンビス[カルボニルイミノ(ピリジン−2,6−ジイル)]]ビス(カルバミド酸−3−コレステリル)が含まれる。
炭素原子数が6乃至100のフェノールは、環状オリゴマーを形成していてもよい。炭素原子数が5乃至100のエーテルの例には、2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセンが含まれる。炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合しているラクトンにおいて、ラクトンは、ブチロラクトンが特に好ましい。
、炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している尿素の例には、1,1’−ベンジリデンビス(3−ブチル尿素)、1,1’−ベンジリデンビス(3−ベンジル尿素)、1,1’−(4−クロロベンジリデン)ビス(3−ブチル尿素)、1,1’−(4−メトキシベンジリデン)ビス(3−ブチル尿素)、1,1’−[4−(ジメチルアミノ)ベンジリデン]ビス(3−ブチル尿素)、1,1’−(4−ニトロベンジリデン)ビス(3−ブチル尿素)、1,1’−ベンジリデンビス(3−メチル尿素)、1,1’−[(1S,2S)−シクロヘキサン−1,2−ジイル]ビス(3−ウンデシル尿素)、1,1’−[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジイル]ビス(3−ウンデシル尿素)、1,1’−[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジイル]ビス[3−(1−エチルペンチル)尿素]、1,1’−[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジイル]ビス[3−[3−(2−チエニル)プロピル]尿素]、4,4’−[[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジイル]ビス(イミノカルボニルイミノ)]ビス[ブタン酸2−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニルオキシ)エチル]、1,1’−[(1R,2S)−シクロヘキサン−1,2−ジイル]ビス(3−ウンデシル尿素)、1,1’−(1,2−フェニレン)ビス(3−ウンデシル尿素)、1,1’−(1,2−フェニレン)ビス(3−シクロヘキシル尿素)、1,1’−(1,2−フェニレン)ビス[3−(3−フェニルプロピル)尿素]、1,1’−(1,2−フェニレン)ビス[3−[3−(2−チエニル)プロピル]尿素]、1,1’−(1,3−フェニレン)ビス(3−ウンデシル尿素)、1,1’−(1,4−フェニレン)ビス(3−ウンデシル尿素)、1−ベンジル−3−オクチル尿素、1−ベンジル−3−シクロヘキシル尿素、1−ベンジル−3−(1−フェニルエチル)尿素、3,3’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(1−ベンジル尿素)、3,3’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス(1−ベンジル尿素)、3,3’−(ノナン−1,9−ジイル)ビス(1−ベンジル尿素)、3,3’−(ドデカン−1,12−ジイル)ビス(1−ベンジル尿素)が含まれる。
炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合しているアルドン酸において、アルドン酸は、グルコン酸が好ましい。炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している芳香族ヘテロ環化合物において、芳香族ヘテロ環化合物は、トリアミノピリミジンが特に好ましい。炭素原子数が6乃至100の芳香族基または炭素原子数が5乃至100の脂肪族基が結合している脂環式化合物において、脂環式化合物は、シクロヘキサンが特に好ましい。
オイルゲル化剤は、α―アミノラクタム構造を有することが特に好ましい。また、rac−(4aα*,8aβ*)−テトラヒドロ−2α*,6β*−ジフェニル−4β*−[(R*)−1,2−ジヒドロキシエチル][1,3]ジオキシノ[5,4−d]−1,3−ジオキシンも、オイルゲル化剤として使用できる。また、本発明において、ドープ中に添加するオイルゲル化剤の量は、特に限定されるものではないが、ドープ中のポリマーに対して0.01重量%〜30重量%を含むように調製することが望ましい。
さらに、機能発現剤である添加剤としては、マット剤,離型剤,フッ素系界面活性剤,剥離促進剤,劣化防止剤などを用いることもできる。
ドープには、フィルムの易滑性や高湿度下での耐接着性の改良のためにマット剤(微粒子粉体)を使用することができる。マット剤の表面の突起物の平均高さは0.005μm〜10μmが好ましく、より好ましくは0.01μm〜5μmである。その突起物は表面に多数ある程良いが、必要以上に多いとへイズとなり問題である。また、1次粒子径が、1nm〜500nmの範囲のものを用いることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。使用されるマット剤としては、無機化合物、有機化合物ともに使用可能である。無機化合物としては、硫酸バリウム、マンガンコロイド、二酸化チタン、硫酸ストロンチウムバリウム、酸化ケイ素系(例えば、二酸化ケイ素など)、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウムなどの無機物の微粉末があるが、さらに例えば湿式法やケイ酸のゲル化より得られる合成シリカ等の二酸化ケイ素やチタンスラッグと硫酸により生成する二酸化チタン(ルチル型やアナタース型)等が挙げられる。
また、粒径の比較的大きい、例えば20μm以上の無機物から粉砕した後、分級(振動濾過、風力分級など)することによっても得られる。有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系粉末、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂、澱粉等の有機高分子化合物の粉砕分級物もあげられる。あるいは懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物、または無機化合物を用いることができる。また、微粒子粉体は、あまり多量に添加するとフィルムの柔軟性が損なわれるなどの弊害も生じるため、フィルム中に0.01g/m2 〜1g/m2 含有されるように調製することが望ましい。
また、ドープには、離型操作を容易にするための離型剤を添加することもできる。離型剤には、高融点のワックス類、高級脂肪酸およびその塩やエステル類、シリコーン油、ポリビニルアルコール、低分子量ポリエチレン、植物性タンパク質誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。離型剤の添加量は、フィルムの表面の光沢や平滑性に影響を及ぼすため、ドープ中のポリマーに対して0.005重量%〜1.0重量%を含むように調製することが望ましい。
ドープには、フッ素系界面活性剤を添加することもできる。フッ素系界面活性剤は、フルオロカーボン鎖を疎水基とする界面活性剤であり、表面張力を著しく低下させるため有機溶媒中での塗布剤や、帯電防止剤として用いられる。フッ素系界面活性剤としては、C8 17CH2 CH2 O−(CH2 CH2 O)10−OSO3 Na、C8 17SO2 N(C3 7 )(CH2 CH2 O)16−H、C8 17SO2 N(C3 7 )CH2 COOK、C7 15COONH4 、C8 17SO2 N(C3 7 )(CH2 CH2 O)4 −(CH2 4 −SO3 Na、C8 17SO2 N(C3 7 )−(CH2 3 −N+ (CH3 3 ・I- 、C8 17SO2 N(C3 7 )CH2 CH2 CH2 + (CH3 2 −CH2 COO- 、C8 17CH2 CH2 O(CH2 CH2 O)16−H、C8 17CH2 CH2 O(CH2 3 −N+ (CH3 3 ・I- 、H(CF2 8 −CH2 CH2 OCOCH2 CH(SO3 )COOCH2 CH2 CH2 CH2 −(CF2 8 −H、H(CF2 6 CH2 CH2 O(CH2 CH2 O)16−H、H(CF2 8 CH2 CH2 O(CH2 3 −N+ (CH3 3 ・I- 、H(CF2 8 CH2 CH2 OCOCH2 CH(SO3 )COOCH2 CH2 CH2 CH2 8 17、C9 17−C6 4 −SO2 N(C3 7 )(CH2 CH2 O)16−H、C9 17−C6 4 −CSO2 N(C3 7 )−(CH2 3 −N+ (CH3 3 ・I- などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。ドープ中のポリマーに対して0.005重量%〜1.0重量%を含むように調製することが望ましい。
さらに、剥離時の荷重を小さくするための剥離促進剤も、ドープに添加してもよい。それらは、界面活性剤が有効であり、リン酸系,スルフォン酸系,カルボン酸系,ノニオン系,カチオン系などがあるが、これらに特に限定されない。これらの剥離促進剤は、例えば特開昭61−243837号などに記載されている。特開昭57−500833号にはポリエトキシル化リン酸エステルが剥離促進剤として開示されている。特開昭61−69845号には非エステル化ヒドロキシ基が遊離酸の形であるモノまたはジリン酸アルキルエステルをセルロースエステルに添加することにより迅速に剥離できることが開示されている。また、特開平1−299847号には非エステル化ヒドロキシル基およびプロピレンオキシド鎖を含むリン酸エステル化合物と無機物粒子を添加することにより剥離荷重が低減できることが開示されており、それらを用いることも可能である。また、ドープ中のポリマーに対して0.005重量%〜0.2重量%を含むように調製することが望ましい。
さらに、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤, 過酸化物分解剤, ラジカル禁止剤,金属不活性化剤,酸捕獲剤,アミンなど)や紫外線防止剤をドープに添加してもよい。これらの劣化防止剤や紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。また、ドープ中のポリマーに対して0.01重量%〜1.0重量%を含むように調製することが望ましい。
添加剤は、ポリマーを溶媒に溶解させるときに添加しても良いし、溶液製膜を行っている際に、調製されたドープにインラインで混合させても良い。また、添加剤を添加する際に、添加剤のみを添加しても良いし、添加剤を溶媒に溶解させた添加剤溶液を添加しても良い。
本発明では、多層から形成されるフィルムの各層の厚みは、後に説明するフーリエ変換赤外線吸収分析計(以下、FT−IRと称する)を用いて算出することが好ましい。製膜されたフィルムの近赤外線から赤外線領域(以下、赤外線領域と称する)の吸収スペクトルから特徴的なピークを見出し、そのピークの面積または高さによりフィルム中に含有している機能性発現剤の定量化を行う。
機能性発現剤の種類によっては、赤外線領域に定量を行うことが可能な特徴的なピークが見られないものもある。そこで、特徴的な機能を持たせる層を形成するためのドープ中にトレーサー(tracer)を含有させる。トレーサーには、赤外線領域で定量性に優れたピークを有する化合物を用いる。赤外線領域の光とは、明確に決められているものではないが、波数がおよそ14000cm-1〜10cm-1の範囲である。
トレーサーは赤外線吸収ピークの異なるものを用いることが好ましい。また、赤外線吸収ピークが小さいなどの場合を考慮すると、広い範囲の赤外線の吸収スペクトルを測定して分析し定量化することが好ましい。添加剤が赤外線領域で定量性に優れたピークを有する場合には、トレーサーの添加を省略しても良い。この場合には、添加剤そのものをトレーサーとして用い、そのピークを測定して、添加剤の含有量を定量化することでその層の厚みを算出する。
ポリマー及び必要な添加剤,トレーサーを溶媒に入れた後に、公知のいずれかの溶解方法により溶解させてドープを製造する。なお、添加剤,トレーサーが有機溶媒に難溶な難溶解物である場合には、溶媒中に極力均一に分散させる。以下の説明において、難溶解物を有機溶媒中に分散させることも溶解と称する。ドープ調製後は、濾過により異物を除去することが一般的である。濾過には、濾紙,濾布,不織布,金属メッシュ,焼結金属,多孔板などの公知の各種濾材を用いることが可能である。濾過することにより、ドープ中の異物,未溶解物を除去することができ、フィルム中の異物による欠陥を軽減することができる。
一度、調製したドープを加熱して、さらに溶解度の向上を図ることもできる。加熱には静置したタンク内で攪拌しながら加熱する方法、多管式,静止型混合器付きジャケット配管などの各種熱交換器を用いてドープを移送しながら加熱する方法などがある。また、装置の内部を加圧することにより、ドープの沸点以上の温度に加熱することも可能である。または、ドープを冷却させることで溶解を促進できることもある。これらの処理を施すことにより、溶解性の低い未溶解物を完全に溶解することができ、フィルム中の異物の減少、濾過の負荷軽減を図ることができる。
[溶液製膜方法]
図1に示すようにフィルム製膜ライン10のミキシングタンク11内に、前述した方法で調製される主流ドープ12を入れ攪拌翼13で攪拌して均一なものとする。なお、主流ドープ12からは、後に説明するが中間層が形成される。表層用の副流ドープ(以下、第1副流ドープと称する)14及び裏層用の副流ドープ(以下、第2副流ドープと称する)15もそれぞれミキシングタンク16,17に入れられ、攪拌翼18,19により攪拌されて均一なものとする。ドープ12,14,15は、送液ポンプ20,21,22により送液流量が調節されながら、濾過装置23,24,25に送られて不純物が除去される。その後にフィードブロック30で各ドープ12,14,15は合流して、合流ドープとして流延ダイ31に送られる。流延ダイ31の下方には流延ベルト32が設けられている。流延ベルト32は、駆動装置(図示しない)により回転する回転ローラ33,34の回転に伴いエンドレスで走行する。
流延ダイ31からドープ12,14,15を流延ベルト32上に共流延する。このときの流延幅は、好ましくは2000mm以上とし、より好ましくは1400mm以上とする。なお、共流延方法については、後に詳細に説明する。ドープ12,14,15は、流延ベルト32上で流延膜35となり、自己支持性を有するようになった後に、剥取ローラ36により支持されながら軟膜37として剥ぎ取られる。なお、図1には、支持体に流延ベルトを用いられたものを示すが、本発明に用いられる支持体はそれに限定されるものでなく、例えば流延ドラム(回転ドラム)などを用いても良い。
軟膜37は、テンタ乾燥機38に搬送され乾燥される。なお、この際に、所望のフィルムを得るために流延幅方向または搬送方向の少なくともいずれか1方向を延伸することが好ましい。これによりフィルム中のポリマーの配列を制御でき、光学等方性に優れるTACフィルムを得ることができる。また、フィルム表面に発生したシワ,ツレの矯正を行うこともできる。その後に、軟膜37は、多数のローラ39が備えられている乾燥室40に送られ乾燥された後に、冷却室41で冷却されてフィルム42となる。冷却温度は、特に限定されるものではないが、例えば、室温程度まで冷却すると、巻取機43で巻き取る際に、フィルム同士の密着を防ぐことができる。なお、以上の説明中の流延膜35,軟膜37,フィルム42は、厳密に定義されるものではなく、ドープから支持体上で形成されるものを流延膜35と称し、支持体から剥ぎ取ったものを軟膜37と称し、その軟膜37に含有している溶媒を一定量揮発させたものをフィルム42と称する。
流延膜35,軟膜37,フィルム42のいずれかの状態で全厚み測定装置でその全厚みを測定する。全厚み測定装置は、特に限定されるものではないが、例えば、フィルムの両面(表面及び裏面)に光を照射し、その照射光の距離の変動を偏差としてフィルムの厚みを算出する装置が挙げられる。このような非接触式装置を用いることがフィルムを連続的に製膜するために好ましい。図1に示されているように流延膜35の上方に非接触式全厚み測定装置44を設けても良い。または、剥取ローラ36で剥ぎ取った後の軟膜37の厚みを測定するために非接触式全厚み測定装置を設けても良い。各層厚み測定装置45を用いてテンタ乾燥機38で乾燥されたフィルム42を各層の厚みを算出する。具体的には、FT−IRによりフィルム42に赤外線領域の波数8000cm-1〜400cm-1の光を照射して、その吸収スペクトルを測定する。その吸収スペクトルを演算部46に送信し、吸収スペクトル中の特徴的なピークの面積または高さからフィルム42の各層の厚みまたは各層の厚み比を算出する。その結果に基づきフィードブロック30に取り付けられているコントローラ47を制御する。なお、各層厚み測定装置45の配置位置は図1に示されている個所に限定されるものではない。最後に、フィルム42は巻取機43でフィルムロール48として巻き取られる。
図2及び図3に示すフィードブロック30と流延ダイ31とについて説明する。フィードブロック30には、管50,51,52が取り付けられている。管50〜52は、フィードブロック30に形成されている流路53,54,55と接続している。管50と流路53とには、主流ドープ12を送液する。管51と流路54とには第1副流ドープ14を、管52と流路55とには第2副流ドープ15をそれぞれ送液する。ドープ12,14,15は、合流部56で合流して合流ドープ62となり流路57を通り、流延ダイ31へ送液される。また、流路54,55には、合流部56のギャップを制御するためのスリットギャップ調整板58,59が取り付けられている。スリットギャップ調整板58,59により合流ドープ62中の第1副流ドープ14,第2副流ドープ15の含有量を調整する。流延ダイ31には、流路57と接続される流路70と、合流ドープ62を流延幅方向に広げるマニホールド71とが形成されている。また、流延ダイ31のスリット面72とブロック73との隙間の先端であるリップ74から合流ドープ62が流延ベルト32上に流延される。
図4に示すようにスリットギャップ調整板58には、複数のギャップ調整ネジ(以下、合流部ギャップ調整ネジと称する)65が取り付けられている。なお、スリットギャップ調整板59も同じ形態であるので説明は省略する。合流部ギャップ調整ネジ65は、それぞれの中心間のピッチがP1(mm)となるように配列している。合流部ギャップ調整ネジ65に回動機構60が接続している。回動機構60,61は、コントローラ47により制御され、それぞれの合流部ギャップ調製ネジ65を独立して回動させて合流部56での流路54,55のギャップを略平行にしつつ、そのギャップを調整することが好ましい。
図5に示すようにブロック73にもギャップ調整ネジ(以下、流延部ギャップ調整ネジと称する)66が複数取り付けられている。流延部ギャップ調整ネジ66は、それぞれの中心間のピッチがP2(mm)となるように取り付けられており、回動機構75と接続している。回動機構75は、コントローラ47に制御され、各流延部ギャップ調整ネジ66を独立して回動させてリップ74のギャップを略平行にしつつ、そのギャップを調整することが好ましい。
合流ドープ62の液漏れを防ぐために幅規制板76,77が取り付けられている。本発明において、合流部56の流延幅方向長さ(以下、合流部幅と称する)L1とリップ74における流延幅方向長さ(以下、流延幅と称する)L2とが、0.05×L2≦L1(mm)≦0.5×L2・・(1)
の関係であることが好ましい。
合流部幅L1が(0.05×L2)より短いと合流部幅L1から流延幅L2に拡大する量が大きくなり、各層界面位置変化が大きく不安定となる場合がある。また、合流部幅L1が(0.5×L2)より長いと装置が大型のものが必要となり、コスト上昇を招いたり、装置の調整が煩雑となる場合がある。具体的には、合流部幅L1は、80mm〜800mmの範囲、流延幅L2は、1000mm〜4000mmの範囲であることが好ましいが、それら範囲に限定されるものではない。
さらに、本発明において、合流部幅L1,流延幅L2,ギャップ調整部材ピッチP1,P2の関係は、
10≦P2(mm)≦100・・(2)
且つ
2.0×(L1/L2)×P2≦P1(mm)≦20×(L1/L2)×P2・・(3)
とすることが好ましい。合流部ギャップ調整部材のピッチP1が、2.0×(L1/L2)×P2より小さいと装置の強度や精度が確保できない状態となる場合がある。また、20×(L1/L2)×P2より大きいと、幅方向の調整精度が不十分となる場合がある。また、流延部ギャップ調整ネジ66のピッチP2が10mmより狭いと、装置の強度や精度が確保できない状態となる場合がある。100mmより広いと幅方向調整精度が不十分となる場合がある。
なお、本発明に係る流延ダイ31はその上流側にドープ合流手段であるフィードブロック30を備え、前記(1)〜(3)を満たすものを用いることが最も好ましい。(1)を満たすことにより各層幅方向厚み分布の変化が小さく安定性が良くなる。また、(2)及び(3)を満たすことにより各層幅方向厚み分布の調整精度が向上する。
本発明の溶液製膜方法で行われる共流延法は、フィードブロックを用いる形態の他にマルチマニホールド流延ダイを用いて実施することもできる。図6及び図7を参照して説明する。マルチマニホールド流延ダイ80には、ドープ送液用の管81,82,83が取り付けられている。それぞれの管81,82,83から主流ドープ12,第1副流ドープ14,第2副流ドープ15が送液される。各ドープ12,14,15は、マルチマニホールド流延ダイ80に形成されている流路84,85,86で流延幅方向に拡幅されながらマニホールド87,88,89に送液される。マニホールド87〜89内でドープ12,14,15は、流延厚み方向に拡がる。その後に、各ドープ12,14,15は、流路90,91,92を通り、合流部93で合流する。流路91,92には、スリットギャップ調整板101,102がそれぞれ取り付けられている。これらスリットギャップ調整板に取り付けられているギャップ調整ネジには、回動機構103,104がそれぞれに接続している。コントローラ100からの信号に基づき、ギャップ調整ネジ110を回動させて、ギャップを略平行としつつ流路91,92のギャップの調整を行うことが好ましい。これにより、第1及び第2副流ドープ14,15の厚みまたは厚み比の制御を行う。各ドープ12,14,15が合流して合流ドープ106となる。
マルチマニホールド流延ダイ80のスリット面94とブロック95との隙間の先端がリップ96であり、このリップ96から合流ドープ106が支持体上に流延される。また、合流ドープ106の液漏れを防ぐために、幅規制板107,108が取り付けられている。なお、図では、下流側に向けて流路が広がる形態の幅規制板107,108を示すが本発明はその形態に限定されるものではない。
図8に示すようにスリットギャップ調整板101には、複数の合流部ギャップ調整ネジ110が取り付けられている。なお、スリットギャップ調整板102も同じ形態であるので説明は省略する。合流部ギャップ調整ネジ110は、それぞれの中心間のピッチがP3(mm)となるように配列している。合流部ギャップ調整ネジ110に回動機構103が接続している。回動機構103,104は、コントローラ100により制御され、それぞれの合流部ギャップ調整ネジ110を独立に回動させて合流部103での流路91,92のギャップを略平行にしつつ、そのギャップを調整することが好ましい。
図9に示すようにブロック95にも流延部ギャップ調整ネジ111が複数取り付けられている。流延部ギャップ調整ネジ111もそれぞれの中心間のピッチがP4(mm)となるように取り付けられており、回動機構105と接続している。回動機構105は、コントローラ100により制御され、各流延部ギャップ調整ネジ111を独立して回動させてリップ96のギャップを略平行にしつつそのギャップを調整することが好ましい。
合流部93における流路91,92の少なくともいずれか1つの合流部幅をL3(mm)とし、流延幅をL4(mm)とした場合に、
0.5×L4≦L3(mm)≦0.95≦0.95×L4・・(4)
の関係を有することが好ましい。
合流部幅L3が、0.5×L4より短いと合流部幅L3から流延幅L4に拡大する量が大きくなり各層界面位置変化が大きく不安定となる場合がある。また、0.95×L4より長いと、フィルム耳端部の厚みが不均一となる場合がある。また、具体的には、合流部幅L3は、500mm〜3800mmの範囲、流延幅L4は、1000mm〜4000mmの範囲であることが好ましいが、それらの範囲に限定されるものではない。
本発明において、合流部幅L3,流延幅L4,ギャップ調整部材ピッチP3,P4の関係は、
10≦P4(mm)≦100・・(5)
且つ
0.5×(L3/L4)×P4≦P3(mm)≦10×(L3/L4)×P4・・(6)
とすることが好ましい。合流部ギャップ調整部材のピッチP3が、0.5×(L3/L4)×P4より小さいと装置の強度や精度が確保できない状態となる場合がある。また、10×(L3/L4)×P4より大きいと、幅方向の調整精度が不十分となる場合がある。また、流延部ギャップ調整ネジ111のピッチP4が10mmより狭いと、装置の強度や精度が確保できない状態となる場合がある。100mmより広いと幅方向の調整精度が不十分となる場合がある。
なお、本発明に係るマルチマニホールド流延ダイ80は、流延ダイ80内部に合流部を有しており、前記(4)〜(6)を満たすものを用いることが好ましい。(4)を満たすことにより各層幅方向厚み分布の変化が小さく安定性が良くなる。また、(5)及び(6)を満たすことにより各層幅方向厚み分布の調整精度が向上する。。
ギャップ調整ネジ65,66,110,111は、複数の左右ネジピッチを組み合わせた差動ネジを有していることが好ましい。これら差動ネジの隙間を除去する方向に与圧を付与する与圧手段を備えていることが好ましい。
また、ギャップ調整ネジ65,66,110,111は、駆動装置を有していることが好ましい。これら駆動装置は、手動であっても良いが、製膜を連続して行うために自動機構であることがより好ましい。
以上、説明したように本発明の溶液製膜方法は、フィルム42の全厚みと各層厚み比とをインラインで全厚み測定装置44,各層厚み測定装置45を用いて測定し、その測定結果から各厚みを演算部46で算出する。その算出結果に基づき演算部46がコントローラ47へ各回動機構のシフト量を送信する。コントローラ47は、それらのシフト量に基づき、シフト機構をシフトさせることで、フィルム42の全厚みの制御と、各層の厚みまたは厚み比の制御を行うことが可能となる。
[フィルム]
図10に示す本発明の溶液製膜方法により製膜されるフィルム42は、両縁42a,42bがフィルム厚みが厚いローレット状となっている。このフィルム42の幅L5(mm)は900mm〜3500mmの範囲であることが好ましい。製膜の際に、両縁42a,42bを切断するいわゆる耳切処理を行なうことが好ましい。これにより、フィルム42の巻き取りの際に支障が生じないと共にロール状に巻き取ったフィルムロール48をそのまま商品として出荷できるのでコストの削減の点からも好ましい。
図11に示すように両縁42a,42bを切断したフィルム(以下、製品フィルムと称する)120の幅L6は、1000mm以上1800mm以下とすることが好ましく、この製品フィルム120を広幅フィルムと称する。この広幅フィルムを偏光板保護フィルムなどの光学機能性フィルムのベースフィルムに用いると、1バッチのフィルムロール48で破棄される箇所が減少するためにコスト低下を図ることができる。なお、本発明は、製品フィルムの幅L6が1800mmより大きいものを製膜する際にも適用可能である。
製品フィルム120は、表層121と中間層122と裏層123とから形成されている。製品フィルム120は、最も厚みが厚い箇所T1と最も薄い厚みT0との差(T1−T0)が0.5μm以上5μm以下となるように、流延及び耳切処理を行う。なお、最も厚みが厚い箇所は、通常耳きり処理がされる両縁42a,42b側である。また、厚みが最も薄くなる箇所は、製品フィルム120の中央部である。本発明では連続してフィルム42の全厚み測定を全厚み測定装置44を用いて測定し、インラインで流延ダイ31のリップ74のギャップの調整を行っている。そこで、製品フィルム120の平均厚みTave が、20μm以上85μm以下のいわゆる薄手のフィルムの製膜に適している。なお、本発明の溶液製膜方法を20μm以上400μm以下の範囲の製膜に適用することもできる。また、多層から形成されるフィルムは、図11に示すように3層に限定されるものではない。
表層121の厚みの平均値(以下、表層平均厚みと称する)をT2ave (μm),中間層122の厚み平均値(以下、中間層平均厚みと称する)をT3ave (μm),裏層123の厚み平均値(以下、裏層平均厚みと称する)をT4ave (μm)とする。各層121,122,123の平均厚みT2ave ,T3ave ,T4ave は、製品フィルム平均厚みTave と、各層の厚み比とから算出される。この場合に、表層厚みT2,中間層厚みT3,裏層厚みT4は、
0.97×T2ave ≦T2(μm)≦1.03×T2ave
0.97×T3ave ≦T3(μm)≦1.03×T3ave
0.97×T4ave ≦T4(μm)≦1.03×T4ave
となるように、コントローラ47で合流部56のギャップを調整する。
前述したように、本発明の溶液製膜方法は、多層から形成されるフィルム42の各層121,122,123の厚み比を連続的に各層厚み測定装置45を用いて測定し、その測定結果に基づき演算部46で各層の厚みまたは厚み比を算出する。その算出結果に基づき、コントローラ47により合流部56のギャップを調整するから、連続的に各層121〜123の厚みまたは厚み比を略均一に形成できるため、それら各層121〜123から形成されるフィルム42は、ほぼ均一に所望の特性を付与させることができる。
各層には、製品フィルム120に所望の特性を付与させるために、様々な添加剤が含まれている。例えば、製品フィルム120を偏光板の保護フィルムとして用いる例を挙げて説明する。偏光子には,ポリビニールフィルム(PVAフィルム)にヨウ素を吸着させて得られるものが好ましい。この偏光子をTACフィルムを保護フィルムとして挟み接着することで、偏光板が得られる。この場合に、PVAフィルムの上面側の保護フィルムには、自然光が照射される。自然光には、ポリマーの分解を促進する紫外線が含まれている。そこで、製品フィルム120の表層121に紫外線吸収剤を含有させることで、中間層122,裏層123さらには、偏光子のPVAフィルムの劣化を防止できる。
例えば、3層からなる製品フィルム120では、トレーサーとして表層121では紫外線吸収剤である(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンを用い、中間層122では可塑剤である(TPP/BDP=2/1)を用い、裏層123ではレターデーション制御剤であるN,N’,N’’−トリ−m−トルイル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンを用いる例が挙げられる。これら各化合物に起因する赤外線吸収スペクトルのピークは、フィルム中に含有している量に応じて、ピーク面積が大きくなるため定量に適している。そこで、本発明では、赤外線領域、特に8000cm-1〜400cm-1の領域の吸収スペクトルによりフィルムの表層121,中間層122,裏層123の厚み比を定量化することができる。
さらに、これら各ピークの検量線を予め作成し、演算部46に基準データとして入力しておくことで、各層121〜123の厚みを直接定量することもできる。なお、本発明の溶液製膜方法を行う際に、定量に用いられるピークは前述したものに限定されるものではない。用いられるピークは、特に限定されるものではないが、各層の含有量に応じてピーク面積または高さが変化し、さらに他の化合物の存在によってピークの波数のシフトが生じ難いものであれば良い。
本発明のフィルムの製造方法により得られたフィルム42または製品フィルム120は偏光板保護フィルムとして用いることができる。この偏光板保護フィルムをポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。さらに、フィルムに光学補償シートを貼付した光学補償フィルム、防眩層をフィルム上に形成した反射防止膜、視野角拡大フィルムなどの光学機能性フィルムとして用いることもできる。これら製品から、液晶表示装置の一部である液晶表示板を構成することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
第1副流ドープ14は、ジクロロメタン(64重量部),メタノール(16重量部)からなるジクロロメタン系混合溶媒を用いた。ポリマーには、木材パルプから合成された酢化度60.9%のTAC(18重量部)を用いた。添加剤は、紫外線吸収剤を0.015重量部,マット剤0.005重量部を用いた。混合溶媒をミキシングタンク16に入れた後に、溶媒温度を32℃〜36℃の範囲に保持しながら、TACを入れて攪拌翼18で30分間攪拌し粗溶解液を得た。その後に適宜添加剤を投入して30分間攪拌を行った。なお、このときも液温を32℃〜36℃の範囲に保持した。そして、目視で不溶解物が無いことを確認して第1副流ドープ14を得た。
主流ドープ12は、ジクロロメタン(64重量部),メタノール(16重量部),n−ブタノール(0.4重量部)からなるジクロロメタン系混合溶媒を用いた。ポリマーには、木材パルプから合成された酢化度60.9%のTAC(20重量部)を用いた。添加剤は、可塑剤(TPP:BDP=2:1)を2.4重量部を用いた。混合溶媒をミキシングタンク11に入れた後に、溶媒温度を32℃〜36℃の範囲に保持しながら、TACを入れて攪拌翼13で30分間攪拌し粗溶解液を得た。その後に適宜添加剤を投入して30分間攪拌を行った。なお、このときも液温を32℃〜36℃の範囲に保持した。そして、目視で不溶解物が無いことを確認して主流ドープ12を得た。
第2副流ドープ15は、ジクロロメタン(64重量部),メタノール(16重量部)からなるジクロロメタン系混合溶媒を用いた。ポリマーには、木材パルプから合成された酢化度60.9%のTAC(18重量部)を用いた。添加剤は、レターデーション制御剤0.5重量部,マット剤0.005重量部を用いた。混合溶媒をミキシングタンク17に入れた後に、溶媒温度を32℃〜36℃の範囲に保持しながら、TACを入れて攪拌翼19で30分間攪拌し粗溶解液を得た。その後に適宜添加剤を投入して30分間攪拌を行った。なお、このときも液温を32℃〜36℃の範囲に保持した。そして、目視で不溶解物が無いことを確認して第2副流ドープ15を得た。
流延ダイ31の上流側にフィードブロック30を取り付けた。合流部幅L1は、1200mmとし、流延幅L2は、1800mmとした(L1=0.07×L2)。また、スリットギャップ調整板58にからなる合流部ギャップ調整ネジ65を取り付けた。合流部ギャップ調整ネジ65のピッチP1は、15mmとした。また、流延部ギャップ調整ネジ66にもエア駆動による差動ネジを用いた。また、これら流延部ギャップ調整ネジ66のピッチP2は、25mmとした(P1=8.6×(L1/L2)×P2)。
各ドープ12,14,15を送液ポンプ20,21,22を用いてフィードブロック30へ送液した。乾燥後のフィルム42の厚みTave が60μmとなるように流延ダイ31から流延ベルト32へ流延した。表層121,中間層122,裏層123の厚みが、それぞれT2ave =10μm,T3ave =45μm,T4ave =5μmとなるようにスリットギャップ調整板58,59をそれぞれの回動機構60,61を用いて調整した。流延速度が60m/minとなるように回転ローラ33,34の回転駆動を制御した。流延ベルト32上に34℃の合流ドープ62を流延して流延膜35を形成した。流延膜35が自己支持性を有するものとなった後に、剥取ローラ36で支持しながら流延ベルト32から軟膜37として剥ぎ取った。次に、テンタークリップがピン形式のテンタ乾燥機38で130℃,3min乾燥させた。その後に乾燥室40で135℃,10minの条件で乾燥し、40℃〜80℃の冷却室41内を3分間通過させて冷却した。
全厚み測定装置44には、厚み計測装置(浜松ホトニクス(株)製 C8125−01を用いた。前記厚み計測装置は、近赤外光(波長1.3μm,波数7690cm-1 )をを流延膜35に照射し、その反射光を解析する装置である。
さらに、各層厚み測定装置45には、日本分光製FT/IR−60多成分定量測定装置を備えたものを用いた。表層121では、第1副流ドープ14に含有されていた紫外線吸収剤である2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンをトレーサーとした。また、中間層122では、主流ドープ12に含有されていた可塑剤(TPP/BDP=2/1)をトレーサーとした。さらに、裏層123では、第2副流ドープ15に含有されていたレターデーション制御剤である制御剤であるN,N’,N’’−トリ−m−トルイル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンをトレーサーとした。
前述した各ピークをモニタリングしながら、測定結果を演算部46に送信した。演算部46では、全厚みの幅方向分布,各層厚み比,残留揮発分(=測定時の厚み)を算出し、この結果と目標値の差を、コントローラ47に送信して回動機構60,61,75を起動させて各ギャップの調整を行い、目標値となるように制御した。
得られたフィルム42を50mm間隔で、25mm×25mmのサンプルとして26枚、切断した。これら各サンプルの全厚みをキーエンス製レーザー変位計により測定した。レーザー変位計フィルム42の表面と裏面との各面をスキャンし、その測定距離の変動からフィルム厚みTを測定した。なお、レーザー変位計は、高剛性の移動装置上にあり、厚み測定の誤差は±1μm以内が確保されるように設けた。また各層の厚み比をFT−IRで測定した結果に基づき、各層の厚みを算出した。さらに、平面複屈折率(面内レターデーション;Re)を測定した。面内レターデーションは、前記各サンプルを25℃,60%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH,王子計測(株))にて632.8nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より下記の式を用いて算出した。
Re=|nMD−nTD|×d
nMDは搬送方向の屈折率, nTDは幅方向の屈折率, dはフィルムの厚みを意味している。
サンプルフィルムの全厚みは、平均値が80μm,偏差が3μmであり、各層の厚みの平均値及び偏差は、表層が5μm,0.15μm、中間層が65μm,2μm、裏層が10μm,0.3μmであった。また、面内レターデーション値の平均値が60nm,偏差が1nmであった。このように、本発明のフィルムは、全厚み,各層の厚み,光学特性のいずれもが略均一であるものが得られることが分かった。
本発明の溶液製膜方法に用いられるフィルム製膜ラインの概略図である。 本発明の流延ダイの流延幅方向の断面図である。 図2の III−III 線の断面図である。 図2の流延ダイを説明するための図である。 図2の流延ダイを説明するための図である。 本発明の他の実施形態の流延ダイの流延幅方向の断面図である。 図6のVII − VII線の断面図である。 図6の流延ダイを説明するための図である。 図6の流延ダイを説明するための図である。 本発明の溶液製膜方法により製膜されたフィルムの断面図である。 図10のフィルムから得られる製品フィルムの断面図である。
符号の説明
10 フィルム製膜ライン
30 フィードブロック
31 流延ダイ
42 フィルム
44 全厚み測定装置
45 各層厚み測定装置
80 マルチマニホールド流延ダイ

Claims (20)

  1. リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、
    前記流延ダイの上流側に前記複数のドープを合流させる合流手段を備え、
    前記合流手段に設けられた前記ドープが流れるスリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL1(mm)とし、
    前記リップの流延幅方向長さをL2(mm)としたときに、
    0.05×L2≦L1(mm)≦0.5×L2であることを特徴とする流延ダイ。
  2. 前記合流手段は、前記スリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、
    前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、
    前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP1(mm)とし、
    前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP2(mm)としたときに、
    10≦P2(mm)≦100、
    且つ2.0×(L1/L2)×P2≦P1(mm)≦20×(L1/L2)×P2であることを特徴とする請求項1記載の流延ダイ。
  3. リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、
    前記流延ダイの上流側に前記複数のドープを合流させる合流手段を備え、
    前記合流手段は、前記ドープが流れるスリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、
    前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、
    前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP1(mm)とし、
    前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP2(mm)とし、
    前記スリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL1(mm)とし、
    前記リップの流延幅方向長さをL2(mm)としたときに、
    10≦P2(mm)≦100、
    且つ2.0×(L1/L2)×P2≦P1(mm)≦20×(L1/L2)×P2であることを特徴とする流延ダイ。
  4. リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、
    前記流延ダイ内に前記複数のドープを合流させる合流部を有し、
    前記合流部を形成する前記ドープが流れるスリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL3(mm)とし、
    前記リップの流延幅方向長さをL4(mm)としたときに、
    0.5×L4≦L3(mm)≦0.95×L4であることを特徴とする流延ダイ。
  5. 前記合流部は、前記スリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、
    前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、
    前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP3(mm)とし、
    前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP4(mm)としたときに、
    10≦P4(mm)≦100、
    且つ0.5×(L3/L4)×P4≦P3(mm)≦10×(L3/L4)×P4であることを特徴とする請求項4記載の流延ダイ。
  6. リップから複数のドープを流延する流延ダイにおいて、
    前記流延ダイ内に前記複数のドープを合流させる合流部を有し、
    前記合流部は、前記ドープが流れるスリットのギャップを調整する複数の第1ギャップ調整部材が前記スリットの流延幅方向に配列されたものと、
    前記リップのギャップを調整する複数の第2ギャップ調整部材とを有し、
    前記第1ギャップ調整部材の配列ピッチをP3(mm)とし、
    前記第2ギャップ調整部材の配列ピッチをP4(mm)とし、
    前記スリットのうち少なくとも1つの流延幅方向長さをL3(mm)とし、
    前記リップの流延幅方向長さをL4(mm)としたときに、
    10≦P4(mm)≦100、
    且つ0.5×(L3/L4)×P4≦P3(mm)≦10×(L3/L4)×P4であることを特徴とする流延ダイ。
  7. 前記ギャップ調整部材が、複数の左右ネジピッチを組み合わせた差動ネジと、
    前記差動ネジ間の隙間を除去する方向に与圧を付与する与圧手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つ記載の流延ダイ。
  8. 前記流延ダイが、少なくとも駆動源を有する調整機構を有することを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載の流延ダイ。
  9. 前記調整機構が、自動調整機構であることを特徴とする請求項8記載の流延ダイ。
  10. 請求項1ないし9いずれか1つ記載の流延ダイを用い、
    ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを合流させた後に、
    前記流延ダイのリップから流延し、多層からなるフィルムを製膜する場合であって、
    前記フィルムの全厚みと、前記多層の各層の厚みとを測定し、
    前記フィルムの全厚みの測定結果に基づき前記リップのギャップを調整し、且つ前記各層の厚みの測定結果に基づき前記流延ダイ内または前記流延ダイの上流側でドープが合流するスリットのギャップを調整し、前記各層の厚みを調整することを特徴とする溶液製膜方法。
  11. ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを合流させた後に、流延ダイのリップから流延し、多層からなるフィルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記フィルムの全厚みと、前記多層の各層の厚みとを測定し、
    前記フィルムの全厚みの測定結果に基づき前記リップのギャップを調整し、且つ前記各層の厚みの測定結果に基づき前記流延ダイ内または前記流延ダイの上流側でドープが合流するスリットのギャップを調整し、前記各層の厚みを調整することを特徴とする溶液製膜方法。
  12. 前記フィルムの両面の距離を測定し、
    その偏差から前記フィルムの厚みを算出することを特徴とする請求項10または11記載の溶液製膜方法。
  13. 前記フィルムに250cm-1以上12500cm-1以下の波数の光を透過させて吸収量分布を測定し、
    前記吸収量分布に基づき前記各層の厚みを算出することを特徴とする請求項10ないし12いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  14. 前記複数のドープのうち少なくとも1つに機能性発現剤を含有させたものを用いることを特徴とする請求項10ないし13いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  15. 前記機能性発現剤に可塑剤,レターデーション制御剤,紫外線吸収剤,疎水化剤,導電性材料,色素,顔料,ゲル化剤,紫外線硬化剤,電子線硬化剤のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項14記載の溶液製膜方法。
  16. 前記機能性発現剤を含むドープに更にトレーサーを含めたものを用いることを特徴とする請求項15記載の溶液製膜方法。
  17. 前記トレーサーを前記各層厚み比を調整するときのみ含有させることを特徴とする請求項16記載の溶液製膜方法。
  18. 前記フィルムの厚みの流延幅方向分布は、中央が最も薄く、両縁方向になだらかに厚くなるものであって、
    前記フィルム両縁のローレット部を除く最も厚い部分と最も薄い部分との厚み差を0.5μm以上5μm以下として製膜を行うことを特徴とする請求項10ないし17いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  19. 前記フィルムの製品となる各層厚み比の幅方向分布から、前記フィルムの全厚み分布を用いて計算された各層厚みの幅方向分布の中で、
    前記機能性発現剤量を有する層の厚みが、
    その厚み目標値の±3%以内の分布精度であることを特徴とする請求項14ないし18いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  20. 前記ポリマーにセルロースエステルを用いることを特徴とする請求項10ないし19いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
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