JP2005322831A - 超伝導素子の封止剤及び封止方法並びに超伝導素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い信頼性を有するとともに耐雑音性に優れた高性能の超伝導素子、並びに、この超伝導素子を製造しうる超伝導素子の封止剤及び封止方法を提供する。
【解決手段】 基板10上には、SQUIDチップ12及びSQUIDチップ12を局所的に加熱するヒータ抵抗24が搭載されている。SQUIDチップ12と超伝導中継端子14,14及びパッド部17とはニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ20及びシリコン(Si)が含有されたアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤ22でそれぞれ接続されている。SQUIDチップ12、ヒータ抵抗24、及びボンディングワイヤ20,22は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分とし、封止剤の全組成物に対する無機フィラーの添加量が、70重量%以上90重量%以下であり、硬化後のガラス転移温度が40℃以下である封止樹脂26により封止されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば脳磁計で用いられるSQUID(超伝導量子干渉素子)チップ等の超伝導素子を封止するために用いられる封止剤及びその封止方法に関する。
脳磁計は、脳神経細胞の活動に伴って発生する極微弱な脳磁場を無侵襲、非接触で計測し、活動部位の3次元的局在推定や脳の時空間的な活動の解明、脳機能のマッピング作成等を行うことで脳活動の生理学的機能解明及び臨床的研究に用いられる。この脳磁計に設けられるセンサにSQUIDチップが用いられている。SQUIDチップを封止する技術としては、例えば以下の特許文献1〜3に開示された技術がある。
以下の特許文献1には、基板上にSQUIDチップを搭載するとともに、SQUIDチップと基板上に形成された金属端子とをボンディングワイヤで接続し、セラミックス、ポリカーボネイト、エポキシ、又はFRP(繊維強化プラスチック)等からなる樹脂製のカバー又はケースを基板に接着して、SQUIDチップ及びボンディングワイヤをカバー又はケースで密封して保護する技術が開示されている。
また、以下の特許文献2には、基板上にSQUIDチップを搭載するとともに、SQUIDチップと基板上に形成された金属端子とを鉛合金からなるボンディングワイヤで接続し、SQUIDチップとボンディングワイヤとをエポキシ樹脂で封止(モールド)する技術が開示されている。ここで、特許文献2では、SQUIDチップ及びボンディングワイヤの封止に用いるエポキシ樹脂の線膨張係数が鉛合金からなるボンディングワイヤの線膨張係数と近くなるように、石英粉末(50〜70重量%)及びシリコン樹脂又はウレタン樹脂(1〜20重量%)を配合したエポキシ樹脂でSQUIDチップ及びボンディングワイヤを封止している。
更に、以下の特許文献3には、基板上にSQUIDチップを搭載するとともに、微弱な磁界を検出する検出用コイルがハンダ付けされた中継基板を基板上に搭載し、SQUIDチップの入力側と中継基板とを鉛合金(Pb−In−Au)からなるボンディングワイヤで接続するとともに、SQUIDチップの出力端子と基板上に形成された検出回路とをアルミニウムからなるボンディングワイヤで接続するSQUIDチップ磁気センサが開示されている。このSQUIDチップ磁気センサでは、上記の中継基板、SQUIDチップ、鉛合金(Pb−In−Au)からなるボンディングワイヤ、及びアルミニウムからなるボンディングワイヤを覆うように低温用接着剤を塗布し固化させている。
特開平4−9684号公報 特開平9−135044号公報 特開2002−118301号公報
ところで、上述した特許文献1に開示された技術には以下の(1)〜(5)に示す問題がある。
(1)樹脂製のカバー又はケースを加工する手間を要するとともにコスト上昇を招く。
(2)カバー又はケースを基板に接着するのに手間を要し、接着時に注意を怠るとボンディングワイヤを外してしまう虞がある。
(3)温度変化及び温度変化の繰り返しによりカバー又はケースと基板との接着が剥がれる虞がある。
(4)SQUIDチップにトラップされた磁束を取り除くためにSQUIDチップを局所的加熱する場合に、カバー又はケース内に封入された気体を介した熱伝導により加熱しなければならないため効率が悪い。
(5)長時間液体ヘリウムに浸した場合にカバー又はケースと基板との接着部から内部空間にヘリウムが浸透し、常温に戻すときに急激な圧力膨張によって破損する恐れがある。
また、上述した特許文献2に開示された技術には以下の(1),(2)に示す問題がある。
(1)鉛合金からなるボンディングワイヤを用いると、SQUIDチップのボンディングパッドにバッファとしての金(Au)薄膜が必要になるため、SQUIDチップを製造する上でのプロセスが煩雑になり、またボンディングパッドとの接着強度が弱い。
(2)エポキシ樹脂は粘度が高いため、エポキシ樹脂を単に塗布してSQUIDチップ及びボンディングワイヤを封止するだけでは、SQUIDチップと基板との段差部分及びボンディングワイヤの周囲にエポキシ樹脂が充填されず、その結果として空洞が生じる。空洞を有する超伝導素子を液体ヘリウムに浸した場合に、液体ヘリウムが容易に空洞に浸透し、再び室温に戻す際に気化膨張して封止剤が剥離する危険性がある。
更に、上述した特許文献3に開示された技術には以下の(1)〜(3)に示す問題がある。
(1)上記の特許文献2に挙げた問題点(1)と同様、鉛合金からなるボンディングワイヤを用いると、SQUIDチップのボンディングパッドにバッファとしての金(Au)薄膜が必要になるため、SQUIDチップを製造する上でのプロセスが煩雑になり、またボンディングパッドとの接着強度が弱い。
(2)低温用接着剤を単に塗布しただけでは、その粘度の大きさ故にSQUIDチップと基板との段差部分及びボンディングワイヤの周囲にエポキシ樹脂が充填されず、その結果として空洞が生じる。空洞を有する超伝導素子を液体ヘリウムに浸した場合に、液体ヘリウムが容易に空洞に浸透し、再び室温に戻す際に気化膨張して封止剤が剥離する危険性がある。
(3)単に低温接着剤という場合には、構成材料に磁性体又は導電性物質を含む可能性がある。SQUIDチップは極めて高感度であるため、磁性体又は導電性物質を含む低温接着剤を用いて封止を行うと、これらから発せられる雑音が無視できなくなる、よって、低温用接着剤を用いてSQUIDチップを封止する場合には詳細な構成材料の検討が必要になる。
ここで、ニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ又はアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤを用いれば、SQUIDチップのボンディングパッドにバッファとしての金(Au)薄膜が不要になるとともに、ボンディングパッドとの接着強度を高めることができると考えられる。従来用いられた鉛合金の100Kにおける線膨張係数は、502×10−6/K程度であって、ニオビウム(Nb)の同温度における線膨張係数は2〜4×10−6/K程度であり、アルミニウム(Al)の同温度における線膨張係数は12×10−6/K程度である。
鉛合金からなるボンディングワイヤに替えてニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ又はアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤを用いる場合には、封止樹脂に添加するフィラーの量を調整して封止樹脂の線膨張係数をボンディングワイヤの線膨張係数に近づける必要がある。しかしながら、フィラーの添加によって封止樹脂の弾性率が増大するため、大きな応力が生じてボンディングワイヤーがSQUIDチップから剥がれ、又は断線する虞がある。
封止樹脂の弾性率を低下させる為には、低温でも柔軟な構造を有する樹脂を用いれば良い。このような樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、ウレタン樹脂が考えられる。しかしながら、かかる樹脂系は常温での硬化前の粘度が一般的に高く、ニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ又はアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤの線膨張係数に近い値を有する封止樹脂の設計を行うにあたっては、常温での粘度が大きいため実装作業性に問題が生じていた。
そこで、粘度の増粘を抑制させるために希釈剤を添加する方法が考えられるが、封止樹脂を硬化させる際に希釈剤が揮発して封止樹脂の体積が減少するため、封止樹脂を硬化させた後にボンディングワイヤが封止樹脂から露出する可能性があり、希釈剤の添加に関しては限界があった。更には、これらの樹脂系に関して基板との密着性に問題があり、信頼性低下を招く虞があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い信頼性を有するとともに耐雑音性に優れた高性能の超伝導素子、並びに、この超伝導素子を製造しうる超伝導素子の封止剤及び封止方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の超伝導素子の封止剤は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分とする超伝導素子の封止剤であって、前記エポキシ樹脂は、常温で液状のものであり、前記封止剤の全組成物に対する前記無機フィラーの添加量は、70重量%以上90重量%以下であり、前記封止剤の硬化後のガラス転移温度は、40℃以下であることを特徴としている。
ここで、前記エポキシ樹脂及び前記硬化剤の少なくとも一方は、可撓性を有することが好ましい。
また、前記無機フィラーは、平均粒径が6μm以下であり、最大粒径が30μm以下であることが好ましい。
更に、前記無機フィラーは、形状が球形であることが望ましい。
上記課題を解決するために、本発明の超伝導素子の封止方法は、超伝導素子(12)を封止する封止方法であって、基板(10)上に前記超伝導素子を搭載する工程(S1)と、前記超伝導素子に対してニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ(20)及びアルミニウム(Al)を主成分とするボンディングワイヤ(22)の少なくとも一方のボンディングワイヤを接続する工程(S2)と、前記超伝導素子及び前記ボンディングワイヤ上に上記の封止剤を塗布する工程(S3)と、前記封止剤が塗布された前記基板の全体を真空脱気する工程(S4)とを含むことを特徴としている。
また、本発明の超伝導素子の封止方法は、前記基板上に前記超伝導素子を加熱する加熱素子(24)を搭載する工程(S1)を含み、前記封止剤を塗布する工程は、前記加熱素子を含めて前記超伝導素子及び前記ボンディングワイヤ上に前記封止剤を塗布する工程であることを特徴としている。
本発明の超伝導素子は、上記の超伝導素子の封止方法を用いて製造されてなる。
本発明によれば、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分とする超伝導素子の封止剤の無機フィラーの添加量が70重量%以上であるため、封止剤の線膨張係数の増大を抑えることができる。また、封止剤の全組成物に対する無機フィラーの添加量が90重量%以下であるため、組成物の粘度上昇による封止時の作業性の悪化が引き起こされることはない。更に、硬化後のガラス転移温度が40℃以下であるため、超伝導素子を封止する封止樹脂としては硬すぎず、且つ柔らかすぎないため、封止時の作業性を低下させることはない。また更に、上記の樹脂には磁性体又は導電性物質が含まれていないため耐雑音性を向上させることができる。
とりわけ、超伝導素子に対するボンディングワイヤとして、ニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ及びアルミニウム(Al)を主成分とするボンディングワイヤを用いる場合には、封止樹脂の線膨張係数をこれらのボンディングワイヤの線膨張係数に近づけることができるため、温度変化によるボンディングワイヤの切断等が防止され、高い信頼性を有する超伝導素子とすることができる。
また、本発明によれば、平均粒径が6μm以下であり、最大粒径が30μm以下である無機フィラーを用いているため、ボンディング接合がフィラーにより妨げられることはなく、接続不良を防止することができる。
更に、本発明によれば、球形の無機フィラーを用いているため、無機フィラーが有する鋭利な面がなく、この鋭利な面による超伝導素子の破損を防止することができる。
また、本発明によれば、超伝導素子を基板上に搭載するとともに、超伝導送素子に対してニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ及びアルミニウム(Al)を主成分とするボンディングワイヤの少なくとも一方のボンディングワイヤを接続し、超伝導素子及びボンディングワイヤ上に上記の封止剤を塗布した後で、封止剤が塗布された基板の全体を真空脱気しているため、仮に塗布した封止剤が十分に充填されずに空洞が生じたとしても空洞から空気が抜けて空洞が自然に塞がる。これにより、例えば空洞に超伝導素子を液体ヘリウムに浸したときに、空洞に液体ヘリウムが浸透し、再び室温に戻す際に気化膨張して封止剤が剥離するといった事態を防止することができ、高い信頼性を得ることができる。
また、本発明によれば、基板上に加熱素子を搭載して、超伝導素子及びボンディングワイヤとともに封止しているため、加熱素子で発せられた熱を、封止剤を介して超伝導素子に伝導させることができ、超伝導素子内にトラップされた磁束を容易に取り除いて超伝導素子の特性を安定に保つことができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による超伝導素子の封止剤及び封止方法並びに超伝導素子について詳細に説明する。
〔超伝導素子〕
図1は、本発明の一実施形態による超伝導素子の構成を示す上面透視図である。図1に示す通り、本実施形態の超伝導素子は、基板10上に搭載されたSQUIDチップ12を備える。基板10は、例えばガラスエポキシから形成されており、その上部には超伝導中継端子14,14、信号入出力端子16、及び抵抗加熱用端子18が形成されている。超伝導中継端子14,14は、ニオビウム(Nb)から形成され、不図示の検出コイルとSQUIDチップ12との中継基板となるものである。信号入出力端子16及び抵抗加熱用端子18は、銅(Cu)から形成される。
SUQUID12に形成されたボンディングパッド(不図示)と超伝導中継端子14,14とは、ニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ20によって接続されており、SUQUID12に形成されたボンディングパッド(不図示)と信号入出力用端子16に設けられた銅(Cu)からなるパッド部17とはシリコン(Si)が含有されたアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤ22によって接続されている。尚、ボンディングワイヤ20,22の太さは、何れも25〜50μm程度である。また、基板10上のSQUIDチップ12の近傍には局所加熱用のヒータ抵抗24が搭載されている。
基板10上のSQUIDチップ12、ボンディングワイヤ20,22、及びパッド部17、並びに超伝導中継端子14,14の一部及びヒータ抵抗24の一部は、封止樹脂26により封止されている。尚、図1においては、ヒータ抵抗24の一部が封止樹脂26によって封止された状態を図示しているが、ヒータ抵抗24の全部を封止樹脂26により封止しても良い。封止樹脂26は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分としてた樹脂である。次に、本実施形態の超伝導素子で封止樹脂26として用いられる封止剤について具体的に説明する。
〔封止剤〕
封止樹脂26として用いられる具体的な封止剤は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分とした樹脂であって、液状の状態において無機フィラーの組成が全封止樹脂の組成物に対して70重量%以上90重量%以下のものである。また、封止樹脂26の硬化後のガラス転位温度は40℃以下である。エポキシ樹脂は常温(25℃)で液状のものが用いられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ、o−アリルビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、3,3′,5,5′−テトラメチル4,4′−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ、4,4′−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ、1,6−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、臭素型クレゾールノボラック型エポキシ、ビスフェノールDジグリシジルエーテル型エポキシ、1,6ナフタレンジオールのグリシジルエーテル、アミノフェノール類のトリグリシジルエーテル、等が挙げられるがその限りでは無い。
また、上記エポキシ樹脂は、超伝導素子の用途を考慮すると可撓性を有するものが望ましい。この例としては、脂肪族ポリオールのグリシジルエーテル、シリコーン骨格を有するシリコーン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシの主鎖骨格に脂肪族又は脂環族骨格が導入された変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独又は混合して用いても差し支えない。更に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、固体のエポキシ樹脂を液状のエポキシ樹脂に溶解、又は分散しても構わない。また、信頼性に優れた液状封止樹脂組成物を得るために、エポキシ樹脂のNa、Cl等のイオン性不純物はできるだけ少ないものが好ましい。
次に、上記硬化剤は既存の硬化剤を使用することができる。その例としては、アミン類、酸無水物類、フェノール樹脂等が挙げられる。前述した通り、その選択にできるだけ可撓性を有する硬化剤であることが好ましい。
また、上記エポキシ樹脂及び硬化剤に対して、硬化物性を調節するため無機フィラーを添加することができる。その例としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミ等が挙げられる。超伝導素子の用途に応じてこれらを複数混合してもよいが、純度、信頼性、コストの点でシリカが好ましい。その添加量は全液状封止樹脂組成物に対して70重量%以上、90重量%以下であることが好ましい。
無機フィラーの添加量が上限値(90重量%)を超えると、該組成物の粘度が上昇して作業性に支障をきたす。反対に、下限値(70重量%)を下回ると、線膨張係数が大きくなるため、特に温度の変化が大きいと、ボンディディングワイヤ20,22、SQUIDチップ12との線膨張係数の差によってボンディディングワイヤ20,22が切断し、又は封止樹脂26にクラックが生ずる虞があるため、好ましくない。
また、上記無機フィラーの形状は球状であることが好ましい。所謂、破砕フィラーの場合はその鋭利な面によりSQUIDチップを破壊する恐れがあるからである。また、無機フィラーの粒径は平均粒径が6μm以下であり、最大粒径が30μm以下であることが好ましい。この範囲を超えるとはんだ接合時にフィラーにより妨げられ、接続不良を起こす可能性がある。尚、上記の液状封止樹脂の組成物としては、前述した液状エポキシ樹脂、硬化剤、無機フィラー以外に、必要に応じて硬化促進剤、反応性希釈剤、希釈剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、カップリング材等の添加剤を混合し、真空脱泡することにより製造することができる。
〔超伝導素子の封止方法〕
次に、前述した構成における本発明の一実施形態による超伝導素子の封止方法について説明する。図2は、本発明の一実施形態による超伝導素子の封止方法を示すフローチャートである。まず、基板10の検出コイルとの中継基板となる超伝導中継端子14,14の形成部位と信号入出力用端子16の形成部位との間に、SQUIDチップ12を搭載するとともに、基板10上のSQUIDチップ12の近傍に局所加熱用のヒータ抵抗24を搭載する(工程S1)。
次に、SQUIDチップ12に形成されたボンディングパッドと超伝導中継端子14,14とをニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ20で接続するとともに、SQUIDチップ12に形成されたボンディングパッドと信号入出力用端子16に設けられたパッド部17とをシリコン(Si)が含有されたアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤ22で接続する(工程S2)。
以上の工程が終了すると、基板10上において、SQUIDチップ12、ボンディングワイヤ20,22、及びヒータ抵抗24を覆うように封止樹脂26をシリンジ又はディスペンサーを用いて塗布する(工程S3)。封止工程を行っている時の封止樹脂26は粘度がある程度低く、塗布した際には自身の表面張力によって自然に安定な形状になる。しかしながら、SQUIDチップ12と基板10との段差部分又はボンディングワイヤ20,22の周囲に封止樹脂26が十分に充填されずに空洞が生じることがある。
この空洞が存在すると、液体ヘリウム温度と常温と間の急激な熱変化によって空洞に浸透したヘリウムが気化膨張してしまい、封止剤の破裂を生じさせることがある。この空洞化を防ぐために、封止樹脂26を塗布してから5分程度経過して封止樹脂26の形状が安定した後で真空脱気を行う。具体的には、封止樹脂26を塗布した基板10を真空容器に入れ、圧力0.1MPa程度まで5分程度真空引きをする(工程S4)。かかる工程を行うことにより、封止樹脂26の塗布時に生じた空洞から空気が抜けて空洞が自然に塞がる。真空脱気を終えると、その基板10をオーブンに入れて120〜150℃で1〜3時間加熱して、基板10上に塗布された封止樹脂26を固化する(工程S5)。詳しくは、真空脱気後、再度形状が安定するまで5分程度常温常圧で放置し、その後オーブンに入れ120℃で1時間加熱固化させる。加熱後は自然冷却で常温まで戻す。
以上の工程を経て封止された超伝導素子は、人の手で触る等の物理的、機械的な破損を防止することができ、超伝導中継端子14,14に対する検出コイルの接続等の実装・組み立て段階での取り扱いが容易になる。また、急激な温度変化によって生ずる応力変化によるボンディングワイヤの断線が緩和され、空洞化による破裂が防止できる。また、急激な温度変化によって超伝導素子に結露する水分によって生ずる腐食等も防ぐことができる。更に、抵抗加熱用端子18を介してヒータ抵抗24に電流を流すと、ヒータ抵抗24から発生するジュール熱が封止樹脂26を介してSQUIDチップ12ヘ伝導する。これによりSQUIDチップ12を局所的に加熱することができるため超伝導が一時的に破壊され、SQUIDチップ12内にトラップされた磁束を取り除き、SQUIDチップ12の特性を安定に保つことができる。この動作は何度でも可能である。
以上説明した通り、本実施形態では、SQUIDチップ12と超伝導中継端子14,14とをニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ20で接続するとともに、SQUIDチップ12と信号入出力用端子16に設けられたパッド部17とをシリコン(Si)が含有されたアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤ22で接続しているため、ボンディングワイヤ20,22とSQUIDチップ12のボンディングパッドとの接続強度を高めることができる。また、SQUIDチップ12のボンディングパッドに対してこれらのボンディングワイヤ20,22を接続する場合には、鉛合金からなるボンディングワイヤを用いる場合と異なり、SQUIDチップ12のボンディングパッドにバッファとしての金(Au)薄膜を形成する必要がないため、SQUIDチップ12の製造プロセスを煩雑化させることはない。
また、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分とした樹脂であって、液状の状態において無機フィラーの組成が全封止樹脂の組成物に対して70重量%以上90重量%以下であり、硬化後のガラス転位温度が40℃以下である樹脂を封止樹脂26として用いているため、封止樹脂26の線膨張係数をニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ20及びシリコン(Si)が含有されたアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤ22の線膨張係数に近くすることができ、大きな温度変化が生じた場合でもボンディディングワイヤ20,22が切断することを緩和することができる。また、上記の樹脂には磁性体又は導電性物質が含まれていないため耐雑音性を向上させることができる。
更に、SQUIDチップ12が搭載された基板10上に封止樹脂26を塗布した後で、この基板10を真空容器に入れて真空脱気をしているため、仮に封止樹脂26を塗布した時にSQUIDチップ12と基板10との段差部分等に封止樹脂26が充填されずに空洞が生じたとしても、空洞から空気が抜けて空洞が自然に塞がる。これにより、例えば空洞に超伝導素子を液体ヘリウムに浸したときに、空洞に液体ヘリウムが浸透し、再び室温に戻す際に気化膨張して封止剤が剥離するといった事態を防止することができ、高い信頼性を得ることができる。
また更に、ヒータ抵抗24をSQUIDチップ12とともに封止樹脂26で封止しているため、ヒータ抵抗24で発生したジュール熱を封止樹脂26を介してSQUIDチップ12ヘ伝導させることができ、SQUIDチップ12内にトラップされた磁束を容易に取り除いてSQUIDチップ12の特性を安定に保つことができる。
尚、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更することができる。例えば、以上の説明では、主として脳磁計で用いられるセンサに設けられるSQUIDチップ、並びにその封止剤及びその封止方法について説明した。しかしながら、本発明は、脳磁計のみならず極低温下(液体窒素、又は液体ヘリウム温度)で使用する超伝導素子の全てにおいて応用できるものである。
また、上記実施形態では基板10の形状が矩形形状である場合を例に挙げたが、形状が異なる基板についても上記と同様の方法により、基板上に搭載されたSQUIDチップ、並びにこのSQUIDチップに接続されたニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ及びシリコン(Si)が含有されたアルミニウム(Al)からなるボンディングワイヤを封止することができる。
本出願の発明者は、上記の封止方法を用いて超伝導素子を2000個以上製造するとともに、極低温(液体窒素、又は液体ヘリウム温度)と室温(25℃)との間の熱変化を繰り返した。その結果、製造された超伝導素子の断線不良は2%以下(つまり、40個以下)であることが確認された。また、製造時の断線不良が生じていない超伝導素子に対して、上記の熱変化を繰り返したが、封止から1年経た時点において新たな断線は確認されていない。また、上記の封止方法で製造された超伝導素子は雑音の発生が殆ど無いことも確認された。
本発明の一実施形態による超伝導素子の構成を示す上面透視図である。 本発明の一実施形態による超伝導素子の封止方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10 基板
12 SQUIDチップ(超伝導素子)
20 ボンディングワイヤ
22 ボンディングワイヤ
24 ヒータ抵抗(加熱素子)
26 封止樹脂

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機フィラーを主成分とする超伝導素子の封止剤であって、
    前記エポキシ樹脂は、常温で液状のものであり、
    前記封止剤の全組成物に対する前記無機フィラーの添加量は、70重量%以上90重量%以下であり、
    前記封止剤の硬化後のガラス転移温度は、40℃以下である
    ことを特徴とする超伝導素子の封止剤。
  2. 前記エポキシ樹脂及び前記硬化剤の少なくとも一方は、可撓性を有することを特徴とする請求項1記載の超伝導素子の封止剤。
  3. 前記無機フィラーは、平均粒径が6μm以下であり、最大粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超伝導素子の封止剤。
  4. 前記無機フィラーは、形状が球形であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の超伝導素子の封止剤。
  5. 超伝導素子を封止する封止方法であって、
    基板上に前記超伝導素子を搭載する工程と、
    前記超伝導素子に対してニオビウム(Nb)からなるボンディングワイヤ及びアルミニウム(Al)を主成分とするボンディングワイヤの少なくとも一方のボンディングワイヤを接続する工程と、
    前記超伝導素子及び前記ボンディングワイヤ上に請求項1から請求項4の何れか一項に記載の封止剤を塗布する工程と、
    前記封止剤が塗布された前記基板の全体を真空脱気する工程と
    を含むことを特徴とする超伝導素子の封止方法。
  6. 前記基板上に前記超伝導素子を加熱する加熱素子を搭載する工程を含み、
    前記封止剤を塗布する工程は、前記加熱素子を含めて前記超伝導素子及び前記ボンディングワイヤ上に前記封止剤を塗布する工程であることを特徴とする請求項5記載の超伝導素子の封止方法。
  7. 請求項5又は請求項6記載の超伝導素子の封止方法を用いて製造されてなることを特徴とする超伝導素子。
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