JP2005317834A - 熱電変換モジュール及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬ロウによるロウ接の際の熱電変換素子の熱劣化を防止しつつ、熱電変換素子として珪化鉄を用いる際に、熱電変換素子と、銅、モリブデン、コバルト又はタングステン等の電極との反応を完全に防止した熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、N型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、少なくとも表層が銅、モリブデン、コバルト又はタングステンである電極材とを備え、上記熱電変換素子の少なくとも高温側端部が、銀からなる介在層を介して上記電極材とロウ材により接合されているとともに、上記ロウ材の融点が600〜820℃である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換モジュール及びその製造方法に係り、特に、熱電変換素子の劣化を防止するとともに、熱電変換素子と電極との反応を防止した、熱電変換モジュールの製造技術に関する。
熱電変換素子を用いた熱電変換モジュールによる直接発電システムは、構造が複雑でなく、しかも可動部分がないため、信頼性が高く保守点検が容易である。一方、このような発電システムは、出力密度及びエネルギー変換効率が低いため、宇宙用等の特殊な用途でしかも低い出力規模に限って開発が行われてきた。しかしながら、このような発電システムは、昨今の環境対策の観点から、ゴミ焼却炉やコージェネレーションシステム等の小規模分散型の排熱源を利用した発電システムとして用いられることが期待されており、発電単価の低減や熱電変換モジュールシステムの耐久性の向上等が望まれている。
熱電変換モジュールは、図1に示すように、熱電変換素子1の両側に、銅等からなる電極2を積層し、電極の他方の面に雲母等からなる電気絶縁層3を介して冷却ダクト4及び加熱ダクト5をそれぞれ積層して構成される。このような熱電変換モジュールでは、冷却ダクト4に送風するとともに、加熱ダクト5に高温の排ガス等を供給することにより、熱電変換素子1の両端に温度差を設け、この温度差によって熱電変換素子1の内部で熱起電力を発生させて直流電流を電極2から取り出すことができる(特許文献1参照)。また、図2に示すように、セラミックス等からなる電気絶縁層の両側に銅等の高熱伝導良導体を一体化させたコンプライアントパッド6を、図1の電極2及び電気絶縁層3の替わりに用いた熱電変換モジュールも提案されている。
特開平9−293906号公報
このような熱電変換モジュールに用いられる熱電変換素子としては、上記特許文献1に記載されているようなBi−Te系やPb−Te系のものが挙げられるが、珪化鉄(FeSi)にマンガンやコバルト等の適正不純物を添加したP型半導体やN型半導体が比較的安価で耐熱性も高いことが知られている。
上記のような熱電変換モジュールを製造する際に、熱電変換素子として、上記のような優れた特性を有する珪化鉄を用いる場合には、熱電変換素子と電極は、一般に、加圧、圧着して接合され、又はハンダ等のロウ材を用いて接合される。しかしながら、加圧、圧着により熱電変換素子と電極とを接合した場合には、接触界面での接触熱抵抗により熱電変換モジュールの温度落差が大きく、熱電変換素子の出力が損なわれるという不具合があった。また、圧着の際に加圧力を増加させた場合には、接触熱抵抗をある程度緩和することはできるものの、熱電変換モジュールの使用中はその加圧力に熱電変換素子の熱応力が更に加わるため、熱履歴によって熱電変換素子が破損するおそれがあった。
一方、ハンダ等の軟ロウ材により熱電変換素子と電極とを接合した場合に、軟ロウ材の溶融温度以上の環境下に熱電変換モジュールを設置すると、軟ロウ材が溶融、流出してしまうという不具合があった。このため、軟ロウ材を使用する場合には、熱電変換モジュールの耐熱温度には限界があった。
このような軟ロウ材を使用することに起因する不具合を解消するため、上記の軟ロウに替えて硬ロウを用いた場合には、硬ロウ材は融点が高いため、熱電変換モジュールの耐熱性は向上する。硬ロウは、Cu、Ag、Au又は黄銅等を主成分とした高溶融点のロウ付け合金であり、Agを主成分としたものが銀ロウ、Auを主成分としたものが金ロウ、黄銅組成のものが黄銅ロウ、洋銀組成のものが洋銀ロウであって、これらの硬ロウは成分としてCuを含有している。
これらの硬ロウのうち、金ロウ、黄銅ロウ及び洋銀ロウは、溶融温度が高いため、ロウ付け時には熱電変換素子の劣化を生じる。また、これらの硬ロウは成分としてCuを含有しているため、熱電変換素子として珪化鉄を用いた場合には、熱電変換素子のSiやFeと、硬ロウ及び電極のCuとが反応し、熱電変換素子が変質して発電効率が低下する。この反応は、Si及びFeへのCuの拡散が主原因であるが、珪化鉄中のSiが硬ロウ及び電極中のCuに拡散してCuの融点を低下させることで、この反応が一層促進される。更に、電極の接合面では、この反応によって電極のCuが流出することにより腐食が発生して接合強度も低下する。
また、電極として、銅に替えてMo、Co又はW等を用いた場合にも、硬ロウ中のCuと、熱電変換素子中のSi及びFeとの反応は生じるため、熱電変換素子が変質する。これらの場合には、電極に銅を使用した場合のような極端な腐食は認められないものの、電極表面のMo、Co又はWがSiと反応して脆い合金相が形成され、接合界面の強度は低いものとなる。
硬ロウの中でも、銀ロウは、溶融温度が金ロウ、黄銅ロウ及び洋銀ロウよりも低い。このため、銀ロウを使用した場合には、ロウ接時の熱による熱電変換素子の劣化は防止できるが、銀ロウについてもCuを成分として含有しているため、熱電変換素子の変質、電極接合面での腐食発生、及び合金相形成の諸問題は、黄銅ロウや洋銀ロウの場合と同様に生じる。
従って、本発明は、硬ロウによるロウ接の際の熱電変換素子の熱劣化を防止しつつ、熱電変換素子として珪化鉄を用いる際に、熱電変換素子と、銅、モリブデン、コバルト又はタングステン等の電極との反応を完全に防止した熱電変換モジュール及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明者等は、ロウ接の際の熱電変換素子の熱劣化を防止しつつ、熱電変換素子と電極との反応を完全に防止し得る熱電変換モジュールについて、鋭意研究を重ねた。その結果、熱電変換素子と電極との間に銀からなる介在層を配置することで、上記の所望な特性を有する熱電変換モジュールを得ることができるとの知見を得た。本発明は、このような知見に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の熱電変換モジュールは、P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、N型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、少なくとも表層が銅、モリブデン、コバルト又はタングステンである電極材とを備え、上記熱電変換素子の少なくとも高温側端部が、銀からなる介在層を介して上記電極材とロウ材により接合されているとともに、上記ロウ材の融点が600〜820℃であることを特徴としている。このような熱電変換モジュールにおいては、上記介在層の厚さが、20〜1000μmであることが望ましい。
また、本発明の熱電変換モジュールの製造方法は、(1)成形金型の型穴内にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入した後、銀粉をその上に充填して積層する方法、(2)成形金型の型穴内に銀粉を充填した後、その上にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入して積層する方法、又は(3)成形金型の型穴内に銀粉を充填した後、その上にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入し、更にその上に銀粉を充填して積層する方法のいずれかにより、熱電変換素子と銀粉との積層体を得、上記積層体を、成形圧力10〜60MPaで加圧すると同時に、温度600〜800℃で焼結し、得られた焼結体の銀層形成端面を、少なくとも表層が銅、モリブデン、コバルト又はタングステンである電極材に、融点が600〜820℃のロウ材を用い、825℃以下の温度でロウ接することを特徴としている。このような熱電変換モジュールの製造方法においては、上記P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子の両端の少なくとも一方側に積層する銀粉の量が、その後の加圧焼結により形成される銀からなる介在層の厚さが20〜1000μmとなるよう調整されていることが望ましい。
本発明による熱電変換モジュールは、P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、N型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、少なくとも表層が銅、モリブデン、コバルト又はタングステンである電極材とを備え、熱電変換素子と電極材との間に銀からなる介在層を介して、融点が600〜820℃のロウ材でロウ接したものである。このため、ロウ接時の熱による熱電変換素子の劣化を防止できるとともに、上記介在層が、電極の銅、モリブデン、コバルト又はタングステン等と、熱電変換素子中のFeやSiとの反応を遮断することができる。従って、本発明の熱電変換モジュールは、熱電変換素子の劣化が生じず、しかも軟質な銀からなる介在層が熱応力を緩和するという優れた特性を有するものである。
本発明の熱電変換モジュールに使用する熱電変換素子としては、耐熱性を考慮して、珪化鉄(FeSi)を用いる。珪化鉄の熱電変換素子は、β相からα相への遷移温度が937℃と高いため、この熱電変換素子を使用した熱電変換モジュールは、優れた耐熱温度を実現することができる。
このような珪化鉄の熱電変換素子と銅電極とのロウ接には、融点が600〜820℃のロウ材を用いる。本発明の熱電変換モジュールの耐熱温度は、ロウ材の融点により決定される。このため、本発明の熱電変換モジュールをゴミ焼却炉等の廃熱を利用した発電システムへ適用する場合には、ロウ材の融点を600℃以上とする必要がある。また、ロウ材の融点は高いほど熱電変換モジュールの耐熱温度が向上するため好ましく、融点が700℃以上のものが特に好ましい。ただし、ロウ材の融点が820℃を超えると、AgとSiとの共晶温度が830℃で、後述する銀からなる介在層のAgと珪化鉄の熱電変換素子のSiとが反応してしまう。従って、ロウ材の融点を600〜820℃、好ましくは700〜820℃とする。
このようなロウ材としては、例えば、銀ロウ全般がこの温度範囲に属し、黄銅ロウではJIS規格のBCuZn−0、りん銅ロウではJIS規格のBCuP−2、BCuP−3、BCuP−4、BCuP−5、BCuP−6、等がこの温度範囲に属するものである。
銀からなる介在層は、上記融点範囲のロウ材を用いることで、珪化鉄の熱電変換素子と、銅、モリブデン、コバルト又はタングステン等の電極とをロウ接する際に、珪化鉄の熱電変換素子中のFeやSiへのCuの拡散、及びCu、Mo、Co又はWへのSiの拡散を遮断するために形成される。この介在層を珪化鉄の熱電変換素子の少なくとも一端側に介在させることによる、Cuの拡散防止作用は、以下のとおりである。
即ち、AgとSiとは、830℃で共晶液相を発生するが、820℃ではAgにおけるSiの固溶度は0.3〜0.4%である。このため、後述する銀層形成工程の加圧焼結温度(600〜800℃)及びロウ付け温度775℃以下では、Ag中にSiは極微量固溶されるだけであり、電極として銅を用いた場合には、銅電極やロウ材中のCuへのSiの拡散を防止することができ、電極としてMo、Co又はWを用いた場合には、Mo等への珪化鉄中のSiの拡散を防止することができる。従って、Cuの融点低下は生じず、しかも、Mo、Co又はWと、Siとの脆い合金相の形成も生じない。
また、CuとAgとは、780℃以上では反応し、Ag−Cu液相を発生するが、ロウ付け温度の825℃以下では、発生したAg−Cu液相がAgやCuに速やかに拡散するので、過剰な反応を生じず良好なロウ付けが行われる。このため、ロウ付け時にCuが銀からなる介在層を越えて珪化鉄の熱電変換素子中のSiやFeに到達することを防止することができる。
更に、電極にMo、Co又はWを使用した場合についても、Mo等は、825℃以下ではほとんど或いは全く介在層又はロウ材中のAg及びロウ材中のCuと反応せず、ロウ付け時に脆い合金相を形成するおそれはない。
一方、AgとFeとは溶け合わないため、Agによる熱電変換素子の変質は生じない。これらの作用により、介在層としては銀を用いることが好ましい。
更に、熱電変換素子と電極とは熱膨張率が異なるので、ロウ接時及び熱電変換モジュールの使用等には、熱電変換素子と電極との接合部に応力が発生する。しかしながら、銀からなる介在層は軟質であるため変形し易く、熱応力を緩和する作用を有する。このため、上記介在層は熱電変換モジュールの信頼性の向上にも寄与する。
このような銀からなる介在層の厚さが20μmに満たない場合には、Cu及びSiの上記遮断作用が十分に得られない。一方、この介在層を1000μmを超えて設けた場合には、十分にCu及びSiの遮断効果は得られるが、それ以上厚さを増大させても更なる遮断効果は得られない。また、熱電変換モジュールは、熱電変換素子の両端部の温度差による熱起電力を利用して発電するシステムであるが、加熱部と冷却部との間に位置する介在層の厚さが過度に大きい場合には、加熱部と冷却部との間の温度差と、介在層の熱伝導損失に起因して実際に熱電変換素子の両端部に生じる温度差とが大きく相違し、発電量の低下を招く。更に、介在層を厚した場合には、介在層の電気抵抗が増大して発電した電気が浪費される、等の不具合が大きくなる。また、銀は高価であるためコストも割高となる。従って、銀からなる介在層の厚さは20〜1000μmが好適である。
このような介在層は、熱電変換素子の両端に形成し、ロウ材で電極に各々ロウ接してもよいが、冷却側端部では実際に熱電変換モジュールを使用する際の温度が低いため、ハンダ等の融点の低いロウ材を用いることもできる。その際、ロウ接時の温度が低くてすむため、高温側端部のようなCu及びSiの拡散による不具合が生じず、銀からなる高価な介在層を設ける必要もない。
なお、電極には、図1に示す熱電変換モジュールの例のように、銅板を用いてもよいが、図2に示すような、表層が銅で中間部にセラミックス等の絶縁層を介在させたコンプライアントパッドを用いることもできる。これらの例においては、いずれも、同様のCu及びSiの拡散防止効果が得られる。
以上は、本発明の好適な熱電変換モジュールであるが、以下に、このような熱電変換モジュールの製造方法を具体的に説明する。即ち、上記した珪化鉄の熱電変換素子と、少なくとも表層が銅等の電極材とを備え、熱電変換素子の少なくとも高温側端部が、銀からなる介在層を介して電極材とロウ材により接合された本発明の熱電変換モジュールは、以下のようにして製造することができる。
まず、P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子をそれぞれ用意し、成形金型の型穴内にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入した後、銀粉をその上に充填して積層し、これを成形圧力10〜60MPaで加圧すると同時に、温度600〜800℃で焼結することで、珪化鉄の熱電変換素子の端部に、銀からなる介在層を形成した銀層形成熱電変換素子を製造する。
この際、成形圧力が10MPaに満たないと、得られる介在層の密度が低いため、強度が低くなり、60MPaを超えてもそれ以上の密度の向上は実現されないばかりか、熱電変換素子の破壊が生じ易くなる。また、焼結温度が600℃に満たないと、焼結による粉末間の拡散結合が不十分となって強度が低下し、800℃を超えると銀粉が溶融し、加圧により吹き出す。
この熱電変換素子と銀粉との充填は、先に銀粉を充填した後その上に熱電変換素子を挿入してもよい。また、銀粉を充填した上に熱電変換素子を挿入し、更にその上に銀粉を充填して積層すると、熱電変換素子の両端部に銀層を形成した銀層形成熱電変換素子が得られる。
このP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子の両端の少なくとも一方側に積層する銀粉の量が、加圧焼結により得られる介在層の厚さが20〜1000μmとなるよう調整されることが好ましいのは、上記の理由のとおりである。
このようにして得られた珪化鉄の銀層形成熱電変換素子を、融点が600〜820℃のロウ材を用いて825℃以下の温度で銅、モリブデン、コバルト又はタングステン等の電極にロウ接した場合には、熱電変換素子の変質や、銅電極を用いた場合の腐食及びモリブデン、コバルト又はタングステン電極を用いた場合の脆化合金相の形成を防止しつつ、良好なロウ接を行うことができる。このとき、ロウ材の融点が820℃を超えると、熱電変換素子の変質を防止してロウ接することが困難である。また、融点が820℃以下のロウ材を用いても、ロウ付け時の温度が825℃を超えると、ロウ付け時の温度のばらつきにより、一部830℃を超えて熱電変換素子が変質するおそれがあるので、ロウ付け温度は825℃以下とする必要がある。
φ20×5の珪化鉄の熱電変換素子を用意し、φ20の金型に挿入した後、表1に示すように銀粉積層量、加圧圧力及び焼結温度を変えて加圧焼結し、試料番号01〜14の試料を作製した。次いで、銅電極にJIS規格BAg−8種の銀ロウ(融点780℃)材を載置し、その上に上記試料を、銀層形成端部が銀ロウ材と接するように載置し、790℃に加熱してロウ接し、接合部の断面を観察して銀からなる介在層(銀層)厚さ、Cu拡散の有無、及び熱電変換素子と電極との接着状態について評価した。その結果を表1に併記する。なお、同表中、Cu拡散の有無の評価について、×は多大な拡散が認められたもの、△はやや拡散が認められたもの、○は全く拡散が認められなかったものである。また、接着状態の評価は、×は界面が全く接着していないもの、△は界面の一部が接着していないもの、○は接合状態が良好なものである。
Figure 2005317834
表1の試料番号01〜05の試料を比較することで、銀粉積層量の接着状態等への影響を調べることができる。また、本発明である試料番号03の試料と、従来例である試料番号01の試料について接合面の光学写真、SEM写真及びEPMA装置による各成分の分布状態を図3及び図4にそれぞれ示す。即ち、図3(a)は資料番号03の資料についての、接合面のSEM像、図3(b)はその接合面における各元素のEPMA面分析結果である。また、図4(a)は資料番号01の資料についての、接合面の光学写真、図4(b)は図4(a)に示す白枠部分のSEM像、図4(c)はその接合面における各元素のEPMA面分析結果である。表1及び図4(a)〜(c)から明らかなように、銀粉を添加しない試料番号01の試料では、Cuの拡散が著しく、激しい腐食が発生し、全く接合が達成されていない。一方、20μm以上の銀からなる介在層を形成した試料番号02〜05の試料では、図3(a),(b)に示すように、銀からなる介在層によりCuの拡散が阻止されて良好な接合状態が達成されている。ただし、試料番号05の試料では、銀からなる介在層が厚くなることによる消費電力量が増加するおそれがあるため、Cu拡散を防止するため銀からなる介在層の厚さは20μm以上必要であるが、その上限値は1000μm程度に止めるべきと考える。
表1に示す試料番号03及び06〜10の試料を比較することで、加圧焼結時の加圧圧力の接着状態等への影響を調べることができる。これらの試料により、加圧圧力が0の試料番号06の試料では、充填した銀粉の焼結が進行せず、界面での接合状態は極めて悪いことがわかる。一方、加圧圧力10MPa以上で加圧すると銀粉の焼結が進行して良好な接合状態を呈することもわかる。ただし、加圧圧力が60MPaを超えると、加圧圧力による熱電変換素子の割れが発生している。以上により、加圧焼結時の加圧圧力としては、10〜60MPaで良好な接合状態を示すことが確認された。
表1の試料番号03及び11〜14の試料を比較することで、加圧焼結時の焼結温度の接着状態等への影響を調べることができる。これらの試料により、焼結温度が500℃の試料番号11の試料では焼結による介在層の拡散の進行が不十分で、界面の接合状態はあまり良好ではない。一方、焼結温度が600℃以上の試料番号12、03、13の試料では、介在層の拡散が十分進行して良好な接合状態を示している。ただし、焼結温度が900℃になると銀粉の溶融が生じ、加圧により吹き出して銀からなる介在層が薄くなってCuの拡散が認められるとともに、接合状態も悪化している。従って、加圧焼結時の焼結温度としては600〜800℃で良好な接合状態を示すことが確認された。
次に、ロウ材の種類及び融点の、熱電変換素子の変質の有無への影響について調査した。即ち、上記実施例1の試料番号03の試料を用い、試料の銀層形成端部と銅電極とをロウ接した。具体的には、表2に示すJIS規格材種のロウ材を用い、銅電極、ロウ材及び試料を実施例1と同様に載置してロウ材の融点+5℃に加熱してロウ接を行った。この時の熱電変換素子の変質の有無を確認した結果を表2に併記する。なお、同表中、評価結果は、熱電変換素子の変質が認められなかったものについて「○」、認められたものについて「×」と記載した。
Figure 2005317834
表2から明らかなように、融点が820℃以下のロウ材を用いてロウ接した場合には、熱電変換素子の変質が認められなかった。一方、融点が820℃を超えるロウ材を用いてロウ接した場合には、熱電変換素子の変質が認められた。また、この傾向は、ロウ材の種類によらないことも確認された。従って、珪化鉄の熱電変換素子の変質を生じさせずにロウ接するためには、融点が820℃以下のロウ材であれば、種類を問わず使用可能であることが確認された。
更に、銅電極に替えて、モリブデン、コバルト又はタングステンを電極とした場合につての本発明の効果を実証する。即ち、上記実施例1の試料番号03の試料を用い、試料の銀層形成端部と、モリブデン、コバルト又はタングステンの3種の電極とを、実施例1と同様にして接合した。この際、電極上にJIS規格BAg−8種の銀ロウ材を載置し、その上に試料を、銀層形成端部が銀ロウ材と接するように載置し、次いで790℃に加熱してロウ接し、接合界面の状態について確認した。その結果、上記いずれの元素からなる電極を使用した場合についても、熱電変換素子の変質及び脆化合金相の形成は認められなかった。
本発明の熱電変換モジュールは、P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子の少なくとも高温側端部が、銀からなる介在層を介して、少なくとも表層が銅等である電極材と、融点が600〜820℃のロウ材により接合されたものである。このため、Cuによる珪化鉄熱電変換素子の変質がなく、しかも耐熱性も高い。従って、本発明は、特に耐久性の高い熱電変換モジュールが必要な各分野への適用に、有用である。
熱電変換モジュールの一例を示す模式図である。 熱電変換モジュールの他の例を示す模式図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法による、熱電変換素子と電極との接合部を示す図面代用写真及び各成分の成分分布像であり、(a)は資料番号03の資料についての、接合面のSEM像、(b)はその接合面における各元素のEPMA面分析結果である。 従来の熱電変換モジュールの製造方法による、熱電変換素子と電極との接合部を示す図面代用写真及び各成分の成分分布像であり、(a)は資料番号01の資料についての、接合面の光学写真、(b)は(a)に示す白枠部分のSEM像、(c)はその接合面における各元素のEPMA面分析結果である。
符号の説明
1 熱電変換素子
2 電極
3 電気絶縁層
4 冷却ダクト
5 加熱ダクト
6 コンプライアントパッド

Claims (4)

  1. P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、N型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子と、少なくとも表層が銅、モリブデン、コバルト又はタングステンである電極材とを備える熱電変換モジュールにおいて、
    前記熱電変換素子の少なくとも高温側端部が、銀からなる介在層を介して前記電極材とロウ材により接合されているとともに、前記ロウ材の融点が600〜820℃であることを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 前記介在層の厚さが、20〜1000μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. (1)成形金型の型穴内にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入した後、銀粉をその上に充填して積層する方法、
    (2)成形金型の型穴内に銀粉を充填した後、その上にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入して積層する方法、又は
    (3)成形金型の型穴内に銀粉を充填した後、その上にP型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子を挿入し、更にその上に銀粉を充填して積層する方法
    のいずれかにより、熱電変換素子と銀粉との積層体を得、前記積層体を、成形圧力10〜60MPaで加圧すると同時に、温度600〜800℃で焼結し、得られた焼結体の銀層形成端面を、少なくとも表層が銅、モリブデン、コバルト又はタングステンである電極材に、融点が600〜820℃のロウ材を用い、825℃以下の温度でロウ接することを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。
  4. 前記P型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子及びN型珪化鉄(FeSi)の熱電変換素子の両端の少なくとも一方側に積層する銀粉の量が、その後の加圧焼結により形成される銀からなる介在層の厚さが20〜1000μmとなるよう調整されていることを特徴とする請求項3に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
JP2004135385A 2004-04-30 2004-04-30 熱電変換モジュール及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4570071B2 (ja)

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