JP2009038323A - 熱電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱電材料と金属電極の接合技術により冷却効率と発電効率を向上させた熱電変換素子の製法の提供。
【解決手段】 熱電材料に金属電極を接合するときに、熱電材料と金属電極が接した部分もしくはそれらの間に介した接合金属を局所的に高周波装置で溶かした後、圧縮することにより接合界面の凹凸をなくすと同時に界面での拡散層を出来限り薄くして界面での電気抵抗の上昇を抑制することによって、冷却用と発電用の熱電変換素子の冷却効率と発電効率が飛躍的に改善される。
【選択図】 図2
【解決手段】 熱電材料に金属電極を接合するときに、熱電材料と金属電極が接した部分もしくはそれらの間に介した接合金属を局所的に高周波装置で溶かした後、圧縮することにより接合界面の凹凸をなくすと同時に界面での拡散層を出来限り薄くして界面での電気抵抗の上昇を抑制することによって、冷却用と発電用の熱電変換素子の冷却効率と発電効率が飛躍的に改善される。
【選択図】 図2
Description
この発明は、冷却用および発電用の熱電変換素子の熱電変換材料と金属電極を接合する技術に関し、熱電材料を高周波装置で溶融し両端の金属電極を圧縮して熱電材料と金属を直接接合する熱電変換素子の製造方法に関する。
熱電変換素子は冷却用あるいは温度制御用としては電子冷却機、光通信機器や計測機器、培養器、車載用の温度調節シート等の用途がある。今後さらに高性能化されればフロンガスや代替フロンガスを使用しない冷蔵庫や車載用のエアコンの製品化も可能になる。また熱電変換素子は、最近の産業界において要求の高い排熱エネルギーの有効活用の観点から発電機として実用化が期待されているデバイスでもあり、例えば、排熱や温熱排水を利用し電気エネルギーに変換するシステムや、屋外で簡単に電気を得るための小型携帯用発電装置にも使用が可能である。さらに高性能化すれば、自動車の排ガスエネルギーの回収や車載用燃料電池の燃料改質装置の温度制御用としての用途も生まれる。
熱電変換素子は、例えば、P型とN型半導体を直接金属と接合したり、まためっき後半田したり、あるいは銀ろう等によりPN接合して素子となした構成である。これらの素子を形成するための熱電変換材料として、高性能を有するZn4Sb3、CoSb3、Bi2Te3、PbTe等のカルコゲン系化合物のほか、熱電特性は低いが資源的に豊富なFeSi2、Si-Ge合金等のケイ化物が知られている。
なお、熱電変換素子は、P型とN型の熱電変換材料の両端に温度勾配を設けて熱を電気に直接変換したり、逆に前記材料に電流を流して電気を熱に変換したりすることができる素子であり、後者はペルチェ素子としてよく知られている。特に電流方向を反転させるだけで発熱側と吸熱側が入れ替わるので、温度制御用にも適している。この素子の特長は可動部を必要としないことである。
熱電変換素子(ペルチェ素子)は、材料に与えた温度勾配(電位差)を利用して熱起電力(温度差)を発生させており、その変換効率は熱電(電熱)変換素子の性能指数(ZT=TS2/ρκ、ここでTは絶対温度、Sはゼーベック係数、ρは電気抵抗率、κは熱伝導率)の関数で表され、現状ではZT=1程度であり、その変換効率は数%と低く十分とは言えないものであった。この変換効率はZTが高い程向上するために、出来る限り高い性能指数を有する材料あるいは熱電変換素子が求められている。
熱電変換素子は、熱電材料と金属電極を接合することによって熱電材料に電流を流すように作製されているが、熱電材料と金属電極を接合する時の接合界面での各構成原子の相互拡散により、接合界面の電気抵抗が上昇したり、あるいは熱伝導度が低下して熱電変換素子の性能指数は一般に熱電材料の性能指数よりも大幅に低下する。このために熱電変換素子を組み立てるときには接合界面でほとんど相互拡散が起こらない接合技術が求められている。特に発電用に適した熱電材料は種々雑多であるために、どんな熱電材料に対しても適用できる接合技術が必要である。さらに発電用の熱電変換素子の場合には、素子の高温側は比較的高い温度になるので、耐熱性のある接合技術が必要である。
電熱あるいは熱電の変換素子の変換効率は、太陽電池(約17%)等に比べて非常に低く、現状ではわずか数%未満にすぎず、これが熱電変換素子あるいはペルチェ素子の用途を狭めている原因であり、また熱電変換素子が普及しない理由でもある。熱電変換材料の電極付けとしては、熱電変換材料にメッキもしくはスパッタ法で金属被膜を着けた後、金属電極と半田付けで接合する方法が古くから採用されている。
この電極接合は半田の融点(共晶半田の融点は183℃)よりかなり低い温度で熱電変換素子を作動させなければならず、冷却用あるいは温度制御用の熱電変換素子にしか利用できない。また従来のめっき・半田接合では接合界面での半田部分の厚みが0.3 mmを超えるので、接合界面での熱伝導度が低下して熱電変換素子の性能指数(ZT)が大きく低下するという問題がある。しかし、発電用に熱電変換素子を使用する場合には、素子の高温側の温度が半田の融点を超えるので、この半田接合技術は使えない。
発電用熱電変換素子の熱電材料と金属電極の接合方法としては耐熱性を高めるために銀ろうによる接合が広く知られている。その接合技術は、熱電材料と金属電極の間に板状の銀ろうを挟み、接合部全体をヒーターで加熱して銀ろうを溶解して接合する方法であるが、この接合方法は銀ろうの厚みが厚く(〜0.3 mm)なると同時に、接合部全体を加熱するために界面での相互拡散層が広がり電気抵抗が上昇して熱電変換素子の性能指数(ZT)が大幅に低下するという問題がある。
上記の課題を解決するためには、熱電材料と金属電極を接合したときの接合界面の電気抵抗を小さくし且つ界面での熱伝導を下げないように熱電材料と金属電極を直接接合するか、それらの間に介在させる接合用金属を薄くし且つ相互拡散層をできるかぎり薄くして接合することが必要である。このような接合技術がなければ、如何に優れた熱電材料を使っても熱電変換素子を高性能化することは殆ど不可能である。
冷却用の熱電変換素子は接合界面でのこのような電気抵抗の低下と高い熱伝導の実現で十分であるが、しかし、発電用の熱電変換素子は接合界面での電気抵抗の低下と高い熱伝導の実現だけでは、エネルギー変換効率を飛躍的に向上させることはできない。それを実現するためには、熱電変換素子のゼーベック係数を飛躍的に向上させることが最も効果的である。最近、P-N接合した半導体では、接合界面に垂直方向の温度勾配をかけると、接合界面付近で急激な温度勾配が発生して熱起電力が増加することがBalmushらによって指摘された(I.I. Balmush et al.,
Semiconductors 29 (1995) 937)。
Semiconductors 29 (1995) 937)。
この発明は、性能指数を向上させた冷却用および発電用の熱電モジュールの熱電材料と金属電極の接合技術を提供することを目的としている。
I.I. Balmushet al.,Semiconductors 29 (1995) 937
I.I. Balmushet al.,Semiconductors 29 (1995) 937
さらに最近、Bi-Te系熱電材料をめっきした後、所定の厚みの金属とはんだ接合することにより、接合した境界の界面効果によりゼーベックが飛躍的に増加することが、本発明者らによって発見された(特願2005-092061, 2005-194040)。
このような界面効果を増大させるためには、熱電材料と金属電極の間に接合金属を介する場合には、接合金属を薄くし且つ相互拡散層を浅くしなければならない。さらに発電用の熱電変換素子に大きな温度差を印加するためには、高温でも耐えるような耐熱性のある接合を行わなければならない。
発明者らは、熱電材料と金属電極の接合部を局所的に加熱溶融することによって接合部分だけを溶融したり、あるいは同時に接合用金属を溶融して圧縮接合する方法を種々検討した結果、接合金属の厚みを薄くし相互拡散層を薄くすることによって、冷却用の熱電変換素子では冷却効率が向上し、また発電用の熱電変換素子ではエネルギー変換効率が飛躍的に向上することを知見し、この発明を完成した。
本発明の熱電変換素子の接合方法は、熱電変換材料が溶融状態で金属電極と親和性のある場合には、熱電材料を高周波装置で溶融した状態で両端の金属電極を圧縮して熱電材料と金属を直接接合する方法、あるいは熱電材料や金属電極よりも低い融点を有し且つ熱電変換材料と親和性のある接合用金属もしくは合金を熱電材料と金属電極の間に挟んだ状態で接合用金属もしくは合金を高周波装置で溶融させた状態で両端の金属電極を圧縮して接合用金属もしくは合金を介して接合する方法、さらに熱電材料の両端の表面にメッキもしくはスパッタ法により金属で被膜した後、熱電材料や被膜金属、金属電極よりも低い融点を有する金属もしくは合金を高周波装置で溶融させた状態で両端の金属電極を圧縮して接合用金属もしくは合金を介して接合する方法である。
この発明による、熱電材料と金属電極の接合技術は、接合界面での電気抵抗の増加を抑制する効果があり、冷却用の熱電変換素子の冷却効率を大幅に改善できる。
この発明による、熱電材料と金属電極の接合技術は、接合界面での電気抵抗の増加を抑制し界面効果による熱起電力を増大させる効果があり、発電用熱電変換素子の発電効率を大幅に改善できる。
この発明は、熱電材料を金属電極に接合するときに、熱電材料と金属電極を高周波溶解装置で接合部を溶融し圧縮して直接接合するか、あるいは熱電材料と溶融状態で親和性のある接合用金属を熱電材料と金属電極の間に挟み高周波溶解装置で接合用金属を溶融させた状態で金属電極に圧力を掛けて圧縮して接合させる接合技術である。
電極金属としては単体金属でも合金でも良いが、熱電変換素子の作動温度で電気抵抗率が低く、熱伝導率の高い金属が好ましい。また、接合用金属を介した接合であれば、熱電変換素子の作動温度より高く、且つ熱電材料と金属電極より低い融点を有する接合用金属もしくは合金を選択する必要がある。
一般に、高周波溶解に使用する印加電力の周波数は、1kHz〜100kHzであり、基本的には誘導加熱である。熱電材料と金属電極の接合部のみを局所的に加熱するためには、巻き数1ターンの高周波コイルを使用し、接合部をコイルの中心に配置して高周波を印加することが好ましい。加熱効率は加熱対象物の電気抵抗に強く依存し、電流を担うキャリアー密度が高いほど加熱しやすい。したがって、金属は簡単に加熱されるが、絶縁体では誘導加熱は起こらず全く加熱されない。
この加熱対象材料の違いを利用すると、熱電半導体材料はキャリアー密度が金属に比べて非常に低く加熱されにくいために、この加熱方法は熱電材料に熱的な損傷を与えにくいという利点がある。一方、金属電極や接合用金属は加熱されやすく高周波を局所的に接合部に印加すると簡単に溶融状態になるので、そのときに熱電材料と金属電極を圧縮すると簡単に接合できる。
高周波溶解装置では非加熱物は瞬時に加熱できるので、熱電材料の接合部は完全に溶けた状態にならない段階で圧縮接合すると、接合界面はほぼ直線状になるので、発電用の熱電変換素子では界面に急激な温度勾配が掛かりやすく、界面効果によりエネルギー変換効率は飛躍的に向上する。
冷却用の熱電変換素子ではこの接合方法を利用すると、従来の接合方法に比べて界面での電気抵抗が低下して熱電変換素子の冷却効率が向上することを知見した。また発電用の熱電変換素子では熱電材料と金属との間の界面効果によりゼーベック係数αが飛躍的に増大し、熱電変換素子の発電効率が大幅に改善できることを知見した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、以下、その実施の形態について詳細に説明する。
熱電材料と金属電極を接合するときの接合用金属は、熱電材料や金属電極よりも低融点でしかも電気抵抗率が低く且つ熱伝導率が高い金属あるい合金が好ましい。また、接合用金属としては、溶融状態で種々の溶融材料と親和性のある金属あるいは合金が好ましい。例えば、Bi、Sb、Al等の単体もしくはこれらの合金が好ましい。
発電用の熱電変換素子の場合には、熱電材料としては界面近くで急激な温度勾配が発生するように、熱伝導率の特に低い材料が好ましい。電極用の金属は電気抵抗率が低く且つ熱伝導率の高い金属で、しかも耐食性に優れた材料である必要があるために、Cu、Ag、A1等の単体もしくは合金が好ましい。いずれにしても接合用金属は熱電変換素子の高温側の作動温度よりもかなり高い融点を有するものでなければならない。
熱電材料にメッキやスパッタ法で金属被膜を着けた後、それを金属電極と接合するときの接合用の金属としては、熱電材料や被膜金属、金属電極よりも低い融点を有し且つ被膜金属と反応しない接合用金属あるいは合金を選択しなければならない。もし被膜金属が溶けると、熱電材料と接合金属の接合強度が著しく低下するだけでなく、界面での電気抵抗が著しく増加する。
熱電材料と金属電極を直接接合するときには、熱電変換材料が溶融状態で金属電極と親和性がなければならない。そのためには、熱電材料に共有結合しやすい元素を含有していないことが必要である。したがって、ほとんどの熱電材料はこれらの条件を満たさないので、熱電材料と金属電極を直接接合することは非常に難しい。例えば、実施例にも示しているように、Bi-Te系熱電材料と接合しやすい金属電極としてBiを選択して直接接合すると、接合界面で相互拡散が激しくなり、熱電材料のゼーベック係数が大きく劣化し、冷却効率が著しく低下するということもある。
高周波溶解装置は、一般には金属の溶解、焼鈍、焼入れ、焼戻し、ろう付け等に使用されている。また、高周波を半導体や絶縁体等のキャリアー密度の低い材料に印加してもキャリアー密度の高い金属のように加熱されないという特徴がある。したがって、熱電半導体材料は金属ほど加熱されないので、加熱による熱電特性の劣化を抑えることができるという利点がある。
また、従来の加熱方法と違って接合部を局所的に加熱することも可能であるために、接合用金属あるいは合金を用いた接合でも広範囲に熱電材料や金属電極に熱的な損傷を与えずに接合できる利点もある。具体的には、接合は加熱時の酸化防止のためにガラス管あるいは石英管の中に不活性ガスを入れた後、金属電極/接合金属/熱電材料/接合金属/金属電極の順に入れた後、あるいはガラス管あるいは石英管の中に接合材料を入れて真空引きした後で接合金属を高周波溶解して溶融状態になったときに両端の金属電極を金属棒で圧縮して接合する方法である。
接合した状態での接合金属の厚みは圧縮する圧力によっても変化するが、容易に0.1 mm以下にすることができる。そのときに加圧する金属棒は誘導過熱されにくいニッケルが適している。接合温度が接合金属の融点+20℃未満では接合強度が向上せず界面での電気抵抗も高くなるが、接合温度が融点+150℃を超える温度になると熱電材料や金属電極が一部接合金属によって喰われて接合界面が凹凸状になり発電用の熱電変換素子ではゼーベック係数が界面効果によって増大されなくなる。したがって、熱電変換素子の変換効率を向上させるためには、接合する温度は接合金属の融点よりも20〜150℃高い温度が適している。
接合界面での電気抵抗の増加と熱伝導度の低下を防ぐためには、接合界面を直線状にする必要がある。そのためには熱電材料や金属電極の両端面だけでなく、接合金属の両端面も研磨して表面の凹凸をできる限り小さくしておく必要がある。特に直線状の接合界面を有する熱電変換素子に大きな温度差を与えたときには接合界面での温度勾配が大きくなり、熱電素子のエネルギー変換効率が向上する。
高周波溶解装置で接合金属を使って熱電変換素子を接合するときには、接合金属の厚みは接合時の圧力によって大きく変化する。例えば、Bi-Te系熱電材料の場合、熱電材料にNiメッキした後、接合金属としてPb-Snの共晶半田を使い接合温度230℃で10Nの力で圧縮して接合したときの接合金属の厚みは0.03 mmであり、市販のBi-Te系熱電モジュールの半田層の厚み(約0.3 mm)よりも大幅に薄くすることができる。しかし圧縮圧力が2Nのときには接合金属厚みは0.30 mmとなり、市販のものと同程度になる。10Nの力で圧縮して接合した熱電変換素子の室温で電気抵抗は2Nの力で接合したものの電気抵抗よりも約6%低下した。両者の熱電変換素子に3Aの電流を流したとき冷却温度を比較すると、接合金属の厚み0.03 mmの冷却温度は接合厚み0.30 mmのものに比べて57%向上した。この冷却効率の向上は界面での電気抵抗上昇を抑えたためである。つまり冷却側の界面の電気抵抗によって発生するジュール熱を抑えたためである。
FeSi2系熱電材料の場合には、接合金属として銀ろうを使い接合温度750℃で10Nの力で両端のCu電極を圧縮して接合したときの接合金属の厚みは0.04 mmと薄くすることができる。熱電変換素子の電気抵抗を測定した結果、接合金属の厚み0.04 mmの電気抵抗は接合金属の厚み0.30 mmのものに比べて約3%低い。両者の熱電変換素子に200℃の温度差を与えたときの熱起電力は接合金属が薄いものは厚いものに比べて約20%増加し、出力電力としては約50%向上した。この熱起電力のこの大きな増加は接合金属を薄くすることによりゼーベック係数の界面効果よる大幅な増加と接合界面での電気抵抗の低下による。このような界面効果を増大させるためには、接合金属の厚みを出来限り薄くしなければならないことがわかる。
同じ性能指数を有する熱電材料でも電極の接合方法を改善することにより、熱電変換素子の性能指数を向上できるということである。熱電変換素子の熱電材料と金属の接合は、接合金属が溶融中に熱電材料や金属と固溶したり反応したりしなければ、メッキした後半田接合するか、もしくは接合金属を溶融させて接合しても良い。メッキ膜厚や接合金属の厚みをできるかぎり薄くて接合界面での電気抵抗の上昇を抑さえれば、いずれの方法でも冷却効率と発電効率は大きく改善できる。
実施例1
次に、本発明に係る熱電材料およびその製造方法の実施例について説明する。N型とP型のBi-Te系熱電材料を作製するために、使用した主成分および添加元素の各種配合を表1に示す。各構成元素や化合物を所定の割合で配合した後、20φの石英管の中に真空封入して高周波溶解して(使用原料の純度99.99%以上)、材料を電気炉内で670℃の温度で溶解した後、炉内温度勾配5℃/cmの下で冷却速度0.50℃/minで冷却して円柱状のインゴット(φ20×80mm)を作製した。これら試料の作製条件を表2に示す。
次に、本発明に係る熱電材料およびその製造方法の実施例について説明する。N型とP型のBi-Te系熱電材料を作製するために、使用した主成分および添加元素の各種配合を表1に示す。各構成元素や化合物を所定の割合で配合した後、20φの石英管の中に真空封入して高周波溶解して(使用原料の純度99.99%以上)、材料を電気炉内で670℃の温度で溶解した後、炉内温度勾配5℃/cmの下で冷却速度0.50℃/minで冷却して円柱状のインゴット(φ20×80mm)を作製した。これら試料の作製条件を表2に示す。
インゴットの中央部から15×5×5mm3(15mmの長さ方向は素材の円柱軸方向)の測定用試料を切り出して25℃で熱電特性を測定した。また、円柱軸方向の熱伝導率は2×5×5mm3の切断試料を用いてレーザーフラッシュ法により25℃で測定した。円柱軸方向に沿って25℃で測定した熱電特性と併せてそれらの測定結果を表3に示す。
実施例2
N型とP型のFe-Si系熱電材料を作製するために、使用した主成分および添加元素の各種配合を表4に示す。各成分元素を所定の割合で配合した後、20φの石英管の中に真空封入して高周波溶解して(使用原料の純度99.99%以上)、材料を溶解後、円柱状のインゴットを粗粉砕してジェットミル粉砕し表5中に示す平均粒径の粉末を得た。この粉末に10%濃度のポリビニールアルコール(PVA)バインダーの水溶液を0.50 wt%添加して造粒した後、φ15の金型で高さ20mmの寸法に圧縮成形した。成形体を水素流気中で450℃の温度で2時間脱バインダーした後、アルゴン雰囲気中において1150℃の温度で5時間焼結した。焼結体をβ相に相変態させるために、アルゴン雰囲気中で840℃の温度で100時間の熱処理を行った。これらの試料の作製条件を表5に示す。
N型とP型のFe-Si系熱電材料を作製するために、使用した主成分および添加元素の各種配合を表4に示す。各成分元素を所定の割合で配合した後、20φの石英管の中に真空封入して高周波溶解して(使用原料の純度99.99%以上)、材料を溶解後、円柱状のインゴットを粗粉砕してジェットミル粉砕し表5中に示す平均粒径の粉末を得た。この粉末に10%濃度のポリビニールアルコール(PVA)バインダーの水溶液を0.50 wt%添加して造粒した後、φ15の金型で高さ20mmの寸法に圧縮成形した。成形体を水素流気中で450℃の温度で2時間脱バインダーした後、アルゴン雰囲気中において1150℃の温度で5時間焼結した。焼結体をβ相に相変態させるために、アルゴン雰囲気中で840℃の温度で100時間の熱処理を行った。これらの試料の作製条件を表5に示す。
このようにして作製した試料の中央部から15×5×5mm3(15mmの長さ方向は素材の円柱軸方向)の測定用試料を切り出して25℃で熱電特性を測定した。また円柱軸方向の熱伝導率は2×5×5mm3の切断試料を用いてレーザーフラッシュ法により25℃で測定した。円柱軸方向に沿って25℃で測定した熱電特性と併せてそれらの測定結果を表6に示す。
実施例3
熱電変換素子の組み立ては、円柱軸に垂直に断面積5×5mm2で切断加工した後、表7に示す長さ寸法に切断した。また、金属電極も同じ断面積になるように切断し、同表に示す長さ寸法に加工した。接合は基本的には、石英管の内寸5×5mm2の管の中にアルゴンガスを流して充満させた後に熱電材料を金属電極で挟んだ状態で挿入したり、あるいは石英管内にこれらの接合部材を挿入し真空引きした後、接合部に高周波を印加して溶融したときに金属電極に圧力を掛けて接合した。
熱電変換素子の組み立ては、円柱軸に垂直に断面積5×5mm2で切断加工した後、表7に示す長さ寸法に切断した。また、金属電極も同じ断面積になるように切断し、同表に示す長さ寸法に加工した。接合は基本的には、石英管の内寸5×5mm2の管の中にアルゴンガスを流して充満させた後に熱電材料を金属電極で挟んだ状態で挿入したり、あるいは石英管内にこれらの接合部材を挿入し真空引きした後、接合部に高周波を印加して溶融したときに金属電極に圧力を掛けて接合した。
Bi-Te系熱電材料は表7に示すように、3種類の方法で接合体を作製した。まず、最初の方法は,加工した熱電材料をBi電極で挟んで熱電材料とBi電極を直接接合して図1に示すような熱電変換素子を作製する方法であり、また2番目の方法は熱電材料の両端にNiメッキした後、共晶半田でCuと接合する方法であり、さらに3番目の方法は熱電材料の両端に薄いBi-Sb合金を置いてCu電極で挟んだ状態で高周波溶解してBi-Sb合金が溶けたときにCu電極を圧縮して電極接合し熱電変換素子を作製した。
次にFe-Si系熱電材料は表7に示すように、3種類の方法で接合体を作製した。まず、最初の方法は熱電材料の両端にNiメッキした後、共晶半田でCuと接合して熱電変換素子を作製する方法であり、また2番目の方法は熱電材料の両端にNiメッキした後、熱電材料の両端に薄い銀ろうを置いてCu電極で挟んだ状態で高周波溶解して銀ろうが溶けたときにCu電極を圧縮して電極接合する方法であり、次に3番目の方法は銀ろうの代わりに純Al板を使って同様にP型とN型の熱電変換素子を作製した。Bi-Te系とFeSi2系熱電材料を使って作製した熱電変換素子の電気抵抗を25℃で測定した結果を表7に示す。ここで使用した接合用金属の融点を表8に示す。
実施例4
このようにして作製したBi-Te系熱電変換素子の冷却効率を調べるために、熱電変換素子に3Aの電流を流したときの冷却側の接合界面に近い金属部分の温度を測定し、測定開始前後の温度差を求めた。冷却部の温度測定は電流を流し始めて5秒後に行った。その測定結果を表9に示す。なお、熱電変換素子の合否判定基準は冷却温度5℃とし、これ以上を合とした。
このようにして作製したBi-Te系熱電変換素子の冷却効率を調べるために、熱電変換素子に3Aの電流を流したときの冷却側の接合界面に近い金属部分の温度を測定し、測定開始前後の温度差を求めた。冷却部の温度測定は電流を流し始めて5秒後に行った。その測定結果を表9に示す。なお、熱電変換素子の合否判定基準は冷却温度5℃とし、これ以上を合とした。
実施例5
このようにして作製したFeSi2系熱電変換素子の発電効率を調べるために、熱電変換素子に200℃の温度差を与えたときの熱起電力を測定し、出力電力を算出した。図1に示すような熱電変換素子の電気抵抗R、熱起電力Vとすると、出力電力Wは熱起電力Vと電気抵抗RからW=V2/4R(W)を用いて計算した。その測定結果を表10に示す。熱起電力の測定は直列に接続した加熱用と冷却用の熱電モジュールに直流電流を印加して200℃の温度差を発生させて行った。なお熱電変換素子の出力電力の合否基準は80(mW)とし、これ以上を合とした。
このようにして作製したFeSi2系熱電変換素子の発電効率を調べるために、熱電変換素子に200℃の温度差を与えたときの熱起電力を測定し、出力電力を算出した。図1に示すような熱電変換素子の電気抵抗R、熱起電力Vとすると、出力電力Wは熱起電力Vと電気抵抗RからW=V2/4R(W)を用いて計算した。その測定結果を表10に示す。熱起電力の測定は直列に接続した加熱用と冷却用の熱電モジュールに直流電流を印加して200℃の温度差を発生させて行った。なお熱電変換素子の出力電力の合否基準は80(mW)とし、これ以上を合とした。
この発明は、熱電材料に金属電極を接合するときに、熱電材料と金属電極が接した部分もしくはそれらの間に介した接合金属を局所的に高周波装置で溶かした後、圧縮することにより接合界面の凹凸をなくすと同時に界面での拡散層を出来限り薄くして界面での電気抵抗の上昇を抑制することによって、冷却用と発電用の熱電変換素子の冷却効率と発電効率が飛躍的に改善される。
Claims (3)
- 熱電材料を金属電極の間に挟んだ状態で不活性ガス中もしく真空中で熱電材料を高周波装置で溶融し、両端の金属電極を圧縮して熱電材料と金属を直接接合することを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
- 熱電材料や金属電極よりも低い融点を有し且つ熱電変換材料や金属電極と親和性のある接合用金属もしくは合金を熱電材料と金属電極の間に挟んだ状態で接合用金属もしくは合金を高周波装置で溶融し、両端の金属電極を圧縮して金属もしくは合金を介して接合することを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
- 熱電変換材料にメッキもしくはスパッタ法により金属を被膜した後、熱電材料や被膜金属、金属電極よりも低い融点を有する接合用金属もしくは合金を高周波装置で溶融し、両端の金属電極を圧縮して接合用金属もしくは合金を介して接合することを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2013070044A (ja) * | 2011-09-08 | 2013-04-18 | Hitachi Chemical Co Ltd | 熱電変換モジュールおよびその製造方法 |
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-
2007
- 2007-08-05 JP JP2007203717A patent/JP2009038323A/ja active Pending
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