JP4917375B2 - パワー半導体モジュールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パワー半導体モジュールの製造方法に関し、詳細には、冷熱サイクルに対して亀裂、剥離などの不具合を生じない信頼性の高いパワー半導体モジュール及びその製造方法であって、製造工程上、位置ずれなどの不具合を生じないパワー半導体モジュールの製造方法に関する。
パワー半導体モジュールは、通常、パワー半導体と電流通電部とが電気的に絶縁されるよう、パワー半導体に絶縁体を設けた構成となっている。このパワー半導体と絶縁体とは、半田などによって接合されている。
また、パワー半導体モジュールでは、半導体素子から発生する熱を効率よく放散するために、あるいは一時的に熱を分散するために、放熱板が設けられ、この放熱板と上記絶縁体とは、半田などによって接合されている。したがって、パワー半導体モジュールでは、半導体素子と絶縁体との間、及び絶縁体と放熱板との間の2箇所を接合することが一般的である。
これまでは2箇所の接合部にPb系半田材料が用いられており、特にPb−Sn半田材料を用い、PbとSnの比率を変えることによって、融点を183〜300℃前後の範囲で変化させて、2回の半田付けを行っていた(例えば、非特許文献1参照。)。
しかし、Pbは毒性を有するために使用廃止の方向にあり、Pbフリーの半田材料の開発が望まれている。
また、次世代のパワー半導体素子であるGaNやSiCは、200℃以上の耐熱性を有し、且つ絶縁破壊電界及び飽和電子密度等が大きいことから、高い動作電圧を用いて大電流を扱うことが可能である。この電流の大きさに起因して半導体素子からの発熱が200℃程度にまで上昇するため、半田による接合部分に対しても200℃以上の耐熱性が要求されている。
このような半田材料に対する要求の中、例えば、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金などの種々の組成のSn系半田材料が提案されている。
しかし、Sn系半田材料の融点は220℃程度であるが故に、この温度で溶解してしまい、また、200℃前後において引っ張り強度が著しく低下してしまうため、200℃を超える熱を発する次世代パワー半導体素子に対しては、接合材料としてSn系半田材料を用いることは実用上困難であった。
融点が250℃を超える無害な半田材料は、未だ研究段階において散見するに留まり、実用化されているものは極めて少ない。特殊な用途向けにAu−Sn合金(融点270℃)を用いる例があるが、この合金は全体の80%がAuであるために非常に高価な材料であり、民生機器への適用は困難である。
また、融点が250℃を超える無害な接合材料の1種として、Ag系のロウ材料が一般的に知られているが、それらの融点は600℃以上と高く、このような温度で溶融し接合させると半導体素子を壊したり変質させてしまうために、本用途に用いることができない。半導体モジュールの製造工程を考慮すると、接合時の加熱に適用し得る上限温度は、450℃程度である。
このような状況から、半導体素子に影響を及ぼさない450℃以下の温度での接合が可能であり、且つ、半導体素子の動作により発せられる200℃以上の温度にも耐え得るPbフリーな接合材料が熱望されている。
馬場陽一郎「HVインバータ品質確保の取り組み」溶接学会全国大会講演概要、第77章(2005−9)
本発明の課題は、冷熱サイクルに対して亀裂、剥離などの不具合を生じない信頼性の高いパワー半導体モジュール及びその製造方法であって、製造工程上、位置ずれなどの不具合を生じないパワー半導体モジュール及びその製造方法を提供することにある。
第1の発明は、パワー半導体素子と、絶縁基板と、放熱板と、を有し、
前記パワー半導体素子と前記絶縁基板との間、及び前記絶縁基板と前記放熱板との間の少なくとも一方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層された積層構造で接合してなるパワー半導体モジュールである。
本発明において、パワー半導体素子と絶縁基板との間、或いは絶縁基板と放熱板との間の接合部に用いられるCu層及びCuSn層の融点は、それぞれ約1080℃、約640℃であるため、次世代のパワー半導体素子であるGaNやSiCを用いて繰り返し使用した場合でも、接合部において亀裂や剥離などの不具合を生じさせない信頼性の高いパワー半導体モジュールとなる。
また、Cu層とCuSn層との界面において、パワー半導体モジュールの冷熱サイクルによっても不要な生成物を発生させることがなく、仮に界面に反応生成物が生成したとしても、ほとんど成長しないので、本発明のパワー半導体モジュールは、温度変化に対しても亀裂、剥離などの不具合を生じさせない。
更に、本発明のパワー半導体モジュールの作製方法では、請求項6に記載のように、接合時の加熱温度の下限値はSnの融点(約230℃)であるため、半導体素子に影響を及ぼさない450℃以下の温度での接合が可能である。
第2の発明は、前記パワー半導体素子が、GaN又はSiCを用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュールである。
上述の通り、本発明において接合部に用いられるCu層及びCuSn層の融点は、それぞれ約1080℃及び約640℃であるため、次世代のパワー半導体素子であるGaNやSiCを用いて200℃を超えた高温で繰り返し使用した場合でも、接合部において亀裂や剥離などの不具合を生じさせない信頼性の高いパワー半導体モジュールとなる。
第3の発明は、前記放熱板が、Mo層の両面にCu層を有する積層体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワー半導体モジュールである。
Cu/Mo/Cuの積層体は熱伝導率が高く、放熱板としての機能を効果的に発揮する。また、Cu/Mo/Cuの積層体は熱膨張係数が4ppm/K程度となり、パワー半導体素子の熱膨張係数の値に近くなる。その結果、冷熱サイクル時に顕著な熱応力が生じず、亀裂や剥離などの不具合を発生させない。また、この積層体の最外層はCu層で構成されるため、接合部に用いるCu層の役割を兼ねることができる。
第4に記載の発明は、前記放熱板におけるCu層/Mo層/Cu層の厚さの比率が、1/5/1〜1/12/1であることを特徴とする請求項3に記載のパワー半導体モジュールである。
Cu層/Mo層/Cu層の積層体の中でも、各層の厚さの比率が、1/5/1〜1/12/1の場合に、特に熱伝導率と熱膨張係数とのバランスが良好となり、放熱板としての機能を効果的に発揮する。
第5に記載の発明は、前記絶縁基板がAlN層であり、AlN層の両表面にCu層で形成される導電層を積層してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュールである。
絶縁基板の表面に設けられる導電層がCu層である場合、Cuの導電率が高いことから導電層を薄くすることができ、熱応力を緩和することができる。また、絶縁基板の表面のCu層は、前述の接合部のCu層の役割を兼ねることができる。
請求項1に記載の発明は、半導体素子と絶縁基板との間、及び絶縁基板と放熱板との間の少なくとも一方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層してなる積層構造で接合する接合工程を有し、
前記接合工程が、下記(1)〜(3)の工程を少なくとも有することを特徴とするパワー半導体モジュールの製造方法。
(1)Cu層とSn層とを積層した積層体を2個準備する。
(2)前記積層体のそれぞれのSn層が対向し接するように重ね合わせる。
(3)前記(2)の状態で、Snの融点以上で且つCuの融点よりも低い温度で溶融反応させる
CuSn層の融点は約640℃であるため、これをそのまま半田付けしようとすると、640℃を超える熱を与えなければならず、作業性が低下し、製造コストが高くなってしまう。また、パワー半導体素子も半田付けの際に加熱されるので、パワー半導体素子が破壊したり改質したりする恐れがある。これらの観点から、パワー半導体モジュールに適用しうる接合温度の上限としては、450℃程度である。
そこで、本発明では、CuSn層の形成方法として、まず、接合する部材のそれぞれの表面に、Cu層及びSn層を積層し、次に、それぞれのSn層が対向し接するように重ね合わせ、その状態でSnの融点以上で且つCuの融点よりも低い温度で溶融反応させる。
Snの融点以上で且つCuの融点よりも低い温度に昇温させると、Snのみが溶融してSn層どうしが接合し且つ液層になる。このとき、Cuの融点よりも低い温度で加熱するために、Cu層は固相であるが、固相のCuと液相のSnとの間で、相互の拡散が起こり、CuとSnの合金(CuSn)を生成する。
したがって、本発明によれば、Snの融点(約230℃)よりも高い温度で加熱すれば接合できるので、製造の作業性が向上する。
また、接合部にはSn層が残存せず、SnはすべてCuSn合金となっているため、形成された接合部の融点は約640℃となる。そのため、200℃を超えた高温での繰り返し使用によっても、接合部において亀裂や剥離などの不具合を生じさせない。
つまり、本発明は、形成された接合部分の融点よりも、接合時の加熱温度が低いので、製造上の作業性及びコストの観点から極めて有益な方法である。また、形成された接合部の融点は約640℃と高温であるため、200℃を超えた高温での繰り返し使用によっても、接合部において亀裂や剥離などの不具合を生じさせない。
なお、パワー半導体素子と絶縁基板との間の接合部、又は絶縁基板と放熱板との間の接合部の一方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順に積層する積層構造としてもよいし、2つの接合部の両方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順に積層する積層構造としてもよい。
請求項2に記載の発明は、前記Cu Sn層の厚さが、1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュールの製造方法である。
請求項に記載の発明は、前記溶融反応させる工程での加熱温度が、230℃以上450℃以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワー半導体モジュールの製造方法である。
前記溶融反応させる工程での加熱温度の下限は、Snが溶融する温度、すなわちSnの融点(約230℃)であり、この温度以上であれば、本発明のパワー半導体モジュールを製造することができる。しかし、230℃程度の加熱では、Sn層のすべてをCuSn層とするのには、長時間かかってしまう。そこで、反応を完結させるための加熱時間との兼ね合いから、より好適な加熱温度は250℃以上である。
また、接合時の加熱によって半導体素子が破壊或いは改質されるのを防ぐには、450℃以下の加熱で接合することが望ましい。
本発明によれば、冷熱サイクルに対して亀裂、剥離などの不具合を生じない信頼性の高いパワー半導体モジュールの製造方法であって、製造工程上、位置ずれなどの不具合を生じないパワー半導体モジュールの製造方法を提供することができる。
本発明のパワー半導体モジュールは、少なくともパワー半導体素子と、絶縁基板と、放熱板と、を有し、パワー半導体素子と前記絶縁基板との間、及び前記絶縁基板と前記放熱板との間の少なくとも一方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層してなる積層構造で接合されている。
以下では、まず始めにパワー半導体モジュールの構成について説明した後、各構成部材について説明し、次にパワー半導体モジュールの製造方法について説明する。
<パワー半導体モジュール>
図1に、本発明のパワー半導体モジュール10の要部断面図を模式的に示す。
パワー半導体モジュール10は、パワー半導体素子20と絶縁部30と放熱板40とを有する。パワー半導体素子20と絶縁部30との間は第一接合部50によって接合される。絶縁部30と放熱板40との間は第二接合部60によって接合される。
パワー半導体モジュール10は、車載用インバータなどに用いられるものである。パワー半導体モジュール10の周辺には図示しない内燃機関が設けられているために、パワー半導体モジュール10が置かれている環境はかなり高温となっている。さらに、パワー半導体素子として次世代のGaNやSiCを用いた場合には、パワー半導体素子20からの発熱が大きく、パワー半導体モジュール10の温度が上昇する。
パワー半導体素子が自身の発する熱や高温の周囲環境によって、パワー半導体素子が破壊するのを防ぐよう、冷却水が流動する冷却管(図示せず)が設けられ、冷却管とパワー半導体素子との間に放熱板40が設けられる。
したがって、一般的にパワー半導体モジュールに求められる性能としては、第一に冷熱サイクルに対して亀裂、剥離などの不具合を生じさせないことであり、第二に絶縁基板によって確実に絶縁させることであり、第三にパワー半導体素子から発せられた熱を放熱板までなるべく蓄積することなく伝えることである。
冷熱サイクルに対して亀裂、剥離などを発生させないためには、半導体素子、絶縁基板、放熱板及び接合部材などの部材そのものが温度変化に対して耐久性がなければならず、加えて、冷熱サイクルにおいて不要な反応生成物を発生させないことが重要である。かかる反応生成物は脆い物質であったり、逆に硬すぎる物質であったりして、反応生成物が発生した部位を起点として亀裂や剥離等を起こしやすい。
また、各部材の熱膨張係数が近い値であることも、冷熱サイクルによる亀裂や剥離などの発生を抑制するのに重要である。熱膨張係数が大きく異なる部材を接合すると、冷熱サイクルによって繰り返し起こる部材の体積変化によって、亀裂や剥離等を発生させやすくなる。
<第一接合部及び第二接合部>
本発明における第一接合部50は、パワー半導体素子20と絶縁部30との間を接合するために設けられ、第二接合部60は、絶縁部30と放熱板40との間を接合するために設けられる。
本発明では、第一接合部50と第二接合部60の少なくとも一方が、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層した積層構造で接合されている。つまり、第一接合部50のみ、あるいは第二接合部60のみを、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層した積層構造としてもよいし、第一接合部50と第二接合部60の両者をCu層、CuSn層及びCu層の順で積層した積層構造としてもよい。
接合部におけるCuの融点は1080℃であり、CuSnの融点は約640℃であるため、次世代のパワー半導体素子であるGaNやSiCを用いて繰り返し使用した場合でも、接合部において亀裂や剥離などの不具合を生じさせない信頼性の高いパワー半導体モジュールとなる。
また一般的には、冷熱サイクルによって、接合部における異種物質どうしの界面で、反応生成物が生成し成長し、その結果、温度変化に対して亀裂、剥離などの不具合を発生させる。
しかし、本発明にかかるCu層/CuSn層/Cu層の積層構造では、Cu層とCuSn層との界面において、パワー半導体モジュールの冷熱サイクルによっても不要な生成物を発生させることがなく、仮に界面に反応生成物が生成したとしても、ほとんど成長しないので、温度変化に対しても亀裂、剥離などの不具合を生じさせない。また接着性にも優れる。
本発明において、CuSn層の厚さは、0.1〜100μmであることが、信頼性、熱的特性及び電気的特性の観点から好ましく、より好ましくは0.5〜20μmであり、更に好ましくは1〜10μmである。1μmよりも薄いと、Sn層どうしが充分密着せず接合部に空隙を生じ、熱抵抗が高くなる恐れがあり、10μmよりも厚いと、Snの一部が残存し、信頼性が低下することがある。
なお、接合部における積層構造のCu層は、絶縁部30や放熱板40の一部として設けられているものであってもよい。絶縁基板32の表面に設けられるCu層は、導電層として設けられる。導電層がCu層である場合、Cuの導電率が高いことから導電層を薄くすることができ、熱応力を緩和できるため好適である。また、下記に示すように、放熱板40が、Moの表面にCu層を設けたCu層44/Mo層42/Cu層46の積層体のときには、熱伝導率と熱膨張係数の観点から好適な放熱板となる。
絶縁部30や放熱板40へのCu板の貼り付けは、ロウ付けなどの方法によって行うことができる。
積層構造のCu層は、上述のように絶縁部30や放熱板40の一部として、他の機能を兼ねて設ける場合があるため、それぞれの機能を発揮できる程度の厚さとなるように、適宜調節することが好ましい。
第一接合部50において、パワー半導体素子20側のCu層22としては0.1〜10μmであることが、信頼性の観点から好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。0.5μmよりも薄いと、接合時に消失する恐れがあり、5μmよりも厚いと、パワー半導体モジュール全体の熱膨張係数に影響を与え、熱応力を生じさせるようになるため好ましくない。
なお、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を形成する場合、Sn層の厚さよりも若干厚いCuSn層が得られるので、パワー半導体素子20、絶縁部30、及び放熱板40のそれぞれの表面に設けるSn層の厚さは、所望のCuSn層の厚さに応じて、適宜選択する。
また、第一接合部50と第二接合部60のいずれか一方を、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造以外の材料で接合する場合、当該接合材料としては公知のものを適宜適用することができる。ここで、第一接合部50と第二接合部60のいずれを先に形成してもよい。
1回目の接合部に、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を適用する場合、2回目の接合部には、CuSn層の融点(約640℃)よりも低い温度で接合できる材料を選択することが、2回目の接合時における位置ずれや傾斜などの不具合の発生を防止する観点から好ましく、より好ましくは、加熱による半導体素子の破壊や改質を防止する観点から、450℃以下の温度で接合できる材料を選択することが好ましい。
2回目の接合部に、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を適用する場合、1回目の接合部には、Snの融点(約230℃)よりも充分に高い融点を有する材料を選択することが、2回目の接合時における位置ずれや傾斜などの不具合の発生を防止する観点から好ましく、更に、加熱による半導体素子の破壊や改質を防止する観点から、450℃以下の温度で接合できる材料を選択することが好ましい。
また、本発明では、1回目の接合部と2回目の接合部の両方に、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を適用することができる。
通常、半導体モジュールの製造方法では、2回目の接合工程では、1回目に接合した部分も含めて全体を加熱するため、1回目の接合部位が位置ずれや傾斜など起こさないように、2回目の接合時の加熱温度を1回目に用いた接合材料の融点よりも充分に低くしなければならない。
つまり、通常の半導体モジュールの製造方法においては、1回目の接合部と2回目の接合部には、融点の異なる材料を用いなければならず、特に1回目の接合材料は、2回目の接合材料の融点よりも充分に高い融点を有するものを選択しなければならない。
しかし本発明の製造方法では、下記に説明するように、接合部材のそれぞれの表面にCu層やSn層をスパッタリングやメッキなどで形成した後、それぞれのSn層が対向し接触するように重ね合わせた状態で、Sn層どうしが接合し且つCuSn層が形成するような温度で加熱すれば接合することができる。
したがって、接合のための加熱温度の下限としては、Snが溶融する温度、すなわち融点(約230℃)であればよい。一方で、接合後に形成された層は、Cu層/CuSn層/Cu層となるので、Cuの融点(約1080℃)やCuSnの融点(約640℃)よりも低い温度では溶融せず、接合部位の位置ずれや傾斜などを起こすことがない。
ゆえに、1回目の接合部をCu層/CuSn層/Cu層の積層構造とし、2回目の接合部にもCu層/CuSn層/Cu層の積層構造を適用しても、2回目の接合時の加熱温度(下限温度はSnの融点の約230℃)が、1回目の接合部の融点(つまり、CuSnの融点(約640℃))よりも充分に低くなるように調節することができるので、1回目の接合部位で位置ずれや傾斜などを起こさないように接合することができる。
このように、本発明のパワー半導体モジュールでは、2箇所の接合部位に同じ接合材料を適用することができるため、操作が簡易化され、製造の省スペース化を図ることもできる。
<パワー半導体素子>
パワー半導体素子20としては、特に制限することなく用途に応じて適宜適用することができ、一般的なSi基板なども適用できる。
本発明では、次世代素子としてGaN基板やSiC基板などを用いた場合であっても、接合部に用いるCuSn層及びCu層の融点が、それぞれ約640℃、1080℃であるため、半導体素子の繰り返し使用によって放熱される200℃を超える高温に対しても、亀裂や剥離などの不具合を生じさせない信頼性の高いパワー半導体モジュールとなる。
第一接合部50を、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造とする場合には、パワー半導体素子20の第一接合部50側の表面に、Cu層22を設ける。
Cu層22の厚みは、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.5μm〜2μmであることがより好ましい。0.1μmよりも薄いと、接合時に半田材料に溶け込み消失する恐れがあり、10μmよりも厚いと、パワー半導体モジュール全体の熱膨張係数に影響を与え、熱応力を生じさせるようになるため好ましくない。
Cu層22は、スパッタリングやメッキ、蒸着等によって形成することができる。
更にCu層22の表面には、上述の通りSn層を設ける。Sn層は、スパッタリングやメッキ、蒸着等によって形成することができる。
<絶縁部>
絶縁部30における絶縁基板32としては、絶縁性を確保できるものであれば特に制限されず適用することができるが、好ましくは冷却サイクル時に顕著な熱応力を生じさせないよう、半導体素子の熱膨張係数と同程度の熱膨張係数を有するものである。
具体的に好適な絶縁基板32としては、AlN、Si、Alなどで形成されるものを挙げることができ、この中でも熱伝導率及び熱膨張係数の観点からAlNが好適である。
また、絶縁基板32におけるパワー半導体素子側の表面から半導体素子に電気を通すためにAlNの表面に導電層34を積層する。また、温度変化に対するそりを抑制するために、放熱板40側にも導電層36を積層することが好ましい。
このような導電層34、36としては、Al、Cu、Mo、Niなどを挙げることができ、この中でもAl及びCuが好ましい。AlNの表面にAl層を設けると、温度変化に対して塑性変形を生じ、熱応力を緩和でき、一方Cu層を設けると導電率が高いことから薄くすることができ、熱応力を緩和できるため好適である。
特に、導電層34、36としてはCu層であることが、接合部のCu層/CuSn層/Cu層の積層構造におけるCu層の役割を兼ねて設けることができるため好適である。
AlNの表面に備える導電層34、36の厚さは、0.01mm〜2mmであることが好ましく、0.1mm〜1mmであることがより好ましい。導電層の厚さが0.01mm未満の場合には、横方向(積層方向に対して垂直な方向)への電流による損失及び発熱が無視できなくなり、2mmを超える場合には、パワー半導体モジュール全体の熱膨張係数に影響を与え、熱応力を生じさせるようになるため好ましくない。
AlNの表面に備える導電層34、36の厚さは、0.01mm〜2mmであることが好ましく、0.1mm〜1mmであることがより好ましい。Cu層の厚さが0.01mm未満の場合には、横方向への電流による損失及び発熱が無視できなくなり、2mmを超える場合には、パワー半導体モジュール全体の熱膨張係数に影響を与え、熱応力を生じさせるようになるため好ましくない。
導電層34、36は、ロウ付けなどの方法によって絶縁基板32に貼付することができる。
導電層34、36がCu層でない場合には、絶縁部30のCu層/CuSn層/Cu層の積層構造で接合する側の表面に、Cu層(図示せず)を形成する。
Cu層は、スパッタリングやメッキ、蒸着等によって形成することができる。
更にCu層の表面には、上述の通りSn層を設ける。Sn層は、スパッタリングやメッキ、蒸着等によって形成することができる。
<放熱板>
放熱板40としては、放熱性を有するものであれば特に制限されず適用することができるが、熱伝導率が充分高く放熱板としての機能に優れ、また半導体素子の熱膨張係数に近いものを用いることが好ましい。
具体的に好適な放熱板40としては、Mo、Cu−Mo合金、Al−SiC、Cu、Alなどで形成されるものを挙げることができ、この中でも高い熱伝導率とパワー半導体素子に近い熱膨張係数を有することから、Moが好適である。
Moを放熱板に用いる場合には、接合を可能とする観点から、Moの両面に他の金属層を設けることが好ましく、このような金属層としては、Cu、Niなどを挙げることができ、この中でもCuが好ましい。特に、放熱板40が、Moの表面にCu層を設けたCu層44/Mo層42/Cu層46の積層体であることが、熱伝導率と熱膨張係数との調整を図る観点から好適である。
このように、放熱板40が、Cu層44/Mo層42/Cu層46で構成される積層体である場合、各層の厚さの比率が、1/5/1〜1/12/1であることが好ましく、1/7/1〜1/9/1であることがより好ましい。1/5/1よりもMo層が薄くなると、パワー半導体素子の熱膨張係数から離れた熱膨張係数を有することになるため好ましくない。1/12/1よりもMo層が厚くなると、放熱板としての放熱機能が充分に発揮され難くなり、好ましくない。
具体的な層の厚さとしては、Cu層44、46は、0.05mm〜1mmであることが好ましく、0.2mm〜0.5mmであることがより好ましい。Mo層42の厚さは、1mm〜7mmであることが好ましく、2mm〜4mmであることがより好ましい。
Cu層44/Mo層42/Cu層46で構成される積層体は、放熱機能を充分に発揮させるため、全体の厚さは1mm〜8mmであることが好ましく、2mm〜5mmであることがより好ましい。
上述の通り、Cu層44は、接合部のCu層/CuSn層/Cu層の積層構造におけるCu層の役割を兼ねることができる。
一方、第二接合部60を、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造とする場合であって、放熱板40の一部として表面にCu層が設けられていない場合には、放熱板40の第二接合部60側の表面に、Cu層(図示せず)を形成する。
Cu層は、スパッタリングやメッキ、蒸着等によって形成することができる。
更にCu層の表面には、上述の通りSn層を設ける。Sn層は、スパッタリングやメッキ、蒸着等によって形成することができる。
本発明のパワー半導体モジュールにおいて、接合部のそれぞれの層の界面では、冷熱サイクルによる不要な生成物を発生させることがないので、或いは界面に反応生成物が生成したとしても、ほとんど成長しないので、本発明のパワー半導体モジュールは、温度変化に対する耐性が高くなる。
また、接合部は、高い融点を有するCu層(融点:約1080℃)とCuSn層(融点:約640℃)で形成されているため、半導体素子の繰り返し使用によって放熱される200℃を超える高温に対しても、亀裂や剥離などの不具合を生じさせない信頼性の高いパワー半導体モジュールとなる。
<製造方法>
本発明のパワー半導体モジュールの製造方法は、半導体素子と絶縁基板との間、及び絶縁基板と放熱板との間の少なくとも一方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層してなる積層構造で接合する接合工程を有し、前記接合工程が、Snの融点以上で且つCuの融点よりも低い温度で溶融反応させる工程を有する。
CuSn層の融点は約640℃であるため、これをそのまま溶融して接合しようとすると、640℃を超える熱を与えなければならず、作業性が低下し、製造コストが高くなってしまう。
そこで、本発明では、CuSn層の形成方法として、まず、接合する部材のそれぞれの表面にCu層、Sn層を積層し、それぞれのSn層が対向し接するように重ね合わせる。次に、Snの融点以上で且つCuの融点よりも低い温度に昇温して、溶融反応させる。このとき、Snのみが溶融して液層になり、Sn層どうしが一体化する。一方でCu層は固相であるが、固相のCuと液相のSnとの間で、相互の拡散が起こり、CuとSnとの合金であるCuSnを生成する。この合金は、始めに固相のCuと液相のSnの界面で発生し、その後、合金が成長しSnとCuのいずれか一方の供給がなくなるまで継続する。
本発明では、Cuの膜厚よりも薄いSnを用いるため、Snの供給量で律速し、Snがすべて合金となった段階で反応が停止する。その結果、Sn層は、Cu−Snの合金単層となり、その両側にCu層が存在する構造となる。ここで、形成したCu−Snの合金を分析したところ、すべてがCuSnとなっていることが確認されている。
したがって、接合部にはSn層が残存せず、Sn層はすべてCuSn合金となっているため、形成された接合部の融点は約640℃となる。残存するCuの融点も約1080℃であるため、200℃を超えた高温での冷熱サイクルによっても、接合部において亀裂や剥離などの不具合を生じさせない。
具体的な接合方法について説明する。
まずは、パワー半導体素子20と絶縁部30との接合部である第一接合部50を、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造で接合するときの接合方法を説明する。
まず始めに、パワー半導体素子20の接合面側の表面に、Cu層をスパッタリングにより成膜し、更にCu層上に、Sn層をスパッタリングにより成膜する。一方、絶縁部30の接合面側には、導電層としてのCu板をロウ付けなどの方法によって貼り付ける。このCu板の表面にSn層をメッキにより形成する。
パワー半導体素子20と絶縁部30とを、それぞれに設けられたSn層が対向し接するように重ね合わせ、接合部の密着性や均一性を確保するよう、治具等により積層方向に加圧する。
この状態において、不活性ガス又は還元ガス雰囲気下において、リフロー法等を利用して熱処理によって接合する。加熱温度は、Snの融点以上で且つCuの融点よりも低くなるようにする。Snの融点より低いと、Snが溶融しないので接合しない。またCuとSnとの反応が起こらず、CuSnが形成しない。一方、Cuの融点よりも高いと、接合部のCuが溶融し、接合部位の位置ずれや傾斜などを起こす。また、Cu層とSn層のすべてで液相となり、全体が合金となってしまい、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造とならない。更に、パワー半導体素子が破壊されたり改質したりする。
より好ましい接合時の加熱温度は、230℃以上450℃以下の温度である。接合時の加熱によって半導体素子が破壊されるのを防ぐには、450℃以下の加熱で接合することが望ましい。
また、Snの融点(230℃)近辺の加熱では、SnすべてをCuSnとするには加熱反応時間が長くなってしまう。加熱反応時間との兼ね合いから、より好適な加熱温度の下限は、250℃である。
接合時間は、Snが完全にCuSnに変化するのに充分な時間であれば限定されず、接合温度やSn層の厚みに応じて適宜調節することが好ましい。
パワー半導体モジュールの製造方法では、パワー半導体素子と絶縁基板との間、あるいは絶縁基板と放熱板との間の2箇所の接合を行うため2回の接合工程を有する。2回目の接合工程では、1回目に接合した部分も含めて全体を加熱するため、1回目の接合部が位置ずれや傾斜など起こさないよう、2回目の接合温度を1回目の接合部に用いた材料の融点よりも充分に低くしなければならない。
そこで、1回目の接合として、第一接合部50をCu層/CuSn層/Cu層の積層構造で接合すると、Cu層及びCuSn層の融点は、約1080℃及び約640℃であるため、2回目の接合材料としては、融点が640℃よりも充分に低い材料を選択することが望ましい。このような材料を選択することによって、2回目の接合時の加熱に、部品の位置ずれや傾斜などが発生しない。
したがって、第一接合部50をCu層/CuSn層/Cu層の積層構造とする場合には、絶縁部30と放熱板40との接合部である第二接合部60は、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を適用してもよいし、CuSnの融点(約640℃)よりも低い温度で接合できる材料を適用してもよい。
例えば、第二接合部60の接合材料として、Sn−Cu半田材料などを例示することができる。Sn−Cu半田材料で半田付けする場合には、250〜300℃で加熱し、接合する。
次に、先に第二接合部60をCu層/CuSn層/Cu層の積層構造によって接合する方法について説明する。
まず、絶縁部30の放熱板40側に、導電層としてのCu板をロウ付けなどの方法によって貼り付けたものを準備し、一方で、放熱板40の絶縁部30側にロウ付けなどの方法によってCu板を貼り付けたものを準備する。それぞれのCu板の表面にはSn層をメッキにより形成する。
絶縁部30と放熱板40とを、それぞれに設けられたSn層が対向し接するように重ね、接合部の密着性や均一性を確保するよう、治具等により積層方向に加圧する。
この状態において、不活性ガス又は還元ガス雰囲気下において、リフロー法等を利用して熱処理によって接合する。加熱温度や加熱時間は、第一接合部をCu層/CuSn層/Cu層の積層構造とした場合と同様である。
次に第一接合部50の接合を行う。第一接合部50には、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を用いてもよいし、CuSnの融点(約640℃)よりも低い温度で接合できる材料を用いてもよい。このような接合材料としては例えば、Sn−Cu半田材料などを例示することができ、Sn−Cu半田材料で半田付けする場合には、250〜300℃で加熱を行うが、Cu層及びCuSn層の融点はいずれも約640℃以上と高温であるため、第一接合部50の接合時に加熱しても、部品の位置ずれや傾斜などを発生させない。
なお、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を1回目の接合時の接合材料に用いる場合を具体的に説明したが、上述の通り、Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造を2回目の接合時の接合材料としても用いることができる。
この場合には、1回目の接合材料として、Snの融点(約230℃)よりも充分に高い融点を有するものを選択することが、2回目の接合時における1回目の接合部位の位置ずれや傾斜などを発生させない観点から好ましい。なお、1回目の接合時にパワー半導体素子が破壊したり改質したりするのを回避する観点から、1回目の接合材料としては、450℃以下で接合できる材料を選択することが好ましい。
以下では実施例により本発明を説明するが、パワー半導体モジュールの製造方法の一例について述べるものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図2に本実施例のパワー半導体モジュールの構成を示す。
<パワー半導体素子の準備>
GaNを用いたパワー半導体素子を準備し、その表面に5μmのCu層と、更にCu層の表面に2μmのSn層をスパッタリングで形成した。
<絶縁部の準備>
一方、絶縁基板としてのAlNの両面に、厚さ0.3mmのCu板をロウ付けによって貼り付け、Cu層/AlN層/Cu層の積層体を作製した。
Cu層の表面には、2μmのSn層をメッキにより形成した。なお、メッキの際には、メッキしない面はマスキングシートなどを貼って保護した。
<第一接合部の接合>
上記準備したパワー半導体素子のSn層と、絶縁部のSn層とを対向し且つ接するように重ね、ネジにより加圧する方式の治具により加圧した。なお、熱膨張を考慮し、治具はモリブデン材料で作製したものを用い、加圧力は5MPaとした。
そのように加圧した試料及び治具を、そのまま石英管に入れ、5容積%H/Nの還元ガス雰囲気のフロー中、電気炉により400℃、30分間の熱処理を行った。
接合部の断面をEDX法及びXRD法によって分析した結果、Sn層が残存することなく、すべてCuSnの合金(融点640℃)になっていることが確認された。
<放熱板の準備>
放熱板として、Mo板の両表面にCu板をロウ付けによって貼り付けて、Cu層/Mo層/Cu層で構成される積層体を作製した。積層体全体の厚さは3mmであり、Cu層/Mo層/Cu層の厚さの比率は、1/8/1であった。
<第二接合部>
パワー半導体素子が第一接合部で接合された絶縁部におけるCu層と、放熱板のCu層とが対向するように配置し、その間を、Sn−Cu半田材料によって、280℃で接合した。
なお、1回目の接合部分(Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造による第一接合部)は、接合温度が400℃であるにも関わらず、接合後は600℃以上の耐熱性を有する合金となっているため、2回目のSn−Cuによる半田付けの加熱によっても溶融することがなく、2回目の接合時に位置ずれを起こしたり、傾いたりという不具合を発生させていなかった。
<冷熱サイクル試験>
得られたパワー半導体モジュールについて、冷熱サイクル試験を行った。
本実施例において冷熱サイクル試験は、−40℃と200℃の間を40分で上昇・降下させるのを1サイクルとし、その1サイクルを合計で3000サイクル行った。3000サイクル後の第一接合部と第二接合部の断面を電子顕微鏡で観察し、界面の反応生成物の有無、亀裂や空隙などの不具合の有無を調べた。
その結果、第一接合部には、実用上問題が無い程度の僅かなクラックが観察されたのみで、支障となるような不具合は見られなかった。
[実施例2]
図3に本実施例のパワー半導体モジュールの構成を示す。なお、実施例1と異なり、実施例2では、絶縁基板と放熱板を先に接合し、その後、半導体素子を絶縁基板に接合する方法とした。
<絶縁部の準備>
実施例1と同様の方法で、Cu層/AlN層/Cu層の積層体を作製した。放熱板側のCu層の表面には、2μmのSn層をメッキにより形成した。なお、メッキの際には、メッキしない面はマスキングシートなどを貼って保護した。
<放熱板の準備>
実施例1と同様の方法で、Cu層/Mo層/Cu層で構成される積層体を作製した。積層体全体の厚さは3mmであり、Cu層/Mo層/Cu層の厚さの比率は、1/8/1であった。
絶縁部側のCu層の表面には、2μmのSn層をメッキにより形成した。なお、メッキの際には、メッキしない面はマスキングシートなどを貼って保護した。
<第二接合部の接合>
上記準備した絶縁部のSn層と、放熱板のSn層とを対向し且つ接するように重ね、ネジにより加圧する方式の治具により加圧した。なお、熱膨張を考慮し、治具はモリブデン材料で作製したものを用い、加圧力は5MPaとした。
そのように加圧した試料及び治具を、そのまま石英管に入れ、5容積%H/Nの還元ガス雰囲気のフロー中、電気炉により400℃、30分間の熱処理を行った。
接合部の断面をEDX法及びXRD法によって分析した結果、Sn層が残存することなく、すべてCuSnの合金(融点640℃)になっていることが確認された。
<パワー半導体素子の準備>
GaNを用いたパワー半導体素子を準備し、その表面に5μmのCu層をスパッタリングによって形成した。
<第一接合部>
パワー半導体素子と、絶縁部との間を、Sn−Cu半田材料によって、280℃で接合した。
なお、1回目の接合部分(Cu層/CuSn層/Cu層の積層構造による第二接合部)は、接合温度が400℃であるにも関わらず、接合後は600℃以上の耐熱性を有する合金となっているため、2回目のSn−Cuによる半田付けの加熱によっても溶融することがなく、2回目の接合時に位置ずれを起こしたり、傾いたりという不具合を発生させていなかった。
<冷熱サイクル試験>
実施例1と同様の方法で、冷熱サイクル試験を行った結果、損傷が無いことを確認した。
[比較例1]
図4に比較例1のパワー半導体モジュールの構成を示す。
<パワー半導体素子の準備>
GaNを用いたパワー半導体素子を準備し、その最表面にNi層をスパッタリングで形成した。Ni層の表面にはAu層(図示せず)をスパッタリングで形成した。
<絶縁部の準備>
一方、絶縁基板としてのAlNの両面に、Al層をロウ付けによって貼り付け、Al層/AlN層/Al層の積層体を作製した。更にこの積層体のAl層の表面には、Ni層をメッキにより形成し、絶縁部を作製した。なお、メッキの際には、メッキしない面はマスキングシートなどを貼って保護した。
<放熱板の準備>
CuMo合金からなる板状の材料を準備し、所定の大きさに切断した後、上下面にNi層をメッキにより形成した。
<接合>
比較例1のパワー半導体モジュールでは、パワー半導体素子と絶縁部との接合部(第一接合部)の半田材料を、Pbの含有率が90質量%の90Pb−Snとし、絶縁部と放熱板との接合部(第二接合部)の半田材料を、Pbの含有率が50質量%の50Pb−Snとした。
得られた比較のパワー半導体モジュールについても、実施例1と同様の冷熱サイクル試験を行った。その結果、絶縁部と放熱板との間の第二接合部において剥離が生じた。これは、第二接合部の接合材料(50Pb−Sn)の半田の固相線が183℃付近であり、冷熱サイクル試験の高温側で溶融し、剥離した結果と思われる。
本発明のパワー半導体モジュールの構成を示す図である。 実施例1のパワー半導体モジュールの構成を示す図である。 実施例2のパワー半導体モジュールの構成を示す図である。 比較例1のパワー半導体モジュールの構成を示す図である。
符号の説明
10 パワー半導体モジュール
20 パワー半導体素子
22 Cu層
30 絶縁部
32 絶縁基板
34、36 導電層
40 放熱板
42 Mo層
44、46 Cu層
50 第一接合部
60 第二接合部

Claims (3)

  1. 半導体素子と絶縁基板との間、及び絶縁基板と放熱板との間の少なくとも一方を、Cu層、CuSn層及びCu層の順で積層してなる積層構造で接合する接合工程を有し、
    前記接合工程が、下記(1)〜(3)の工程を少なくとも有することを特徴とするパワー半導体モジュールの製造方法。
    (1)Cu層とSn層とを積層した積層体を2個準備する。
    (2)前記積層体のそれぞれのSn層が対向し接するように重ね合わせる。
    (3)前記(2)の状態で、Snの融点以上で且つCuの融点よりも低い温度で溶融反応させる
  2. 前記Cu Sn層の厚さが、1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュールの製造方法。
  3. 前記溶融反応させる工程での加熱温度が、250℃以上450℃以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワー半導体モジュールの製造方法。
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