JP2005315963A - 電子写真感光体用のスプレー塗工装置と電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗布液供給手段と、霧化エアー供給手段と、スプレーガンとを備えた構成のスプレー塗工装置とし、スプレーガンは、塗工液を給送する流路と吐出口を設けた円錐台状のノズル5と、霧化エアーを給送する空隙と排出口を設けた円錐台状のエアキャップ6から構成し、該ノズルとエアキャップの相互の位置関係や寸法を好適に設定する。例えば、エアキャップ先端開口部の等内周径部幅(b)を0.1mm以上、0.3mm以下とする。
【選択図】図4
Description
この塗膜形成のための塗工方法としては、ディッピング(浸漬)方式に比べて、塗布液の使用量が少なく、液使用寿命が短い塗布液に対して有効であり、また形状に対する制約が少なく、大型で長大な被塗布体にも適用でき、装置が小型であるなどの利点からスプレー塗布方式が用いられており、長尺、大径ドラムの感光体の塗布にもよく使われている。
しかし、スプレー塗布方式は、スプレーガンの微小な孔のノズルから塗布液を多数の微小粒子として噴霧させ、被塗布体(基体面)に吹付けて成膜する方法であるため、スプレーガンの構造上、ガン先に液カスが付着するという問題がある。
液カスが付着すると微小粒子の粒径分布や噴霧パターンが変化し、塗膜ムラが発生する。そのため、被塗布体を1本塗布するごとにガン先に付着した液カスを清掃しなければならない場合があり、生産性が低下してしまう。
一方、近年の高画質化により、複写機やプリンター等に用いられる電子写真感光体では、非常に高い均一性が求められている。特に、フルカラーデジタルプリンターでは、塗膜ムラが画像異常として発生しやすいため、製造工程では生産性を犠牲にして、均一塗膜を作製しているのが現状である。
このため、ガン先に液カスが付着してもスプレーミストの粒径分布や噴霧パターンの変化が小さく、頻繁なガン先清掃の必要ないスプレーガンが望まれている。
しかし、上記提案の方法では、いずれもスプレーガンのノズル先端に異物(液カスなど)が付着するとスプレーミスト粒径分布が変化する。このため、ガン先を清掃せずに連続して塗工作業を継続した場合には、塗膜ムラが発生して均一な塗膜形成ができなくなる。
あるいは、均一塗膜を得る方法として、スプレーノズル吐出口中心と感光体用基体の中心軸とを含む平面への投射ベクトルと、該スプレーノズルの移動方向ベクトルとが形成する角度を、0°を越え90°未満に設定して、スプレーノズルを中心軸と平行に移動させつつスプレー塗布する方法(例えば、特許文献8参照。)が提案されている。
しかし、上記提案の方法では、いずれもスプレーガンのノズル先端に液カスなどの異物が付着すると噴霧パターンが変るため、塗膜ムラが発生して均一な塗膜形成ができなくなる。
しかし、上記方法では、ノズル先端に異物が付着すると噴霧パターンが変化して、単位時間あたりの液付着量が不均一になり、塗膜ムラが発生しやすい。
しかし、この方法の場合、洗浄のための治具が必要となるほか、さらに洗浄時間を要するために生産性が落ちて、製造においてコスト高となる。
また、塗料噴射口の先端に塗料が付着するのを阻止して、粒子状に固化した塗料が飛翔しないようにする方法が提案されている(例えば、特許文献12参照。)。
しかし、上記方法では、いずれもスプレーガンもしくは塗料噴射口先端部分に塗料が付着するのを阻止する方法として効果が十分ではなく、塗料の付着を完全に無くすることはできない。このため、連続生産の場合、付着してしまった塗料の影響を受けて、形成される塗膜の均一性が劣るという問題が生じる。
しかし、この方法では、塗布液の霧化が不十分になり、形成された塗膜の均一性が十分でなく、劣るという問題がある。
前記ノズルには塗布液を給送する流路と吐出口を設け、前記エアキャップとノズルとの間には霧化エアを給送する空隙と排出口を設け、かつノズル先端部に対面するエアキャップ先端開口部の等内周径部幅を0.1mm以上、0.3mm以下にしたことを特徴とする電子写真感光体用のスプレー塗工装置である。
前記ノズルに設けた流路と吐出口から塗布液を給送、吐出すると共に、前記ノズル先端部に対面するエアキャップ先端開口部の等内周径部幅を0.1mm以上、0.3mm以下とし、該エアキャップとノズルとの間に設けた空隙と排出口から霧化エアを給送、排出し、該塗布液を微粒子にして噴霧・塗布することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
前記塗布液に用いられる溶媒が混合溶媒であり、該混合溶媒は少なくとも20℃において蒸気圧が0.1〜20mmHgである溶媒を含有し、その含有量が10重量%以上、70重量%以下であることが好ましい。
すなわち、本発明のスプレー塗工装置を用い、本発明の製造方法を適用することによって、高画質化のために要求される非常に高い塗膜均一性(画像異常を発生するムラなどが無い塗膜)を有する電子写真感光体が効率良く作製できる。これによって、フルカラーデジタルプリンター用の電子写真感光体や、長尺、大径ドラムの感光体が提供される。
また、スプレーガンによって塗装ができるため、ディッピング方式の装置に比べて小型で簡便であり、大型で長大な被塗布体に適用できるので、一般的なスプレー塗装分野にも広く応用することが可能である。
図1に本発明における電子写真感光体用のスプレー塗工装置の概略構成図を示す。
図1に示すように、本発明のスプレー塗工装置1は、塗布液供給手段2と、霧化エア供給手段3と、該塗布液2Aと霧化エア3Aとがそれぞれ給送されるように構成されたスプレーガン4とを備えている。
スプレーガン4は、ノズル5とエアキャップ6とから構成され、スプレーガンの先端に塗布液の液カスが付着しても、安定したスプレーミストが噴霧できるように相互の位置関係や寸法が好適に調整されている。そして、塗布液供給手段2から、粘度や溶媒の蒸気圧などが調整された塗布液が供給されると共に、霧化エア供給手段3から、圧力調整(流量調整によって制御可能)された霧化エアが供給され、スプレーガン4から塗布液がスプレーミストとして噴霧されるようになっている。
図2において、スプレーガン4は、上記のように円錐台状のノズル5と中空円錐台状のエアキャップ6から構成されている。ノズル5には塗布液2Aを供給する流路7と吐出口8が設けられている。また、エアキャップ6とノズル5との間には霧化エア3Aを供給する空隙9と排出口10が設けられている。
すなわち、塗布液供給手段2(図1)から供給された塗布液2Aは、流路7を経由して吐出口8から吐出されると共に、霧化エア供給手段3(図1)から供給された霧化エア3Aが、エアキャップ6とノズル5との間に設けられた空隙9を経由して排出口10から排出され、これによって塗布液が微粒子とされて噴霧される。
なお、図2(b)に示すようにノズル5の流路7にはニードル(5n)が位置調整可能に配備されるが、以降の詳細な説明では省略する。
上記問題を解決するための本発明におけるスプレーガンのノズルとエアキャップの相互の位置関係や寸法を以下に説明する。説明において用いる各部の名称を図3に示す。
ここで、内面幅(b)が0.1mmよりも小さい場合は、強度、耐久性の点で不十分となり、スプレー塗工装置として使用するのが難しくなる。また、0.3mmよりも大きいと、スプレーガン先端に液カスが付着した場合に、霧化エアの流路の変化によって粒径分布や噴霧パターンに影響が出てくる。
内面幅のさらに好ましい範囲は、0.1mm以上、0.25mm以下であり、特に好ましい範囲は、0.1mm以上、0.2mm以下である。
このような配置関係に設定する仕方としては、ノズル5を固定してエアキャップ6を動かすようにしてもよいし、エアキャップ6を固定してノズル5を動かすようにしてもよい。
間隔が0mmよりも小さい(エアキャップ最先端位置14がノズル最先端位置13に対して後面となる)場合には、スプレーミストの粒径分布や噴霧パターンに影響が出てきて均一な塗膜が形成できない。
エアキャップ最先端位置14とノズル最先端位置13との間隔のさらに好ましい範囲は、0mm以上、0.5mm以下であり、特に好ましい範囲は、0mm以上、0.3mm以下である。
テーパー角度が80°よりも小さい場合、あるいは120°よりも大きい場合には、スプレーガン先端に液カスが付着した際、霧化エアの流路が変化してスプレーミストの粒径分布や噴霧パターンが大きく変り、均一な塗膜を形成することができなくなる。
テーパー角度のさらに好ましい範囲は、80°以上、110°以下であり、特に好ましい範囲は、90°以上、100°以下である。
空隙の最小隙間寸法(a)のさらに好ましい範囲は、0.5mm以上、1.0mm以下であり、特に好ましい範囲は、0.5mm以上、0.8mm以下である。
図8は、本発明の電子写真感光体用のスプレー塗工装置を用いて被塗布体(ワーク)上に塗布液をスプレー塗布する場合の塗工システム構成の例を示す模式図である。
図8において、ワーク51は、塗布ブース52内に回転自由に配置されており、一方、スプレーガン53は、ワーク51の軸線方向に沿って移動可能にガイドレール54に取り付けられている。塗布ブース52には、スプレーガン53から噴霧された余分のスプレーミストを排除するため、クリーンエアー供給口55と排気口56が設けられている。そして、塗布液供給手段57の塗布液タンク58から塗布液がポンプ59によって供給されると共に、霧化エアー供給手段60の霧化エアータンク61から霧化エアーがポンプ62によって供給され、塗布液が微粒子化されスプレーガン53からワーク51上に噴霧される。
このように調整したスプレーガンを用いることによって、スプレーガンの先端に塗布液の液カスが付着しても、頻繁にガン先清掃を行うことなく均一な塗膜を継続して得ることができ、生産性を低下させることがない。
霧化エアの圧力が0.01MPaより低いと、塗布液の微粒子化が不十分になり、塗膜ムラが発生する。また、圧力が0.5MPaより大きいと、ミストがワークに激しくぶつかるため、塗膜ムラが発生する。なお、霧化エアーの圧力は、流量を調整することによって制御することができる。
圧力のさらに好ましい範囲は、0.01MPa以上、0.3MPa以下であり、特に好ましい範囲は、0.01MPa以上、0.2MPa以下である。
すなわち、低蒸気圧溶媒の含有量が10重量%より少ないと、ミスト中の溶媒の蒸発が速過ぎて、ワーク上でのレベリングが不十分になり、塗膜ムラが発生する。また、含有量が70重量%より多いと、塗膜の指触乾燥に時間がかかって生産性が落ちるばかりではなく、塗布環境の影響を受けやすく塗膜ムラが発生しやすい。
含有量のさらに好ましい範囲は、10重量%以上、60重量%以下であり、特に好ましい範囲は、10重量%以上、50重量%以下である。
上記溶媒は、20℃において蒸気圧が0.1〜20mmHgであれば良いが、塗布液に用いられる各種樹脂を溶解しやすく、混合される他の溶媒との相溶性が良好で、塗布形成された塗膜の乾燥過程で表面状態が悪化(ユズ肌などの発生)しないものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、メチルエチルケトンや、テトラヒドロフランの混合溶媒としてシクロヘキサノンを組合せて用いるのが好ましい。
ここで、粒径分布は、D90μmを測定基準として表したものであり、D90μmの意味は、標記された粒径の値以下の粒子が全体の体積の90%を占めることを表わす。
上記粒径分布が1μmよりも小さいと、スプレーミストが周囲の気流に乗って舞い易く、被塗布物への付着効率が低下しやすい。また、塗布ブースの清掃など、塗布環境の管理や制御が難しく、コスト高になりやすい。また、粒径分布が30μmよりも大きいと、ミストがワークにぶつかったときに衝撃が大きく、塗膜ムラが発生しやすい。粒径分布が30μm以下であれば、ミストはワークにソフトに付着するため、塗膜ムラが発生しない。また、ミストが密に堆積するため、均一塗膜を作製することができる。
粒径分布のさらに好ましい範囲は、1μm以上、20μm以下であり、特に好ましい範囲は、1μm以上、10μm以下である。
すなわち、塗布液の粘度は低すぎても、高すぎても塗布液の微粒子化ができず、スプレー塗布することができない。さらに、5mPa・sよりも大きいと、微粒子化の効率が悪く、ガン先に液カスが生成しやすくなる。5mPa・s以下であれば、微粒子化が効率良く起こるため、液カスは発生しにくくなる。
塗布液の粘度のさらに好ましい範囲は、0.05mPa・s以上、4mPa・sであり、特に好ましい範囲は、0.1mPa・s以上、3mPa・sである。
電子写真感光体の構成としては、基板(基体)上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層などを順次設けたものが例として挙げられる。以下本例の構成を参考にして各層を具体的に説明する。
まず、電子写真感光体用の基体としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケルなどの金属材料のドラムやシート;あるいは、紙、プラスチックまたはガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス、銅−インジウムなどの金属を蒸着した材料、もしくは酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属酸化物を蒸着した材料、あるいは金属箔をラミノートした材料、またはカーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅などを結着樹脂に分散し塗工することによって導電処理した材料など各種のドラム状、シート状、あるいはプレート状の公知の材料を用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
この下引き層を設けることによって、帯電時において、導電性支持体から感光層への電荷の注入が阻止されると共に、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる、いわゆる接着層としての作用や、あるいは導電性支持体からの反射光侵入を防止する作用等の効果が得られる。
下引き層の厚さは、0.01〜10μm、好ましくは0.3〜7μmが適当である。
電荷輸送物質として、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサゾアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−〔ピリジル−(2)〕−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、スチリルトリフェニルアミン、ジベンジルアニリンなどの芳香族、第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−1,1−ビフェニル−4,4′−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キンゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N、N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、“Journal of Imaging Science”29:7〜10(1985)に記載されているエナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどのポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタナートおよびその誘導体、さらにはピレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂などの公知の電荷輸送物質を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送物質は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送物質とバインダーとの配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。本発明で用いる電荷輸送層の膜厚は一般的には5〜50μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
顔料としては、アルミナ、酸化チタン等の無機顔料の他、有機顔料を使用してもよい。全固形分中の顔料の重量配合率は5〜30%が好ましい。厚みは一般的には2〜10μm、好ましくは4〜8μmが適当である。なお、保護層は使われる複写機、プリンターによっては設ける必要が無い場合もある。
実施例1
以下に示す組成で、下引き層用、電荷発生層用、電荷輸送層用の各塗布液を調製し、下記塗工条件でそれぞれスプレー塗布によって積層形成して電子写真感光体を作製した。なお、各層の形成は10本づつ連続スプレー塗布して行い、順次各層を積層して電子写真感光体10本を作製した。
<下引き層用塗布液の調製>
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL:大日本インキ化学工業社製)15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製)10重量部をメチルエチルケトン320重量部に溶解し、これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL:石原産業社製)90重量部を加えてボールミルで12時間分散した。
得られた溶液を容器に取り出し、さらにシクロヘキサノン140重量部で稀釈して下引層用塗布液とした。
<下引き層用塗布液の塗工条件>
上記調製した下引き層用塗工液を、図8に示した模式図の塗工システム構成を適用し、本発明の電子写真感光体用のスプレー塗工装置を用いてφ170mm、長さ410mmのニッケルシームレスベルト(被塗布体/ワーク)上にスプレー塗布して下引層を形成した。
ここで使ったスプレー塗工装置のスプレーガンとしては、図9の概略断面図に示すような構成のものを用いた。図9における各符号の説明と諸元を下記に示す。
各符号の説明:
(a);各先端部のエアキャップ内径とノズル外径とに挟まれた空隙の最小隙間寸法
(b);エアキャップ先端部の内面幅
(c);エアーキャップ最先端位置とノズル最先端位置との間隔
(d);エアキャップ内側のテーパー角度
(θ);ノズル外側のテーパー角度
(e);ニードルの最先端位置とノズル最先端位置との間隔
(t1);流路におけるノズル内壁とニードルの外壁との隙間
(t2);ノズル最先端の肉厚
各諸元:
(a);0.1mm、(b);0.2mm、(c)−0.1mm、(d);78°、(θ);30°、(e);1.4mm、(t1);0.01mm、(t2);0.2mm、
その他の条件:
スプレーガンの材質;超硬合金
霧化エア流量;10L/min
上記条件でニッケルシームレスベルト上に下引き層用塗工液をスプレー塗布した後に、140℃で20分間乾燥し、膜厚が8.2μmの下引き層を形成した。
<電荷発生層用塗布液の調製>
次に、ポリビニールブチラール樹脂(エスレックHL−S:積水化学工業社製)5重量部をメチルエチルケトン150重量部に溶解し、これを下記構造式(1)に示すトリスアゾ顔料10重量部を加え、ボールミルで48時間分散後、さらにシクロヘキサノン210重量部を加えて3時間分散を行った。得られた溶液を容器に取り出し、さらにメチルエチルケトン600重量部で稀釈して電荷発生層用塗布液とした。
上記調製した電荷発生層用塗布液を、下引き層の場合と同様に図8の塗工システム構成と本発明の電子写真感光体用のスプレー塗工装置を用い、下引き層を形成した被塗布体(ワーク)上にスプレー塗布して電荷発生層を形成した。
ここで使ったスプレー塗工装置のスプレーガンは、下引き層の場合と同じであるが、一部諸元を変更した。
各諸元:
(a);0.1mm、(b);0.2mm、(c)−0.1mm、(d);78°、(θ);30°、(e);1.0mm、(t1);0.01mm、(t2);0.2mm、
霧化エア流量;25L/min
上記条件でワーク上に電荷発生層用塗布液をスプレー塗布した後、自然乾燥して膜厚が0.5μmの電荷発生層を形成した。
<電荷輸送層用塗布液の調製>
次いで、テトラヒドロフラン160部に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂10部、シリコンオイル(KF−50:信越化学工業社製)0.002部を溶解し、これに下記構造式(2)の電荷輸送物質8部を加えて溶解させ、シクロヘキサノン160重量部で希釈し電荷輸送層用塗布液を調製した。
上記調製した電荷輸送層用塗布液を、下引き層の場合と同様に図8の塗工システム構成と本発明の電子写真感光体用のスプレー塗工装置を用い、電荷輸送層を形成した。
ここで使ったスプレー塗工装置のスプレーガンは、下引き層の場合と同じであるが、一部諸元を変更した。
各諸元:
(a);0.1mm、(b);0.2mm、(c)−0.1mm、(d);78°、(θ);35°、(e);1.5mm、(t1);0.02mm、(t2);0.2mm、
霧化エア流量;20L/min
上記条件でワーク上に電荷輸送層用塗布液をスプレー塗布した後、160℃で20分間乾燥して膜厚が25μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして連続塗布により、実施例1の電子写真感光体を10本作製した。
表2において、粒径分布は、レーザー光散乱方式粒度分布測定装置LDSA−3400A(東日コンピュータアプリケーションズ社製)により測定したものであり、σは、噴霧された微粒子の粒径分布(D90μm)の標準偏差を表す。最大膜厚差は、電子マイクロメータ(アンリツ社製)により測定した。
実施例1と同様にして下引き層用、電荷発生層用、電荷輸送層用の各塗布液を調製し、実施例1における塗工条件の(a)を0.1mmから0.5mmに、(c)を−0.1mmから0.2mmに、(d)を78°から95°にそれぞれ変え、各塗布液の塗布時における霧化エア流量を下記のように変えた以外は実施例1と同じようにして連続塗布により、実施例2の電子写真感光体を10本作製した。
霧化エアの流量条件:
下引き層用塗布液の塗布時;20L/min(形成した下引き層の膜厚;8.2μm)
電荷発生層用塗布液の塗布時;40L/min(形成した電荷発生層の膜厚;0.5μm)
電荷輸送層用塗布液の塗布時;30L/min(形成した電荷輸送層の膜厚;25μm)
実施例1における塗工条件のエアキャップ先端部の内面幅(b)を0.2mmから0.4mmに変え、各塗布液の塗布時における霧化エア流量を下記のように変えた以外は実施例1と同じようにして連続塗布により、比較例2の電子写真感光体を10本作製した。
霧化エアの流量条件:
下引き層用塗布液の塗布時;8L/min(形成した下引き層の膜厚;8.2μm)
電荷発生層用塗布液の塗布時;20L/min(形成した電荷発生層の膜厚;0.5μm)
電荷輸送層用塗布液の塗布時;15L/min(形成した電荷輸送層の膜厚;25μm)
実施例1における塗工条件の(a)を0.1mmから1.1mmに変え、各塗布液の塗布時における霧化エア流量を下記のように変えた以外は比較例1と同じようにして連続塗布により、比較例2の電子写真感光体を10本作製した。
霧化エアの流量条件:
下引き層用塗布液の塗布時;40L/min(形成した下引き層の膜厚;8.2μm)
電荷発生層用塗布液の塗布時;60L/min(形成した電荷発生層の膜厚;0.5μm)
電荷輸送層用塗布液の塗布時;45L/min(形成した電荷輸送層の膜厚;25μm)
実施例1における塗工条件の(d)を78°から125°に変えた以外は比較例1と同じようにして連続塗布により、比較例2の電子写真感光体を10本作製した。従って、各塗布液の塗布時における霧化エア流量と各膜厚は比較例1と同様である。
実施例1の下引層用塗布液に変えて、下記により調製した下引層用塗布液を用いた。
すなわち、アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL:大日本インキ化学工業社製)15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製)10重量部をメチルエチルケトン320重量部に溶解し、これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL:石原産業社製)90重量部を加えてボールミルで12時間分散した後、これを容器に取り出してメチルエチルケトン140重量部で稀釈調製し、下引層用塗布液とした。
こうして得られた下引き層用塗布液を用いた以外は比較例1と同様にして連続塗布により、比較例4の電子写真感光体を10本作製した。従って、各塗布液の塗布時における霧化エア流量と各膜厚は比較例1と同様である。
実施例1の電荷輸送層用塗布液に変えて、下記により調製した電荷輸送層用塗布液を用いた。
すなわち、テトラヒドロフラン100部に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂10部、シリコンオイル(KF−50:信越化学工業社製)0.002部を溶解し、これに前記構造式(2)で示される電荷輸送物質8部を加えて溶解させ、シクロヘキサノン50部で希釈して電荷輸送層用塗布液を調製した。
こうして得られた電荷輸送用塗布液を用いた以外は比較例1と同様にして連続塗布により、比較例5の電子写真感光体を10本作製した。従って、各塗布液の塗布時における霧化エア流量と各膜厚は比較例1と同様である。
比較例1における電荷輸送層用塗布液の塗布時の霧化エア流量を60L/minとした以外は、比較例1と同様にして連続塗布により、比較例5の電子写真感光体を10本作製した。従って、電荷輸送層の膜厚(25μm)および、下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液の塗布時における霧化エア流量と各膜厚も比較例1と同様である。
上記実施例1、2、および比較例1〜6により得られた電子写真感光体(各10本)に対して、株式会社リコー製フルカラーレーザープリンター(IPSIO Color 5000)の改造機(λ=655nm、1200dpi、ビームスポット2.7×10-3mm2に改造)を用いて、画像形成を行なった。形成された画像の品質(白ベタ画像、斜め細線画像、ハーフトーン画像、画像異常発生時期)を目視で判定した。なおハーフトーン画像は2×2ドット画像である。画像評価結果を表3に示す。
2 塗布液供給手段
2A 塗布液
3 霧化エア供給手段
3A 霧化エア
4 スプレーガン
5 ノズル
6 エアキャップ
7 流路
8 吐出口
9 空隙
10 排出口
11 ノズル先端部
12 エアキャップ先端部
13 ノズル最先端位置
14 エアキャップ最先端位置
(a) 各先端部のエアキャップ内径とノズル外径とに挟まれた空隙の最小隙間寸法
(b) エアキャップ先端部の内面幅(等内周径部幅)
(c) エアキャップ最先端位置とノズル最先端位置との間隔
(d) エアキャップ内側のテーパー角度
(θ) ノズル外側のテーパー角度
(e) ニードルの最先端位置とノズル最先端位置との間隔
(t1) 流路におけるノズル内壁とニードルの外壁との隙間
(t2) ノズル最先端の肉厚
51 ワーク
52 塗布ブース
53 スプレーガン
54 ガイドレール
55 クリーンエアー供給口
56 排気口
57 塗布液供給手段
58 塗布液タンク
59 ポンプ
60 霧化エア供給手段
61 霧化エアタンク
62 ポンプ
Claims (12)
- 塗布液供給手段と、霧化エア供給手段と、該塗布液と霧化エアとがそれぞれ給送されるように構成された円錐台状のノズルと中空円錐台状のエアキャップとを有するスプレーガンとを備え、該スプレーガンから塗布液を噴霧して被塗布体上に感光層を塗布形成するようにした電子写真感光体用のスプレー塗工装置において、
前記ノズルには塗布液を給送する流路と吐出口を設け、前記エアキャップとノズルとの間には霧化エアを給送する空隙と排出口を設け、かつノズル先端部に対面するエアキャップ先端開口部の等内周径部幅を0.1mm以上、0.3mm以下にしたことを特徴とする電子写真感光体用のスプレー塗工装置。 - 前記エアキャップ先端開口部の最先端位置が、前記ノズル先端部の最先端位置に対して同じか前面となるように配置構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体用のスプレー塗工装置。
- 前記ノズルに対面する中空円錐台状をなす前記エアキャップ内側の斜筒面の開角が80°以上、120°以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体用のスプレー塗工装置。
- 前記エアキャップ先端部のエアキャップ内周壁面とノズル先端部のノズル外周壁面とに挟まれた空隙の最小隙間寸法が0.2mm以上、1.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体用のスプレー塗工装置。
- 塗布液供給手段と、霧化エア供給手段と、該塗布液と霧化エアとがそれぞれ給送されるように構成された円錐台状のノズルと中空円錐台状のエアキャップとを有するスプレーガンとを備えた電子写真感光体用のスプレー塗工装置を用い、該スプレーガンから塗布液を噴霧して被塗布体上に感光層を塗布形成する電子写真感光体の製造方法であって、
前記ノズルに設けた流路と吐出口から塗布液を給送、吐出すると共に、前記ノズル先端部に対面するエアキャップ先端開口部の等内周径部幅を0.1mm以上、0.3mm以下とし、該エアキャップとノズルとの間に設けた空隙と排出口から霧化エアを給送、排出し、該塗布液を微粒子にして噴霧・塗布することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記エアキャップ先端開口部の最先端位置が、前記ノズル先端部の最先端位置に対して同じか前面となるように配置構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記ノズルに対面する中空円錐台状をなす前記エアキャップ内側の斜筒面の開角が80°以上、120°以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記エアキャップ先端部のエアキャップ内周壁面とノズル先端部のノズル外周壁面とに挟まれた空隙の最小隙間寸法が0.2mm以上、1.0mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記供給される霧化エアの圧力がスプレーガンに導入される直前において0.01MPa以上、0.5MPa以下あることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗布液に用いられる溶媒が混合溶媒であり、該混合溶媒は少なくとも20℃において蒸気圧が0.1〜20mmHgである溶媒を含有し、その含有量が10重量%以上、70重量%以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記スプレーガンから霧化エアによって噴霧される塗布液微粒子の粒径分布が、被塗布体に付着する直前において1μm以上、30μm以下(測定基準:D90μm)であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗布液の粘度が0.01mPa・s以上、5mPa・s以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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