JP3658921B2 - 塗布済み円筒状基材の分離排出装置及び分離排出方法 - Google Patents

塗布済み円筒状基材の分離排出装置及び分離排出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直方向に連続して搬送される複数の円筒状基材上に垂直塗布装置により塗布液を塗布、乾燥した後の塗布済み円筒状基材の分離排出装置及び分離排出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来円筒状基材の外周面上へ均一な薄膜を形成するための塗布方法としては、例えば、浸漬塗布法、ブレード塗布法、ロール塗布法等の種々の方法が検討されている。特に電子写真感光体ドラム(以下単に感光体ドラムともいう)のような薄膜で均一な塗膜を効率よく形成でき、生産性の優れた塗布装置を開発すべく検討されている。しかしながら、従来の円筒状基材への塗布装置及び塗布方法では、均一な塗膜が得られなかったり、生産性が悪い等の欠点があった。
【0003】
例えばブレード塗布法やロール塗布法は、円筒状基材の長手方向にブレード若しくはロールを配置し、円筒状基材を回転させながら塗布を行う方法であり、塗布終了時、ブレード若しくはロールを後退させるものである。しかしながらブレード若しくはロールを後退させる際、塗布液の粘性により、塗布膜の一部に他の部分より厚い部分が生じ、均一な塗膜が得られない欠点がある。
【0004】
浸漬塗布法は、上記におけるような塗布液表面の平滑性、塗布膜の均一性の悪い点は改良されるが、塗布膜厚の制御が塗布液物性例えば粘度、表面張力、密度、温度及び塗布速度等に支配され、塗布液物性の調整が難しいと言う問題がある。また、塗布速度が遅く、かつ塗布液槽を満たすため比較的に多量の液量が必要であり、更には重層塗布を行う場合、下層成分が溶け出して塗布液槽が汚染され易い等の欠点がある。そこで特開昭58−189061号公報には垂直方向に搬送される円筒状基材の外表面に塗布液を環状で塗布する塗布手段を有する垂直塗布装置が提案された。該垂直塗布装置には、例えば環状のスライドホッパー型塗布装置、環状の押し出し型塗布装置、環状の少量ディップ型塗布装置及び環状のスプレイ型塗布装置等が含まれ、該垂直塗布装置によれば少ない液量で、精度のよい塗膜を生産性よく塗布加工することができる等の利点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記垂直塗布装置においては通常、円筒状基材を搬送手段により連続して垂直方向に搬送し、塗布手段及び乾燥手段により塗布乾燥した後、塗布済み円筒状基材を分離排出手段により分離排出するが、上記分離排出手段による塗布済み円筒状基材の分離排出を行うときに生ずる機械的振動が、塗布手段に影響を与え、塗布ムラを発生することが解った。
【0006】
そこで従来塗布乾燥後の塗布済み円筒状基材を分離排出手段により分離排出する際の機械的振動を防止する、例えば特開平7−43917号公報等に記載される如き改良がなされたが、電子写真用の感光体を塗布する場合など、高い精度が要請される場合は、塗布時の僅かな振動で、例えば円筒状基材の偏芯や、上下左右へのブレ等による円周方向の塗布ムラ又は、次の円筒状基材との接合部周辺(円筒状基材端部周辺)の塗布ムラを生じて、画像形成時の電子写真性能を悪化せしめるため、上記塗布済み円筒状基材を分離排出する際の機械的振動による塗膜への影響を最小限に止めるための更なる改良研究が要請されていた。
【0007】
本発明者等は、鋭意検討の結果、円筒状基材への塗布と、塗布乾燥後の円筒状基材の分離とのタイミング及び、上記塗布と分離の作動時間の関係を厳しく規制することにより、円筒状基材円周方向の塗布ムラ又は、円筒状基材端部周辺の塗布ムラ等に基因する画像欠陥を生ぜず高画質の画像形成が可能となることに気付き、本発明を完成したのである。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは垂直塗布装置における搬送手段により連続して垂直方向に搬送された円筒状基材に垂直塗布手段により塗布、乾燥した後、塗布済み円筒状基材を分離排出手段により分離排出する際の機械的振動による塗布工程での円筒状基材円周方向の塗布ムラ又は端部塗布ムラ等の発生がなく、従って又感光体等に利用したときの画像形成時の円周方向の濃度ムラや端部画像の濃度ムラ等を生ずることのない塗布済み円筒状基材の分離排出装置及び分離排出方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は下記構成により達成される。
【0010】
1.垂直方向に筒軸を合わせて積み重ね、連続して搬送される円筒状基材の外周面上に、垂直塗布装置の塗布手段により塗布液を塗布、乾燥した後、後送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第2の把持部材と、先送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第1の把持部材とを相対的に移動させることにより、後送り塗布済み円筒状基材と先送り塗布済み円筒状基材との接合部を切り離して該後送り塗布済み円筒状基材から先送り塗布済み円筒状基材を分離し、かつ第2の把持部材を解放することにより先送り塗布済み円筒状基材を排出する塗布済み円筒状基材の分離排出装置において、該垂直塗布装置の分離手段作動開始時から、後送り塗布済み円筒状基材の内面を第2の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT2(秒)、先送り塗布済み円筒状基材の内面を第1の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT1(秒)、先送り塗布済み円筒状基材と後送り塗布済み円筒状基材とを分離する分離開始時までの時間をT3(秒)、及び第2の把持部材を解放するまでの時間をT4(秒)とし、かつ該塗布手段により塗布される塗膜のうち、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部の塗膜の幅に相当する時間長をT5(秒)としたとき、下記式を満足することを特徴とする塗布済み円筒状基材の分離排出装置。
【0011】
式:0.1T5<{(T4−T2)=ΔT}<T5
2<T1<T3<T4
2.垂直方向に筒軸を合わせて積み重ね、連続して搬送される円筒状基材の外周面上に、垂直塗布装置の塗布手段により塗布液を塗布、乾燥した後、後送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第2の把持部材と、先送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第1の把持部材とを相対的に移動させることにより、後送り塗布済み円筒状基材と先送り塗布済み円筒状基材との接合部を切り離して該後送り塗布済み円筒状基材から先送り塗布済み円筒状基材を分離し、かつ第2の把持部材を解放することにより先送り塗布済み円筒状基材を排出する塗布済み円筒状基材の分離排出方法において、該垂直塗布装置の分離手段作動開始時から、後送り塗布済み円筒状基材の内面を第2の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT2(秒)、先送り塗布済み円筒状基材の内面を第1の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT1(秒)、先送り塗布済み円筒状基材と後送り塗布済み円筒状基材とを分離する分離開始時までの時間をT3(秒)、及び第2の把持部材を解放するまでの時間をT4(秒)とし、かつ該塗布手段により塗布される塗膜のうち、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部の塗膜の幅に相当する時間長をT5(秒)としたとき、下記式を満足することを特徴とする塗布済み円筒状基材の分離排出方法。
【0012】
式:0.1T5<{(T4−T2)=ΔT}<T5
2<T1<T3<T4
以下本発明を更に詳細に説明する。
【0013】
本発明の垂直塗布装置及び塗布方法では、円筒状基材の供給手段により該円筒状基材を垂直方向に連続して供給すると共に、該円筒状基材の外面から把持する把持部材等により搬送され、塗布手段及び乾燥手段により塗布、乾燥された後、塗布済み円筒状基材は内部から把持する把持部材により搬送されながら分離排出手段により分離排出されるが、分離排出手段による分離排出に要する時間を、塗布手段により塗布される塗膜のうち、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部を形成する塗膜の幅の相当時間以内とした点に特徴が有る。即ち、円筒状基材に塗布手段により塗布液を塗布する際、円筒状基材の接合部を含む非画像部が塗布手段を通過する時間内に、塗布済み円筒状基材の分離排出を、上記の式で表される関係を保ちつつ終了するようにタイミングを合わせて塗布を行う点に特長がある。
【0014】
〔本発明の塗布装置及びその塗布乾燥方法、分離排出装置及びその方法〕
〈本発明の垂直塗布装置の一例〉
図1は本発明の垂直塗布装置の一例を示す斜視図である。図1において、10は円筒状基材1を塗布手段の垂直下方の所定位置に供給して上方に押し上げる供給手段、20は供給された円筒状基材1の外周面を把持して筒軸を合わせて積み重ね下から上へ垂直に押し上げて搬送する搬送手段、30は前記円筒状基材1を後記塗布手段の環状塗布部の中心に位置合わせする位置決め手段、40は前記円筒状基材の外周面上に塗布液を連続的に塗布する塗布手段、50は円筒状基材1上に塗布された塗布液を乾燥させる乾燥手段で乾燥フード51、乾燥器53からなっている。60は乾燥されて垂直搬送される積み重ね状の複数の塗布済み円筒状基材1から1個ずつ分離して排出させる分離排出手段であり、図1には塗布済み円筒状基材1Hに対する塗布済み円筒状基材1Mの分離が示されている。
【0015】
本発明の垂直塗布装置は、上記の各手段を連続して垂直中心線Z−Z上に配置した構成であり、人手を要しない完全自動化生産が高精度で達成される。即ち、前記供給手段10は前記円筒状基材1を載置するための複数の取り付け手段11を備えた可動テーブル12、該可動テーブル12を回転させて前記搬送手段20へつながる垂直ラインへ送り込む駆動手段13、前記搬送手段20により既に上方に把持搬送されている円筒状基材1Aを積み重なるように上方に押し上げる昇降手段14、該昇降手段14の上端に設けられた円筒状基材供給用のハンド手段15及び前記駆動手段13による回転や昇降手段14による押し上げのタイミングを制御する図示しない制御手段等から構成されている。なお、前記可動テーブル12上への円筒状基材1の供給は、ロボットハンドルにより行われる。
【0016】
前記供給手段10の上方に設けられた搬送手段20は、円筒状基材1Cの外周面に圧接離間可能で且つ垂直上方向に移動可能な2組の把持手段21,22を有し、円筒状基材1Dを位置決めして把持し上方に搬送する機能を有する。
【0017】
〈本発明の垂直塗布装置の他の例〉
図2は本発明の垂直塗布装置の他の例を示す斜視図である。この例では、円筒状基材1の供給手段10及び搬送手段20は図1の場合と同様であるが、前記搬送手段20の上方の垂直中心線Z−Z上には、位置決め手段30A、塗布手段40A、乾燥手段50Aとから成るユニットA、位置決め手段30B、塗布手段40B、乾燥手段50Bとから成るユニットB、位置決め手段30C、塗布手段40C、乾燥手段50Cとから成るユニットC、を複数組垂直縦列配置したものである。最上段には分離排出手段60が配置されている。各塗布手段40A,40B,40Cからそれぞれ吐出された塗布液は、円筒状基材1上に多層の塗布層を逐次形成し、各乾燥手段50A,50B,50Cにより乾燥されたのち、分離排出手段60により最上段の塗布済み円筒状基材1Mは把持されて下方の円筒状基材1Hから分離されて、機外のパレット上に載置される。
【0018】
〈スライドホッパー塗布装置の説明〉
ところで、本発明の垂直塗布装置には、前記したように環状のスライドホッパ型塗布装置、押し出し型塗布装置、少量ディップ型塗布装置、スプレイ型塗布装置があるが、高性能の薄層塗布が可能なことからスライドホッパ型塗布装置が好ましく、該スライドホッパ型塗布装置を用いた図1の垂直塗布装置の各手段の説明を図3〜図6により行う。
【0019】
図3は、位置決め手段30と塗布手段40とを示す断面図、図4は塗布手段40の斜視図である。
【0020】
図3に示されるように中心線Z−Zに沿って垂直状に重ね合わせた複数の円筒状基材1を連続的に矢示方向に上昇移動させ、その周囲を取り囲み、円筒状基材1の外周面に対しスライドホッパ型塗布装置40の塗布に直接係わる部分(ホッパー塗布面)41により塗布液Pが塗布される。なお、円筒状基材1としては中空ドラム例えばアルミニウムドラム、プラスチックドラムのほかシームレスベルト型の基材でも良い。前記ホッパー塗布面41には、円筒状基材1側に開口する塗布液流出口42を有する幅狭の塗布液分配スリット(スリットと略称する)43が水平方向に形成されている。このスリット43は環状の塗布液分配室(塗布液溜り室)44に連通し、この環状の塗布液分配室44には貯留タンク2内の塗布液Pを圧送ポンプ3により供給管4を介して供給するようになっている。他方、スリット43の塗布液流出口42の下側には、連続して下方に傾斜するスライド面45、及び該スライド面45の終端にはホッパー塗布面41が形成されている。更に、該ホッパー塗布面41の内側下方には唇状部46が形成されている。かかる塗布手段(スライドホッパ型塗布装置)40による塗布においては、円筒状基材1を引き上げる過程で、塗布液Pをスリット43からスライド面45に沿って流下させると、ホッパー塗布面41に至った塗布液は、該ホッパー塗布面41と円筒状基材1の外周面との間隙D(コーターギャップ)にビードを形成して塗布される。該コーターギャップDを適正な値とすることにより、円筒状基材1を傷つけることなく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布することができる。
【0021】
なお、上記コーターギャップDは、好ましくは50〜500μmであり、50μm未満では機械的振動等によりホッパー塗布面41と円筒状基材1とが接触して、損傷する恐れがあり、500μmを越えるとビード形成が不良となり易い。
【0022】
一方、前記圧送ポンプ3の塗布液供給部より最も遠い位置で、前記塗布液分配室44の一部には、塗布液分配室44内の泡抜き用の空気抜き手段47が設けられている。貯留タンク2内の塗布液Pが塗布液分配室44に供給されて塗布液分配スリット43から塗布液流出口42に供給されるとき、開閉弁47を開いて空気抜き手段47より塗布液分配室44内の空気を排出する。
【0023】
前記塗布手段40の下部には、円筒状基材の円周方向を位置決めする位置決め手段30が固定されている。前記円筒状基材1の位置決め手段30の本体31には、複数の給気口32と、複数の排気口33が穿設されている。該複数の給気口32は、図示しない給気ポンプに接続され、空気等の流体が圧送される。該給気口32の一端部で円筒状基材1の外周面に対向する側には、吐出口34が貫通している。該吐出口34は前記円筒状基材1の外周面と所定の間隙を保って対向している。該間隙は、30μm〜2mmである。前記吐出口34は直径0.05〜0.5mmの小口径のノズルである。
【0024】
前記本体31の内壁下部の内周面は、入り口側が広がったテーパー面35になっている。このテーパー面35は、例えば軸方向の長さが50mmで、片側傾斜角が0.5mmの円錐面である。
【0025】
前記給気ポンプから圧送された流体は、複数の給気口32から本体31の内部に導入されて、複数の吐出口34から吐出され、前記円筒状基材1の外周面と均一な流体膜層を形成する。吐出後の流体は複数の排気口33から装置外に排出される。
【0026】
前記吐出口34の開口直径は、例えば0.2〜0.5mmの円形に形成されている。排気口33の開口直径は、例えば3〜5mmの円形に形成されている。
【0027】
前記給気口32に供給される流体は、空気、不活性ガス例えば窒素ガスが良い。そして該流体は、JIS規格でクラス100以上の清浄な気体が良い。
【0028】
前記塗布手段40の上方には、乾燥フード51と乾燥器53とから成る乾燥手段50が設けられている。
【0029】
図5は前記塗布手段40と該塗布手段40の上部に設けた乾燥フード51の断面図である。該乾燥フード51は環状の壁面を有し、該壁面には多数の開口51Aが穿設されている。
【0030】
先に円筒状基材1を垂直方向に上昇させ、前記塗布手段40のホッパー塗布面41で塗布液Pを塗布して塗布層5が形成されるが、円筒状基材1上に形成された塗布層5は前記乾燥フード51内を通過しながら徐々に乾燥される。この乾燥は前記多数の開口51Aより塗布液Pに含まれている溶媒を壁面外に放出することにより行われる。前記のように、塗布手段40により円筒状基材1上に塗布液Lを塗布することにより、形成された塗布層5は、塗布直後において乾燥フード51により包囲されており、開口51Aからのみ溶媒が放出されるため、塗布直後における塗布層5の乾燥速度は、前記開口51Aの開口面積にほぼ比例する。
【0031】
図6は図1の垂直塗布装置の乾燥器53の断面図を示す。乾燥器53は吸引スリット531、吸引チャンバー532、吸引ノズル533を有する吸引スリット部材534の下部に筒状部材535、上部に筒状部材536がそれぞれ同心に結合されている。
【0032】
そして、複数設けられた吸引ノズル533から吸引を行ない、周方向均一な吸引チャンバー532、周方向均一な吸引スリット531により周方向の均一化がなされた吸引エアーが流れ、更に、吸引スリット部材534、その上下の筒状部材536,535の各内径面と塗布済みの円筒状基材1の外周面との間の空気流の乱れをバッファー空間537で極く僅かにおさえて、538に示す乾燥の為の均一吸引エアーの空気流を作り出している。
【0033】
この乾燥ゾーンに矢印で示す方向に塗布済の円筒状基材1を搬送することにより、塗布膜の乾燥を行うものである。
【0034】
〈円筒状基材の塗布乾燥方法、塗布済み円筒状基材分離排出の方法〉
次に、スライドホッパ型塗布装置を用いて円筒状基材1に塗布液を塗布加工する塗布乾燥方法及び塗布済み円筒状基材の分離排出方法について図1及び7により説明する。
【0035】
図1において、円筒状基材1は図示されていない供給ロボットにより円筒状基材収納室より可動テーブル12の1Aの位置に載置される。次いで、可動テーブル12の矢印方向の回転により1Bの位置に達する。この時、昇降手段(供給アーム)14が下方より上方へ円筒状基材1Bを押し上げ、ハンド手段15の位置まで供給される。好ましくは供給アーム14による押し上げが完了する時、緩衝機構が作用し、円筒状基材1Bとの接合時のショックを無くするのが良い。このようにして円筒状基材1Bが把持搬送装置のある1Cの位置まで運び込まれる。ここで、搬送手段20の把持手段(搬送ハンド)21及び22により円筒状基材1Cと1Dとの繋ぎ部が把持されかつ上方に搬送され、位置決め手段30へと搬送される。
【0036】
位置決め手段30は、特開平3−280063号公報に記載されている位置決め手段の他、特開平8−318191号公報や同8−318188号公報の如くリング状位置決め手段が好ましく用いられる。
【0037】
このようにして正確に位置決めされた円筒状基材1C、1Dは垂直型塗布手段40へ移行され塗布される。40は例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されるスライドホッパ型塗布装置であり円筒状基材1を積み重ねて上方へ連続して搬送しながら、塗布液が高精度で塗布される。塗布された円筒状基材1は乾燥手段50に移行される。乾燥手段50では図1の如く乾燥フード51と吸引式乾燥器53を重ねて用いても良いし、塗布液の溶媒や液膜厚に応じてフードのみでも良いし、吸引式乾燥器のみでも良い。これらは特開平6−308747号公報あるいは同7−64306号公報に記載してある。またある塗布液の場合、上記乾燥手段を特別に設けず自然乾燥に任せても良い。
【0038】
この後、例えば特開昭61−120662号公報、同61−120664号公報又は同7−43917号公報等に記載の分離排出手段により塗布済み円筒状基材が順次分離排出される。ここでは、図1のセンサー70が、塗布済み円筒状基材の先頭が分離排出手段作動開始点に到達したことを検出すると同時に分離排出手段作動用のロボットを起動する。
【0039】
図7は上記分離排出手段60の1例を示す説明図であり、以下図7に基づいて分離排出手段60により塗布済み円筒状基材1の分離排出方法を説明する。
【0040】
図7において分離排出手段60は垂直移動ロボットステージ61、短距離移動手段としての分離用シリンダ62、上側把持子63、下側把持子64、リニアガイドシャフト65、リニアブッシュ66、下側把持子64の移動手段としてのシリンダ67、シリンダ連結棒68及びスライドテーブル69により構成されている。
【0041】
図7(a)に示す状態では、センサー70が塗布済み円筒状基材1Mの先頭が分離排出手段作動開始点71に到達したことを検知し、垂直移動ロボットステージ61が起動し、塗布済み円筒状基材1Mとそれに相隣る塗布済み円筒状基材1Hと更に続く塗布済み円筒状基材1Gが上昇する速度に合わせて同軸同速で分離排出手段60全体が上昇を開始する。そして、まず図7(b)の状態のように、分離排出手段60の上昇に伴い下側把持子64が下側の塗布済み円筒状基材1Hを内面から把持し、その後図7(c)のようにさらに上側把持子63も上側の塗布済み円筒状基材1Mを内面から把持する。
【0042】
そして図7(d)に示すように、上側把持子63及び下側把持子64をONにしたまま短距離移動手段としての分離用シリンダ62を作動させ、塗布済み円筒状基材1Mを、それに相隣る塗布済み円筒状基材1Hから分離する。その際好ましくは、上側把持子63に回転をかけることにより、分離が円滑に行われる。
【0043】
次に図7(e)に示すように下側把持子64がOFFで開放されると移動用シリンダ67により下側把持子64が引き上げられかつ、垂直移動ロボットステージ61が急速上昇し、下側把持子64は上側把持子63に保持された上側の塗布済み円筒状基材1M中に収納され、かつ、該塗布済み円筒状基材1Mと円筒状基材1Hとの間の距離はスライドテーブル69が挿入できる長さLになって停止する。
【0044】
そして図7(f)に示すようにこの状態でスライドテーブル69が上側把持子63を受け取るべく、該上側把持子63の直下で塗布済み円筒状基材1Fの直上に進入する。そしてこの状態で前記ロボットのステージ61が降下して該塗布済み円筒状基材1Mをスライドテーブル69上に受け取り、該ロボットのステージ61が再び上昇し、図7(g)に示すように該スライドテーブル69が元に戻り、該塗布済み円筒状基材1Mの分離回収が達成される。
【0045】
その後再び分離排出手段60は図7(a)に示す位置に戻り次の分離対象になる塗布済み円筒状基材1Hを下方に隣接する次の塗布済み円筒状基材1Gから分離するようになる。
【0046】
ここで、本発明の塗布済み円筒状基材1の分離排出方法では、塗布済み円筒状基材1Mを塗布済み円筒状基材1Hから分離回収するため、分離排出手段60が作動する時期又は更にドラムを回転させる時期を、塗布手段40で塗布される各円筒状基材の非画像部を塗布する時期と合わせると共に、各円筒状基材の接合部を含む時期と合わせて塗布するようにタイミングを合わせることにより、画像部に分離排出のための振動等の悪影響が伝わらないようにした点に特徴がある。
【0047】
さらに図7を参照して上記タイミングについて説明する。即ち、図7(a)のように塗布済み円筒状基材1Mの先頭がセンサー70により検知されて(分離手段60の作動開始時)から、図7(b)のように塗布済み円筒状基材1Hを下側把持子(第2把持子)64により内面から把持する把持開始までの時間をT2(秒)、塗布済み円筒状基材1Mを上側把持子(第1把持子)63により内面から把持する把持開始までの時間をT1(秒)、図7(d)のように円筒状基材1Hから円筒状基材1Mを分離する分離開始まで時間をT3(秒)及び図7(e)のように下側把持子(第2把持子)64を解放するまでの時間をT4(秒)とし、さらに塗布手段40により塗布される塗膜の中、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部の塗膜の幅に相当する時間長をT5(秒)としたとき、下記式を満足することを特徴としている。
【0048】
式:0.1T5<{(T4−T2)=ΔT}<T5
2<T1<T3<T4
ここで、図8は、これから塗布される円筒状基材への塗布と、塗布済み円筒状基材の分離排出とのタイミングを説明する図であり、先に図1の供給手段10から供給され、搬送手段20により搬送された円筒状基材1C、1Dが塗布手段40に達した時の円筒状基材を図8に示すように1E、1Fとし、接合部Kを含む非画像部を(S1−S2)としたとき、非画像部(S1−S2)の塗膜の幅d(mm)は、接合部Kを含む円筒状基材1F側の塗膜の幅をd1(mm)とし、同じく接合部Kを含む円筒状基材1E側の塗膜の幅をd2mmとしたとき、
式:d(mm)=d1(mm)+d2(mm)で表される。
【0049】
又、上記非画像部(S1−S2)の塗膜の幅d(mm)に相当する時間長T5(秒)は、塗布速度をS(mm/秒)としたとき、
式:T5(秒)=d(mm)/S(mm/秒)で表される。
【0050】
なお、本発明では前記塗布済み円筒状基材1Mと1Hの分離に要する時間(図7のT4−T2(秒))が、非画像部の塗膜(S1−S2)の幅d(mm)に相当する時間長T5(秒)未満とすることを必須の用件としている。即ち、本発明では円筒状基材の塗布と塗布済み円筒状基材の分離とのタイミングに関して、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部の塗布時間中に、塗布済み円筒状基材の分離を完了するようにタイミングをとることにより良好な塗布を達成することができ、画像形成時画像不良や端部濃度低下等のない良質の画像を安定して得ることができる。
【0051】
以下、本発明の垂直塗布装置により塗布加工される円筒状基材、及び該垂直塗布装置の塗布手段に供給される塗布液について説明する。
【0052】
〔円筒状基材〕
本発明の垂直塗布装置では主として円筒状基材上に塗布液を塗布して印刷板、静電記録体又は電子写真用感光体等を形成する装置であり、特に本発明では上記電子写真用感光体(以下単に感光体ともいう)が重要である。上記感光体に用いられる円筒状基材としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケルなどの金属のドラムまたは、ドラム状のプラスチック若しくはガラス上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス、銅−インジウムなどの金属を蒸着するか、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属酸化物を蒸着するか、金属箔をラミネートするか、またはカーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅などを結着樹脂に分散し、塗布することによって導電処理してなる円筒状基材が用いられる。
【0053】
〔塗布液〕
上記感光体は通常円筒状基材上に下引き層を介して感光層及び必要に応じて保護層を設けて形成される。
【0054】
〈下引き層用塗布液〉
この下引き層は帯電時において、積層構造からなる感光層における導電性の円筒状基材から感光層への電荷の注入を阻止するとともに、感光層を導電性の円筒状基材に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用、或いは円筒状基材からの反射光の防止作用等を有する。この下引き層用塗布液に含有される樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、水溶性ポリエステル、ニトロセルロースまたはカゼイン、ゼラチンなどの樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
また、上記下引き層の厚みは0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜2μmが適当である。
【0056】
〈電荷発生層用塗布液〉
電荷発生層を形成するには、例えばモノアゾ色素、ジスアゾ色素、トリスアゾ色素などのアゾ系色素、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミド等のペリレン系色素、インジゴ、チオインジゴ等のインジゴ系色素、アンスラキノン、ピレンキノン及びフラパンスロン類等の多環キノン類、キナグリドン系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、インダスロン系色素、スクエアリリウム系色素、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ピリリウム塩色素、チアピリリウム塩色素とポリカーボネートから形成される共晶錯体等、各種の電荷発生物質を適当なバインダー樹脂及び必要により電荷輸送物質と共に溶媒中に溶解或いは分散してなる塗布液を上記下引き層上に塗布することによって形成することができる。
【0057】
電荷発生物質を塗布液中に分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法などを用いることができる。この際、電荷発生物質は、体積平均粒径で好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下の粒子サイズにすることが有効である。塗布液に用いる溶剤として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、キシレン等の通常の有機溶剤を単独或いは2種類以上混合して用いることができる。
【0058】
また、上記電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2μmが適当である。
【0059】
〈電荷輸送層用塗布液〉
電荷輸送層を形成するには、適当な有機溶媒にバインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解してなる塗布液を上記電荷発生層上に塗布して形成される。上記電荷輸送物質としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−〔ピリジル−(2)〕−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、スチリルトリフェニルアミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−1,1−ビフェニル−4,4′−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キンゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、“Journal of Imaging Science”29:7〜10(1985)に記載されているエナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどのポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタナート及びその誘導体、更にはピレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂などの公知の電荷輸送物質を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送物質は単独或いは2種以上混合して用いることができる。
【0060】
さらに、上記バインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ブチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−Nビニルカルバゾールなどの公知の樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらのバインダー樹脂は単独或いは2種以上混合して用いることができる。
【0061】
電荷輸送物質とバインダー樹脂との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。また、上記電荷輸送層の膜厚は一般的には5〜50μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0062】
さらに、電荷輸送層を設ける際に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族系炭化水素類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンなどのハロゲン化脂肪族系炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどの環状若しくは直鎖状のエーテル類などの通常の有機溶剤を単独或いは2種類以上混合して用いることができる。
【0063】
〈保護層用塗布液〉
また、上記電荷輸送層の上に必要に応じて保護層を形成することができ、例えば上記下引き層、電荷発生層または電荷輸送層の形成に用いられた有機溶剤中にバインダー樹脂を溶解して成る塗布液を上記電荷輸送層上に薄く塗布加工して得られる。上記保護層は、帯電時コロナ放電による電荷輸送物質の化学的変質を防止すると共に、感光体の機械的強度を改善する為に用いられる。
【0064】
なお、上記保護層中には前記電荷輸送物質を添加してもよい。
【0065】
また、この保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの公知の樹脂を用いることができる。
【0066】
また、上記保護層の膜厚は好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μmが適当である。
【0067】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが本発明の実施の態様がこれにより限定されるものではない。
【0068】
実施例1
導電性支持体として鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mm、重さ283gの5本のアルミニウム製円筒状基材を用いた。上記5本の円筒状基材に下記下引き層用塗布液組成物UCL−1を図1の垂直塗布装置(但し、該垂直塗布装置の塗布手段40は図3〜図5に記載されるスライドホッパ型塗布手段である)を用い、下記塗布条件で塗布して下引き層を有する円筒状基材1〜5を得た。
【0069】
(下引き層用塗布液組成物UCL−1)
共重合ナイロン樹脂「CM−8000」(東レ(株)社製) 30g
メタノール/n−ブタノール=10/1(Vol) 10リットル
なお、上記下引き層の塗布では、塗布手段40のコーターギャップDが100μm、塗布速度が20mm/秒、塗布される円筒状基材の非画像部の塗膜の相当時間長(図8において円筒状基材1Eと1Fとの接合部Kを含む非画像部S1−S2における塗膜の幅dmmの相当時間長T5)が2.9秒、塗布済み円筒状基材の分離作動時間順序(図7のT1、T2、T3及びT4の関係)がT2<T1<T3<T4の関係を有し、塗布装置全工程の円筒状基材の積み重ね本数が13本、塗布済み円筒状基材の分離に要する時間(図7の(T4−T2))が2.25秒となるようにそれぞれ設定して行った。また、塗布された下引き層の乾燥膜厚は0.3μmで、塗布ムラがなく塗布良好であった。
【0070】
次いで、上記下引き層上に下記電荷発生層用塗布液組成物CGL−1を上記下引き層の塗布と同様に塗布して電荷発生層を形成して上記下引き層及び電荷発生層を有する5本の円筒状基材1〜5を得た。なお、上記電荷発生層の乾燥膜厚は1.5μmで、塗布ムラがなく塗布良好であった。
【0071】
(電荷発生層用塗布液組成物CGL−1)
下記構造のペリレン顔料(CGM−1) 500g
ブチラール樹脂「エスレックBX−L」(積水化学(株)社製)500g
メチルエチルケトン 20リットル
上記塗布液組成物(固形分については、固形分重量比CGM−1:エスレックBX−L=2:1NI固定)をサンドミルを用いて20時間分散したものを塗布液として用いた。
【0072】
【化1】
Figure 0003658921
【0073】
次いで上記電荷発生層上に下記電荷輸送用塗布組成物CTL−1を、表1の如く塗布条件を5種類に変化して塗布して、塗布条件の異なる5種類の電荷輸送層を有する5種類の感光体ドラムを得た。即ち塗布済み円筒状基材の分離に要する時間(図7の(T4−T2))及び塗布済み円筒状基材の分離作動時間順序(図7のT1、T2、T3及びT4の関係)を表1の如く変化して電荷輸送層を塗布して感光体ドラム1〜5を得た。なお、上記電荷輸送層を塗布するときのコーターギャップDは300μmとした。また上記電荷輸送層の膜厚は26μmであった。
【0074】
(電荷輸送層用塗布組成物)
下記構造の電荷輸送物質(CTM−1) 5kg
ポリカーボネート「Z−200」(三菱瓦斯化学(株)社製)5.6kg
1,2−ジクロロエタン 28リットル
固形分については、固形分重量比CTM−1:ポリカーボネート「Z−200」=0.89:1に固定。
【0075】
【化2】
Figure 0003658921
【0076】
上記5種類の感光体ドラム1〜5の感光層の膜厚を該感光体ドラムの端部から5cm入った所の円周方向における膜厚変動を10ケ所ずつ測定し、最大、最小の差を膜厚変動値とし、下記評価基準により「○、×」方式で評価し、その結果を表1に示した。また上記5種類の感光体ドラム1〜5を電子複写機「U−BIX3035」(コニカ(株)社製)に装着して濃度0.3のベタ中間調画像を有する原稿を用いて画像テストを行い、A4転写紙上に転写して得た転写画像の端部から3cm迄の領域に10ケ所ランダムにピックアップし、該10ケ所の濃度を測定し、下記式から濃度変動幅±ΔDを算出し、該濃度変動幅の絶対値|ΔD|から下記評価基準により「○、×」方式で端部濃度ムラを評価し、その結果を表1に示した。
【0077】
式:濃度変動幅±ΔD=±{(最大濃度D1−最小濃度D2)1/2=ΔD}
(膜厚変動値の評価基準)
1.0μm未満を「○」とし、1.0〜3.0μmを「△」とし、3.0μmを越えた場合は「×」とした。
【0078】
(端部濃度ムラの評価基準)
|ΔD|が0.05未満を「○」とし、0.05〜0.1を「△」とし、0.1を越えた場合は「×」とした。
【0079】
【表1】
Figure 0003658921
【0080】
表1より本発明の分離工程をへて製造された感光体ドラムでは円周方向の膜厚ムラ、端部周辺の塗布ムラ等の塗膜欠陥がなく、塗布性に優れていて、画像形成時円周方向の濃度ムラや端部の濃度ムラ等の画像欠陥がなく良質の画像が安定して得られるが、比較の分離工程をへて製造された感光体ドラムでは上記塗膜欠陥が多く、画像形成時上記画像欠陥を生じて実用性に乏しいことが解る。
【0081】
実施例2
導電性支持体として鏡面加工を施した直径80mm、高さ355mm、重さ283gの5本のアルミニウム製円筒状基材を用いた。上記5本の円筒状基材に実施例1と同様の下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を用い、図2の3連逐次型垂直塗布装置(但し、該3連逐次型垂直塗布装置の塗布手段40A、40B、40Cは何れも図3〜図5に記載されるスライドホッパ型塗布手段である)を用い、実施例1の塗布条件、即ち塗布スピードを20mm/秒、上記塗布手段40A、40B及び40Cの各コーターギャップDを100μm、100μm及び300μm、塗布される円筒状基材の非画像部の塗膜の相当時間長(図8において円筒状基材1Eと1Fとの接合部Kを含む非画像部S1−S2における塗膜の幅dmmの相当時間長T5)を2.9秒、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層の膜厚を0.3μm、1.5μm及び26μmに設定し、塗布装置全工程の円筒状基材の積み重ね本数を実施例1の場合の12本に代えて20本とし、かつ分離工程における塗布済み円筒状基材の分離に要する時間(図7の(T4−T2))及び塗布済み円筒状基材の分離作動時間順序(図7のT1、T2、T3及びT4の関係)を表2の如く5種類に変化して塗布して5種類の感光体ドラム(感光体ドラム6〜10)を得た。
【0082】
上記5種類の感光体ドラム6〜10について、実施例1の場合と同様にして膜厚変動及びを電子複写機「U−BIX3035」を用いて実写テストを行ったときの端部の濃度ムラを測定し、その結果を実施例1の場合と同様の評価基準により「○」、「×」方式で評価し、その結果を表2に示した。
【0083】
【表2】
Figure 0003658921
【0084】
表2より図2の3連逐次塗布方式塗布装置(塗布手段40A、40B、40C何れもスライドホッパ型塗布手段)を用い、かつ本発明の分離工程をへて製造された感光体ドラムは円周方向の塗布ムラ及び端部の塗布ムラ等の塗膜欠陥がなく、塗布性に優れていて、画像形成時円周方向の濃度ムラや端部の濃度ムラ等の画像欠陥がなく良質の画像が安定して得られるが、比較の分離工程をへて製造された感光体ドラムでは上記塗膜欠陥が多く、画像形成時上記画像欠陥を生じて実用性に乏しいことが解る。
【0085】
【発明の効果】
実施例で実証されたように、本発明の塗布済み円筒状基材の分離排出装置及び分離排出方法によれば、垂直塗布装置における搬送手段により連続して垂直方向に搬送された円筒状基材に塗布手段により塗布、乾燥した後、塗布済み円筒状基材を分離排出手段により分離排出する際の機械的振動による塗布工程での円周方向の塗布ムラ又は端部の塗布ムラ等の発生がなく、従って又感光体等に利用したときの画像形成時の円周方向の濃度ムラや端部画像の濃度ムラ等を生ずることがないなど、優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直塗布装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の垂直塗布装置の他の例を示す斜視図である。
【図3】位置決め手段30と塗布手段40とを示す断面図である。
【図4】塗布手段40の斜視図である。
【図5】乾燥フード51の断面図である。
【図6】乾燥器53の断面図である。
【図7】分離排出手段60の一例を説明する図である。
【図8】分離と塗布のタイミングを説明する図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1M 円筒状基材
5 塗布層
10 供給手段
20 搬送手段
30,30A,30B,30C 位置決め手段
40,40A,40B,40C 塗布手段
50,50A,50B,50C 乾燥手段
51 乾燥フード
53 乾燥器
60 分離排出手段
61 垂直移動ロボットステージ
62 分離用シリンダ
63 上側把持子
64 下側把持子
67 シリンダ
68 シリンダ連結棒
69 スライドテーブル
70 センサー
S1,S2 非画像部
K 接合部
D コーターギャップ

Claims (2)

  1. 垂直方向に筒軸を合わせて積み重ね、連続して搬送される円筒状基材の外周面上に、垂直塗布装置の塗布手段により塗布液を塗布、乾燥した後、後送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第2の把持部材と、先送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第1の把持部材とを相対的に移動させることにより、後送り塗布済み円筒状基材と先送り塗布済み円筒状基材との接合部を切り離して該後送り塗布済み円筒状基材から先送り塗布済み円筒状基材を分離し、かつ第2の把持部材を解放することにより先送り塗布済み円筒状基材を排出する塗布済み円筒状基材の分離排出装置において、該垂直塗布装置の分離手段作動開始時から、後送り塗布済み円筒状基材の内面を第2の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT2(秒)、先送り塗布済み円筒状基材の内面を第1の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT1(秒)、先送り塗布済み円筒状基材と後送り塗布済み円筒状基材とを分離する分離開始時までの時間をT3(秒)、及び第2の把持部材を解放するまでの時間をT4(秒)とし、かつ該塗布手段により塗布される塗膜のうち、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部の塗膜の幅に相当する時間長をT5(秒)としたとき、下記式を満足することを特徴とする塗布済み円筒状基材の分離排出装置。
    式:0.1T5<{(T4−T2)=ΔT}<T5
    2<T1<T3<T4
  2. 垂直方向に筒軸を合わせて積み重ね、連続して搬送される円筒状基材の外周面上に、垂直塗布装置の塗布手段により塗布液を塗布、乾燥した後、後送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第2の把持部材と、先送り塗布済み円筒状基材を内面から把持する第1の把持部材とを相対的に移動させることにより、後送り塗布済み円筒状基材と先送り塗布済み円筒状基材との接合部を切り離して該後送り塗布済み円筒状基材から先送り塗布済み円筒状基材を分離し、かつ第2の把持部材を解放することにより先送り塗布済み円筒状基材を排出する塗布済み円筒状基材の分離排出方法において、該垂直塗布装置の分離手段作動開始時から、後送り塗布済み円筒状基材の内面を第2の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT2(秒)、先送り塗布済み円筒状基材の内面を第1の把持部材により把持する把持開始時までの時間をT1(秒)、先送り塗布済み円筒状基材と後送り塗布済み円筒状基材とを分離する分離開始時までの時間をT3(秒)、及び第2の把持部材を解放するまでの時間をT4(秒)とし、かつ該塗布手段により塗布される塗膜のうち、先送り円筒状基材と後送り円筒状基材との接合部を含む非画像部の塗膜の幅に相当する時間長をT5(秒)としたとき、下記式を満足することを特徴とする塗布済み円筒状基材の分離排出方法。
    式:0.1T5<{(T4−T2)=ΔT}<T5
    2<T1<T3<T4
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