JP2005314494A - レトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物 - Google Patents

レトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐レトルト性に優れ、しかも環境に優しいレトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物、および該インキ組成物を用いた印刷方法を提供する。
【解決手段】(A)1種または2種以上の脂肪酸を40〜60質量%含むアルキッド樹脂、および(B)脂肪族炭化水素系溶剤を主体とし、かつ実質的に芳香族炭化水素系溶剤を含まない有機溶剤を含み、該アルキッド樹脂(A)における脂肪酸の数平均炭素数が10〜14であり、かつアルキッド樹脂の固形分濃度が30〜70質量%であるレトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐レトルト性に優れ、しかも環境に優しいレトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物、および該インキ組成物を用いた印刷方法に関する。
シームレス缶の外周面には内容物の表示や必要事項の記載などが印刷される。こうした印刷には凸版ドライオフセット印刷法や平版印刷法が採用されている。オフセット印刷法とは版から一旦ブランケットに画像を転写させてから印刷する方法であり、平版印刷法もオフセットを使用するのでオフセット印刷法に分類される。このうち凸版ドライオフセット印刷法では印刷文字や網点画像の潰れが発生しやすいが、インカーユニットがコンパクトであることや高速印刷に対応できるため、現在ではこの印刷方法が主流である。
平版印刷は、通常、湿し水を用いる方法が一般的であるが、インキへの水の混入による画像の滲みが生じることがある。さらにインカーユニットが大型化する、印刷スピードが出しにくいという欠点があり、シームレス缶印刷の分野では殆ど採用されていなかった。
最近これらの欠点を補うため、特許文献1のように従来の凸版ドライオフセット印刷装置に水なし平版を装着して水なし平版印刷を行う方法が提案され、レトルト処理が必要のないシームレス缶の印刷に実用化されている。
水なし平版印刷法とは、インキを反発する性質をもつシリコーンゴムで非画線部を作製し、アルミニウム製の画線部のみにインキを転写させ、画線部の画像を一旦ブランケットに転写させてから、ブランケットをシームレス缶の外周面に押し当ててインキを転写する方法である。
こうした水なし平版印刷法に使用されるインキにも、その印刷方法から、特別の特性が要求されており、一般の平版印刷用や凸版印刷用のインキをそのまま水なし平版印刷用インキとして使用することはできない。
水なし平版印刷用インキに要求される特性として重要なものは、耐地汚れ性と転写性がある。耐地汚れ性とは、本来、白地であるべき箇所にインクの汚れが付着する性質であり、印刷中に版面温度が上昇しインキ自体の凝集性が低下することにより非画線部にインキが付着してしまうために生ずる現象である。
この地汚れを防止するためには、インキのバインダー樹脂自体の凝集力を高める方法(樹脂の高分子量化や樹脂の高濃度化など)、非画線部への付着力を弱める方法(シリコーンオイルなどの添加など)が検討されている。
しかし、樹脂の高分子量化は溶剤の選定が難しく、非画線部への付着性の低減化には効果はあるが、同時に画線部へのインキの転写性も低下させてしまう。
水なし平版印刷用のインキバインダー樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂が最も一般的に使用されており、この樹脂を高分子量化した場合、溶剤として芳香族炭化水素系溶剤の使用が必須となる。
一方、芳香族炭化水素系溶剤は環境への配慮から、その使用を控えることが望まれており、水なし平版印刷用インキにおいても、芳香族炭化水素系溶剤を使用しない溶剤系が提案されている。
たとえば、特許文献2ではアルキル置換芳香族炭化水素系溶剤とナフテンやパラフィンを主成分とする溶剤の混合溶剤が提案されており、特許文献3ではn−パラフィン成分を90重量%以上含有する石油系溶剤が提案されている。
特許文献4では、液状のポリオルガノシロキサンを添加して転写性を向上させ、また芳香族炭化水素系溶剤の含有量を1重量%以下にすることが提案されている。
また、特許文献5では炭素数15〜18のジアリールアルカンを10重量%以上含みアニリン点が90℃以下で初留点が290℃以上の溶剤を提案している。他の溶剤としては、芳香族炭化水素系や脂肪族炭化水素系のほかアルコール系やエーテル系の溶剤など一般の溶剤が使用可能としている。
しかし、特許文献2と5はアルキル基変性芳香族炭化水素またはアルカンのアリール変性物ではあるが、いずれも芳香族炭化水素をベースにしており、環境への影響は予測できない。
また、特許文献3はn−パラフィンの使用の効果を開示しているが、芳香族炭化水素系溶剤の使用を許容しており、環境への影響は予測できない。
特許文献4は液状のポリオルガノシロキサンを添加しなければ転写性を向上できないとしているが、ポリオルガノシロキサンはインキの上にコートするニスをはじくなど、表面状態に悪影響を与えることが知られている。
しかも、これらの先行文献2〜5はいずれも、バインダー樹脂としてロジン変性フェノール樹脂を用いるときの改良であり、他の樹脂への展開については示唆がない。
また、バインダー樹脂としてアルキッド樹脂を使用したシームレス缶の水なし平版印刷法が特許文献6に記載されているが、溶剤については開示がない。
ところでシームレス缶はレトルト食品用の容器としても多用されている。レトルト食品用容器は、その性質上、沸騰水中での加熱、レンジなどでの加熱に対して耐性が要求される。そして外周面の印刷にも同様にレトルト処理耐性が要求される。
レトルト処理耐性を水なし平版印刷用インキに付与するためには、バインダー樹脂自体を架橋させて機械的強度を高めることが一般的に行われている。たとえば硬化剤としてメチロール化メラミン樹脂などのアミン樹脂系硬化剤が用いられているが、アミン樹脂系硬化剤自体が非画線部のシリコーンゴムとの反発性が弱く、地汚れが生ずることがあるほか、環境に影響を与えると言われているホルムアルデヒドを発生することがあり、使用を控えることが望まれている。
特開2001−129966号公報 特開平5−247394号公報 特開平5−247395号公報 特開平10−292145号公報 特開2003−12988号公報 特開2002−103775号公報
本発明は、芳香族炭化水素系溶剤を実質的に含まない溶剤系で、しかも耐地汚れ性と転写性(インキ転移性)の両者がバランスよく得られ、レトルト処理耐性にも優れた水なし平版印刷用インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、環境に配慮して、芳香族炭化水素系溶剤を実質的に使用しない溶剤系を採用することを前提に、バインダー樹脂を種々検討し、アルキッド樹脂のうち、配合する脂肪酸を特定のものにすることにより、アルキッド樹脂に対しては貧溶媒とされている脂肪族炭化水素系溶剤に比較的良好な溶解性を示すことを見出し、さらに、かかる特定のアルキッド樹脂に最適な溶剤系を検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)1種または2種以上の脂肪酸を40〜60質量%含むアルキッド樹脂、および
(B)脂肪族炭化水素系溶剤を主体とし、かつ実質的に芳香族炭化水素系溶剤を含まない有機溶剤
を含み、該アルキッド樹脂(A)における脂肪酸の数平均炭素数が10〜14であり、かつ固形分濃度が30〜70質量%であるレトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物に関する。
前記有機溶剤(B)における脂肪族炭化水素系溶剤としては、特に炭素数14〜18のα−オレフィンを70〜100質量%含む脂肪族炭化水素系溶剤が好ましく、また前記アルキッド樹脂(A)としては、酸価が30mgKOH以下であり、かつ水酸基価が120〜200mgKOHであるアルキッド樹脂が好ましい。
本発明のインキ組成物には硬化剤を配合してもよいが、硬化剤を配合しなくてもレトルト処理耐性に優れている。したがって、アミン樹脂系硬化剤の使用も排除でき、芳香族炭化水素系溶剤の不使用とともに、環境に優しいインキ組成物を提供することができる。
本発明はまた、レトルト食品用シームレス缶の外周面に本発明のインキ組成物を水なし平版印刷した後、仕上げニスを塗装して焼付け硬化させるレトルト食品用シームレス缶の印刷方法にも関する。
本発明のインキ組成物によれば、印刷環境および印刷されたシームレス缶の使用環境に悪影響を与えない。
しかも水なし平版印刷用インキとしての性能、すなわち耐地汚れ性とインキ転写性が優れているので、印刷文字や網点が鮮明で良好な印刷画像が得られる。
さらにレトルト処理耐性を有するので、レトルト食品用の容器として使用しても、剥離が生じないし、変色もしない。
本発明の平版印刷インキ組成物は、特定のアルキッド樹脂をバインダー樹脂とし、かつ特定の有機溶剤を必須として含んでいる。
アルキッド樹脂は、通常、多塩基酸と多価アルコールと脂肪酸とからなるが、本発明で用いるアルキッド樹脂(A)は脂肪酸として数平均炭素数10〜14の脂肪酸をアルキッド樹脂中に40〜60質量%(アルキッド樹脂基準)含んでいる。
本発明で用いる脂肪酸において「数平均炭素数」とは、2種以上の脂肪酸を併用する場合、それぞれの脂肪酸の数(分子数)と炭素数の積の合計を脂肪酸の合計数(合計分子数)で除した値をいう。したがって、炭素数が10〜14の範囲外の脂肪酸も存在していてもよい。1種の場合は、炭素数10〜14のものを使用する。数平均炭素数は液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどによって得られる測定値から算出できる。
数平均炭素数10〜14の脂肪酸を構成する脂肪酸としては、デカン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)のほか、オクタン酸(C8)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リシノール酸(C18)、レノレイン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)などがあげられ、これらの2種以上の混合物であってもよい。また、これらの脂肪酸の天然混合物として、ひまし油、ヤシ油、亜麻仁油、サフラワー油、脱水ひまし油、トール油脂肪酸などのうち、数平均炭素数が10〜14のものが使用できる。
数平均炭素数が10を下回ると得られるインキ組成物の転移性が低下し、14を超えるとレトルト処理後のインキ皮膜強度などの機械的特性が低下するため硬化剤、特にアミノ樹脂系硬化剤の配合が必要になり、地汚れが生じやすくなる。
本発明で使用するアルキッド樹脂の他の成分である多塩基酸および多価アルコールとしては従来公知のものが採用できる。
多塩基酸としては、たとえば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸などの二塩基酸;無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物などの三塩基酸などが使用できる。
多価アルコールとしては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールAなどの二価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール;ペンタエリトリット、ジペンタエリトリットなどの四価アルコールなどが使用できる。
本発明で使用する特定のアルキッド樹脂は、上記の多塩基酸と多価アルコールと特定の脂肪酸を、酸成分(多塩基酸と脂肪酸)の当量よりも多価アルコールの水酸基当量が過剰になるように配合し、エステル化反応させればよい。通常、水酸基当量/酸基当量は1.2〜2.0の範囲で調整される。
その際、数平均炭素数10〜14の脂肪酸は40〜60質量%存在させる。脂肪酸含有量が40質量%よりも少ない場合は得られるインキ組成物の転移性が低下し、60質量%を超えるとインキ皮膜の引張強度などの機械的特性が低下するため硬化剤、特にアミノ樹脂系硬化剤の配合が必要になり、地汚れが生じやすくなる。好ましい下限は45質量%であり、好ましい上限は55質量%である。
また、この特定のアルキッド樹脂は、酸価が30mgKOH以下、さらには20mgKOH以下、特に10mgKOH以下であることが好ましい。酸価が30mgKOH以下の場合、特にインキの転移性および耐地汚れ性に優れている。
また、この特定のアルキッド樹脂は、水酸基価が120〜200mgKOHであることが、インキの転移性および耐地汚れ性に特に優れていることから好ましい。好ましい下限は140mgKOHであり、好ましい上限は180mgKOHである。
本発明においては、かかるアルキッド樹脂単独でバインダー樹脂を調製してもよいが、さらに従来公知のバインダー樹脂を併用してもよい。そうした併用するバインダー樹脂としては、たとえばエポキシエステル樹脂、アクリル変性アルキッド樹脂、スチレン変性アルキッド樹脂、ロジンエステル樹脂、脂肪酸変性フェノール樹脂、マレイン酸樹脂などが例示できる。これらの他のバインダー樹脂は、アルキッド樹脂100質量部に対して20質量部以下、さらには10質量部以下、特に5質量部以下が好ましい。
本発明のもう1つの特徴は、有機溶剤として脂肪族炭化水素系溶剤を主体とし、芳香族炭化水素系溶剤を実質的に含まない溶剤混合物を使用する点にある。
従来、ロジン変性フェノール樹脂系の水なし平版印刷インキでは芳香族炭化水素系溶剤を1質量%以下に努力がなされていた(たとえば特許文献4)。しかし、アルキッド樹脂では、芳香族炭化水素系溶剤が良溶剤であり、脂肪族炭化水素系溶剤やアルコール類は貧溶剤と位置付けられている。したがって、芳香族系炭化水素系溶剤の不使用は難しいと考えられていた。
本発明では、アルキッド樹脂として前記の特定のアルキッド樹脂を使用することにより、芳香族炭化水素系溶剤を使用しなくても、インキとして安定した組成と特性を有する組成物とすることができたものである。
本発明において、「実質的に含まない」とは、積極的に配合することを排除する意味であり、他の成分、たとえばアルキッド樹脂や添加剤に不可避的に含まれているものが混入する場合を排除するものではない。具体的には、芳香族炭化水素系溶剤の混入量は1質量%未満、さらには0.1質量%以下である。
また「主体とする」とは、有機溶剤中でアルキッド樹脂の溶解を担う溶剤として存在することを意味し、具体的には脂肪族炭化水素系溶剤が単独、または有機溶剤中の75質量%以上、さらには90質量%以上であることが好ましい。脂肪族炭化水素系溶剤以外の有機溶剤としては、脂肪族アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、エステル類などが、適宜使用できる。
本発明で使用する脂肪族炭化水素系溶剤として、α−オレフィン類、パラフィン類、イソパラフィン類、ナフテン類などの石油系溶剤などがあげられる。これらのうちα−オレフィン類、特に炭素数14〜18のα−オレフィン(たとえば1−テトラセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンなど)が前記特定のアルキッド樹脂の溶解性が良好な点から好ましい。
炭素数14〜18のα−オレフィンは、有機溶剤中に少なくとも70質量%、さらには80質量%含まれていることが好ましい。有機溶剤が全て炭素数14〜18のα−オレフィンであってもよい。他の溶剤成分としては、他の脂肪族炭化水素系溶剤や前記脂肪族炭化水素系溶剤以外の有機溶剤があげられる。
有機溶剤(B)の量は、アルキッド樹脂(A)を溶解し、またインキを適正な粘度に調整し得る量であり、アルキッド樹脂の種類や量、有機溶剤の種類や組合せなどによって、インキ組成物中のアルキッド樹脂濃度が30〜70質量%の範囲となるように適宜選定すればよい。
本発明のインキ組成物には、インキ組成物に通常配合される添加剤を配合することができる。たとえば、顔料、顔料分散剤、ドライヤー、酸触媒、ワックス、粘度調整剤、保存安定剤などがあげられる。
顔料としては、耐熱性、耐光性、耐レトルト処理性を有するものであれば従来使用されているものが制限なく使用できる。たとえば酸化チタン、シリカ、カーボンブラックなどの無機顔料;フタロシアニンブルー、ウォッチングレッド、キナクリドン、フタルイミドキノフタロンなどの有機顔料などがあげられる。
顔料の配合量は、種類や目的によって異なるが、通常、10〜50質量%の範囲内で選定すればよい。
本発明のインキ組成物は硬化剤を配合しなくてもインキ組成物として実用性が高いが、必要に応じて硬化剤を配合してもよい。ただし、常用されているホルムアルデヒドを発生させるアミン樹脂系硬化剤は、ホルムアルデヒドの発生を回避したいために使用しない。
本発明のインキ組成物は、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミルなどを用いて定法によって混合し調製できる。
インキ組成物は平版印刷用として使用するため、一般のインキより高めの粘度に調整することが好ましく、通常、塑性粘度で20〜60Pasの範囲に仕上げる。
かくして調製したインキ組成物は、レトルト食品用シームレス缶の外周面に水なし平版印刷される。水なし平版印刷法としては従来公知の方法が制限なく採用できる。
シームレス缶の材料は、金属材料が殆どであり、たとえばアルミニウム、スチールなどである。
ついで、通常は、印刷されたインキ層を焼き付けることなく、仕上げニスを塗装し、最終的に焼付け硬化させることによりレトルト食品用シームレス缶の印刷が完了する。焼付けは、制限されるものではないが、160〜260℃にて20秒間〜10分間加熱することで行われる。
仕上げニスとしては特に制限されず、レトルト処理耐性を有する従来公知のワニスが使用できる。具体例としては、自己乳化型または界面活性剤乳化型の熱硬化性アクリル樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリルアミノ樹脂などが例示できる。
本発明のインキ組成物を用いて印刷したシームレス缶は、レトルト処理条件下でもインキの密着性が良好であり、また必要な表面硬度を有している。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例中の「部」は質量部である。
実施例1
(1)アルキッド樹脂の製造
表1に示す多塩基酸、多価アルコールおよび脂肪酸を配合し、常法により酸価が3mgKOHになるまでエステル化反応を行い、液状のアルキッド樹脂(A−1〜A−4およびB−1)を製造した。
表1における各成分はつぎのものである。
多塩基酸:
無水フタル酸
多価アルコール:
トリメチロールプロパン
ペンタエリスリトール
脂肪酸:
ヤシ油(数平均炭素数13.3)
デカン酸(数平均炭素数10)
亜麻仁油(数平均炭素数17.9)
Figure 2005314494
(2)インキ組成物の調製
バインダー樹脂として上記(1)で製造した液状のアルキッド樹脂(A−1〜A−4、B−1)および硬化剤入りバインダー樹脂(B−2)を用い、顔料としてフタロシアニンブルーを30部、および表2に示す有機溶剤を同表に示すように配合し、三本ロールにて練肉分散させて印刷インキ組成物を調製した。
表2中の各成分は、つぎのものである。
B−2(硬化剤入りバインダー樹脂):
バインダー樹脂B−1の35部に硬化剤としてアルキル化メラミン樹脂(三井サイテックス(株)製のサイメル238)を10部配合した樹脂
顔料:
フタロシアニンブルー
溶剤B1:
脂肪族炭化水素系溶剤としてパラフィン類を23質量%、ナフテン類を77質量%含み、芳香族炭化水素系溶剤を不可避的に0.2質量%まで含む混合有機溶剤(日本石油(株)製のAF5)
溶剤B2:
脂肪族炭化水素系溶剤として1−ヘキサデセンを55質量%、1−オクタデセンを45質量%含み、芳香族炭化水素系溶剤を含まない(検出不能)混合有機溶剤(三菱化学(株)製のダイアレン168)
溶剤B3:
炭素数10〜14のアルキルベンゼンからなる混合有機溶剤(日本石油(株)製のアルケンL)
(3)印刷特性試験
得られたインキ組成物について、つぎの試験を行った。結果を表2に示す。
(転移性試験)
インキ組成物を印刷適正試験機RIテスター(石川島産業機械(株)製)を使用して乾燥インキ被膜の厚さが2.5μmとなるように均一に試験用ゴムロールに写し、ついでアルミ2ピース缶(シームレス缶。肉厚50〜100μm、51mmφ)に40m/minの印刷速度で転写した。
転写後、直ちに水溶性アクリル樹脂(三井東圧化学(株)製のアルマテックWA41)55部、硬化剤としてメチル化メラミン樹脂(三井東圧化学(株)製のサイメル303)15部、脱イオン水20部およびエチレングリコールモノイソプロピルエーテル10部からなる水性オーバープリント用ワニスを印刷面の全面に塗装し(塗布量50mg/100cm2)、220℃にて2分間焼付けて平版印刷されたシームレス缶を作製した。
この印刷されたシームレス缶について、つぎの基準で印刷状態(インキの転移状態)を目視で評価した。
A:インキの転写性およびインキ皮膜の表面平滑性が良好である。
B:若干インキの転写性およびインキ皮膜の表面平滑性がAより劣るが、全体として商品として使用可能である。
C:インキの転写性およびインキ皮膜の表面平滑性が不良であり、商品として使用できない。
(耐地汚れ性試験)
インキ組成物を上記印刷適正試験機RIテスターを使用して乾燥インキ被膜の厚さが8.0μmとなるように均一に試験用ゴムロールに写し、ついで水なし平版印刷原版(東レ(株)製)に40m/minの印刷速度で連続10回転接触させた。
この転写された原版について、つぎの基準で耐地汚れ性(非画線部へのインキの転移状態)を目視で評価した。
A:耐地汚れ性が良好で、非画線部への転移が認められない。
B:若干非画線部への転移が認められるが、全体として商品として使用可能である。
C:非画線部への転移が著しく、商品として使用できない。
(4)レトルト処理耐性試験
乾燥インキ被膜の膜厚を2.0μmとしたほかは上記(3)と同様にして印刷し、かつ上塗り塗装した各シームレス缶をレトルト処理し、処理の前後において、つぎの特性を調べた。結果を表2に示す。
(レトルト処理)
レトルト釜に脱イオン水5リットルを入れ、印刷された試験片に水蒸気が当たるようにセットする。水を130℃まで加熱し、その温度で30分間維持した後、室温まで放冷する。
(密着性)
JIS K5600−5−6に規定する碁盤目試験で評価する。
(表面硬度)
JIS K5600−5−4に規定するJIS−A硬度(鉛筆硬度)で評価する。
Figure 2005314494

Claims (5)

  1. (A)1種または2種以上の脂肪酸を40〜60質量%含むアルキッド樹脂、および
    (B)脂肪族炭化水素系溶剤を主体とし、かつ実質的に芳香族炭化水素系溶剤を含まない有機溶剤
    を含み、該アルキッド樹脂(A)における脂肪酸の数平均炭素数が10〜14であり、かつアルキッド樹脂の固形分濃度が30〜70質量%であるレトルト食品用シームレス缶の水なし平版印刷インキ組成物。
  2. 前記脂肪族炭化水素系溶剤が、炭素数14〜18のα−オレフィンを70〜100質量%含む脂肪族炭化水素系溶剤である請求項1記載のインキ組成物。
  3. 前記アルキッド樹脂の酸価が30mgKOH以下であり、かつ水酸基価が120〜200mgKOHである請求項1または2記載のインキ組成物。
  4. 硬化剤を含まない請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物。
  5. レトルト食品用シームレス缶の外周面に請求項1〜4のいずれかに記載のインキ組成物を水なし平版印刷した後、仕上げニスを塗装して焼付け硬化させるレトルト食品用シームレス缶の印刷方法。
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