JP2002103775A - 印刷シームレス缶 - Google Patents

印刷シームレス缶

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JP2002103775A JP2000294656A JP2000294656A JP2002103775A JP 2002103775 A JP2002103775 A JP 2002103775A JP 2000294656 A JP2000294656 A JP 2000294656A JP 2000294656 A JP2000294656 A JP 2000294656A JP 2002103775 A JP2002103775 A JP 2002103775A
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M1/00Inking and printing with a printer's forme
    • B41M1/40Printing on bodies of particular shapes, e.g. golf balls, candles, wine corks

Abstract

(57)【要約】 【課題】 刷版の網点が滲みや太りを実質上生じること
なしにまたざらつき感を生じることなしに、精細に且つ
忠実に再現され、滑らかな階調再現が可能となり、しか
も版面の字汚れによる印刷汚れがなくインキの転移が良
好であり、更に網点干渉による縞模様やローゼット模様
が低減された印刷シームレス缶を提供するにある。 【解決手段】 缶外面に印刷インキ層とそれを被覆する
仕上げワニス層とが設けられた印刷シームレス缶におい
て、印刷インキとして塑性粘度が30〜70Pa・Sに
保持された印刷インキを用いると共に、印刷用版として
湿し水不要型平版を用いて印刷が施され、印刷インキ層
が網点のスクリーン線数が150乃至300線の網点印
刷で形成され且つ面積基準の網点の太りが10%以下に
抑制されていることを特徴とする滑らかな階調再現と網
点の相互干渉による縞模様の低減化とが行われている印
刷シームレス缶。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿し水不要型平版
オフセツト印刷方式により印刷された2ピース缶に関
し、特に網点のスクリーン線数を高線数化することによ
り、なめらかな階調再現や網点相互の干渉による縞模様
の低減化により優れた印刷再現が行われ、しかも版面の
字汚れによる印刷汚れがなくインキの転移が良好である
高線数印刷された2ピース缶に関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶の外表面には、内容物やそのイメ
ージ、或いはその出所をデザインで表示しまた商品価値
を高める目的で、各種の印刷が施されている。この印刷
缶の断面構造は、例えば図1(公知例)に示すとおり、
金属基体或いは樹脂被覆金属基体1があり、その外面に
印刷インキ層2及び仕上げワニス層3が順次設けられた
構造となっている。
【0003】金属缶には、大別して、缶胴部に側面継ぎ
目(サイドシーム)のあるスリーピース缶と、缶胴部に
継ぎ目のないシームレス缶とが存在するが、前者のスリ
ーピース缶では成形前の素材(ブランク)に印刷を行え
るが、後者のシームレス缶では絞り成形或いは絞り・し
ごき成形に際して、素材の塑性流動による変形が生じる
ため、成形後の缶体の胴部に印刷を行う方式が主に採用
されている。
【0004】従来、シームレス缶に対する印刷には、刷
版と、刷版からインキ層を受領してこれを缶体胴部に転
写させるためのブランケットとの組合せが使用されてい
る。刷版としては、平版や凸版が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】平版を用いる印刷、即
ちオフセット印刷では、親油性のインキ受領面と親水性
の非画像面とを備えた刷版を用い、インキを転移させる
に先立って、刷版に湿し水を施すのが一般的である。し
かしながら、この湿し水の施用は、インキが広がりにく
い、冷却効果があるなどの利点を有するが、その反面、
水が混入してインキが乳化する、画像に滲みがでるなど
の欠点を生じやすい。更に、インカーユニットが大型化
する、印刷のスピードを出しにくいなどの欠点もある。
【0006】一方、刷版として凸版を用いる印刷方式、
即ち凸版ドライオフセット方式では、画線部や網点部の
太りが大きいため、文字や網点画像の潰れが発生し、ま
た網点のスクリーン線数は120線程度と低く、網点画
像のざらつきや網点相互の干渉による縞模様あるいはロ
ーゼツト模様が目立ち、十分な印刷品質が得られていな
い。
【0007】従って、本発明の目的は、刷版の網点が滲
みや太りを実質上生じることなしにまたざらつき感を生
じることなしに、精細に且つ忠実に再現され、滑らかな
階調再現が可能となり、しかも版面の字汚れによる印刷
汚れがなくインキの転移が良好であり、更に網点干渉に
よる縞模様やローゼット模様が低減された印刷シームレ
ス缶を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、缶外面
に印刷インキ層とそれを被覆する仕上げワニス層とが設
けられた印刷シームレス缶において、印刷インキとして
塑性粘度が30〜70Pa・Sに保持された印刷インキ
を用いると共に、印刷用版として湿し水不要型平版を用
いて印刷が施され、印刷インキ層が網点のスクリーン線
数が150乃至300線の網点印刷で形成され且つ面積
基準の網点の太りが10%以下に抑制されていることを
特徴とする滑らかな階調再現と網点の相互干渉による縞
模様の低減化とが行われている印刷シームレス缶が提供
される。本発明の印刷シームレス缶においては、仕上げ
ワニス層が水性仕上げワニス層であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】本発明の印刷シームレス缶は、缶外
面に印刷インキ層とそれを被覆する仕上げワニス層とが
設けられているが、印刷インキとして塑性粘度が30〜
70Pa・Sに保持された印刷インキを用いると共に、
印刷用版として湿し水不要型平版を用いて印刷を施すこ
とが第一の特徴である。
【0010】湿し水不要型平版とは、平面にインキ受容
部とインキ非受容部とが形成され、しかもインキ非受容
部が湿し水の塗布なしに形成されるものをいう。具体的
には、湿し水を受容する親水性表面に代えて、インキ反
発面となるシリコーンゴム等の非粘着性皮膜が使用さ
れ、非粘着性皮膜が取り除かれ或いはマスクされた部分
がインキ受容部となるものであり、インキ受容部に付着
したインキを、ブランケットへ転写し、次いでブランケ
ットの像をシームレス缶へ転写して、印刷を行うもので
ある。
【0011】湿し水不要型平版の原理を説明するための
図2において、(A)はインキ付着前の状態、(B)は
インキ付着後の状態を示す。図2(A)において、この
平版10は、基体11と、下地層12と、この下地層上
に設けられたシリコーンゴム等のインキ反撥層13とか
らなっており、インキ反撥層が取り除かれ、下地層12
が露出した部分がインキ受容部(画像部)14となり、
インキ反撥層13が残留している部分がインキ非受容部
(非画像部)15となって、インキ画像の形成が可能と
なるものである。この平版10にインキを施すと、図2
(B)に示すとおり、インキ非受容部15ではインキが
反撥され、一方インキ受容部14ではインキ16が付着
し、インキによる画像が形成される。
【0012】本発明に用いる湿し水不要型平版では、網
点のスクリーン線数が150乃至300線という精細な
高線数化が可能となると共に、平面上にインキ受容部1
4と水のない非インキ受容部15とが形成されるため、
網点の太りや滲みが発生することがなく、面積基準の網
点の太りを10%以下に抑制できるという利点がある。
【0013】本発明においては、この湿し水不要型平版
の印刷インキとして、塑性粘度が30〜70Pa・Sに
保持されたインキを用いて印刷を行う。これにより、版
面の地汚れによる印刷汚れの発生を防止しつつ、インキ
の転移を良好にして、網点のスクリーン線数を高線数化
し、滑らかな階調再現が可能となる。
【0014】湿し水不要型平版を用いる印刷法は、前述
した湿し水型平版印刷法や凸版印刷法の欠点がないとい
う点で優れたものであるが、地汚れによる印刷汚れが発
生しやすいという欠点を有している。本発明において
は、従来使用されている印刷インキに比してやや硬めの
粘度に保持された印刷インキを用いることにより、地汚
れによる印刷汚れの発生を有効に防止したものである。
即ち、シームレス缶への印刷に通常用いられている印刷
インキは25Pa・S程度の粘度を有しているが、本発
明ではこれよりも高めの30〜70Pa・Sの粘度に保
持された印刷インキを用いることにより、地汚れの発生
を抑制できるものである。尚、本明細書において用いる
粘度乃至塑性粘度とは、温度30℃、剪断速度100s
−1においてコーンプレート型粘度計(ハーケRT−2
0型)を用いて測定した粘度を意味する。印刷インキの
粘度が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比
して、版面の地汚れによる印刷汚れの発生が無視できな
くなり、一方印刷インキの粘度が上記範囲を上回ると、
上記範囲内にある場合に比して、インキの転移が不十分
となるのでいずれも好ましくない。
【0015】印刷インキ層が網点のスクリーン線数(1
インチ当たり)が150乃至300線の網点印刷で形成
されていること、及び面積基準の網点の太りが10%以
下に抑制されていることが第二の特徴であり、これによ
り、滑らかな階調再現と網点の相互干渉による縞模様、
ローゼット模様の低減化とが可能となる。従来の印刷シ
ームレス缶では、印刷インキ層における網点のスクリー
ン線数が120線程度と粗く、そのため、網点画像のざ
らつきがあり、また画像の精細さ及び再現性にも欠ける
という問題を有していたが、本発明では、網点のスクリ
ーン線数を150乃至300線としたことにより、網点
画像のざらつきを解消し、精細さ及び再現性に優れた印
刷画像をシームレス缶上に形成することができる。即
ち、印刷画像は網点を単位として再現されるものであ
り、単位面積当たりの網点数は、網点のスクリーン線数
の二乗に比例する。かくして、網点のスクリーン線数を
1.4倍にすると、網点数は2倍となり、網点のスクリ
ーン線数を2倍とすると、網点数は4倍となる。かくし
て、網点のスクリーン線数を前述した150乃至300
線とすることが、網点画像のざらつきを解消し、精細さ
及び再現性に優れた印刷画像をシームレス缶上に形成す
る上で重要であることが了解されよう。
【0016】本発明では、網点のスクリーン線数を上記
の範囲とすると共に、面積基準の網点の太りを10%以
下に抑えることにより、ハイライト部からシャドウ部へ
の滑らかな階調再現が可能となり(グラデーションの再
現性向上が可能となり)、更に網点相互の干渉による縞
模様、ローゼット模様の低減が可能となる。即ち、シー
ムレス缶における階調再現は、通常の印刷と同様に、網
点面積率の違いを通して行われるものであるが、シーム
レス缶への印刷では網点の太りが発生し、この網点の太
りが階調再現の大きな障害となっている。また、この太
りが生じると、網点の相互干渉による意図外の縞模様や
ローゼット模様の発生原因となる。
【0017】例えば、原稿の網点面積率をS(%)、
面積基準の網点の太りをS(%)及びシームレス缶印
刷面の網点面積率をS(%)とすると、 S=S+S となり、階調再現の範囲が少なくとも太りの分(S
だけ縮小する。従来の印刷シームレス缶では、この太り
(S)が20%以上であったが、本発明では、網点の
太り(S)を10%以下に抑えることにより、ハイラ
イト部からシャドウ部への滑らかな階調再現が可能とな
り(グラデーションの再現性向上が可能となり)、更に
網点相互の干渉による縞模様、ローゼット模様の低減が
可能となる。
【0018】添付図面の図3は、後述する実施例1及び
比較例1における原稿網点面積率と印刷物の網点太り量
との関係をプロットしたものである。この結果による
と、従来技術の比較例1では網点太り量が20%を越え
るものもあるのに対して、本発明による実施例では網点
太り量が10%以下に抑制されていることが分かる。例
えば、この図に示す結果では、原稿画像で面積率40%
の網点は、実際の印刷では、本発明では約44%に、従
来技術では約60%に再現されており、本発明ではほぼ
忠実な再現が可能となっていることが了解される。
【0019】網点の印刷状態を説明するための図4にお
いて、(A)は本発明による網点の印刷状態を示すもの
であり、(B)は従来の凸版ドライオフセット方式によ
る網点の印刷状態を示すものである。即ち、従来の凸版
ドライオフセット方式では、図4(B)に示すとおり、
刷版2の網点突起21の上面以外にその側面22にもイ
ンキ16が付着し、この付着したインキがブランケット
3に網点突起21の上面よりも外方に広がった状態で転
移し、これがシームレス缶の外面に転写されるため、印
刷されるインキは正規の網点4よりも外方への太り41
を生じる。これに対して、本発明に用いる印刷方式で
は、図4(A)に示すとおり、刷版の網点であるインキ
受容部14以外へのインキの広がりは非インキ受容部1
5により抑制されるので、ブランケット3に転移される
インキの網点に太りを生じることがなく、シームレス缶
に印刷されるインキは実質上正規の網点4どおりのもの
となる。
【0020】シームレス缶への印刷では、通常の印刷と
は異なり、印刷インキ層の上に仕上げワニス層を設ける
ことが必要不可欠である。印刷シームレス缶では、缶体
外面に印刷インキ層がオフセット方式で施されるため、
印刷インキ層は缶体同士のこすれや衝突により、容易に
剥げ落ちるおそれがあり、印刷インキ層の外面を仕上げ
ワニス層で保護することが必須となるのである。この仕
上げワニス層は、単に印刷インキ層を擦傷や剥離から機
械的に保護するだけではなく、光沢層を設けることによ
って、印刷面の鮮明さを向上させるという補助的効果を
も有している。
【0021】本発明では、この仕上げワニス層として、
水性仕上げワニス層を用いることが特に好ましく、これ
により最終印刷画像の網点や画線の滲みや太りを低減化
させることができる。
【0022】仕上げワニス層を施した状態での印刷イン
キの状態を示す図5において、(A)は本発明による印
刷シームレス缶のインキの状態を示すものであり、
(B)は本発明以外の印刷シームレス缶のインキの状態
を示すものである。この例では、シームレス缶は外面に
印刷インキ層の下地となる樹脂被覆層(例えばPET樹
脂層、或いはホワイトコーティング層)5を備えてお
り、印刷インキからなる網点或いは画線4が施され、そ
の上に仕上げワニス層6が施されている。図5(B)に
示すとおり、仕上げワニス層として、溶剤タイプの仕上
げワニス層6’を施した場合には、用いた溶剤と印刷イ
ンキとの親和性により、インキ4’の平面方向への広が
り乃至滲みを発生する。これに対して、本発明に従い水
性仕上げワニスを用いると、図5(B)に示すとおり、
油性インキ4と水性仕上げワニス6との反発作用によ
り、インキの網点乃至画線は横に広がることなく、印刷
された状態に保持されるわけである。
【0023】[シームレス缶]本発明は、任意のシーム
レス缶に適用できる。シームレス缶は、一般に、金属或
いは被覆金属の絞り・深絞り成形、絞りしごき成形等で
形成され、成形後の缶体に外面印刷を行うのが通例であ
り、このような缶体への外面印刷に本発明は有用であ
る。
【0024】印刷に用いるシームレス缶の一例を示す図
6において、このシームレス缶7は、筒状の胴部71
と、胴部の下端に継ぎ目なしに接続された底部72とか
らなっている。胴部71にも側面継ぎ目は存在しない。
胴部71及び底部72の内面には、図示していないが、
内面保護樹脂層が設けられており、一方、胴部71及び
底部72の外面には、外面保護樹脂層が設けられていて
も、また設けられていなくてもよい。このような保護樹
脂層は、シームレス缶への成形に先立って金属素材に施
したものでも、シームレス缶への成形後に缶に施したも
のでもよい。
【0025】本発明に用いるシームレス缶では、金属板
としては各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板
が使用される。
【0026】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/mの金属クロム層と
1乃至50mg/m(金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5 乃至11.2g/mの錫メッキ量を有する硬質ブ
リキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算で、ク
ロム量が1乃至30mg/mとなるようなクロム酸処
理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望
ましい。更に他の例としてはアルミニウムメッキ、アル
ミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いら
れる。
【0027】軽金属板としては、所謂純アルミニウム板
の他にアルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn 0.
2乃至1.5重量%、Mg 0.8乃至5重量%、Zn
0.25乃至0.3重量%、及びCu 0.15乃至
0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/mとなるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0028】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tB)
は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによっても相
違するが、一般に0.10乃至0.5mmの厚みを有す
るのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合には、0.
10乃至0.3mmの厚み、また軽金属板の場合には
0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
【0029】金属基体上に所望により設ける有機被覆
は、熱可塑性樹脂でも、熱硬化性樹脂でも或いはその組
成物であってもよい。尚、金属基体がアルミニウム系基
体である場合には、外面の樹脂被覆は省略しても差し支
えない。
【0030】上記金属板上に被覆される熱可塑性樹脂と
しては、結晶性の熱可塑性樹脂が好ましく、その例とし
て、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレ
フィン系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート
/イソフタレート共重合体等のポリエステル;ナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等の
ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン等を
挙げることができる。
【0031】上記熱可塑性樹脂の被覆層には、金属板を
隠蔽し、また絞り−再絞り成形時等に金属板へのしわ押
え力の伝達を助ける目的で無機フィラー(顔料)を含有
させることができる。また、このフィルムにはそれ自体
公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアン
チブロッキング剤、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合すること
ができる。
【0032】無機フィラーとしては、ルチル型またはア
ナターゼ型の二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等
の無機白色顔料;バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸
カルシウム、石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タル
ク、焼成或は未焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホ
ワイト、合成乃至天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム等の白色体質顔料;カーボンブラ
ック、マグネタイト等の黒色顔料;ベンガラ等の赤色顔
料;シエナ等の黄色顔料;群青、コバルト青等の青色顔
料を挙げることができる。これらの無機フィラーは、樹
脂当り10乃至500重量%、特に10乃至300重量
%の量で配合させることができる。
【0033】被覆熱可塑性樹脂の金属板への被覆は、熱
融着法、ドライラミネーション、押出コート法等により
行われ、被覆樹脂と金属板との間に接着性(熱融着性)
が乏しい場合には、例えばウレタン系接着剤、エポキシ
系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミ
ド系接着剤、コポリエステル系接着剤等を介在させるこ
とができる。
【0034】また、熱可塑性樹脂の厚みは、一般に3乃
至50μm、特に5乃至40μmの範囲にあることが望
ましい。フィルムを用いた熱融着の場合、未延伸のもの
でも延伸のものでもよい。
【0035】特に好適なフィルムとして、エチレンテレ
フタレート単位またはブチレンテレフタレート単位を主
体とするポリエステルを、T−ダイ法やインフレーショ
ン製膜法でフィルムに成形し、このフィルムを延伸温度
で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱
固定することにより製造されたフィルムを挙げることが
できる。勿論、上記ポリエステルを押出コートにより金
属基体にラミネートしたものを用いることもできる。
【0036】ポリエステルとしては、ポリエチレンテレ
フタレートそのものも使用可能であるが、フィルムの到
達し得る最高結晶化度を下げることが耐衝撃性や加工性
の点で望ましく、この目的のためにポリエステル中にエ
チレンテレフタレート以外の共重合エステル単位を導入
するのがよい。エチレンテレフタレート単位或いはブチ
レンテレフタレート単位を主体とし、他のエステル単位
の少量を含む融点が210乃至252℃共重合ポリエス
テルの二軸延伸フィルムを用いることが特に好ましい。
尚、ホモポリエチレンテレフタレートの融点は一般に2
55〜265℃である。
【0037】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール
またはブチレングリコール以外のジオール成分として
は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物
等の1種又は2種以上が挙げられる。勿論、これらのコ
モノマーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記
範囲とするものでなければならない。
【0038】用いるポリエステルは、フィルムを形成す
るに足る分子量を有するべきであり、このためには固有
粘度(I.V.)が0.55乃至1.9dl/g、特に0.6
5乃至1.4dl/gの範囲にあるものが望ましい。
【0039】一方、シームレス缶の被覆に用いる樹脂塗
料としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルム
アルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素
ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹
脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ
樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹
脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹
脂、或は上記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂塗料、例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マ
レイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニ
ル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂と
の組成物等を挙げることができる。これらの樹脂塗料は
単独でも2種以上の組合せでも使用される。
【0040】シームレス缶への成形は、それ自体公知の
手段、例えば絞り−再絞り加工、絞り−しごき加工、絞
り−再絞り−しごき加工、絞り−曲げ延ばし再絞り加
工、絞り−曲げ延ばし−しごき加工等で行われる。
【0041】例えば、深絞り成形(絞り−再絞り成形)
によれば、被覆金属板から成形された前絞りカップを、
このカップ内に挿入された環状の保持部材とその下に位
置する再絞りダイスとで保持する。これらの保持部材及
び再絞りダイスと同軸に、且つ保持部材内を出入し得る
ように再絞りポンチを配置する。再絞りポンチと再絞り
ダイスとを互いに噛みあうように相対的に移動させる。
【0042】これにより、前絞りカップの側壁部は、環
状保持部材の外周面から、その曲率コーナー部を経て、
径内方に垂直に曲げられて環状保持部材の環状底面と再
絞りダイスの上面とで規定される部分を通り、再絞りダ
イスの作用コーナー部により軸方向にほぼ垂直に曲げら
れ、前絞りカップよりも小径の深絞りカップに成形する
ことができる。
【0043】更に再絞りダイスの作用コーナー部の曲率
半径(Rd )を、金属板素板厚(tB )の1乃至2.9
倍、特に1.5 乃至2.9 倍の寸法とすることにより、側壁
部の曲げ引張りによる薄肉化を有効に行うことができ
る。のみならず、側壁部の下部と上部とにおける厚みの
変動が解消され、全体にわたって均一な薄肉化が可能と
なる。一般に、缶胴の側壁部は素板厚(tB )に対する
薄肉化率(厚みの変動率)を5乃至45%(−5乃至−
45%)、特に5乃至40%(−5乃至−40%)の厚
みに薄肉化することができる。
【0044】深絞り缶の場合、下記式(2) 式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポン
チ径である、 で定義される絞り比RD は一段では1.1乃至3.0の
範囲、トータルでは1.5乃至5.0の範囲にあるのが
よい。
【0045】また再絞り或いは曲げ伸ばし再絞りの後方
にしごきダイスを配置して、側壁部に対して、下記式
(3) tB−tW RI = −−−−−−−− × 100 ‥‥(3) tB 式中、tB は素板厚であり、tW は側壁部の厚みである で定義されるしごき率RI が5乃至70%、特に10乃
至60%の厚みになるようにしごきで薄肉化することも
できる。
【0046】絞り成形等に際して、被覆或いは未被覆の
金属板或は更にカップに、各種滑剤、例えば流動パラフ
ィン、合成パラフィン、食用油、水添食用油、パーム
油、各種天然ワックス、ポリエチレンワックスを塗布し
て成形を行うのがよい。滑剤の塗布量は、その種類によ
っても相違するが、一般に0.1乃至10mg/d
、特に0.2乃至5mg/dmの範囲内にあるの
がよく、滑剤の塗布は、これを溶融状態で表面にスプレ
ー塗布することにより行われる。
【0047】カップへの絞り成形性を向上させるため、
樹脂被覆絞りカップの温度を被覆樹脂のガラス転移点
(Tg)以上、特に熱結晶化温度以下の範囲に予め設定
して、樹脂被覆層の塑性流動を容易にした状態で成形す
ることが有利である。
【0048】成形後の被覆金属製カップは、カップ開口
部の耳の部分を切断する、所謂トリミングを行った後、
印刷工程に付する。このトリミング処理に先立って、成
形後のカップを被覆樹脂のガラス転移点(Tg)以上で
融点よりも低い温度に加熱して、被覆樹脂の歪みを緩和
しておくことができる。この操作は、熱可塑性樹脂の場
合特に被覆と金属との密着性を高めるために有効であ
る。また、トリミング処理を行ったカップに、更に所望
により被覆層を樹脂塗料により設けることができる。
【0049】[印刷]本発明において、シームレス缶へ
の印刷は、前述した湿し水不要型平版を刷版として版胴
に装着し、刷版上の印刷インキを30〜70Pa・Sの
塑性粘度に保持し、刷版とブランケットとシームレス缶
とを順方向に等速で接触駆動させることにより行うこと
ができる。
【0050】本発明に用いる印刷機の一例の配置を示す
図7において、この印刷機は大別して、版胴81、ブラ
ンケットホイール82及びシームレス缶の搬送のための
マンドレル83から構成される。版胴81の表面には、
湿し水不要型平版2が刷版として取り付けられ、ブラン
ケットホイール82にはブランケット84が取り付けら
れる。シームレス缶7はシームレス缶供給ユニット80
を経てマンドレル83に自転可能に保持され、ブランケ
ット84に接触するように保持される。また、刷版2に
印刷インキを供給するため、例えば多ロール式或いはア
ニロックス式のインキ供給ユニット85が設けられてい
る。図7に示す印刷機の例においては、全部で8組の版
胴81及びインキ供給ユニット85がブランケットホイ
ール82の周囲に配置されていて、単一色の印刷または
2色以上8色までの多色印刷が行える。
【0051】インキ供給ユニット85から、湿し水不要
型平版2に印刷インキを供給し、印刷インキの粘度を前
述した範囲内に保持し、次いで、刷版2の網点及び画線
部上のインキをブランケット84に転移させ、更にブラ
ンケット84に転移された網点状及び画線状のインキ
を、マンドレル83に装着した薄肉化シームレス缶7に
転移させることで印刷缶を得ることができる。
【0052】本発明に用いる湿し水不要型平版は、支持
体上にインキの受容部と、水が塗布されないインキの非
受容部とを備えているものであり、インキの非受容部は
一般にシリコーン層からなっており、一方インキの受容
部は光硬化性或いは光剥離性の感光性樹脂層からなって
いる。
【0053】このような湿し水不要型平版及びその製法
は既に公知であり、例えば特公昭54−26923号公
報、特公昭61−54222号公報、特公平7−966
46号公報、特開平2−77750号公報などに記載さ
れている。本発明においては、これら公知の任意の湿し
水不要型平版を、本発明の目的に用いることができる。
【0054】本発明に用いる印刷インキは、シリコーン
等に対して反撥性(非粘着性)を有するものであり、ビ
ヒクル、添加剤及び着色剤を含有するものである。
【0055】ビヒクルとしては、油、樹脂、溶剤、可塑
剤などが使用される。これらのビヒクル類及び後述する
増粘剤などは、前述した範囲の粘度となるように選択さ
れ且つ配合される。
【0056】一方、添加剤としては、天然或いは合成の
ワックス類、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化
剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、艶消し剤、消泡
剤、光重合開始剤などが用いられる。着色剤としては、
それ自体公知の染料や顔料或いはトナーが使用される。
【0057】印刷インキの重要な特性として、インキ転
移性があることは必須不可欠であるが、同時にシリコー
ン層に対する反発性も要求される。
【0058】用いるインキビヒクルは、加熱硬化性で
も、紫外線硬化性でもよい。加熱硬化型のものとして
は、以下の例に限定されないが、アルキッド型あるいは
ポリエステル型ビヒクルを用いたインキが好適である。
アルキッド型或いはポリエステル型のビヒクルは、
(i)多価アルコール、例えば グリセリン、ペンタエ
リスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ソルビトール、マンニトール、トリメチロールプロ
パンの少なくとも1種と、(ii)多塩基酸、例えば無水
フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、セバ
シン酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ジ
フェン酸、1,8−ナフタリル酸、テルペン油、ロジン
の少なくとも1種、とを縮重合し、必要により、これを
(iii)脂肪油または脂肪酸、例えばアマニ油、大豆
油、エゴマ油、魚油、桐油、ヒマワリ油、クルミ油、オ
イチシカ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、蒸留脂肪酸、綿
実油、ヤシ油、或いはこれらの脂肪酸、或いは脂肪酸の
モノグリセリドで変性した樹脂であり、この樹脂は更に
ロジン変性、不乾性脂肪酸変性、尿素メラミン樹脂変
性、乾性油脂肪酸変性、石炭酸樹脂変性、マレイン酸樹
脂変性、エステルロジン変性、その他の天然樹脂変性の
形でも使用される。
【0059】紫外線カチオン重合型のものとして、例え
ば、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒の
組み合わせが使用される。紫外線硬化型エポキシ樹脂と
しては、分子内に脂環族基を有し且つ脂環基の隣接炭素
原子がオキシラン環を形成しているエポキシ樹脂成分を
含有するものであり、例えば分子内に少なくとも1個の
エポキシシクロアルカン基、例えばエポキシシクロヘキ
サン環、エポキシシクロペンタン環等を有するエポキシ
化合物等が単独或いは組み合わせで使用される。その適
当な例は、これに限定されないが、ビニルシクロヘキセ
ンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンモノエポキシ
ド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−
エポキシシクロヘキサン・カーボキシレート、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−
3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、
リモネンジオキサイド等である。上記エポキシ樹脂と組
み合わせで用いるカチオン性紫外線重合開始剤とは、紫
外線によって分解し、ルイス酸を放出し、このルイス酸
がエポキシ基を重合する作用を有するものであり、その
例として、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウ
ム塩、芳香族セレニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩等が
挙げられる。
【0060】本発明においては、印刷される印刷インキ
の粘度を前述した範囲に維持することが重要である。一
般に、印刷インキの粘度は、通常の有機液体と同様に、
温度が上昇するとそれにつれて低下する傾向がある。特
に、シームレス缶の印刷機においては、運転時間と共に
刷版等の上のインキの温度も上昇し、これに伴って印刷
インキの粘度が低下し、湿し水不要型平版印刷の場合に
は、地汚れによる印刷汚れが発生しやすい環境となる。
本発明においては、この温度上昇による印刷インキの粘
度低下を抑制するため、印刷インキを直接的或いは間接
的に支持する各種ロール、例えば版胴ロール、印刷ユニ
ットのインキングロール、ブランケットホィール等を調
温する。この調温の目的に各ロール内に冷却水乃至調温
水を通じることや、回転による自己冷却機構を設けるこ
とが有効である。
【0061】缶胴への印刷に続いて、インキ層の上に水
性の仕上げワニスを塗装する。仕上げワニスの塗装は、
このワニスが塗布されたアプリケーターローラ86を使
用し、このアプリケーターローラ86を印刷されたシー
ムレス缶7の外表面と接触させることにより、同様に行
われる。仕上げワニスが塗装されたシームレス缶7は、
シームレス缶排出ユニット87により印刷機から排出さ
れる。印刷インキ層の形成と、仕上げワニス膜の形成と
は、いわゆるウエット・オン・ウエットの関係で行うこ
ともできるし、印刷インキ層の硬化を行った後、仕上げ
ワニス膜の形成を、いわゆるウエット・オン・ドライの
関係で行うこともできる。
【0062】印刷インキ層の上に施す仕上げワニスとし
ては、一般に製缶印刷の分野で仕上げワニスと呼ばれる
ものの内水性のものが使用される。この仕上げワニスと
しては、印刷インキに関して説明した樹脂のうち、透明
性や耐擦傷性に優れたものが、顔料や着色剤の添加なし
に使用され、この樹脂は加熱硬化性のものでも、紫外線
硬化性のものでも、何れであってもよい。一般に、自己
乳化型或いは活性剤乳化型の熱硬化アクリル樹脂、アク
リルエポキシ樹脂、アクリルアミノ樹脂等がこの目的に
適している。仕上げワニス層の厚みは、印刷インキ層の
保護が十分なものである限り、特に制限はないが、一般
に3乃至10μm、特に4乃至6μmの範囲にあること
が好適である。
【0063】印刷インキ層及び仕上げワニス層の硬化
は、加熱硬化の場合、180乃至220℃の温度を使用
できる。一方、紫外線硬化の場合、紫外線としては、近
紫外領域をも含めて、一般に波長200乃至430n
m、特に240乃至420nmの光線が使用される。紫
外光源としては、ハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水
銀灯等が使用される。コーティング層の厚みは小さいの
で、硬化に要するエネルギーはかなり少なくてすむこと
が利点であり、一般に500乃至5000ジュール/m
等のエネルギーで十分である。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明がこれに限定されないのは勿論である。
【0065】[実施例1]原稿画像として、網点面積率
0〜100を10%間隔(一部5%間隔)で表した単一
色のステップウェッジ画像と、4色の多色網点画像と、
単一色の文字画像とを組み合わせたものを用い、公知の
製版用画像処理システムを用いて網点のスクリーン線数
を120線としてポジフィルムを作成した。次に、該ポ
ジフィルムと公知のポジ型湿し水不要型平版を用い、公
知の湿し水不要型平版用製版露光現像システムにより印
刷用版を作成した。次に、図7に示した印刷機のインキ
ングロール、刷版及びブランケットホィールの温度を調
温により約30℃に設定し、塑性粘度が約50Pa・S
に維持された湿し水不要型平版金属印刷用インキを用い
た印刷及び金属印刷用水性仕上げワニスの塗装を行い、
その後熱風循環式オーブンにより加熱して塗膜を乾燥さ
せ印刷シームレス缶を得た。得られた印刷シームレス缶
外表面に再現された印刷画像を目視にて観察したとこ
ろ、網点画像はざらつき感が無く滑らかな階調再現であ
った。また、網点相互の干渉による縞模様やローゼット
模様は見られなかった。さらに、文字の太りや網点の太
りによる印刷画像の潰れも見られなかった。次に、ステ
ップウェッジ画像の網点の太り量をリアルタイム画像処
理解析装置LUZEX(株式会社ニレコ製)により測定
したところ、原稿画像の網点面積率0〜100%に対
し、全領域において10%以下であった。測定結果を表
すグラフを図3に示す。
【0066】[比較例1]実施例1と同じ原稿画像及び
製版用画像処理システムを用いて網点のスクリーン線数
を120線としてネガフィルムを作成した。次に、該ネ
ガフィルムと公知の樹脂凸版を用い、公知の樹脂凸版用
製版露光現像システムにより印刷用版を作成した。次
に、図7に示した印刷機により、樹脂凸版金属印刷用イ
ンキを用いた印刷及び実施例1と同じ水性仕上げニスの
塗装を行い、その後熱風循環式オーブンにより加熱して
塗膜を乾燥させ印刷シームレス缶を得た。得られた印刷
シームレス缶外表面に再現された印刷画像を目視にて観
察したところ、網点画像はざらつき感があり滑らか階調
再現ではなかった。また、網点相互の干渉による縞模様
やローゼット模様が一部に見られた。さらに、文字の太
りや網点の太りによる印刷画像の潰れも一部に見られ
た。次に、実施例1と同じ方法により網点の太り量を測
定したところ、原稿画像の網点面積率0〜100%に対
し、20%を超える領域が多かった。測定結果を表すグ
ラフを図3に示す。
【0067】[比較例2]実施例1において、印刷機の
インキングロール、刷版及びブランケットホィールの温
度を調温せず、シームレス缶への印刷を続行したとこ
ろ、印刷インキの温度は約50℃に上昇し、印刷インキ
の塑性粘度が約25Pa・Sに低下した。得られた印刷
シームレス缶の印刷画像には地汚れによる印刷汚れが発
生した。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、缶外面に印刷インキ層
とそれを被覆する仕上げワニス層とが設けられた印刷シ
ームレス缶において、印刷インキとして塑性粘度が30
〜70Pa・Sに保持された印刷インキを用いると共
に、印刷用版として水不要型平版を用いて印刷を施すこ
とにより、印刷インキ層を網点のスクリーン線数が15
0乃至300線の網点印刷で形成すると共に、面積基準
の網点の太りを10%以下に抑制することが可能とな
り、刷版の網点が滲みや太りを実質上生じることなしに
またざらつき感を生じることなしに、精細に且つ忠実に
再現され、滑らかな階調再現が可能となり、しかも版面
の字汚れによる印刷汚れがなくインキの転移が良好であ
り、更に網点干渉による縞模様やローゼット模様が低減
された印刷シームレス缶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷缶の断面構造を示す断面図(公知例)であ
る。
【図2】湿し水不要型平版の原理を説明するための説明
図であって、(A)はインキ付着前の状態、(B)はイ
ンキ付着後の状態を示す。
【図3】実施例1及び比較例1における原稿網点面積率
と印刷物の網点太り量との関係をプロットしたグラフで
ある。
【図4】網点の印刷状態を説明するための説明図であっ
て、(A)は本発明による網点の印刷状態を示すもので
あり、(B)は従来の凸版ドライオフセット方式による
網点の印刷状態を示すものである。
【図5】仕上げワニス層を施した状態での印刷インキの
状態を示す説明図であって、(A)は本発明による印刷
シームレス缶のインキの状態を示すものであり、(B)
は本発明以外の印刷シームレス缶のインキの状態を示す
ものである。
【図6】印刷に用いるシームレス缶の一例を示す側断面
図である。
【図7】本発明に用いる印刷機の一例の配置を示す側面
配置図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶外面に印刷インキ層とそれを被覆する
    仕上げワニス層とが設けられた印刷シームレス缶におい
    て、印刷インキとして塑性粘度が30〜70Pa・Sに
    保持された印刷インキを用いると共に、印刷用版として
    湿し水不要型平版を用いて印刷が施され、印刷インキ層
    が網点のスクリーン線数が150乃至300線の網点印
    刷で形成され且つ面積基準の網点の太りが10%以下に
    抑制されていることを特徴とする滑らかな階調再現と網
    点の相互干渉による縞模様の低減化とが行われている印
    刷シームレス缶。
  2. 【請求項2】 仕上げワニス層が水性仕上げワニス層で
    あることを特徴とする請求項1に記載の印刷シームレス
    缶。
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