JP2005313145A - 酸素吸収剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも1つの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物を有効成分として含有する酸素吸収剤。共役ジエン重合体環化物ブロックは、不飽和結合減少率が10%以上であることが好ましく、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲にあることが好ましい。酸素吸収剤は、更に熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。酸素吸収剤の酸化防止剤含有量は、500ppm以下であることが好ましい。酸素吸収剤は、フィルム、シート又は粉体の形態を有する。
【選択図】 なし
Description
そのため、食品、飲料、医薬品等を貯蔵する容器又は包装内に窒素を充填することも行なわれているが、例えば、製造時にコストアップになる問題、一旦開封すると外部から空気が流入し、それ以後の品質劣化を防止することができなくなる問題がある。従って、容器又は包装内に残存する酸素を吸収させて、系内から酸素を除去する検討が種々行なわれている。
例えば、ポリ(α−ピネン)、ポリ(β−ピネン)、ポリ(ジペンテン)等のポリテルペン、及び、酸素吸収触媒として作用するネオデカン酸コバルト、オレイン酸コバルト等の遷移金属塩からなる酸素吸収剤を用いることが提案されている(特許文献1)。
また、ポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン等の共役ジエン重合体及び遷移金属塩からなる酸素吸収剤を用いることが提案されている(特許文献2)。
更に、エチレンとシクロペンテンとの共重合体及び遷移金属塩からなる酸素吸収剤を用いることが提案されている(特許文献3)。
しかしながら、これら従来の酸素吸収剤は、酸素吸収反応が進むにつれ重合体が劣化して機械的強度が著しく低下したり、遷移金属塩が溶出する虞があったりするため、用途によっては適用が困難な場合があった。
本発明の酸素吸収剤において、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物が、ただ1つの芳香族ビニル重合体ブロックとただ1つの共役ジエン重合体環化物ブロックとからなるものであることが好ましい。
本発明の酸素吸収剤において、共役ジエン重合体環化物ブロックの不飽和結合減少率が10%以上であることが好ましい。
本発明の酸素吸収剤において、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物の重量平均分子量が1,000〜1,000,000であることが好ましい。
本発明の酸素吸収剤において、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物の芳香族ビニル単量体単位含量が1〜90重量%であることが好ましい。
また、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物の有する極性基の含有量は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物100g当たり0.1〜200ミリモルであることが好ましい。
本発明の酸素吸収剤は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物に加えて熱可塑性樹脂を含有してなるものであることが好ましい。
上記酸素吸収剤において、熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリビニルアルコール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の酸素吸収剤において、酸素吸収剤が500ppm以下の酸化防止剤を含有することが好ましい。
本発明の酸素吸収剤は、フィルム、シート又は粉体の形態を有することができる。
(酸素吸収剤)
本発明の酸素吸収剤は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物を有効成分とする。
本発明で使用する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物(以下、単に「ブロック共重合体環化物」ということがある。)は、少なくとも1つの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなる。
芳香族ビニル重合体ブロックは、芳香族ビニル単量体を重合して得られる重合体のブロックである。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メトキシメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、クロロメチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、ペンタフルオロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。中でも、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましく使用できる。
これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル重合体ブロック中の、芳香族ビニル単量体単位以外の他の単量体単位の含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
なお、本発明においては、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
共役ジエン重合体環化物ブロックは、通常、環化触媒を用いて、共役ジエン重合体ブロックを構成する共役ジエン重合体を環化させることにより、形成される。
共役ジエン重合体ブロックを形成するのに用いる共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。中でも、本発明の効果が発現し易い点で、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましく使用できる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
共役ジエン重合体環化物ブロックの不飽和結合減少率は、環化反応の際の酸触媒量、反応温度及び反応時間等を適宜選択して調節することができる。
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBUとし、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は、下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
(S−B)n 一般式(1)
S−(B−S)m 一般式(2)
B−(S−B)p 一般式(3)
(S−B)qX 一般式(4)
(B−S)rY 一般式(5)
(なお、上記一般式において、n、m、p、q及びrは1以上の整数であり、X及びYは、少なくとも2つのカップリング部位を有するカップリング剤の残基である。)
中でも、ただ1つの芳香族ビニル重合体ブロックとただ1つの共役ジエン重合体環化物ブロックとからなるブロック共重合体環化物が、その製造の容易さ、効果の発現性の点で好ましい。
ブロック共重合体環化物の重量平均分子量は、出発物質として用いる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の重量平均分子量を適宜選択して調節することができる。
共役ジエン重合体環化物ブロックのTgは、原料として用いる共役ジエン重合体の組成や不飽和結合減少率を適宜選択して調節することができる。
極性基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子等の、炭素原子及び水素原子以外の原子を有する基が挙げられる。その具体例としては、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、効果がより発現しやすい点で、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、エステル基、エポキシ基及びアミノ基が好ましく、酸無水物基、カルボキシル基及び水酸基がより好ましく、酸無水物基及びカルボキシル基が特に好ましい。
ブロック共重合体環化物中の酸化防止剤の含有量は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm、特に好ましくは300ppm以下である。この含有量が多すぎると、このブロック共重合体環化物を用いて得られる酸素吸収剤の酸素吸収性を低下させる傾向にある。酸化防止剤含有量の下限は、好ましくは10ppm、より好ましくは20ppmである。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ビタミンE、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス−(6−t−ブチル−p−クレゾール)、1,3,5−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビスオクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等を挙げることができる。
これらの酸化防止剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記のブロック共重合体環化物の製造方法は、芳香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体を、有機活性金属触媒を用いて重合して、少なくとも1つの、重量平均分子量が1,000〜100,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する工程(1)と、環化触媒を用いて、この芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックを構成する共役ジエン重合体を環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成して、ブロック共重合体環化物を得る工程(2)と、からなる。
工程(1)において、芳香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体としては、前記したものを用いることができる。各単量体の使用量は、所望の組成を有するブロック共重合体が得られるよう、適宜調整すればよい。
有機活性金属触媒としては、前記の単量体をリビング的に重合できる触媒であれば特に限定されない。有機活性金属触媒としては、例えば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物等が挙げられる。中でも、有機アルカリ金属化合物が好ましく使用できる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく使用できる。
2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルアミルアミン、アミルヘキシルアミン、ジエチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘキシルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、メチルシクロペンチルアミン、エチルシクロペンチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂肪族2級アミン;ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルフェネチルアミン等の芳香族2級アミン;アジリジン、アセチジン、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ドデカメチレンイミン、コニイン、モルホリン、オキサジン、ピロリン、ピロール、アゼピン等の環状イミンが挙げられる。
これらの2級アミンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
2級アミンの使用量は、有機アルカリ金属化合物中の金属に対して、通常、0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.5当量、より好ましくは1〜1.2当量である。
重合の順序は特に限定されず、まず、芳香族ビニル単量体を重合して、芳香族ビニル重合体ブロックを形成し、次いで、共役ジエン単量体を重合して、共役ジエン重合体ブロックを形成してもよいし、その逆の順番で逐次重合を行ってもよい。
また、芳香族ビニル単量体の一部を重合して、芳香族ビニル重合体ブロックを形成し、次いで、共役ジエン単量体を重合して、共役ジエン重合体ブロックを形成し、更に、残部の芳香族ビニル単量体を重合して、芳香族ビニル重合体ブロックを形成してもよい。
重合溶媒としては、重合を阻害しないものであれば特に限定されず、重合溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、i−オクタン等の脂肪族飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。これらの中でも、n−ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエンが好ましい。これらの重合溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、必要に応じて、1−ブテン、シス−2−ブテン、2−ヘキセン等の重合性が極めて低い不飽和炭化水素を併用することもできる。
重合溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、重合に使用する単量体の濃度が1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲となる量である。
その具体例としては、ジブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の3級アミン;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド;トリフェニルホスフィン等のホスフィン誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、3級アミン及びエーテル化合物が好ましく、3級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましく使用できる。
これらの極性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性化合物を使用する場合、その使用量は、有機活性金属触媒1モルに対して、通常、200モル以下、好ましくは0.1〜100モル、より好ましくは0.5〜50モル、特に好ましくは0.8〜20モルである。
カップリング剤の使用量は、各カップリング体の組成比が、所望の範囲になるよう適宜選択する。
カップリング剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、カップリング部位の数は、特に限定されないが、通常、2〜5であり、6以上のものも用いることができる。
2官能性カップリング剤の具体例としては、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等の2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタン等の2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ等の2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、一酸化炭素、2―クロロプロペン等が挙げられる。
4官能性カップリング剤の具体例としては、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタン等の4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシラン等の4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズ等の4官能性ハロゲン化スズ;等が挙げられる。
5官能性以上のカップリング剤としては、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル等が挙げられる。
重合停止剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;フェノール、メチルフェノール、2,6−t−ブチル−ヒドロキシトルエン等のフェノール類;水;等が挙げられる。中でも、アルコール類や水が好ましく、水がより好ましく使用できる。その使用量は、重合に使用した有機活性金属触媒中の金属に対して、通常、1〜100当量、好ましくは1〜50当量、より好ましくは1〜10当量の範囲である。
重合停止剤として水を使用する時は、その重合溶液中への分散を促進する目的で、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩等のアニオン界面活性剤を添加することができる。
工程(2)では、環化触媒を用いて、工程(1)で得られた芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックを環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する。
その具体例としては、硫酸;モノフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸及びこれらの無水物又はアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化物;が挙げられる。
これらの環化触媒の中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく、p−トルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸がより好ましく使用できる。
これらの環化触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
環化触媒の使用量は、環化触媒の種類や要求される不飽和結合減少率に応じて適宜選択されるが、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体100gに対して、通常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。
不活性溶媒は、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されず、重合溶媒として前記したものが使用できる。中でも、沸点が70℃以上のものが好ましく使用できる。
これらの不活性溶媒を芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の重合反応に用いた場合は、その溶媒をそのまま環化反応の溶媒として用いることもでき、この場合は、重合反応が終了した重合反応液に酸触媒を添加して、環化反応を行うことができる。
不活性溶媒の使用量は、特に限定されないが、ブロック重合体の濃度が好ましくは5〜60重量%、より好ましくは20〜40重量%となる量である。
環化反応における反応温度は、通常、50〜150℃、好ましくは70〜110℃であり、反応時間は、通常、0.5〜10時間、好ましくは2〜7時間である。
環化反応は、加圧、減圧又は大気圧いずれの圧力下でも行なうことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行うことが望ましく、中でも乾燥気流下、特に乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行うと水分に起因する副反応を抑えることができる。
なお、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロックは、上記工程(2)を経た後においても変化なく保持される。
得られたブロック共重合体環化物は、通常、常法により、環化触媒を不活性化した後、環化触媒残渣を除去し、所望により酸化防止剤を添加し、次いで不活性溶媒を除去して、固形物として取得する。
極性基含有化合物の使用量は、反応条件によっても変化するが、導入された極性基の含有量が、前記した好ましい範囲になるよう適宜選択される。
この付加反応は、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体環化物ブロックからなるブロック共重合体環化物と極性基含有化合物とを、必要に応じて、ラジカル発生剤の存在下に、接触反応させることによって行われる。
ラジカル発生剤の具体例としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド,t−ブチルパーオキシベンゾエート,メチルエチルケトンパーオキシドのようなパーオキシド類;アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾニトリル類;等が挙げられる。
極性基を導入する反応は、加圧、減圧又は大気圧いずれの圧力下でも行なうことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行なうことが望ましく、中でも乾燥気流下、とくに乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行なうと水分由来の副反応を抑えることができる。
また、反応温度や反応時間は、常法に従えばよく、反応温度は、通常、30〜250℃、好ましくは60〜200℃であり、反応時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
反応後、所望により、反応溶媒や未反応の極性基含有化合物を除去して、極性基を含有するブロック共重合体環化物が得られる。
本発明の酸素吸収剤は、前記のブロック共重合体環化物を有効成分とするものである。
酸素吸収剤中のブロック共重合体環化物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。この含有量が低すぎると、酸素吸収性が低下する傾向にある。
本発明の酸素吸収剤に、ブロック共重合体環化物以外のポリマー材料を配合することにより、酸素吸収剤の引裂強さが向上する。
使用しうるブロック共重合体環化物以外のポリマー材料は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂に各種ゴムを併用することも可能である。
ブロック共重合体環化物以外のポリマー材料は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
ブロック共重合体環化物とブロック共重合体環化物以外のポリマー材料とを含有してなる酸素吸収剤において、ブロック共重合体環化物の含有量は、100〜10重量%が好ましく、90〜20重量%がより好ましく、85〜30重量%が更に好ましく、80〜50重量%が特に好ましい。上記範囲内において、酸素吸収性と引裂強さとのバランスが良好に保たれ、ブロック共重合体環化物の割合が高い程、酸素吸収性が良好なものとなる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン単独重合体;エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分又は完全鹸化物等のその他のエチレン共重合体;これらのポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン樹脂;等を挙げることができる。
ポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12等を挙げることができる。
ポリビニルアルコール樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分又は完全鹸化物等を挙げることができる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン樹脂、とりわけ、オレフィン単独重合体及びエチレンとα−オレフィンとの共重合体がブロック共重合体環化物との相溶性に優れるため好ましい。
酸化防止剤としては、ブロック共重合体環化物に配合できるものと同様のものを使用できる。
本発明の酸素吸収剤中の酸化防止剤の含有量は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。この含有量が多すぎると、酸素吸収性を低下させる傾向にある。酸素吸収剤中の酸化防止剤含有量の下限は、好ましくは10ppm、より好ましくは20ppmである。
酸化防止剤を含有する酸素吸収剤は、押出成形時の加工性が良好で平滑なフィルムに成形しやすく、成形時に機械的強度が低下することがない。
酸化防止剤を含有する酸素吸収剤を得るには、その原料として使用するブロック共重合体環化物に予め酸化防止剤を添加しておいてもよく、酸素吸収剤を調製するときに、酸化防止剤を配合してもよい。
これらの添加剤は、酸素吸収剤の分野で従来公知のものの中から、目的に応じて、適宜選択し、適量配合することができる。
また、添加剤の配合方法は、特に制限されず、酸素吸収剤を構成する各成分を、溶融混練したり、溶液状態で混合した後に溶媒を除去したりすることにより行なうことができる。
このような遷移金属塩としては、特表2001−507045号公報、特開2003−71992号公報及び特表2003−504042号公報等に例示されたものが挙げられ、オレイン酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)等が好ましく、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)がより好ましく例示される。
前記遷移金属塩の配合量は、通常、酸素吸収剤全量の10〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、より好ましくは50〜5,000ppmである。
光開始剤としては、特表2003−504042号公報に例示されているベンゾフェノン類、アセトフェノン類、アントラキノン類等が挙げられる。
光開始剤を配合する場合の配合量は、通常、酸化吸収剤全量の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
フィルムの厚みは、通常、10μm以上、250μm未満であり、シートの厚みは、通常、250μm以上、3mm未満である。
粉体の数平均粒子径は、通常、1〜1,000μm、好ましくは10〜500μmである。
シート又はフィルムの場合、例えば、溶液キャスト法により成形したり、単軸又は多軸の溶融押出機を用い、T−ダイ、サーキュラーダイ等所定形状のダイを通して押出成形したりすることにより成形できる。勿論、圧縮成形法、射出成形法等を採用することも可能である。
粉体の場合、例えば、酸素吸収剤に含有されるブロック共重合体環化物のTg未満の温度雰囲気下で、酸素吸収剤を粉砕することにより、粉体状の酸素吸収剤を得ることができる。
更に、ブロー成形法、射出成形法、真空成形法、圧空成形法、張出成形法、プレグアシスト成形法、粉体成形法を用いて、所望の形状に成形することもできる。
また、各特性の評価は以下のように行なった。
(1)重合体の重量平均分子量
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算値で示す。
(2)重合体中のスチレン単位含量
重合体のスチレン単位含量(%)は、1H−NMR分析により求める。
不飽和結合減少率は、下記(i)及び(ii)の文献に記載された方法を参考にして、プロトンNMR測定により求める。
(i) M.a.Golub and J.Heller.Can.J.Chem,41,937(1963).
(ii) Y.Tanaka and H.Sato,J.Polym.Sci: Poly.Chem.Ed.,17,3027(1979).
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は、下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
(4)共役ジエン重合体環化物の環化率
共役ジエン重合体の環化の程度は、環化率によっても評価することができる。
環化率は、上記(i)の文献に記載された方法に準じて、プロトンNMR測定により求める。
フーリエ変換赤外スペクトルにより、酸無水物基のピーク強度(1760〜1780cm−1)及びカルボキシル基のピーク強度(1700cm−1)を測定して、検量線法により酸無水物基及びカルボキシル基の含有量を求める。全重合体100gに対する含有量(ミリモル)で示す。
(6)フィルム状の酸素吸収剤における酸素吸収量
厚みが12μmの外層ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/厚みが20μmの中間層アルミニウム箔(Al)/厚みが30μmの内層ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる袋に、200ミリリットルの空気と共にフィルム状の酸素吸収剤を密封する。これを、25℃で一定期間放置した後、袋内の酸素濃度を酸素濃度計(Neutronics社製 酸素分析計 HS−750)を用いて、測定する。この結果から、フィルム状の酸素吸収剤1m2(表面積換算)が吸収した1日あたりの酸素容積を求める。
厚みが100〜120μmのフィルム状の酸素吸収剤を用いて、JIS K 7127に従い、50mm/分の引張速度で引っ張り、フィルム状の酸素吸収剤の引張強さを求める。
酸素吸収させる前及びフィルム状の酸素吸収剤が自重の5重量%の酸素を吸収した時点でのフィルム状の酸素吸収剤の引張強さを測定し、前者の引張強さに対する後者の引張強さの保持率を計算し、以下の基準で判定する。
○:保持率70%を超える。
△:保持率が50〜70%である。
×:保持率が50%未満である。
JIS K 7128−3に従い、厚さ100μmの試験片について、試験機としてインストロン5566(インストロン社製)を用いて、23℃で測定した。なお、測定繰返し回数は5である。
厚みが12μmの外層ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/厚みが20μmの中間層アルミニウム箔(Al)/厚みが30μmの内層ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる袋に、200ミリリットルの空気と共に粉体状の酸素吸収剤を密封する。これを、30℃で一定期間放置した後、袋内の酸素濃度を酸素濃度計(Neutronics社製 酸素分析計 HS−750)を用いて、測定する。この結果から、粉体状の酸素吸収剤1gが吸収した1日あたりの酸素容積を求める。
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8,000g、スチレン320g、n−ブチルリチウム(1.56モル/リットル濃度のヘキサン溶液)19.9ミリモルを仕込み、内温を60℃に昇温して30分間重合させた。スチレンの重合転化率は、ほぼ100%であった。重合溶液の一部を採取し、得られたポリスチレンの重量平均分子量を測定したところ、14,800であった。
次いで、内温が75℃を超えないように制御しながら、イソプレン1,840gを、60分間に亘り、連続的に添加した。添加終了後、70℃で、更に1時間反応させた。この時点の重合転化率は、ほぼ100%であった。
上記の重合溶液に、β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩の1%水溶液0.362gを添加して、重合反応を停止して、ポリスチレンブロックとポリイソプレンブロックとからなるジブロック構造のスチレン−イソプレンブロック共重合体aを得た。この一部を採取し、重量平均分子量を測定したところ、178,000であった。
この溶液1,000部に対して、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.105部を添加した後、120℃で、攪拌しながら溶媒を留去し、固形分濃度が85重量%になった時点で、200℃に昇温し、更に減圧下で、溶媒を完全に除去して、ブロック共重合体環化物Aを得た。
ブロック共重合体環化物Aのスチレン単位含量、不飽和結合減少率及び重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1には、環化率も併せて示した。
製造例1で得たブロック共重合体環化物Aを含有する溶液1,000部を攪拌しながら、120℃で、固形分濃度が80重量%になるまで、溶媒を留去した。次いで、この溶液に、無水マレイン酸5.25部を添加し、160℃で、1時間付加反応を行った。その後、160℃で、未反応の無水マレイン酸と溶媒を除去し、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.105部を添加した後、それを、四弗化エチレン樹脂被覆を施した容器に流延した。75℃で、減圧乾燥して、無水マレイン酸を付加させたブロック共重合体環化物Bを得た。
ブロック共重合体環化物Bのスチレン単位含量、不飽和結合減少率、極性基含有量及び重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1には、環化率も併せて示した。
製造例1で得たスチレン−イソプレンブロック共重合体aの溶液1,000部(固形分濃度=20.9%)を攪拌しながら、120℃で、固形分濃度が80重量%になるまで、溶媒を留去した。これに、無水マレイン酸5.23部を添加し、160℃で、1時間付加反応を行った。その後、160℃で、未反応の無水マレイン酸と溶媒を除去し、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.105部を添加した後、それを、四弗化エチレン樹脂被覆を施した容器に流延した。75℃で、減圧乾燥して、無水マレイン酸を付加させたブロック共重合体cを得た。
ブロック共重合体cのスチレン単位含量、不飽和結合減少率、極性基含有量及び重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1には、環化率も併せて示した。
ブロック共重合体環化物Aを、窒素雰囲気下で、120℃で圧縮成形して、厚みが120μmのフィルム状の酸素吸収剤1を作製した。100mm×100mmの寸法に裁断した厚さ120μmのフィルム状の酸素吸収剤1を、150mm×220mmの寸法の、厚みが12μmの外層ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/厚みが20μmの中間層アルミニウム箔(Al)/厚みが30μmの内層ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる袋に、200ミリリットルの空気と共に密封した。これを、25℃で1日間放置した後、袋内の酸素濃度を酸素濃度計で測定した。その結果から、フィルム状の酸素吸収剤1の酸素吸収量を求めた。結果を表2に示す。また、酸素吸収前後におけるフィルム状の酸素吸収剤の引張強さを測定し、その保持率を求めた。その結果を表2に示す。
なお、フィルム状の酸素吸収剤の引裂強さは95.9N/mmであった。
ブロック共重合体環化物Aに代えて、ブロック共重合体環化物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、フィルム状の酸素吸収剤2を得た。実施例1と同様にして、その酸素吸収量及び引張強さの保持率の測定を行った。その結果を表2に示す。
窒素雰囲気下で、ブロック共重合体環化物Aの30%トルエン溶液を調製した。これに、ブロック共重合体環化物Aに対してコバルト金属が200ppmになる量のネオデカン酸コバルトを添加した。この溶液からトルエンの一部を留去した後、真空乾燥を行って、トルエンを除去して、ネオデカン酸コバルトを含有するブロック共重合体環化物Aからなる酸素吸収剤3を得た。
酸素吸収剤1に代えて、酸素吸収剤3を用いる以外は、実施例1と同様にして、酸素吸収量及び引張強さの保持率の測定を行った。その結果を表2に示す。
ブロック共重合体環化物Aに代えてブロック共重合体環化物Bを用いる以外は、実施例3と同様にして、酸素吸収剤4を得た。
酸素吸収剤1に代えて、酸素吸収剤4を用いる以外は、実施例1と同様にして、酸素吸収量及び引張強さの保持率の測定を行った。その結果を表2に示す。
ブロック共重合体環化物Aとメルトフローレート(MFR)6.4のポリプロピレン(PP)(出光石油化学社製、F−744NP)とを80/20の割合でヘンシェルミキサーを用いて混合後、210℃に設定された2軸押出機によって溶融混練し、ペレット化してポリマー混合物を作製した。ペレットを180℃の電熱ロールでシート状に成型し、160℃で圧縮成形して、厚みが120μmのフィルム状の酸素吸収剤5を作製した。このフィルム状の酸素吸収剤5を100mm×100mmの寸法に裁断し、150mm×220mmの寸法の、厚みが12μmの外層ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/厚みが20μmの中間層アルミニウム箔(Al)/厚みが30μmの内層ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる袋に、200ミリリットルの空気と共に密封した。次いで、25℃で1日間放置した後、袋内の酸素濃度を酸素濃度計で測定し、その結果から、フィルム状の酸素吸収剤5の酸素吸収量を求めた。また、酸素吸収前後における引張強さを測定し、その保持率を求めた。これらの結果を表2に示す。
なお、フィルム状の酸素吸収剤の引裂強度は159.5N/mmであり、実施例1の結果と比較すると、ポリプロピレンの併用により引裂強さが向上したことが分かる。
ブロック共重合体環化物AとMFR2.0のポリエチレン(PE)(出光石油化学社製、LLDPE 0234)とを45/55の割合でヘンシェルミキサーを用いて混合した後、200℃に設定された2軸押出機によって溶融混練し、ペレット化したポリマー混合物を作成した。ペレットを180℃の電熱ロールでシート状に成型し、160℃で圧縮成形して、厚みが120μmのフィルム状の酸素吸収剤6を作製した。このフィルム状の酸素吸収剤6を100mm×100mmの寸法に裁断し、150mm×220mmの寸法の、厚みが12μmの外層ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/厚みが20μmの中間層アルミニウム箔(Al)/厚みが30μmの内層ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる袋に、200ミリリットルの空気と共に密封した。次いで、25℃で1日間放置した後、袋内の酸素濃度を酸素濃度計で測定し、その結果から、フィルム状の酸素吸収剤5の酸素吸収量を求めた。また、酸素吸収前後における引張強さを測定し、その保持率を求めた。これらの結果を表2に示す。
なお、フィルム状の酸素吸収剤の引裂強度は148.6N/mmであり、実施例1の結果と比較すると、ポリエチレンの併用により引裂強さが向上したことが分かる。
ブロック共重合体環化物Aに代えて、ブロック共重合体cを用いる以外は、実施例1と同様にして、フィルム状の酸素吸収剤C1を得た。実施例1と同様にして、その酸素吸収量及び引張強さの保持率の測定を行った。その結果を表2に示す。
β−ピネン重合体(YSレジンPXN−1150N;ヤスハラケミカル社製)の20%トルエン溶液を調製した後、メタノールで沈殿精製して、酸化防止剤を除去したβ−ピネン重合体を得た。
ブロック共重合体cに代えて、酸化防止剤を除去した上記β−ピネン重合体を用いる以外は、比較例1と同様にして、フィルム状の酸素吸収剤C2を得た。実施例1と同様にして、その酸素吸収量及び引張強さの保持率の測定を行った。その結果を表2に示す。
特表2003−504042号公報の実施例16に従い、シクロペンテン(CPE)単位含有量が15.5モル%であるエチレン−シクロペンテン(CPE)共重合体(重量平均分子量=83,500)を得た。
窒素雰囲気下で、前記エチレン−CPE共重合体の30%トルエン溶液を調製し、それを厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布・乾燥して、厚みが120μmのエチレン−CPE共重合体のフィルムを形成した。ポリエチレンテレフタレートフィルムから、エチレン−CPE共重合体のフィルム(フィルム状の酸素吸収剤C3)を剥離し、100mm×100mmに裁断した試験片を得た。このフィルム状の酸素吸収剤C3を用いて、実施例1と同様にして、酸素吸収量及び引張強さの保持率を測定した。その結果を表2に示す。
ブロック共重合体環化物Aに代えてブロック共重合体cを用いる以外は、実施例3と同様にして、フィルム状の酸素吸収剤C4を得た。実施例1と同様にして、その酸素吸収量及び引張強さの保持率の測定を行った。その結果を表2に示す。
β−ピネン重合体(YSレジンPXN−1150N;ヤスハラケミカル社製)の20%トルエン溶液を調製した後、メタノールで沈殿精製して、酸化防止剤を除去したβ−ピネン重合体を得た。
このβ−ピネン重合体の30%トルエン溶液を窒素雰囲気下で調製し、それにβ−ピネン重合体に対してコバルト金属が1,000ppmになる量のネオデカン酸コバルトを添加した。この溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布・乾燥して、厚み120μmのβ−ピネン重合体フィルム(フィルム状の酸素吸収剤C5)を形成した。ポリエチレンテレフタレートフィルムから、β−ピネン重合体フィルムをきれいに剥離することができなかったので、そのまま、100mm×100mmに裁断し、その試験片を用いて、実施例1と同様にして、酸素吸収量を測定した。但し、該β−ピネン重合体フィルム(フィルム状の酸素吸収剤C5)の表面積は、片面のみとして計算した。その結果を表2に示す。
引張強さを測定できる程度のβ−ピネン重合体フィルム(フィルム状の酸素吸収剤C5)を剥離することは可能であったので、このフィルム状の酸素吸収剤の引張強さの保持率を、実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
特表2003−504042号公報の実施例16に従い、シクロペンテン(CPE)単位含有量が15.5モル%であるエチレン−シクロペンテン(CPE)共重合体(重量平均分子量=83,500)を得た。
このエチレン−CPE共重合体の30%トルエン溶液を窒素雰囲気下で調製し、それにエチレン−CPE共重合体に対してコバルト金属が1,000ppmになる量のネオデカン酸コバルトを添加した。その溶液を、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布・乾燥して、厚み120μmのエチレン−シクロペンテン共重合体フィルム(フィルム状の酸素吸収剤C6)を形成した。ポリエチレンテレフタレートフィルムから、このエチレン−CPE共重合体フィルム(フィルム状の酸素吸収剤C6)を剥離し、100mm×100mmに裁断した試験片を得た。この試験片を用いて、実施例1と同様にして、酸素吸収量及び引張強さの保持率を測定した。その結果を表2に示す。
ブロック共重合体環化物Bを、窒素雰囲気下で、ラボブレンダー(WARING BLENDOR モデル34BL97:WARING COMMERCIAL製)を用いて、微粉砕して数平均粒子径が150μmの粉体状の酸素吸収剤7を得た。
粉体状の酸素吸収剤7の2gを、150mm×220mmの寸法の、厚みが12μmの外層ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/厚みが20μmの中間層アルミニウム箔(Al)/厚みが30μmの内層ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる袋に、200ミリリットルの空気と共に密封した。これを、30℃で1日間放置した後、袋内の酸素濃度を酸素濃度計で測定した。その結果から、粉体状の酸素吸収剤7の酸素吸収量を求めたところ、12ml(O2)/g・日であった。
無水マレイン酸が付加した、スチレン−イソプレンブロック共重合体を用い、コバルト塩を含有しない酸素吸収剤(C1)は、酸素吸収性及び引張強さの保持率に劣り(比較例1)、これにコバルト塩を含有させることにより得た酸素吸収剤(C4)は、酸素吸収性は向上するものの不十分であり、引張強さの保持率にも劣る(比較例4)。
β−ピネン重合体を用い、コバルト塩を含有しない酸素吸収剤(C2)は、酸素吸収性及び引張強さの保持率に劣り(比較例2)、これにコバルト塩を含有させることにより得た酸素吸収剤(C5)は、酸素吸収性は向上するものの、引張強さの保持率に劣る(比較例5)。
エチレン−シクロペンテン共重合体を用い、コバルト塩を含有させない酸素吸収剤(C3)は、酸素吸収性に劣り(比較例3)、これにコバルト塩を含有させることにより得た酸素吸収剤(C6)は、酸素吸収性は若干向上するものの不十分である(比較例6)。
また、本発明の酸素吸収剤は、粉体の形態でも、優れた酸素吸収性を示す(実施例7)。
Claims (11)
- 少なくとも1つの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物を有効成分とする酸素吸収剤。
- 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物が、ただ1つの芳香族ビニル重合体ブロックとただ1つの共役ジエン重合体環化物ブロックとからなるものである請求項1に記載の酸素吸収剤。
- 共役ジエン重合体環化物ブロックの不飽和結合減少率が10%以上である請求項1又は2に記載の酸素吸収剤。
- 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物の重量平均分子量が10,000〜1,000,000である請求項1〜3のいずれかに記載の酸素吸収剤。
- 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物の芳香族ビニル単量体単位含量が1〜90重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の酸素吸収剤。
- 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物が極性基を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の酸素吸収剤。
- 極性基の含有量が、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体環化物100g当たり0.1〜200ミリモルである請求項6に記載の酸素吸収剤。
- 更に熱可塑性樹脂を含有してなる請求項1〜7のいずれかに記載の酸素吸収剤。
- 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリビニルアルコール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項8に記載の酸素吸収剤。
- 500ppm以下の酸化防止剤を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の酸素吸収剤。
- フィルム、シート又は粉体の形態を有する請求項1〜10のいずれかに記載の酸素吸収剤。
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