JP4872240B2 - 容器用蓋 - Google Patents
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Description
また例えば、特許文献2には、飲料や化粧品等、酸化に弱い内容物を保存するための保存容器に用いられる脱酸素機能を有するキャップが提案されており、特許文献3には、王冠のライナーに脱酸素剤を練り込む方法が提案されている。またさらに、特許文献4および5には、脱酸素剤を含有する脱酸素機能を有するシートあるいはフィルムを、保存容器蓋やキャップの一部分に利用する方法が開示されている。これらの方法によれば、容器内の酸素や、内容物に含まれる酸素(溶存酸素)を脱酸素剤によって吸収することができ、内容物が酸化されることを抑制することができる。
1. 口部を有する容器を密封するために用いられる容器用蓋であって、
蓋基材と、前記蓋基材上の前記容器内に保存される内容物と対向する側に形成され、共役ジエン重合体環化物を含有する酸素吸収性樹脂層と、前記酸素吸収性樹脂層上の前記容器内に保存される内容物と対向する側に形成された酸素透過性樹脂層と、を有することを特徴とする容器用蓋。
2. 前記共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率が10%以上であることを特徴とする前記1に記載の容器用蓋。
3. 前記酸素吸収性樹脂層と蓋基材との間にガスバリア材層を有することを特徴とする前記1または2に記載の容器用蓋。
また、本発明の容器用蓋は、上記酸素吸収性樹脂層に共役ジエン重合体環化物が用いられていることから、容器内に水分が存在しない場合であっても、酸素吸収性樹脂層が酸素吸収性能を発揮することができる。
さらに、本発明の容器用蓋は、酸素吸収性樹脂層のうち、容器内に保存される内容物と対向する側の面に酸素透過性樹脂層が形成されていることから、内容物と酸素吸収樹脂層とが直接接触することがないものとすることができ、酸素吸収性樹脂層中の成分が容器の内容物に溶出するおそれがないものとすることができるという利点も有している。
以下、本発明の酸素吸収機能を有する容器用蓋について詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる酸素吸収性樹脂層について説明する。本発明に用いられる酸素吸収性樹脂層は、後述する蓋基材の容器内容物と対向する側に形成されるものであって、少なくとも共役ジエン重合体環化物が含有されているものである。このような酸素吸収性樹脂層は、容器内に存在する酸素、または容器内容物中の溶存酸素を吸収する役割、または容器外部から侵入する微量の酸素を吸収する役割を果たす。
ここで、本発明で用いられる共役ジエン重合体環化物は、酸触媒の存在下、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分を環化反応させて得られるものである。なお、本発明においては、共役ジエン重合体環化物が極性基を含有していてもよい。
極性基の含有量は、特に制限されないが、極性基を含有する共役ジエン重合体環化物100g当たり、通常、0.1〜200ミリモル、好ましくは1〜100ミリモル、より好ましくは5〜50ミリモルの範囲である。この含有量が少なすぎても多すぎても、酸素吸収性が劣る傾向にある。
使用できる共役ジエン単量体は、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましい。
中でも、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと少なくとも一つの共役ジエン重合体ブロックとを有してなるブロック共重合体が好ましい。
環化反応に用いられる酸触媒としては、従来公知のものが使用でき、例えば、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物又はアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムジクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化物;等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく、p−トルエンスルホン酸及びその無水物がより好ましく使用できる。
酸触媒の使用量は、共役ジエン重合体100重量部当たり、通常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。
炭化水素溶媒は、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されない。その具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;等が挙げられる。これらの炭化水素溶媒を共役ジエン単量体の重合反応に用いた場合は、その重合溶媒をそのまま環化反応の溶媒として用いることもでき、この場合は、重合反応が終了した重合反応液に酸触媒を添加して、環化反応を行うことができる。 炭化水素溶媒の使用量は、共役ジエン重合体の固形分濃度が、通常、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%となる範囲である。
この付加反応は、共役ジエン重合体環化物と極性基含有エチレン性不飽和化合物とを、必要に応じてラジカル発生剤の存在下に、反応させることによって行われる。ラジカル発生剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシドベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド等のパーオキシド類;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類;等が挙げられる。
また、上記付加反応においては、反応温度は、通常、30〜250℃、好ましくは60〜200℃であり、反応時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
このとき、極性基含有エチレン性不飽和化合物の使用量は、適宜選択されるが、付加反応により導入された極性基と付加前に共役ジエン重合体環化物が有していた極性基との合計が、極性基含有共役ジエン重合体環化物100g当たり、通常、0.1〜200ミリモル、好ましくは1〜100ミリモル、より好ましくは5〜50ミリモルとなるような範囲である。
このとき、極性基含有エチレン性不飽和化合物の使用量は、適宜選択されるが、得られる付加物を環化反応した後、極性基の割合が、極性基含有共役ジエン重合体環化物100g当たり、通常、0.1〜200ミリモル、好ましくは1〜100ミリモル、より好ましくは5〜50ミリモルとなるような範囲である。
なお、共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、環化反応の際の酸触媒量、反応温度及び反応時間等を適宜選択して調節することができる。
また、共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、不飽和結合減少率の異なる共役ジエン重合体環化物をブレンドして、その平均不飽和結合減少率を好ましい範囲に調節したものとしてもよい。
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は、下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量が低すぎると、フィルムに成形し難く、機械的強度が低くなる傾向にある。共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量が高すぎると、環化反応する際の溶液粘度が上昇して、取り扱い難くなると共に、押出成形時の加工性が低下する傾向にある。
共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量は、原料として用いる共役ジエン重合体の重量平均分子量を適宜選択して調節することができる。
但し、酸化防止剤の添加量が多すぎると酸素吸収性を低下させるので、加工時の安定性を考慮しながら、添加量を適宜調節することが肝要である。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ビタミンE、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス〔3‐(3,5−ジ−t−ブチル−4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス−(6−t−ブチル−p−クレゾール)、1,3,5-トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等を挙げることができる。
これらの酸化防止剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また本発明に用いられる酸素吸収性樹脂層には、共役ジエン重合体環化物以外のポリマー材料を配合することが好ましい。本発明の酸素吸収性樹脂層に、共役ジエン重合体環化物以外のポリマー材料を配合することにより、酸素吸収後の引張強度が向上する。
使用しうる共役ジエン重合体環化物以外のポリマー材料は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂と各種ゴムとを併用することも可能である。
共役ジエン重合体環化物以外のポリマー材料は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
共役ジエン重合体環化物と共役ジエン重合体環化物以外のポリマー材料とを含有してなる酸素吸収性樹脂層において、共役ジエン重合体環化物の含有量は、共役ジエン重合体環化物100〜10重量%が好ましく、90〜20重量%がより好ましく、85〜30重量%が更に好ましく、80〜50重量%が特に好ましい。上記範囲内において、酸素吸収性と引張強度とのバランスが良好に保たれ、共役ジエン重合体環化物の割合が高い程、酸素吸収性が良好なものとなる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、密度0.925〜0.930g/cm3未満の低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン単独重合体;エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分又は完全鹸化物等のその他のエチレン共重合体;これらのポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン樹脂;等を挙げることができる。
本発明の酸素吸収性樹脂層は、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤としては、共役ジエン重合体環化物に配合できるものと同様のものを使用できる。
本発明の酸素吸収性樹脂層中の酸化防止剤の含有量は、通常3000ppm以下、好ましくは10〜2000ppmの範囲内、より好ましくは50〜1500ppmの範囲内である。この含有量が多すぎると、酸素吸収性を低下させる傾向にある。
前記酸化防止剤を含有する酸素吸収性樹脂層は、押出成形時の加工性が良好で平滑なフィルムに成形しやすく、成形時に機械的強度が低下することがない。
酸化防止剤を含有する酸素吸収性樹脂層を得るには、その原料として使用する共役ジエン重合体環化物に予め酸化防止剤を添加しておいてもよく、酸素吸収性樹脂層を調製するときに、酸化防止剤を配合してもよい。
これらの添加剤は、酸素吸収性樹脂層の分野で従来公知のものの中から、目的に応じて、適宜選択し、適量配合することができる。
また、添加剤の配合方法は、特に制限されず、酸素吸収性樹脂層を構成する各成分を、溶融混練したり、溶液状態で混合した後に溶剤を除去したりすることにより行うことができる。
このような遷移金属塩としては、特表2001−507045号公報、特開2003−71992号公報及び特表2003−504042号公報等に例示されたものが挙げられ、オレイン酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)等が好ましく、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)がより好ましい。
上記遷移金属塩の配合量は、通常、酸素吸収性樹脂層の10〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、より好ましくは50〜5,000ppmである。
光開始剤としては、特表2003−504042号公報に例示されているベンゾフェノン類、アセトフェノン類、アントラキノン類等が挙げられる。
光開始剤の配合量は、通常、酸素吸収性樹脂層の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
本発明に用いられる酸素透過性樹脂層は、上述した酸素吸収性樹脂層上に積層されるものであり、容器に保存される内容物と対向する側に形成されるものである。このような酸素透過性樹脂層は、容器内の内容物と酸素吸収性樹脂層とを隔離する隔離層としての役割を果たす。また、この酸素透過性樹脂層は、容器中の酸素を、酸素吸収性樹脂層に効率よく吸収させるために、酸素を効率よく透過させるものとされる。
ポリオレフィン類としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレンに例示される各種ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体に例示される各種ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、各種ポリエチレンを主成分としたものが取り扱い性の面から特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる蓋基材は、容器用蓋を構成する基材となるものであり、賦型性、耐屈曲性、剛性、強度等を持たせるものである。このような蓋基材は、ガスバリア性を有していてもよく、また有していなくてもよいが、ガスバリア性を有していない場合には、通常、後述するガスバリア材層が形成されることとなる。
またさらに、蓋基材をペットボトル用のキャップと同様の構造を有するものとする場合には、原材料として、ポリエチレンやポリプロピレン等を用いることができ、例えば食品等の保存容器用の密封蓋等と同様の構造を有するものとする場合には、原材料としてシリコンゴムやウレタンゴム、スチレン-ジエンブロック重合ゴム等のゴム系材料、あるいは軟質ポリエチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡塩化ビニル樹脂等のプラスチック材料を用いること等ができる。
本発明の容器用蓋は、必要に応じて適宜ガスバリア材層を有することが好ましい。このようなガスバリア材層は、容器用蓋の外部から酸素が侵入することを遮断する役割を果たすものであり、容器内容物の酸化劣化をより長期的に抑制することが可能となる。
本発明の酸素吸収機能を有する容器用蓋は、蓋基材と、上記蓋基材の容器内容物と対向する側に形成された酸素吸収性樹脂層と、上記酸素吸収性樹脂層の容器内容物と対向する側に形成された酸素透過性樹脂層を有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて例えばガスバリア材層や、接着層等、他の層を適宜有していてもよい。
重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
不飽和結合減少率は、下記(i)及び(ii)の文献に記載された方法を参考にして、プロトンNMR測定により求める。
(i) M.A.Golub and J.Heller.Can.J.Chem,41,937(1963).
(ii) Y.Tanaka and H.Sato,J.Polym.Sci: Poly.Chem.Ed.,17,3027(1979).
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は、下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン233部、スチレン25部、nーブチルリチウム0.113部(1.56モル/リットル濃度のヘキサン溶液で添加)を仕込み、内温を60℃に昇温させて30分間重合させた。スチレンの重合転化率は、ほぼ100%であった。次いで、内温が75℃を超えないように制御しながら、イソプレン75部を60分間に亘り、連続的に添加した。添加終了後、70℃でさらに1時間反応させた。この時点の重合転化率はほぼ100%であった。
上記の重合溶液に、β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.016部を(1%水溶液で)添加して、重合反応を停止して、ポリスチレンブロックとポリイソプレンブロックとからなるジブロック構造の共役ジエン重合体Aを得た。この一部を採取し、重量平均分子量を測定したところ、78,000であった。
引き続き、上記の重合体溶液に、p−トルエンスルホン酸(トルエン中で、水分量が150ppm以下になるように、還流脱水したもの。)1.01部を添加し、75℃で、6時間環化反応を行った。その後、炭酸ナトリウム0.391部を含む炭酸ナトリウム25%水溶液を添加して、環化反応を停止し、80℃で30分間攪拌した。80℃で共沸還流脱水により水を除去した後、孔径2μmのガラス繊維フィルターにて系中の触媒残渣を除去した。
得られた重合体環化物の溶液に、重合体環化物に対して、300ppmに相当する量の酸化防止剤(商品名:イルガノックス1076、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)および600ppmに相当する酸化防止剤(商品名:アデカスタブHP−10、旭電化工業(株)製)を添加した後、溶液中のシクロヘキサンの一部を留去し、さらに真空乾燥を行って、トルエンを除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物AKを得た。得られた共役ジエン重合体環化物AKを単軸混練押出し機(ダイスΦ3mm×1穴)にて丸ペレ化(ペレットak)した。共役ジエン重合体環化物AKの不飽和結合減少率は50%、重量平均分子量は73,000であった。
混練機としては、池貝単軸混練押出機(40Φ、L/D=25)を用い、混練条件は、シリンダ1:140℃、シリンダ2:150℃、シリンダ3:160℃、シリンダ4:170℃、ダイス:170℃、回転数25rpmとした。
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた耐圧反応器に、10mm角に裁断したポリイソプレン(シス−1,4−結合単位含有量73%、トランス−1,4結合単位含有量22%、3,4結合単位含有量5%、重量平均分子量144,000)300部を、シクロヘキサン700部とともに仕込んだ。反応器内を窒素置換した後、75℃に加温して攪拌下でポリイソプレンをシクロヘキサンに完全に溶解した後、p−トルエンスルホン酸(トルエン中で、水分量が150ppm以下になるように、還流脱水したもの。)2.85部を投入し、80℃以下で環化反応を行った。7時間反応させた後、炭酸ナトリウム1.1部を含む25%炭酸ナトリウム水溶液を投入して反応を停止した。80℃で、共沸還流脱水により水を除去した後、孔径2μmのガラス繊維フィルターにて系中の触媒残渣を除去した。
得られた重合体環化物の溶液に、重合体環化物に対して、300ppmに相当する量の酸化防止剤(イルガノックス1076:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)及び600ppmに相当する酸化防止剤(アデカスタブHP−10:旭電化工業(株)製)を添加した後、溶液中のシクロヘキサンの一部を留去し、更に真空乾燥を行って、トルエンを除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物BKを得た。得られた共役ジエン重合体環化物BKを製造例1と同じ単軸混練押し出し機(ダイスΦ3mm×1穴)にて丸ペレ化(ペレットbk)した。共役ジエン重合体環化物BKの不飽和結合減少率は61%であり、重量平均分子量は107,000であった。
出口部分にストランドダイを装着した二軸押出機(TEM−35B:東芝機械(株)製)を用いて、平均粒径30μmの還元鉄粉100部に対して塩化カルシウム3部をコーティングした粒状の脱酸素剤40部と低密度ポリエチレン樹脂(LC−600A:日本ポリオレフィン(株)製)60部をスクリュー回転数100rpmで高真空ベントを引きながら、185℃でストランド状に押し出して、目的とする脱酸素性コンパウンドペレットcを作製した。
製造例1で製造したペレットakを、ラボプラストミル単軸押出機にTダイ、二軸延伸試験装置(ともに、(株)東洋精機製作所製)を接続して、幅100mm、厚み50μmのフィルムとなるように押出成形し、酸素吸収性樹脂層とした。同様に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EP−E105B:(株)クラレ社製)樹脂ペレットを幅100mm、厚み20μmのフィルムとなるように押出し成形し、ガスバリア材層とした。さらに、低密度ポリエチレン樹脂(LC−600A:日本ポリオレフィン(株)社製)ペレットを、幅100mm、厚み50μmのフィルムとなるように押出成形し、酸素透過性樹脂層とした。
これらのフィルムをガスバリア材層、酸素吸収性樹脂層、酸素透過性樹脂層の順に重ね合わせ、125℃にて圧着接着させ、積層体を得た。得られた積層体を蓋基材となるペットボトルのキャップの内側に装着できる大きさに打ち抜き、酸素透過性樹脂層が容器内容物と対向する側となるように上記キャップの内側に接着し、容器用蓋を作製した。
製造例1で製造したペレットakの代わりに、製造例2で製造したペレットbkを用いたこと以外は、実施例1と同様に容器用蓋を作製した。
製造例1で製造したペレットakの代わりに、製造例3で製造したペレットcを用いたこと以外は、実施例1と同様に容器用蓋を作製した。
実施例1〜2、および比較例1で作製した容器用蓋で、それぞれ、一定量の空気(100ml)及び窒素(200ml)を入れたペットボトル(内容量300ml)を密封し、25℃で5日間放置した後、ペットボトル内の酸素濃度を測定した。その結果を表1に示す。なお、酸素濃度の測定にはフードチェッカーHS−750:米国セラマテック社製を用いた。また、保存前の酸素濃度は、7.1%であった。
2 …蓋基材
3 …酸素吸収性樹脂層
4 …酸素透過性樹脂層
5 …ガスバリア材層
Claims (2)
- 口部を有する容器を密封するために用いられる容器用蓋であって、
蓋基材と、前記蓋基材上の前記容器内に保存される内容物と対向する側に形成され、共役ジエン重合体環化物を含有する酸素吸収性樹脂層と、前記酸素吸収性樹脂層上の前記容器内に保存される内容物と対向する側に形成された酸素透過性樹脂層と、を有し、
前記共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率が10%以上であることを特徴とする容器用蓋。 - 前記酸素吸収性樹脂層と蓋基材との間にガスバリア材層を有することを特徴とする請求項1に記載の容器用蓋。
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