JP2005303013A - フィルム状太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 薄型、軽量でかつフレキシビリティに富み、高い光電変換効率を有するフィルム状太陽電池を提供すること。
【解決手段】 フィルム基材上に半導体からなる光電変換層を含む積層体が形成されてなるフィルム状太陽電池であって、上記フィルム基材がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重縮合してなるポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムからなる、フィルム状太陽電池。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子フィルムからなる基材を有するフィルム状太陽電池に関する。
従来の太陽電池としては、単結晶シリコンを加工して作製されるもの、アモルファスシリコン太陽電池に代表される薄膜太陽電池、厚膜半導体を基材上に印刷積層して作製されるものなどが知られている。太陽電池の基本的な構成として、基材上に、電極層、光電変換層、(透明)電極層を順次形成してなる構成が挙げられる。光電変換層は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換するよう構成された層(積層構造である場合を含む)であり、シリコン系半導体などといった半導体からなることが多い。薄膜太陽電池や厚膜半導体用の基材としてはステンレス板や可撓性基材が挙げられる。軽量化、フレキシブル化を目的として有機基材を用いて薄膜太陽電池、厚膜太陽電池を形成する試みは古くから行われている。試みられた太陽電池としては、例えば、繊維布帛基材表面に金属箔が貼り合わされ、その金属箔上に非晶質シリコン薄膜が形成されてなる太陽電池がある(特許文献1参照)。
薄膜半導体を形成する時にフィルム基材に加わる熱応力を緩和するために、太陽電池の製造時にフィルム基材の他にさらに支持基材を用いる製法が提案される。この製法は、支持基材上に、後にフィルム基材となる耐熱ベース基材を設けること、その後に、耐熱ベース基材の上に、両面に電極層が積層されてなるアモルファスシリコン層を形成すること、その後に、耐熱ベース基材を支持基材から剥離することを含む薄膜太陽電池の製法である(特許文献2参照)。
上記の他、フィルム基材そのものの耐熱性を改善することを目的として、特定の組成、特定の物性を示す耐熱性フィルムを基材に用いて薄膜太陽電池を作製することが提案されている(特許文献3〜6参照)。
特開平5−308143号公報 特開平5−315630号公報 特開平11−29645号公報 特開平11−245291号公報 特開2001−127327号公報 特開2002−265643号公報
太陽電池の形成ではしばしば基材を高温下に曝すことになる。例えば、薄膜太陽電池を得るために、CVD法などによって良質の薄膜半導体層を得ようとすると、基材は300℃〜450℃の高温に曝される。一般に耐熱性に優れるポリイミドフィルムは、高分子フィルム基材の候補になり得る。しかし、一般的なポリイミドフィルムは、このような高温での弾性率が小さく、また、線膨張係数が高温になるほど顕著に大きくなる。よって、太陽電池用のフィルム基材としては、ポリイミドフィルムが適しているとはいえなかった。このような機械的に優れないフィルムを基材として用いると、薄膜半導体層などを基材上に形成するときに、薄膜半導体層と基材との熱膨脹係数の差に起因する熱応力のせいで基材がカールしたりシワが生じたりする。その結果、用時に薄膜半導体層に曲げ応力が加わり、光電変換効率の低下や太陽電池の耐久性の低下が懸念される。
かかる背景のもと、本発明は、薄型、軽量でかつフレキシビリティに富み、高い光電変換効率を有するフィルム状太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の化学構造を有する耐熱性高分子からなるフィルムを基材に用いることによりその目的を達することを見出した。
(1)フィルム基材上に半導体からなる光電変換層を含む積層体が形成されてなるフィルム状太陽電池であって、上記フィルム基材がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重縮合してなるポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムからなる、フィルム状太陽電池。
(2)上記フィルム基材の膜厚が3〜200μmであり、長手方向の線膨張係数が2〜16ppm/℃であり、長手方向の引張弾性率が5GPa以上であり、長手方向の引張破断強度が300MPa以上である上記(1)記載のフィルム状太陽電池。
(3)上記積層体が薄膜シリコン層を有する上記(1)または(2)記載のフィルム状太陽電池。
(4)上記積層体が無定形シリコン層を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム状太陽電池。
(5)上記積層体が多結晶シリコン層を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム状太陽電池。
(6)上記積層体が厚膜半導体層を有する上記(1)または(2)記載のフィルム状太陽電池。
本発明の太陽電池が有する基材を構成する高分子フィルムは、半導体材料と同様に線膨張係数が低い。よって、半導体に加わる熱ストレスを低減することができる。上記フィルムは、高い弾性率と高い引張り破断強度も有するので、半導体を形成する時に上記フィルムを固定するためにストレスを加えてその後に前記ストレスを開放する場合に、上記フィルムに応力が残留し難く、半導体層に応力を加える懸念が少ない。上記フィルムは、特に薄膜半導体層を形成する際に必要な耐熱性を有するため、良質な半導体層を作成することができる。
本発明のフィルム状太陽電池は、特定の化学構造を有するポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルム基材上に半導体からなる光電変換層を含む積層体が形成されてなる。以下、本発明で用いるポリイミドベンゾオキサゾールについて詳述する。
本発明で用いるフィルム基材に含まれるポリイミドベンゾオキサゾールは、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られる。上述の「反応」は、まず、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液から必要に応じてグリーンフィルムなどを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
<芳香族ジアミン類>
芳香族ジアミン類には、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンおよびその芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基、シアノ基等で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。ここで、上記アルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類は、単独で用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。本発明で用いるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2005303013
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つのアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<芳香族テトラカルボン酸無水物類>
本発明で用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類であり、具体的な例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2005303013
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラムまたはベルト状回転体などが挙げられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸を乾燥してグリーンフィルムを得る条件は特に限定はなく、温度としては70〜150℃が例示され、好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間としては、5〜180分間が例示され、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間である。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。次いで、得られたグリーンフィルムのポリアミド酸をポリイミドベンゾオキサゾールに変換するために、イミド化反応を行わせる。一般には上記乾燥よりも高温での処理によりイミド化反応が進行して、ポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムを得ることができる。
ポリアミド酸をイミド化する方法は従来公知の方法を適宜取り入れることができ、好ましくは、熱閉環方式である。熱閉環法とは、ポリアミド酸を加熱することでイミド化する方法である。ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、前記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を促進しても構わない。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
さらに本発明ではフィルムの生産性、巻き取り性、操作性の向上のために、滑剤を添加することができる。滑剤としては、無機または有機の微粒子を用いることができ、無機微粒子としてはシリカ、アルミナなどといった金属酸化物が挙げられる。好ましく用いることができる滑剤の粒子径は0.01〜10μmの範囲であり、その添加量はフィルム全体の0.001〜1重量%程度の範囲である。
本発明で用いるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
得られたポリイミドベンゾオキサゾールフィルムをそのままフィルム基材として用いてもよい。上記フィルムを表面処理剤や表面活性化剤で処理していない場合には、コロナ放電処理、低温または常圧プラズマ処理、紫外線照射、火炎処理等といった表面処理を施すことが好ましい。
本発明で用いるフィルム基材の膜厚は特に限定はなく、好ましくは3〜200μmである。フィルム基材の膜厚が前記範囲内であれば、柔軟性と機械的強度とを高度に両立し得る。フィルム基材の膜厚は、ポリアミド酸溶液の濃度、ならびに支持体へのコーティング厚みによって調整することができる。
本発明で用いるフィルム基材の長手方向の線膨張係数は、2〜16ppm/℃であることが好ましい。線膨張係数がこの範囲内であれば、太陽電池を構成するための半導体層の線膨張係数と近似するので、太陽電池の製造の際の加熱・冷却の際に寸法変化に伴う残留応力が小さくなる。その結果、光電変換効率の低下を抑制することができるばかりでなく、太陽電池そのものの寿命、信頼性が低下し難くなり、フィルム基材と半導体からなる光電変換層との接着性が良好になる。
長手方向の線膨張係数はフィルムの面配向係数に依存し、面配向係数は、一般に、グリーンフィルム成膜時の昇温プロファイルを調整したり、イミド化と同時にまたはイミド化の前に延伸を施したりすることで制御し得る。たとえば、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を高くするためには、グリーンフィルムに加える熱量を小さくしたり、イミド化反応前、ないし反応中にフィルムを縦方向、横方向、あるいは縦横両方向に延伸したりする手段が挙げられる。逆に、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を低くするためには、グリーンフィルムに加える熱量を高くしたりする手段が挙げられる。さらに、本発明者らは、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)をイミド化する際の加熱条件により、得られるフィルムの面配向係数を制御し得るという新たな知見を見出した。
本発明者らはさらに、X線で測定される面配向係数を制御することがフィルムの線膨張係数を制御することにつながるという知見を得た。この知見は、フィルムを構成する高分子の厚み方向の配向の分布が、フィルム全体の線膨張係数を支配するという思想に基づいている。尚、従来は、屈折率、あるいは赤外線吸収によりフィルムの面配向係数が測定されていた。本発明で用いるフィルム基材は、X線回折法で測定される面配向係数が0.77〜0.92であることが好ましい。フィルムの面配向係数がこの範囲内であれば上述した線膨張係数のものを得ることができる。面配向係数はフィルムを構成する分子の高次構造を表現するパラメーターであって、フィルムを構成する分子のうち、高い秩序性を有する結晶部分において、その構成単位である結晶格子のある特定格子面が、フィルム面に対して配向している程度を数値化したものである。この数値が高いほど、前記特定格子面の向きとフィルム面の向きとの差が小さいことを意味する。本発明では、「ある特定格子面」とは、2θ=21.8°付近の回折ピークを与える格子面である。
本発明で用いるフィルム基材の長手方向の引張弾性率は、好ましくは5GPa以上である。そのような引張弾性率を有するフィルム基材は、外力による変形が生じ難く、結果として、フィルム表面に形成された半導体層などに破断や欠陥が生じ難くなる。長手方向の引張弾性率は7GPa以上がより好ましく、9GPa以上がさらに好ましい。長手方向の引張り弾性率の上限は特に制限されないが、事実上25GPa程度である。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの長手方向の引張弾性率は、分子構造やフィルムの密度によって制御可能である。フィルムの密度はイミド化反応の加熱条件により調整可能である。イミド化の方法としては、熱閉環法による2段階以上の熱処理が好ましく、
1段目の熱処理:150〜250℃で1〜10分間の処理、
2段目の熱処理:400〜600℃で0.1〜15分間の処理、
1段目の熱処理終了後から2段目の熱処理開始までの昇温条件:2〜7℃/秒、
の条件で熱処理することが好ましい。
本発明で用いるフィルム基材の長手方向の引張破断強度は300MPa以上であることが好ましい。そのような引張破断強度を有するフィルム基材は、外力によるフィルム基材や半導体層へのダメージが生じ難い。長手方向の引張破断強度の上限に関しては特に制限されない。フィルム基材の長手方向の引張破断強度とは、フィルム基材を破断に至るまで長手方向に引張るのに要する強度である。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの引張破断強度は、ポリアミド酸の分子量の制御や、グリーンフィルム作製からイミド化工程にいたるまでの、アミド結合の加水分解の程度により調整可能である。
より具体的には、上述したポリアミド酸溶液の還元粘度を1.2以上、好ましくは1.5以上、なお好ましくは1.7以上とし、さらにポリアミド酸溶液を支持体に塗布する時点から、イミド化が完了するまでの間の作業雰囲気の相対湿度を75%RH以下、好ましくは60%RH以下、なお好ましくは不活性ガス雰囲気とすることにより上記引張強度を実現することができる。
上述したフィルム基材の各物性は、後述する実施例の欄に記載する方法によって測定される。
本発明のフィルム状太陽電池は、上述したフィルム基材上に半導体からなる光電変換層を含む積層体が形成されてなる。前記積層体は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層を必須の構成として有し、通常、得られた電気エネルギーを取出すための電極層などをさらに有する。以下、フィルム状太陽電池を構成するよう形成される上記積層体の典型例として、光電変換層を一対の電極層で挟んでなる積層構造を説明する。しかし、本発明で形成される積層構造は以下に記載される態様に限定されず、従来技術の太陽電池が有する積層体の構成を適宜参照してよい。
上記一対の電極層のうちの一つの電極層(以下、裏面電極層とも記載する)は、好ましくは、フィルム基材の一主面上に形成される。裏面電極層は自体公知の方法、例えばCVD(ケミカル・ベ−パ−・デポジション)法やスパッタ法によって、導電性無機材料を積層することによって得られる。導電性無機材料としては、Al、Au、Ag、Cu、Ni、ステンレス鋼などの金属薄膜や、In23、SnO2、ZnO、Cd2SnO4、ITO(In23 にSnを添加したもの)などの酸化物半導体系の導電材料などが挙げられる。裏面電極層の厚さは特に限定はなく、通常、30〜1000nm程度である。好ましくは、裏面電極層は金属箔膜である。
太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層は、半導体からなる層であり、通常は、シリコン系半導体からなる層である。シリコン系半導体には、薄膜シリコン層、無定形シリコン層、多結晶シリコン層などが挙げられる。光電変換層は、異なる半導体からなる複数の層を有する積層体であってもよい。
薄膜シリコン層は、プラズマCVD法、熱CVD法、スパッタリング法、クラスタイオンビーム法、蒸着法などによって得られるシリコン層である。
無定形シリコン層は、実質的に結晶性をもたないシリコンからなる層である。実質的に結晶性をもたないことは、X線を照射しても回折ピークを与えないことによって確かめることができる。無定形シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、例えば、プラズマCVD法や熱CVD法などが含まれる。
多結晶シリコン層は、シリコンからなる微小結晶の集合体からなる層である。上述の無定形シリコン層とは、X線の照射により回折ピークを与えることによって区別される。多結晶シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、無定形シリコンを熱処理する手段などが含まれる。
本発明で用いる光電変換層は、シリコン系半導体層に限られず、例えば、厚膜半導体層であってもよい。厚膜半導体層とは酸化チタン、酸化亜鉛、ヨウ化銅などのペーストから形成される半導体層である。
半導体材料を光電変換層として構成する手段は公知の方法を適宜参照してよい。例えば、200〜500℃の温度下で、SiHにフォスフィン(PH)を添加したガス中で高周波プラズマ放電を行うことで約20nmのa−Si(n層)を形成し、続いてSiHガスのみで約500nmのa−Si(i層)を形成し、続いてSiHにジボラン(B)を添加して、約10nmのp−Si(p層)を形成することができる。
光電変換層を挟む一対の電極層のうち、フィルム基材とは反対側に設けられる電極層(以下、集電電極層ともいう)は、導電フィラーとバインダー樹脂を含む導電性ペーストを固めてなる電極層であったり、透明電極層であったりしてもよい。透明電極層としては、In、SnO、ZnO、CdSnO、ITO(InにSnを添加したもの)などの酸化物半導体系の材料を好ましく用いることができる。
かくして、本発明の好適な態様である、透明電極/p型a−Si/i型a−Si/n型a−Si/金属電極/ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの順で積層されてなるフィルム状太陽電池が得られる。また、p層をa−Si、n層を多結晶シリコンとして、両者の間に薄いアンド−プa−Si層を挿入した構造にしてもよい。特に、a−Si/多結晶シリコン系のハイブリッド型にすると、太陽光スペクトルに対する感度が改善される。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルム基材の厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.フィルム基材の引張弾性率、引張破断強度および破断伸度
測定対象の基材フィルムを、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度及び破断伸度を測定した。
4.フィルム基材の線膨張係数(CTE)
測定対象のフィルム基材について、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向、TD方向の意味は上述のとおりである。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.フィルム基材の融点、ガラス転移温度
測定対象のフィルム基材について、下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温終了温度 ; 600℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.フィルム基材の熱分解温度
測定対象のフィルム基材を充分に乾燥したものを試料として、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、試料の重量が5%減る温度を熱分解温度とみなした。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
7.フィルム基材の面配向係数
測定対象のフィルム基材を測定治具に装着して以下の条件にてX線回折測定を行って、2θ=21.8°付近に現れる回折ピークについての極点図を求めた。
装置名 ;(株)リガク製RINT 2100PC、多目的試料台
電圧、電流値 ;40kV、40mA
測定法 ;反射法および透過法
走査範囲 ;反射法 α;15〜90°/2.5°間隔
β;0〜360°/5°間隔
反射法 α;0〜15°/2.5°間隔
β;0〜360°/5°間隔
スリット ;DS 0.1mm、SS 7mm、RS 7mm、
縦発散制限スリット 1.2mm
走査スピード ;連続(360°/min)
検出器 ;シンチレーションカウンター
図1は、この極点図を模式的に表したものである。図中、2本の破線部における回折強度プロファイルからピーク半値幅(HMDおよびHTD)を求め、HMDおよびHTDの平均値をHa(単位:°)と定義した。尚、ピーク半値幅は、リガク製解析プログラムを用いて求めた。このようにして得られたHaから、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を次式により算出した。
面配向係数 =(180°− Ha)÷180°
8.光電変換特性
変換効率をAM=1に調節したオリエル社のソーラーシュミレータで測定した。
(実施例1〜4)
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、5000重量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、485重量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は2.2であった。
(ポリアミド酸のグリーンフィルムの製造)
このポリアミド酸溶液をステンレスベルトにコーティングして(スキージ/ベルト間のギャップは、650μm)、3つのゾーンを有する連続式の乾燥炉を用いて、表1記載の条件で乾燥した。表1における、「ゾーン1」〜「ゾーン3」は、連続式の乾燥炉の各ゾーンの温度である。各実施例について、フィルムは3つのゾーンを等しい時間通過させ、その合計時間を表1の「総乾燥時間」として記載している。例えば、実施例1で総乾燥時間が30分であることは、各ゾーンを10分間ずつフィルムを通過させたことを意味する。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ40μmのグリーンフィルムを得た。得られたグリーンフィルムに占める残存溶媒の重量を表1の「前駆体フィルム残溶媒率」として記載する。上記残溶媒率の測定は、所定の大きさに切り取ったグリーンフィルムの重量Wおよび490℃で60分間熱処理した後のグリーンフィルムの重量Wをそれぞれ秤量し、次式により残溶媒率を計算した。
残溶媒率=100(%)×(W−W)/W
(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造)
得られたグリーンフィルムを、3つの区画を有し窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、表1記載の条件で加熱を施してイミド化反応を進行させた。表1における、「1段目」〜「3段目」は、連続式の熱処理炉の各区画の温度である。各実施例について、フィルムは3つの区画を等しい時間通過させ、その合計時間を表1の「総熱処理時間」として記載している。例えば、実施例1で総熱処理時間が15分であることは、各区画を5分間ずつフィルムを通過させたことを意味する。その後、5分間で室温にまで冷却して、種々のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。得られた各ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの測定結果を表1に記載する。
(フィルム状太陽電池の製造)
スパッタリング装置でステンレスのターゲットを使用して、上記各フィルム上に厚さ1000nmのステンレス層を形成した。次いで、真空反応器中の対向電極と支持電極の間にステンレス層を形成したフィルムを設置して、反応器内を一旦10-5Torrに排気し、支持電極の温度を350℃に高めた。その後、対向電極と支持電極に30Wの15MHzの高周波電圧を印加しつつ、アルゴンガスを反応器内に導入して1Torrのアルゴン雰囲気下でプレスパッタし、次いで水素ガスで10%に希釈したSiH4、同様に水素ガスで1%に希釈したPH3ガスを同時に導入して、1Torrの雰囲気下で上記ステンレス層上に25nmのn型アモルファスシリコン層を形成した。次いで、SiH4のみを導入して、前記n型アモルファスシリコン層の上に、厚さ500nmのi型アモルファスシリコン層を積層し、さらにSiH4ガス中に1%のB26を含有する混合ガスを導入することで、前記i型アモルファスシリコン層の上に、厚さ25nmのp型アモルファスシリコン層を形成した。
次いでこのpin型アモルファスシリコン層を形成したフィルムを真空蒸着装置内に装着し、電子ビーム法で100nmの厚みの酸化インジウム錫層を蒸着してヘテロ電極層とした。最後にその上に100nmのパラジウム層を櫛形に真空蒸着した。以上のようにして各実施例のフィルム状太陽電池を得た。フィルム状太陽電池の製造工程において、フィルム基材が熱で変形したり、シワが生じたりするなどの問題はなく、平面性の優れた太陽電池が得られた。
(比較例)
上述したポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの代わりに、市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン100EN)をフィルム基材として用いたことの他は実施例と同様にしてフィルム状太陽電池を得た。
各実施例、比較例のフィルム状太陽電池の製造条件、評価結果を表1にまとめる。
Figure 2005303013
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムのX線回折極点図を模式的に表す。

Claims (6)

  1. フィルム基材上に半導体からなる光電変換層を含む積層体が形成されてなるフィルム状太陽電池であって、上記フィルム基材がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重縮合してなるポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムからなる、フィルム状太陽電池。
  2. 上記フィルム基材の膜厚が3〜200μmであり、長手方向の線膨張係数が2〜16ppm/℃であり、長手方向の引張弾性率が5GPa以上であり、長手方向の引張破断強度が300MPa以上である請求項1記載のフィルム状太陽電池。
  3. 上記積層体が薄膜シリコン層を有する請求項1または2記載のフィルム状太陽電池。
  4. 上記積層体が無定形シリコン層を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム状太陽電池。
  5. 上記積層体が多結晶シリコン層を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム状太陽電池。
  6. 上記積層体が厚膜半導体層を有する請求項1または2記載のフィルム状太陽電池。
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