JP3912614B2 - 薄膜積層ポリイミドフィルム薄膜積層ポリイミドフィルムロール及びその利用 - Google Patents

薄膜積層ポリイミドフィルム薄膜積層ポリイミドフィルムロール及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、CVDなどの所謂乾式めっき法で高分子フィルムなどの可撓性基材に種々薄膜を積層形成し、太陽電池、キャパシタ、ディスプレイや他可撓性機能材などの用途に使用される可撓性機能材として用いられる薄膜積層ポリイミドフィルム薄膜積層ポリイミドフィルムロール及びその利用に関する。さらに詳しくは、これらの可撓性機能材を作成する際の基材フィルムとして特定物性のポリイミドフィルムを使用することで、乾式めっき時の高温処理や可撓性機能材として最終製品に組み込まれる際の高温処理又は化学処理において、基材フィルムの耐高温平面維持性によって、得られる可撓性機能材の平面維持性に優れかつその後の処理にも平面維持性を保持するところの薄膜積層ポリイミドフィルムに関する。
ポリイミドフィルムに銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を接着剤で貼り合わせた、いわゆるフィルムと薄膜との積層に比較的高温を使用しないところの方法を用いた、貼り合わせタイプフレキシブルプリント配線基板に用いられる金属化ポリイミドフィルムが知られている。このものは使用する接着剤に起因すると考えられる次のような問題点がある。
まずフィルムより熱的性能が劣ることによる寸法精度低下、不純物イオン汚染による電気特性が低下する欠点があり、高密度配線には限界がある。また接着剤層の厚さ分や、両面用のスルホ−ル穴あけ等の加工性が低下する欠点もある。よって、小型、軽量化対応に極めて不都合な点が多いといえる。
一方、フィルムと薄膜との積層に高温を使用してより薄い薄膜を積層する方法すなわち乾式めっきを用いた、ポリイミドフィルム上に真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ−ティング、CVDなどの乾式めっき法による方法で金属層を形成させた、いわゆる薄膜タイプの接着剤層の無いフレキシブルプリント配線基板用の導電化(金属化)ポリイミドフィルムが提案されている。
近年、これら薄膜積層体である可撓性機能材を使用して、電子機器などに代表される全ての機器が小型化、軽量化の方向にあり、上記の乾式めっきを使用したより薄い薄膜を利用する方法が多用されるようになった。乾式めっきにおいては、より高温のほうが薄膜の基材フィルムへの密着性や薄膜性能向上などが達成され易く、より耐熱性であるポリイミドフィルムが、乾式めっき法でかつ高機能薄膜形成積層に多く使用されている。
たとえば、基材フィルムとして5〜500μmのポリイミドフィルムを用い、そのフィルムの表面に銅スパッタリング法などで銅箔を設けて電極を形成し、この銅箔電極は外部端子として用い、銅箔電極の一部を露出させ、ポリイミドなどで電極保護カバーを形成したフレキシブルフィルムコンデンサ(特許文献1参照)。また、重合体フィルムにプラズマによる金属酸化物をランダム配置させ、次いで金属蒸着層、および金属メッキ層を具備する金属−フィルム積層板の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。また、電気絶縁性支持体フィルム上に25〜150オングストロ−ム(Å)の厚さのクロム/酸化クロムスパッタリング層、1ミクロン未満の厚さの銅スパッタリング層を付与し、前記銅層にフォトレジスト組成物を塗布する回路材料の製造方法が提案されている(特許文献3参照)。また、ポリイミドフィルムにニッケルークロム系の合金層を下地層に用い、さらに銅にて厚付けした金属化フィルムの例示がある(例えば、特許文献4参照)。
特開平09−017691号公報 特開平04−290742号公報 特開昭62−293689号公報 特開2002−252257号公報
また、ポリイミドフィルムとして、酸性分として3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸とp−フェニレンジアミン、p−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)を主鎖に有するポリイミドからなるポリイミド長尺フィルムが提案されている(特許文献5参照)。芳香族テトラカルボン酸成分としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/又はピロメリット酸二無水物を用い、芳香族ジアミン成分として、p−フェニレンジアミンおよび/又はジアミノジフェニルエーテルを用いて重合・脱水させて得たポリイミド長尺フィルムも提案されている(特許文献6参照)。
また、弾性率の高いポリイミド長尺フィルムとして、ベンゾオキサゾール環を主鎖に有するポリイミドからなるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムが提案されている(特許文献7参照)。
さらに、ポリイミド長尺フィルム表裏の配向の比を所定値以下にすることで25℃におけるカールの少ないポリイミド長尺フィルムも提案されている(特許文献8参照)。
特開平09−328544号公報 特開平09−188763号公報 特開平06−056992号公報 特開2000−085007号公報
従来公知のポリイミドフィルムやポリイミドベンゾオキサゾールフィルムからなる基材フィルムの使用は、セラミックからなる基材の使用に比べて劣るうえ、フィルム内の物性差による乾式めっきによる薄膜積層化の際に反りや歪みが生じやすいといった問題があった。またフィルムの反りや歪を解消すべく、延伸下で熱処理すること等により見かけ上のフィルムの反りを軽減する方策が採られていた。しかし、見かけ上のフィルムの反り、即ち顕在化したフィルムの反り等は解消できたとしても、特に電子部品や高機能材として応用される際に高温での加工が必要となるが、かかる高温処理によって潜在的に存在する歪が顕在化してカールが発生するといった問題は解決されていなかった。従って、たとえ見かけ上の反りが少ないフィルムであっても加工する際にカールが生じるフィルムは、薄膜積層フィルムとして生産上の歩留まり低下につながり、また高品質な機能材や電子部品が得難い場合が多かった。
更に、高温処理によるカールの発現とともに重要な課題は、フィルムの長手方向の均質性の問題である。すなわち、潜在的な内部歪が局所的に存在する場合であってもフィルムの生産上の歩留まり低下を招くからである。
本発明は、高機能材の基材として好適である平面性および均質性に優れ、しかも高温処理しても反りやカールの少ない耐熱性に優れたポリイミドフィルムを基材フィルムとして使用した薄膜積層フィルムおよび薄膜積層ポリイミドフィルムロールを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の300℃でのカール度が10%以下であるポリイミドフィルムが太陽電池、キャパシタ、ディスプレイ、反射防止材などの基材フィルムとして使用されたとき、高品質で均一な太陽電池、キャパシタ、ディスプレイ、反射防止材が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に非金属の薄膜が形成されてなることを特徴とする薄膜積層ポリイミドフィルム。
2.フィルムの300℃熱処理後のカール度が8%以下であることを特徴とする上記1記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
3.非金属の薄膜が乾式めっき法により形成されてなることを特徴とする上記1又は2のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
4.少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基と芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基と溶媒とからなる溶液を支持体上に塗膜形成し、次いで、支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥し、次いで熱処理を経てポリイミドフィルムとなし、当該ポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に非金属の薄膜を積層形成することを特徴とする薄膜積層ポリイミドフィルムの製造方法。
5.非金属の薄膜が高誘電体層である上記1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
6.非金属の薄膜が透明導電層である上記1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
7.非金属の薄膜が光電変換層である上記1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
8.薄膜積層ポリイミドフィルムの酸素透過率が0.35cc/m・atm・day以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
9.上記5記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなるキャパシタ。
10.上記6記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなるEL素子。
11.上記7記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなる太陽電池。
12.上記8記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなる包装材料。
13.芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有する乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるポリイミドフィルムからなり、当該フィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であり、かつ線膨張係数の変動率(CV%)が25%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に非金属薄膜層が形成されてなることを特徴とする薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
14.各部位における反り度の最大値と最小値の差が5%以下であることを特徴とする上記13記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
15.非金属薄膜層が乾式めっき法により形成されてなることを特徴とする上記13又は14のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
16.非金属の薄膜が高誘電体層である上記13〜15のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
17.非金属の薄膜が透明導電層である上記13〜15のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
18.非金属の薄膜が光電変換層である上記13〜15のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
19.薄膜積層ポリイミドフィルムの酸素透過率が0.35cc/m・atm・day以下である上記13〜18のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
本発明におけるポリイミドフィルムを基材フィルムとして使用した薄膜積層フィルムは、例えば太陽電池やキャパシタなどにおいては、ポリイミドフィルムの片面又は両面に、例えばシリコン系光電変換層や高誘電体層が形成されたものであり、このシリコン系光電変換層や高誘電体層形成積層時における蒸着やスパッタリングやその他の熱処理、化学薬品処理が基材フィルムに施され、この各種処理時に片面がまずそれら処理を受ける場合が殆どであり、ポリイミドフィルムの表裏面の物性差、特に表裏面の300℃熱処理後のカール度が一定以下である場合に特に高温処理に対してポリイミドフィルムが反りや歪みを殆ど生じなく、その結果、得られた太陽電池やキャパシタなどの品質が向上し、歩留まりも向上し、その後これら太陽電池やキャパシタなどが受ける高熱処理や半田処理などの高温処理に対しても平面性を維持し得て、結果これらの製品歩留まりが向上する。
この様に耐熱性フィルムとしてのポリイミドフィルムは熱に曝される場合が多く、その熱に対するフィルムの300℃熱処理後におけるカール度の低さが工業製品の基材などに使用される際に極めて重要な品質となる。
本発明の特定ポリイミドフィルムを使用した薄膜積層ポリイミドフィルムは、高温に曝される可撓性太陽電池や可撓性キャパシタなどとして使用され、その製造時に該可撓性太陽電池や可撓性キャパシタに使用されるポリイミドフィルム基材の反りや歪みが発生し難く、高品質の可撓性太陽電池や可撓性キャパシタなどの製造生産性や歩留まり向上が実現でき産業上極めて有意義である。
本発明の薄膜積層ポリイミドフィルムにおける基材フィルムは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、かつフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であることを第一の特徴とする。
本発明において、ポリイミドフィルムの300℃におけるフィルムのカール度とは、所定の熱処理を行った後のフィルムの面方向に対する厚さ方向への変形度合を意味し、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、300℃で10分間熱風処理した後に、平面上に試験片を凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値をカール量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対するカール量の百分率(%)で表される値である。
試料片は、ポリイミドフィルムに対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点としてn=10の計10点をサンプリングし(取れないときは最大n点をもってサンプリングし)、測定値は10点(又はn)の平均値とする。
具体的には、次式によって算出される。
カール量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
カール度(%)=100×(カール量)/35.36
本発明における300℃熱処理後のカール度は、より好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下である。
10%を超えると、本発明にかかるポリイミドフィルムを基材とする電子部品を製造する際(特に、高温で処理する電子部材をはんだ付けする工程)、フィルムに内在する歪が発現してカールが発生し、電子部材の位置ズレや浮きなどの問題が生じ、更に筐体との組み立て、コネクタ接続などに支障を生じる場合がある。
本発明において、ビフェニルテトラカルボン酸残基とは、ビフェニルテトラカルボン酸の酸および無水物、ハロゲン化物などの官能性誘導体からの芳香族ジアミンとの反応によって形成されるポリアミド酸もしくはポリイミド中での結合におけるビフェニルテトラカルボン酸由来の残基をいう。フェニレンジアミン残基とはフェニレンジアミンとその各種誘導体からの芳香族テトラカルボン酸類との反応によって形成されるポリアミド酸もしくはポリイミド中での結合におけるフェニレンジアミン由来の残基をいう。
以下本発明においては、他芳香族テトラカルボン酸残基、他芳香族ジアミン残基とも、同様の意味を表すものである。
本発明の基材としてのポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドからなり、かつ、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するものである。
上述の「反応」は、まず、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを開環重付加反応などに供して芳香族ポリアミド酸溶液を得て、次いで、この芳香族ポリアミド酸溶液から自己支持性を有するポリイミド前駆体フィルム(以下グリーンフィルムともいう)を成形した後に高温熱処理もしくは脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
芳香族ポリアミド酸は、上記芳香族テトラカルボン酸類(酸、無水物、官能性誘導体を総称する、以下芳香族テトラカルボン酸ともいう)と芳香族ジアミン類(以下芳香族ジアミンともいう)との実質的に等モル量を好ましくは90℃以下の重合温度において1分〜数日間不活性有機溶媒中で反応・重合させることにより製造される。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンは混合物としてそのままあるいは溶液として有機溶媒に加えてもよいしあるいは有機溶媒を上記成分に加えてもよい。有機溶媒は重合成分の一部又は全部を溶解してもよくそして好ましくはコポリアミド酸重合物を溶解するものである。
好ましい溶媒には、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドがある。この種の溶媒のうちで他の有用な化合物はN,N−ジエチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドである。用いることのできる他の溶媒はジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどである。溶媒は単独で、お互いに組み合わせてあるいはベンゼン、ベンゾニトリル、ジオキサンなどのような貧溶媒と組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は芳香族ポリアミド酸溶液の75〜90質量%の範囲にあることが好ましい、この濃度範囲は最適の分子量を与えるからである。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミン成分は絶対的に等モル量で用いる必要はない。分子量を調整するために、芳香族テトラカルボン酸:芳香族ジアミンのモル比は0.90〜1.10の範囲にある。
上述したようにして製造した芳香族ポリアミド酸溶液は5〜40質量%好ましくは10〜25質量%のポリアミド酸重合体を含有する。
本発明においては、特にこれら芳香族ジアミン類の中でフェニレンジアミンが好適なジアミンである。それらには、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンなどが挙げられるが好ましくはp−フェニレンジアミンである。
好ましい態様としてこれらのフェニレンジアミンに加えて他の芳香族ジアミン類好ましく使用できる。さらにこれらの芳香族ジアミン類に加えてジアミンを適宜選択使用してもよい。
本発明においては、芳香族テトラカルボン酸類の中でビフェニルテトラカルボン酸類(ビフェニルテトラカルボン酸およびその二無水物(PMDA)ならびにそれらの低級アルコールエステル)が好ましい。
好ましい態様としてビフェニルテトラカルボン酸に加えて他の芳香族テトラカルボン酸類好ましくはピロメリット酸類が使用できる。さらにこれらの芳香族テトラカルボン酸類に加えて他の芳香族テトラカルボン酸類を適宜選択使用してもよい。
本発明において、フェニレンジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して50〜100モル%、他の芳香族ジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して0〜50モル%、前2者以外の他のジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して0〜50モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率吸水率性、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
本発明において、ビフェニルテトラカルボン酸は全芳香族テトラカルボン酸類に対して50〜100モル%、ピロメリット酸類は全芳香族テトラカルボン酸類に対して0〜50モル%、他の芳香族テトラカルボン酸類は全芳香族テトラカルボン酸類に対して0〜50モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率吸水率性、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
前記の芳香族ジアミン類、芳香族テトラカルボン酸類以外に使用できるものは特に限定されないが、例えば以下に示すものである。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテルおよび3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、5‐アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6‐アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5‐アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6‐アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
また、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4、4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などが挙げられる。
本発明においては、芳香族ポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に高温熱処理もしくは脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
好ましい製造例として、ポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)の一方の側(A面側)のイミド化率IMAと他一方の側(B面側)のイミド化率IMBとを下記式の関係を満たすポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を製造し、次いで該ポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)をイミド化することが挙げられる。
式1; |IMA−IMB|≦5
本発明において、グリーンフィルムのイミド化率の測定は下記による。
<イミド化率の測定方法>
測定対象フィルムを2cm×2cmの大きさに採取し、測定対象面をATR結晶と密着させてIR測定装置にセットして下記特定波長吸光度を測定して下記の式によって、測定フィルム対象面のイミド化率を得る。
イミド特定波長として1778cm-1(付近)を採用しその波長における測定面の吸光度をλ1778とし、基準として芳香族環特定波長1478cm-1付近を採用しその波長における測定面の吸光度をλ1478とする。
装置 ;FT−IR FTS60A/896(株式会社デジラボジャパン)
測定条件;1回反射ATRアタッチメント(SILVER GATE)
ATR結晶 Ge
入射角 45°
検出器 DTGS
分解能 4cm-1
積算回数 128回
式2 ; IM={Iλ/I(450)}×100
式2において、Iλ=(λ1778/λ1478)であり、I(450)は同一組成のポリイミド前駆体フィルムを450℃で15分間熱閉環イミド化したフィルムを同様にして測定した(λ1778/λ1478)の値である。
A面のイミド化率IMをIMAとしてB面のイミド化率IMをIMBとして式2からこれらの値を測定し得る。IMAとIMBとの差は、絶対値を持って示すものである。
測定値は、フィルムの任意の箇所における幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)とし、測定値は2点の平均値とする。
上記の特定グリーンフィルムを製造する方法は、特に限定されるものではないが、好適な例としては下記の方法が挙げられる。
グリーンフィルムを自己支持性が出る程度にまで乾燥する際に、溶媒の揮発する方向が空気に接する面に限られるためにグリーンフィルムの空気に接している面のイミド化率が、支持体に接する面のイミド化率より小さくなる傾向にあるが、フィルム表裏の吸収比の差が0.35以下であるポリイミド長尺フィルムを得るためには、表裏面におけるイミド化率とその差が所定範囲にあるグリーンフィルムを得ることが重要であり、そのために、例えば、ポリアミド酸溶液を支持体上にコーティングし、乾燥して自己支持性となったグリーンフィルムを得る際の乾燥条件を制御する方法があり、この制御によって、グリーンフィルム表裏面のイミド化率とその差が所定範囲にあるグリーンフィルムを得ることができる。
これらのグリーンフィルムにおける表裏面のイミド化率の差は、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは3以下である、さらにこれらのイミド化率が表裏共に1〜15の範囲に制御することがこのましい。
グリーンフィルム表裏面のイミド化率の差が5を超えるときは、潜在的に存在するフィルム内部の歪が残存し、300℃に熱処理した後にカールが発生し、製品化に不向きなポリイミド長尺フィルムとなる。
また、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、乾燥後の全質量に対する残留溶媒量を制御することにより表裏面のイミド化率とその差が所定の範囲のグリーンフィルムを得ることができる。具体的には、乾燥後の全質量に対する残留溶媒量は、好ましくは25〜50質量%であり、より好ましくは35〜50質量%とすることが肝要である。当該残留溶媒量が25質量%より低い場合は、グリーンフィルム一方の側のイミド化率が相対的に高くなりすぎ、表裏面のイミド化率の差が小さいグリーンフィルムを得ることが困難になるばかりか、分子量低下により、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、50質量%を超える場合は、自己支持性が不十分となり、フィルムの搬送が困難になる場合が多い。
このような条件を達成するためには熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などの乾燥装置を使用することができるが、乾燥条件として以下の温度制御が要求される。
熱風乾燥を行う場合は、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、グリーンフィルム表裏面のイミド化率の範囲およびその差を所定範囲にするためには、定率乾燥条件を長くし、塗膜全体から均一に溶剤が揮発するように操作することが好ましい。定率乾燥とは塗膜表面が自由液面からなり溶剤の揮発が、外界の物質移動で支配される乾燥領域である。塗膜表面が乾燥固化し、塗膜内での溶剤拡散が律速となる乾燥条件では、表裏の物性差が出やすくなる。かかる好ましい乾燥状態は、支持体の種類や厚みによっても異なってくるが、温度設定、風量設定、通常支持体上の塗膜(グリーンフィルム)の上側(塗膜面側)の雰囲気温度よりも前記反対側(塗膜面側の反対側)の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥する。雰囲気温度の説明においては、塗膜から支持体へ向う方向を下方向、その逆を上方向として方向を定義する。このような上下方向の記載は着目すべき領域の位置を簡潔に表現するためになされるものであり、実際の製造における塗膜の絶対的な方向を特定するためのものではない。
「塗膜面側の雰囲気温度」とは、塗膜の直上から塗膜面方30mmに至る領域(通常は空間部分)の温度であり、塗膜から上方向に5〜30mm離れた位置の温度を熱電対などで計測することで、塗膜面側の雰囲気温度を求めることができる。
「反対側の雰囲気温度」とは、塗膜の直下(支持体部分)から塗膜の下方30mmに至る領域(支持体および支持体の下方の部分を含むことが多い)の温度であり、塗膜から下方向に5〜30mm離れた位置の温度を熱電対などで計測することで、反対側の雰囲気温度を求めることができる。
乾燥時に、塗膜面側の雰囲気温度よりも前記反対面側の雰囲気温度を1〜55℃高くすれば、乾燥温度自体を高くして塗膜の乾燥速度を高めても高品質なフィルムを得ることができる。塗膜面側の雰囲気温度よりも反対面側の雰囲気温度が低いか、あるいは、塗膜面側の雰囲気温度と反対側の雰囲気温度の差が1℃未満であると、塗膜面付近が先に乾燥してフィルム化して「蓋」のようになってしまい、その後に、支持体付近から蒸発すべき溶剤の蒸散を妨げて、フィルムの内部構造に歪が生じることが懸念される。反対側の雰囲気温度が塗膜面側の雰囲気温度よりも高く、その温度差が55℃より大きくすることは、装置上、経済上に不利となり望ましくない。好ましくは、乾燥時に、塗膜面側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度を10〜50℃高くし、より好ましくは、15〜45℃高くする。
上記のような雰囲気温度の設定は、塗膜の乾燥の全工程にわたってなされてもよいし、塗膜乾燥の一部の工程でなされてもよい。塗膜の乾燥をトンネル炉等の連続式乾燥機で行う場合、乾燥有効長の、好ましくは10〜100%、より好ましくは15〜100%の長さにおいて、上述の雰囲気温度を設定すればよい。
乾燥時間は、トータルで10〜90分、望ましくは15〜45分である。
乾燥工程を経たグリーンフィルムは、次いでイミド化工程に供せられるが、インライン及びオフラインのいずれの方法でもよい。
オフラインを採用する場合はグリーンフィルムを一旦巻取るが、その際、グリーンフィルムが内側(支持体が外側)となるようにして管状物に巻き取ることによりカールの軽減を図ることができる。
いずれの場合も曲率半径が30mm以下とならないように搬送、ないし巻き取りを行うことが好ましい。
このような方法で得られた表裏面のイミド化率とその差が所定の範囲に制御されたグリーンフィルムを所定の条件でイミド化することで、本発明の300℃熱処理後のカール度の低いポリイミド長尺フィルムが得られる。
その具体的なイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、ポリイミド長尺フィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下のポリイミド長尺フィルムを得るためには、熱閉環法が好ましい。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
上述の乾燥処理及びイミド化処理はフィルム両端をピンテンターやクリップで把持して実施される。その際、フィルムの均一性を保持するためには、可能な限りフィルムの幅方向及び長手方向の張力を均一にすることが望ましい。
具体的には、フィルムをピンテンターに供する直前に、フィルム両端部をブラシで押さえ、ピンが均一にフィルムに突き刺さるような工夫を挙げることができる。ブラシは、剛直で耐熱性のある繊維状のものが望ましく、高強度高弾性率モノフィラメントを採用することができる。
上述したイミド化処理の条件(温度、時間、張力)を満たすことにより、フィルム内部(表裏や平面方向)の配向歪の発生を抑制することができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミド長尺フィルムの前駆体フィルム(グリーンフィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミド長尺フィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明の製造方法によって得られるポリイミド長尺フィルムは、好ましくは吸収比がB面より大きい傾向にあるA面を巻内にして管状物に巻き取ることで、更にカール度の小さいポリイミド長尺フィルムを得ることができる。A面を巻内にして管状物に巻き取る場合、その曲率半径は30mmから600mmの範囲とすることが好ましい。曲率半径がこの範囲を超えるとポリイミド長尺フィルムのカール度が大きくなる場合がある。
更に、巻き張力は100N以上、好ましくは150N以上500N以下とすることが望ましい。
従って、ポリイミド長尺フィルムをロール巻きする際に、カール改善を図るための好適態様としてA面を巻内にし、曲率半径を30〜600mm、好ましくは80〜300mmと比較的大きくし、更に巻き張力を100N以上とする方法が採用できる。
また、巻き取られたフィルムの巻き芯側(ロール内層部側)と巻き外側(ロール外層部側)の物性差を極力軽減させるために、フィルムの曲率半径が大きくなればなるほど巻き張力を大きく(巻き芯側の巻き張力を小さく、巻き外側の巻き張力を大きく)していくことが望ましい。
更に、グリーンフィルムのイミド化をオフラインで行う場合には、当該グリーンフィルムが内側(支持体が外側)となるようにして巻き取る方法が採用できる。
なお、上述の吸収比とは、フィルム表面(又は裏面、以下同)から3μm程度の深さまでのポリイミド分子のイミド環面のフィルム面に対する配向度合を意味する。具体的には、FT−IR(測定装置:Digilab社製、FTS−60A/896等)により偏光ATR測定を、一回反射ATRアタッチメントをgolden gate MkII(SPECAC社製)、IREをダイアモンド、入射角を45°、分解能を4cm-1、積算回数128回の条件でフィルム表面について測定を行った場合の1480cm-1付近に現れるピーク(芳香環振動)における各方向の吸収係数(Kx、KyおよびKz)を求め、次式により定義されるものである。(但し、KxはMD方向、KyはTD方向、Kzは厚み方向の吸収係数をそれぞれ示す。)
吸収比=(Kx+Ky)/2×Kz
測定値は、フィルムの任意の箇所における幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)とし、測定値は2点の平均値とする。
そして、本発明におけるA面とは吸収比が大きいほうの面を、B面とは吸収比が小さいほうの面をいう。
ポリイミド長尺フィルムは、グリーンフィルムの乾燥工程やイミド化工程で熱による処理が施されている。その際、フィルムの幅方向に処理斑があると、フィルムの幅方向における物性差が生じ、カールの発生原因となる。
そこで、本発明では、乾燥機内における雰囲気温度の幅方向のムラを中心温度±5℃以内、好ましくは±3℃以内、さらに好ましくは±2℃以内に制御することが望ましい。
ここに雰囲気温度とは、支持体の表面から5mm〜30mmの等距離だけ離れた位置において、熱電対、サーモラベルなどで測定した温度をいう。また本発明では幅方向に温度検出端を8ないし64ポイント設けることが好ましい。
特に幅方向の検出端と検出端の間隔は5cm〜10cm程度にすることが好ましい。検出端としては、公知のアルメルクロメル等の熱伝対を用いれば良い。
本発明においては、塗布面側の雰囲気温度に対し、反対側の雰囲気温度を5〜55℃高く設定することができる。この場合も、支持体の各々の側での温度の中心温度から±5℃の範囲とすることが肝要である。中心温度は各検出端にて測定された摂氏温度の算術平均値であり、支持体の走行する方向と直交する幅方向における各検出端にて測定された温度が±5℃の範囲であることは、該中心値の数値に基づいて算定された範囲となる。
このような条件で製造されたポリイミド長尺フィルムは、前記の条件で測定したカール度が10%以下の極めて高温における平面性に優れたものとなる。
本発明の基材としてのポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、可撓性太陽電池や可撓性キャパシタなどの基材に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明の基材としてのポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明に係るポリイミドフィルムを巻き上げたロールは、上述したとおり、巻き張力が100N以上で曲率半径が30〜600mmのものであることが望ましい。そして、上記方法により得られたポリイミドフィルムは、反りや歪が少なく、しかも平面性に優れたものであるが、本発明においては、これらの特性はフィルムの長手方向に対して均質なものである。すなわち、巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率(標準偏差×100/平均値)(CV%)が25%以下であることが望ましい。好ましくは、20%以下、更に好ましくは15%以下である。
ここで線膨張係数の測定法は以下の通りである。
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向および
TD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料片のサンプリングは、ポリイミドフィルムロールの幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を長手方向に全長に対して5分の1の長さピッチで計10点とする。
そして10点についての変動率を算出する。
通常、フィルムをロール巻きすると、解反時にフィルムが巻き方向に反る、所謂巻きぐせが生じ、その反りは巻き芯側のものと巻き外側のフィルムとで差があるものであるが、このように、本発明に係るポリイミドフィルムのロールは巻き芯側と巻き外側の物性差は極めて小さいものであり、各部位におけるフィルムの反り度の差は5%以下、好ましくは3%以下といった均質性に優れたものとなる。
本発明において、フィルムの反り度(見かけ上の反り度)とは、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、ロールから解反したポリイミドフィルム試験片を平面上に凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を反り量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対する反り量の百分率(%)で表される値である。
具体的には、次式によって算出される。
反り量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
反り度(%)=100×(カール量)/35.36
試料片のサンプリングは、ポリイミドフィルムロールの幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を長手方向に全長に対して5分の1の長さピッチで計10点とする。
次に、本発明の積層ポリイミドフィルムについて述べる。
以下に述べる積層化処理は、述上のポリイミドフィルムロールを裁断したフィルム片をバッチ式で行っても良いし、ポリイミドフィルムロールを解反して連続処理して非金属薄膜形成ポリイミドフィルムロールとして巻き上げても良い(ロール トウ ロール)。
本発明の薄膜積層ポリイミドフィルムにおいては、基本的にポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、かつフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルム(IF)を基材として、乾式めっき法によるところの、非金属の薄膜層(dM)と、その非金属薄膜層上下に適宜形成される層(DM)で構成されている。
本発明においては、この非金属の薄膜層(dM)は単一の層でなく複数の層で構成されてもよくその複数の層のうち少なくとも1の層は非金属の層であり、IF/非金属層、IF/非金属層/金属層、IF/非金属層/非金属層/金属層、IF/金属層/非金属層/金属層、IF/金属層/非金属層/非金属層/金属層、などの構成をもとり得るものである。
また、前記のIF/dMにさらに形成される非金属薄膜層上下に適宜形成される層(DM)は乾式めっきで形成してもよく乾式めっき以外の方法で形成されてもよいものである。
本発明における非金属とは、炭素、珪素、金属の酸化物などの化合物、有機化合物などであり、これらを主成分とするものであればよく、単独でも混合でもよく、添加成分を含んでもよいものであるが、必ず乾式めっき法で形成されるものである。
非金属の具体例として、グラファイト、無定形カーボン、無定形シリコン、多結晶シリコン、In23、SnO2、ZnO、Cd2SnO4、ITO(In23 にSnを添加したもの)など、さらにロッシェル塩、酒石酸リチウムアンモニウム、酒石酸リチウムタリウム等のロッシェル塩系強誘電体、リン酸二水素カリウム、ヒ酸二水素カリウム、リン酸二水素ルビジウム、ヒ酸二水素ルビジウム、ヒ酸二水素セシウム、リン酸二水素セシウム、等のリン酸(ヒ酸)二水素アルカリ塩系強誘電体、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウム、タンタル酸カリウム、ガリウム酸ランタン等のペロブスカイト型強誘電体、・三酸化タングステン等の変形ペロブスカイト型強誘電体、ニオブ酸カドミウム、ピロニオブ酸鉛等のピロクロライト型強誘電体、チタン酸カドミウム、チタン酸コバルト、チタン酸鉄、ニオブ酸リチウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸マンガン、チタン酸ニッケル、チタン酸リチウム等のイルメナイト型強誘電体、グアニジン・アルミニウム・サルフェ−ト六水和物、グアニジン・ガリウム・サルフェ−ト、グアニジン・クロム・サルフェ−ト、グアニジン・ヴァナジウム・サルフェ−ト、グアニジン・クロム・セレン酸塩、グアニジン・アルミニウム・セレン酸塩、グアニジン・ガリウム・セレン酸塩等のグアニジン系強誘電体、トリグリシン・サルフェ−ト、トリグリシン・フルオベリレ−ト、トリグリシン・セレン酸塩、ジグリシン硝酸塩、ジグリシン塩化マンガン二水和物、グリシン硝酸銀等のグリシン系強誘電体、Pb2MgWO3、Pb3Fe2WO6、Pb2FeTaO6、K3Li2Nb515、Ba2NaNb515、Pb2KNb515系、Pb5Ge311、Gd2(MoO43系、メチルアンモニウム・アルミニウムサルフェ−ト・十二水和物、尿素クロムサルフェ−ト、硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム・カドミウム、リチウム・ヒドラジン・サルフェ−ト、硫酸水素アンモニウム、リチウム・ハイドロオキサイド・セレン酸、モノクロム酢酸アンモニウム、二カルシウム・ストロンチウム・プロピオン酸、尿素、フッ化ベリリウム酸アンモニウム、等々のその他の化合物系、さらにペロブスカイト系、ピロクロライト系、イルメナイト系等の無機系強誘電体の混合体、固溶体からなるセラミック系強誘電体、具体的には、PZT系{チタン酸鉛/ジルコン酸鉛固溶体:Pb(Zr,Ti)O3}、PLT系{チタン酸鉛/チタン酸ランタン固溶体:(Pb,La)TiO3}、PLZT系{(Pb,La)(Zr,Ti)O3}、ニオブ酸鉛/ニオブ酸バリウム固溶体系、ニオブ酸ストロンチウム/ニオブ酸バリウム固溶体系、PTS系{Pb(Ti,Sn)O3}、PST系{(Pb,Sr)TiO3}、BPT系{(Ba,Pb)TiO3}、BST系{(Ba,Sr)TiO3}、BMT系{(Ba,Mg)TiO3}、BCT系{(Ba,Ca)TiO3}、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化硼素、硫化亜鉛などが挙げられる。
本発明における非金属薄膜層上に近接して適宜形成される層(DM)とは、色材、高分子化合物、および前記した非金属および金属であってもよく、その形成手段も限定されるものではない。
本発明においては、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、かつフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理した後、次いで非金属などの薄膜をスパッタ法や蒸着法などの乾式めっきにより付着させ、その前後に非金属薄膜層上下に適宜形成される層(DM)を種々の手段で実施してもよい。
ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理によって表面処理を行う場合、かかるプラズマは不活性ガスプラズマであり、不活性ガスとしては窒素ガス、Ne、Ar、Kr、Xeが用いられる。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、基材フィルム上に金属層を形成する際に用いるプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、基材フィルム表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎるとフィルムの平滑性が低下するおそれがある。
非金属の薄膜(層)はスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの所謂乾式めっき法で形成されるが、好ましいのはスパッタ法、蒸着法である。蒸着法としては電子ビーム蒸着がるつぼ材料のコンタミが少ないという点で好ましい。
非金属の薄膜の形成における好ましい方法としてのスパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、又は高周波スパッタリングが好適である。
スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であれば良い。出力は通常10W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。また、成膜レートは0.1Å/秒〜1000Å/秒、好ましくは1Å/秒〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した薄膜に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
前記の金属層としては、特に限定されないが、銀、銅、金、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、黄銅、白銅、青銅、モネル、錫鉛系半田、錫銅系半田、錫銀系半田、等が用いられる。
乾式めっきにおいて、スパッタ法や蒸着法において、基材としてのポリイミドフィルムは100℃〜400℃、好ましくは150℃〜350℃に保持されることにより、フィルムと薄膜との密着性はより堅牢なものになる。
本発明においては、上記方法で得られたポリイミドフィルムと非金属の薄膜との複合体である薄膜積層ポリイミドフィルムを、さらに200〜350℃で熱処理してもよい。220〜330℃が好ましく、240〜310℃がより好ましい。
該熱処理により基材フィルムの有している歪や薄膜積層ポリイミドフィルムの薄膜形成過程で生ずる歪が緩和され、本発明の効果をより効果的に発現することができ、機能材としての品質向上や耐久性や信頼性を向上することができる。200℃未満では歪を緩和する効果が小さくなり、逆に350℃を超えた場合は、基材のポリイミドフィルムの劣化が起こるので好ましくない。
本発明において、好ましい態様の例として非金属の薄膜が高誘電体層である薄膜積層ポリイミドフィルムが挙げられる。高誘電体層は以下に記す高誘電体層に限定されるものではない。
その具体例としては、ポリイミドフィルムをプラズマ処理し、その上にスパッタ法で150Å厚さのニッケル−クロム合金薄膜、3000Å厚さの銅薄膜を形成し、その上に厚さ4μmの銅メッキ層を形成し第一電極層とし、第一電極層の上に、スパッタ法によってバリア層として酸化チタン薄膜を50Å、高誘電体層として2000nm厚さのBa0.5Sr0.5TiO3薄膜、さらにその上に500nm厚さのニッケル薄膜、500nm厚さの銅薄膜を形成し、さらに厚さ4μmの銅メッキ層を形成し第二電極層を形成してなる高誘電体層積層ポリイミドフィルムからなるキャパシタが挙げられる。
本発明において、好ましい態様の例として非金属の薄膜が透明導電層である薄膜積層ポリイミドフィルムが挙げられる。透明導電層は以下に記す透明導電層に限定されるものではない。
その具体例としては、ポリイミドフィルムに、スパッタ法でITO薄膜(透明導電層)、アルミニウム層を形成(第一電極)し、その上に発光物質としてポリ(パラ−フェニレンビニレン)を含む有機層をスクリーン印刷法で形成し、乾燥後その上にスパッタ法でITO薄膜を形成して第二電極とし、さらにフッ素樹脂コーティング保護膜を形成してなる透明導電層積層ポリイミドフィルムからなる緑色有機EL素子が挙げられる。
本発明において、好ましい態様の例として非金属の薄膜が光電変換層である薄膜積層ポリイミドフィルムが挙げられる。光電変換層は以下に記す光電変換層に限定されるものではない。
その具体例としては、ポリイミドフィルム上に、スパッタ法で1000nm厚さのステンレス層を形成し、25nm厚さのn型アモルファスシリコン層を形成し、500nm厚さのi型アモルファスシリコン層を積層し、さらに25nm厚さのp型アモルファスシリコン層(以上シリコン系光電変換層)を形成し、100nm厚さの酸化インジウム錫(ITO)層を蒸着し、100nm厚さのパラジウム層を櫛形に真空蒸着してなる光電変換層積層ポリイミドフィルムからなるフィルム状太陽電池が挙げられる。
本発明において、好ましい態様の例として非金属の薄膜がガスバリア層である薄膜積層ポリイミドフィルムが挙げられる。薄膜積層ポリイミドフィルムの酸素透過率は0.35cc/m2・atm・day以下、好ましくは0.15cc/m2・atm・day以下で、水蒸気透過率は1.0g/m2・day以下、好ましくは0.5g/m2・day以下の性能を有する。
その具体例としては、ポリイミドフィルム上に、スパッタ法、ないし蒸着法で20〜1000nm厚さの、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムから選ばれる少なくとも一種、好ましくは酸化珪素と酸化アルミニウムの混合物からなる金属酸化物層を形成したガスバリアフィルムなどをあげることができる。薄膜形成法として特に好ましく用いられるのは電子ビーム蒸着法である。かかるガスバリア層は酸素ならびに水蒸気の透過を抑制し、フィルムに近接して設けられる金属層、樹脂層などの劣化を防止する効果を有する。またかかるガスバリア層を有するポリイミドフィルムを包装材料として用いることにより、耐熱性を有し、かつ内容物を酸素、水蒸気から遮断することが可能となる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りであり、300℃熱処理後のカール度は前記した方法の通りである。
1.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1245D)を用いて測定した。
2.薄膜積層フィルムの反り度(見かけ上の反り度)
図1(C)に示すように、50mm×50mmのフィルム試験片を平面上に凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を反り量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対する反り量の百分率(%)で表される値である。
具体的には、次式によって算出される。
反り量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
反り度(%)=100×(反り量)/35.36
試料片のサンプリングは、薄膜積層ポリイミドフィルムの幅方向、長さ方向共に2点(幅長の1/3と2/3の点からを原則にし、取れない場合はできるだけ中央部からの点から取る)計4点としその平均値をもって表すものとする。
実施例などで使用する化合物の略称を下記する。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
P−PDA:パラフェニレンジアミン
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMF:ジメチルホルムアミド
DMAC:ジメチルアセトアミド
AA:無水酢酸
IQ:イソキノリン
また、略称GFはポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を、略称IFはポリイミドフィルムを示す。
(製造例A;実−1〜実−3)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAAを15質量部、IQを3質量部の割合で混合し、これを厚さ188ミクロン、幅800mmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4100(東洋紡績株式会社製))の滑剤を含まない面に幅740mmとなるようにコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、430μm)、
4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して乾燥した。各ゾーンはフィルムを挟んで上下に各3列のスリット状吹き出し口を有し、各吹き出し口間の熱風温度はプラスマイナス1.5℃、風量差はプラスマイナス3%の範囲で制御できるよう設定されている。また幅方向についてはフィルム有効幅の1.2倍に相当する幅までの間、プラスマイナス1℃以内となるように制御がなされている。
乾燥炉の設定は以下の通りである。
乾燥条件A
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30〜35立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 100℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 100℃
上側風量 15立方m/分、下側風量 20立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は18分である。
また風量は各ゾーンの吹き出し口からの風量の総計であり、実−1、実−2、実−3で上記範囲内で変更したものである。
かかる乾燥条件において、第3ゾーンまでは塗膜表面が指触乾燥状態には至らず、ほぼ定率乾燥条件となっていることが確認されている。
塗膜表面は第4ゾーンに入ってまもなく指触乾燥に至り以後は減率乾燥的に乾燥が進行している。この際に下側の温度、風量を上側より多めに設定し、塗膜内の溶媒の拡散を促進している。
なお、各ゾーン中央の吹き出し口の真下に当たる部分でフィルム上10mmの位置に支持された熱電対により、10cm間隔でモニターがなされプラスマイナス1.5℃以内であることが確認されている。
乾燥後に自己支持性となったGF(ポリアミド酸フィルム)をポリエステルフィルムから剥離して、各GF(グリーンフィルム)、GF実−1、GF実−2、GF実−3を得た。
得られた各GF(グリーンフィルム)を、ピンテンターにて両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各IF(ポリイミドフィルム)、IF実−1、IF実−2、IF実−3を得た。
なお、GF(グリーンフィルム)を熱処理する際に、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにした。
得られた各IF(ポリイミドフィルム)の厚さ、カール度は、IF実−1で25μmと1.8%、IF実−2で25.1μmと3.8%、IF実−3で25μmと6.5%であった。
得られたポリイミドフィルムを下記条件でロール状に巻き上げフィルムロールとした。
巻取り方法:内巻き
巻取りテンション:145〜155N
ロール曲率半径:84mm
その中で、IF実−1のロールフィルムのフィルム特性は下記の通りであった。
線膨張係数の変動率:11.3%
反り度最大値:2.2%
反り度最小値:0.7%
(製造例B;実−4〜実−6)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、450μm)、製造例;実−1〜実−3と同様の方法で乾燥した。乾燥後に自己支持性となったGFをステンレスベルトから剥離して各GF、GF実−4、GF実−5、GF実−6を得た。
得られたGFを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で2分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する厚さ25μmの各IF、IF実−4、IF実−5、IF実−6を得た。
なお、GFを熱処理する際に、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにし、さらにピン部分の温度が120〜180℃の範囲に入るようにあらかじめ冷却した後にピン差しを行った。
得られた各IFの厚さ、カール度は、IF実−4で25μmと4.5%、IF実−5で25.1μmと5.8%、IF実−6で25μmと8.5%であった。
得られたポリイミドフィルムを下記条件でロール状に巻き上げフィルムロールとした。
巻取り方法:内巻き
巻取りテンション:140〜162N
ロール曲率半径:84mm
その中で、IF実−4のロールフィルムのフィルム特性は下記の通りであった。
線膨張係数の変動率:10.2%
反り度最大値:0.6%
反り度最小値:0.1%
(製造例C;比−1〜比−3)
製造例Aで得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAAを15質量部、IQを3質量部の割合で混合し、これをステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、430μm)、と製造例;実−1〜実−3と同様の乾燥装置にて乾燥を行った、なお乾燥条件(温度は乾燥炉の設定温度)は以下の通りである。
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 温度 上下とも110℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第3ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は9分である。
また風量は各ゾーンの吹き出し口からの風量の総計であり、比−1、比−2、比−3で上記範囲内で変更したものである。
かかる乾燥条件においては、第2ゾーン中央で塗膜表面が指触乾燥状態に至り、以後は減率乾燥的な乾燥が行われているものと推察できる。
乾燥後に自己支持性となったGFをステンレスベルトから剥離して、各GF3種、GF比−1、GF比−2、GF比−3を得た。
得られた各GFを、ピンテンターにて両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各IF、IF比−1、IF比−2、IF比−3を得た。
得られた各IFの厚さ、カール度は、IF比−1で25μmと10.5%、IF比−2で25.1μmと13.1%、IF比−3で25μmと20.5%であった。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
<高誘電体層積層ポリイミドフィルムの製造>
製造例で得られたフィルムロールを使用し、それぞれ巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。
プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力80W、ガス圧0.9Paの条件であり、処理時の温度は24℃、プラズマ雰囲気での滞留時間約45秒であった。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000Å銅薄膜を形成させ、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し第一電極層とした。
続いて、基板温度を450℃とし、第一電極層の上に、バリア層として酸化チタン層を50Å、さらに誘電層としてBa0.5Sr0.5TiOのターゲットを用いて、高周波スパッタリング法によって2000nmの薄膜高誘電体層を形成した。さらに、薄膜高誘電体層上に、スパッタリングにより500nmのニッケル、同じく500nmの銅を形成し、最期に、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し第二電極層とし、高誘電体積層フィルムを得た。
各フィルムから得られた各高誘電体層積層ポリイミドフィルムを、各5枚の反り度の平均値をもって判定した。各フィルムにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え〜10%までのものを△、5〜7%を○、5%未満のものを◎とした。
その結果、IF実−1、IF実−2、IF実−4が全て◎、IF実−3、IF実−5、IF実−6が○、IF比−1、IF比−2、IF比−3は全て×であった。
また、得られた各高誘電体層積層ポリイミドフィルムの容量密度と耐電圧との評価で、
各IF実−1、IF実−2、IF実−3、IF実−4、IF実−5、IF実−6からの高誘電体層積層ポリイミドフィルムにおいては、それぞれ変動のない安定した容量密度であり、実用性十分な耐電圧(100kV/m以上)を有する物が得られたが、IF比−1、IF比−2、IF比−3からの高誘電体層積層ポリイミドフィルムにおいては、それぞれ容量密度に斑が見られ、また耐電圧も10kV/mに満たないものであった。
(実施例7〜12、比較例4〜6)
製造例で得られた各ポリイミドフィルムを使用して、ポリイミドフィルム上に、スパッタリング装置を使用して、100nm厚さの酸化インジウム錫(ITO)薄膜層、500nm厚さのアルミニウム層を形成し第一電極とした。第一電極はマスキングにより所定の電極形状を与えられている。また素子外に相当する部分に引き回された、駆動回路搭載用の電極も形成されている。次いで第一電極上に発光層を形成する。ここでは発光物質として未ドープのポリ(パラ−フェニレンビニレン)を含む有機層をスクリーン印刷法により形成した。膜の乾燥温度は最高180℃である。最後に第二電極としてITO薄膜層を発光層上にスパッタリングして形成、その上にフッ素樹脂コーティングを行って保護膜とした。
得られた各ポリイミドフィルムからなる透明導電層積層ポリイミドフィルムからなる有機EL素子にピークトゥピーク60Vの1000Hzの交番電圧を印可したところ、各IF実−1、IF実−2、IF実−3、IF実−4、IF実−5、IF実−6からのものは鮮やかな緑色に発光し、EL素子として有効なものであったが、IF比−1、IF比−2、IF比−3からのものは発光が不安定なものであった。
各フィルムポリイミドフィルムから得られた各透明導電層積層ポリイミドフィルムにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え〜10%までのものを△、5〜7%を○、5%未満のものを◎として、評価したところ、IF実−1、IF実−2、IF実−4が全て◎、IF実−3、IF実−5、IF実−6が全て○、IF比−1、IF比−2、IF比−3は全て×であった。
(実施例13〜18、比較例7〜9)
製造例で得られた各ポリイミドフィルムを使用し、それぞれスパッタリング装置でステンレスのターゲットを使用して、上記各ポリイミドフィルム上に厚さ1000nmのステンレス層を形成した。次いで、真空反応器中の対向電極と支持電極の間にステンレス層を形成したフィルムを設置して、反応器内を一旦1×10-5Torrに排気し、支持電極の温度を350℃に高めた。その後、対向電極と支持電極に30Wの15MHzの高周波電圧を印加しつつ、アルゴンガスを反応器内に導入して1Torrのアルゴン雰囲気下でプレスパッタし、次いで水素ガスで10%に希釈したSiH4、同様に水素ガスで1%に希釈したPH3ガスを同時に導入して、1Torrの雰囲気下で上記ステンレス層上に25nmのn型アモルファスシリコン層を形成した。次いで、SiH4のみを導入して、前記n型アモルファスシリコン層の上に、厚さ500nmのi型アモルファスシリコン層を積層し、さらにSiH4ガス中に1%のB26を含有する混合ガスを導入することで、前記i型アモルファスシリコン層の上に、厚さ25nmのp型アモルファスシリコン層を形成した。
次いでこのpin型アモルファスシリコン層を形成したフィルムを真空蒸着装置内に装着し、電子ビーム法で100nmの厚さの酸化インジウム錫層を蒸着してヘテロ電極層とした。最後にその上に100nmのパラジウム層を櫛形に真空蒸着した。
以上のようにして得られた各光電変換層積層ポリイミドフィルムからなるフィルム状太陽電池を得た。フィルム状太陽電池の製造工程において、IF実−1〜IF実−6のポリイミドフィルム基材を使用した場合は熱での反りの発生や、シワの発生などの問題はなく、平面性の優れた太陽電池が得られたが、IF比−1〜IF比−3のポリイミドフィルム基材を使用した場合は熱で変形したり、反りが生じたりする問題が発生して、平面性の優れた太陽電池を得ることが困難であった。
各ポリイミドフィルムから得られた各各光電変換層積層ポリイミドフィルムの、各5枚の反り度の平均値をもって判定した。各フィルムにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え〜10%までのものを△、5〜7%を○、5%未満のものを◎とした。
その結果、IF実−1、IF実−2、IF実−4が全て◎、IF実−3、IF実−5、IF実−6全てが○、IF比−1、IF比−2、IF比−3は全て×であった。
(実施例19、20、比較例10〜15)
得られたフィルムロールを使用し、それぞれ巻き出し装置、チルロール、巻き取り装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面に蒸着法によりガスバリア層となる酸化アルミニウム、酸化珪素からなる複合金属酸化物薄膜層を形成した。さらに詳しくは、蒸着材料として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl23(純度99.9%)とSiO2(純度99.9%)を用い、電子ビーム蒸着法で下記の条件でシリコンアルミニウム複合酸化物薄膜(2)を形成した。蒸着材料は混合せずに2つの水冷ハースに別々に入れ、加熱源として一台の電子銃を用い、Al23とSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。その時の電子銃のエミッション電流を1.5〜3.0A、Al23とSiO2の加熱比を30:10とした。蒸着中のフィルムの背面はチルロールにより冷却される。チルロールには−100Vの直流電圧が印加され、またチルロールの温度は−10℃である。得られた複合金属酸化物薄膜の厚みは40nmであった。なお、真空槽内の残留水蒸気量を少なくするために、蒸着材料を蒸着前に予備的に加熱した。予備加熱時の電子銃のエミッション電流を0.5A、Al23とSiO2の加熱比を10:10とし、予備加熱時間を5分もしくは10分とした。この結果、蒸着前の到達真空度は2×10-6Torr以下、蒸着時真空度は4×10-4Torr以下まで向上し、水蒸気分圧は4×10-5Torrであった。得られた複合金属酸化物薄膜形成フィルム(ガスバリアフィルム)はロール状に巻き取られた。
得られた非金属薄膜積層フィルムを25cm×25cmに切り取り5枚についての反り度平均値を求めた。結果を表1に示す。
各非金属化フィルムにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え10%までのものを△、5〜7%を○、5%未満のものを◎とした。
得られた薄膜積層ポリイミドフィルムの酸素透過度を、酸素透過度測定装置(モダンコントロールズ社製、OX−TRAN100)を用いて測定した。また得られたガスバリアフィルムの水蒸気透過度を水蒸気透過度テスター(リッシー社製、L80−4000型)を用いて測定した。結果を表1に示す。
実施例の積層フィルムの酸素透過度と水蒸気透過度は、比較例に比べて低い値であり、優れたガスバリア性を示した。
Figure 0003912614
(実施例21)
製造例AのIF実−1にて得られたポリイミドフィルムを表1に示す各種条件でロール状に巻き上げフィルムロールとした。次いでフィルムロールからポリイミドフィルムを巻き出し、実施例19と同様に巻き出し装置、チルロール、巻き取り装置を備えた真空装置内にセットし、搬送速度を半分にした以外は同様の条件にてフィルム表面に蒸着法によりガスバリア層となる酸化アルミニウム、酸化珪素からなる厚み80nmの複合金属酸化物薄膜層を形成した。
以下実施例19と同様に評価した。結果を表1に示す。
以上述べてきたように、本発明の特定物性のポリイミドフィルムを基材として使用した薄膜積層ポリイミドフィルムは、平面性に優れたものであり、例えば太陽電池、キャパシタ、ディスプレイ、耐熱ガスバリアフィルムなどに加工した場合であっても反りや歪みのないものとなり平面維持性に優れるばかりでなくフィルムと薄膜層の密着性においても優れたものである。
高温に曝されるフィルムを基材として使用するスパッタリングやイオンプレーティングや蒸着用の乾式めっきで各種薄膜層を形成するものにも有用であり、薄膜多層形成反射防止フィルム、薄膜多層形成特定波長透過フィルムなどとしても有用である。
ポリイミドフィルムのカール度の測定方法(および反り度測定方法)を示した模式図である。(a)は上面図であり、(b)は熱風処理前の(a)におけるa−aで示される断面図であり、(c)は熱風処理後の(a)におけるa−aで示される断面図である。
符号の説明
1 ポリイミドフィルムなどの試験片
2 アルミナ・セラミック板

Claims (19)

  1. 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に非金属の薄膜が形成されてなることを特徴とする薄膜積層ポリイミドフィルム。
  2. フィルムの300℃熱処理後のカール度が8%以下であることを特徴とする請求項1記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
  3. 非金属の薄膜が乾式めっき法により形成されてなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
  4. 少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基と芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基と溶媒とからなる溶液を支持体上に塗膜形成し、次いで、支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥し、次いで熱処理を経てポリイミドフィルムとなし、当該ポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に非金属の薄膜を積層形成することを特徴とする薄膜積層ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 非金属の薄膜が高誘電体層である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
  6. 非金属の薄膜が透明導電層である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
  7. 非金属の薄膜が光電変換層である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
  8. 薄膜積層ポリイミドフィルムの酸素透過率が0.35cc/m・atm・day以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルム。
  9. 請求項5記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなるキャパシタ。
  10. 請求項6記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなるEL素子。
  11. 請求項7記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなる太陽電池。
  12. 請求項8記載の薄膜積層ポリイミドフィルムからなる包装材料。
  13. 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有する乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるポリイミドフィルムからなり、当該フィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であり、かつ線膨張係数の変動率(CV%)が25%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に非金属薄膜層が形成されてなることを特徴とする薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
  14. 各部位における反り度の最大値と最小値の差が5%以下であることを特徴とする請求項13記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
  15. 非金属薄膜層が乾式めっき法により形成されてなることを特徴とする請求項13又は14のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
  16. 非金属の薄膜が高誘電体層である請求項13〜15のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
  17. 非金属の薄膜が透明導電層である請求項13〜15のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
  18. 非金属の薄膜が光電変換層である請求項13〜15のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
  19. 薄膜積層ポリイミドフィルムの酸素透過率が0.35cc/m・atm・day以下である請求項13〜18のいずれかに記載の薄膜積層ポリイミドフィルムロール。
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