JP2005297644A - 作業車両 - Google Patents

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詠 高橋
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Abstract

【課題】 電気的な手段を用いることなく移動可能な冷却ファン支持用の支持部材の位置を外部から認識可能とする。
【解決手段】 エンジン室3に収容された熱交換器5と、熱交換器5に冷却風を送風する冷却ファン6と、冷却ファン6を回転可能に支持する支持部材7と、冷却ファン6が熱交換器5の通気面に対向する第1の位置および熱交換器5の通気面を開放する第2の位置に、冷却ファン6と一体に支持部材7を移動する移動手段12と、エンジン室3の周囲に配置された開閉可能な開閉カバー9と、支持部材7が第1の位置に移動すると、走行時に対応した開閉カバー9の開閉動作を許容し、支持部材7が第2の位置に移動すると、走行時に開閉カバー9の開閉動作を禁止する制限手段21〜23とを備える。
【選択図】図3


Description

本発明は、熱交換器に対して移動可能に設けられた冷却ファンを有する作業車両に関する。
従来より、ラジエータ等の熱交換器のメンテナンス性を高めるため、ラジエータに対して冷却ファンを移動可能に設け、ラジエータに面した空気通路を開放可能に構成したものが知られている(特許文献1参照)。これによれば、エンジン室内にラジエータに対して回動可能に枠体を設け、この枠体に冷却ファンを回転可能に支持する。枠体の回動による空気通路の開閉はリミットスイッチにより検出する。
特開2000−120437号公報
枠体はエンジン室に収容されるため、枠体の回動状態を外部から認識することは難しい。しかしながら、上記特許文献1記載のように枠体の回動をリミットスイッチにより電気的に検出したのでは、スイッチが故障または断線等した場合に枠体の回動状態を検出することが不可能となる。
本発明による作業車両は、エンジン室に収容された熱交換器と、熱交換器に冷却風を送風する冷却ファンと、冷却ファンを回転可能に支持する支持部材と、冷却ファンが熱交換器の通気面に対向する第1の位置および第1の位置と異なる第2の位置に、冷却ファンと一体に支持部材を移動する移動手段と、エンジン室の周囲に配置された開閉可能な開閉カバーと、支持部材が第1の位置に移動すると、走行時に対応した開閉カバーの開閉動作を許容し、支持部材が第2の位置に移動すると、走行時に対応した開閉カバーの開閉動作を禁止する制限手段とを備えることを特徴とする。
支持部材に突設され、第2の位置でエンジン室内の固定部材に当接して押し込まれ、第1の位置で固定部材から離間して押し込みが解除される突出部材と、突出部材に連動し、突出部材の押し込みにより開閉カバーと干渉して全閉動作を禁止し、突出部材の押し込み解除により開閉カバーとの干渉を回避して全閉動作を許容する干渉部材とにより制限手段を構成することもできる。
第1の位置で支持部材を固定する固定手段をさらに備えることもできる。
本発明によれば、冷却ファンが熱交換器の通気面に対向する第1の位置および第1の位置と異なる第2の位置に、冷却ファンと一体に支持部材を移動可能に設け、支持部材が第1の位置に移動するとエンジン室の周囲の開閉カバーの走行時に対応した開閉動作を許容し、支持部部材が第2の位置に移動すると開閉カバーの走行時に対応した開閉動作を禁止するようにした。これによりリミットスイッチ等の電気的な手段によらず、移動可能な支持部材の位置を外部から容易に認識することができる。
−第1の実施の形態−
以下、図1〜図5を参照して本発明による作業車両の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用されるホイールローダの側面図である。ホイールローダは、車両本体1と、車両本体1の前部に回動可能に設けられた作業装置2とを有する。車両本体1の後部にはエンジン室3が設けられている。図2はエンジン室3内の部品の配置を示す平面図である。
図1,2に示すようにエンジン室3にはエンジン4が配設され、その後方に車幅方向にわたってラジエータ5が配置されている。ラジエータ5の後方にはラジエータ5の通気面に対向して冷却ファン6が配置されている。冷却ファン6はラジエータ5に並設された筒状のファンボックス7の内側に回転可能に支持されている。ラジエータ5とファンボックス7の間はシュラウド8により冷却風通路が形成されている。ファンボックス7の後方には上方に開放可能なリヤカバー9が設けられ、車両本体1の後端部にはカウンタウエイト10が設けられている。なお、11はバッテリボックスである。
冷却ファン6は油圧モータ6aの駆動により回転する。冷却ファン6が回転すると、図示しない吸気口を介してエンジン室4内に冷却風が吸い込まれ、ラジエータ5の内側のフィン部を通過する。ラジエータ5では冷却風とエンジン冷却水が熱交換され、エンジン冷却水が冷却される。ラジエータ5を通過した冷却風はシュラウド8およびファンボックス7の内側の送風通路を通過し、図2の矢印に示すようにリヤカバー9に開口された排気口からエンジン室3外に排出される。このような送風過程において、エンジン室3内に粉塵等を吸い込むと、ラジエータ5のフィンに目詰まりが生じ、ラジエータ5の伝熱面積が減少して、熱交換効率が低下する。この熱交換効率の低下を防ぐためには、ラジエータ5をメンテナンスし、フィンの目詰まりを除去する必要がある。
図2に示すようにファンボックス7は、シュラウド8の側端部に設けたヒンジ12を介して水平方向に回動可能に支持されている。通常の走行時および作業時には、ファンボックス7は実線で示すように前方に回動され(ファンボックス閉)、ラジエータ後方の通路が閉じられる。このときファンボックス7が振動によりがたつかないように、ファンボックス7は係合部材13によりシュラウド8に固定される。一方、メンテナンス時には、ファンボックス7は一点鎖線で示すように後方に回動され(ファンボックス開)、ラジエータ5の通気面が開放される。これによりラジエータ5のメンテナンスが容易となる。
このようにファンボックス7を回動可能に構成した場合、メンテナンス時にエンジン4を誤作動しないように、メンテナンス状態、すなわちファンボックス7が開放状態にあることをを外部から容易に認識可能とすることが好ましい。これを実現するため、本実施の形態ではファンボックス7とリヤカバー9を以下のように構成する。
図3は、第1の実施の形態に係るファンボックス7とリヤカバー9の要部斜視図である。なお、図3はメンテナンス状態に対応する。リヤカバー9はファンボックス7の上面から後面にかけて断面略L字形状をなし、車幅方向(左右方向)の一対のヒンジ14を介してファンボックス7の上面に回動可能に取り付けられている。ファンボックス上方のリヤカバー9の左右前縁角部には後方に向けて一対の溝部9aが形成されている。ファンボックス7の上部前面には左右一対のロッド21が突設されている。ロッド21はファンボックス7の閉鎖時にシュラウド8の後端面に当接し、ファンボックス7の開放時に離間する。
図4(a)は図3の矢視IV図(前方から見た図)であり、図4(b)は図3のV-V線断面図(鉛直方向断面図)であり、図4(c)は図3のVI-VI線断面図(水平方向断面図)である。ファンボックス7内でロッド21の後端部は大径状に形成され(大径部21a)、この大径部21aはファンボックス7内の円筒状ガイド7aによって前後方向に移動可能に支持されている。図4(c)に示すように大径部21aの後端面は左右方向に傾斜し(傾斜面21b)、傾斜面21bの左右方向内側(図では右側)は外側(左側)よりも後方に突出している。
ロッド21の後方には鉛直方向に円柱状のストッパ22が設けられ、ロッド21の後端面にストッパ22が当接されている。ストッパ22はファンボックス7の上面に左右方向にわたって開口されたスリット状の貫通孔7cから上方に突出し、ストッパ22の先端はリヤカバー9の下面9bよりも上方かつ溝部9aの表面よりも下方に位置している。ストッパ22はファンボックス7内のガイド7bに沿って左右方向に移動可能に支持されるとともに、ストッパ22にはファンボックス7の内側面から支持されたばね23が連結されている。ばね23は常時ストッパ22を左右方向内側(図では右側)に付勢する。
次に、第1の実施に形態に係る作業車両の特徴的な動作を説明する。
(1)ファンボックス開放
ラジエータ5のメンテナンス作業を行う場合には、リヤカバー9を上方に回動し、係合部材13によるファンボックス7の固定状態を解く。そして、ファンボックス7を後方に回動し、ラジエータ後方の通路を開放する。この状態では、ロッド21の先端はシュラウド8から離間しているため、ロッド21に後方への押し込み力が作用せず、この押し込み解除状態ではストッパ22にばね23の付勢力のみが作用する。このためストッパ22はばね23の付勢力により左右方向内側(図では右側)に移動し、ストッパ22の移動により傾斜面21bを介してロッド21が前方に押動される。
これにより図4(a)に示すようにストッパ22はリヤカバー9の溝部9aよりも左右方向内側に移動し、ストッパ22と溝部9aの位置がずれる。この状態では、ストッパ22の上端面にリヤカバー9の下端面9bが当接するため、リヤカバー9の下方への回動が制限され、図4(b)に示すようにリヤカバー9が斜め後方に傾斜した状態で保持される。このリヤカバー9の傾斜状態を作業員が目視することで、ファンボックス7の開放を認識することができる。したがって、メンテナンス作業時に誤ってエンジン4を作動することを防止できる。この場合、リヤカバー9はエンジン室4よりも外側に位置するため、目視が容易である。
(2)ファンボックス閉鎖
メンテナンス作業時以外では、ファンボックス7を前方に回動してラジエータ後方の通路を閉じ、係合部材13を介してファンボックス7をシュラウド8に固定する。このとき図5(c)に示すようにロッド21の先端がシュラウド8に当接し、ロッド21がガイド7aに沿って後方に押動される。このロッド21の押動により、ストッパ22はばね23の付勢力に抗して左右方向外側(図では左側)に移動する。このとき図5(a)に示すようにストッパ22は溝部9aに退避するため、ストッパ22によってリヤカバー9の回動が制限されず、図5(b)に示すようにリヤカバー9が全閉される。すなわちリヤカバー9は走行時に対応した姿勢となる。このリヤカバー9の全閉状態を目視することで、作業員はファンボックス7の閉鎖を認識することができる。
なお、ファンボックス7がシュラウド8に固定されていない状態で冷却ファン6を回転すると、ファンボックス7が大きく振動し、冷却風のスムーズな流れが妨げられるばかりか、機器を損傷するおそれがある。本実施の形態では、ファンボックス7がシュラウド8に係合されていない場合にはロッド21が後方に押動されないため、ストッパ22が左右方向内側に移動し、リヤカバー9が傾斜状態で保持される。このため、作業員はファンボックス7の開閉だけでなくファンボックス7の固定の有無を認識することができ、ファンボックス7が固定されていない状態で冷却ファン6を回転することを防止できる。
以上の第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)シュラウド8の後部にラジエータ後方の通路を開放するようにファンボックス7を回動可能に設けるとともに、ファンボックス7の上部にリヤカバー9を回動可能に設け、ファンボックス7の前面にロッド21を前後方向移動可能に突設し、ファンボックス7の上面にストッパ22を左右方向移動可能に突設した。そして、ファンボックス7の開放に伴いロッド21を後方に移動させ、このロッド21の移動によりストッパ22を左右方向内側に移動させ、ストッパ22をリヤカバー9に干渉させてリヤカバー9の全閉動作を禁止するようにした。これにより作業員はファンボックス7の開放を外部から容易に認識することができ、メンテナンス作業時にエンジン4を誤作動することを防止できる。
(2)リミットスイッチ等によりファンボックス7の開閉を検出する必要がないので、電気的なトラブルのおそれなくファンボックス7の開閉を確実に認識することができるとともに、リミットスイッチ等の省略によりコストも削減できる。
(3)ファンボックス7を係合部材13によりシュラウド8に固定した際に、ロッド21が後方移動するようにしたので、ファンボックス7が固定されない限りリヤカバー9の閉鎖が阻止される。その結果、作業員はファンボックス7の固定の有無を認識することができ、ファンボックス7が冷却ファン6の回転振動によりがたつくことを防止できる。
−第2の実施の形態−
図6を参照して本発明による作業車両の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、リヤカバー9の支持構造である。図6は、第2の実施の形態に係るファンボックス7の開放時におけるエンジン室3内の要部断面図(図4(b)に対応)である。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。
図6に示すように、第2の実施の形態ではシュラウド8の上面にヒンジ31が設けられ、このヒンジ31を介してリヤカバー9がシュラウド8から上下方向に回動可能に支持されている。ストッパ22は第1の実施の形態と同様、ロッド21の前後方向の移動に応じて左右方向に移動する。これによりファンボックス7の開放時にはストッパ22の先端がリヤカバー9の下面9bに当接し、リヤカバー9の回動が制限される。一方、ファンボックス7の閉鎖時にはストッパ22の先端部が溝部9aに位置し、リヤカバー9の回動が許容される。
このように第2の実施の形態では、シュラウド8の上面に回動可能にリヤカバー9を取り付けるようにしたので、ファンボックス7と一体にリヤカバー9が回動することはなく、リヤカバー9を開放したときの開放位置がファンボックス7の開閉に拘わらず一定となる。このため、リヤカバー9の取り付けの際のレイアウト上の制約は小さく、リヤカバー9の取り付けが容易である。
なお、上記実施の形態では、リヤカバー9を上下方向に回動可能に設け、ファンボックス7を左右方向に回動可能に設けたが、回動方向はこれに限らない。例えば、リヤカバー9を左右方向に回動可能に設けてもよく、ファンボックス7を上下方向に回動可能に設けてもよい。また、ラジエータ5の通気面に冷却ファン6を対向およびラジエータ5の通気面を開放するようにファンボックス7を移動可能に設けたが、ラジエータ5の通気面に冷却ファン6が対向する第1の位置およびこれと異なる第2の位置に、冷却ファン6と一体にファンボックス7を移動可能に設けるのであれば、第2の位置はラジエータ5の通気面を開放する位置でなくてもよい。なお、第2の位置はファンボックス7を係合部材13で固定していない状態を含む。この場合、支持部材としてのファンボックス7は必ずしも回動可能とする必要はない。すなわちヒンジ12以外の移動手段を設けてもよい。エンジン室3の周囲に配置され、その開閉状態を外部から認識可能であれば、開閉カバーはリヤカバー9以外(例えばフロントカバー)であってもよい。また、開閉カバーは走行時に全閉するもの以外でもよい。すなわち走行時に対応した開閉カバーの開閉動作を許容または禁止するのであれば、制限手段の構成は上述したものに限らない。
ファンボックス7に突設された支持部材としてのロッド21の動きに連動するように、ばね23に連結された干渉部材としてのストッパ22を設けた。そして、このストッパ22とリヤカバー9とを干渉させまたは干渉を回避させることにより、ファンボックス7の開閉に伴うリヤカバー9の全閉動作を禁止または許容するようにしたが、制限手段の構成はこれに限らない。例えばファンボックス7の表面に突起部を設け、ファンボックス7の開放時にこの突起部とリヤカバー9を干渉させてリヤカバー9の回動を制限するようにしてもよい。係合部材13によりファンボックス7を閉鎖状態で固定するようにしたが、他の固定手段を用いてもよい。例えばファンボックス7に鉤状フックを、シュラウド8にピンを設け、鉤状フックをピンに引っ掛けて固定してもよい。種々のキャッチ装置を用いてファンボックス7を固定してもよい。ラジエータ5以外の熱交換器(例えばオイルクーラ,空調用コンデンサ等)に対しても本発明は適用できる。また、ホイールローダ以外の他の作業車両(ブルドーザー、ダンプ等)にも本発明は適用可能である。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の作業車両に限定されない。
本発明が適用されるホイールローダの側面図。 図1のホイールローダのエンジン室内の部品の配置を示す平面図。 本発明の第1の実施の形態に係る作業車両の要部斜視図。 図3のファンボックス開放時の動作を示す図。 図3のファンボックス閉鎖時の動作を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係る作業車両の要部断面図。
符号の説明
3 エンジン室
5 ラジエータ
6 冷却ファン
7 ファンボックス
9 リヤカバー
12 ヒンジ
13 係合部材
21 ロッド
22 ストッパ
23 ばね

Claims (3)

  1. エンジン室に収容された熱交換器と、
    前記熱交換器に冷却風を送風する冷却ファンと、
    前記冷却ファンを回転可能に支持する支持部材と、
    前記冷却ファンが前記熱交換器の通気面に対向する第1の位置および前記第1の位置と異なる第2の位置に、前記冷却ファンと一体に前記支持部材を移動する移動手段と、
    前記エンジン室の周囲に配置された開閉可能な開閉カバーと、
    前記支持部材が前記第1の位置に移動すると、走行時に対応した前記開閉カバーの開閉動作を許容し、前記支持部材が前記第2の位置に移動すると、走行時に対応した前記開閉カバーの開閉動作を禁止する制限手段とを備えることを特徴とする作業車両。
  2. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記制限手段は、
    前記支持部材に突設され、前記第2の位置で前記エンジン室内の固定部材に当接して押し込まれ、前記第1の位置で前記固定部材から離間して押し込みが解除される突出部材と、
    前記突出部材に連動し、前記突出部材の押し込みにより前記開閉カバーと干渉して全閉動作を禁止し、前記突出部材の押し込み解除により前記開閉カバーとの干渉を回避して全閉動作を許容する干渉部材とを有することを特徴とする作業車両。
  3. 請求項1または2に記載の作業車両において、
    前記第1の位置で前記支持部材を固定する固定手段をさらに備えることを特徴とする作業車両。
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