JP2005297166A - ブローチ及びそのブローチを用いた切削加工方法 - Google Patents

ブローチ及びそのブローチを用いた切削加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】工具寿命の低下を抑制可能なブローチ及びそのブローチを用いた切削加工方法を提供する。
【解決手段】すくい面13の真すくい角αsがエッジ部15上に存在する全ての切削点Pにおいて略同一となるようにすくい面13を形成する。これにより、エッジ部15に加えられる切削方向の力をエッジ部15全体に亘って均一な力とし、エッジ部15の局所的な偏摩耗を防ぎ、ブローチ1としての工具寿命の低下を抑制する。
【選択図】図6

Description

本発明は、すくい面と逃げ面との稜線部分に形成されるエッジ部が軸部の径方向内方から径方向外方に向かって移行するにしたがって軸部の軸方向後側に漸次移行する切れ刃を有するブローチ、及びそのブローチを用いた切削加工方法に関する。
図27は、従来のブローチを説明する軸直角方向断面図、図28は、図27の要部拡大図、図29は、図28のI−I線断面図、図30は、図28のII−II線断面図、図31は、図28のIII−III線断面図である。
ブローチ100は、被加工物の貫通孔に挿通して引き抜くことにより、被加工物にスプライン穴やセレーション穴を形成することができる内面ブローチであり、その切削刃部101には、図27及び図28に示すように、周方向に所定間隔をおいて突出し軸方向に連続して整列する複数列の切れ刃102が設けられている。
切れ刃102は、径方向に突出して軸方向に延在する凸形状を有しており、図28に示すように、歯形部106と大径部107を有している。そして、図29に示すように、軸方向前側にすくい面103が形成され、軸方向に沿って逃げ面104が形成され、すくい面103と逃げ面104との稜線部分によってエッジ部105が形成されている。
すくい面103は、大径部107におけるすくい角αが、−10°〜−30°と後退するよう(ネガティブ方向)に設定し、エッジ部105のチッピングを防止することが従来より提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−239425号公報
上記構成を有する切れ刃102の場合、大径部107のすくい角αは、ほぼ一定の値αIとなる。しかしながら、歯形部106は、円弧形状を有しており、歯元から歯先に向かって移行するにしたがって漸次軸方向後方に向かって移行するように後方に傾斜して形成されている。このため、歯形部106の歯元と歯先とではすくい角αが異なり、実際のすくい角αは、歯先側から歯元側に移行するにしたがって漸次小さくなり(αI>αII>αIII)、歯元付近の実際のすくい角αIIIはほぼ0°となる。
したがって、切削加工時に歯形部106の歯元側に押しつぶす方向の荷重が加えられる。このため、歯形部106の歯先側と比較して歯元側の方が摩耗が激しく、ブローチ100の工具寿命が短いという問題がある。
したがって、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、エッジ部105の偏摩耗による工具寿命の低下を抑制し、良好な加工面粗さが確保でき、効率的な仕上げ加工が可能なブローチ及びそのブローチを用いた切削加工方法を提供することにある。
上記課題を解決する請求項1に記載の発明によるブローチは、すくい面と逃げ面との稜線部分に形成されるエッジ部が軸部の径方向内方から径方向外方に向かって移行するにしたがって軸部の軸方向後側に漸次移行する切れ刃を有するブローチにおいて、エッジ部上の任意の切削点を通過して軸部の軸心に直交する方向に延在する仮想軸直角平面上で前記切削点の接線に直交して前記切削点を通過する法線方向の仮想基準線と、仮想基準線を包含して前記軸部の軸方向に沿って延在する仮想軸方向平面上ですくい面との交差部分に形成される仮想交差線と、の間に形成される真すくい角が前記エッジ部上に存在する全ての切削点において略同一となる形状に前記すくい面を形成したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のブローチにおいて、HRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工する切れ刃が軸方向に沿って複数整列配置され、切れ刃を構成する工具材質が超微粒子系超硬合金であって、少なくとも前記切れ刃のエッジ部及び逃げ面が硬質皮膜でコーティングされ、かつ切れ刃のエッジ部上に存在する全ての切削点における真すくい角が−8°〜−5°の間の一定値に設定されて形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載のブローチにおいて、超微粒子系超硬合金は、粒径1μm以下のWCの微粉末を12%以下のCoをバインダとして焼結した超微粒子系超硬合金であって、硬質皮膜は、酸化開始温度が800℃以上の特性を有する(TiAl)Nであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載のブローチにおいて、切れ刃の逃げ角が、1°〜5°であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載のブローチにおいて、複数列の切れ刃内において最終仕上げ刃群以外の切れ刃の切削幅が0.2から2mmであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれかに記載のブローチにおいて、複数列の切れ刃内において最終仕上げ刃群の切れ刃は、軸方向前側の切れ刃に対し軸方向後側の切れ刃における切り込み方向のバラツキ量が0μm〜4μmで2刃以上配列されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項2〜6のいずれかに記載のブローチにおいて、切れ刃の切り込み量が、5μm〜15μmであることを特徴とする。
請求項8の発明は、すくい面と逃げ面との稜線部分に形成されるエッジ部が径方向内方から径方向外方に向かって移行するにしたがって軸部の軸方向後側に漸次移行する複数の切れ刃を軸方向に沿って整列配置したブローチにおいて、各切れ刃のエッジ部は、軸方向前側の切れ刃から軸方向後側の切れ刃に移行するにしたがって順次径方向内方から径方向外方に変位する位置に設けられており、各切れ刃のエッジ部上の任意の切削点を通過して軸部の軸心に直交する方向に延在する仮想軸直角平面上で切削点の接線に直交して切削点を通過する法線方向の仮想基準線と、仮想基準線を包含して軸部の軸方向に沿って延在する仮想軸方向平面上ですくい面との交差部分に形成される仮想交差線と、の間に形成される真すくい角が各切れ刃で略同一となる形状に各切れ刃のすくい面を形成したことを有することを特徴とするブローチ。
請求項9に記載した切削加工方法の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載のブローチを用いて切削速度が35m/min〜75m/minでHRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工することを特徴とする。
請求項1の発明によると、エッジ部上の全ての切削点における真すくい角を略同一とする形状にすくい面を形成することによって、エッジ部に加えられる切削方向の力をエッジ部全体に亘って均一な力とすることができる。これにより、エッジ部の基端側が局所的に摩耗する偏摩耗を防ぎ、ブローチとしての工具寿命の低下を抑制することができる。
請求項2の発明によると、HRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工するブローチのすくい角が−8°より小さいと加工面粗さが悪化し、かつ工具寿命が低下する一方、すくい角が−5°より大きくなると切れ刃の強度が低下してチッピング等が発生するが、真すくい角を−8°〜−5°の間の一定値となるように形成することにより、良好な加工面粗さが確保できかつエッジ部の強度が確保できて工具寿命の低下が低減して効率的な仕上げ切削加工が可能になる。
請求項3の発明によると、切れ刃を粒径1μm以下のWC(タングステンカーバイト;炭化タングステン)の微粉末を12%以下のCo(コバルト)をバインダとして焼結した超微粒子系超硬合金で構成し、酸化開始温度が800℃以上の特性を有する(TiAl)Nの硬質皮膜でコーティングすることで温度上昇による切れ刃の強度低下が抑制できる。
請求項4の発明によると、切れ刃の逃げ角を1°〜5°に設定することにより、良好な加工粗さを確保しつつ、逃げ面のこすり圧による摩耗の発生が抑制されると共に切れ刃の強度が確保できて工具寿命の低下を抑制できる。
請求項5の発明によると、切れ刃の切削幅を0.2mm〜2mmに設定することで、切削効率を確保しつつ、切削幅方向の両端側におけるVB摩耗を抑制して工具寿命の低下を低減できる。
請求項6の発明によると、最終仕上げ刃群において、軸方向前側の切れ刃に対し軸方向後側の切れ刃における切り込み方向のバラツキ量を0μm〜4μmで2刃以上配列することで、被加工物の加工寸法精度のバラツキが抑制されて、良好な切削加工が得られる。
請求項7の発明によると、切れ刃の切り込み量が5μmより小さいと切り込まず、次に連続する切れ刃の負担が増大して工具寿命を低下させ、切り込み量が15μmを超えると切削荷重が増大して工具寿命の低下を招くが、切り込み量を5μm〜15μmに設定することで、切れ刃の負担が軽減されると共に、切削荷重及び切削温度の上昇が抑制され工具寿命が向上する。
請求項8の発明によると、各切れ刃のエッジ部が軸方向前側から軸方向後側に移行するにしたがって軸部の径方向内方から径方向外方に変位する位置に設けられているので、ブローチ加工時にワークに対してブローチを軸方向前方から軸方向後方に向かって移動させることによって、ワークの切削箇所を軸部から漸次離間する方向に移動させて、最終的に所望の形状に加工形成することができる。
そして、真すくい角が各切れ刃で略同一となる形状に各切れ刃のすくい面を形成することにより、各切れ刃のすくい面を、軸方向前側の切れ刃から軸方向後方の切れ刃に移行するにしたがって漸次増大する傾斜角度に形成することができる。したがって、各切れ刃のすくい面の形状を平面化することができ、ブローチの製造を容易なものとすることができる。また、エッジ部に加えられる切削方向の力を各切れ刃で均一なものとすることができ、切れ刃の偏摩耗を防ぎ、工具寿命の低下を抑制することができる。
請求項9の発明によると、切削速度が35m/minから75m/minでHRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工することで、良好な加工面粗さを確保すると共に、切削温度の上昇によるエッジ部の強化低下に起因する摩耗を抑制してブローチとしての工具寿命の低下を抑制しつつ経済的な切削速度が確保できる。
(第1実施の形態)
次に、本発明のブローチに係わる第1実施の形態について図に基づいて説明する。図1は、第1実施の形態を示すブローチ1の側面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は切れ刃12の軸直角方向断面図、図4は図1のブローチ1による切れ刃12の歯形部による切削加工前の被加工物の形状と切削加工後における被加工物の形状を示す説明図、図5は同じく大径部による切削加工前の被加工物の形状と切削加工後における形状を示す説明図、図6は図3のB−B線断面図、図7は、図3のC−C線断面図、図8は図1における切れ刃の側面拡大図、図9は、エッジ部の任意の切削点P1における仮想軸直角平面H、仮想基準線Lb、仮想軸方向平面V、仮想交差線Lcを示す斜視図であり、図10は、切削点P2における仮想軸直角平面H、仮想基準線Lb、仮想軸方向平面V、仮想交差線Lcを示す斜視図である。
ブローチ1は、図1に示すように、その一端にはブローチ1を切削加工方向である軸方向前側Fに引くための前掴み部2、前案内部3、切削刃部4、後案内部8が順に設けられ、他端にブローチ1を引き戻すための後掴み部9が設けられている。切削刃部4は、熱処理された焼入材によって形成された被加工物の熱処理ひずみを除去する荒削りのための荒削刃群5と所定の最終形状寸法に加工する仕上げ刃群6とで構成され、仕上げ刃群6の中で特に精度良く仕上げ加工を行う最終仕上げ刃群7が構成されている。
切削刃部4の荒削刃群5及び仕上げ刃群6には、周方向及び軸方向に複数列の切れ刃12が配列されている。切れ刃12は、仕上げ代を60μmより大きくして切れ刃12自体の熱処理に伴って生じた熱処理ひずみを完全に除去して形成されており、軸部11の外周面から径方向に突出して軸方向に延在する凸形状を有している。そして、図8に示すように、軸方向前側にすくい面13が形成され、軸方向に沿って逃げ面14が形成され、すくい面13と逃げ面14との稜線部分によってエッジ部15が形成されている。
切れ刃12は、図3に示すように、歯形部16と大径部17を有しており、歯形部16は、軸部11から所定の曲率半径で凸状に湾曲して突出する一対のR壁部を有しており、大径部17は、歯形部16の径方向外方端で径方向に直交する方向に直線状に延在する形状を有している。
図3において符号16aが歯形部16の切削幅で、17aが大径部17の切削幅である。そして、図4における実線16bが歯形部16による切削加工前の被加工物の形状を示し、かつ二点鎖線16cが歯形部16による切削加工後の被加工物の形状を示し、tがその切削加工における切り込み量を示している。同様に図5における実線17bが大径部17による切削加工前の被加工物の形状を示し、かつ二点鎖線17cが大径部17による切削加工後の被加工物の形状を示し、tがその切削加工における切り込み量を示している。
すくい面13は、図6及び図7に示すように、実際のすくい角である真すくい角αsが−8°〜−5°の間の値でかつエッジ部15の全ての切削点においてほぼ同一となる形状に形成されている。ここで、真すくい角αsとは、図9及び図10に示すように、エッジ部15の任意の切削点、例えばP1、P2を通過して軸部11の軸心Oに直交する方向に延在する仮想軸直角平面H上で切削点P1、P2の接線Ltに直交して切削点を通過する法線方向の仮想基準線Lbと、その仮想基準線Lbを包含して軸部11の軸方向に沿って延在する仮想軸方向平面V上ですくい面13との交差部分に形成される仮想交差線Lcと、の間に形成される角度をいう。
逃げ面14は、図8に示すように、軸方向前側から後側に向かって移行するにしたがって漸次互いに接近しかつブローチ1の軸心側に移行するように傾斜形成されている。そして、大径部17及び歯形部16において逃げ角βを有するように形成されている。
上記構成を有するブローチ1によれば、例えば図6及び図7に示すように真すくい角αがエッジ部15上に存在する全ての切削点Pにおいてほぼ同一となる形状にすくい面13が形成されているので、ブローチ加工時にエッジ部15に加えられる切削方向の力をエッジ部15全体に亘って均一な力とすることができる。したがって、エッジ部15の歯元側が歯先側よりも摩耗する局所的な偏摩耗を防ぐことができ、ブローチ1としての工具寿命の低下を抑制することができる。
次に、発明者が行った実験結果と、その実験結果から知得したブローチ30、50の工具寿命、並びに加工精度等のデータを以下に示す。
図11は、実験に用いたブローチ30の構成を説明する図、図12は、従来の切れ刃52の構成を説明する図、図13は、本発明に係わる切れ刃32の構成を説明する図である。
ブローチ30は、円柱状の軸部31と、その軸部31の外周面から径方向に突出して軸方向に沿って延在する半円柱状の切れ刃32とを有している。切れ刃32は、その軸心が軸方向前方から軸方向後方に向かって移行するにしたがって漸次軸部31の軸心に接近するように傾斜して配置されている。そして、軸部31の外径は約40mmに設定され、切れ刃32の外径は約4mmに設定されている。
[ブローチの工具材質及び硬質皮膜]
ここで、ブローチ30による切削加工にあたり、発明者等の実験等により切削速度が35m/min〜80m/minで切り刃32による切り込み量tが5μm〜50μmでは、切削温度が400℃から900℃まで変化することが確認される一方、超微粒子系超硬合金は、温度が上昇するに伴って強度が低下することから、それに適した超微粒子系超硬合金や硬質皮膜を使用することが重要である。
このために、本実施の形態において、各切れ刃32を、その工具材質が例えば粒径1μm以下のWC(タングステンカーバイト;炭化タングステン)の微粉末を12%以下のCo(コバルト)等をバインダとして焼結した超微粒子系超硬合金によって形成し、かつ、酸化開始温度が800℃以上の特性を有する(TiAl)N等の硬質皮膜38によってコーティングしている。
[ブローチ切り刃形状]
「すくい角」
(実験1)
まず最初に、従来のブローチ50による実験結果を以下に示す。上記ブローチ50は、図12に示すように、本発明に係わるブローチ30と同様に、切れ刃52が半円柱形状を有しており、エッジ部55が歯元から歯先に移行するにしたがって漸次軸方向後方に移行するように後方に傾斜して形成される略平面状のすくい面53を有している。
したがって、ほぼ平面のすくい面53と逃げ面54との稜線部分に形成されたエッジ部55の切削点Pにおける真すくい角αsは、切削点Pが歯先から歯元に移行するにしたがって漸次増加する。例えば、切れ刃52の軸直角方向断面図である図12(a)に示すように、角度θを有した切削点P0における真すくい角(αs)は、下記の式(1)によって近似できる。
tan(αs)=tan(α)/R*(A-(R^2+A^2+2AR*cos(θ))^0.5…(1)
そして、切れ刃52のすくい面53、エッジ部55、逃げ面54に硬質皮膜58をコーティングしかつすくい面53のすくい角αが0°、−3°、−5°、−7°、−10°、−15°の切れ刃52を備えた6種類のブローチ50と、すくい面53に硬質皮膜58がコーティングされていない、すくい面53のすくい角αが0°、−3°、−5°、−7°、−10°、−15°の切れ刃52を備えた6種類のブローチ50により、HRC50〜HRC65相当の焼入材の被加工物を切削速度60m/minで、切り込み量を10μmとし、ミスト状の植物性油脂を塗布して切削加工した。この切削加工において工具の寿命判定基準となる切削長の判定は、切れ刃52の軸方向断面図である図12(b)に示すように、エッジ部55から逃げ面54上に生ずるコーティング剥離長CLが0.1mmに達したときとした。
その結果を図14及び図15に示す。図14は、すくい面53に硬質皮膜58がコーティングされている場合のすくい角αと切削長との関係、図15は、すくい面53に硬質皮膜58がコーティングされていない場合のすくい角αと切削長との関係を示す実験結果である。図14において、すくい角αは−8°よりもマイナス方向に変化するほど、切れ刃52に対する切削方向の圧縮応力が増加し、硬質皮膜58に圧縮割れが発生し、コーティング剥離が生ずることが確認された。したがって、すくい面53に硬質皮膜58がコーティングしてあるときは、すくい角αは0°〜−8°の範囲が好ましい。また、図15に示すように、すくい面53に硬質皮膜58がコーティングされていないときは、すくい角αは−5°〜−11°の範囲が好ましい。上記の実験結果により、良好に使用できるすくい角αの範囲は、硬質皮膜58のコーティングありとなしの両方を満たす範囲であり、−5°〜−8°という範囲に限定される。
しかしながら、ブローチ50は、すくい面53がほぼ平面に形成されているので、エッジ部55の歯元と歯先とでは真すくい角αsが異なり、例えば、すくい面53のすくい角αを−10°と設定すると、真すくい角αsは、歯先では−10°であるが、歯元に移行するにしたがって漸次プラス側に移行し、歯元では−4°となる。このため、歯先では硬質皮膜58のコーティング剥離が生じ、歯元では切削時にエッジ部55を押しつぶす方向に荷重が加えられて摩耗が早く進行する。
一方、本発明に係わるブローチ30のすくい面33は、真すくい角αがすくい面33と逃げ面34との稜線部分に形成されたエッジ部35の全ての切削点Pにおいてほぼ同一となる形状に形成されている。例えば、切れ刃32の軸方向断面図である図13(b)に示すように、切れ刃32を横から見た場合に、すくい面33は凹状の曲線を描くように形成され、そのすくい面曲線f(x)は、下記の式(2)によって近似できる。
f(x)=R*tan(αs)/A*{A*Log[(R^2+A^2+2AX)^0.5-A]}…(2)
ただし、X=R*cosθ
(実験2)
すくい面53のすくい角αが0°、−5°、−10°、−15°の切れ刃52を備えた従来の4種類のブローチ50と、真すくい角αsがエッジ部35の全ての切削点Pで−7°±1°の切れ刃32を備えた本発明のブローチ30とを用いて、HRC50〜HRC65相当の焼入材の被加工物を切削速度60m/minで、切り込み量は10μmとし、ミスト状の植物性油脂を塗布した状態で切削加工した。この切削加工において工具の寿命判定基準となる切削長の判定は、エッジ部35、55から逃げ面34、54上に生ずる硬質皮膜38、58のコーティング剥離長CLが0.1mmに達したときとした。
その結果を図16及び図17に示す。図16はコーティングありの場合のすくい角α,αsと切削長との関係を示す実験結果、図17は、コーティングなしの場合のすくい角α,αsと切削長との関係を示す実験結果である。図16及び図17に示すように、本発明のブローチ30が従来のブローチ50よりも切削長が長く、工具寿命が長いことが確認できた。
「逃げ角」
切れ刃32の逃げ面34が、リリーフ角である逃げ角βが0°であるストレートランドの部分を有しない逃げ面34であって、その逃げ角βが0.5°以下であると、被加工物の加工面粗さが悪化し、逃げ面34のこすり圧により被加工物に焼けが発生する。また、逃げ角βが1°未満であるとこすり圧により摩耗が発生して工具寿命が低下する。一方、逃げ角βが5°より大きいと、すくい面33と逃げ面34によって決定されるエッジ部35の肉厚が減少してエッジ部35の強度が低下し、チッピングが発生する。また、逃げ角βが大きいと、すくい面33を研削してエッジ部35を研ぎ直す再研削に従って次第に刃厚が小さくなり、切れ刃32により許容される切削加工可能数が低下して経済的に好ましくないことから、逃げ角βを1°〜5°の範囲に設定する。
(実験3)
真すくい角αsがエッジ部35状に存在する全ての切削点Pにおいて−7°±1°でかつ逃げ角βが0.5°、1.0°、1.5°、2.5°、3.0°、5.0°の切れ刃32を備えたそれぞれのブローチ30により、HRC50〜HRC65の焼入材の被加工物を切削速度が35m/min〜80m/minの範囲内で切削加工した。この切削加工において工具の寿命判定基準となる切削長の判定は、エッジ部35のVB摩耗が0.1mmに達したときとした。
その結果を図18及び図19に示す。図18は逃げ角βと加工面粗さとの関係、図19は逃げ角βと切削長との関係を示す実験結果である。図18において、逃げ角βは0.5°以下であると加工面粗さが低下すると共に、逃げ面34によるこすり圧により被加工物に焼けが発生することが確認された。また、図19において、逃げ角βが1°より小さいと、逃げ面34によるこすり圧による摩耗の発生が激しくなり、工具寿命が低下することが確認できた。一方、逃げ角βが5°より大きいと、エッジ部35の肉厚が減少してエッジ部35の強度が低下してチッピングが発生する等の不具合が懸念される。
よって、ブローチ30によりHRC50〜HRC65の被加工物を、切削速度が35m/min〜80m/minで切削加工するには、エッジ部35の全ての切削点Pにおいて真すくい角αsを−7°±1°に設定し、かつ逃げ角βの設定は、1°〜5°の範囲で加工精度が良く、かつ経済的に切削加工ができる。
「切削幅」
切れ刃32のエッジ部35の長さである切削幅が増大すると切削抵抗が大きくなり、切削幅方向両端側に発生するVB摩耗の進行が急激になり、工具寿命が低下することが懸念される。一方、切削幅を過小にすると切削効率が低下することから、特に良好な仕上げ加工精度を確保するための最終仕上げ刃群7以外の切れ刃32の切削幅を0.2mm〜2mmの範囲に設定する。
(実験4)
HRC50〜HRC65の被加工物を、切れ刃32がそのすくい面33に硬質皮膜38のコーティングが無く、切り込み量tが12μm、逃げ角βが2.5°の切れ刃32を軸方向に40枚備え、切削幅が0.2mm、0.5mm、0.8mm、1mm、2mm、3mm、4mmの7種類のブローチ30によって切削速度が60m/minで切削加工してそれぞれの切削長を判定した。この切削加工において工具寿命の判定基準となる切削長の判定は、エッジ部35のVB摩耗が0.1mmに達したときとした。
その結果を図20に示す。図20は切削幅と切削長との関係を示す実験結果である。図20において、切削幅が2mmを越えると、その切削幅方向の両端側におけるVB摩耗の進行が急激に大きくなり、工具寿命の低下が確認できた。
よって、切削幅を過小にすると切削効率が低下することを考慮して、切削幅を0.2mm〜2mmの範囲に設定することによって、工具寿命を確保して経済的に切削加工ができる。なお、ブローチ30は、切れ刃32を千鳥状に配置することも、また切れ刃32に切削時の切りくずを分割するためのニックを設けることもできる。
「最終仕上げ刃」
仕上げ刃群6の中で特に良好な仕上げ加工精度を確保するための最終仕上げ刃群7において、切れ刃32を切削加工方向に複数配列することによって被加工物の加工寸法精度のバラツキが抑制されて安定する。この最終仕上げ刃群7における切削加工方向Fに配列される切れ刃32の数は、設備によるブローチ30の加工ストローク及びブローチ30の全長によって制限され、通常最大10刃程度に設定される。ここで、最終仕上げ刃群7において、切削加工方向Fに隣接する切れ刃32は、切削加工方向Fにおける前側の切れ刃32に対し後側の切れ刃32が、切り込み方向のバラツキ量が0μm〜4μmの範囲で2刃以上配列されている。
(実験5)
HRC50〜HRC65の焼入材の被加工物を、最終仕上げ刃群7において切削加工方向Fに配列される切れ刃32が1刃、隣接する切れ刃32の切り込み方向のバラツキ量が0μm〜4μmで配列された切れ刃32が2刃、3刃、4刃のそれぞれのブローチ30により切削加工し、被加工物に切削加工された溝に予め設定された種々の外径を有する基準ボールを接触させて、その内径を計測した。
その結果を図21に示す。図21は切削加工方向Fに沿って配列された切れ刃32の数、即ち最終仕上げ刃数と切削加工された溝の寸法バラツキとの関係を示す実験結果である。図21において、切れ刃32が1刃のブローチ30による切削加工された溝寸法はバラツキが大きい。一方、切れ刃32を2刃以上配列することによって溝寸法のバラツキが抑制され寸法精度が確保でき、良好な切削加工が得られることが確認できた。
最終仕上げ刃群7において、切削加工方向Fで隣接する切れ刃32は、切削加工方向Fにおいて前側の切れ刃32に対し後側の切れ刃32が切り込み方向のバラツキ量が0μm〜4μmの範囲で、切削加工方向Fに沿って複数配列することにより、被加工物の加工寸法精度のバラツキが抑制されて、良好な仕上げ切削加工が得られる。
[切り込み量]
ブローチ30による切削加工にあたり、その切れ刃32の切り込み量tは、チッピング発生の大きな要因である。HRC50〜HRC65の焼入材の被加工物を仕上げ切削加工する際に、切れ刃32の切り込み量が5μmより小さいと切り込まず、その切れ刃32に連続する次の切れ刃32の負担が過大になり、チッピングの発生原因となり、工具寿命の低下を招く要因となる。一方、切れ刃32の切り込み量が15μmを越えると著しく切削荷重が増大して切削温度が上昇し、チッピングが発生して工具寿命の低下を招く原因となる。また、切削温度の上昇に伴ってエッジ部35の温度が上昇して摩耗が激しくなり切削能率が低下する。
そこで、切れ刃32の負担を軽減すると共に、切削荷重及び切削温度の上昇を抑制して工具寿命を確保するために切れ刃32の切り込み量を5μm〜15μmの範囲に設定する。
(実験6)
HRC50〜HRC65の焼入材の被加工物を、エッジ部35の全ての切削点Pにおいて真すくい角αsを−7°±1°に設定し、かつ逃げ角βを1.5°〜5°の範囲のブローチ30によって切削速度が35m/min〜80m/minの範囲で、種々の切り込み量tで切削加工した。この切削加工において工具寿命の判定基準となる切削長の判定は、エッジ部のVB摩耗が0.1mmに達したときとした。
その結果を図22に示す。図22は切り込み量と切削長との関係を示す実験結果である。図22において、切り込み量tが5μmより小さいと切り込まず、切れ刃32の切り込み量が15μmを越えると著しく切削荷重が増大して切削温度が上昇し、チッピングが発生して工具寿命の低下を招くことが確認できた。
そこで、切れ刃32の切り込み量を5μm〜15μmの範囲に設定することで、切れ刃32の負担を軽減すると共に、切削荷重及び切削温度の上昇を抑制して工具寿命を確保する。
[切削速度]
ブローチ30による切削加工において、切削速度が過小であると被加工物の加工面が粗く、早期にチッピングが発生すると共に経済的でない。一方、切削速度が過大であると切削荷重が増大して切削温度が上昇し、チッピングが発生して工具寿命の低下を招く原因となる。また、切削温度の上昇に伴ってエッジ部35の温度が上昇してエッジ部35の強度低下に起因して摩耗が激しくなり切削効率が低下する。そこで加工面粗さが良好で工具寿命が確保できる経済切削速度として切削速度を35m/min〜75m/minの範囲に設定する。
(実験7)
真すくい角αsがエッジ部35の全ての切削点Pにおいて−7°±1°に設定されたブローチ30により、HRC50〜HRC65の焼入材の被加工物を種々の切削速度で切削加工した。この切削加工において工具寿命の判定基準となる切削長の判定はエッジ部35のVB摩耗が0.1mmに達したときとした。
その結果を図23及び図24に示す。図23は切削速度と加工面粗さとの関係、図24は切削速度と切削長との関係を示す実験結果である。図23に示されるように、切削速度が6m/minでは被加工物の加工面が粗く、早期にチッピングが発生する。また、35m/min以上では良好な加工面粗さが得られた。一方、図24に示すように切削速度が75m/minを越えると切削温度が上昇してエッジ部35の強度低下に起因して摩耗が激しくなると共に、チッピングが発生して工具寿命の低下が確認されたが、加工面粗さは良好であった。従って、加工面粗さが良好で工具寿命が確保できる経済切削速度として切削速度を35m/min〜75m/minの範囲に設定する。
以上説明したように、HRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工する少なくとも複数列の切れ刃32を有するブローチ30において、切れ刃32を構成する工具材質が超微粒子系超硬合金であって、少なくとも切れ刃32のエッジ部35と逃げ面34を硬質皮膜でコーティングし、かつエッジ部35の全ての切削点Pにおいて真すくい角αsを−7°±1°に設定することにより良好な加工面粗さを確保しつつ、エッジ部35の強度の確保を図り、工具寿命を向上して効率的な仕上げ切削加工が可能になる。
また、上記切れ刃32の真すくい角αsが−7°±1°に設定されたブローチよる切削速度を35m/mi〜75m/minに設定することで良好な加工面粗さ確保すると共に、切削温度の上昇によるエッジ部35の強度低下に起因する摩耗を抑制して工具寿命を向上しつつ経済切削速度が得られる。
(第2実施の形態)
次に、本発明のブローチに係わる第2実施の形態について以下に説明する。図25は、第2実施の形態に係わるブローチ40の構成を説明する図であり、図25(a)は、切れ刃42の縦断面図、図25(b)は、切れ刃42の横断面図である。
第2実施の形態において特徴的なことは、各切れ刃42のエッジ部45が軸方向前側の切れ刃42−1から軸方向後側の切れ刃42−nに移行するにしたがって順次径方向内方から径方向外方に変位する位置に設けられており、各切れ刃42のエッジ部45が互いにほぼ同一の真すくい角αsを有するようにそれぞれ形成したことである。
これによれば、ブローチ加工時に被加工物に対してブローチ40を軸方向前方から軸方向後方に向かって移動させることによって、被加工物の切削箇所を軸部41から漸次離間する方向に移動させて、最終的に所望の形状に加工形成することができる。
そして、各切れ刃42のすくい面43を、軸方向前側の切れ刃42−1から軸方向後方の切れ刃42−nに移行するにしたがって漸次増大する傾斜角度に形成することができる。したがって、各切れ刃42のすくい面43を所定範囲内の傾斜角度で傾斜した形状とすることができる。例えば、軸方向前側の切れ刃42−1のすくい角αをθとすると、次の切れ刃42−2のすくい角αをθ+Δθ1、更に次の切れ刃42−3のすくい角αをθ+Δθ2に設定することができる。したがって、各切れ刃42のすくい面43の形状を平面化でき、ブローチ40の製造を容易なものとすることができる。そして、エッジ部45に加えられる切削方向の力を各切れ刃42−1〜42−nで均一なものとすることができ、偏摩耗を防ぎ、工具寿命の低下を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1実施の形態では切れ刃32を含むブローチ30全体を超微粒子系超硬合金により一体形成したが、図26に断面図を示すように、切れ刃12のみを超微粒子系超硬合金により構成し、前掴み部2、前案内部3、切削刃部4、後案内部8及び切り刃12を保持するホルダが一体形成されたブローチ本体1aに切れ刃12をろう付け等によって一体に結合することもできる。
第1実施の形態を示すブローチの側面図である。 同じく、図1のA−A線断面図である。 同じく、切れ刃の軸直角方向断面図である。 同じく、図1のブローチによる切れ刃の歯形部による切削加工前の被加工物の形状(実線16b)と切削加工後における被加工物の形状(二点鎖線16c)を示す説明図である。 同じく、大径部による切削加工前の被加工物の形状(実線17b)と切削加工後における形状(二点鎖線17c)を示す説明図である。 同じく、図3のB−B線断面図である。 同じく、図3のC−C線断面図である。 同じく、図1における切れ刃の側面拡大図である。 同じく、エッジ部の切削点P1における仮想軸直角平面H、仮想基準線Lb、仮想軸方向平面V、仮想交差線Lcを示す斜視図である。 同じく、切削点P2における仮想軸直角平面H、仮想基準線Lb、仮想軸方向平面V、仮想交差線Lcを示す斜視図である。 同じく、実験に用いたブローチの構成を説明する図である。 同じく、従来の切れ刃の構成を説明する図である。 同じく、本発明に係わる切れ刃の構成を説明する図である。 実験1における硬質皮膜コーティングありの場合のすくい角と切削長との関係を示す実験結果である。 実験1における硬質皮膜コーティングなしの場合のすくい角と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 実験2における硬質皮膜コーティングありの場合のすくい角と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 実験2における硬質皮膜コーティングなしの場合のすくい角と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 実験3における逃げ角と加工面粗さとの関係を示す実験結果である。 実験3における逃げ角と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 実験4における切削幅と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 実験5における最終仕上げ刃数と切削加工された溝の寸法バラツキとの関係を示す実験結果である。 実験6における切り込み量と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 実験7における切削速度と加工面粗さとの関係を示す実験結果である。 実験7における切削速度と切削長(工具寿命)との関係を示す実験結果である。 第2実施の形態に係わるブローチの構成を説明する図である。 更に他の実施の形態を示す説明図である。 従来のブローチを説明する軸直角方向断面図である。 図27の要部拡大図である。 図28のI−I線断面図である。 図28のII−II線断面図である。 図28のIII−III線断面図である。
符号の説明
1、30、40 ブローチ
11、31、41、51 軸部
12、32、42、52 切れ刃
13、33、43、53 すくい面
14、34、44、54 逃げ面
15、35、45、55 エッジ部
16 歯形部
17 大径部
18、38、58 硬質皮膜
P1 切削点
H 仮想軸直角平面
V 仮想軸方向平面
Lb 仮想基準線
Lc 仮想交差線
Lt 接線

Claims (9)

  1. すくい面と逃げ面との稜線部分に形成されるエッジ部が軸部の径方向内方から径方向外方に向かって移行するにしたがって軸部の軸方向後側に漸次移行する切れ刃を有するブローチにおいて、
    前記エッジ部上の任意の切削点を通過して軸部の軸心に直交する方向に延在する仮想軸直角平面上で前記切削点の接線に直交して前記切削点を通過する法線方向の仮想基準線と、該仮想基準線を包含して前記軸部の軸方向に沿って延在する仮想軸方向平面上で前記すくい面との交差部分に形成される仮想交差線と、の間に形成される真すくい角が前記エッジ部上に存在する全ての切削点において略同一となる形状に前記すくい面を形成したことを特徴とするブローチ。
  2. HRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工する切れ刃が軸方向に沿って複数整列配置され、
    前記切れ刃を構成する工具材質が超微粒子系超硬合金であって、少なくとも前記切れ刃のエッジ部及び逃げ面が硬質皮膜でコーティングされ、かつ切れ刃のエッジ部上に存在する全ての切削点における真すくい角が−8°〜−5°の間の一定値に設定されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のブローチ。
  3. 前記超微粒子系超硬合金は、粒径1μm以下のWCの微粉末を12%以下のCoをバインダとして焼結した超微粒子系超硬合金であって、前記硬質皮膜は、酸化開始温度が800℃以上の特性を有する(TiAl)Nであることを特徴とする請求項2に記載のブローチ。
  4. 前記切れ刃の逃げ角が、1°〜5°であることを特徴とする請求項2又は3に記載のブローチ。
  5. 前記複数列の切れ刃内において最終仕上げ刃群以外の切れ刃の切削幅が0.2から2mmであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のブローチ。
  6. 前記複数列の切れ刃内において最終仕上げ刃群の切れ刃は、軸方向前側の切れ刃に対し軸方向後側の切れ刃における切り込み方向のバラツキ量が0μm〜4μmで2刃以上配列されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のブローチ。
  7. 前記切れ刃の切り込み量が、5μm〜15μmであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のブローチ。
  8. すくい面と逃げ面との稜線部分に形成されるエッジ部が径方向内方から径方向外方に向かって移行するにしたがって軸部の軸方向後側に漸次移行する複数の切れ刃を軸方向に沿って整列配置したブローチにおいて、
    各切れ刃のエッジ部は、軸方向前側の切れ刃から軸方向後側の切れ刃に移行するにしたがって順次径方向内方から径方向外方に変位する位置に設けられており、
    各切れ刃のエッジ部上の任意の切削点を通過して軸部の軸心に直交する方向に延在する仮想軸直角平面上で前記切削点の接線に直交して前記切削点を通過する法線方向の仮想基準線と、該仮想基準線を包含して前記軸部の軸方向に沿って延在する仮想軸方向平面上で前記すくい面との交差部分に形成される仮想交差線と、の間に形成される真すくい角が各切れ刃で略同一となる形状に各切れ刃のすくい面を形成したことを有することを特徴とするブローチ。
  9. 前記請求項1〜8のいずれかに記載のブローチを用いて切削速度が35m/min〜75m/minでHRC50〜HRC65相当の被加工物を切削加工することを特徴とする切削加工方法。
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