JP2001287116A - ブローチ加工方法 - Google Patents
ブローチ加工方法Info
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Abstract
削物を精度よく、加工効率がよく、制御を複雑にするこ
となくブローチ加工する。 【解決手段】 多数の超硬合金からなる切刃11を配置
したブローチカッタであって、かつ、切刃は本体の外周
面に形成されたねじれ溝12a,12bに沿って配設さ
れた内面加工用超硬ねじれ刃溝ブローチカッタ1を使用
し、ブローチ加工時の切削速度を40〜60m/min
とする。切刃にTiCN系、又はTiAlN系のコーテ
ィングを被膜する。さらに、複数条のねじれ溝の条数と
同数以上のノズル13a、13bを設け、ブローチ静止
時においてぞれぞれのノズルが相対するねじれ溝にクー
ラントが供給されるように配置し、クーラントを供給し
ながら加工する。また、被削物の被加工部のロックウェ
ルかたさが50〜68HRcである。
Description
に多数の切刃を配置したブローチカッタを使用したブロ
ーチ加工方法、特に被加工材料の被加工部のロックウェ
ルかたさが50HRc以上の高硬度材のブローチ加工方
法に関する。
ーラント、微量ミストのセミドライにて硬度が20〜3
0HRc(ロックウェルかたさCスケール:以下同じ)
以下の加工物を対象に行っている。このため加工物はブ
ローチ加工後、硬度を上げるための熱処理をされる物が
多い。例えば、自動車のミッション部品は、インボリュ
ートスプライン穴をブローチ加工された後、インボリュ
ートスプライン部を浸炭焼き入れされる。このときの焼
き入れ部の硬度は60HRc以上であり、浸炭深さは約
1mmである。しかし、浸炭焼き入れすると熱処理歪み
が発生し、インボリュートスプライン部の精度(径寸
法、歯筋、ピッチなど)が悪化する。従って、加工精度
の高いブローチ加工を行ってもその後の焼き入れのため
加工精度が低下し、ブローチ加工の優位性を維持するこ
とができない。
さらに精度の高いブローチ加工を行いたいのであるが、
従来の高速度工具鋼材料をその切刃に用いたハイスブロ
ーチでは、50HRc以上の高硬度材(熱処理後の加工
物)の加工は不可能であり、仮に加工しても、刃先の摩
耗やチッピングなどにより刃具の寿命が極端に短くなり
実用的ではない。また、ダイヤモンド等を電着させた超
砥粒電着ブローチに軸方向に微少振動与えながら加工を
行う振動ブローチ加工が行われているが、加工代が限ら
れており、機械構造も複雑で、加工速度も低く、一般化
していない。また、熱処理歪み量は0.07mm以上の
加工物が多いのであるが、現在の振動ブローチ加工の取
り代は径で0.07mm以下と小さく熱処理歪みを完全
に除去できない部品が多く又加工能率が悪いという問題
があった。一方、切削時における振動の防止及び切屑詰
まりをなくし、切削速度を上げるために実開昭61−4
6123号公報においては、ブローチの切刃をねじれ溝
に沿って形成した内面加工用ねじれ刃溝ブローチカッタ
が記載されている。しかし高硬度加工材料の加工につい
ては示唆も開示もされていない。その他、超硬合金材料
の切刃を有する超硬ブローチ等種々のブローチがあるが
熱処理後の高硬度材のブローチ加工については示唆も開
示もされていない。
熱処理等によって硬くされたあるいは硬い、かたさが5
0HRc以上の高硬度材料等の被削物を精度よく、また
加工取り代も大きく加工効率がよく、振動ブローチのよ
うに機械の制御を複雑にすることのないブローチ加工方
法を提供することである。
外周に軸方向に多数の超硬合金からなる切刃を配置した
ブローチカッタであって、かつ、切刃が本体の外周面に
形成されたねじれ溝に沿って配設された内面加工用超硬
ねじれ刃溝ブローチカッタを使用し、ブローチ加工時の
切削速度を40〜60m/minにしたブローチ加工方
法を提供することによって上記課題を解決した。
外周面に形成されたねじれ溝に沿って配設することによ
り、高硬度材を高速切削すると同時に切刃への衝撃を小
さくできるので、切刃のチッピングや破損が少ない。ま
た、実切削荷重が減少し省エネとなる。また、荷重変動
が少なく加工面粗度が良い。ブローチ速度が40m/m
in未満では、加工面粗度が悪くまた刃の摩耗が早く実
用的でなく、40〜60m/minがよい。なお、上限
を60m/minとしたのは、発明者等が実験に使用で
きるブローチ盤の送り速度が60m/minでほぼ限界
の為であり、これ以上の速度でも同様な効果が期待でき
ることは言うまでもない。
TiAlN系のコーティングを被膜した内面加工用超硬
ねじれ刃溝ブローチカッタを使用するとよい(請求項
2)。
チカッタにおいては、ねじれ溝に沿ってクーラントが流
れやすいので、請求項3においては、ブローチカッタの
ねじれ溝を複数条のねじれ溝とし、この複数条のねじれ
溝の条数と同数以上のノズルを設け、ブローチ静止時に
おいてぞれぞれのノズルが相対するねじれ溝にクーラン
トが供給されるように配置し、さらに、ねじれ溝にクー
ラントを供給しながら加工するようにした。クーラント
の方法は、湿式(油性・水溶性クーラント)、ミスト、
セミドライ(微量ミスト)の各手段があるが、特にセミ
ドライ加工では、本請求項3に係る発明においては、微
量ミストであってもねじれ溝に沿って微量ミストが浸透
していくので従来の軸直角刃溝ブローチよりもクーラン
ト効果が優れている。
ーチ加工にあたって顕著な性能を発揮でき、内面加工用
超硬ねじれ刃溝ブローチカッタを用いて加工する被削物
の被加工部のロックウェルかたさが50〜68HRcの
ものに適している(請求項4)。なお、クーラントは、
前述した油性、水溶性、微量ミストのセミドライ(微量
ミスト供給量2cc〜12cc/hour/1ノズル)
の他、切削剤を用いない完全ドライ、空冷によるドライ
等の条件のいずれにも適用できる。
する。図1の(a)は本発明の実施の形態を示すブロー
チ盤の部分説明図、(b)は(a)の被削物のA矢視図
である。図1において、ブローチ盤本体20上に固定さ
れたジグ6上に被削物2を設置して、本体の外周にねじ
れ溝が設けられ、このねじれ溝に沿って軸方向に多数の
切刃11を配置したねじれ刃溝ブローチカッタ1を使用
する。ねじれ刃溝ブローチカッタ1には2条のねじれ溝
12a,12bが形成され、このねじれ溝に沿って切刃
11が設けられている。切刃部は超硬合金材料を基材と
し、超硬ねじれ刃溝ブローチカッタにされている。さら
に、切刃11にTiCN系、又はTiAlN系の多層コ
ーティングが被膜されている。超硬ねじれ刃溝ブローチ
カッタのねじれ溝12a,12bに向かってねじれ溝の
条数に合わせて2本のミストノズル13a,13bがブ
ローチ静止時にそれぞれねじれ溝12a,12bにミス
トがかかるように配置されている。
終仕上げ寸法よりやや小さめな結合歯2aを有するイン
ボリュートスプライン穴2bがブローチ加工され、その
後熱処理が施されている。インボリュートスプライン部
の硬度は60±2HRcになるよう浸炭焼き入れ処理が
されている。被削物2のインボリュートスプライン穴2
bとブローチカッタの案内部1aとの位相が合うよう
に、ブローチカッタ1を、図1に図示しないブローチ昇
降装置を介し被削物2に挿入する。ついで、ブローチ盤
本体20に設けたブローチ引っ張り装置21によりブロ
ーチカッタ1を回転させることなく真っ直ぐ下方向へ引
っ張る事により、ブローチ刃形状が被削物2に転写され
ることになる。なお、図1では、被削物2は、ジグ6上
に設置されているが、これに限らず、被削物2にブロー
チカッタ1を挿入後、被削物2をクランプにより固定し
てブローチ加工する等種々の方法がある。
述べる。ブローチカッタの切刃の基材はJIS P30
相当の超硬合金材料を用い、TiCNの3層コーティン
グのものを用いた。前述したように被削物の加工形状は
図1(b)に示すような結合歯2aを有するインボリュ
ートスプライン2bであり、その材質はSCM415で
あり、熱処理後のインボリュートスプライン部の硬度は
58〜62HRcである。インボリュートスプライン諸
元(完成時)は、モジュール m=1.2、圧力角 P
A=30°、歯数 Z=36である。本実施例での仕上
げ加工部はインボリュートスプラインの大径部2cであ
る。ブローチ盤はメカニカル式の5トン高速ブローチ盤
を用いた。
ストノズルにより加工箇所に向け、4cc/hour/
1ノズルの微量ミストをかけ、ブローチ速度60m/m
inでブローチを引き抜き仕上げ加工をおこなった。そ
の結果を表1に示す。表1は熱処理前の前加工、熱処理
後、及び本発明のブローチ加工後の結合歯の外径2hの
寸法及び真直度を示したものである。表1によれば、熱
処理変形により結合歯の外径の真直度が3倍程度悪化し
たのが本発明のブローチ加工によれば、熱処理変形前の
値に戻っている。また、本発明による削り代は径で約
0.25mmであるにもかかわらず切刃のチッピングや
欠けは発生しなかった。
と、ねじれのない他は同様諸元である超硬軸直刃溝ブロ
ーチカッタとの切削速度60m/min時の比較を行っ
た。表2は実最大切削荷重(ブローチの引っ張り力)、
表3は治具(ジグ)6上に振動計をあて、治具上の最大
振幅、表4は結合歯の大径部2cの切削方向のうねりを
それぞれ測定したものである。
軸直刃溝に対し、本発明の超硬ねじれ刃溝ブローチの方
が20%減であり、省エネ効果が大きく振動もすくな
い。従って、当然、表3に示すように治具上の最大振幅
は本発明においては1/4以下の振動となり、切削方向
のうねりも表4に示すように超硬軸直刃溝が最大うねり
3.0μmであるのに対し、本発明の超硬ねじれ刃溝ブ
ローチでは1.5μmと良好な結果を得た。また、加工
後のブローチ刃の最大逃げ面摩耗量も減少していた。さ
らに、切刃の寿命も超硬ねじれ刃溝ブローチの方が約2
0%向上した。なお、本発明のねじれ刃溝ブローチは、
被加工形状が軸方向に真っ直ぐであり、ブローチ加工時
にブローチの回転を伴うことなく直線に加工するもので
あり、ブローチ加工時にブローチの回転を伴い、被加工
形状が軸方向に対し斜め方向に加工するヘリカル溝形状
のブローチとは異なる。
かつ、ねじれ刃溝ブローチカッタを使用し、さらに切削
速度を40〜60m/minの高速としたので、取り代
も例えば径で0.05〜0.5mmと大きくとることが
でき、振動が小さく、切削荷重も小さくなり、高速化と
同時に省エネがはかれ、効率のよいブローチ加工方法を
提供するものとなった。さらには、摩耗を減らし、ブロ
ーチ加工寸法精度をあげることが可能となった。また、
切刃にTiCN系、又はTiAlN系のコーティングを
被膜することにより、より高速加工に適し、摩耗の少な
いものとなった。
のノズルからねじれ溝にミストが供給されるようにし、
ねじれ溝に沿って微量ミストを浸透させ優れたクーラン
ト効果を得られるので、クーラント消費も減り、省エ
ネ、省資源、環境にも優しいものとなった。
被加工部のロックウェルかたさが50〜68HRcであ
ってもブローチ加工が可能となったので、簡単で、加工
精度、加工効率がよい高硬度材を加工できるブローチ加
工方法を提供するものとなった。
の部分説明図、(b)は(a)に示す被削物のA矢視図
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 本体の外周に軸方向に多数の超硬合金か
らなる切刃を配置したブローチカッタであって、かつ、
前記切刃は前記本体の外周面に形成されたねじれ溝に沿
って配設された内面加工用超硬ねじれ刃溝ブローチカッ
タを使用し、ブローチ加工時の切削速度を40〜60m
/minにしたことを特徴とするブローチ加工方法。 - 【請求項2】 前記切刃にTiCN系、又はTiAlN
系のコーティングを被膜した内面加工用超硬ねじれ刃溝
ブローチカッタであることを特徴とする請求項1記載の
ブローチ加工方法。 - 【請求項3】 前記内面加工用超硬ねじれ刃溝ブローチ
カッタのねじれ溝は複数条のねじれ溝であって、該複数
条のねじれ溝の条数と同数以上のノズルを設け、ブロー
チ静止時においてぞれぞれの前記ノズルが相対する前記
ねじれ溝にクーラントが供給されるように配置し、さら
に、前記ねじれ溝にクーラントを供給しながら加工する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のブローチ加工方
法。 - 【請求項4】 前記内面加工用超硬ねじれ刃溝ブローチ
カッタを用いて加工する被削物の被加工部のロックウェ
ルかたさが50〜68HRcであることを特徴とする請
求項1又は2又は3記載のブローチ加工方法。
Priority Applications (1)
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- 2000-04-10 JP JP2000107418A patent/JP4582735B2/ja not_active Expired - Fee Related
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