JP4330121B2 - ブローチ加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼き入れ後のような高硬度材の高精度仕上げブローチ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中空円筒形加工部材のスプライン穴などを加工する内面ブローチ加工においては、ブローチ加工後の中空円筒形加工部材の加工部の直径は、加工部材の入り口、中央部、出口で一定とならないことは周知である(例えば、非特許文献1)。この傾向はとくに薄肉加工部材では顕著で、入り口、出口に比べ、中央部の直径が大きい太鼓形となる傾向がある。一方、硬度45〜65HRCの高硬度材の内面ブローチ加工においては、特許文献1に記載されているように、すくい角が負角のブローチで40m/min以上の高速加工が行われる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−239425号公報
【非特許文献1】
昭和45年6月10日発行、コロナ社「新訂精密工作便覧」精機学会編、第357頁、「5.7.4ブローチ削り精度」
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高硬度材でのブローチ加工では、すくい角を負角としているためブローチ加工時に切れ刃の進行方向と垂直な方向の分力が大きく、また、加工部材硬度が硬く切削抵抗自体が大きいため、加工部材の穴や溝あるいは壁面等の被加工部分の拡大方向の変形量が、通常のブローチ加工に比べ大きく、加工部材入り口、出口、中央部の直径差、寸法差による真直度がさらに悪くなるという問題があった。例えば、本発明者等の実験によれば、図3(c)に示すように、加工部材30を浸炭焼き入れ後にブローチ加工した穴11の被加工部分の大径溝13の形状精度は、加工部入り口部31及び出口部32が縮径された形状となり、この縮径部33,34,35,36の縮径量は片側でm=約7μmとなる。さらに、薄肉の加工部材40の場合には縮径量は大きくなり、図4(c)に示すように片側でn=約12μmとなった。かかる加工部材30,40の寸法誤差は、高精度が要求される焼き入れ後のブローチ加工による仕上げにおいては好ましくないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、かかる問題点に鑑みて、硬度45〜65HRCの高硬度材のブローチ加工であっても、穴や溝等の加工部材の被加工部分の入り口、出口、中央部の直径差や寸法差の少ない高精度のブローチ加工方法を提供し、穴や溝、壁面等の加工精度の高いブローチ加工部材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、薄肉中空円筒形加工部材の中空穴のブローチ加工において、少なくとも前記ブローチ加工される被加工部分の表面近傍の硬度が45〜65HRC(ロックウエル硬さCスケール:以下同様)の前記加工部材の前記被加工部分の片側端又は両端に逃がし部を設け、前記片側端又は両端の逃がし部と接触することなく前記被加工部分をすくい角が負角のブローチ工具にて切削加工し、前記切削加工後のスプリングバックの影響を少なくするようにしたブローチ加工方法を提供することにより上記課題を解決した。即ち、本発明者等は内面ブローチ加工で入り口、出口部に比べ、中央部の直径が大きくなる傾向(逆に言えば、入り口、出口部が中央部より縮径している傾向)があるのは、入り口、出口部は加工部材端面に隣接するため、中央部よりも加工部材の弾性変形量が大きく、スプリングバック量が多いためであると考え、このスプリングバック量が入り口、出口、中央部でほぼ同一となるような加工部材形状について研究した結果、入り口、出口部でブローチ加工せず、ある程度被加工部分に入り込んだところから加工を開始、終了すればスプリングバックの影響が少ないことを知得した。この知得により入り口、出口部、即ち穴や溝、壁面等の被加工部分の片側端又は両端に逃がし部を設けるようにしたのである。なお、好ましくは両端に逃がし部を設ければよいが、入り口又は出口のどちらか一方の片側端でもよい。
【0007】
ブローチ加工の入り口又は/及び出口部が端面に隣接しないようにすることにより、加工部材の端部で内面に逃がし部を有するリング状の部分が加工部材の被加工部分の拡大方向の変形を抑える作用をして、入り口又は/及び出口部でのスプリングバックによる真直度の悪さが改善される。この逃がし部の長さについて、請求項2に記載の発明においては、前記逃がし部長さL2を前記被加工部分の切削長さL1に対してL2≧0.05×L1でとした。即ち、加工部材弾性変形の影響が現れるのは、加工部材入り口又は/及び出口部において、切削長の5%未満の領域が顕著であり、この部分を加工しないよう逃がし部を設けることにより良好な真直度が得られる。なお、部品設計上、寸法の余裕ある場合はL2≧0.1×L1とすれば、さらに良い真直度が得られる。なお、径方向の逃し量はブローチ加工にあたりブローチ工具と接触しなければ良い。また、例えば、逃がし部の形状を円筒形とした場合、逃がし部の直径は、ブローチと干渉しない最低寸法、即ち、ブローチ大径より大きくとり、かつ、逃がし部の肉厚が薄くならないよう、逃がし部の無い部分の最小肉厚に対して、少なくとも1/3以上の肉厚を残すようにすればよい。
【0008】
かかるブローチ加工方法により焼き入れ後に加工された高精度の被加工部分を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に用いる内面仕上げブローチ工具の側面図、図2は本発明の実施の形態を示すブローチ加工部材の(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)はブローチ加工された溝大径の加工面に触針をあてて測定した軸方向の形状精度を示す模式図である。本発明の実施の形態に用いる内面仕上げブローチ工具は図1に示すように、つかみ部2に続く本体3に超硬合金の切れ刃5を有する中空円筒状の組立体4を嵌入固定した組立ブローチである。超硬合金の切れ刃5のチッピング防止のため、すくい角は−10°とし、耐摩耗性向上のため硬質被膜のコーティングを施してある。かかる内面仕上げブローチ工具は硬度45〜65HRCの高硬度材の角スプライン大径を仕上げる場合に有効であり、従来例で述べたものである。本発明においては、かかるブローチ工具を用いて、図2の(a),(b)に示すような、ブローチ加工部材10の穴11内に設けられた4カ所の角スプライン穴12の大径13を被加工部分として仕上げ加工を行うものである。本発明ブローチ加工部材10は、加工部材入り口14、出口部15に逃がし部16,17が設けられている。なお、本実施の形態では、逃がし部16,17の形状は円筒形状としたが、面取りその他の形状でもよいことはいうまでもない。また、ブローチ加工部の近傍のみに部分的に設けてもよい。
【0010】
【実施例】
次に、図2に示すブローチ加工部材の実施例について説明する。図2において、ブローチ加工部材10は外形が円筒形状であって、長さ36mm、外径φ68mm、加工部大径φ48mm、材質はSCM415とし、浸炭焼き入れで表面硬度60HRCのものを用いた。また、切削長をL1、入り口部逃がし部長さをL2,出口部逃がし部長さをL3とすると、L1=30mm、L2=L3=3mmとした。即ち逃がし部長さを切削長の10%に設定した。仕上げ削り代は直径で0.2mmとし、ミスト状の植物油を12cc/h加工部に噴霧して、切削速度60m/minで内径4カ所の角スプライン大径13の仕上げ加工を行った。かかる本発明のブローチ加工部材10を図1のブローチ工具で加工した溝大径13の形状は図2(c)18,19のようになり、入り口14、出口部15でのスプリングバックが認められないものとなり、良好な真直度が得られた。
【0011】
これに対し、逃がし部を持たない従来のブローチ加工部材について同様な加工を行った。図3は本発明の図2のものに対して逃がし部を設けなかったブローチ加工部材30で、切削長は36mmであり、その他の寸法等は図2と同じである。なお、図2と同様な部分について同符号を付し説明の一部を省略する。このものは、図3に示すように、加工部入り口部31及び出口部32がスプリングバックにより縮径された縮径部33,34,35,36を有する形状となった。前述したように、このときのスプリングバック量mは約7μmであった。さらに、図4(a),(b)に示したものは、加工部は図3と同様で、外径のみφ58mmとした薄肉の加工部材40の例である。なお、図2及び3と同様な部分について同符号を付し説明の一部を省略する。かかる薄肉の加工部材40を前述したと同様にブローチ加工した結果、スプリングバック量が増え、前述した図4(c)のようにスプリングバック量nは約12μmと大きなものとなった。従来の形状の場合は、いずれの場合も、加工部材端面から約5%の範囲でのスプリングバック量が全体の50%以上をしめているので、本発明においてこの部分を加工しないようにすれば、スプリングバック量を1/2以下にすることができる。さらに、ブローチ加工部材の端面から約10%の範囲でのスプリングバック量は全体の70%以上をしめており、本発明においてこの部分を加工しないようにすれば、さらに、スプリングバック量を1/3以下にできることとなり、逃がし部長さL2、L3を適当に選ぶことにより、逃がし部長さに応じた縮径の少ない高精度のブローチ加工穴を得ることができるものとなった。なお、実施の形態においては、内面丸ブローチについて述べたが、角ブローチ、クリスマスブローチ、表面ブローチ等種々のブローチが含まれることはいうまでもない。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、硬度が45〜65HRC加工部材の被加工部分の片側端又は両端に逃がし部を設け、逃がし部と接触することなくブローチ工具にて切削加工するブローチ加工方法とし、ある程度被加工部分に入り込んだところから加工を開始、終了するようにしてスプリングバックの影響をなくするようにしたので、硬度45〜65HRCの高硬度材のブローチ加工であっても、加工部材の被加工部分の入り口、出口、中央部の直径差や寸法差の少ない高精度のブローチ加工方法を提供するものとなった。
【0013】
さらに、逃がし部長さL2を切削長さL1に対してL2≧0.05×L1としすれば容易に良好な真直度を得られるので、前加工も簡単で、設計も容易である。
【0014】
また、かかるブローチ加工方法によって、焼き入れ後の被加工部分の表面にブローチ加工による切削部を有し、被加工部分の両端にブローチ加工による切削部を持たない逃がし部が設けられたブローチ加工部材を提供するので、コストの安い、精度の高い部品を供給できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に用いる内径仕上げブローチ工具の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すブローチ加工部材の(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)はブローチ加工された溝大径の加工面に触針をあてて測定した軸方向の形状精度を示す模式図である。
【図3】従来のブローチ加工部材の(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)はブローチ加工された溝大径の加工面に触針をあてて測定した軸方向の形状精度を示す模式図である。
【図4】従来の薄肉のブローチ加工部材の(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)はブローチ加工された溝大径の加工面に触針をあてて測定した軸方向の形状精度を示す模式図である。
【符号の説明】
1 内面仕上げブローチ工具
10 ブローチ加工部材(加工部材)
13 切削部(被加工部分)
14、15 被加工部分の片側端又は両端
16、17 逃がし部
L2、L3 逃がし部長さ
L1 切削長さ
Claims (2)
- 薄肉中空円筒形加工部材の中空穴のブローチ加工において、少なくとも前記ブローチ加工される被加工部分の表面近傍の硬度が45〜65HRC(ロックウエル硬さCスケール)の前記加工部材の前記被加工部分の片側端又は両端に逃がし部を設け、前記片側端又は両端の逃がし部と接触することなく前記被加工部分をすくい角が負角のブローチ工具にて切削加工し、前記切削加工後のスプリングバックの影響を少なくするようにしたことを特徴とするブローチ加工方法。
- 前記逃がし部の逃がし部長さL2は、前記被加工部分の切削長さL1に対してL2≧0.05×L1であることを特徴とする請求項1に記載のブローチ加工方法。
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