JP2004130484A - 組立ブローチ - Google Patents
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Abstract
【課題】加工振動による影響を受けずに連続して高精度に加工できる組立ブローチを提供するものである。
【解決手段】つかみ部8を有する多数の切れ刃10を寸法順に配列した内面ブローチであって、前記つかみ部を有する本体3は、前記つかみ部に続いて棒状の軸部9と前記本体に垂直かつ前記つかみ部側に向いた端面2a、2bとを設け、中空円筒状又はリング状の切れ刃の付いた組立体46が1以上前記軸部に嵌合され、かつ前記端面に当接した状態で固定された組立ブローチ1とする。また、前記切刃の付いた組立体に続いて前記軸部に挿入される案内部を有する組立体6を設け、前記案内部5を被加工物に設けられた前加工溝に嵌合可能に長手方向に延ばす。
【選択図】 図1
【解決手段】つかみ部8を有する多数の切れ刃10を寸法順に配列した内面ブローチであって、前記つかみ部を有する本体3は、前記つかみ部に続いて棒状の軸部9と前記本体に垂直かつ前記つかみ部側に向いた端面2a、2bとを設け、中空円筒状又はリング状の切れ刃の付いた組立体46が1以上前記軸部に嵌合され、かつ前記端面に当接した状態で固定された組立ブローチ1とする。また、前記切刃の付いた組立体に続いて前記軸部に挿入される案内部を有する組立体6を設け、前記案内部5を被加工物に設けられた前加工溝に嵌合可能に長手方向に延ばす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は本体の外周に軸方向に多数の切刃を配置されたブローチであって、特に切刃の材質が超硬合金である組立ブローチに関する。さらに、被加工材料が焼き入れ後の例えばロックウェルかたさで50HRC以上の高硬度材の加工に適した組立ブローチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のブローチ加工では、被加工物(以下、ワークという)の硬度が20HRCから30HRC(ロックウェル硬さCスケール:以下同じ)以下のワークを対象に行っている。このためワークはブローチ加工後、硬度を上げるための熱処理をされるものが多い。このときの焼き入れ部の硬度は60HRC以上であり、浸炭深さは約1mmである。しかし、浸炭焼き入れすると熱処理歪みが発生するので、予め熱処理の変形を考慮して狙い形状を決め、焼き入れ前のワークを加工していた。しかし、変形量が不安定なため、例えば焼き入れ後のインボリュートスプライン部の精度(径寸法、歯筋、ピッチなど)が目標形状にならない場合がある等の問題があった。そこで、これを解決する手段として、特許文献1につかみ部を有する本体に中空円筒状の超硬合金材料の切刃を有する組立体を嵌合固定した構造のブローチが示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−137118号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このブローチは、焼き入れ後のインボリュートスプラインなどの熱処理歪みを経済的に除去する手段を与えているが、ブローチの固定はロックナットの円周上に配置された止めボルトによるため、止めボルトの締め具合でブローチの組み付け姿勢が変化し、加工精度、特に歯筋精度が安定しないという問題があった。また、ブローチ加工による軸方向荷重を止めボルトで受けているため、軸方向剛性が弱く、加工振動による止めボルトの緩みも発生しやすく、これらも加工精度に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明の目的はかかる従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、連続して高精度に加工できる組立(超硬)ブローチを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は研究の結果、特許文献1に示されたブローチ工具を用いて、硬度が60HRCのワークの加工試験を行い、加工精度の評価をするにあたり、特に歯筋精度とブローチの組み付け状態に着目したところ、超硬刃を有する円筒状のブローチの本体に組み付けた姿勢が傾いている場合、又は加工中に変化した場合において、加工されたワークの歯筋精度が悪くなると言う知得を得た。この知得により、本発明においては、つかみ部を有する多数の切れ刃を寸法順に配列した内面ブローチであって、前記つかみ部を有する本体は、前記つかみ部に続いて棒状の軸部と前記本体に垂直かつ前記つかみ部側に向いた端面と、を有し、中空円筒状又はリング状の切れ刃の付いた組立体が1以上前記軸部に嵌合され、かつ前記端面に当接した状態で固定された組立ブローチを提供することにより前述した課題を解決した。
【0007】
即ち、超硬合金の組立体からなる部分と合金鋼からなるつかみ部を有する本体を一体に組み付けて一本のブローチとし、円筒状の超硬合金の組立体は、本体のつかみ部側から組み入れ、つかみ部の反対側の棒状延出部手前に設けた端面に当接、固定するようにしたので、止めボルトのような加工振動による不安定さを有するものの使用は必要でなくなったことと合わせて、超硬合金の組立体の組み付け後の姿勢が安定し、かつ、切削時に同組立体にかかる軸方向の荷重は、同端面で安定して受けることができるものとなった。より好ましくは、外周に切れ刃を有する円筒状又はリング状の超硬合金で一体に焼結成形された超硬合金の組立体からなる部分と、靭性のある合金鋼からなるつかみ部を有する部分とを一体に組み付けて一本のブローチとし、靭性の少ない超硬合金のようなつかみ部のすべりや破損のないものとした。また、合金鋼は例えば、工具鋼、軸受鋼等であり、ブローチ一般に使用されている高速度工具鋼が好ましい。切れ刃は、超硬合金で一体に焼結成形し、被加工物が焼き入れ後の高硬度材であっても加工可能にする。
【0008】
また、前記切刃の付いた組立体に続いて前記軸部に挿入される案内部を設けた組立体を有し、前記案内部は被加工物に設けられた前加工溝に嵌合可能に長手方向に延びていることとした。即ち、被加工物の前加工溝に案内部が嵌合して被加工物とブローチとの位相合わせ、位置決めが自動的になされる。さらに刃部を有する円筒状の超硬合金の組立体と案内部を有する組立体は被加工物の加工諸元に応じて交換できるので、多種ワークへの対応が容易となった。また、案内部を有する組立体先端部を縮径するテーパ形状をもつようにすればより容易に嵌入できることとなる。
【0009】
また、前記本体と前記切れ刃のついた組立体とがキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされ、かつ、前記切刃の付いた超硬合金材料の組立体と前記案内部を有する組立体とがキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされていること、とした。即ち、つかみ部を有する本体と、前記案内部を有する組立体と、前記刃部を有する組立体の回転方向の位置決めがキーなどにより保証されているので、ブローチつかみ部を回転角が同じになるよう規制してつかむことにより、前記案内部、刃部の回転位相決めができる。これにより、被加工物の回転方向を適切に位置決めすれば、被加工物の前加工溝に案内部、ブローチ刃部の回転位相を合わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる超硬(組立)ブローチの実施の形態について、図を参照しつつ説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。図1は、本発明の実施の形態を示す超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図、図2(a)は図1記載の本体の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図、図3は図1に記載の組立体の一部を切り欠いた(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図、図4(a)は図1に記載の案内部の側面図、(b)は正面図、図5は従来型の超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図、図6は図5記載の従来型の超硬ブローチ本体の側面図である。図1及び図2で示すように超硬ブローチ1の本体3は合金鋼を用いて製作されており、一端にブローチ加工するため超硬ブローチ1を引き抜くためのつかみ部8が形成されている。また、本体3上に設けられた棒状の軸部9には超硬ブローチ1の進行方向後ろ側(図でみて右側)にブローチ加工時における切削荷重を受ける端面2a、2bが設けられている。図1及び図3に示すように、切れ刃の付いた組立体46は切れ刃10の一部または全部が超硬合金材料で組立体として一緒に焼結されたものとなっている。図1及び図4に示すように、案内部を有する組立体6は切れ刃の付いた組立体46に当接され、被加工物の最小内径よりやや小さくされた外径の円筒部10とつかみ部8側に縮径される構造のテーパ部11を有するものとなっている。円筒部10の外周にはワークのスプライン溝に嵌合可能な案内部5が長手方向に4ヶ所設けられている。案内部5はつかみ部8に向かって徐々に幅、高さが減少するようにされた漸減部7が設けられ被加工物のスプライン溝に嵌合位置決めし易いようにされている。
【0011】
図5に示す従来型本体50と一体とされた円筒部14の反つかみ部側、即ち図でみて円筒後端部16より棒状の延出部17が伸びている。この延出部17にブローチ進行方向後側(図で見て右側)より調整部19、ロックナット嵌合部20、止め溝21が順に設けられている。図5及び図6で示すように、従来型超硬ブローチ13の円筒後端部16とロックナット22の間に図3と同様の切れ刃10を有する切れ刃の付いた組立体46が挟持されている。延出部先端50より切れ刃の付いた組立体46が挿入され、組立体後端(図でみて右側端)37にロックナット22を当接させ、ロックナット22に斜めに設けられた雌ねじ41に止めボルト42を螺着させその先端を止め溝21に当接させ、従来型本体50の円筒部後端16に付勢するようにして切れ刃の付いた組立体46を挟持するようにされているが、これは雌ねじ41によって直接延出部17を押しているため、締め付ける力加減におって、延出部17は曲がり易く、組み付け姿勢が不安定なものとなっている。また、加工時にその切削荷重をこの雌ねじ41で受けるため、緩み等の不具合が発生し、切り刃24の寿命や加工精度に影響を与えるものとなっている。これと比較して、図1乃至図4で示す本発明の超硬ブローチ1では、本体つかみ部8側から切れ刃の付いた組立体46、案内部を設けた組立体6を順に入れ、ダブルナット44a、44bにより締め付けを行い、切削荷重を端面2a、2bで受けるものとなっているので従来技術のように加工振動による悪影響を受ける止めボルトは必要でなくなり、加工時における不安定さは解消したものとなっている。
【0012】
(実施例)
本発明の超硬ブローチ1は、振れの大きくなる10m/minを超える高速加工、削り代の少ない高硬度のワークに対してより有効である。そこで、本体3を合金鋼で製作し、この本体3の棒状の軸部9に、切れ刃部10に超硬工具鋼を用い一体に焼結された切れ刃の付いた組立体46、続いて案内部を有する組立体6を挿入した状態でダブルナット44a、44bによる締め付けを行った後に焼き入れしたワーク4をブローチ加工した。図7は本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工を行ったスプライン穴を有するワークの加工後の(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、図8は本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工後のスプライン穴の断面測定結果であり、(a)は本発明で加工した結果、(b)は従来技術のブローチで加工した結果を示す断面測定図である。ワーク4は図7で示すように、外径68mm、厚さ36mmのリング状で下穴4aの径が44mmとされており、この下穴4aをガイドに大径4dが48mm、刃幅7.8mm、歯数4の平行スプライン穴をブローチ加工するものである。ワーク材質はSCM415、表面硬さHRC61である。このワーク4をブローチ切削速度60m/minでミストクーラントを用いて高速切削した。その結果、図8に示すように、ワークスプライン穴入口4b及び出口4cがやや小さく、中央部が削れた状態で加工されるが、従来技術のブローチ加工をした場合は、図8(b)に示すように直角度も3〜9μm/27.5mmと大きく、さらに、スプライン大径4dの粗さ及び仕上げ寸法のばらつきも大きかった。これに対し、本発明においては、図8の(a)に示すように、スプライン穴の真直度は0〜2μm/27.5mmと従来技術のブローチ加工よりはるかに良好な精度が得ることができ、またスプライン大径4dの粗さ及び仕上げ寸法のばらつきも小さく、さらに刃先の欠けも小さいものとなった。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、超硬合金の組立体からなる部分と合金鋼からなるつかみ部を有する本体を一体に組み付けて一本のブローチとし、円筒状の超硬合金の組立体は、本体のつかみ部側から組み入れ、つかみ部の反対側の棒状延出部手前に設けた端面に当接、固定するようにしたので、止めボルトのような加工振動による不安定さを有するものの使用は必要でなくなったことと合わせて、超硬合金の組立体の組み付け後の姿勢が安定し、かつ、切削時に同組立体にかかる軸方向の荷重は、同端面で安定して受けることができるものとなったので、工具摩耗減少、加工精度向上が可能となった。
【0014】
また、案内部を設けた組立体を切れ刃の付いた組立体に続いて軸部に挿入したので、被加工物に設けられた前加工溝に嵌合を容易にした。
【0015】
また、本体と前記組立体がキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされ、かつ、案内部を有する組立体を含有する組立体の各々がキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされているので、ブローチつかみ部を回転角が同じになるよう規制してつかむことにより、前記案内部、刃部の回転位相決めができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図である。
【図2】(a)は図1記載の本体の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】図1に記載の組立体の一部を切り欠いた(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【図4】図4(a)は図1に記載の案内部の側面図、(b)は正面図である。
【図5】従来型の超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図である。
【図6】図5記載の従来型の超硬ブローチ本体の側面図である。
【図7】本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工を行ったスプライン穴を有するワークの加工後の(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図8】本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工後のスプライン穴の断面測定結果であり、(a)は本発明で加工した結果、(b)は従来技術のブローチで加工した結果を示す断面測定図である。
【符号の説明】
1 超硬ブローチ
2a、2b 端面
3 本体
5 案内部
6 案内部を有する組立体
8 つかみ部
9 軸部
10 切れ刃
46 切れ刃の付いた組立体
【発明の属する技術分野】
本発明は本体の外周に軸方向に多数の切刃を配置されたブローチであって、特に切刃の材質が超硬合金である組立ブローチに関する。さらに、被加工材料が焼き入れ後の例えばロックウェルかたさで50HRC以上の高硬度材の加工に適した組立ブローチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のブローチ加工では、被加工物(以下、ワークという)の硬度が20HRCから30HRC(ロックウェル硬さCスケール:以下同じ)以下のワークを対象に行っている。このためワークはブローチ加工後、硬度を上げるための熱処理をされるものが多い。このときの焼き入れ部の硬度は60HRC以上であり、浸炭深さは約1mmである。しかし、浸炭焼き入れすると熱処理歪みが発生するので、予め熱処理の変形を考慮して狙い形状を決め、焼き入れ前のワークを加工していた。しかし、変形量が不安定なため、例えば焼き入れ後のインボリュートスプライン部の精度(径寸法、歯筋、ピッチなど)が目標形状にならない場合がある等の問題があった。そこで、これを解決する手段として、特許文献1につかみ部を有する本体に中空円筒状の超硬合金材料の切刃を有する組立体を嵌合固定した構造のブローチが示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−137118号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このブローチは、焼き入れ後のインボリュートスプラインなどの熱処理歪みを経済的に除去する手段を与えているが、ブローチの固定はロックナットの円周上に配置された止めボルトによるため、止めボルトの締め具合でブローチの組み付け姿勢が変化し、加工精度、特に歯筋精度が安定しないという問題があった。また、ブローチ加工による軸方向荷重を止めボルトで受けているため、軸方向剛性が弱く、加工振動による止めボルトの緩みも発生しやすく、これらも加工精度に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明の目的はかかる従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、連続して高精度に加工できる組立(超硬)ブローチを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は研究の結果、特許文献1に示されたブローチ工具を用いて、硬度が60HRCのワークの加工試験を行い、加工精度の評価をするにあたり、特に歯筋精度とブローチの組み付け状態に着目したところ、超硬刃を有する円筒状のブローチの本体に組み付けた姿勢が傾いている場合、又は加工中に変化した場合において、加工されたワークの歯筋精度が悪くなると言う知得を得た。この知得により、本発明においては、つかみ部を有する多数の切れ刃を寸法順に配列した内面ブローチであって、前記つかみ部を有する本体は、前記つかみ部に続いて棒状の軸部と前記本体に垂直かつ前記つかみ部側に向いた端面と、を有し、中空円筒状又はリング状の切れ刃の付いた組立体が1以上前記軸部に嵌合され、かつ前記端面に当接した状態で固定された組立ブローチを提供することにより前述した課題を解決した。
【0007】
即ち、超硬合金の組立体からなる部分と合金鋼からなるつかみ部を有する本体を一体に組み付けて一本のブローチとし、円筒状の超硬合金の組立体は、本体のつかみ部側から組み入れ、つかみ部の反対側の棒状延出部手前に設けた端面に当接、固定するようにしたので、止めボルトのような加工振動による不安定さを有するものの使用は必要でなくなったことと合わせて、超硬合金の組立体の組み付け後の姿勢が安定し、かつ、切削時に同組立体にかかる軸方向の荷重は、同端面で安定して受けることができるものとなった。より好ましくは、外周に切れ刃を有する円筒状又はリング状の超硬合金で一体に焼結成形された超硬合金の組立体からなる部分と、靭性のある合金鋼からなるつかみ部を有する部分とを一体に組み付けて一本のブローチとし、靭性の少ない超硬合金のようなつかみ部のすべりや破損のないものとした。また、合金鋼は例えば、工具鋼、軸受鋼等であり、ブローチ一般に使用されている高速度工具鋼が好ましい。切れ刃は、超硬合金で一体に焼結成形し、被加工物が焼き入れ後の高硬度材であっても加工可能にする。
【0008】
また、前記切刃の付いた組立体に続いて前記軸部に挿入される案内部を設けた組立体を有し、前記案内部は被加工物に設けられた前加工溝に嵌合可能に長手方向に延びていることとした。即ち、被加工物の前加工溝に案内部が嵌合して被加工物とブローチとの位相合わせ、位置決めが自動的になされる。さらに刃部を有する円筒状の超硬合金の組立体と案内部を有する組立体は被加工物の加工諸元に応じて交換できるので、多種ワークへの対応が容易となった。また、案内部を有する組立体先端部を縮径するテーパ形状をもつようにすればより容易に嵌入できることとなる。
【0009】
また、前記本体と前記切れ刃のついた組立体とがキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされ、かつ、前記切刃の付いた超硬合金材料の組立体と前記案内部を有する組立体とがキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされていること、とした。即ち、つかみ部を有する本体と、前記案内部を有する組立体と、前記刃部を有する組立体の回転方向の位置決めがキーなどにより保証されているので、ブローチつかみ部を回転角が同じになるよう規制してつかむことにより、前記案内部、刃部の回転位相決めができる。これにより、被加工物の回転方向を適切に位置決めすれば、被加工物の前加工溝に案内部、ブローチ刃部の回転位相を合わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる超硬(組立)ブローチの実施の形態について、図を参照しつつ説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。図1は、本発明の実施の形態を示す超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図、図2(a)は図1記載の本体の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図、図3は図1に記載の組立体の一部を切り欠いた(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図、図4(a)は図1に記載の案内部の側面図、(b)は正面図、図5は従来型の超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図、図6は図5記載の従来型の超硬ブローチ本体の側面図である。図1及び図2で示すように超硬ブローチ1の本体3は合金鋼を用いて製作されており、一端にブローチ加工するため超硬ブローチ1を引き抜くためのつかみ部8が形成されている。また、本体3上に設けられた棒状の軸部9には超硬ブローチ1の進行方向後ろ側(図でみて右側)にブローチ加工時における切削荷重を受ける端面2a、2bが設けられている。図1及び図3に示すように、切れ刃の付いた組立体46は切れ刃10の一部または全部が超硬合金材料で組立体として一緒に焼結されたものとなっている。図1及び図4に示すように、案内部を有する組立体6は切れ刃の付いた組立体46に当接され、被加工物の最小内径よりやや小さくされた外径の円筒部10とつかみ部8側に縮径される構造のテーパ部11を有するものとなっている。円筒部10の外周にはワークのスプライン溝に嵌合可能な案内部5が長手方向に4ヶ所設けられている。案内部5はつかみ部8に向かって徐々に幅、高さが減少するようにされた漸減部7が設けられ被加工物のスプライン溝に嵌合位置決めし易いようにされている。
【0011】
図5に示す従来型本体50と一体とされた円筒部14の反つかみ部側、即ち図でみて円筒後端部16より棒状の延出部17が伸びている。この延出部17にブローチ進行方向後側(図で見て右側)より調整部19、ロックナット嵌合部20、止め溝21が順に設けられている。図5及び図6で示すように、従来型超硬ブローチ13の円筒後端部16とロックナット22の間に図3と同様の切れ刃10を有する切れ刃の付いた組立体46が挟持されている。延出部先端50より切れ刃の付いた組立体46が挿入され、組立体後端(図でみて右側端)37にロックナット22を当接させ、ロックナット22に斜めに設けられた雌ねじ41に止めボルト42を螺着させその先端を止め溝21に当接させ、従来型本体50の円筒部後端16に付勢するようにして切れ刃の付いた組立体46を挟持するようにされているが、これは雌ねじ41によって直接延出部17を押しているため、締め付ける力加減におって、延出部17は曲がり易く、組み付け姿勢が不安定なものとなっている。また、加工時にその切削荷重をこの雌ねじ41で受けるため、緩み等の不具合が発生し、切り刃24の寿命や加工精度に影響を与えるものとなっている。これと比較して、図1乃至図4で示す本発明の超硬ブローチ1では、本体つかみ部8側から切れ刃の付いた組立体46、案内部を設けた組立体6を順に入れ、ダブルナット44a、44bにより締め付けを行い、切削荷重を端面2a、2bで受けるものとなっているので従来技術のように加工振動による悪影響を受ける止めボルトは必要でなくなり、加工時における不安定さは解消したものとなっている。
【0012】
(実施例)
本発明の超硬ブローチ1は、振れの大きくなる10m/minを超える高速加工、削り代の少ない高硬度のワークに対してより有効である。そこで、本体3を合金鋼で製作し、この本体3の棒状の軸部9に、切れ刃部10に超硬工具鋼を用い一体に焼結された切れ刃の付いた組立体46、続いて案内部を有する組立体6を挿入した状態でダブルナット44a、44bによる締め付けを行った後に焼き入れしたワーク4をブローチ加工した。図7は本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工を行ったスプライン穴を有するワークの加工後の(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、図8は本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工後のスプライン穴の断面測定結果であり、(a)は本発明で加工した結果、(b)は従来技術のブローチで加工した結果を示す断面測定図である。ワーク4は図7で示すように、外径68mm、厚さ36mmのリング状で下穴4aの径が44mmとされており、この下穴4aをガイドに大径4dが48mm、刃幅7.8mm、歯数4の平行スプライン穴をブローチ加工するものである。ワーク材質はSCM415、表面硬さHRC61である。このワーク4をブローチ切削速度60m/minでミストクーラントを用いて高速切削した。その結果、図8に示すように、ワークスプライン穴入口4b及び出口4cがやや小さく、中央部が削れた状態で加工されるが、従来技術のブローチ加工をした場合は、図8(b)に示すように直角度も3〜9μm/27.5mmと大きく、さらに、スプライン大径4dの粗さ及び仕上げ寸法のばらつきも大きかった。これに対し、本発明においては、図8の(a)に示すように、スプライン穴の真直度は0〜2μm/27.5mmと従来技術のブローチ加工よりはるかに良好な精度が得ることができ、またスプライン大径4dの粗さ及び仕上げ寸法のばらつきも小さく、さらに刃先の欠けも小さいものとなった。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、超硬合金の組立体からなる部分と合金鋼からなるつかみ部を有する本体を一体に組み付けて一本のブローチとし、円筒状の超硬合金の組立体は、本体のつかみ部側から組み入れ、つかみ部の反対側の棒状延出部手前に設けた端面に当接、固定するようにしたので、止めボルトのような加工振動による不安定さを有するものの使用は必要でなくなったことと合わせて、超硬合金の組立体の組み付け後の姿勢が安定し、かつ、切削時に同組立体にかかる軸方向の荷重は、同端面で安定して受けることができるものとなったので、工具摩耗減少、加工精度向上が可能となった。
【0014】
また、案内部を設けた組立体を切れ刃の付いた組立体に続いて軸部に挿入したので、被加工物に設けられた前加工溝に嵌合を容易にした。
【0015】
また、本体と前記組立体がキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされ、かつ、案内部を有する組立体を含有する組立体の各々がキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされているので、ブローチつかみ部を回転角が同じになるよう規制してつかむことにより、前記案内部、刃部の回転位相決めができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図である。
【図2】(a)は図1記載の本体の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】図1に記載の組立体の一部を切り欠いた(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【図4】図4(a)は図1に記載の案内部の側面図、(b)は正面図である。
【図5】従来型の超硬ブローチの一部を切り欠いた側面図である。
【図6】図5記載の従来型の超硬ブローチ本体の側面図である。
【図7】本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工を行ったスプライン穴を有するワークの加工後の(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図8】本発明と従来技術との比較のためにブローチ加工後のスプライン穴の断面測定結果であり、(a)は本発明で加工した結果、(b)は従来技術のブローチで加工した結果を示す断面測定図である。
【符号の説明】
1 超硬ブローチ
2a、2b 端面
3 本体
5 案内部
6 案内部を有する組立体
8 つかみ部
9 軸部
10 切れ刃
46 切れ刃の付いた組立体
Claims (3)
- つかみ部を有する多数の切れ刃を寸法順に配列した内面ブローチであって、前記つかみ部を有する本体は、前記つかみ部に続いて棒状の軸部と前記本体に垂直かつ前記つかみ部側に向いた端面と、を有し、中空円筒状又はリング状の切れ刃の付いた組立体が1以上前記軸部に嵌合され、かつ前記端面に当接した状態で固定されていることを特徴とする組立ブローチ。
- 前記切刃の付いた組立体に続いて前記軸部に挿入される案内部を設けた組立体を有し、前記案内部は被加工物に設けられた前加工溝に嵌合可能に長手方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の組立ブローチ。
- 前記本体と前記切刃の付いた組立体がキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされ、かつ、前記切刃の付いた組立体と前記案内部を有する組立体とがキーなどの回転方向位置決め手段により回転方向の位置決めされていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の組立ブローチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002299682A JP2004130484A (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | 組立ブローチ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002299682A JP2004130484A (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | 組立ブローチ |
Publications (1)
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ID=32288749
Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013018085A (ja) * | 2011-07-12 | 2013-01-31 | Nachi Fujikoshi Corp | 突起型前案内部を有するブローチ工具 |
CN107350549A (zh) * | 2017-08-03 | 2017-11-17 | 恒锋工具股份有限公司 | 一种互换式轮槽拉刀刀柄 |
-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002299682A patent/JP2004130484A/ja active Pending
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