JP2005296794A - 水素還元水の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】多量の水素ガスを水に溶解せしめ、従来の還元水を凌ぐ飲用に適した高還元性の還元水を得る。
【構成】水素ガスを2〜10気圧に加圧した下で該水素ガスにカルシウムなどのミネラルを含む原水を接触させる。これにより、原水中に水素ガスを溶解せしめた後、これを高気密性容器に充填して密閉し、その状態で加熱殺菌処理を施す。高気密性容器としては、水素ガスに対して遮蔽性の高いアルミ層をもつシート材料から作られるパウチ(アルミパウチ)を好適に用いることができる。

Description

本発明は還元力の高い水素を含有する水素還元水に係わり、特に飲用として好ましく、そのほか食品製造や金属洗浄などに用いて好適な水素還元水の製造方法に関する。
水の酸化還元性を判断する指標として、酸化還元電位がある。酸化還元電位がマイナス値を示す水(水溶液)は還元水といって還元性を有することが知られている。一般に、水道水の酸化還元電位は+500〜+750mV、井戸水や市販のミネラルウォータで0〜+500mVであり、これらは酸化性を有する水である。
これに対し、酸化還元電位がマイナス値を示す還元水は、金属の酸化や食品類の腐敗を抑制する効果があり、飲み水として摂取すれば、老化や病気の原因物質とされる体内の活性酸素が除去され、花粉症、アトピー、喘息などのアレルギー性疾患、胃腸などの消化器系疾患、並びに高血圧症といった健康障害も改善できると言われている。
ここで、還元水の多くは電解法により生成される。つまり、水の電気分解により陰極側に水素分子が集まる性質を利用し、陰極側における活性水素濃度の高い水を還元水として取り出している(例えば、特許文献1)。
尚、電解法によって得た還元水は、還元性を有する天然水と区別して「電解還元水」、又は陰極側の水がアルカリ化するので「アルカリ還元水」などと呼ばれる。
一方、水を電気分解するのでなく、活性化した水素ガスを水中に吹き込み、水中の溶存酸素を除去するという方法も知られる(例えば、特許文献2)。
特開2002−254078号公報
特開平8−276104号公報
然し乍ら、水の電気分解により得られる還元水(電解還元水)はアルカリ性を示し、酸化還元電位のマイナス値を高くするほどアルカリ性を示すpH値が高くなり、pH値を飲用に適する9〜10程度に抑えると酸化還元電位がマイナス150mV程度となり、還元性が低下してしまうという難点がある。
一方、水素ガスを水中に吹き込むことでも酸化還元電位はマイナスになるが、水素ガスを水中に単に吹き込むだけでは多くの水素ガスを水に溶解せしめることはできず、しかも還元性を示す基となる活性水素は非常に不安定で、自然放置した場合には、大気中に放出して水の酸化還元電位がプラス方向に変化し、消費者の手元に届くころには還元性が失われてしまうという問題があった。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は多量の水素ガスを水に溶解せしめて従来の還元水を凌ぐ飲用に適した高還元性の還元水を得ることにある。
本発明は上記目的を達成するため、原水と水素ガスとを加圧下で接触させて前記原水中に水素ガスを溶解せしめることを特徴とする水素還元水の製造方法を提供する。
好ましくは、水素ガスを2〜10気圧に加圧した下で該水素ガスに原水を接触させて該原水中に水素ガスを溶解せしめた後、これを高気密性容器に充填して密閉し、その状態で加熱殺菌処理を施し、更に好ましくは水素ガスを2〜10気圧に加圧した下で該水素ガスにカルシウムなどのミネラルを含む原水を接触させて該原水中に水素ガスを溶解せしめた後、これを高気密性容器に充填して密閉し、その状態で加熱殺菌処理を施すことを特徴とする。
又、水素ガスと接触させる前の原水に抗酸化性物質を添加することが好ましい。尚、抗酸化性物質として、アミノ酸、アスコルビン酸、フェノール化合物、オキシ酸類、リン酸、リン酸誘導体、コーヒー酸誘導体、及びフラボノイドのうち、少なくとも一種を用いる。
更に、高気密性容器として、アルミ層をもつシート材料から作られるパウチを用いることが好ましい。
本発明によれば、水素ガスと原水を加圧下で接触させることから、原水中に多量の水素ガスを溶解せしめて高還元性の水素還元水を得ることができる。
又、高気密性容器に充填することから、水素ガスの漏洩を防止して初期の高還元性を長期に亙って維持することができ、特に係る高気密性容器にアルミパウチを用いることから水素ガスの遮蔽性が高く、高還元性の持続効果が上がり、還元水の充填時にも空気との接触を抑制して還元性が損なわれることを防止できる。
加えて、水素ガスを溶解せしめた原水を高気密性容器に充填した後、これを密閉した状態で加熱殺菌処理を施すことから、係る処理により水素ガスが外部に漏洩することを防止できる。
更に、カルシウムなどのミネラルを含む原水を用いることから健康上好ましく、しかもミネラルの作用により還元性をアップできる。
又、原水に抗酸化性物資を添加することにより、還元性の持続効果が上がり、しかも抗酸化性物質としてのアミノ酸やアスコルビン酸により、アルカリ性の原水でも飲用に適するpHに調整することができる。
以下、本発明に係る水素還元水の製造方法について説明すると、係る方法の特徴は第1に水素ガスと原水を加圧下で接触させることにある。これには、圧力容器を用い、その内部に原水と水素ガスとを導入し、圧力容器の内圧(水素ガスの圧力)を2〜10気圧に保ち、その状態で圧力容器内の原水に水素ガスを吹き込むか、原水を撹拌もしくは水素ガス中に散水する。
特に、圧力容器内の空気を予め真空ポンプで除去し、次いで2〜10気圧、好ましくは7〜8気圧に加圧した水素ガスを圧力容器内に充填し、その内圧を2〜10気圧(202650〜101325Pa)に保ったまま、圧力容器の内圧以上(810600〜2026500Pa、好ましくは1519875Pa)に加圧した原水を高圧容器内に供給し、好ましくは圧力容器内に供給した原水を抜き取って圧力容器内に再供給するという循環サイクルを数回繰り返す。尚、圧力容器内に供給する原水は、複数の微細な孔(例えば、口径100〜300μm)をもつノズルヘッドを散水管の先端に取り付けるなどしてシャワー状に散水することが好ましい。一方、最初に圧力容器内の原水を注入し、その上部を水素ガスで満たし、該水素ガスの圧力を2〜10気圧に保ちながら、圧力容器内の原水中に散気管を通じて水素ガスを吹き込むようにしてもよい。尚、原水中への水素ガスの吹き込みに際しては、散気管の先端に上記のようなノズルヘッドを取り付けて水素ガスを微細な気泡とすることが好ましい。
以上のような方法によれば、原水中に多量の水素ガスを溶解せしめ、従来の電解還元水の酸化還元電位が−200〜−300mVであるところ、これを遥かに凌ぐ−500mV以下の酸化還元電位を示す高還元性の還元水が得られる。これは、一定の温度で一定量の液体に溶解する気体の量はその圧力に比例するというヘンリーの法則に基づくものであり、大気圧下で原水に水素ガスを吹き込む場合に比べると、より多くの水素ガスを溶解せしめることができる。
尚、水素ガスはボンベに充填されたものをそのまま使用してもよいが、これをプラズマなどにより活性化した活性水素とすることが好ましい。又、原水は水道水、これを蒸留した蒸留水もしくは脱塩水(純水)でもよいが、飲用にしてカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、マグネシウムといった多くのミネラルを含む天然水が好ましい。例えば、富山市の地下水(井戸水)の精密微量分析を行うと、多種類のミネラルを検出できる。これはアルカリ土類金属に属するカルシウムをはじめ、アルカリ金属に属するナトリウム、カリウムが中心で、多い元素では数十ppm、少ないものでも数ppmが認められる。
特に、それらミネラル(金属)はイオン化傾向が大きく、原水の酸化還元電位をマイナスにシフトする還元剤として機能する。従って、本発明の第2の特徴は、原水に還元剤として機能するミネラルを含んだものを用いることにある。これによれば、水素ガスとの相乗作用により還元性が一段と向上するという効果がある。但し、原水として、水道水にミネラルを人工的に添加してもよい。
又、本発明の第3の特徴は、水素ガスと接触させる前の原水に抗酸化性物質を添加することにある。これによれば、水素ガスとミネラルの働きによる高い還元性を維持することができる。尚、抗酸化性物質は人体に害にならないもので、これにはアミノ酸(アスパラギン酸、アルギニン、リシン、アラニン、グルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリンアミノ酸など)、アスコルビン酸、フェノール化合物(トコフェロール、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチック酸:NDGA)、オキシ酸類(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸など)、リン酸及びその誘導体(フィチン酸、レシチンなど)、コーヒー酸誘導体(クロロゲン酸、ジヒドロコーヒー酸など)、及びフラボノイドのうち、少なくとも一種、好ましくは数種類の混合物が用いられる。
ここに、カルシウムなどの水酸化物を含んだ原水では、酸化還元電位をマイナス側にシフトさせることができるが、その種の金属の水酸化物が溶存すると、原水のpH値が上がってアルカリ性になる。特に、アルカリ度が高すぎる場合には飲用に適さなくなるので、これを中性側に傾ける操作が必要になる。この点、上記のような酸から成る抗酸化性物質はアルカリ性の原水を中性側に傾け得るpH調整剤としても機能し、その添加量によって原水が多量の水酸化カルシウムを含む強アルカリ性の場合でも、そのpH値を中性域(例えば、pH5.8〜8.6)に調整して中性還元水とすることができる。
次に、本発明の第4の特徴である高気密性容器について説明すると、本発明はこれにアルミパウチ、すなわちアルミ層をもつシート材料から作られるパウチを用いる。係るアルミパウチは2枚のプラスチックフィルム(ポリエステル/ポリプロピレン、又はナイロン/ポリプロピレン)の間にアルミ箔を挟み込んだシート材料を二枚重ねにしてその周縁をヒートシールしたフレキシブルの容器であり、これによれば偏平状態にしてその内部に水素還元水を空気と接触させることなく充填でき、しかもその充填口を充填直後にヒートシールして密閉し、水素ガスの漏洩を完全にシャットアウトして充填した水素還元水の還元力を長期に亙って充填時の状態に維持することができる。
又、以上のようなパウチによれば、水素還元水の充填後に短時間で良好な殺菌処理を施すことができる。係る殺菌処理には70〜85℃、好ましくは80℃に加熱した熱湯を用い、これに水素還元水を充填して密閉したパウチ(高気密性容器)を30分程度浸漬するが、熱湯や加熱蒸気を吹き付けるようにしてもよい。
尚、高気密性容器として、ガラス瓶、スチール又はアルミ缶を用いることもできるが、それらの硬質容器では還元水を充填する際に容器内の空気と接触して水素ガス溶解時点の還元力が損なわれる。又、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のボトルでは、水素ガスが容器壁を通って外部に放出してしまい、開栓せずして酸化還元電位が徐々にプラス側にシフトするので適用できない。但し、本発明に係る水素還元水をPETボトルに充填した場合でも、これを水素ガスの雰囲気下に保存することで酸化還元電位をマイナスに維持することができる。
[試験1]
本試験では水素ガスを溶解した水(水素還元水)の保存状態による酸化還元電位への影響を検討した。尚、酸化還元電位の測定は、酸化還元電位計(東亜ディーケーケー株式会社製HM-21P型、比較電極:銀−塩化銀)を用いた。又、水素還元水の製造には、イオン交換樹脂で精製した純水を用い、これを洗気ビンに250ml入れ、これに水素ガスを流量14.3ml/秒で30分間吹き込んだ。得られた水素還元水(検水)は以下に示す4つの方法で保存し、その各検水について一日置きに酸化還元電位を測定した。 (1)開栓し室温で保存した場合
(2)開栓し冷蔵庫内に置いて4℃で保存した場合
(3)密栓のまま室温で保存した場合
(4)密栓のまま冷蔵庫内に置いて4℃で保存した場合
水素ガス溶解直後では、各検水の酸化還元電位は−320mVを示したが、経時的に電位はプラスへと移行した。保存状態の異なる各検水の酸化還元電位に多少の違いは生じたが、一週間後の酸化還元電位は全て+300mV以上となった。
[試験2]
本試験では原水に含まれるミネラルの濃度による酸化還元電位への影響を検討した。そのために、純水に水酸化カルシウムを添加し、水酸化カルシウム飽和水溶液(1850ppm)を調製し、これを10倍(185ppm)、100倍(18.5ppm)、および1000倍(1.85ppm)に希釈し、これを洗気ビンに250mlずつ入れ、それぞれに水素ガスを通気して合計4種類の検水を調製した。そして、その各検水を開栓状態とし、一日置きに酸化還元電位を測定した。その結果を図1に示す。尚、縦軸は酸化還元電位、横軸は日数である。
図1から明らかなように、カルシウム濃度が高い検水ほど、低い酸化還元電位を持続し続けた。特に、カルシウム濃度が1850ppmの検水では13日間、酸化還元電位がマイナス値を持続した。又、いずれの検水も初期の酸化還元電位を−320mV以下にすることができた。
[試験3]
本試験では抗酸化性物質(アスコルビン酸)の添加による効果を検討した。水酸化カルシウムの濃度が300ppmの水溶液のpHは12であり、これを洗気ビンに250ml入れ、これにL−アスコルビン酸をpH7になるまで添加した。又、比較として、純水250mlに上記と等量のアスコルビン酸のみを加えたもの、及び何も加えない純水250mlを洗気ビンに入れ、それらに水素ガスを通気して合計3種類の検水を調製した。そして、その各検水を開栓状態とし、一日置きに酸化還元電位を測定した。その結果を図2に示す。尚、縦軸は酸化還元電位、横軸は日数である。
図2のように、水酸化カルシウムとアスコルビン酸を含む中性検水A、及び純水から成る検水Cでは酸化還元電位の経時的変化に大差は認められなかったが、アスコルビン酸のみを含む検水Bでは初期の酸化還元電位が高く、比較的短期間で酸化還元電位がプラスに移行することが認められた。
[試験4]
本試験では水素還元水を充填する容器としてPETボトルが有効か否かを検討した。先ず、3つのPETボトル(500ml)にイオン交換水を入れ、それぞれに水素ガスを通気した後、栓をした。そして、一つのPETボトルを真空デシケーター(角型、幅30cm、奥行30cm、高さ25cm、内容積約20リットル)内に置き、真空ポンプで減圧にした。その後、真空デシケーター内に水素ガスを大気圧状態まで導入し、そのままの状態で保存した。一方、他のPETボトルはそれぞれ冷蔵庫内と室内に保存した。そして、それら各PETボトル内の検水について酸化還元電位の経時変化を調べた。その結果を表1および図3に示す。
Figure 2005296794
真空デシケーター内に保存したPETボトルでは酸化還元電位が20日間を通してマイナス値を維持したが、その他は数日でプラスにシフトした。この結果から、PETボトルでは水素ガスの遮蔽性に欠けることが判明した。但し、水素ガスの雰囲気下に保存すれば酸化還元電位を低位に維持できることも判った。
[試験5]
本試験では、圧力容器内に水素ガスを8気圧で充填し、この中に原水を12気圧で供給(散水)した。これにより、圧力容器内で原水に水素ガスを十分に接触させて溶解させた後、これをアルミパウチに充填して密閉し、次いでこれを80℃の熱水中に漬けて加熱殺菌処理を行った。尚、水素還元水の酸化還元電位はアルミパウチへの充填時点で−600mVであり、加圧下における原水と水素ガスとの接触により、大気圧下のときよりも酸化還元電位が低下することが認められた。これは、原水に対する水素ガスの溶解量が大きいためと思われる。
又、常温で保存したアルミパウチを2週間後に開封して内容物(水素還元水)の酸化還元電位を測定したところ、初期値と大差ない−570mVであり、本発明に係る水素還元水を充填する高気密性容器としては、アルミパウチが有効であることが判った。
以上、本発明について説明したが、係る水素還元水は飲用に限らず、金属洗浄水や調理用水などとしても好適に利用することができる。
水酸化カルシウム濃度の相違による酸化還元電位の経時変化を示すグラフ アスコルビン酸の添加による酸化還元電位の経時変化を示すグラフ 保存状態の相違による酸化還元電位の経時変化を示すグラフ

Claims (6)

  1. 水素ガスと原水とを加圧下で接触させて前記原水中に水素ガスを溶解せしめることを特徴とする水素還元水の製造方法。
  2. 水素ガスを2〜10気圧に加圧した下で該水素ガスに原水を接触させて該原水中に水素ガスを溶解せしめた後、これを高気密性容器に充填して密閉し、その状態で加熱殺菌処理を施すことを特徴とする水素還元水の製造方法。
  3. 水素ガスを2〜10気圧に加圧した下で該水素ガスにカルシウムなどのミネラルを含む原水を接触させて該原水中に水素ガスを溶解せしめた後、これを高気密性容器に充填して密閉し、その状態で加熱殺菌処理を施すことを特徴とする水素還元水の製造方法。
  4. 水素ガスと接触させる前の原水に抗酸化性物質を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素還元水の製造方法。
  5. 抗酸化性物質として、アミノ酸、アスコルビン酸、フェノール化合物、オキシ酸類、リン酸、リン酸誘導体、コーヒー酸誘導体、及びフラボノイドのうち、少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項4記載の水素還元水の製造方法。
  6. 高気密性容器として、アルミ層をもつシート材料から作られるパウチを用いることを特徴とする請求項2、又は3記載の水素還元水の製造方法。
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