JP2005292666A - 光学システム及び背面投射型ディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 プロジェクタ12からフレネルレンズ30のレンズ本体31までの投射距離をFとし、フレネルレンズ30のレンズ本体31の短辺の長さをHとし、フレネルレンズ30の光軸P1からフレネルレンズ30のレンズ本体31までの距離をRとしたときに、フレネルレンズ部33の全反射面がレンズ本体31の平面方向に対してなす傾斜角αが、
(π−arctan((R+H)/F))/2≦α≦(π−arctan(R/F))/2
を満たすようにする。
【選択図】 図5
Description
リアプロジェクションテレビ1は、図10に示すように、光源としてのプロジェクタ2から投射される映像光を、反射鏡3A,3Bによって反射させて略長方形平板状をなす透過型スクリーン4の背面に入射させることにより、この透過型スクリーン4の前面側に位置する観察者が、透過型スクリーン4を透過して出射する映像光を観察することができるように構成されている。
このような透過型スクリーン4の背面に入射する映像光は、まず、フレネルレンズ5により略平行光となり、次いで、レンチキュラーレンズシート6によりスクリーンの左右方向に拡散するとともに拡散層7によりスクリーンの上下方向に拡散する。これにより、スクリーン左右方向及び上下方向の視野角が制御される。
さらに、このフレネルレンズ5の光軸5D(レンズ部5Cの凹凸がなす同心円の中心)は、レンズ本体5Aの中心5Eと一致させられている。
しかしながら、プロジェクタ2は、フレネルレンズ5の光軸5D上に配置されるため、上記のようにフレネルレンズ5の光軸5Dがレンズ本体5Aの中心5Eに一致していると、このプロジェクタ2が、反射鏡3A,3Bによって映像光の光路を偏向させていない状態において、図10中の2点鎖線で示すように透過型スクリーン4の背面に対向配置されることになる。
つまり、反射鏡3Bを傾斜させた分だけ、リアプロジェクションテレビ1の奥行きを大きく確保しなければならないことになり、この反射鏡3Bの傾斜が、リアプロジェクションテレビ1の薄型化を図る上での大きな障害となっていたのである。
ここで、上記透過型フレネルレンズ5において、プロジェクタ2から投射されてフレネルレンズ5のレンズ本体5Aに入射する入射光がフレネルレンズ5の光軸5Dに対してなす傾斜角をθとしたときに、この傾斜角θと入射光の透過率との関係の一例を図13に示す。なお、図13に示すグラフは、フレネルレンズ5のレンズ本体5Aを構成する材料が例えばアクリル樹脂とされていて、その屈折率が1.49の場合のものである。
なお、透過型スクリーン4上での明るさの均一性は、この透過型スクリーン4上における所定の9ポイントあるいは13ポイントで評価されるものであり、例えばフレネルレンズ5についての入射光の透過率が約70%以上望ましくは約80%以上の範囲(例えば図13中の網掛け部分)に収まることが要求される。
そこで、上記傾斜角θを大きくしたとしても、入射光の透過率が低下しないものとして、図14に示すような、いわゆる全反射型フレネルレンズ5が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、図14に示すような全反射型フレネルレンズ5を備えた光学システムでは、従来より、フレネルレンズ部5Cの全反射面に関して何ら考慮されておらず、全反射型フレネルレンズ5を含む透過型スクリーンと光源とを備え、設計が簡単でありながらも有効に機能する光学システムが存在しないのが現状であった。
また、本発明による背面投射型ディスプレイ装置は、本発明の光学システムを備えていることを特徴としている。
ここで、上記のように光軸が偏心したフレネルレンズを用いたことにより、このフレネルレンズのレンズ本体に入射する映像光とフレネルレンズの光軸との傾斜角が大きくなってしまうのであるが、本発明では、上記傾斜角が大きい場合でも十分に機能を発揮することができる全反射型フレネルレンズを採用したことによって、何ら不具合が生じることはない。そして、とくに、この全反射型フレネルレンズのフレネルレンズ部が有する全反射面が、レンズ本体の平面方向に対してなす傾斜角αに着目し、この傾斜角αが、上記の式を満たすように設定したことにより、フレネルレンズ部の設計が簡単でありながらもレンズ本体に入射する映像光の方向を確実に整えて略平行光として出射することができるフレネルレンズを得ることができる。したがって、このような光学システムを用いて背面投射型ディスプレイ装置を構成したときには、この背面投射型ディスプレイ装置の薄型化が可能となりつつ、透過型スクリーンとしての機能を十分に発揮することができる。
本実施形態による光学システムを備えた背面投射型ディスプレイ装置としてのリアプロジェクションテレビ10は、図1に示すように、筐体11と、前面側(図1中の左側)を筐体11の外部へ露出させるとともに背面側(図1中の右側)を筐体11の内部へ露出させた略長方形平板状をなす透過型スクリーン20と、筐体11内に配置され、透過型スクリーン20の背面に対して映像光を投射する光源としてのプロジェクタ12と、同じく筐体11内に配置され、プロジェクタ12から投射される映像光の光路を偏向させる例えば2枚の反射鏡13,14とを備えている。
これらフレネルレンズ30、レンチキュラーレンズシート40、拡散層50は、透過型スクリーン20の背面側(図2中の右側)から前面側(図2中の左側)にかけて順次配置されているとともに、互いに略平行となるように配置されている。
本実施形態において、フレネルレンズ部33の凹凸がなす同心円の中心を通ってレンズ本体31の法線に沿う方向、つまり、フレネルレンズ30の光軸P1は、図3に示すように、レンズ本体31の中心P2を通るレンズ本体31の短辺31Aに沿う方向Xにおいてレンズ本体31の長辺31Bよりも外側でレンズ本体31から外れた位置を通るように配置されている。
このフレネルレンズ素材34から、上記光軸P1がレンズ本体31の長辺31Bよりも外側でレンズ本体31から外れた位置を通るように、かつ、上記光軸P1及び中心P2を短辺31Aに沿う方向X上に位置させるように、略長方形平板状のレンズ本体31を切り出すことによって、上述したフレネルレンズ30を得ることができる。
そして、プロジェクタ12から投射される映像光を透過型スクリーン20の背面に入射させる、つまり、プロジェクタ12から投射される映像光を透過型スクリーン20の背面側に位置するフレネルレンズ30に入射させると、このフレネルレンズ30は、入射した映像光の方向を整えて略平行光としてからレンチキュラーレンズシート40に向けて出射する。
そして、このような配置とされるプロジェクタ12から投射される映像光の光路を、透過型スクリーン20の背面に対向配置されるとともに透過型スクリーン20に対して略平行となるように配置される反射鏡14とさらにもう一つの反射鏡13とによって偏向させることにより、プロジェクタ12が、筐体11内において透過型スクリーン20と反射鏡14との間の領域から例えば下方側に外れた領域に配置されている。
すると、
tan(θmin)=R/F、tan(θmax)=(R+H)/F
となり、さらに、
arctan(R/F)=θmin、arctan((R+H)/F)=θmax … (1)
となる。
すると、図4における直角三角形の関係により、
α+ν=π/2
となり、
ν=π/2−α … (2)
となる。
θ+(α−ν)+π/2=π … (3)
となり、この(3)式に上記(2)式を代入すると、
α=(π−θ)/2 …(4)
となる。
θmin≦θ≦θmax
であることを考慮し、上記(1),(4)式から、図4で説明したフレネルレンズ30のレンズ本体31に設けられたフレネルレンズ部33の全反射面36が、レンズ本体31に対してなす傾斜角αは、
(π−arctan((R+H)/F))/2<α<(π−arctan(R/F))/2
…(5)
を満たすことになる。
つまり、上記(5)式を満たすように、フレネルレンズ部33の全反射面36が形成されているのである。
この拡散レンズ部44を構成する複数のシリンドリカルレンズ43は、その長さ方向をスクリーンの上下方向(垂直方向)に略一致させており、フレネルレンズ30から出射される映像光がレンチキュラーレンズシート40に入射すると、このレンチキュラーレンズシート40は、入射した映像光をスクリーンの左右方向(水平方向)で集光・拡散してストライプ状の光としてから拡散層50に向けて出射する。なお、図2においては、説明上分かりやすくするため、シリンドリカルレンズ43の長さ方向をスクリーンの上下方向(垂直方向)ではなく左右方向(水平方向)に略一致させて示してある。
これに対し、複数のシリンドリカルレンズ43によるストライプ状の集光部に対応する領域は、シート本体41の出射面41A側に位置させられた通過部46とされており、シリンドリカルレンズ43によって集光した映像光が、この通過部46を通過するようにして拡散することになる。
そのため、フレネルレンズ30の光軸P1上に配置されるプロジェクタ12を、反射鏡13,14によって映像光の光路を偏向させていない状態において、透過型スクリーン20の背面に対向する領域から例えば下方側に外れた領域に配置することができている。
このように、透過型スクリーン20の背面に対向配置される反射鏡14を透過型スクリーン20に対して略平行となるように配置することができていると、従来では反射鏡14の傾斜の分だけ必要となっていた筐体11の奥行きが不必要になり、リアプロジェクションテレビ10のさらなる薄型化を実現することができる。
そのため、フレネルレンズ部33の設計が非常に簡単であり、しかも、レンズ本体31に入射する映像光の方向を確実に整えて略平行光として出射することができる全反射型フレネルレンズを得ることができる。したがって、このような光学システムを用いてリアプロジェクションテレビ10を構成したときには、このリアプロジェクションテレビ10の薄型化が可能となりつつ、透過型スクリーン20はその機能を十分に発揮することができる。
図7に示すように、全反射型フレネルレンズ30では、上記傾斜角θが30°以上となる領域において、約80%以上の高い透過率を得ることができるとともに、この透過率を基準内にバラツキなく収めることができている。一方、傾斜角θが30°よりも小さくなっていくにしたがい、急激な透過率の低下を招いてしまう。これは、例えば傾斜角θが約60°よりも大きな領域(図7中のA領域)では、図8に示すように、入射面35に入射した映像光のほぼすべてが全反射面36に到達するのであるが、例えば傾斜角θが約20°と小さくなる領域(図7中のB領域)では、図9に示すように、入射面35に入射した映像光のすべてが全反射面36に到達することはなく、隣接する全反射面36に対して到達する入射光同士の間に無効光線が生じてしまうからである。
したがって、このような光学システムを用いてリアプロジェクションテレビ10を構成したときには、このリアプロジェクションテレビ10の薄型化が可能でありながらも、透過型スクリーン20上での明るさの均一性を確保することができる。
一方、上記傾斜角θの最大値θmaxについては、フレネルレンズ部33の製造上の点を考慮して、θmax≦80°を満たすようにしたのであるが、θmax≦70°を満たしていることがより好ましい。
例えば、傾斜角θが小さくなる一部の領域には、入射光を全反射面で全反射させるとともに屈折面で屈折させることによってこの入射光の方向を整えるハイブリッド型フレネルレンズ部が設けられていてもよいし、傾斜角θがより小さくなる一部の領域には、入射光を屈折面で屈折させることによってこの入射光の方向を整える屈折型フレネルレンズ部が設けられていてもよい。
12 プロジェクタ(光源)
20 透過型スクリーン
30 フレネルレンズ
31 レンズ本体
33 フレネルレンズ部
36 全反射面
40 レンチキュラーレンズシート(拡散レンズシート)
43 シリンドリカルレンズ(単位レンズ)
44 拡散レンズ部
45 遮光部
46 通過部
50 拡散層
P1 フレネルレンズの光軸
P2 フレネルレンズのレンズ本体の中心
θ 入射光がフレネルレンズの光軸に対してなす傾斜角
θmin 傾斜角θの最小値
θmax 傾斜角θの最大値
α フレネルレンズ部の全反射面がレンズ本体の平面方向に対してなす傾斜角
Claims (2)
- 入射光を全反射面で全反射させることによってこの入射光の方向を整えて出射光とするフレネルレンズ部が設けられた略長方形平板状のレンズ本体と前記レンズ本体の中心を通る前記レンズ本体の短辺に沿う方向において前記レンズ本体から外れた位置を通るように配置された光軸とを有するフレネルレンズを含む透過型スクリーンと、
前記フレネルレンズの光軸上に配置され、前記フレネルレンズに映像光を投射する光源と、を備えた光学システムであって、
前記光源から前記フレネルレンズのレンズ本体までの投射距離をFとし、前記フレネルレンズのレンズ本体の短辺の長さをHとし、前記フレネルレンズの光軸から前記フレネルレンズのレンズ本体までの距離をRとしたときに、前記フレネルレンズ部の全反射面が前記レンズ本体の平面方向に対してなす傾斜角αが、
(π−arctan((R+H)/F))/2≦α≦(π−arctan(R/F))/2
を満たしていることを特徴とする光学システム。 - 請求項1に記載の光学システムを備えていることを特徴とする背面投射型ディスプレイ装置。
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